メガネ端正(転生) 作:飯妃旅立
基本的にストーリーに関わらない、読まなくても良いチャットですので、話の最下部に設置しています。
背負っていた木の弓を抜く。
複合弓はまだ封印だ。ここのレベル帯、そんなに高くないしな。
「……古代遺跡ですからね。古代より生き永らえたリザードの変異種、と言った所でしょう。餌の少ない空間だ。私達の醸し出す美味しそうな匂いにつられてやってきたのでは?」
「弓兵か……アスベル、ソフィ! 君達には前衛を頼みたい! 僕らは援護する! パスカルさん、貴女は遊撃を!」
「はいはーいっとぉ!」
「わかった!」
まぁ、史実と違ってわざわざ四人で戦ってやることもない。確かに神聖術の対象としては四人以内が最も効率が良いとされているが、出来ない事でもない。
ただ、気を付けるべきは……。
「皆さん、敵は石化の
「わかった……アタラキシア!」
早速プロトス1……いや、ソフィが自己の状態異常防止の光子を纏う。頼もしい。
しかし、アスベル・ラントは対抗策を持たない。この狭い足場で攻めあぐねるのも危ないか。
「リチャードさん、奴を一瞬でも拘束する術はお持ちですか?」
「! わかった、来たれ闇の眷属……開くは絶望の扉!」
詠唱を聞き、想像通りのそれに安心して弓に矢を二本番え、引き絞る。
「シェイドインペリアル!」
変異種リザード……メルクリウスの下に闇色のゲートが開き、その身体を引きずり込まんと奴を縫い止める。
「ハッ!」
その一瞬の隙をついて、両目を射抜いた。
ビューティホー。あ、ヘイトこっち向いた。
「こっちだ! ハッ、水影身!」
「やぁ! 連撃!」
だが、そこは前衛二人。
怖い物は無いとばかりに攻めに攻める。
「よっ、フリージング!」
中距離からはパスカルが
「凍牙!」
「雷斬衝!」
「刹破衝!」
石化の出来ないメルクリウスなど、ちょっと攻撃力の高いリザードと同じ。
ましてやこちらは五人。負けるはずも、なかった。
……勿体無いとは思ったが、背に腹は代えられない。
HPを削り取られ、ゆっくりと沈むメルクリウスに、お疲れ様を心内で送った。
「とんだ邪魔が入ったな」
「じゃ、気を取り直して~、ぴこぴこ、ぽん!」
パスカルが装置を操作する。
すると、中央に浮かんでいた石版が展開した。
「動いた……」
さらに、石版のあったポッドの基部のような場所に、ソフィの投影が映写される。
「わたし……?」
「これがパスカルさんの言っていた、ソフィの幻なのかい?」
パスカルが頷く。
俺はその横で、彼女の手元を学習する。なるほど、いやはや、俺の操作のなんと無駄の多い事か。そうか、そこ省略して良いんだな……いやぁ……いやぁ! 勉強になる!
