バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナの木

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第104話「雅治の想い、ギガデス発動!」

 

 

 

 

 

 

 

幼馴染である赤羽司と長嶺雅治は界放市の市街地にてアパートの一室を借りて共に暮らしている。経費を節約するのも理由の1つだが、何より、『雅治がいれば安心』と言う司の両親からの提案でもある。

 

とある日、赤羽司は朝が来た事を感じ、自分の部屋にて唐突に目が覚めた。しかし、違和感も同時に覚えた。何せ、いつもは雅治が自分を起こすと言うのに、今回はなぜか自分で勝手に起きる事が出来たのだから……

 

その一抹の不安を抱えながら、司はまだ起きていないだろうと思われる雅治の部屋へと足を踏み入れれる。

 

すると、そこには目覚めてはいるが、布団の上で冷えピタを貼りながら仰向けになって寝ている雅治が目に入って来て………

 

 

「ごめん司、風邪引いた。今日は1人で行ってくれ」

「フンッ、軟弱だな」

「全くだよ、せっかく今日は『文化祭』だって言うのに倒れるんだから……」

 

 

悪態をついてくる司。そして雅治は少しだけ悲しそうな顔をしながらそう鼻声にながらも言った。

 

そうだ。今日は3年生の彼らにとっては最後となる文化祭。その当日、不運な事に、雅治は風邪を引いてしまったのだ。

 

 

「まぁ、そう言うわけだから、何か出店の物でいいからお土産よろしく〜〜」

「ハッ、誰が買ってくるかンなもん」

「そう言いつつ、何だかんだ買ってくるのが僕の知る司だよ」

「言ってろ軟弱者、どちらにせよ俺は『文化祭』なんぞ楽しみにはしとらん」

 

 

司はそう言って、雅治の部屋を後にし、服を着替え、速攻で学園に向かって歩き出した。彼が本当に文化祭を楽しみにしていなかったのは本当の事だ。彼がこの学園生活で楽しみにしていることと言えば、いつか訪れるであろう奴との決着のみ………

 

 

「あいつへのお土産と言ったら、これ1つしかあるまい……!」

 

 

………しかしながら、なんだかんだでお土産は買おうとしている。司はなんだかんだで一周回って優しい人間なのだ…………

 

司は雅治へとあげるお土産を頭に浮かべながらいつもの通りの通学路を歩いて行った。

 

 

******

 

 

賑やかな声が学園中のあちこちで木霊し、耳に入ってくる。本日、バトスピ学園 ジークフリード校は例年よりも早い文化祭真っ只中だ。校舎も華やかにデコレーションされており、一種のアミューズメントパークを連想させる仕上がりになっていた。

 

しかし、他の学生達が盛り上がっている中、この少女、芽座椎名は何もない屋上にて陽の光を浴びながら寝転がっていて………

 

 

「ふぁ〜〜あ、やっぱ秋の涼しい日こそ、日向ぼっこだよな〜〜」

 

 

と、欠伸をかきながら口にした。単純に文化祭が面倒なのだ。バトルもしないし、下手に校舎を歩けばあのイベントに出てくれ等、四方八方から呼びかけがかかる。

 

そんな事は人気のある椎名にしか起きない現象ではあるが………

 

彼女はこの日、授業がない文化祭だからこそ、こうして邪魔者のいない屋上で至福の時を過ごしていたのだ。

 

しかし、それも束の間………

 

 

「姐さん大変ッス!!」

「っ!?…五町!?」

 

 

屋上の扉が『バターンッ!』と勢いよく開いたかと思えば、そこから長い金髪を揺らす、上着がジャージの1年生、岬五町が椎名を探していたかのように息を切らしながら姿を見せた。

 

 

「あんたなんでここがわかったんだよ?」

「姐さんいつも暇な時はここにいるって聞いた事ありまスからね〜〜」

「誰の情報だよ?」

「真夏パイセンっス!!」

「………やっぱ真夏か……」

 

 

『何自分の飛びっきりの場所を教えてるだよ』と、いもしない真夏に心の中にそう言う椎名。そして五町は何かを思い出したように『ハッ!』として………

 

 

「じゃなかったじゃなかった!!それどころじゃないんスよ!!…司先輩がお呼びッス!!」

「はぁ?…司が?」

 

 

