芽座椎名は困っていた。約1ヶ月前に知り合った岬五町という1人の1年の少女。
彼女は簡潔に説明すると【椎名の大ファン】
椎名の事を「姐さん」と呼び慕っている。
百歩譲ってそれは別に構わない。
問題なのは、あの日以来、彼女がずっと椎名についてくるという事であって…………
******
「姐さん今日もカッコいいっス!!」
「ん、あぁそ」
「姐さん今日もかわいいっス!!」
「ん、あぁそ」
「姐さんカバン持ちましょうか?」
「いや、いい」
椎名をべた褒めする五町。それに対して椎名はどうでも良さそうに受け流す。
時期は6月。時間は放課後。椎名は帰宅中にもずっと五町に絡まれていた。
「姐さん!!私とバトルしましょうよ〜〜!!」
「いや、いい、今は帰って寝たい気分〜〜」
「え〜〜またそう言ってはぐらかす!!」
「別にはぐらかしてはないけどね」
別に帰宅中だけじゃない。朝も昼もずっとこの調子だ。椎名も対抗して何度か走って逃げてみたが、五町も椎名同様足が速く、なかなか振り切れないという事が判明したため、結局こんな感じで落ち着いてしまった。本当はもっと距離を置きたいが、なにぶん五町の椎名に対する距離が近すぎる。
別に五町が嫌というわけではない。あまり親しみ過ぎると、今後必ず訪れるであろうエニー・アゼムとの決戦に巻き込んでしまうかもしれないためである。
しかしながら、椎名は知らずのうちに五町が自分の横にいるのが当たり前のような感覚になってきていて………
「ねぇ五町、あんたずっと私にべったりだけどさ、結局何がしたいのよ?」
「へ?…ンなの無論っスよ!!…姐さんのように強くてかっこいいバトラーになる事っス!!」
そう言えばと思い、椎名は唐突に五町に質問を投げかけた。こんなに自分に近づいてくるのは必ず何か理由があるはずだと…………
それに対して五町は当たり前かのようにそう強く言い放った。自分は強い椎名に憧れ、この学園に入学して椎名の弟子(※無理矢理)になった。そう言わんばかりに…………
「はぁ、あんたはなんか勘違いしてるよ………私は全然強くなんてないし、況してやカッコ良くもない……!」
「え?」
しかし、椎名が次に言い放った言葉は五町にとっては意外なもの。優しい表情から一変、どこか冷めているものに変わって、寂しそうに答えた………
「じゃあ、ここまで、私の家まではついてこない約束だからね」
「え、あ、お、おうっス!!また明日!!」
いつもの分かれ道。椎名は五町の方を振り向かず、手をあげるだけで五町の元から離れていく。五町はさっきの椎名の言葉に動揺が隠せないながらも元気よく返事をしてそれを見送り、
椎名の背中が見えなくなるまでさっきの言葉について考えてみるが………
「姐さん………そんなミステリアスな所も素敵っス!!」
今はまだ椎名の言っていることが理解できなかった五町。椎名を一旦ミステリアスだと勝手に印象付け、さっきの言葉を綺麗さっぱり忘れ去った。
******
(エニー様はいったい何を考えてらっしゃるのだ?)
