我らの仕事は配管工   作:トマボ

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お久しぶりです。
断水したり機材壊れたり色々押し寄せてきていますがぼちぼちよろしくお願いします(いつもの&亀更新の言い訳)

夏バテ気味の作者みたいにならないように皆さんは気をつけてください。




配管工のドキドキサドンデスマッチぱーとにっ inオルレアン

 

 

 

 

空から爆弾が降り注ぎ始めてから少し後。

 

街中から離れるように一頭のガラスの馬が地踏みしめ、足音を鳴らしていた。

 

 

「逃げるんだマリー!僕を降ろせ!君一人なら速度が出るだろう!?」

 

 

その透明に光る馬の騎手であろうドレス生地の服を着た女性は、同じく変わった服装の細い男性の襟首を掴んで無理矢理にその背に彼を乗せていた。

 

 

「うふふ。嫌よアマデウス。それに私一人だけでどこへ迎えと言うのかしら?」

 

 

その女性の名はマリー・アントワネット。そして、半ば連れさらわれている男性はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。

 

 

「分からず屋だなぁ君は。僕が残ればほんの少しぐらい時間を稼げるだろう。」

 

「それこそ、もう先に言ったでしょう?私は我儘な王女なのよ?」

 

「はぁ…。それも知ってるよ。身を以てね。」

 

フランスを同じ時代に生きた2人は、何の因果か彼等が記録を残した時よりもほんの少しだけ生前よりも前の時代に召喚されることとなった。

 

勿論のこと別々に。

 

本当に偶然、もしくはただ縁があった地に引かれた故に。

 

サーヴァント…もしくは座に就いた英霊ならば、抑止として呼び出されることもあれば聖杯を求める闘いで敵として、あるいは味方として呼び出されることもある。

 

だから、この特異点において竜の魔女とその信奉者によって呼び出された英霊達に対抗して配置された野良のサーヴァントとして、この2人が近い場所に召喚されることもおかしくはない話であろう。

 

運良く早いうちから合流し、知り合いだったために共に行動を始めた。

 

ただ、それだけであった。

 

 

 

 

しかし、そんな事情は見ていなければ第三者には伝わらない。

 

そして、誤解というのは解くのが難しかったりもする。

 

特に、話が通じない相手に関しては。

 

 

「■■■■ァァ!!!アマデウスゥゥゥゥゥ!!!!」

 

 

狂化を付与されて喚び出されたサーヴァントの一人、バーサク・アサシン。真名をシャルル=アンリ・サンソン。

 

西側の敵を殲滅せよ、という指令の下でやってきた折に、楽しそうに2人で歩くロクデナシ音楽家と愛しき王女様が視界に入り狂化が抑え切れずに飛び出してきたことがここにきて叫ぶまでの経緯である。

 

砂埃を巻き上げながら馬に追いつかんと爆走しつつ、手に持ったギロチンの刃を振り回しているサンソン。

生前は処刑人という立場に就き、逸話が広められたが、医術を学び、無駄に罪人を苦しませないように配慮し、心を痛めていた人物でもあった。

 

が、自責の念で苦しんで、滅ぼす側で呼び出されて思うところが無いわけでは無く、しかし狂化されている為に殺意とイカれた発想に流され、それでもほんの僅かに残った心で迷っているところに、その当人に纏わり付くように腹立つあん畜生が、2人一緒にランデブーを楽しんでる光景を見せつけられたのがほんの少し前。

 

爆弾をものともせずに切り払って爆風を背に進む姿は、まるで彼を中心に嫉妬の念が渦巻いているようにも見えた。

 

 

 

「おいおい、パクるなよクソ白髪め。お前のセリフじゃないだろソレは…」

 

「メタい発言はやめなさい。アマデウス」

 

「そういう君もだよ、マリー。」

 

「あら、これは失礼しました。…こほん。ヴィヴ・ラ・フランス!」

 

「はっはっは。誤魔化すのは良いけど頼むから前を見てくれ。爆風で髪が燃えそうだよ。…ッと!!?ヤバイ!!!前だマリー!!!」

 

 

そして、そんな掛け合いをする2人を遮るように底上げされた怪力を生かしてサンソンが投げた刀身が迫る。

 

「アマデウスゥゥ!!!」

 

意思があるかは不明なガラスの愛馬は、なんとかその刃を避ける。

 

が、丁度狙ったタイミングで地面から生えてきたギロチンの方向へと誘導されてしまう。

 

 

「不味い!?マリー、君だけでも!?」

 

「いいえ、貴方が行きなさい……また話せて楽しかったわ。私を好いてくれた音楽家さん?」

 

「なっ!?」

 

手を引こうとし、逆に投げられ、突き飛ばされたアマデウス。

 

 

「……ああ、マリー。もう一度君をこの手で!!」

 

 

首を固定するまでもなく、一撃で命を刈り取るであろう大きさの刃が、指揮者がもう一度伸ばした手では、既に間に合わない所まで迫っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘向きで無い2人が今必死に街中から離れていたのには、逃げているのともう一つ理由がある。

 

降り注ぐ脅威から身を隠している人々が狙われないようにする為だ。

 

 

 

 

ーー処刑された人間は、果たして本当に恨みをもたないのだろうか?

 

そんな考えをまるで笑い飛ばすかの如く、偉大な王姫は朗らかに歌う。

 

'''フランス万歳'''

 

'''私が愛した国だもの!'''

 

助けなければいけない理由など考えるまでもなく、彼女、マリー・アントワネットは直ぐにその選択肢を選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーああ、本当に…

 

 

ーーこれだから、ヒトというのは飽きないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤッハーー!!」

 

「間に合ったぁぁぁぁ!!ありがとなポチ!!」

 

「グォるる」

 

重く巨大な刃を受け止めて、全身から銀色に光沢を放つ謎の動く金属像と、人理を守る為に闘うマスター、そして、嬉しそうに鳴き声をあげる翼竜が、王姫を守るように今ここに立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






投げっぱなしジャーマンで申し訳ないです。

相変わらず不定期となりますがヨロシクでふ。

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