バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

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第114話「古の侵略者、鬼王ノヴァ!!」

『鬼王ノヴァ』

 

 

2000年以上前、人間に代わり万物の頂点に立とうとしていた異種族、鬼の長にして、この世で最も深く、膨大で、巨大な進化の力の持ち主。

 

真紅の魔竜を操る他の鬼達を引き連れ、世界から人間そのものを抹消しようと目論んだが、エニー・アゼムと芽座一族との激戦の末敗北………

 

鬼は滅んだかに見えた………

 

だが、

 

ノヴァは世界の果てでひっそりと生き長らえ、再び進化の力が溜まっていくのを今か今かと待ちわびていた………

 

全ては下等種族、人間に復讐するために…………

 

 

******

 

 

「お、鬼の王………だと!?……じゃあ今まで貴様は……我を騙してきたと言うのか!!」

「ガッガッガ……じゃなかったらなんだと言うんだ」

 

 

周囲に冷ややかな闇が漂う中、エニー・アゼムのフリをしてバークや多くの者達を騙し続けていた鬼の王ノヴァがバークに言った。

 

 

「まぁ別に俺様が言った事は全てが嘘だと言うわけではない。例えば、バロンは本当に赤羽に奪われた」

「!!」

「ガッガッ……だが、エニー・アゼムは真の英雄だったよ。救った人間に殺されたにもかかわらず、それが正しいと思っていたのだからな」

 

ー!?

 

「皮肉なものだな。そのせいで俺様に利用された……やはりいくら時を超えても、人間とは愚かな生き物だ」

 

 

古を生きていた鬼王ノヴァが真の歴史を語る。エニー・アゼムはどこまでも善人であった事が伺える。

 

どうせ自分は死ぬのだ。いずれ来るであろう災難を救うためにはこの力を他の人間達に譲渡した方が良いと考えたのだ。

 

儚げで健気な話だが、実際はその歴史のせいでバークは鬼王ノヴァに騙され続けてしまっていた。

 

 

「ガッガッガ、でも、お前との時間は楽しかったぜ、バーク」

「黙れ!!貴様は……貴様はぁぁあ!!」

「ガッガッ、怒りに駆られるのはいいが、デッキの無いお前に何ができる??」

「くっ!?」

 

 

ノヴァがバークの首を掴み、体を持ち上げる。バークは反射的に手でノヴァの腕を外そうともがくが、一向に離れる気配がない。

 

ノヴァはさらにもう1つの手で、置き去りとなった茜の遺体を持ち上げ、2人まとめて椎名と晴太の方へと投げ飛ばした。椎名はバークを、晴太は茜をそれぞれキャッチした。

 

 

「……芽座椎名……我は…我は間違っていたのか……?」

「あんたはもう理解しているだろ。でも、いくらでもやり直せる。それが人間だ」

「………」

「待ってろ……今、私があの黒くて気持ち悪い奴をぶっ飛ばしてやる!!」

 

 

椎名がバトル場に立ち、鬼王と向かい合う。その目はやる気に満ちており、負ける気などさらさら無いのが伺える。

 

 

「ガッガッ、芽座椎名………所詮は鬼の雑兵程度、いや、それ以下の進化の力しか持たないお前が、俺様に勝てると思ってるのか?………俺様はこの世で最も進化の力を有している鬼の王だ!!」

「知るか、そんなもん!!……だいたい、あんたはなんで生きてんだ!!エニー・アゼムと芽座一族に斃されたんじゃないのか!?」

「無粋な質問だな。俺様は鬼の王だ……進化の力を酷使さえすれば死なん……まぁそのお陰で一から進化の力を蓄えなければならなくなったがな」

 

 

椎名はその身に鬼の力を宿している。しかし、その力は所詮普通の鬼から採取された力。普通の鬼よりも微弱で矮小なもの………鬼の中でも頂点だったノヴァの足元にも及ばない。

 

だが、今、戦えるのは椎名1人では無くて……

 

 

「おいおい、待てよめざし。俺も混ぜろ」

「っ……司!?」

 

 

椎名の横に赤羽司が並び立った。状況が状況であるはずなのにその表情は何故か冷静でいる。

 

 