界放市のとある路地にて、2000年前に鬼から人々を救った英雄、エニー・アゼムを祖先に持つ黒髪の青年、バーク・アゼムはそう思い、考えた。
今尚、絶賛バトル中であるにもかかわらず…………
「おい!!何ボーッとしてやがる!!」
「黙れ!!」
「えぇ……!?」
対戦相手の若い男性にそう注意された直後、バークは腹が立っていたのか、逆にその男性を怒鳴りつけた。
これは所謂ストリートバトル。バーク・アゼムは飛び入り参加し、連戦連勝を重ねてきていた。今でちょうど10試合目になるか………
彼がこんなところにいる理由は間違いなくエニー・アゼムであろう。彼女は芽座椎名に二度敗北して以降、バークに【しばらくの間、芽座椎名とその仲間達には関わるな】と告げたのだ。
崇拝しているエニー・アゼムのいう事ならば従うまでだが、彼としては一刻も早く赤羽司の持つバロンのカードを得たいため、この時間はどうしても無駄であると感じていた。
だからこそむしゃくしゃしてこんなところで油を売って人目のつくところでバトルしていた。
「終わりだ………斬月!!」
「くっ…ライフで受ける……!!」
バークが自分のスピリットに最後のアタックを命ずる。それは白くて日本刀の様な刀を握っている仮面スピリット斬月。鎧武やバロンと同等の存在だ。
対戦相手の男性はこの時点でなすすべはなく、それをライフで受けた。
斬月はしなやかな太刀筋でその男性の最後のライフを紙切れのように斬り裂き、バークに勝利をもたらした。
「つ、強い……!!」
「貴様らが弱すぎるだけだ……他に我とバトルする奴はいないか!!」
そう言ってバークは周りに目線を移すが、周りの誰もが彼から視線をそらし、名乗りを上げない。当たり前だ。挑んだ所で、どうせ無様に負けるだけなのだから………
しかし、たった1人、たった1人だけ挙手し、名乗りを上げる者がいて………
「え?誰もいないの!?…じゃあさじゃあさ、お兄さん、私とやろう!!」
「?」
「トドメの瞬間見たぞ!!…あんたも仮面スピリット使うんだな!!」
騒つく人々の中、金髪のツインテールの少女がバークの前に現れた。それは帰路に着いたはずの五町。立ち寄った大通りで偶然にもバークのバトルを見かけたのだ。
当然、五町はバークが椎名達の敵であることを知らない。
因みに、五町は上着がジャージであるため、バークに学園生とも思われていない。背もそんなに高くはないこともあって中学生くらいに思われている。
「ほお?次は貴様か小娘……いいだろう、返り討ちにしてくれる」
「よっしゃぁ!!岬五町、タイマン張らせてもらうぜッッ!!」
五町のやる気は十分。鬱憤払いに来ただけのバークも同様だ。しかし、周りの人達は正直五町の怖いもの知らずな所に呆れていた。
ただ、そんな中でも2人は颯爽とBパッドを取り出し、デッキをセット。バトルの準備を行って………
「「ゲートオープン、界放!!」」
コールと共にバトルが始まった。
先行はバーク・アゼム
[ターン01]バーク
《スタートステップ》
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ、我は仮面ライダー鎧武 オレンジアームズを召喚、効果でカードをオープン!!」
手札5⇨4
リザーブ4⇨0
トラッシュ0⇨3
オープンカード↓
【仮面ライダー龍玄 ブドウアームズ】◯
【ヘルヘイムの産物】×
【ヘルヘイムの産物】×
「おぉ、それがあんたのデッキの核っスか!!」
バークの場の上空から空間を裂いてチャックが現れたかと思うと、それが開き、そこからオレンジの甲冑を着た黄色の仮面スピリット、鎧武が姿を見せる。
そしてその効果も成功。バークは【仮面ライダー龍玄 ブドウアームズ】のカードを新たに手札へと加えた。
「我はターンエンド、次は小娘、貴様の番だ」
手札4⇨5
【仮面ライダー鎧武 オレンジアームズ】LV1(1)BP2000(回復)
バースト【無】
「言われなくともやってやるっスよ!!」
バークがターンを終えると、待ちに待っていたた言わんばかりに五町が自分のターンシークエンスを進めていく。
[ターン02]五町
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ、私は仮面ライダーフォーゼ ベースステイツをLV2で呼び出す!!」
手札5⇨4
リザーブ5⇨0
トラッシュ0⇨3
スリー!!
ツー!!
ワン!!
