「世界連合艦隊に向かっていた第8打撃群42隻、通信途絶・・・」
まるでお通夜のような雰囲気の『コルネフォロス』艦橋。
今まで連戦連勝を誇ってきたグラ・バルカス帝国海軍であったが、初めて受ける甚大な被害に誰もが言葉を失う。
「レーダーに感あり。敵空中戦艦と思しき艦影2隻、南北からこちらに向けて進行中、偵察機によると北部敵艦隊本隊も増速しこちらに向かってきているとの事です。」
「そうか。第3潜水艦隊に対し、敵艦隊本隊を迎撃する様に下命。連合艦隊から発艦可能な機体を全て出して空中戦艦を迎撃せよ」
「了解!!!」
シオメルは扇子を開け閉めしながら何やら考えている様であった。
◆◇◆◇◆◇
「カレドヴルフより入電!『たった今『パル・キマイラ』より敵艦隊の座標が提供された。これより敵艦隊に突入し艦隊決戦に移る。ついてこられたし』だそうです!」
「ついてこい、か。」
「如何なさいましょう、一応グラーフツェッペリンはまだ甲板が使えますが、これから艦隊決戦になると安心は出来ません。」
「・・よし!グラーフツェッペリンは後方で防空任務に努め、ビスマルク、グナイゼナウを前方に押し立てる」
「はっ!」
ドイツ艦隊はフォーク海峡戦の仇を取るべく、ビスマルクとグナイゼナウが力強く前に出た。
◆◇◆◇◆
パーパルディア竜母打撃群
「マータルよ、このまま進撃して敵を撃滅する事は可能か?」
「無理です、逆に我々が完膚無きまでに叩き潰されるでしょう。」
想像通りとは言え、容赦ない物言いにバルスはムッとする。
「ヴェロニアは甲板が破損、戦列艦、装甲艦がそれぞれ1隻ずつ撃沈されていますし、その他全ての竜母、戦闘艦が被害を被っています。負傷兵の対応で手一杯であり、とても戦闘を継続出来る状態ではありませんよ」
「そうか、そうだな。では・・・」
バルスが言いかけた時、通信士がやって来た。
「『ベガルタ』より通達。世界連合艦隊は本時刻を以って作戦終了、ニグラート連合に協力を要請し寄港されたし。
寄港後は各国の判断で各国に帰投されたし。との事です。」
「ミリシアルから直々に指示が来たか。
全艦に通達、現時点を以って皇国竜母打撃群はニグラート連合ギゼル共和国ゴドウィンへ寄港し、その後本国へ帰投する」
「了解しました」
◆◇
現時刻を以って世界連合艦隊は作戦終了となった。
しかしドイツの戦いはまだ続く。
レーベレヒト・マースのソナー員は敵潜水艦がいないかどうか全神経を集中させていた。
「!!」
ソナー員は大規模の騒音を捕らえる、第3潜水艦隊を発見したのだ。
「1時方向に大規模潜水艦隊の反応あり!」
「爆雷発射装置用意!!」
乗員は着々と爆雷の準備を始めた。
◆◇◆◇◆
グラ・バルカス帝国
第3潜水艦隊
シータス級ディフダ
艦長は潜望鏡を覗きながら、敵艦隊に1キロ未満まで接近する様に命じた。
「ここまで接近して気付かないとは・・」
艦長は薄ら笑いながらミリシアル艦を見る。
「よし、魚雷発射!」
魚雷は発射され、迷いなくミリシアル艦に命中する。
沈んでゆくミリシアル艦を見て、艦長は次の獲物を選ぶ。
「・・・ん、あの旗は・・。確かドイツの旗だったな」
しかしどのみち沈めるのだから何処の国でも関係ない事だと魚雷発射用意をする様に命令するその時であった。
ボン!
ドイツの駆逐艦と思われる船から何かが発射されたのだ。
(なんだあれは?!まさか爆雷?!)
対潜攻撃は駆逐艦からの爆雷投下のみであったグラ・バルカスにおいて、爆雷が飛んで来るのは想定外であった。
ドォワ!!
船内が激しく揺られる。
が、どうやら沈没は免れた様だ。
「まずい!急速潜航!!」
急いで艦長は指示を出すも・・
ドォォワ!