大きく声を上げて、再び慌てふためく五町。どうやら、司が五町に椎名を探させたようだ。その後椎名は五町に連れられるように学園の体育館へと向かった。

 

 

******

 

 

「おぉ!!椎名先輩だ!!」

「今日もかっこいいなぁ!!」

「今年ミスコン出てくれないかな〜〜!!」

 

 

体育館の中、大勢の生徒達が集まる中で椎名と五町は歩いていた。しかしながらやはり椎名は目立つか、歩くだけで他の生徒達から話題にされる。

 

椎名はもう慣れっ子なのか、一々返事もしてられないし、平然とした顔つきでその場を通り過ぎていく。

 

 

「流石っス姐さん!!歩くだけで大反響!!」

「五町うるさい……で、肝心の司はどこだよ?」

 

 

そうだ。椎名をここに呼びつけたのは他でもない、【朱雀】こと赤羽司だ。五町はそう言われると、少しだけテンションを低くして、椎名に言った………

 

 

「あ、あぁ、司パイセンなら……あそこっス……」

「ん?」

 

 

五町が司のいる方向へと指をさし向けると、椎名もそこへと首を傾ける。すると、そこには確かに赤羽司がいた。しかも………体育館の舞台上で堂々と胸を張って、マイクをスタンバイしていた………こんな事は絶対しないであろう、あの司がだ。

 

 

「な、何やってんだ………司……」

 

 

司のキャラにもないような異様な光景に、椎名はドン引きしていた。もちろん椎名だけではない、五町も周りの生徒達も皆ドン引きである。

 

そして司はマイクを手に堂々と椎名に語りかけてきた。

 

 

「よく来たなめざし……」

「司ぁ!!何の用だぁ!?…早いとこ済ませてくれよぉ!?」

 

 

スピーカー越しに司の声が聞こえてきた。椎名は体育館の舞台に立つ司に声が届くくらいの大きな声量で話す。

 

 

「テメェに来てもらったのは他でもない、テメェににしかできない頼みがあるからだ」

「私にしかできない………頼み?」

 

 

あのプライドの高いバトラーである赤羽司がそのライバルである椎名に頼み?

 

そんな事があるのかと、椎名を含めた生徒達が考えた事だろう。大勢の生徒達が集まっているこの体育館で話す程だ。余程重要な事なのだろう。

 

そう誰もが考えていた。司がその内容を口にするまでは……………

 

 

「単刀直入に言おう、めざし………テメェ、雅治と付き合え」

「はぁ?」

 

 

ーは?

 

その衝撃的な発言に対し、誰もが驚愕した。あの赤羽司が自分の親友とライバルが付け合わせようとするなど、いったい誰が想像できただろうか。

 

さらに司は続け………

 

 

「あいつは不憫な奴だ。最初は主人公に好意があるキャラとして定着していたのにもかかわらず、他の連中があまりにも濃ゆすぎて全く目立たなかった……それ故か、奴がバトルする回は基本的にアクセス数が少ない、奴自体に人気がない証拠だ………」

「何言ってんだ司………」

「しかも、しかもだ!!…作品自体が鬱展開で尚且つぶっ飛んじまって最早奴はいてもいなくても変わらないくらい影が薄いキャラになっちまった!!…俺は正直奴に同情している!!」

 

 

メタ発言が止まない司。椎名は当然理解できていない。さらに司の勢いは止まらず………

 

 

「奴はここらでいい加減報われないと行けない!!だから頼むめざし!!奴と付き合え!!……この通りだ!!」

「あ、あの司が私に頭下げた………」

 

 

あの誇り高き赤羽一族の【朱雀】がライバルに向けて頭を下げた。しかもバカみたいな理由で………

 

熱でもあるのか、完全にキャラがぶっ壊れている司。いつものクールなキャラなど微塵も感じられない。しかし、椎名は一応司の気持ちは伝わり、理解したのか、「う〜〜ん」とうねりを上げながら少しだけ考えると………

 

 

「ま、いいか……おぉ〜〜い、司ぁ!!いいぞぉ!!…………雅治と突き合えばいいんだろぉぉ〜〜!!……でも私は負けないよ!!」

「おぉ、そうか、めざし、恩に着る!!」

 

 

椎名が能天気な口調でそう承諾する声を上げると、珍しく純粋に嬉しそうな表情を見せる司。だがこの時、椎名本人と司以外の生徒達は咄嗟に理解した。

 