「召喚!!」
【仮面ライダーフォーゼ ベースステイツ[2]】LV2(2)BP4000
五町の前方に白い煙がもくもくと上がったかと思えば、その中から白い仮面スピリット、フォーゼ ベースステイツが勢いよく姿を現した。
「宇宙キターーー!!!」
いつもの気合入れ、五町は両手を天に上げ、そう叫んだ。前方にいるフォーゼも同様のポーズを取っている。
五町の奇行にバークを除く周囲の人々は唖然として見ており………
「それがお前の仮面スピリットか」
「そうっス、でもって召喚時効果!!」
オープンカード↓
【仮面ライダーなでしこ】◯
【仮面ライダーメテオ】◯
【ランチャーモジュール】◯
【仮面ライダーなでしこ】◯
召喚時効果は成功。五町はその中の対象カードである【ランチャーモジュール】を1枚手札に加え、残りをデッキ下へと戻した。
「アタックステップ、いけ、フォーゼ!!」
手札4⇨5
「ライフで受ける」
ライフ5⇨4
背中にあるブースターの逆噴射で軽くバークの元まで飛び上がったフォーゼはそのまま拳でバークのライフを1つ殴りつけ、破壊してみせた。
「よっし、幸先良いスタート!!ターンエンドっス!!」
【仮面ライダーフォーゼ ベースステイツ[2]】LV2(2)BP4000(疲労)
バースト【無】
五町はそののターンをエンドとする。
次は再びバークのターンだ。
[ターン03]バーク
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札5⇨6
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨5
トラッシュ3⇨0
「メインステップ、我は仮面ライダー龍玄 ブドウアームズを召喚、効果により鎧武とトラッシュに1つずつコアを追加!」
手札6⇨5
リザーブ5⇨2
トラッシュ0⇨2⇨3
【仮面ライダー龍玄 ブドウアームズ】LV1(1)BP4000
【仮面ライダー鎧武 オレンジアームズ】(1⇨2)LV1⇨2
バークの場の上空に今一度チャックが出現し、開いたかと思えば、そこから紫色の鎧に包まれた仮面スピリットが飛び出してくる。
それは仮面ライダー龍玄。右手には片手銃が握られている。これもまた昔々、エニー・アゼムが使役していた1枚だと言う。その効果によりバークのコアが増加し、鎧武もLVが上昇した。
「さらにバーストを伏せ、ヘルヘイムの産物を配置!!」
手札5⇨3
リザーブ2⇨0
トラッシュ3⇨5
【ヘルヘイムの産物】LV1
バークの場にバーストカードが裏向きで伏せられると共に、背後に古びた樹木が姿を見せる。そこには奇妙な色と形をした実が生っており………
「アタックステップ、鎧武と龍玄でアタック!!」
「おっ、来たな……私で受け止めるっス!!……っ」
ライフ5⇨4⇨3
鎧武の刀の一太刀と龍玄の弾丸が五町のライフをそれぞれ1つずつ斬り裂き、貫いた。
「………エンドだ」
【仮面ライダー鎧武 オレンジアームズ】LV2(2)BP5000(疲労)
【仮面ライダー龍玄 ブドウアームズ】LV1(1)BP4000(疲労)
【ヘルヘイムの産物】LV1
バースト【無】
できることを全て終え、そのターンをエンドとしたバーク・アゼム。次は五町のターン。増えたコアを用いて反撃に転ずる。
[ターン04]五町
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ2⇨3
《ドローステップ》手札5⇨6
《リフレッシュステップ》
リザーブ3⇨6
トラッシュ3⇨0
【仮面ライダーフォーゼ ベースステイツ[2]】(疲労⇨回復)
「メインステップ、バーストをセットして、レーダーモジュールとランチャーモジュールをフォーゼに合体するように召喚するっス!!」
手札6⇨3
リザーブ6⇨4
トラッシュ0⇨2
【仮面ライダーフォーゼ ベースステイツ[2]+レーダーモジュール+ランチャーモジュール】LV2(2⇨3)
五町の場にバーストカードが伏せられると共に、フォーゼの腰にあるドライバーにスイッチが2つ装填される。フォーゼはさらに自身の効果でコアを増加させた。
