界放市に集結している3つのバトスピ一族。
赤羽
紫治
九白
この3つの一族は毎年、夏の期末頃に最も戦績優秀者を讃えるため、集会し、宴会が行われる。
ただ、紫治一族に関してはラジオ番組を開いていて、アイドルじみた人気を持つ紫治夜宵や今ではそこの長を務めている紫治明日香の多忙さもあって誰も来ることはない。
赤羽一族もこの世代は赤羽司しかいないため、事実上人数も圧倒的に多い九白一族の集会と言っても過言ではなかった………とは言っても、その赤羽司は間違いなく最も優れた戦績を持っているのだが………
******
「司さん!!」
「!…英次か………」
「はい!!お久しぶりです!!」
総勢300人を超える優雅で華やかな雰囲気の会場。大半が九白一族の者達の中にただ1人凛として佇む司に声をかけたのは、今ではもう2年生となった少年、九白英次。相変わらずその背丈は小柄である。
「やっぱり、今年の1位も司さんで決まりなんですかね?」
「フッ、だろうな」
そう言った英次に対し、司はさぞかし当たり前であるかのような振る舞いで答えた。
毎年この会では上位三名が九白一族の長にその名を呼ばれる。司は入学して以降、2年連続で1位を獲得している。そのこともあって期待値は高く………
「ちっ、赤羽のドブネズミが………」
「不純物までいやがる……あのジークに落ちた落ちこぼれが……」
「何故あんな低俗な一族もこの栄誉ある式に参加せねばならないのだ、赤羽などあってもなくとも変わらないだろう、不純物に至っては九白を名乗るだけでも厚かましいと言うのに……!」
しかし、周りにいる殆どの九白一族はその事を決して甲斐がしく思ってなくて………
九白一族とは所謂白属性絶対主義。他の色の者など言語両断。真逆の特性を持つ赤属性の一族である赤羽一族など、野蛮で貧相な一族としか思っていない。
だが、司の強さが証明されている今、もはやその言葉は自分の弱さを隠すためのものにしか聞こえないが………
「おぉ〜〜い、英次ぃ!!」
「わっ!?小波義姉さん!?」
そんな最中、英次に飛びついてきたのはショートカットの九白の少女。3年の九白小波だ。今現在の学生中では九白の最高傑作とまで謳われる程の実力者だ。一度、タッグバトルで英次と椎名とバトルを行なったことがある。
しかし、重度の可愛い者好きであり、バトルにさえ影響を及ぼす。しかしながらそれでも勝率は毎年司に次いで高いのだが………
白と青属性が混ざったカードを一族の中で唯一貰い受け、【不純物】と馬鹿にされている英次を分け隔たりなく接する事ができる数少ない人物でもある。
「いや〜〜1年経ったら流石に背が伸びるかと思ったら全然伸びないね〜〜良かった良かった!!」
「良くないですよ!!」
「可愛い〜〜!!抱きしめて良い?」
「ダメです、やめてください!!」
「なんなんだテメェらは………」
小さい英次を兎に角愛でる小波。2年になっても小さいままの英次を嫌々言われながらも無理矢理抱きしめる。英次とて、別に背が低いままなのが良いわけではない。
と、その時だ。会場のステージに一筋の光が射し込む。思わずそこに目を向ける会場の面々。そのスポットに立っていたのは他でもない
オーディーン校の理事長にして九白一族の頭領、【九白漣】だった。今年で62になるとは思えない程に凛々しい顔立ち、真っ直ぐな背中が強く印象に残る。他の九白一族にとっては神のような存在である彼が現れた事で、会場にいる殆どの九白一族は轟音のような歓声を上げた。
「…静粛に………」
マイクを片手に持ち、握り、口元に寄せ……放たれる威厳のある声色。その重圧な一言に思わず誰もが静まり返る。
「私は九白一族の頭領、九白漣。知っての通り今年も戦績優秀者の発表を行う。僭越ながら今年もこの私が努めよう……!!」
唾を飲み込む九白の一族達。いよいよ始まるのだ。栄誉ある上位三名の名を呼ばれる時が…………
そして、漣はその名を呼ぶ。先ずは1人目だ………
「先ず1位………赤羽司」
その瞬間、寂しくて今にも消えそうな小さい音の拍手が会場中に響いた。
その名前は……
予想通りというか、他の一族に一位を取られて腹立たしいような表情を見せる者がほとんどであって……
「司さん、おめでとうございます!!」
「まぁ当然だな」
しかし、その中でも司はそんなの知ったことではないと言わんばかりに堂々とした態度で振舞っていた。その態度がまた優越感に浸っていると思われて、九白の反感を買っているとも知らず…………
「2位は九白小波」
と、漣は立て続けにそう言った。九白小波。昨年度も司に次いで2位だったのもあり、癪ではあるが、大抵の人物はここまで予想していた事だろう。
「ま〜〜たあんたの次か〜〜別にこんなものに興味はないけど」
「……そうか」
小波は性格に難があるため、本気でバトルすることは少ない。そのため、その気になればこの結果はどうなっていたか定かではなくて……………
そして、いよいよ3人目の発表。司と小波の名が上がると予想されていたため、ここからが本番だ。九白一族達はよりそこに耳を傾ける………
が、最後に呼ばれたその名前は…………
「3位は………九白英次だ」
ー!