『あ、この人(椎名)、絶対話の内容理解してないな』…………と、

 

椎名はあの空野晴太と肩を並べるほどの鈍感キャラ。司の言っている事がまさか『雅治と恋仲になれ』という意味が含まれてるなど知るわけがなかった………

 

その証拠に、彼女の発していたのは『付き合え』ではなく、『突き合え』であった………これがこの後ちょっとした事件が起こる事など、司はまだ知る由もなくて……

 

 

******

 

 

その日の夜、赤羽司は満足気な表情を浮かべながら帰路についていた。それもそのはず、何せ自分は雅治に贈る最高のお土産を用意したのだから………

 

そしてタイミング良く雅治から電話がかかって来た。司は周りに誰もいないにもかかわらず、ドヤ顔でそれに応じて…………

 

 

「よぉ、雅治…気分はどうだ?」

「うん、もう大丈夫だよ………今さっき椎名からメールが届いたんだけど……」

「っ!!……おぉそうか!!どんな内容だ?」

 

 

司は椎名が約束を守ってくれたのだと確信した。その内容は正しく『私と付き合ってくれ』というものだと思った。しかし………それは『付き合え』ではなく………

 

 

《『ぜひ突き合おう』って『果たし状』が届いたんだけど》

「は?………」

《場所は武道場が指定されてる、そしてこれは今日司とみんなの前で約束したんだって……》

「まじかあいつ……」

 

 

『突き合え』……つまりバトルをしろと言われた。司はようやく自分も椎名が意味を理解していないことを気づいた。

 

そして雅治は柔らかい声色から深い怒りの念が込められた声色へとシフトしていき………

 

 

《司……どういうわけか説明してくれるよね?》

「いや……それは………」

《ね?》

「………はい……」

 

 

この日、司は流石に雅治にこっ酷く叱られた。偶に言い合いになる時は今まで何度かあったが、今回ばかりは司は何も言い返せなかった………

 

それもそのはずだ。雅治の気も知らず、勝手に独断で椎名とこんな話をしたのだから、しかも大勢の生徒たちの前で………

 

司は激しく反省した………

 

 

 

******

 

 

翌日、その早朝、文化祭は終わり、今日は振り返り休日だと言うにもかかわらず、雅治は武道場前に訪れていた。その理由は昨日、司がきっかけで起きた出来事のせいだ。

 

椎名は司の言葉を勘違いしたままであるが、このまま訳を説明してしまうと、自分の好意が彼女にバレるどころか告白同然であるからである。

 

こうして、渋々彼は武道場で椎名の果たし状を受ける事を決めたのだ………

 

溜息しながら雅治は武道場の扉を開ける。すると、そこには………

 

 

「よっ!!おはよう雅治!!昨日は風邪ひいて散々だったね!!」

「うん……おはよう……」

 

 

Bパッドとデッキをセットしてやる気満々の椎名が武道場で待ち構えていた。明らかに告白なんてやる雰囲気ではない。雅治は椎名が本当に勘違いしていた事に少しだけがっかりしながらも、自分も椎名の対角線上に立ち、Bパッドとデッキをセットした。

 

 

「病み上がりなのにごめんね、司が急に雅治とバトルしろって言うからさ〜〜」

「はは、まぁでもあいつ偶に頭イかれるからね……じゃあ、始めようか」

「おう!!」

 

 

呑気な声色でそう言う椎名。一応病み上がりの雅治を呼び出してしまったのは申し訳ないと思っているようである。

 

雅治も実際は椎名とバトルできる事を悪いようには捉えてはいない………

 

……偶発的ではあるが、寧ろこれは彼女に対する【告白のチャンス】であるとも考えていて………

 

 

「「ゲートオープン、界放!!」」

 

 

コールと共に椎名と雅治のバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先行は雅治だ。

 

 

[ターン01]雅治

《スタートステップ》

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップ、僕はアルマジモンを召喚!!」

手札5⇨4

リザーブ4⇨0

トラッシュ0⇨3

【アルマジモン】LV1(1)BP2000

 

 

雅治の場にアルマジロ型の成長期スピリット、アルマジモンが姿を見せる。

 

 

「ターンエンド。どうぞ椎名、君のターンだ」

【アルマジモン】LV1(1)BP2000(回復)

 

バースト【無】

 

 

「あぁ、私のターンだ!」

 