「行くっスよ!!アタックステップ、フォーゼでアタック!!…ランチャーモジュールのスイッチ、オン!! 1コスト支払って回復!!」
リザーブ4⇨3
トラッシュ2⇨3
【仮面ライダーフォーゼ ベースステイツ[2]+レーダーモジュール+ランチャーモジュール】(疲労⇨回復)
♬レーダー、オン
♬ランチャー、オン
フォーゼがレーダーモジュールとランチャーモジュールのスイッチをオンにすると、左手にレーダー、右足にランチャーが出現。
フォーゼはレーダーで鎧武と龍玄を捉え、そこめがけて足踏みし、ランチャーを放つ。四方八方へと飛び散るランチャーは最後には全てそこへと到達し、爆発した。
鎧武と龍玄は破壊はされないものの、吹き飛ばされる。フォーゼは逆に疲労状態から回復状態となった。
「フッ、たかだかその程度のコンボで我を倒そうと言うのか、舐められたものだな!!」
「別に舐めちゃいないっスよ!! 寧ろここからが本気っス!! フラッシュ【煌臨】発揮、対象はフォーゼ!!」
リザーブ3s⇨2
トラッシュ3⇨4s
「っ!?」
フォーゼはレーダーとランチャーのスイッチを一旦オフにすると、腰にあるドライバーに、まるで自爆スイッチのような形をしたスイッチが配備される。フォーゼはそれを開き、押した…………
♬コーズーミ〜〜ックオン!
また無機質な機械音のメロディが流れたかと思うと、フォーゼに合計40ものスイッチが吸い込まれるように集結していき、様々な色の光に包まれ、僅かながらにフォルムを変えていく……さらにその右手には新たに巨大な剣が出現する。フォーゼは光を解き放ち、新たな姿を見せると同時にその剣を力強く握り締めた。
「私はバトスピを掴む!!…仮面ライダーフォーゼ コズミックステイツ、煌臨!!」
手札3⇨2
【仮面ライダーフォーゼ コズミックステイツ+レーダーモジュール+ランチャーモジュール】LV2(3)BP16000
「………っ」
現れたのは水色に輝く究極のフォーゼ、フォーゼ コズミックステイツ。
バトスピを掴む。五町の最強エースでもある。
「煌臨時効果!! 相手スピリット1体をデッキ下に戻すっス!! 龍玄を下に!!」
「……っ」
コズミックステイツは登場するなり、龍玄の背後に宇宙へと繋がるワームホールを形成し、背中にある逆噴射で勢いよく龍玄に飛びつき、それをその中へと蹴り飛ばした。
龍玄は宇宙の彼方へと消え去った………
「さらにコズミックステイツの煌臨中効果!!合体しているモジュール1つにつき白のシンボルを1つ追加!!」
「なにっ!?」
「今、コズミックステイツにはレーダーとランチャーが合体している………これにより、合計シンボルは3!!」
五町の持つカード効果に初めて驚くバーク・アゼム。
コズミックステイツは胸部にある3と4のパネルをタッチすると、その力が充填され、合計でトリプルシンボルのパワーを得る。
コズミックステイツがシャトルのような形をした巨大な剣のレバーを引くと、その剣はゆっくりと二等分に割れ、中から刀身のある真なる剣が出現する。
その真なる剣には膨大な宇宙のエナジーが蓄積され、青く変色していき………
「ライダー超銀河フィニィィィッッシュッッ!!!」
「ぐ、ぐぁぁぁぁあ!!!」
ライフ4⇨1
それを横一閃に振るい、放たれた斬撃が鎧武をも蹴散らしてバークのライフに直撃する。そのライフは一気に3つも砕かれてしまい、残りたったの1つだ。
しかもコズミックステイツはランチャーモジュールの効果で今現在も回復状態であるため、追撃が可能………
「これで終わりっス!! コズミックステイツの二撃目で……………」
「くっ……させん、バースト発動!! アルティメットウォール!! このターンのアタックステップを終了させる!!」
「なっ!?」
さらに力を溜め込み、二撃目の超銀河フィニッシュを放とうとしたコズミックステイツを前に、バークは先手を打つように事前に伏せていたバーストカードを反転させる。
そこから放たれた猛吹雪がコズミックステイツをも吹き飛ばし、五町にターンの終了を迫らせた………
