ヘルクレス級戦艦
コルネフォロス
ラス・アルゲティの姉妹艦であるこの艦にカイザルが乗り、采配を振るっていた。
因みにグレードアトラスターはフォーク海峡戦で被害を受けた為現在大規模な修理が行われており、ラクスタルと一緒にお留守番となっている。
「艦隊より5時の方向、距離140km!
敵は迎撃隊をすり抜けてこちらに向かっている模様!」
「何だと」
「やはり敵もただやられているようでは我慢ならないようですわね」
そう言いながら金髪碧眼の女性が艦長席から立ち上がった。
「シオメル嬢、ここは私がやります。
貴女はお席にお座り下さい」
「何を仰ります!私とて栄光あるグラ・バルカスの軍人!お飾りとして座っているわけでは無くってよ!」
カイザルは思わず目を瞑る。
(やれやれ貴族の御令嬢は面倒臭いから苦手なんだ・・・)
「敵が来たからと言って棒立ちでただ待っている訳では無いのでしょう?!空母から直掩機を出して迎撃なさい・・・」
「シオメル嬢、シオメル嬢!」
「なんですの!」
「司令は、私です。私が全艦隊に指示を出します。お願いです。静かにしてください。」
まるで子供に言い聞かせる様に、ゆっくりと区切りながらカイザルは話しかける。
「あ、あらあら。ごめん遊ばせ」
彼女は恥ずかしそうに艦長席に収まる。
それを見たカイザルはため息を漏らした。
「第1、第2砲塔に対空主砲弾を装填し砲撃しろ。
甲板上にいる者は直ちに退避!」
◆◇◆◇◆
天の浮舟部隊は5機づつの編隊を組み、散開してグ帝艦隊へ向かっている。
カノンの部隊は端の方を飛んでいた。
「ーー!?」
『隊長!何か見えます!』
空中に黒い点が6つ見えた。
(・・・攻撃?!)
カノンの背筋がスッと寒くなった瞬間、
飛んでいた部隊の中心で盛大な花火が咲く。
「ウワァ!」
眩い閃光に目が昏みそうになるがそれを耐え部隊の真ん中を見る。
「ああっ!ジグラントが!」
中心の部隊の3つ程が壊滅的被害を被り、爆発地から少し離れた部隊も、半数の機体が被害を受けていた。
『総員、各部隊ごとの間隔を開けよ!』
攻撃隊は着実に距離を詰めて行く。
◆◇◆◇◆◇
レーダー室
「3つの敵部隊の消失を確認、敵機90機依然として接近中」
「敵機、先程より間隔を離し始めました」
レーダー員の報告にカイザルは渋い顔をする。
「数が多い、直掩機をだそう。それと対空戦闘の用意もしておこう」
「了解、直掩機を出撃させます。」
「それと別働隊はどうなっている?」
「は、第3機動部隊は後方にて待機しております」
実は今作戦においてグ帝軍はGAを叩きのめしたドイツ軍に脅威を覚え、東方艦隊と第1打撃群の他に第2航空艦隊を用意していた。
「現在敵艦隊は此方に気を取られているだろう、まぁレーダーがあるかも知れないが、直ぐに対応出来るかと言えばそうでもなかろう。
よし、2航艦隊に出撃命令を出せ!」
◆◇◆◇◆◇
カシオペア級空母『ゲルシー』
この空母は、前世界ユグドの時から最前線で戦ってきた歴戦の猛将である。
グ帝が複葉機の時代、2段空母の時代から幾度の戦いに赴き、改修をいくつも繰り返して戦ってきたGAと並ぶグ帝海軍の顔であった。
パイロット待機室にはブザーがけたゝましく鳴り響き、パイロット達は甲板へ走る。
『攻撃隊出撃用意。繰り返す
攻撃隊出撃用意』
攻撃機にパイロット達が手際良く乗り込む。
『第1攻撃隊、用意完了!』
アンタレスパイロットのオルバは、席から身を乗り出して前を確認して前に進む。
『発艦!』
スピードを上げアンタレスは大空に舞い上がる。
◇◆◇◆◇◆
ドイツ艦隊雷撃隊 隊長
エリウス・ユンガー
(我々の機体だけやけに古臭く見えるな)
苦笑しながらミリシアルのエルペシオや、ジグラントを見て思う。
彼の乗っているFi167とは、まず複葉機であり、脚は着艦する時にスパッツ(脚のカバー)ごと動くという、無駄に凝った仕様になっているし、風防は全風防、
エンジンはDB601Bで機首もスマート。
なのに複葉機。
しかし制作元はあのfi156を作ったフィーゼラー社という事もあり、風向き次第では垂直に近い離着艦も可能という、驚異の性能を持っている。
しかも大戦末期に、P51を道連れに撃墜しているが、武装は機首に7.92ミリ機銃が一丁だけである。(あと後方に一丁)
閑話休題◇◆◇◆◇◆
グラ・バルカス艦隊
「来るぞ!」
ある駆逐艦の対空砲部隊長が叫ぶ。
直掩機が出ているが、あくまで空母を守る為、駆逐艦は自分で身を守るしかない。
直掩機が撃ち漏らした攻撃機が段々と粒状からしっかりとした機影となる。
レシプロエンジンとはまた違う魔光エンジンの甲高い音が兵士の恐怖心を煽る。
「うてぇーーー」
「うぉぉぉぉおおおおおおおお!!!」
部隊長が叫ぶと同時に二連装機関銃の弾がばら撒かれる。
いくらミリシアルの航空機が弱かろうと、それはアンタレスや特殊信管があればの話。数が多すぎて只の時限信管しか渡されない様な駆逐艦や小型艦には脅威でしか無い。
どれくらい機銃を撃ち、対空砲の撃つ音を聞き、落ちていく飛行機を見たか。
数えきれぬ敵機の内、一機の爆弾がこちらに向かって落ちてくる。
黒い点が急速に拡大して来てでかい衝撃が来たと思った瞬間、兵士達の意識は永遠に途絶えた。
◆◇◆◇◆
『小型艦に爆弾命中!炎上を確認!』
ジグラント3のパイロット、ゼルは興奮した様子で魔信に叫ぶ。
『油断するな!後方に気を付けろ!』
あちこちの駆逐艦や軽巡から煙や火の手が上がっている。しかし戦艦や空母の被害はゼロに等しい。
流石特殊信管とアンタレスが守ってくれているだけの事はある。
◆◇◆◇
コルネフォロス
「四時方向から約20機の敵機が低空から侵入!」
「旗艦を狙うとは愚かな奴らめ!
特殊信管を使用して迎え撃て!」
レーダー員の報告を受けたカイザルは的確に指示を出す。
◇◆◇
エリウスは無線で隊員を鼓舞する。
『全隊員に告ぐ!これが初陣だが、これまでの訓練通りやれば問題ない!鼻が伸びきった奴らの度肝を抜いてやるぞ!」 』
300キロしか速度の出ない鈍速雷撃隊が、向かっていた。
コルネフォロス艦長
シオメル・カルタス
20代半ばの女性艦長。かなり有名な貴族の出で能力は悪く無いのだが熱くなりがち。
シエリアとは同じ大学の同期。
GAは今戦いではお休みとなります。