「あんなわかりやすいラスボス、他にいないだろ……何度も言わせるな、俺も混ぜろ」

「………わかったよ」

 

 

実際、司が共に戦ってくれるのは嬉しかったし、心強かった。椎名は自分一人では鬼王には勝てないと直感的に悟っていたからだ。

 

 

「なぁに、納得しちゃってんのかな〜〜……まぁ、2人でも3人でも変わらないがな」

「晴太先生は司の姉ちゃんの遺体とバークを頼みます!!」

「わかった……勝てよ、…椎名、司!!」

「「当然!!」」

 

 

やる事は決まった。単純な事だ。今までやって来た自分達のバトルスピリッツであの黒くて気持ち悪い奴を倒すだけ……

 

ただそれだけの事だ。椎名的にはわかりやすくて助かる。

 

 

「行くぞ司!!」

「俺に指図するな!!」

 

 

2人は勢いよく自身のBパッドを展開し、デッキをセット。バトルの準備を行う。

 

 

「ガッガッ、面白い。たった2人で俺様に勝つ気とはな!!……いいだろう!!どちらにせよ貴様らはこの場で殺すつもりだった!!エニー・アゼムに似せて造られた鬼、エニーズ、芽座椎名!!…そして、エニー・アゼムのカードを引き継いだ赤羽司!!……人間に復讐するには打って付けの相手だ!!」

 

 

ノヴァは黒い靄で展開したBパッドと全く同じ形状にし、バトルの準備を行った。

 

そして遂に、世界の存亡がかかった最後のバトルスピリッツが始まる………

 

 

「「「ゲートオープン、界放!!!」」」

 

 

コールと共にバトルスピリッツが開始される。2対1の変則マッチだ。1人でバトルするノヴァは椎名と司の2人分の手札、ライフ、リザーブを得る。

 

 

「先行はお前達にあげよう。ターンを進めるがいい」

「っ…2対1で先行を譲るだと?」

 

 

基本的に、このルールかにおいては1人側が先行となる。後行になって仕舞えば圧倒的に不利になるからである。しかし、このノヴァはそれを知りながら椎名と司に先行を明け渡した。

 

ノヴァの余裕っぷりがあからさまに伺えて………

 

 

「めざし、先ずは俺から行かせてもらうぞ」

「あぁ、任せる」

 

 

一言二言だけで簡単に決める司と椎名。この会話によりターンの順番が決まった。最初は司。次は椎名。最後はノヴァだ。

 

落ち着いた表情のまま、司が自分のターンを始める。

 

 

[ターン01]司

《スタートステップ》

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップ、イーズナ2体を召喚!!さらにコイツらから不足コストを確保してネクサスカード、朱に染まる薔薇園を配置!!……ターンエンド」

手札5⇨2

リザーブ4⇨0

トラッシュ0⇨4

【朱に染まる薔薇園】LV1

 

バースト【無】

 

 

イタチのようなスピリット、イーズナが2体現れるが、すぐさま消滅されてしまい、司の背後にいくつもの色鮮やかな薔薇が咲き誇った。

 

次は椎名のターン。

 

 

[ターン02]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップ!!ネクサスカード、ディーアークとD-3を配置して、エンド!!」

手札5⇨3

リザーブ5⇨0

トラッシュ0⇨5

【ディーアーク】LV1

【D-3】LV1

 

バースト【無】

 

 

椎名の腰に手のひらサイズの機械達が装着される。

 

そして次は鬼王ノヴァのターン。不気味な笑い声を上げながら自分のターンを行なっていく。

 

 

[ターン03]ノヴァ

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ8⇨9

《ドローステップ》手札8⇨9

 

 

「ガッガッガ…メインステップ、旅団の摩天楼を2枚配置……2枚ドロー」

リザーブ9⇨4

トラッシュ0⇨5

【旅団の摩天楼】LV1

【旅団の摩天楼】LV1

 

 

ノヴァの背後に細長い摩天楼が聳え立っていく。

 

 

「さらに運命の蠍座……スコーピオン・ゾディアーツを召喚!!効果でドロー」

リザーブ4⇨1

トラッシュ5⇨7

【スコーピオン・ゾディアーツ】LV1(1)BP1000

 

 