「くぅ〜〜惜しかったなぁ!!…まぁいいや、ターンエンド!!」
【仮面ライダーフォーゼ コズミックステイツ+レーダーモジュール+ランチャーモジュール】LV2(3)BP16000(回復)
バースト【有】
致し方なくそのターンをエンドとした五町。しかしその顔は侮辱に濡れてはおらず、寧ろギリギリのこの状況を楽しんでいた。
「………小娘……貴様は初めて我を本気にさせた……!!」
「っ……おぉ、それっぽい!! よっしゃかかってこい!!」
「フンッ、どこまでもふざけた奴だ………我のターン!!」
バークはこのターンの五町の速攻により、気が高ぶったか、自分の力の一端を見せてやると言わんばかりにそのターンシークエンスを進めていく………
[ターン05]バーク
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札3⇨4
《リフレッシュステップ》
リザーブ5⇨10
トラッシュ5⇨0
【仮面ライダー鎧武 オレンジアームズ】(疲労⇨回復)
「メインステップ、我は仮面ライダー斬月 メロンアームズを召喚!!」
手札4⇨3
リザーブ10⇨5
トラッシュ0⇨4
【仮面ライダー斬月 メロンアームズ】LV1(1)BP5000
「おっ! さっきのやつっスか!!」
バークの場の上空にチャックが出現し、全開すると、そこから白い仮面スピリットが刀を手に飛び降りてくる。それは仮面ライダー斬月。強力な効果を持つ白属性の仮面スピリットだ。
「さらにヘルヘイムの産物のLVを2へアップ!!」
リザーブ5⇨1
【ヘルヘイムの産物】(0⇨4)LV1⇨2
場には鎧武に加え、斬月。そしてネクサスカード、ヘルヘイムの産物。
準備は整った。バークは勢いよくアタックステップへと移行し…………
「アタックステップ、斬月でアタック!!その効果でコズミックステイツを手札に戻し、コア1つを追加!!」
【仮面ライダー斬月 メロンアームズ】(1⇨2)LV1⇨2
「っ………コズミック!? …くっ…… レーダーモジュールとランチャーモジュールは場に残すっス!!」
手札2⇨4
【レーダーモジュール】LV1(1)BP2000(回復)
【ランチャーモジュール】LV1(1)BP2000(回復)
斬月が刀を縦一閃に振るい、斬撃の衝撃波を放つ。コズミックステイツはシャトルのような剣でガードするも、それごと吹き飛ばされ、デジタル粒子に変換されて五町の手札へと帰ってしまう。
その際に合体していたスイッチが取り残された。
「斬月のもう1つの効果、ターンに一度、回復する!!」
【仮面ライダー斬月 メロンアームズ】(疲労⇨回復)
「うぉ、マジっスか!? 効果てんてこ盛り!!強っ!!」
「一々リアクションがうるさい!!」
「えぇっ!?」
回復状態となるメロンアームズ。これにより二撃目のアタックが可能となった。
………しかし……
「私の場は回復状態で残っているモジュールが2つある!!このターンはそれで凌いで見せる!!」
そう、五町の場にはコズミックステイツの置き土産とも言えるモジュールが2つ残っている。連続アタックと言えども、これで守って仕舞えば、次のターンで勝機も見えてくる。
五町はそう考えていたが………
「甘い……甘いな、貴様のバトルスピリッツは……」
「っ!?」
「……見せてやる……ここからが我の舞台だ……!!」
このターンで確実に五町の息の根を止めようとしているバーク。その強気な発言から、五町もここから何かとんでもないものが来る事は容易に想像ができて………
******
一方、椎名は自分の住む住宅に帰宅していた。
暗がりであまり物も置かれていない部屋。その部屋のベッドの上でリラックスするように仰向けで寝転がって、ある事を考えていた。
「五町のするバトルは楽しそうだな…………そう言えば、私は最近命懸けのバトル続きで全然そんな余裕なかったっけ…………」
これまでの五町のバトルを頭の中で思い返していた。真夏の言う通り、確かに昔の自分に似ている。バトルを心から楽しむことができる。
自分も【あんな事件】さえなければ今でもあんな感じで、五町ともしっかり意気投合していたのだろうか?