「え?………えぇぇぇ!?僕ですかぁぁぁあ!!?」
どよめく会場。驚愕のあまり叫ばずにはいられない英次。
無理もない。九白英次と言ったら、数多い九白の中で最も落ちこぼれ。強くもなければ与えられたカードも青が混ざっているという不純物。
そんな存在が今回の戦績3位。つまり、他の九白一族よりも優秀である事が証明されたのだから………
「以上で発表は終わりとする。後は各自適度な食事を取り、明日からのバトルに備えよ」
そう言って、マイクのスイッチを切り、発表を終えた九白漣。そしてそのまま唖然としていた会場を去っていくが…………
「納得行かねーー」
「あの不純物が俺らより上だと!?」
「虫酸が走りますわ………!!」
その直後、結果に不満を持つ九白達による嵐のように飛び交う英次に対する愚痴。自分の方が遥かに英次より優れている言わんばかりに………
認めないし、
認められない………
「英次ぃぃい!!やるじゃん!!いつのまに強くなっちゃってもう〜〜お姉ちゃん嬉しいわ〜〜!」
「あ、ありがとうございます………でも……」
九白小波は九白の中で唯一英次の栄光を嬉しそうに褒めた。まるで自分の事のように。しかし、英次は嬉しくはあるが、やはり周りの罵倒がどうしても気になり………
自分でも納得はできない。こんな自分が小波を除く他の九白よりも優秀であるなどと。
そんな英次を見兼ねてか、1人の男が立ち上がる。
それは赤羽司だ。
「おい、英次」
「?」
「俺とバトルしろ」
「え!?」
突然。
それは突然の要求。
単刀直入でシンプルな要件に英次はたじろいだ。この司の言葉にさらに騒つく周りの九白達。そんな九白達に向かって、司はさらに口を開き………
「おい九白のモブども………よく見とけ、テメェらが見下してたもんの力をな………!!」
ー!