 

そのターンをエンドとする雅治。丁寧な言い回しで椎名へとターンを譲渡した。椎名もそれを聞くなり、ターンを進行する。

 

 

[ターン02]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップ、来い、エクスブイモン!!」

手札5⇨4

リザーブ5⇨0

トラッシュ0⇨4

【エクスブイモン】LV1(1)BP3000

 

 

椎名の場にブイモンが一段階進化した姿、エクスブイモンが姿を見せる。

 

 

「効果により2枚ドロー!!…そして2枚を破棄する」

手札4⇨6⇨4

破棄カード↓

【ワームモン】

【グラウモン】

 

 

青特有の手札入れ替え効果が発揮され、椎名の手札の質がより良く向上した。

 

 

「ターンエンドだ」

【エクスブイモン】LV1(1)BP3000(回復)

 

バースト【無】

 

 

椎名はアタックをせずにそのままターンを終えた。

 

 

[ターン03]雅治

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ0⇨1

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ1⇨4

トラッシュ3⇨0

 

 

「メインステップ、バーストを伏せて、ネクサスカード、華王の城門を2枚、連続配置!!」

手札5⇨2

リザーブ4⇨1

トラッシュ0⇨3

【華王の城門】LV1

【華王の城門】LV1

 

 

雅治の場にバーストが伏せられると共に、背後に色鮮やかな城門が2つ現れる。このままではまだ終わらない。雅治はさらに手札を引き抜き………

 

 

「ディグモンの【アーマー進化】発揮!!対象はアルマジモン!!」

リザーブ1⇨0

トラッシュ3⇨4

 

「!」

 

 

アルマジモンの頭上にデジメンタルと呼ばれる卵状の物が投下される。アルマジモンはそこに向かって飛び立ち、衝突し、混ざり合い、新たな姿へと進化していく。

 

 

「鋼の叡智、ディグモンを召喚!!」

【ディグモン】LV1(1)BP4000

 

 

新たに現れたのは両手と鼻先がドリルになっているスピリット、ディグモン。椎名を威嚇するかの如く、そのドリルを回転させ、甲高い音を立てている。

 

 

「ディグモンの召喚時効果!!相手スピリット1体を指定して、このターン、そのスピリットはブロックできない!!………指定するのはエクスブイモン!!」

「!!」

 

 

ディグモンは登場するなり、両手のドリルで地面を掘る。すると、そこを中心に地割れが発生し、エクスブイモンの片足が巻き込まれ、身動きが取れない状況に陥ってしまう。

 

 

「アタックステップ、ディグモンでアタック!!」

 

「ライフで受ける!」

ライフ5⇨4

 

 

ディグモンのドリルで削る攻撃が椎名のライフ1つを貫いた。

 

 

「………これ、なんか懐かしいな、1年生の時も食らったよね」

「うん、あの時から君は本当に面白い人だなぁって思ってたよ」

「いやいや、『面白い』って……別にそんなつもりはなかったんだけどな」

 

 

椎名と雅治は自分達の最初のバトルを思い出していた。あの時の椎名はただただバトルを楽しんでいるだけであった。

 

 

「いや、君は面白いよ!!今も昔も!!こんなにユーモラスに溢れたバトラーを僕は知らない!!」

「はは、なんかそう言われると照れくさいなぁ」

 

 

1年の当時から、椎名は雅治の憧れの的だった。恋愛的な意味で見ても、バトル的な意味で見ても、人間的な意味で見ても………

 

自分なんかは彼女に相応しくないと思う。

 

しかし、3年間、この胸に秘めていた想いだけは全て伝えたい………今日はその一心でここに来たのだ。

 

そんな雅治は意を決して………

 

 

「し、椎名………ぼ、僕は……き、」

 

 

『君の事が好きだ』……ただその一言だけを言いたいはずなのに、胸の鼓動が跳ね上がるばかりか、舌も回らななくなる。

 

 

「よし、私のターンだね!」

 

「え、えあ、あ、う、うん、た、ターンエンド」

【ディグモン】LV1(1)BP4000(疲労)

 

【華王の城門】LV1

【華王の城門】LV1

 

バースト【有】

 

 

椎名にそう言われ、咄嗟に我に返った雅治。気が動転しながらもそのターンをエンドとした。告白は一旦持越しか…………

 