そう思考をよぎらせていて…………
「………今まで一緒に戦ってきた仲間達………お前たちはどう思う?」
椎名はふと、懐から自分のデッキを取り出し、そのカードたちを眺めた。ブイモンやフレイドラモン、デュークモンやギルモン。今まで一緒に戦ってきた仲間達のカードが見える。
そんな質問など投げ掛けても返事など帰ってくるわけがないが、椎名はそれでも少しだけ優しく口角を上げて………
「そうだよね、今まで考え過ぎだったか………」
何か大切な事に気づいたのか、その柔らかい表情の中には確かに昔の椎名らしい感情が含まれていて………
しかし、その直後……
「っ!?……なんだ、これ!?」
身体が騒つく。
荒ぶる得体の知れない何かを感じ取ったのだ。
それは進化の力。しかも普通の人間から発せられるものではない。とても高密度で、とてもではないが1人の人間が持っていていいものではない。
これ程の力を持っているのは………エニー・アゼムか、会ったことはないが、その子孫のバーク・アゼムくらいだ。
「くっ……こんな時に……!!」
今正に街の何処かで何かが起ころうとしている事を知った椎名はすぐさまデッキを懐にしまい直し、制服のまま家から飛び出していった。
******
「フラッシュ【煌臨】発揮、対象は斬月!!」
リザーブ1s⇨0
トラッシュ4⇨5s
「っ……あんたも煌臨を使うんスか!?」
舞台は再び戻ってストリート内で行われている五町とバークのバトル。
バークは椎名が感じた進化の力の正体を今この場に呼び出そうとしていて………
ーいざ、出陣、エイエイオー!!
戦が始まると言わんばかりに角笛の音が鳴り響く。そして、それに合わせるかのようにバークの背後から何かが飛び出してくる。
それは場の斬月と重なりて、この場に実態を持ち、姿を現わす。
「煌臨、仮面ライダー鎧武 カチドキアームズ!!」
手札3⇨2
【仮面ライダー鎧武 カチドキアームズ】LV2(2)BP10000
「………おお!!カッコいいっスね!!」
新たに現れたのは鎧武の進化系態、カチドキアームズ。重圧なオレンジの武装に加えて背部に2本の旗が立っているのが特徴的である。
「煌臨時効果!!相手スピリット2体のBPをマイナス15000、0になれば破壊!!…モジュール2つを破壊する!」
「っ!?」
【レーダーモジュール】BP2000⇨0(破壊)
【ランチャーモジュール】BP2000⇨0(破壊)
カチドキアームズは登場するなり、その2本の旗を掲げ、そこに炎を宿し、踊るように振るう。その炎は五町の場のモジュールまだ伸び、流れるように焼き尽くした。
「これで貴様の場はガラ空き、このターンで消し去ってくれる!! 行け、カチドキアームズ!!」
「私が受ける!!……っ」
ライフ3⇨2
煌臨したスピリットは煌臨元となったスピリットのすべての情報を引き継ぐ。それに沿ってカチドキアームズも斬月と同じアタック状態、回復状態となり、五町の場へと走り行き、
その炎を纏わせた2本の旗を掲げ、五町のライフへと勢いよく叩きつけて1つを砕いた。
「……だけどそれが私のバーストのトリガーとなる!!発動、仮面ライダーメテオ!!……効果によりこれを召喚!!」
リザーブ6⇨1
【仮面ライダーメテオ】LV3(5)BP12000
「っ!!」
だが、五町もただでは転ばない。事前に伏せていたバーストカードを反転させる。それはフォーゼではないが、フォーゼのダチである仮面スピリット………
カードが反転すると共に上空から青い流星が轟音を立てながら降り注ぐ。そしてその中から黒いボディの仮面スピリット、仮面ライダーメテオが姿を現した。
「貴様も別の仮面スピリットを……」
「これがフォーゼと私のダチの1人、仮面ライダーメテオだ!!召喚時効果でスピリット1体をデッキ下に送る!!」
「っ!?」
「対象はカチドキアームズ!!」
メテオは登場するなり、右腕のスイッチを入れ、まるで土星のような形をしたものを右手に纏わせる。そしてそのままカチドキアームズの元まで走り、中国拳法のような動きでカチドキアームズの重圧な装甲に殴りつけた。