確かな力と胆力を確信させる司の声、圧力。のし掛かる重圧が小波を除く九白一族達を黙らせた。
「ほれ、早くBパッドとデッキを出せ英次、始めるぞ…………緊張はすんな、本気で来い」
「は、はい!!」
しかしながら憧れている人物の一人である司にバトルを申し込まれたことは嬉しかったらしく、英次は瞬時に懐からBパッドとデッキを取り出し、展開してバトルの準備を行った。それに合わせて司も準備を行った。
そして始まる。この優雅で華やかな会場にて、
証明のバトルスピリッツが………
「「ゲートオープン、界放!!」」
九白一族達が見守る中、赤羽司と九白英次のバトルがコールと共に幕を開ける。
先行は赤羽司
[ターン01]司
《スタートステップ》
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ、俺は仮面ライダーバロン バナナアームズを召喚」
手札5⇨4
リザーブ4⇨0
トラッシュ0⇨3
【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV3(1)BP7000
司の場の上空に不可思議なチャックが現れ、開き出す。そこから地上へと飛び出してきたのは槍を携えた赤い仮面スピリット、バロン。
「っ……これが司さんの仮面スピリット……!」
「ターンエンド」
【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV1(1)BP7000(回復)
バースト【無】
そのターンをエンドとする司。次は英次のターン。彼もやはり成長しているのか、司のバロンを見ても臆する事なくそのターンを進めていく。
[ターン02]英次
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札4⇨5
「め、メインステップ………行きます、ゲッコ・ゴレムを召喚!!」
手札5⇨4
リザーブ5⇨3
【ゲッコ・ゴレム】LV1(1)BP1000
英次が初手で呼び出したのはトカゲのようなスピリット。その効果で青のシンボルに加えて、白のシンボルが2つ追加されている。
「さらにネクサスカード、甲竜の狩り場を2枚配置!!」
手札4⇨2
リザーブ3⇨1
トラッシュ1⇨3
【甲竜の狩り場】LV1
【甲竜の狩り場】LV1
荒れに荒れた荒廃が英次の背後に鳴動しながらこれでもかと出現した。
「そして、ゲッコ・ゴレムから不足コストを確保して、メノウドラゴンをLV1で召喚!!」
手札2⇨1
リザーブ1⇨0
【ゲッコ・ゴレム】(1s⇨0)消滅
トラッシュ3⇨4
【メノウドラゴン】LV1(1s)BP9000
「!」
唸りを上げる地面から飛び出してきたのは鉱物の塊でできた4足歩行の竜。その身体の光沢から、会場の眩いライトもあってその存在感は強い。
「最後にバーストをセットしてターンエンドです」
手札1⇨0
【メノウドラゴン】LV1(1s)BP9000(回復)
【甲竜の狩り場】LV1
【甲竜の狩り場】LV1
バースト【有】
「メノウドラゴン……青としても扱える白のスピリット、汚ぇなぁ、不純物にはぴったりだ」
「ほんとほんと、デッキは白一色だろ普通」
後攻1ターン目から全ての手札を使い切り、意外にも大胆に動き出した英次。九白一族達には白と青が混ざったそのデッキの評価は低い。
英次はその酷評を耳にしながらも、聞こえないふりをした。
(メノウドラゴン、ソウルコアが置かれている間、甲竜スピリットのBPを飛躍的に上昇させる。なによりスピリットの効果を受けない………いきなり厄介な奴が出て来たな………)
しかしながら、初手でメノウドラゴンを召喚した点に関しては司の評価は高い。事実耐性持ちのBP9000のスピリットが立たれた事で嫌にも攻め辛いものがある。
[ターン03]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨4
トラッシュ3⇨0
「メインステップ、イーズナ、続けてホークモンを召喚……効果によりカードをオープンする」
手札5⇨3
リザーブ4⇨0
トラッシュ0⇨1
【イーズナ】LV2(2)BP2000
【ホークモン】LV1(1)BP3000
オープンカード↓
【仮面ライダーバロン レモンエナジーアームズ】×
【イーズナ】×
【ホウオウモン】×
バロンの横にイタチのような姿をした小さなスピリット、イーズナと、赤き成長期の鳥型スピリット、ホークモンが現れる。
