大ドイツ国召喚   作:イブ_ib

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フジロックから1週間、あの興奮冷めぬあのヒラサワのライブから1週間。 そして帰りに眠たくてそのまま山壁に擦った事故から1週間。





返還交渉

グラ・バルカス帝国

帝都ラグナ

外務省

 

「以上、神聖ミリシアル帝国での先進11カ国会議と、それに伴う戦況の報告になります。」

 

シエリアは上司であるゲスタに報告書を渡した。

 

親は何を思って名前を名付けたのかは知らんがゲスタという名前の通り、吊り上がった目にシワでたるんだ顔と、いかにも性格の悪そうな姿の男は報告書を一瞥すると、直ぐにシエリアの方を向く。

 

「ところで捕虜は全部で92人にも上るようだが、何か情報は話したか?」

 

「協力的な者は一部いますが、何も話さない者が多数です。 ドイツの軍人などは殆どが話しません、優秀な軍人を育成している様です」

 

 

「そうか、情報が引き出せない捕虜は利用価値がないな。

そうだシエリア、恐怖を引き立たせる為に公開処刑を行え。

全世界に向けて見せるのだ、我が国に歯向かう者どもの末路をな。」

 

それを聞いたシエリアは顔をひきつらせる。

 

「そ、それは捕虜を人道的に扱うというのが帝国の方針のはずです。

それに捕虜については軍部の方針で外務省が口出しできる案件では・・・」

 

「早期にこの世界に盤石な基盤を築く。

その為には蛮族共に少しぐらい合わせても問題ない。それにこれは皇帝陛下のお言葉だ。私が言えば軍部も動くよ」

 

 

「しかし!グラ・バルカスが蛮族と同じ次元に立つ事になるのは!」

 

「わかっていないな、皇帝陛下は最も確実な方法で敵国を降し、反抗する気さえ失わせようとお考えなのだ。

しばらくしたら我が帝国はこの世界の超技術大国であるムーを攻めるだろう。

『ムーなら大丈夫』『神聖ミリシアル帝国は最強』などの認識を改めさせねばならぬ、敵性国家はどの様な目にあうかということをな。」

 

 

「今後捕虜が発生した場合、いちいち取り調べるのは非効率だ。

「情報が引き出せないと判明したらすぐに殺される、しかし協力的にすれば生き延びられる」

その様な認識にしなければならない。

だから今回は見せしめも兼ねて処刑する、早期決着の手段のためなら蛮行すらも認める、という皇帝陛下の意思の表れだ。これは全ての帝国臣民の未来だ。」

 

 

ゲスタは、万が一にも自国が負けた場合、今までやってきた事の全てが自国、自国民に全て跳ね返ってくる事など考えもせずスラスラと言葉をたて並べる。

 

「シエリア、お前は若い。自らの正義に反すると思っているのだろう。だがお前は帝国の将来を左右する外務省の課長だ。仕事に私情を挟むな。これは決定事項だ。現時点で協力しない捕虜を公開処刑しろ」

 

「はい・・・わかりました」

 

シエリアは力なく答え退室する。

 

 

 

「フン。これだから女は御しやすい」

 

 

この判断で無関係の国民が血を流す事になるとも知らずに。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

中央歴1642年6月15日

 

ドイツ

ベルリン

総統官邸

 

「外交官はグラ・バルカスに向かったか。」

 

「はい、総統閣下。例の部隊も既に海域についている事でしょう」

 

「ふふふ、奴らの慌てる顔が眼に浮かぶ様だ。」

 

ヒトラーは少し口角を上げて笑った。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

グラ・バルカス帝国

レイフォル地区

レイフォリア

 

ここレイフォリア地区の外交窓口にクラウスがやって来た。

 

今回グラ・バルカス帝国外務省窓口には、ドイツの他4カ国。

 

◯神聖ミリシアル帝国 外務省西部担当

外交部部長 シワルフ

 

◯ムー 外交官 ヌーカウル

 

◯パーパルディア皇国 第1外務局長

エルト

 

◯アガルタ法国 外務卿 リピン

 

5カ国の大使は合流後、魔信で連絡して入国する。

 

◆◇◆◇◆

 

レイフォルの街は未だに荒れ果てており、住民の目は死んでいる。

 

(ドイツと戦っていれば皇国もこの様になっていたかもしれない・・・)

 

エルトはこの光景を眼に焼き付ける。

 

「これじゃあ復興が進まんわけだ」

 

住民を見たクラウスは呟く。

 

現地行政府に着き10分ほど待たされた後、ノックもなしに扉が開き眠そうな半眼、平坦のっぺり顔男が現れた。

 

全身に不吉な空気を漂わせている為、クラウスは顔を顰めて、どうすればこの様な醜悪な生き物を産み落とせるのかと考えていた。

 

「これは世界の強国の皆さん、雁首揃えて良く来られた。どういったご用件だ?」

 

外交官・・・いや、社会人・・・人間としてとして非礼極まりない発言にシワルフ達の顔が強張る。

 

そんな中クラウスは使えることはさっさと伝えるべく口を開く。

 

「大ドイツ国外務省のクラウスだ、我がドイツ国政府は貴国の行った武力攻撃に対し発生した捕虜の返還、賠償を要求する」

 

 

するとダラスは瞼を僅かに見開きぐいと詰め寄る。

 

「ほう、あなたが我々と同じ転移国家のドイツ国か。

貴国は戦艦を3艦持ちながら我らの戦艦1隻の前に敵前逃亡したと聞いている。同じ転移国家といえど兵士の士気にここまで差があるとは、弱腰な軍を持つ国の外交官などやってられんだろう。」