黒い靄がノヴァの場に現れ、そこに蠍座の星が刻まれたかと思うと、そこから蠍をイメージとした怪物、スコーピオン・ゾディアーツが姿を見せた。その効果でノヴァは手札の枚数をキープする。

 

 

「ガッガッガ……ターンエンド」

【スコーピオン・ゾディアーツ】LV1(1)BP1000(回復)

 

【旅団の摩天楼】LV1

【旅団の摩天楼】LV1

 

バースト【無】

 

 

そのターンを終えるノヴァ。

 

次は一周して司のターンに戻るが、このバトルのルール上、このターンからアタックステップが開放される。

 

 

[ターン04]司

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ0⇨1

《ドローステップ》手札2⇨3

《リフレッシュステップ》

リザーブ1⇨5

トラッシュ4⇨0

 

 

「メインステップ、朱に染まる薔薇園のLV2に上げ、効果発揮…このホークモンの軽減シンボルを黄色としても扱い、1コストで召喚!!…召喚時効果発揮!!」

手札3⇨2

リザーブ5⇨2

トラッシュ0⇨1

【朱に染まる薔薇園】(0⇨1)LV1⇨2

【ホークモン】LV1(1)BP2000

オープンカード↓

【ロード・バロン】×

【テイルモン】◯

【イーズナ】×

 

 

赤い鳥型の成長期スピリット、ホークモンが現れ、カードがオープンされる。

 

 

「俺はこの中のテイルモンを手札に、さらにロード・バロンは自身の効果で手札に加えられる」

手札2⇨4

 

「ガッガッ……そいつ、そんな効果もあったのか」

 

 

対象内のテイルモンだけでなく、ロード・バロンも同時に手札に加える司。

 

 

「ホークモンの追加効果!!2コスト支払い、俺は手札に加えたテイルモンを召喚する!」

手札4⇨3

リザーブ2⇨0

【朱に染まる薔薇園】(1⇨0)LV2⇨1

トラッシュ1⇨3

【テイルモン】LV1(1)BP3000

 

 

ホークモンのすぐ横にネズミ型の黄色いスピリット、テイルモンが現れる。

 

 

「バーストを伏せ、アタックステップ!!ホークモンとテイルモンテイルモンでアタック!!…テイルモンの効果でカードをオープンし、それを手札とする!!」

オープンカード↓

【ダークナイト・ドラゴン】×

 

 

勢い良くアタックを仕掛ける司。ホークモンとテイルモンが鬼王ノヴァのライフを狙い走り出した。

 

 

「ガッガッ……ライフで受けよう!!」

ライフ10⇨9⇨8

 

 

ホークモンの翼で打つ攻撃、テイルモンのパンチがそれぞれ1つずつノヴァのライフを砕いた。

 

 

「ターンエンドだ」

【ホークモン】LV1(1)BP2000(疲労)

【テイルモン】LV1(1)BP3000(疲労)

 

【朱に染まる薔薇園】LV1

 

バースト【有】

 

 

次なるは椎名のターン。司の後を引き継ぎ、ノヴァのライフへと迫る。

 

 

[ターン05]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ0⇨1

《ドローステップ》手札3⇨4

《リフレッシュステップ》

リザーブ1⇨6

トラッシュ5⇨0

 

 

「メインステップ、ブイモンを召喚!!ディーアークの効果でドローし、カードをオープン!!」

リザーブ6⇨3

トラッシュ0⇨2

オープンカード↓

【スティングモン】◯

【ワームモン】×

 

 

椎名の場に青い小竜型の成長期スピリット、ブイモンが現れる。その効果でカードがオープンされ、椎名はその中のスティングモンのカードを加えた。

 

 

「さらに2コストを支払い、スティングモンを召喚!!」

手札4⇨5⇨4

リザーブ3⇨0

トラッシュ2⇨4

【スティングモン】LV1(1⇨2)

 

 

ブイモンのすぐ横に颯爽と緑のスマートな昆虫戦士、スティングモンが現れ、その効果でさりげなくコアが増える。

 

 

「アタックステップ!!スティングモンでアタック!!コアを増やしてLVアップ!!さらに【超進化:緑】を発揮!!……完全体、パイルドラモンを召喚!!」

【パイルドラモン】LV2(3)BP10000

 

