どの様な結末を辿ろうと、国王が国王・・・それも仕方ねェか・・!!
リーム王国は所詮・・・最初から敗北者じゃけェ・・・!!!
「クーズ、マルタ、アルークの三つの属領が同時に反乱を始めた」
この報告だけならまだ、属領が反乱したところ統治軍によって返り討ちにあうだけだと、一笑に付していただろう。
「尚三つの地域、いずれも劣勢」
この報告を聞いて其々が驚きを交えて眉をひそめる。
「一体どうなっているんですか?!」
エルトが狼狽えた様子でパーラスに問う。
3つの属領が一斉に反旗を翻した事は、時を待たずして皇帝の耳に届くだろう、その時の説明の為に必死に情報を集めなければならない。
「未だ確実な情報は掴めておりません、
しかし噂によれば反乱軍は命中率の良いマスケットを持っているとの事です」
(マスケット・・さては・・ドイツか?)
エルトが現状で考え得る最悪のシナリオを頭に思い浮かべる。
ドイツによる属領に対しての武装援助。
しかしあそこまで強力な兵器を持っているドイツがそんな回りくどいことをするだろうか?
もし、皇国を陥したいのであれば戦艦できた時に皇都を吹き飛ばせば済む話である。
エルトが悩んでいるその時、汗塗れで一人の職員が飛び込んで来た。
「大変です!属領クーズにリーム王国が突如侵攻!クーズが陥落しました!」
「なっ!?」
◇◆◇◆◇◆
数時間前
属領クーズ
「やあああぁぁぁ!!!」
反乱軍が剣を構えて統治軍へと突っ込む。
「来るぞ!着剣!」
「うりゃああぁぉ!!」
統治軍もマスケットを構えて突撃する。
大通りは敵味方入り乱れて戦う地獄と化した。
◆◇◆◇
クーズ王国再建軍
司令部テント
遠くから聞こえる砲撃と鬨の声が薄汚いテントを揺らす、そのテントの中には
必死にとある場所に連絡を取ろうとしている通信兵と苦々しい顔でクーズ市街地の地図を眺めているハキとイキアの姿があった。
「おい、まだリーム王国と連絡がつかないのか?!」
ハキが焦った様子で通信兵に尋ねる。
「それが、何回繋げ直しても何も反応しないんです!」
通信兵は焦った様子で魔信をいじる。
すると、イキアは机を叩き捻り出す様に呟く。
「・・・嵌められたんだ、俺たちはリーム王国に嵌められたんだよ!」
イキアはハキの胸ぐらを掴んで叫ぶ。
「馬鹿な!現にリームは兵器を支援してくれたじゃないか!繋がらないのもきっと向こうがちょっと忙しいだけさ!すぐに繋がる!」
ハキは尚もリーム王国を擁護するが、イキアは更に語気を荒げる。
「元はと言えばハキがリーム王国の言葉にホイホイ乗ったのが悪いんだ!俺は前々から思ってたんだ!お前は思慮が無さすぎる!」
「いい加減にしろイキア!お前が冷静さを失ってどうする!」
イキアとハキが取っ組み合いの喧嘩をしていると、遠くから砲弾が落ちて来る音が聞こえて来る。
「っ!不味い、みんな伏se」
統治軍の砲弾がテントのすぐ近くに着弾し、テントが吹き飛ばされてしまった。
これによりクーズ王国再建軍のリーダであるハキと、副長のイキアが戦死。
クーズ王国再建軍は崩壊していくこととなる。
◇◆◇◆
属領クーズ
街は戦闘により廃墟と化しており、兵士達が残党狩りを行なっていた。
「そろそろ今日は残党狩りは終えてもいいだろう、あとは夜中の見張りを強化してまた明日だ」
隊長が兵士達に話していたその時であった、通信兵が焦った様子で隊長に報告してきた。
「隊長大変です、クーズ・リーム間の国境警備隊からの魔信でリーム王国軍が侵攻、戦闘状態に入っていると連絡が入りました。」
「なんだと?!」
その後、統治軍は直ちに戦闘準備を行い迎え撃ったが、先ほどのクーズ王国再建軍との戦闘により消耗した事や、統治軍と入念に準備された侵攻軍との練度の差は如何ともし難く、すぐに蹴散らされクーズはリーム王国の手によって占領されてしまったのであった。
◆◇◆◇◆
パーパルディア皇国
パラディス城
大会議室
今此処では、侵攻してきたリーム王国に対しての会議を行なっていた。
「リーム王国め・・・何という卑怯な・・・」
アルデは恨めしそうに呟く。
そこをルディアスは怒気をはらみながら問い掛ける。
「アルデ!!卑劣なリームはクーズから叩き出せるのだろうな!?」
「は!問題ありません。
現在リーム王国はクーズに留まっており、再侵攻の兆候は見られません。
我が軍も再編が終了している為現在クーズに向けて兵を移動中です。」
「わかった、あまり捕虜は取らなくても良いぞ。」
「・・・はっ!」
「それと・・リームの兵装は大体皇国の物に似ているのであったか?」
「? え・ええ、確かにリーム王国の兵装は皇国の兵装に準ずるものでありましたが・・・」
アルデは困惑した様子で答える。
皇帝はしばし考え込む。
「・・・ドイツに援軍を要請するというのはどうだ?」
その言葉を発した瞬間、会場にいた者達は雷に打たれた様なショックに襲われる。
「陛下!ご自分が何をおっしゃってるのかわかってらっしゃるのですか!?」
「そうです陛下!いくら何でもドイツに借りを作るとは!」
「列強でもあろう皇国が舐められてしまうかもしれないのですぞ?!」
周りからは再考を促す様に声を張り上げているが、勿論ルディアスも考え無しに発言したわけではなかった。
「ドイツに舐められてはいけない、そんな事は分かっている。
しかし貴様らも見ただろう、あのドイツの飛行船を、戦艦を、このままではいずれドイツの言い成りになってしまう。
そうならぬ為に我々がするべき事は敵を、ドイツの戦いを知る事、それに尽きる」
「・・・つまりドイツを皇国と兵装が似ているリームと戦わせて、皇国の兵装の弱点を洗い出すという事でありますか?!」
「そうだ」
(まさかその様な事を考えていたとは・・・)
エルトもこの様なことまで考えてなかった。
「ではエルトよ、ドイツに対して援軍を送ってくるよう要請してくれ、頼んだぞ」
「はっ、ははっーー!!」
こうして御前会議は終了した。