接地面から火花が飛び散る。このままでは間違いなくカチドキアームズはメテオに自身の装甲を砕かれ、デッキの下に戻ってしまうだろう…………
が………
そんな様子を見ていてもバークは冷徹且つ余裕のある表情を浮かべており………
「アームズスピリットが効果でフィールドを離れる時、ネクサス、ヘルヘイムの産物のLV2効果を発揮!! このネクサスのコア1つをそのスピリットに置き、同じ状態でフィールドに残す!!」
【ヘルヘイムの産物】(4⇨3)
【仮面ライダー鎧武 カチドキアームズ】(2⇨3)
「なにぃっ!?」
突如として……
ヘルヘイムの樹が細かく揺れていく。その木の実の1つが吸い込まれるようにメテオと交戦中であるカチドキアームズの方へと飛び出し、その中へと入っていく。
それにより、力を増幅させたカチドキアームズはメテオを気合いで勢い良く弾き飛ばした。
「これで貴様のスピリット効果は無効!!…アタックステップは継続させ、オレンジアームズでアタック!!」
今までの戦闘タイミングはライフ減少後のバースト効果で召喚されたメテオの召喚時効果の処理。それが不発に終わった今、ようやくバークは次の攻撃を仕掛けられるようになったのだ。
剣を手に持ち、五町のライフをめがけて走り出すオレンジアームズ。そしてこの瞬間にもカチドキアームズの効果が発揮されて………
「カチドキアームズの効果!!自分のスピリットがアタックした時、相手スピリット1体をBPマイナス10000!! 0になればデッキの下に戻る、メテオが対象だ!!」
「っ!!」
【仮面ライダーメテオ】BP12000⇨2000
オレンジアームズの動きに合わせてカチドキアームズが再びその2本の旗を掲げ、炎を纏わせて振るう。その炎は旗から離れてメテオへと飛び行き、メテオを熱する。
メテオは倒されないまでにも、大きく弱体化してしまい、膝をついてしまう。
「でもまだBPは残ってるっス、このままブロックして……………」
「俺にそんな手は通用しない、フラッシュマジック、無頼キック!!……メテオのBPをマイナス15000して破壊する!!」
手札2⇨1
【ヘルヘイムの産物】(3⇨1)
トラッシュ5s⇨7s
「なぁっ!?」
【仮面ライダーメテオ】BP2000⇨0(破壊)
しかし、バークのバトルスピリッツは五町の想像をはるかに上回るものであって………
飛び上がるオレンジアームズ。そのまま右足に力を込め、メテオの方へと急降下する。メテオはそれに直撃し、流石に力尽きて大爆発を起こした。
さらに着地したオレンジアームズは再び五町の方へと歩みを進めて…………
「くっ………私で受け止める!!」
ライフ2⇨1
オレンジアームズは無双セイバーと呼ばれる刀で五町のライフを一太刀。五町のライフ1つは紙切れのように切り崩された。
もう五町の場には抵抗するべくカードはなく…………
「終わりだ小娘………カチドキアームズでアタック!!」
カチドキアームズは巨大な銃を取り出し、そこに最大限の力を込めて五町の残ったライフの方へと向けて放つ。
コズミックステイツも手札に戻り、メテオもやられた五町にはもう打つ手立てはなく………
「あんたとのバトル、忘れないっス!!………私が受ける!!」
ライフ1⇨0
その攻撃の全てを受け入れた。五町の最後のライフは呆気なく散って行った。
これにより、勝者はバーク・アゼム。本気の力を見せつけ、見事に五町に勝利を収めてみせた。
彼の場に残ったスピリットやネクサスもそれに合わせてゆっくりとこの場から消えて行く………
「フンッ、どこもかしこもこの程度のバトラーか……興醒めだな……」
そう界放市のバトラー全域に向けたような発言をし、そのまま帰ろうとするバーク・アゼム。
だがその前に敗北した五町が………
「あ、おいあんた!!」
「?」
「スッゲェ楽しかったっスよ!!またやろう!!」
バークを呼び止めた五町がそう明るい笑顔と声色で言った。バークは冷徹且つ冷静な表情を崩すことはなかったが、五町の行動に内心僅かながらに驚いていた。
今さっき負けたはずなのに………
何故目の前の小娘はすぐさま立ち上がってそんな言葉を自分に対して口にできるのか?
