大ドイツ国召喚   作:イブ_ib

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バルチスタ海戦⑤

「グラ・バルカス帝国め……バカの次は臆病者だとぉ・・この帝国魔導大学校出身の私をバカにするとは・・・許さないよ、ゴミどもめぇ・・・」

 

パル・キマイラ艦橋に浮かび上がるディスプレイには、外の様子がリアルタイムで映し出され、艦内は稼働状況の報告が飛び交う。

 

「魔力充電100%、充電作業完了」

 

「目標、2号機最寄りの中型艦。計算完了、誤差修正・・・」

 

「射撃航行状態に移行」

 

「全システム異常無し。いつでも攻撃出来ます」

 

 

淡々と流れる報告の後に、攻撃準備完了の報告が入る。

 

「攻撃したまえ」

 

ワールマンが気怠そうに指示した。

 

◆◇◆◇◆

 

その後2号機艦長のメテオスとの攻撃の方向性の違いにより口論となり、頭に血が上ったワールマンは、パル・キマイラを多少のリスクを払っててもコロネフォロスにジビルをぶつけるという手段を取った。

 

◆◇◆◇◆

 

「ん?!」

 

カイザルは敵空中戦艦の変化に気づく。

 

2機のうち1機が進路を変え此方に向かってくる。

 

距離が縮まるにつれ対空砲火も激しくなるのだが、空中戦艦手前で近接信管が反応し破片が飛ぶも、謎のバリアーで塞がれてしまう。

 

「アイツ! 旗艦を攻撃するつもりか!!」

 

カイザルは冷や汗を流す。

するとシオメルはカイザルに話しかける。

 

「カイザル司令。申し訳ありませんが、

命をかける覚悟は出来ておりますか?」

 

 

「シオメル嬢・・・ええ、軍に入った時から覚悟は出来ております」

 

「失礼いたしました。」

 

そう言うと、シオメルの顔が引き締まる。

 

「とーりかーじいっぱーい!」

 

『とーりかーじいっぱーい!』

 

操舵員の復唱とともにコロネフォロスは旋回し、パル・キマイラの進路に対して垂直となる。

 

 

「右から迫って来る敵空中戦艦に対し、主砲による一斉射撃を行う!主砲は時限信管付対空主砲弾!」

 

『近接信管ではないのですか!?』

 

砲術長は驚いた様子で聞く。

 

「敵は手前で爆発した対空弾の破片をバリアのような物で防いでいます。

ならば時限信管でバリア内で爆発するようにするのです!  時限信管付対空主砲弾用意!復唱!!」

 

『はっ!時限信管付対空主砲弾用意!』

 

「各自判断で射撃を開始!数で圧倒するのです!」

 

そう言うとパル・キマイラのいる方向に向けて扇子を指した。

 

「射撃開始!!!」

 

 

◆◇◆◇◆

パル・キマイラ2号機

 

「・・・?」

 

ワールマンは先程とは何かが違う事を感じ取った。

 

「先よりも正確さに欠けますね」

 

部下の言葉によりその何かを理解する。

 

先程までは全ての弾が手前で炸裂していたのに対し、今はそれよりも手前、またはパル・キマイラを通り過ぎてから炸裂するなど、炸裂のタイミングがめちゃくちゃになっていた。

 

「大方向こうが慌てていて、信管の調整もせぬまま出鱈目に撃っているんだろうさ。」

 

ワールマンは吐き捨てるように言う。

 

すると先程まで起こらなかった僅かな揺れが艦橋を襲う。

 

「おおお・・・」

 

「艦長、念の為アトラタテス砲に振り分けている魔力を装甲強化に分けた方が宜しいと思うのですが。」

 

「そんな事したって杞憂に終わるさ。それよりも敵旗艦上空に着くまであとどれくらいだ?」

 

「ええ、あと5分もかかりません」

 

「そうか、そろそろジビルを投下装置にセットする準備をしたまえ。」

 

「はっ!」

 

◆◇◆◇◆

 

それは正に偶然であった。

コロネフォロスの4基のうちの1門の砲から放たれた1つの時限信管付対空主砲弾が、寸分の狂いも無く吸い込まれる様にパル・キマイラに向かって行く。

 

ワールマンは点のまま迫って来る砲弾を見て生きた心地がしなかったであろう。

 

その砲弾はパル・キマイラのスポーク部分を通り抜けた瞬間に炸裂した。

 

バリアの中で炸裂し、破片はなんの抵抗も受けずにパル・キマイラに襲い掛かる。

 

「うおおぉぉぉ?!!??」

 

今までには無い揺れがパル・キマイラ艦橋を襲う。

 

「何が起こった!!」

 

 

ワールマンが顔面蒼白で職員に確認する。その職員も同じく顔面蒼白だ。

 

「大変だ・・・第3アトラタテス砲、第5魔導砲破損!船体装甲板も損傷を確認!!」

 

「くぁwせdrftgyふじこlp」

 

突如としてワールマンが目を見開き、顎が外れんばかりに口を開け叫ぶ様子を見て、職員らはおかしくなったと思い眺めていたが、ワールマンはいきなり操縦士に飛びつき。

 

「戻れ戻れ戻れ!!!!早く戻れ!!!」

 

恐怖に駆られた操縦士は、床の傾きなど知らぬとばかりに機体が50度になるまで傾けた。

 

「「「ぎゃあああああ!!!」」」

 

ワールマンともその他職員ともつかない悲鳴が艦橋に木霊する。

 

◆◇◆◇

 

「おおおおおお!!ワールマン・・・

恥晒しが!愚か者が!どのようにして皇帝陛下に説明できようか!!」

 

メテオスは一通り罵倒すると、落ち着きを取り戻し、皇帝陛下の言葉を思い出す。

 

ーもし1隻でも損傷、撃墜される様なことがあれば直ぐに撤退せよ。

 

 

「撤退だ!撤退せよ!右90度、機関全速!」

 

メテオスも逃げる様にバルチスタ海域を後にした。

 

◆◇◆◇◆◇

 

「空中戦艦反転!離脱していきます!」

 

 

「「「うおぉおぉぉぉ!!!」」」

 

「「「万歳!万歳!」」」

 

グラ・バルカス帝国連合艦隊各艦すばての兵士が歓声を上げていた。

 

「かなり危険な賭けでしたが、上手くいって何よりでした。」

 

「シオメル嬢、お見事でした」

 

「よしてくださいまし、全て部下のお陰ですわ。・・・けれど」

 

「あの化け物がまた現れたらかなり厄介な事になりますな」

 

「戦略についてはお上の考える事、私達は只戦うだけ。次にやる事がすぐあります」

 

「敵艦隊ですな。潜水艦隊で相当な被害を与えましたし、空母はほとんど大破させたらしいので残ったのは戦闘艦だけでしょう。敵のやる気満々ですから艦隊決戦で決着をつけましょう。」

 

◆◇◆◇◆◇

ドイツ海軍

戦艦ビスマルク

 

「もうすぐ日が暮れますね」

 

「夜戦か・・・不安だな」

 

リンデマンはほとんど経験のない夜戦に不安を隠せないでいた。

 

「! 対艦レーダーに反応あり!駆逐艦

三隻と思われる艦影が接近中!」

 

「上空に敵機!!」

 

 

報告が上がった突如、上空が真昼間の様に明るくなる!

 

「照明弾だ!戦闘準備!!」

 

「3時方向より雷跡!!」

 

その瞬間プリンツ・オイゲンより2本の水柱が上がった。

 

 

のちの歴史書に「バルチスタ沖夜戦」と描かれることとなる戦いが始まった。

 

 

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