今度の爆雷は時限信管がうまくいった様で、ディフダの真上で爆発した。
高圧を受けたディフダは鉄が砕け、内部を水が覆いつくし、一瞬にしてディフダは圧壊した。
魚雷による爆圧は圧力の弱い上に向かって逃げ場を求めて駆け上がる。
やがて、海上に大きな水柱を噴出させた。
◆◇◆◇◆
が、何十隻もの潜水艦に襲われている今、流暢に沈んだか海面を眺めているわけにもいかない。
「ゲオルク・ティーレ被弾!!」
「グナイゼナウ被弾!応急修理急げ!」
此方にも少なくない被害が生じたが、敵は魚雷が切れたのか段々と攻撃頻度が少なくなり、そして止んだ。
「状況確認!」
「戦艦一隻、駆逐艦三隻被弾!そのうちマックス・シュルツが航行不能との事です。」
「うむ、仕方ない。乗員を全て収容した後、雷撃処分するしかないか」
クランケは苦々しい顔で指示を出した。
◆◇◆◇◆
グラ・バルカス軍
「敵空中戦艦2機、目視距離に入りました!」
遥か遠くに空中戦艦が見える。
「・・・考える余地は無しか。第一次攻撃隊発進せよ!艦爆を主体とし高高度より爆撃!距離1000m以内に近づくことを禁ず!」
カイザルの指示が空母に伝えられ、80機もの航空機が発艦した。
が。
『カーセル航空隊全滅!敵対空砲の命中率絶大!』
『また落とされた!』
『下にも対空砲がついてる!!』
『ああっ 翼が吹っ飛んだ!』
『操縦不能!!脱出する!』
「北方に向かっていた第一次攻撃隊が・・レーダーから消失しました・・・。」
「こんなの嘘でしょ!何故なんですか!」
レーダー員の悲痛な報告に将校達は凍りつく。
参謀・将校達は頭をフル回転させ、あの化け物に対して何か打開策はないか議論する。
既に敵は細部まで確認できる距離まで迫って来ている。
そんな時に無線員が一つの電波をキャッチする。
「カイザル司令!敵艦から入電‼︎」
「繋げ!!」
『グラ・バルカス帝国の諸君・・・お初にお目にかかる。私は神聖ミリシアル帝国古代兵器、空中戦艦パル・キマイラ2号機艦長、メテオスという』
およそ戦場に似つかわしくない言葉使いで話しかけて来る敵、カイザルは片眉を吊り上げた。
『君達に警告しよう・・・今すぐに尻尾を巻いて逃げ出し、レイフォルからもすべて退却したまえ・・・。
我々との戦力差は君達ほどの文明であれば理解出来るだろう?
私はね……相手がたとえ蛮族であったとしても、弱き者を一方的に虐殺するほど性格は曲がっていないのだよ。』
グラ・バルカス帝国を侮辱するような言葉に艦橋は静まり返る。
『力の差は分かっただろう?私からのせめてもの慈悲・・・
「笑止」
突然メテオスの言葉を遮る様に大声が艦橋に響く。
『・・・なんだと?』
「私達は一歩も退くつもりはございません事よ!」
「シ!シオメル嬢!!!」
「貴方はお黙りなさい!」
「おだっ!黙っ!?」
カイザルは驚き泣き掛けでシオメルを見る。
『ほぅ、貴方の様なお嬢さんが艦長とはね、初めてだよ。
そうだね、お嬢さんに忠告しよう。
これまでの戦いで我々との戦力差は歴然としている。
それなのにまだ立ち向かうのは勇気ではなく無謀というモノなのだよ。
分かったならば直ぐに引き返したまえ。私とて女性に手をあげたくはないのでね。』
「貴方は臆病者ですわね。」
『・・なんだとぉ・・』
「私でしたらこれ程戦力差があるならば、忠告などせずに攻撃を行います!
しかし貴方は攻撃したくないから逃げ帰れと仰った。
詰まり貴方は戦いたくない臆病者と言うことに違いありませんわ!」
そういうと、扇子で口を隠して煽る様に笑った。
『・・・調子に乗るんじゃないよ!』
メテオスは激怒しながら無線を切った。
ヨヨヨのヨはヨイお年をのヨだ。
ヨ!