しかし、そのホークモンの召喚時効果は失敗。全てトラッシュへと送られてしまう。
「相手の召喚時効果発揮後によりバースト発動!!」
「!!」
「双翼乱舞!!…2枚ドローします!」
手札0⇨2
その瞬間に勢いよく反転する英次のバースト。それは赤属性の単純なドロー効果を持つカードだ。その効果で英次は損なわれた手札を潤すが………
「赤!?…あいつ頭イかれてんじゃないのか!?」
「信じられん……ただでさえ青を入れるだけではしたないと言うのに………」
他の九白一族達の反感を又しても買ってしまう。
実際は白が他の色よりも優れているという根拠は存在しない。誰が何の色のカードをデッキに入れようともそれはそのバトラーの勝手だ。
「アタックステップ、バロンでアタック!!」
「!」
司がアタックステップに移行し、バロンで攻め立てる。今英次の場にはBP9000のメノウドラゴンがいるにもかかわらず、しかも今現在は2枚の甲竜の狩り場の効果でBP13000にまで膨れ上がっている。
チャンプアタックか………それとも……
(……まさか、フルーツチェンジ!?……ならバトルは避けるべきだ。今メノウドラゴンを失うわけにはいかない………)
BPが全体的に低めな司のスピリット達。彼はそれを補うべく様々な補強カードが何枚か投入されている。そのうちの1枚が黄色のマジック、フルーツチェンジだ。
BPを入れ替える効果を持つそれは、決まって仕舞えばどんなに自分のスピリットのBPを上げようが最後には必ず敗北してしまう。
「……バロンのアタックはライフで受けます!!」
ライフ5⇨4
フルーツチェンジを警戒し、英次はバロンのアタックをライフで受けた。バロンの手に持つ槍から繰り出される刺突が英次のライフを1つ貫く。
「続け、イーズナ、ホークモン」
「っ……それもです!」
ライフ4⇨3⇨2
立て続けにアタックを仕掛ける司。英次はこれもメノウドラゴンではブロックをせず、ライフで受けた。ホークモンの赤羽を投げる攻撃とイーズナのひっかく攻撃がそれぞれ1つずつライフを破壊した。
「おいおい、あいつ本当にバトルのルールをわかってんのか〜〜?」
「BPのデカさだけが取り柄のスピリットでブロックしないなんて、これだから不純物の落ちこぼれは」
なんと言って英次を小馬鹿にする九白一族だが、実際、司の手札には確かにフルーツチェンジのカードがあった。マジックの効果は防げないメノウドラゴンは間違いなくブロックしていたら破壊されていた事だろう。
司はそんな英次の読みを険しい表情ながらに感心していて………
「………ターンエンドだ」
【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV1(1)BP3000(疲労)
【イーズナ】LV2(2)BP2000(疲労)
【ホークモン】LV1(1)BP3000(疲労)
バースト【無】
そのターンをエンドとする司。次はメノウドラゴンで敢えてブロックはせず、結果として残す事に成功した英次のターン。
[ターン04]英次
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ3⇨4
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ4⇨8
トラッシュ4⇨0
「メインステップ………結果的にライフが3つ減ったのは好都合だったかもしれません………」
「………」
「僕はこのスピリットを召喚します……来てください、サイバードラモン!!」
手札3⇨2
リザーブ8⇨3
トラッシュ0⇨2
【サイバードラモン】LV2(3)BP17000
英次の場に突如飛来したのは白属性に加え、青属性が混ざったドラゴン。黒々としたその身体には確かなテクノロジーが詰め込まれている。それは司を威嚇するかのように鋭い咆哮を張り上げた。
サイバードラモン………英次のエーススピリットの一角である。
「出たよ、相変わらず黒ずんでて汚ぇドラゴンだ」
「あれで完全体なのが腹立つよな」
英次とサイバードラモンに対して罵声が飛び交う。英次の耳にもそれが入ってきて、また少しだけ表情が暗くなる。恥ずかしいのだ。自分が。自分の混ざっている色が…………
「おい英次、何してる?」
「っ……」
「バトルは続いているぞ………あんなモブどもの偏見なんぞに耳を傾けんじゃねぇ……!!」
「司さん………」
苛立ったような表情で司は言った。彼は短気だ。非常に気が短い。故にか、昔からあぁ言う身勝手な偏見で差別する人間が嫌いなのだ………