そのターンエンドの宣言と共に、ディグモンが割った地面が元に戻り、エクスブイモンは再び行動可能となった。

 

次はそんな彼の恋心など全く理解していない椎名のターンだ。

 

 

[ターン04]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ1⇨2

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ2⇨6

トラッシュ4⇨0

 

 

「メインステップ、ブイモンを召喚!!効果によりカードをオープン!!」

手札5⇨4

リザーブ6⇨1

トラッシュ0⇨2

【ブイモン】LV2(3)BP4000

オープンカード↓

【ライドラモン】◯

【フレイドラモン】◯

 

 

椎名の場に小さな青い竜、ブイモンが現れる。その効果も成功。椎名は新たに【ライドラモン】のカードを手札に加え、残りを破棄した。

 

さらに加えたそれを雅治に見せつけるように翳し………

 

 

「ライドラモンの【アーマー進化】発揮!!対象はブイモン!!」

手札4⇨5

リザーブ1⇨0

トラッシュ2⇨3

 

「!」

 

 

ブイモンの頭上に黒いデジメンタルが投下される。ブイモンはそれと衝突し、混ざり合い、新たな姿へと進化を遂げる。

 

 

「現れろ!!轟く友情、ライドラモン!!」

【ライドラモン】LV2(3)BP7000

トラッシュ3⇨5

 

 

新たに現れたのは黒いアーマー体スピリット、ライドラモン。その効果で椎名のトラッシュにさりげなくコアが増えた。

 

 

「ライドラモン……こうして見ると本当に懐かしいね、あの時もこれに負けた……!」

「今度もこれで私が勝つさ!!…アタックステップ、エクスブイモン、いけぇ!」

 

 

雅治がライドラモンの懐かしさに浸る中、椎名がエクスブイモンでアタックを仕掛ける。ブロッカーのいない雅治はこれをライフで受けるしかなくて………

 

 

「ライフで受ける……っ」

ライフ5⇨4

 

 

エクスブイモンの強靭な肉体から繰り出される拳の一撃が、雅治のライフ1つを砕いた。

 

 

「まだ行くぞ、ライドラモンッッ!!」

 

 

追い討ちをかけるようにライドラモンでアタックを仕掛ける椎名。雅治はこれも受けるしかなく………

 

 

「ライフだ!!」

ライフ4⇨3

 

 

ライドラモンの高速の体当たりが炸裂し、そのライフ1つを粉々に砕いた。さらにライドラモンはこの瞬間に発揮できる力が備わっており………

 

 

「ライドラモンの効果!!ライフを減らした時、さらにもう1つのライフを破壊する!!……ブルーサンダァァ!!」

 

「ぐっ!!」

ライフ3⇨2

 

 

吠えるライドラモン。すると、雅治のライフに青い色の雷が落雷し、それをさらに1つ砕いた。

 

 

「へへ、どうだ雅治!!一気に追い詰めた!!」

 

 

口角を上げ、言葉を漏らす椎名。しかし、口角を上げていたのは雅治も同じ事、彼はこの時を待っていたと言わんばかりに伏せていたバーストを勢いよく反転させて………

 

 

「甘いよ椎名!!バースト発動!!砲天使カノン!!」

「!?」

 

「この効果で相手スピリット全てのBPをマイナス10000!!0になったら破壊して召喚する!」

リザーブ3⇨0

【砲天使カノン】LV3(3)BP10000

 

「なにっ!?…うわっ!!」

【エクスブイモン】BP3000⇨0(破壊)

【ライドラモン】BP7000⇨0(破壊)

 

 

雅治の場に飛来するのは厳つい砲手を携えた華奢な天使。その天使はそれをぶっ放し、エクスブイモンとライドラモンを吹き飛ばしていく。

 

2体は敢え無く大爆発を起こした。

 

 

「マジか、一瞬で全滅………」

「どうだい椎名?…僕も3年前とは比べ物にならないだろう?」

 

「あぁ、マジ強いよ!!…ターンエンド」

バースト【無】

 

 

このターン、明らかに実感したのは長嶺雅治と言う生徒の確かな成長。少なからず、昔の椎名の戦法では歯が立たない事だろう。

 

そんな彼は再び心を引き締め、ターンを進行していく。

 

 

[ターン05]雅治

 

「スタートステップ時、華王の城門の効果、手札のカードを手元に置き、1枚ドロー……2回分使い、僕はアルマジモンとホーリーエンジェモンのカードを置いて2回ドローする!!」