 

スティングモンがデジタルコードに巻かれ、その中で姿形を大きく変えていく。やがてそれを吹き飛ばしながら現れたのは赤い頭部、黒いボディ、腰に備え付けられた機関銃、青と白の4枚の翼を持つ青と緑の完全体スピリット、パイルドラモン。

 

 

「パイルドラモンの召喚時効果!!コスト7以下のスピリット1体を破壊する!!」

「!」

「スコーピオン・ゾディアーツを破壊!!……デスペラードブラスター!!」

 

 

パイルドラモンは召喚されるなり、スコーピオン・ゾディアーツに向けて腰の機関銃を連射する。スコーピオンはその身体の面積を撃ち抜かれ、力尽き、大爆発を起こした。

 

 

「ガッガッ……スコーピオンの破壊時効果、このカードを除外し、1枚ドロー」

手札9⇨10

 

「アタックステップは続行!!パイルドラモンでアタック!!効果により、コアを2つ増やし、ターンに一度回復する!!」

【パイルドラモン】(3⇨5)LV2⇨3(疲労⇨回復)

 

 

パイルドラモンでアタックを仕掛ける椎名。その効果によりコアを大きく増やしつつ回復した。

 

 

「ライフ……」

ライフ8⇨7

 

 

パイルドラモンが機関銃を連射する。その弾丸がノヴァのライフ1つを砕く。

 

 

「まだまだぁぁぁあ!!今度はブイモンとパイルドラモンでアタック!!」

【パイルドラモン】(5⇨7)

 

「それもだ……」

ライフ7⇨6⇨5

 

 

畳み掛ける椎名。ブイモンの頭突きが、パイルドラモンの拳がそれぞれ1つずつノヴァのライフをさらに破壊した。

 

これにより、ルールにより2倍だったノヴァのライフは通常のバトルのライフと同じ数値になった。

 

 

「へっ……なんだよ、鬼王を名乗る割には大したことないんだな……ターンエンド」

【ブイモン】LV1(1)BP2000(疲労)

【パイルドラモン】LV3(7)BP13000(疲労)

 

【ディーアーク】LV1

【D-3】LV1

 

バースト【無】

 

 

司と共にライフを大きく削ぎ落とし、優勢に立った椎名。

 

だが、それなのにもかかわらず、鬼王ノヴァの表情は未だに余裕のあるものであって………

 

 

「ガッガッガ……オマエ達良いな〜〜…なかなかに鬱陶しくて、目障りで…醜い……それでこそ潰し甲斐があるというもの!!」

「「!!」」

 

 

鬼王のターンが進行していく。今までの誰からも感じ取れるものがなかった凄まじい覇気と闘気が椎名と司にまで伝わってきた。

 

 

[ターン06]ノヴァ

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ7⇨8

《ドローステップ》手札10⇨11

《リフレッシュステップ》

リザーブ8⇨15

トラッシュ7⇨0

 

 

「メインステップ!!…俺様はヤン・オーガを2体、LV3と1で召喚する!」

手札11⇨9

リザーブ15⇨7

トラッシュ0⇨3

【ヤン・オーガ】LV3(4)BP5000

【ヤン・オーガ】LV1(1)BP3000

 

 

鬼王ノヴァの場にトンボ型の緑のスピリット、ヤン・オーガが2体現れる。

 

 

「さらにもう1体、全てに死をもたらす漆黒鳥ヤタグロスをLV1で召喚!!」

手札9⇨8

リザーブ7⇨2

トラッシュ3⇨7

【漆黒鳥ヤタグロス】LV1(1)BP3000

 

ー!!