 

ダラスは下から覗く様に、口の端を小さく歪めて挑発する。

 

それに対し、クラウスは憐れむような冷たい目でダラスを見下ろす。

 

「貴国は先進11カ国会議で宣戦布告と取れる発言をしたが、世界を敵に回して勝てるつもりなのか?」

 

「 クラウスといったか?君はカルトアルパス戦の交戦記録を読まなかったのか?弱腰、弱小国家が集まったところで所詮烏合の衆。弱者は弱者のままだ。」

 

双方睨み合いが続いていたところ、後ろの扉が開き、1人の女性が入って来た。

 

「シエリア様・・・」

 

「ダラス、ここからは私が責任を持って交渉を行う。」

 

「しかし、この場合の担当は」

 

「命令だ、相手はこの世界の連合といっても差し支えない。お前の手には余る」

 

「・・・はっ、わかりました」

 

 

◆◇◆◇◆

 

ダラスの座っていた席にシエリアが座る。

 

 

「話は裏で聞いていた、帝国の考えは先日の会議で説明した通りだ。変更は無い」

 

 

クラウスはシエリアの凛とした態度に幾らか安心感を覚える。

 

そして懐からある用紙を取り出す。

 

「そうですか、実は政府からこのような物を預かっております。」

 

クラウスはその用紙を広げると、声高らかに読み上げる。

 

 

「本日 中央歴1642年6月15日。

大ドイツ国は、グラ・バルカス帝国のだまし討ちとも取れる卑劣きわまる攻撃をして来た貴国に対し我が国は正々堂々と今ここに宣戦布告する事を言い渡す。

 

本日11時30分を以って戦闘状態に突入する。」

 

我々(読者)(ポーランド )(ソ連)からしてみれば。

 

「正々堂々とかお前らが言えるかよ、フザケンナよテメー」

 

と言いたくなるが、いまドイツは正義は我にありと言わんばかりだ。

 

これを聞いたシエリアは眉を寄せてダラスは激昂する。

 

「なっ、卑劣きわまるだと?!貴様ッ!」

 

 

「ダラス、落ち着け」

 

シエリアは制するがダラスの怒りは収まらない。

 

「しかし、貴様を見ているとグラ・バルカスという国は外交官になれるハードルは低いようですな。貴方のように他人を詰り、煽り、侮蔑する様な事が喋れば宜しいのですから。そうなれば外務大臣は猿ですかな?」

 

これを聞いたシエリアは眉をキッと上げて怒りを表し、ダラスなんかは顔が真っ赤だ。

 

 

「まぁ、我々の要件はこれで以上。

してシエリアさん捕虜の人権は・・・認められるんでしょうな?」

 

「なっ、それは・・」

 

シエリアは言葉に詰まる

 

「聞こえなかったのですかな?」

 

シエリアも顔を幾らか赤くしながらも答える。

 

「その事は我が国が決める!お前たちに答える義務は無い!」

 

 

「そうですか」

 

あまりに素っ気ない返事に苛立ちが募る。

 

そんな時エルトが口を挟む。

 

 

「捕虜の件はわかりました。

グラ・バルカス帝国は何を望むのですか?」

 

シエリアは息を整えて答える。

 

「ふぅ・・・それは我が軍門に下る事、当然国家の主権は認めん」

 

「植民地ということですな」

 

「早い話がそうだ」

 

「しかしその通告を世界が呑むとでも?」

 

 

「勿論今は要求を呑むとは思っていないよ。幾度と無く戦火を交え、敗退を重ね我が帝国の実力を知った時、我が国の提案を飲まざるを得ないだろう。どんな事になろうともこの窓口は開けておく、国民のためを思うのならば早めに決断するのだな」

 

こうして捕虜返還交渉会議は決裂し、お互い部屋を出て行く。

 

すると最後にダラスがこちらに振り返り

口を開く。

 

「この交渉はお前たちにとっては非公式らしいが、我が方にとってみれば実質的に公式な国と国の会議だ。個人的なお前たちの感想を少し述べさせて貰おうか。

烏合の衆がいくら集まっても、我が帝国には勝てない。帝国は、今後すべての国々をその配下に治める事となろう。貴様らもこの世界の列強・・・ああ、すまない。元・列強としてプライドはあるだろうが、帝国に降るか、弱者連合で、国亡ぶまで戦うか……本気で考えた方が良い。

 まあ、お前ら蛮族に考える頭があるとは思えないがな。」

 

 

ダラスは殺意に満ちた獣のような顔で

外交官達に喋る。

 

それを聞いたエルトが口を開く。

 

「そうですか、ご忠告感謝します。

では私からも一言、貴国は現実が見えていない。知性の欠片も無い蛮族のような言動、国際会議への非常識な武力介入、そして碌な調査もせず全世界に宣戦布告をする。ルディアス様は聡明なお方だったが・・・、果たして貴国の皇帝は潮時を見極める事が出来ますかな?」

 

 

エルトに国家、皇帝陛下を侮辱された

ダラスは顔を真っ赤にする。

 

「きっ!貴様!皇帝陛下を侮辱する気か?!」

 

「いえ、物事をしっかりと見極めなければ重大な間違いを犯し、最悪国が滅びる事になりかねないという事を言ったまでですよ」

 

エルトはクラウスをチラと見て言った。

 

4カ国の大使とグラ・バルカス帝国の会議はこうして幕を閉じた。

 




パーパルディアを前面に押し出すスタイル。

ここでもレミールを出したかったが、流石に皇族をここまで引っ張り出すのは如何なものと思い出しませんでした。
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