手札2⇨0⇨2

 

 

華王の城門の効果で雅治の手元、手札共に潤っていく。

 

 

《コアステップ》リザーブ0⇨1

《ドローステップ》手札2⇨3

《リフレッシュステップ》

リザーブ1⇨5

トラッシュ4⇨0

【ディグモン】(疲労⇨回復)

 

 

「メインステップ、手元より、アルマジモンとホーリーエンジェモンを召喚!!」

リザーブ5⇨0

【砲天使カノン】(3⇨1)LV3⇨1

トラッシュ0⇨4

【アルマジモン】LV1(1)BP2000

【ホーリーエンジェモン】LV2(2)BP9000

 

 

アルマジモンが再び姿を見せ、上空から勇士ある大天使が飛翔してくる。それは強力な効果を持つ完全体スピリット、ホーリーエンジェモン。今の雅治のエースと言っても差し支えないカードである。

 

 

「行くぞ椎名!!僕の全力!!何もかもを受け止めてもらう!!」

「あぁ来い、雅治!!」

 

 

バトルの熱い展開によって引き上げられるモチベーション。雅治は残り4つの椎名のライフを破壊すべく……そして想いを伝えるべく、アタックステップへと移行する………

 

 

「アタックステップ!!ホーリーエンジェモンでアタック!!その効果で僕のライフ1つは回復する!!」

ライフ2⇨3

 

 

ホーリーエンジェモンが戦闘態勢に入り、椎名のライフめがけて飛び立つと共に、さりげなく雅治のライフが回復した。

 

全滅した椎名の盤面。当然ながらブロックできるスピリットは存在せず………

 

 

「ライフで受ける………っ」

ライフ4⇨3

 

 

ホーリーエンジェモンの腕に携えられた剣の一撃が椎名のライフ1つを切り裂いた。

 

 

「次だ、ディグモンでアタック!!」

 

 

ディグモンが走り出す。目指すは当然椎名のライフだ。椎名はこのタイミングでアタックステップを止めるべく動き出した。

 

 

「フラッシュマジック、ブリザードウォール!!」

手札5⇨4

リザーブ5⇨0

トラッシュ5⇨10

 

「っ!?」

 

「この効果により、このターンの間、私のライフはアタックによって1つしか減らない………そのアタックはライフで受ける!!」

ライフ3⇨2

 

 

ディグモンのドリルで削る攻撃が椎名のライフを今一度貫くと同時に、椎名の前方に壁のような猛吹雪が発生。それは椎名のライフがこれ以上破壊されないと言う証であり…………

 

 

「………ターンエンド」

【ディグモン】LV1(1)BP4000(疲労)

【砲天使カノン】LV1(1)BP6000(回復)

【アルマジモン】LV1(1)BP2000(回復)

【ホーリーエンジェモン】LV2(2)BP9000(疲労)

 

【華王の城門】LV1

【華王の城門】LV1

 

バースト【無】

 

 

致し方なくそのターンをエンドとする雅治。

 

届かなかった椎名のライフ………

 

……しかし、今、この想いだけは絶対に伝えたい。何せ自分達は後半年もしないくらいで卒業してしまうのだから………雅治は気持ちを強く引き締め………高鳴る鼓動を無理矢理捩伏せ………

 

 

「よし、私のターン…………」

「ちょっと待って椎名!!」

「?」

 

 

自分のターンを始めようとする椎名を呼び止めた。

 

そして………

 

 

「椎名………急で驚くと思うんだけど………」

 

 

遂にこの時が来た………雅治は顔を真っ赤にしながらも、椎名に………

 

 

「僕は君の事が好きだッッ!!」

「!」

 

 

伝えた……

 

とうとうこの想いを、あの椎名に………入学試験の時に一目惚れしてから約2年と半年、遂に……胸のうちを全てさらけ出した………

 

雅治はこの告白の結末は3種類あると考えていた………

 

1つ目は、この告白が受け入れられて2人は恋仲になる。

 

2つ目は、雅治が振られてこの関係は全てなかったことになる………

 

そして、最後の3つ目は…………

 

 

「はは、何を言うかと思えば………あぁ、私も、雅治が大好きだ………真夏も司も……界放市で出会った人達は私にとって掛け替えのない存在だ!!」

「…………」

「卒業しても、友達でいよう!!」

 