 

 

ヤン・オーガ達の頭上に現れたのは尾が樹木の枯れ木のような形をした黒い鳥型のスピリット、ヤタグロス。

 

 

「マジック、ライフチャージを使用!!LV3のヤン・オーガを破壊して、コアを3つ増やす!!さらにヤン・オーガの効果でそのLVの数だけコアを増やす!!」

手札8⇨7

リザーブ2⇨0⇨4⇨7⇨10

トラッシュ7⇨9

 

 

ノヴァが放ったマジックカードによってヤン・オーガが体の内側から破裂する。その効果が合わさり、ノヴァのリザーブのコアを急激に増加させた。

 

だが、こんなものはまだまだ序の口。

 

 

「2体目のヤン・オーガのLVを3に上げ、2枚目のライフチャージを使用!!破壊して、合計6個増やす!」

手札7⇨6

リザーブ10⇨5⇨9⇨12⇨15

トラッシュ9⇨11

 

 

また同じ事が繰り返され、ノヴァのコアがさらに増加する。

 

 

「そして!!ヤタグロスのLVを3に上げ、3枚目のライフチャージを使用!!…ヤタグロスを破壊!!」

手札6⇨5

リザーブ15⇨0

【漆黒鳥ヤタグロス】(1⇨13)LV1⇨3

トラッシュ11⇨14

 

 

3枚目のライフチャージだ。

 

LVが上がり、強化されたヤタグロスが即座に破壊された。

 

 

「ヤタグロスの効果!!置かれていたコアの数だけコアを増やす!!ライフチャージの効果と合わせ、16個のコアをリザーブへ!!」

リザーブ13⇨16⇨29

 

「っ……どんだけコアを増やせば気がすむんだよ」

 

 

信じられないほどコアを増やしていくノヴァ。そしてもうそろそろ頃合いだと言わんばかりに手札からさらなるカードを抜き取り……

 

 

「俺様は!!運命の射手座!!サジタリウス・ゾディアーツを召喚!!」

手札5⇨4

リザーブ29⇨21

トラッシュ14⇨18

【サジタリウス・ゾディアーツ】LV3(4)BP10000

 

 

黒い靄がノヴァの場に現れ、そこに射手座の星々が刻まれ、ゾディアーツの頂点に立つスピリット、サジタリウスが姿を見せる。

 

 

「ガッガッガ……召喚時効果で2枚ドロー…その後1コストを支払い、ゾディアーツを召喚……2体目のサジタリウスを呼ぶ!!」

手札4⇨6⇨5

リザーブ21⇨20⇨16

トラッシュ18⇨19

【サジタリウス・ゾディアーツ】LV3(4)BP10000

 

 

2体目のサジタリウスがノヴァの場に現れる。

 

 

「まだだ。2枚ドローし、ゾディアーツ……サジタリウスを召喚!!…今一度カードをドロー!!」

手札5⇨7⇨6⇨8

リザーブ16⇨15⇨11

トラッシュ19⇨20

【サジタリウス・ゾディアーツ】LV3(4)BP10000

 

 

3体のサジタリウスがノヴァの場を埋め尽くした。闇で覆われたフィールドなのもあり、鬼王の異様さがよく伝わってきていた……

 

 

「……チッ…ターンが長い」

「……司、今はふざけてる場合じゃないぞ」

 

 

ノヴァのターンが長すぎて腹を立てた司が舌打ちをした。椎名はノヴァの異常さと共に司の緊張感の無さも伝わってきた。

 

 

「ガッガッガ……お望みなら早く終わらせてやろう……【煌臨】発揮!!対象は1体のサジタリウス!!」

リザーブ11s⇨10

トラッシュ20⇨21s

 

ー!!

 

 

煌臨の効果発揮宣言と共に、サジタリウスが禍々しい光を放つ。その装備されていた鎧は弾き飛んで行き、より強大な力を身に宿すようになる。

 

 

「ゾディアーツを超えた究極の存在!!その名も『ノヴァ』!!……サジタリウス・ノヴァを煌臨!!」

手札8⇨7

【サジタリウス・ノヴァ】LV3(4)BP12000

 

 

現れたのは五町を倒したゾディアーツを超えた究極形態、ノヴァ。鬼王の力が混ざったことにより生まれた存在である。

 

 

「煌臨時効果発揮!!スピリット1体のコアを12個除去する!!」

「!!」

「多対1ルールにより、貴様達の場からそれぞれ1体を対象に取る!!…テイルモンとパイルドラモンを消し去る!!」

 

「っ!!」

【パイルドラモン】(7⇨0)消滅

 

「………」

【テイルモン】(1⇨0)消滅

 

 

サジタリウス・ノヴァの両手から放たれる禍々しいエネルギーの弾丸。それが椎名のパイルドラモン、司のテイルモンに直撃してしまい、2体は力尽きて消滅してしまう。

 

