我らの仕事は配管工   作:トマボ

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多すぎる誤字や脱字についてですが……お優しい皆様の誤字報告により助かっております(スライディング土下座




配管工はひたすら汚泥処理ぱーとさん inオルレアン

 

 

 

翠の装甲を纏った一匹の龍。

 

 

うねるように空を泳ぎ大地と海の均衡を常に空の果てにおいて見守っている裂空の覇者。

 

 

その鋼のような外殻は今も太陽光を浴びて幻想的に光り輝いている。

 

同系色の大筒を構えた赤き衣の髭を乗せて。

 

 

 

 

 

相対するのは黒き竜。

 

 

御伽噺から飛び出したかのような風貌の、今もこの地を焼く小さき竜達を生み出し続ける幻想種。

 

 

あらゆる呪いと刃を通さぬ固き鱗に覆われたその身で以ってして有象無象を薙ぎ払い、身の程知らずを焼き払う。

 

 

その背に復讐の魔女を乗せて。

 

 

 

 

 

 

 

 

突如現れた謎の龍を警戒しつつも、頭部に乗った如何にも能力のなさそうなサーヴァントを嘲笑する彼女。

 

 

「あっはははは!何処の馬の骨かと思ったらこれはとんだ失礼をしましたね。何ですかそのちんちくりんな見た目は!

その見た目だけは大層な使い魔も主人がそれでは可哀想に思えてきますとも!」

 

 

対してなのかどうかは不明だが、丸太のように太い土管を構えて目を細めている赤いサーヴァント。

 

目の前で小型のワイバーンが湧き出るように生み出されていようとも、気にした様子は無い。

 

黒き竜の体躯を見据え、まるで何処にその大筒を置こうか迷っているかのように。

 

 

「ふん、ダンマリですか。まぁ、良いでしょう。死ぬ前に言うこともないと言うのなら早く消えなさい。」

 

 

魔女、黒き聖女が旗を振り上げ、燃え盛る黒き槍を飛ばす。

 

 

例え何者であれ、彼女の燃えたぎる憎悪を消すこと叶わず。

同じ咎をその身に宿した者にすら、彼女の怒りは理解らない。

 

何故なら彼女はそうであれという誰かの望みの元に喚ばれた存在だから。

 

死後ですら誰も恨まず、国を想いながら散った聖人君子の有るはずの無い側面。

 

本人がそれを知らずとも、その在り方は変わらない。

 

そんな在り方を固定された彼女の炎は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

 

 

ぶつかった衝撃によって黒い煙が上がり、一瞬でその身が覆われる。

 

 

そしてその憎悪の対象に外れることなく、赤き衣の配管工は彼女の予想通りに目の前で炎に包まれ串刺しになったであろう。

 

 

ああ、憐れな弱きサーヴァント。

 

憎悪の炎で焼き尽くされ、骨すら残らない。

 

 

 

 

「あっけないものね!人理なんてものを救う為に力を貸している物好きの仲間なのだからもう少ししぶといかと思いましたが…。」

 

 

 

彼女の哄笑が響き、呼応するように唸る黒い竜。

 

 

 

 

「さあ、あっけなく死んだ主人の如く、すぐに消し去ってあげましょうか。

行きなさい、ファブニール!!!」

 

 

 

どこか命令を待っているかのように動かない鋼の龍を打ち倒す為、彼女は自らの下僕に命令を下した。

 

 

彼が構えていた妙な大筒が何だったのか、ああ、それはきっと万能の願望器などと揶揄される聖杯にすら、分からないものだったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ、たとえ彼女が辞書を持ち、土管の名称を知っていたとしても、ワープする配管工のことなど知る由も無いことなのだけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしながら、黒き煙が晴れぬ中。

消えたサーヴァントと同じような赤い帽子を被った人影が、そっとその龍の上へと舞い降りた。

 

龍はやっと有るべき主人が来たかのように、軽く身体を身じろぎする。

 

ああ、早く暴れさせろとでも言いたげに。

 

 

 

赤い帽子の少年は、そんな龍の頭を一撫ですると、ただ静かに目を開いて指を指す。

 

 

 

 

一方、魔女の命に従って目の前の敵を屠ろうとしていた絶対的覇者たる黒き竜は、小っぽけな生物に指を指された事を認識した瞬間、本能が全力で警鐘を鳴らしたような気がしていた。

 

しかし、被りを振るうこともなく、かの竜はその後、脆弱な人間ごときに目をくれることなく、動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白き天馬に乗って、少し離れた空からその光景を見ていたマスター達は、龍と竜がぶつかり合う直前、何かが自分達の後方へ飛び去っていくのをかすかに見かけた。

 

 

 

「え!?今のはもしかして!!」

 

 

遥か下方の地面から生えた緑の土管から飛び立ち、ムササビのように首に巻いたマントを脚と手で固定して風を掴んで浮き沈みしながら飛行する謎の人影。

 

 

 

「…!!お……けて!!」

 

 

 

空気が吸い込まず、掠れる声で指示を出すマスター。

 

だが、その声は確かに騎手へと届いた。

 

叫ぶ通信の声を聞きながら、マスターは必死に耐え続け、マシュとジャンヌがその身体が飛ばされぬようにと押さえつける。

 

メドューサと天馬の飛行能力が無ければとっくに二匹のぶつかり合う衝撃と風圧で落とされていただろう。

 

 

場から離れるように後ろからの風圧であり得ない加速をしながら空飛ぶ目の前のサーヴァントがおかしいのだ。

 

彼女達にとっては間違いなく絶体絶命の危機である。

 

 

ファブニールが起こす振動と風。大気を破らんとする薙ぎ払い。口腔から放たれる灰も残さぬ黒き焔。

 

しかし、翠の龍が空を舞い、まるで天を裂くようにその巨体をもって暴れまわると、一切合切が消しとばされる。

 

果敢に挑む竜の魔女と黒き竜。

巻きついてこちらを締め上げて来ていた翠の龍をなんとか弾き飛ばす。

 

トグロを巻いて全身から炎を噴出するように、獰猛に鳴きながらワイバーンを蹴散らす翠の龍。

 

 

無尽蔵に近い竜の群もあいまって、両者はわずかに攻めきれず、均衡を保っていた。

 

 

 

 

しかし、マスター達からはもはや見えない位置で、

 

 

どこかの世界で、原点にして頂点と呼ばれた赤い帽子の少年が、

 

ただ静かに声を出す。

 

 

 

「 舞も1回だし。いけるかな…。

 

倒すだけだからね? やれ、流星群」

 

 

 

 

 

 

 

歴史には残らない。

 

戦争の続く国の荒野へと、

 

 

空から星が堕ちてくる。

 

 

 

真っ赤に燃える隕石が、

 

 

暴虐の竜へと降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





あっつい!

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