そんな五町の行動心理が彼には理解なくて……
「岬五町………と言ったな、一応、覚えておこう………」
「おうっス!!……じゃあな!!」
とだけ口にし、大通りの中を歩いて行った。バークの事を恐れてそこには人が避けていく。
「いや〜〜世界は広いようで狭いなぁ〜〜!!」
バークの姿がまだ視認できる頃、五町はバークのバトルに感激したような言葉を漏らす。
と、その時だ………
「五町ッッ!!」
「っ!!……姐さん!!」
椎名が五町の方へと走り出してきた。今日また会えるとは思っていなかった事もあって、五町は喜びの頂点のような笑顔を見せる。しかし、椎名のその表情には切羽詰まったものがあり…………
「なんともないか五町ッ!?……どうもない!?」
「へ? 何が?…元気ピンッピンっスよ!!……あ、聞いてください、さっき私と同じ仮面スピリット使いの人とバトルしたんスよ〜〜その人が強くって強くって…もうコテンパンのパンで〜〜……鎧武って言う仮面スピリットなんスけど…………」
「鎧武……………っ」
心配していたこともあって、五町の肩に勢い良く手を置き、言い寄る椎名。
そして間違いない。バーク・アゼムとバトルしていたのはこの五町だ。そう思い、五町が指差す方へと首を傾ける椎名。その先には確かに司の情報通り小柄で黒髪で異端なオーラを放つ男性がいて……
バークは少しだけ振り返り、椎名とわずかな時間だけ目を合わせる………
これは芽座椎名とバーク・アゼムが初めて顔を合わせた瞬間………この先、間違いなく敵対するであろう相手なのだ…………
バークはエニー・アゼムの言いつけを守るためか、それ以外は特に何もせず、大通りの人混みの中にその姿を眩ましていった…………
「あれが、バーク………」
「って、姐さん聞いてます?……ねぇ、姐さんってば!!」
五町の声も耳には届かない椎名。だがこの後、また五町にしばらくの間付き合わされて中々家に帰れなくなったのはまた別の話…………
〈本日のハイライトカード!!〉
バーク「本日のハイライトカードは【仮面ライダー鎧武 カチドキアームズ】」
バーク「我のエースカチドキアームズ、召喚時に2体のスピリットのBPをマイナス15000させ、さらに自軍のスピリットのアタックでもさらなる弱体化を狙えるぞ」
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〈次回予告!!〉
界放市に集まるバトスピ一族、【赤羽】【紫治】【九白】には年に一度その戦績優秀者を讃えるため、そして交流を深めるため宴が開かれる。そこに司と九白の落ちこぼれ英次は参加することになるが………次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ「赤羽と九白の激突、サイバードラモン咆哮!」…今、バトスピが進化を超える!!
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※次回サブタイトルや内容は変更の可能性があります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!!
ターン自体は短めのバトルだったと思いますが、その分ハイスピードで濃ゆい内容だったかと思います。
次回は九白英次が2年になった状態で久しぶりの登場です。お楽しみに〜〜