司にそう言われた英次は再びモチベーションを上げ、バトルを続行する。
「メノウドラゴンのLVを2に上げ………行きます、アタックステップ!! この時、サイバードラモンは必ずアタックします!!」
リザーブ3⇨2
【メノウドラゴン】(1s⇨2s)LV1⇨2
英次がアタックステップの宣言をするなり、サイバードラモンが戦闘態勢に入り、翼を広げて司のライフめがけて地面スレスレを飛翔する。
「ライフだ……っ」
ライフ5⇨4
サイバードラモンの鋭い爪の一撃が司のライフを1つ紙切れのように切り裂く。
「続けてメノウドラゴン、お願いします!」
「それもだ、来い……っ」
ライフ4⇨3
メノウドラゴンも動く。司のライフまでゆっくりと近づくと、長い首を活かした強烈な頭突きで司のライフを1つ破壊した。
「このターンのアタックステップの終了時、サイバードラモンは回復します!!…これでターンエンドです!!」
【サイバードラモン】LV2(3)BP17000(疲労⇨回復)
【メノウドラゴン】LV2(2s)BP11000(疲労)
【甲竜の狩り場】LV1
【甲竜の狩り場】LV1
バースト【無】
好戦的な効果を持つサイバードラモンは回復状態となる。英次はそれを見届けるなりそのターンをエンドとする。
次は司のターン。
[ターン05]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ2⇨3
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ3⇨4
トラッシュ1⇨0
【仮面ライダーバロン バナナアームズ】(疲労⇨回復)
【イーズナ】(疲労⇨回復)
【ホークモン】(疲労⇨回復)
「メインステップ、俺はマジック、ボルカニックブレイクを使用!!…テメェのネクサスを全て破壊し、その数だけドローする」
手札3⇨2⇨4
リザーブ4⇨1
トラッシュ0⇨3
「っ!?」
英次の背後にある荒れ果てた荒廃が焼き尽くされていく。2枚の甲竜の狩り場は破壊され、司はその枚数分、即ち2枚のカードをドローした。
「さらに俺はネクサス、朱に染まる薔薇園を配置」
手札4⇨3
リザーブ1⇨0
【イーズナ】(2⇨1)LV2⇨1
トラッシュ3⇨5
【朱に染まる薔薇園】LV1
今度は司の背後にネクサスカードが配置される。澄んだ赤い薔薇がこれでもかと咲き誇った。
「アタックステップ、捻じ伏せろバロン!!」
バロンが今一度戦闘態勢に入る。イーズナとホークモンも同様だ。このターン、フルアタックすれば司は物理的に勝利することが可能。
だが、今まさにそれを実行しようとした直後、英次は手札から1枚のカードを引き抜いた。
「フラッシュマジック、スプラッシュザッパーを使用!! 不足コストは全てのスピリットのLVを下げて確保します!!」
手札2⇨1
リザーブ2⇨0
【サイバードラモン】(3⇨1)LV2⇨1
【メノウドラゴン】(2s⇨1)LV2⇨1
トラッシュ2⇨7
「なにっ!?」
「コスト7以下のスピリットを3体破壊!!よって司さんのスピリットを全て破壊します!!」
英次の使うカード、使うタイミング、プレイングで初めて驚嘆の声を上げる司。
そしてその瞬間、水の斬撃が飛び交い、司の場にいる3体のスピリット、イーズナ、ホークモン、バロンを纏めて斬り刻んだ。誰もそれには耐えられず、堪らず全員が爆発四散した。
「おぉおぉ、やるじゃん英次ぃ!!そしてかわいい、今すぐ愛でたい!」
司のスピリットを全て壊滅できるタイミングでスプラッシュザッパーを使った事を褒めたい九白小波。それ以外の九白一族達はどういうわけか、今度はあからさまに沈黙しており………
「………エンドだ」
【朱に染まる薔薇園】LV1
バースト【無】
「よ、よし!!僕、た、戦えてるぞ!!」
致し方なくそのターンをエンドとした司。次は【朱雀】相手に勝機が見えてきた英次のターン。若干戸惑いながらも、着実とそのターンを進めていく。
[ターン06]英次
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札1⇨2
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨8
トラッシュ7⇨0
【サイバードラモン】(疲労⇨回復)
【メノウドラゴン】(疲労⇨回復)
「メインステップ、僕はゲッコ・ゴレムを召喚し、全てのスピリットのLVを最大に!!」
手札2⇨1
リザーブ8⇨3
【ゲッコ・ゴレム】LV2(2)BP7000