 

椎名は雅治の言葉に一瞬はキョトンとしていたが、自分なりに解釈、理解した途端、そう言い始めた。残念な事に、雅治の告白の言葉とは全く噛み合っていない………

 

そう、最後の3つ目はそもそも恋愛対象に見られていないため、告白が伝わらないという結末………

 

 

(………そうだよね、それでこそ僕が知る芽座椎名だ………僕なんかで収まっていい人じゃない……)

 

 

そう胸の内側で悟り、自分にそう言い聞かせる雅治。椎名はこれから先、きっともっと今よりも大きく羽ばたいていく事だろう。

 

そう考えると、無理矢理その羽に手を伸ばすことは、自分にはできない。この恋は【一旦】終わりにしよう………そう思い至って、納得した。

 

 

「うん。椎名………僕達は卒業しても仲間だ!!君と過ごした3年間は絶対に忘れない!!さぁ、次は君のターンだ!!今度は君の全力を見せてくれ!!」

「あぁ、言われなくとも………!!」

 

 

意味が伝わっていない椎名の言葉に合わせ、尚且つ彼女の背中を押すように言った雅治。その表情は告白が伝わらなかったにもかかわらず、どこか満足そうであり…………

 

そして椎名は、そんな雅治の愛情など知らず、自分のターンを開始していく………

 

 

[ターン06]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ1⇨2

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ2⇨12

トラッシュ10⇨0

 

 

「メインステップ!!……私は、このカード、インペリアルドラモン ドラゴンモードをLV2で召喚!!」

手札5⇨4

リザーブ12⇨1

トラッシュ0⇨8

【インペリアルドラモン ドラゴンモード】LV2(3)BP12000

 

「!!」

 

 

椎名が前方に呼び出したのは巨大なドラゴン。大いなる翼広げ、激しい咆哮と共に姿を現した。

 

 

「アタックステップ!!……ドラゴンモードでアタック!!」

 

 

椎名の指示に従い、ゆっくりと4本の脚を動かし、歩みを進めるドラゴンモード。目指すは当然雅治のライフだ。

 

しかし………

 

 

「僕の場には2体のブロッカー!!そして3つのライフ!!それだけじゃ突破できない!!」

 

 

雅治が強く宣言した。しかしながら、雅治はこの時点で何となく察していた。椎名は必ずこの盤面を突破して、自分のライフを全て破壊すると………

 

その予想は的中していたのか、椎名は柔らかく口角を上げながら、手札のカードを1枚引き抜いた………

 

 

「へへ……フラッシュ【煌臨】発揮!!対象はドラゴンモードッッ!!」

リザーブ1s⇨0

トラッシュ8⇨9s

 

「っ!!」

 

 

椎名のカード発揮の宣言と共に、ドラゴンモードが眩い光に身を包まれていき、その中で姿形を変形させていく………

 

 

「モードチェンジ!!…現れろ!!インペリアルドラモン ファイターモードッッ!!」

手札4⇨3

【インペリアルドラモン ファイターモード】LV2(3)BP15000

 

「……おぉ!!」

 

 

その光を解き放ち、新たに現れたのは、人型へと姿を変えたインペリアルドラモン。名をファイターモード。ドラゴンモードの頭部が胸部へと移動し、背中の砲手は右腕に存在している。

 

そしてその解き放たれた効果を遺憾無く発揮させる。

 

 

「煌臨時効果!!相手スピリット10体を疲労させる!!」

「なにっ!?」

「ポジトロンレーザー!!」

 

「っ!!」

【砲天使カノン】(回復⇨疲労)

【アルマジモン】(回復⇨疲労)

 

 

ファイターモードが腕にある砲手を雅治のスピリット達に向けて放つ。その光線にスピリット達は忽ち吹き飛ばされ、行動不能に陥ってしまう。

 

 

「煌臨スピリットは煌臨元となったスピリットの全ての情報を引き継ぐ………よってファイターモードはアタック状態!!」

 

「っ……ライフで受ける!!」

ライフ3⇨2

 

 

ファイターモードは雅治にもポジトロンレーザーを発射させ、そのライフを1つ粉々に砕いた。雅治のライフもとうとう椎名と同じ2つとなる………

 

 

「だけど、これでファイターモードのアタックは終わり…………次の僕のターンで…………っ!?」

 

 

