昼食時、ダラスは食堂で食事をとる。
いつものように、情報収集の一環をかねてムーのテレビ放送をつけていた。
するとテレビから勇ましい音楽と共にドイツのグ帝向けのプロパガンダ番組が始まった。
話に内容は主に、ゲルマン民族は優れており軍隊は精強であり、植民地でも現地民との関係も円滑である様子を映していた。
しかし今回は違っていた。
「グラ・バルカス帝国の諸君、開戦より続く連戦連勝実にお見事だ。しかし我々は諸君に残念なお知らせをしなければならない。さる日、我ら同盟軍はムー・レイフォル奪還の為諸君の領土へ電撃的な攻勢を開始した。これにより諸君らが奮戦の末手に入れたキールセキの奪還に成功した。諸君らの努力を無駄にしてしまい誠に心苦しい…さて次は作戦時に単機で30両の敵車両を撃破し、一級鉄十字勲章を受賞したハンス=ウルリッヒ・ルーデル少尉のインタビューを…」
「何⁉」
いきなりの報告に食堂は騒然となった。
ダラスは執務室へ走り、部下から軍部からの報告を受け取る。
「馬鹿な…短期間でこれ程進軍出来る物か!」
ダラスは震える様に報告書を読む。
ドイツが覚せい剤を兵士に服用させ狂気の進軍速度にしたとは知る由もないダラスは震えるしかなかった。
◇◆◇◆
グラ・バルカス帝国 帝都ラグナ
連日の雨の中、帝王グラ・ルークスの住まう邸宅の1室において、緊急の帝前会議が開催されていた。
「此度の同盟軍の三方面からの攻勢を防ぎきれなかった様だな、サンド・パスタルよ。如何にして取り戻すのか予定が知りたいものだ。」
「…はっ対ドイツ戦線においてはバルクルス基地の戦力を増大し、特殊殲滅作戦部の出撃も視野に準備を進めております」
「ドイツ懲罰艦隊は出撃出来るのか」
「陛下、現状ナルガ戦線の維持に手一杯の為、懲罰艦隊の出撃は非常に厳しいです」
「む…そうか。ではニグラード方面とレイフォル方面は大丈夫そうなのか?」
「そちらの方は同盟軍の主体はマギカライヒとパーパルディアなので現状の戦力でも時期に撃退出来ましょう」
その後も話し合った結果、ドイツ軍を最重視し必要ならば特殊殲滅作戦部の投入も視野に入れるとした。
◇◆◇◇◆◇
アルー基地
占領後駐留軍を置いていたアルーは、キールセキを奪還された直後からドイツ軍の爆撃の標的となった。
占領から日が浅く対空兵器も満足にない中で連日に渡る猛爆。
一時は撤退も視野に入れていたがバルクルス基地より反攻作戦が命じられた。
一方ドイツ軍は邪魔者がいなくなった空洞山脈を爆走、ドーソン基地を占領。
機甲師団はグ帝の戦車を蹴散らしアルーまで目前に迫っていた。
◆◇◆◆◇◆
ニューランド島
現在ここにはグ帝潜水艦を監視する為のドイツ軍のUボート及び水上機の基地があり、第三文明圏における最重要拠点となっている。
ドイツがおりパーパルディアも健在な今、グ帝に寝返るのはただのアクロバティック自殺に過ぎずドイツに恭順の意を示して生き残っている。