しかしこの施設、奴に見せていいものなのかね。
あんまり見せない方がいいと思うんだが……ああいや、奴は自分の研究内容なんかは知らないか。
そうこうしている内に、ソフィの投射が消える。
エネルギー切れではなく、スリープモードだな。
「ソフィ、アレを見て、何か思い出したか?」
「ううん……」
「ソフィと関係があるのかも、アレを見ただけでは何とも言えないね……」
「……その少女、記憶喪失なのですか?」
知っているが、知っていたらおかしいので聞く。
四人とも、そう言えば説明してなかったな、という顔をした。
まぁ、ソフィが記憶喪失気味で、ソフィの幻を見たと言うパスカルの証言の元、ここへきて、もしかしたらその幻を見れば記憶が戻るかもしれないと期待していた、という事である。
「ふむ」
「説明書きでもあればよかったんだけどねー。ライモンは何か知らないの?」
「私が知っているのは、この装置が記録装置であると言う事。映し出された少女が、ある目的を持っていた、という事くらいですね」
「目的……?」
隣にいるリチャードの中の奴の事も考えて、出して良い情報と出してはいけない情報を精査する。
……ソフィの純粋な瞳をヒューバートは苦手にしていたが、なるほど、これはクるな。
自分が悪い事をしているような、そんな錯覚に陥る。
「目的そのものはわかりません。
ただ、ラムダと呼ばれる存在に対して、なんらかのプロセスを行う事が記されていましたよ」
「ラ……ムダ……? どこかで、聞いた事が……あるような」
「他に、何か知りませんか?」
「残念ながら」
肩をすくめる。
それ以上は、今出すのは無理だ。奴がいない所ならいいんだがな。
「とりあえず、こうしてここで考えていても仕方がない。先に進もう。すぐに答えが出る事でもないだろうし、ね」
「ああ、そうだな。
……ライモンさんは、まだここに?」
「ふむ。
先に進む……というのは、グレルサイドへ行く、と取っても問題ありませんか?」
「はい。俺達はそのために此処に来ました」
「では、同行させてもらってもよろしいでしょうか? なんでも緊張状態だとかでウォールブリッジを通り抜けられなくてですね。グレルサイドへ行きたいのですが」
そう言うと、リチャードの顔がさらに険しくなる。
まぁ、この時期にグレルサイドへ行きたいというストラタ人。怪し過ぎるわな。
「……どうしてグレルサイドへ?」
「鮎です」
「……は?」
「グレイル湖畔で釣れる鮎……私は、それを食べに来ました」
ちなみにこれは本当である。
前回の二ヶ月旅行の時に食べた鮎の塩焼きが、涙が出るほどに美味しかったので、絶対に食べると言う強い意志を持ってきた。
考えただけでも涎が出る。ちなみにグレイルアユという品種だ。
「……リチャード、お前が決めてくれ」
「……わかった。ライモンさん、グレルサイドまでの道のり、一緒に行こう」
「ありがとうございます」
信用されたわけではないのだろう。
だが、目を離すと面倒、とでも思われたか。ま、本名を名乗っている以上……俺がストラタ政府と繋がりのある人間だった場合、不味いからな。同盟協定を結んだのは叔父のセルディク。リチャード殿下はいないことになっているのだから。
「話は終わった? じゃ、れっつらごー!」
「あ、その前にパスカルさん、ここなんですけど……」
「……また今度にしてくれないか」
はーい。
GC「調査推察趣味煇石」
地下遺跡。そこに浮かぶ、活動を終えた巨大な煇石を前にして。
「なぁ、パスカル。どうしてここの輝石は浮いているんだ? 俺達の身体は浮いていないのに……」
「ほぇ? う~ん、風の
「そもそも
ちなみに人間や魔物の身体が浮かないのは、
「……何を言っているのかさっぱりわからないんだが」
「ライモンさんも考古学者なのかい?」
「いえ、私はどちらかといえば研究者ですね。
「なるほど……」
「でも、輝石は
「はい、勿論です。ですが、それ以上に供給が多いとしたら? 周囲に在る巨大輝石が吸収する
「密度があがり、輝石は浮き……やがて活動を終えた輝石はこうしてただただ漂うだけの存在になる、か」
「はい。尤も、この規模の輝石が吸収活動の寿命を迎えるには少なくとも五百年以上の月日が必要です。活動中は不砕……というか、欠けた傍から周囲の
つまりこの輝石は、単なる経年劣化によって砕けたと考えるべきでしょう。輝石が経年劣化によって砕ける程の月日という事は、二百年かそこらですね。つまり、どう少なく見積もっても七百年前にはこの輝石が存在していた、という事です」
「七百年前……想像もつかないな」
「上に流れてるでっかい川が出来た時代考察からしても、そのくらいが妥当だね~。最初にこの遺跡があって、上を川が通るようになって、その川の上にウォールブリッジを建てたんだろうね」
「アンマルチア族というのは……計り知れないな」
パスカルがいると色々楽だ……