「トドメを刺す」………そう言おうとしたが、笑顔を浮かべている椎名の表情を見るなり、止まってしまった。間違いない。今まで椎名を見てきた自分には理解できる。

 

椎名はこのターンで自分にトドメを刺す術を持っている…………そう確信した。そしてその予測も的中して…………

 

 

「ファイターモードのアタック時効果、相手のライフを破壊した時、さらに2つのライフを破壊する!!」

「っ!?」

 

 

ファイターモードは腕にある砲手を胸部にあるドラゴンモードの頭部へと合体させると、そこから徐々にと膨大なエネルギーを溜めていき…………

 

 

「行け、ファイターモード………超然の一撃……ギガデスッッ!!」

 

 

椎名の叫ぶ技名と共に、雅治のライフに向けて、その膨大なエネルギーが溜まった巨大な弾丸を放つ。それは一直線に彼の元へと飛び行き………

 

 

「………やっぱり椎名は面白いな………僕なんかじゃ全然届かないや………」

ライフ2⇨0

 

 

ライフに直撃し、被弾した。残ったライフは跡形もなく木っ端微塵に砕け散る。

 

これにより、勝者は芽座椎名だ。成長した雅治を恋心諸共、急に吹き荒れる旋風の如く吹き飛ばして見せた。

 

 

「私の勝ちだな!!ありがとう雅治!!久し振りに楽しいバトルだった!!」

「あぁ……僕こそ、ありがとう椎名………本当に!!」

 

 

2人はそう言うと、互いに近づいていき、固い握手を交わした。それは恋愛感情からのものではなく、熱い友情によって交わされたもの………

 

雅治は全てを理解しているからこそ、それが寂しくもあり、誇らしくもあって…………

 

 

「あ、そうだ。この後暇なんだけど、一緒に街でも行かない?」

「!!」

「雅治昨日風邪引いて文化祭なにもしてないでしょ?…まぁかく言う私もなにもしてないけどさ、折角だし、奢るよ!」

「…………椎名……」

 

 

椎名の急な誘い。彼女は当然自覚無しだが、雅治側からすればそれは所謂デートのお誘いと言っても過言ではなくて…………

 

こんなに嬉しい事はない。この椎名の言葉は自分が今までずっと彼女の友達でいた何よりの証拠のような言葉でもあって………

 

 

「うん!!『付き合おう』かな!!」

「よしっ!!んじゃ行きますか!!」

 

 

2人は恋仲など決してなる事はないのかもしれない。が、決して無くならないものとして、深い友情が確かにあって………

 

………しかし、雅治はこの恋を諦めたわけではない。いつかもっと成長して、自分が椎名に追いついた時、

 

その時だ。もう一度、堂々と面と向かって………再びこの想いを伝えよう…………雅治は胸の奥でそう誓った。

 

 

 

 




〈本日のハイライトカード!!〉


椎名「本日のハイライトカードは【インペリアルドラモン ファイターモード】」

椎名「インペリアルドラモンが力を解き放った姿、ファイターモードは煌臨時、スピリットを疲労させ、一気に3つのライフを破壊する強力な効果を備えているよ」


******


〈次回予告!!〉


エニー・アゼムとバーク・アゼムが遂に動き出した。彼らは今年の界放リーグに廃校となったデスペラード校の代わりに出場する事が判明した。椎名も当然今年の界放リーグへの出場を希望するが、それを良しとせんかったのはこれまで幾度となく椎名達を見てきた晴太だった。次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ「椎名と晴太、赤きロイヤルナイツVS赤き神皇!!」…今、バトスピが進化を超える!!


******


※次回のサブタイトルや内容等は予告なしに変更する可能性があります。


最後までお読みくださり、ありがとうございました!


ファイターモード、ギガデス(LV2効果)の初起動おめでとう!!今回の話の【椎名のスピリット達の心の中】は後に活動報告やTwitterにて掲載致します。

司のキャラ崩壊が凄まじい。しかしながらおそらく司があんなになるのは今回が最後だと思います笑

【第107話】でこの三期第1章も終わりです。つまり後3話ですね。そんな【第107話】では遂にあのオメガモンが満を辞しての登場です!!お楽しみに!!


そして【第108話】より、新章で尚且つ最終章、【最後の界放リーグ編】が幕を開けます。椎名の最後の戦い、最後の進化をお見逃しなく……!

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