グラ・バルカス帝国
最前線基地 バルクルス
ユグドではどうだか知らないが、地球ではすっかり時代遅れとなった星形要塞であり外側には飛行場がある。
同基地の総司令である第8軍団長ガオグゲルは執務室から外を眺めていた。
現在この基地には、ムー国のアルーを落とした第4機甲師団が整備の為帰還しており、歩兵を主とする第3師団と交代していた。
圧倒的兵力、この世界には我々に抗するほどの力を持つ者はいないであろう。
そんなバルクルス基地で幹部会議が行われようとしていた。
「アルーの街は敵国の駐留軍主力を全滅させ、占領しました。ゲリラ的な反抗はあるでしょうが、さしたる影響はありませんまた、敵ムー国の航空機性能は、海軍からの資料のとおりの性能であり、帝国航空兵の敵ではありません。敵最新鋭戦闘機の速度は時速にして約380km程度であり、爆撃機であっても高度と最高速度を維持すれば、振り切れるでしょう」
陸軍幹部の説明に、各幹部の顔が多少の安堵に包まれる。
どうやらドイツのエンジンを積んだマリン改の存在は掴めていないようだ。
「アルーの街から東へ約200kmの位置に、ムー国人がホーウキと呼んでいる航空基地があります。アルーへ出撃されたらやっかいなので、このホーウキの爆撃をアルー侵攻と時を同じくして行いました。攻撃は成功し、敵飛行隊は全滅。此方のアンタレスが敵対空砲により被害を受けましたが、軽傷であり修理を行い3日もすれば復帰できるでしょう」
続いて、第4機甲師団長ボーグが発言を開始した。
「次の陸上作戦について説明します。
アルーの街の東側に空洞山脈と呼ばれる区域があります。
空洞山脈の空洞は戦車でも通行可能との報告を受けておりますので、そこを突破しさらに東側にある街を制圧します。
この空洞山脈東に位置する街は人口22万人です。ムー国陸軍及び増援軍との武力衝突が予想されます。
この街は、ムーの大動脈とも言える南北を結ぶ鉄道のうち、西周りの鉄道拠点でもあります。
ここを制圧することで、ムーへの打撃は相当なものとなるでしょう。」
「うむ、これ程の大戦力があれば、ムーだろうがミリシアルだろうが蹴散らす事が出来るだろう」
ガオグゲルが自信たっぷりに言い放った。
◆◇◆◇◆
ムー
空洞山脈
まるでスポンジの様になった岩石が上を覆い尽くし、地面は砂地だ。
そんな特殊な場所で数人の人影が。
上の方で蠢いていたのはムーの工兵だ。
「・・・これで良し・・・」
人影の1人が上方の岩柱に爆弾を設置し、敵が通ると思われる通路にピアノ線を張る。
「これで奴等が通るとドカンと言うわけだ」
男は薄気味悪い笑みを浮かべ、次の爆弾の設置に取り掛かる。
◆◇◆◇◆◇◆
ムー国陸軍
西部方面隊主力
キールセキ陸軍駐屯地
「ヤコペッティ軽戦車大隊到着致しました!」
「カンブレイ戦車装甲連隊配置に着きました!」
エンジンと砲座の向きが逆向きの機関銃だけを装備した装甲車の様な戦車や、菱形の車体に、砲塔が生えたような戦車が次々と汽車でキールセキに運ばれて来る。
「ホクゴウ司令、先程空洞山脈の仕掛けを完了したと報告がありました」
「うむ、宜しい」
「マリン改の調子もすこぶる良い模様、
戦車隊も問題なく稼働しています。
グラ・バルカスなど敵ではありますまい」
(そうだといいんだがな・・・)
部下の言葉に、ホクゴウは無表情で頷いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
空洞山脈・・・
現在第4機甲師団は空洞山脈を通過している。
薄暗い山脈内には、想定していた敵軍は見えず、思わず拍子抜けした模様。
そんな第4師団の指揮車に乗るボーグは、部下と会話していた。
「あと8時間程で空洞山脈を抜けます。」
「そうか・・・。すでに事前の空爆は終わっているだろうな、もしかすると敵の陸軍基地も併せて全滅しているかもしれん。せめて出番があれば良いが・・・」
第4師団の兵士は皆トラックに乗っており、前方に何か罠が仕掛けられていないか誰も注意しようともしない。
パガンダ、レイフォルと圧勝し続けたが故に慢心していた。
「第4師団は、帝国の中でも・・・」
1番先頭を進む戦車の車長は前方で何か光る糸のようなものに気付く。
「前世界においても・・・」
しかしさして気にする事もなく、
そのまま千切れるだろうと前進する。
「今世界においても・・・」
戦車にピアノ線が接触する。
「無敵だ!!」
・・・ドォォオオン
上方の石柱に仕掛けてある爆弾が爆発し、下を進む第4師団目掛けて大量の岩石が降り注いだ。
ムー国戦車の元ネタは、鈍色の攻防のユーロディアールの戦車から取りました。