【サイバードラモン】(1⇨3)LV1⇨2
【メノウドラゴン】(1s⇨2s)LV1⇨2
2体目となるゲッコ・ゴレムが英次の場に現れる。サイバードラモンとメノウドラゴンも今一度LV MAXとなる。
「そしてアタックステップ!!ゲッコ・ゴレムでアタック!!」
「ちぃ、ライフだ………っ」
ライフ3⇨2
勢い良くアタックステップへと移行する英次。手始めにゲッコ・ゴレムが地を這いながら進行し、司のライフ1つを体当たりで砕いた。
「続けてお願いします、サイバードラモンッッ!!」
今度はエースであるサイバードラモンが翼を広げ、低空飛行で司のライフを狙う。
このままサイバードラモンとメノウドラゴンのアタックを受けて仕舞えば司の敗北だ。流石に黙って見てるわけがなく、司は手札のカードを1枚切って対処しないく。
「フラッシュマジック、シンフォニックバースト!!」
手札3⇨2
リザーブ4⇨2
トラッシュ5⇨7
「!」
「そのアタックはライフで受ける……っ」
ライフ2⇨1
サイバードラモンの鋭い爪が再び司のライフを1つ切り裂いた。いよいよ残り1つ。英次の場に残ったメノウドラゴンがアタックすれば勝ちだが………
「シンフォニックバーストの効果!!俺のライフが2以下の時、このアタックステップを終了させる!!」
「っ!!」
黄色い煙が辺りに充満する。これでは英次のスピリット達は先に進む事は出来ない。
英次にはこのターンのエンドが迫られていて………
「アタックステップ終了時、サイバードラモンの効果。回復させます…………エンドです」
【サイバードラモン】LV2(3)BP17000(疲労⇨回復)
【メノウドラゴン】LV2(2s)BP11000(回復)
【ゲッコ・ゴレム】LV2(2)BP7000(疲労)
バースト【無】
致し方なくそのターンをエンドとする英次。その瞬間に黄色い煙が晴れ上がっていった。
しかしながら司のピンチには変わりがなく、どうにかしてあのメノウドラゴンとサイバードラモンを潜り抜けねばならない。
「成る程な、これが今のお前か………」
「?」
「英次、俺のバトルに食らいついてこい………全力でなッッ!!」
「は、はい!!」
だが、司はまるで自分にピンチが訪れていないかのような振る舞いを見せている。その堂々とした自信。揺るがないプライドが彼の強さの証である。
そんな司のターン。成長した英次を本気で叩きのめすべく、彼は自分のターンを進行していく。
[ターン07]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ3⇨4
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ4⇨11
トラッシュ7⇨0
「メインステップ、俺は朱に染まる薔薇園のLVを2にアップ………これにより手札にある赤のスピリットカードの軽減シンボルは黄色としても扱う……よって俺はこのスピリット、ホークモンを召喚!!効果を発揮させる!!」
手札3⇨2
リザーブ11⇨8
トラッシュ0⇨1
【朱に染まる薔薇園】(0⇨1)LV1⇨2
【ホークモン】LV1(1)BP3000
オープンカード↓
【シュリモン】◯
【ホルスモン】◯
【ウィザーモン】◯
「っ……2枚目を既に……!!」
司は背後にあるネクサスカード、朱に染まる薔薇園の効果を発揮させ、手札にある2枚目のホークモンをフル軽減で召喚してみせる。
そひてその召喚時効果も成功。司はその中の【ウィザーモン】のカードを手札に加え、残りを破棄した。
「さらに2コスト支払い、このウィザーモンを召喚!!効果により2枚ドロー!!」
手札2⇨3⇨2⇨4
リザーブ8⇨3
トラッシュ1⇨3
【ウィザーモン】LV2(3)BP6000
ホークモンの追加効果。それにより少ないコストでウィザーモンを召喚した。
魔法使いのような姿をした黄色と紫のデジタルスピリット、ウィザーモンが魔法の杖を携え、司の前方、ホークモンの横に現れる。
「アタックステップ!!ウィザーモンでアタック!!さらにその効果【超進化:黄】を発揮!!」
「っ!!」
「この効果により、俺はウィザーモンを黄色の完全体、シルフィーモンに進化させる!!」
【シルフィーモン】LV3(3)BP9000
ウィザーモンは紫と黄色の超進化の効果を所有している。司はそのうちの黄色を発揮させ、進化させる。
ウィザーモンがデジタルコードに身を包まれ、その姿形を書き換えていく。そしてそれを弾き飛ばし、中から新たに現れたのは聖なる獣人型の完全体スピリット、シルフィーモン。
