そもそも要塞砲の地中深い弾薬庫は弾も爆弾も貫通しない為、要塞用コンクリート等は必要無かった。
その弾薬庫周囲に50トンもの爆弾が爆発したらどうなるか。
「爆破!」
ベルトランが起爆した瞬間、幾つも土嚢を積んで塞いだ坑道の入り口から凄まじい衝撃が発生し、入り口付近にいた鎧を着た兵士が数十メートル程空を舞った。
ある程度離れた外征軍司令部のテントも衝撃で崩れた。
「うわっ!」
「ベルトラン様!大丈夫ですか?」
「ああ、私は大丈夫だ……」
すると周りの兵士がざわめく。
「おい!土が降ってくるぞ!」
要塞の方に目を向けると、成る程仕掛けた爆弾と誘爆して爆発した砲弾の爆発で要塞砲が宙を舞い、それと同時に周囲の土が外征軍に降り注いだのだ。
「生き埋めになるぞ!逃げろ逃げろ!」
同盟国軍はてんでばらばらに後退する。
「ひいぃぃ!」
ベルトランも例外ではなく逃げ出す。
後に彼は皇帝の報告書にこう書き記す。
「まさかあんな事になるとか思わないじゃん(要約)」
◆◇◆◇◆◇
しかしもっと悲惨だったのは当然要塞側で……
正午丁度、中央の要塞砲が突如爆発……それに気づく前に地下弾薬庫(100トン)が誘爆、爆発は要塞砲と土を空に舞うだけに留まらず、狭い要塞内の通路すらも巻き込んだ。
まず区画封鎖の鉄扉は間に合わない、それどころか換気システムから爆風が瓦礫と共に兵士に襲いかかった。
大多数の兵士は食堂に居た為、衝撃と爆風をモロに受けた後、二次災害のガス爆発が起こり生存者はいなかった。
これはコルヒでさえ例外ではない、要塞長室で食事が運ばれてくるのを待っていた彼は最初の爆発の衝撃で血を吐いて絶命した。
あれほどの威容を誇っていた要塞がたった一瞬でがらくたの山へと変貌を遂げたのだった。
◆◇◆◇◆◇
同盟国軍は数キロ離れた地点に再度司令部を置き、翌日確実にしとめる為総攻撃の準備を行っていた。
「翌日の総攻撃の一番槍は我々クワ・トイネ遠征軍将軍のこのノウに任せて貰いたい」
「いやいや、ここはアルタラス騎士団の騎兵突撃が最初に」
「何を言うかこういう時こそ拙者らのフェン魂による突撃が」
「お前らは何も分かっちゃいねぇ、クイラの獣人部隊こそ!」
「頼む!ドイツ領ロウリアにもなにとそ活躍の機会を~!」
属国の手柄争いを見ながらベルトランはつまんなさそうにパイプを吸っていた。
◆◇◆◇◆◇一方その頃ドイツ軍は……
既に森を迂回しレイリングを攻略済みであった。音信不通で援軍が来なかったのもそういう訳であった。
余談ではあるが爆発音はここからは勿論、レイフォルの観測所でも聞こえる程のものだったらしい。
◆◇◆閑話休題◇◆◇
翌日
「うおおおおおお!わがロウリア兵の底力!とくと見よ!」
最終的に殴りあいにまで発展した一番槍争いを制したのは意外にもパンドールであった。
砲撃終了後ロウリア騎兵を先頭に同盟国軍が要塞跡に殺到する……が、既に生き残りは昨夜のうちに逃げており、残っているのは死体だけだった。
◆◇◆◇◆◇
要塞跡地にパーパルディア国旗が翻る。
経過はどうあれ結果的にパーパルディアがグラ・バルカスの要塞を攻略したのだ、結果を知らされた同盟諸国は泡を吹くなり喝采なり三者三様ではあったが殆どの国がパーパルディアを称える異常事態となったのであった。
取り合えずラテ編は終わりです。
次は何処から切り出せばいいんだ。