「シルフィーモンの召喚時効果、BP15000以下のスピリット、ゲッコ・ゴレムを破壊!!」
「!」
「トップガン!!」
シルフィーモンは登場するなり、両手にエネルギーをねじ込むように溜めて、それをゲッコ・ゴレムのいる前方へと放出する。
弾丸状となって飛び行ったそれは瞬く間にゲッコ・ゴレムに衝突。ゲッコ・ゴレムがそれに耐えられるわけもなく、あっさりと吹き飛ばされ、小さく爆発した。
「アタックステップは続行、シルフィーモンでアタック!!……さらにフラッシュマジック、イエローリカバー!!黄色のスピリットであるシルフィーモンを回復!!」
手札4⇨3
リザーブ3⇨1
トラッシュ3⇨5
【シルフィーモン】(疲労⇨回復)
立て続けにアタックを仕掛ける司。さらにそれをマジックの効果で回復もさせる。
しかし、シルフィーモンのBPでは英次のスピリットの誰にも勝てない。BPを入れ替える一発逆転のカード、フルーツチェンジがあるものの、【重装甲:黄】を持つサイバードラモンを当てられると敵わない。
しかしながら司には既にこの時点で勝機を見出している。特大の一手が既にそこに眠っていて………
「フラッシュ、俺はトラッシュにあるホウオウモンの【煌臨】を発揮!!対象はシルフィーモン!!」
リザーブ1s⇨0
トラッシュ5⇨6s
「っ!!トラッシュからホウオウモン!?………まさか最初のホークモンの召喚時効果で既に………」
司の持つエースの1体、ホウオウモンはトラッシュ、いわゆる墓場からでも煌臨ができる異端なスピリット。
今回もそれを司は発揮させる。
「永き眠りから覚め、今こそ輪廻せよ!!究極進化ぁぁぁぁあ!!!」
シルフィーモンが炎に包まれ、その中で大きく姿形を変えていく。そして眼光を強く輝かせる……
「ホウオウモン!!」
【ホウオウモン】LV2(3)BP12000
「こ、これがホウオウモン……!!」
4枚の黄金の翼で炎を断ち切り、現れたのは金色の鳳凰。気高い雄叫びを上げながら今、司の場へと顕現した。その凄みに対戦相手のエイジどころか他の九白一族もたじろいでいる。
「そして煌臨時効果!!煌臨元となった赤のスピリットカード1枚を回収する事で、BP10000以上のスピリット1体を破壊する!!」
「!!」
「俺はシルフィーモンのカードを手札に戻し、サイバードラモンを破壊する!!………金色の超炎……シャイニングエクスプロージョン!!」
手札3⇨4
ホウオウモンは登場するなり、その4枚の翼に金色の超炎の力を込めていく。そしてそれを司の叫びと共に一気にサイバードラモンへ向けて放出。
サイバードラモンは熱され、溶解していき、やがて大爆発を起こした。
「くっ……サイバードラモン………でもまだ負けてない!!」
「あぁ、そうだ……今から倒す!!」
「行きます、ホウオウモンのアタックはメノウドラゴンでブロック!!」
エースであるサイバードラモンを失っても尚、強くて逞しいモチベーションを保つ英次。既に2度目のアタック権限を得ているホウオウモンのアタックを止めるべく、手札にある最後のカードを引き抜いた。
「フラッシュマジック、オーバードライブ!!」
手札1⇨0
リザーブ8⇨5
トラッシュ0⇨3
「!」
「この効果でメノウドラゴンのBPをプラス5000!!さらに【連鎖:白】を発揮させ、メノウドラゴンを回復させます、これでホウオウモンのBPは超えました!!」
【メノウドラゴン】BP11000⇨16000(疲労⇨回復)
BPパンプ&回復効果を持つマジックを発揮させる英次。メノウドラゴンが大きくパワーアップして見せる。
しかし…………
「甘いな英次、そう来たらお前が予期していたこいつが火を噴く………」
「え?………っ!? まさか!!」
「そのまさかだ………フラッシュマジック、フルーツチェンジを発揮!!不足コストはホウオウモンから補う、よってLVダウン」
手札4⇨3
【ホウオウモン】(3⇨1)LV2⇨1
トラッシュ6s⇨8s
英次の戦略と読みにより、バトルが始まって以降、ずっと腐っていたフルーツチェンジ。この大一番でようやく起動された。
「その効果により、このバトルのBP比べのBPを入れ替える!!俺のホウオウモンはメノウドラゴンのBP16000を得………」
【ホウオウモン】BP7000⇨16000
「っ………逆にメノウドラゴンはホウオウモンのBP7000に…………」
【メノウドラゴン】BP16000⇨7000
黄色い空間が辺りを包み込む。その中でホウオウモンはメノウドラゴンのパワーアップ分をまるごと自分の力へと変化させるが、逆にメノウドラゴンはより大きくその力を後退させてしまう。
「ホウオウモン、やれッッ!!」
「!!」
司がホウオウモンにそう指示を送ると、ホウオウモンは上空からメノウドラゴン目掛けて急降下し、強靭な脚でそれを掴み上げ上昇していく。
そして今一度急降下し、メノウドラゴンを勢い良く地面に落とし、叩きつける。メノウドラゴンは堪らず爆発を起こした。
「ホークモン、アタックしろ!!」
「っ!!……ライフです!!」
ライフ2⇨1
そんな破壊など待つまでもなく、司が今度はホークモンに指示を送る。ホークモンは自らの赤い羽根を華麗なフォームで投げ飛ばす。それは英次のライフ1つに直撃し、それを破壊した。
「終わりだ………ホウオウモンッッ!!」
事前にマジックで回復していたホウオウモンが今一度飛翔する。目指すは当然英次の最後のライフであって…………
今や手札盤面共にゼロとなった英次はこれをライフで受ける他なくて…………
「………ありがとうございました司さん………ライフで受ける」
ライフ1⇨0
ホウオウモンの振り下ろされる脚の爪の一撃が英次の最後のライフを一瞬にして切り裂いた。
これにより、勝者は赤羽司となる。悪戦しながらも、見事に勝利を収めてみせた。バトルの終わりを告げるかのように残ったホークモンとホウオウモンもその姿をゆっくりと消していく。
「興醒め興醒め、帰ろうぜ」
「あぁ、やはり不純物は不純物だったな。戦績トップスリーに入れたのも何か裏があるに違いない」
「ドブの赤一族の赤羽に負けるとかないわ〜〜」
小波を除く九白の面々はそのような会話をしながら続々と会場を後にして行った。実はもう既に英次が自分達を超えているなどと知る由もなく、
いや、本当は知っている。
が、認めたくないだけだ。
「英次ぃぃ!!」
「わっ!…小波義姉さん!?」
「凄いじゃ〜〜ん!…いつのまにそんな強くなっちゃったのさ〜〜」
「いや、そんな事………」
「もう〜謙遜しちゃって〜〜かわいいんだから」
思わず英次に詰め寄る小波。そして勝利を収めたこの男も英次の元まで歩み寄り………
「司さん………」
「英次……お前はもう十分強い、この俺が保証する……胸を張れ」
「っ………はいっ!!…お手合わせ、ありがとうございましたッッ!!」
司はそう言って英次と小波に背を向け、自分も会場を後にしようとする。その背中は英次にとって逞しく、偉大に見えた。英次は改めて司に礼を言うと共に、それに対して深々と頭を下げて一礼した。
もう他の九白に認められなくても良い、なんせ自分はもうもっと凄い人達に認められたのだから。そう胸に刻んだ英次だった。彼が椎名達の世代が卒業した後に界放市最強の学生バトラーとなるなど、当時は誰も思ってもなかっただろう。
〈本日のハイライトカード!!〉
英次「本日のハイライトカードは【サイバードラモン】です!!」
英次「サイバードラモンは白と青の完全体、汚くて、見窄らしいかもしれませんが、それでも僕の大事なエースです!!」
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〈次回予告!!〉
ついにあの最強の男が界放市に帰ってくる。その名は緑坂冬真。又の名をヘラクレス。しかし、彼はひょんな事から真夏に彼氏がいると知り………次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ「憤怒のヘラクレス、デュークモンVSヘラクルカブテリモン!」…今、バトスピが進化を超える!!
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※次回サブタイトル及び内容は変更される可能性があります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!
九白小波の存在は【第41話】等でも確認できます。
活動報告でも述べましたが、最近三期に繋がる割と重要な【外伝】の話が全く読まれていなかったので、続けて読みやすいように、外伝特有だった「ep.〜」を消していつもの「第?話〜」とさせていただきました。その結果、この作品が通算100話を超えました。
特に最後の最後の最後はエニー・アゼムが赤羽茜の身体を乗っ取っている決定的瞬間があるので是非ご覧になってください。
次回は超久しぶり、カブテリモンデッキの真夏の兄、ヘラクレスこと緑坂冬真の登場です!!お見逃しなく!!