 

「ガッガッ……バーストを伏せ、アタックステップ!……サジタリウス・ノヴァ…奴らを塵と化せ!」

手札8⇨7

 

 

ノヴァが遂に攻撃を仕掛けてきた。サジタリウス・ノヴァが異様な雰囲気を漂わせながらゆっくりと2人の元へと歩み寄っていき………

 

 

「サジタリウス・ノヴァはアタック時に煌臨時効果を発揮できる!!」

「「!!」」

「ブイモンとホークモンを削除!!」

 

「くそっ!!」

【ブイモン】(1⇨0)消滅

 

「……」

【ホークモン】(1⇨0)消滅

 

 

今度はブイモンとホークモンが標的にされ、黒いエネルギーの弾丸が2体を貫き破壊した。

 

 

「さらにサジタリウス・ノヴァの効果で1コスト支払い、貴様らに1つのダメージ!!」

リザーブ10⇨9

トラッシュ21s⇨22s

 

「「っ!!」」

ライフ5⇨4

 

 

ブイモンとホークモンを破壊したエネルギー弾はさらに椎名と司のライフをも砕いていく。

 

 

「ガッガッガ……」

「ガッガッガッガッうるせぇ!!……ライフ減少により、バースト発動!!ロード・バロン!!」

 

 

ライフが減ったことにより、司が事前に伏せていたエースカード、ロード・バロンを召喚しようとするものの……

 

 

「黙るのは貴様だ虫ケラ!!…敵のバースト発動時、手札の超星使徒スピッツァードラゴンは1コスト支払い召喚できる!!」

手札7⇨6

リザーブ9⇨8⇨3

トラッシュ22s⇨23s

【超星使徒スピッツァードラゴン】LV3(5)BP12000

 

「っ……これは五町の時の!!」

 

 

赤と紫の炎が舞い上がり、1つの球体を形成。その中で新たな龍が目覚め、それらを吹き飛ばしながら姿を見せる。その名はスピッツァードラゴン。その性質はまさしくバーストキラーとも呼べる代物であって………

 

 

「この効果でスピッツァードラゴンを召喚した時、そのバーストを発動前に破棄し、コア2つを追加する!!」

【超星使徒スピッツァードラゴン】(5⇨7)

 

「!!」

【ロード・バロン】破棄

 

 

右手からは赤い炎、左手からは紫の炎を放つスピッツァードラゴン。それらは司のバーストカードまで伸び、それを焼き尽くした。

 

 

「さあ!!頼るものは無くなったぞ!!…この攻撃はどう受ける??」

 

「だったら私が止めてやる!!フラッシュマジック、ブリザードウォール!!」

手札4⇨3

リザーブ9⇨4

トラッシュ4⇨9

 

 

「!!」

 

「この効果によりこのターン、私達のライフはスピリットのアタックでは1つしか減らない!!…それはライフで受ける!!」

ライフ4⇨3

 

 

椎名と司の場全体を覆うように猛吹雪が発生する。サジタリウス・ノヴァはそのまま前進し、椎名と司のライフを拳で砕くが、このターン、減らされるのはこれで終わり。他のスピリットではいくら足掻いてももうライフは減らない。

 

 

「ガッガッ…二重のガードで守ったか……まあ良い、エンドだ」

【サジタリウス・ノヴァ】LV3(4)BP12000(疲労)

【サジタリウス・ゾディアーツ】LV3(4)BP10000(回復)

【サジタリウス・ゾディアーツ】LV3(4)BP10000(回復)

【超星使徒スピッツァードラゴン】LV3(7)BP12000(回復)

 

【旅団の摩天楼】LV1

【旅団の摩天楼】LV1

 

バースト【有】

 

 

圧倒的な実力を見せつけ、その長い長いターンをエンドとする鬼王ノヴァ。

 

 

(奴にバースト戦法は通じないか………なら)

 

 

次は司のターン、ロード・バロンが戦わずして破られた今、この絶望的な状況をどう打開するのか………

 

 

[ターン07]司

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札3⇨4

《リフレッシュステップ》

リザーブ5⇨8

トラッシュ3⇨0

 

 

「メインステップ、朱に染まる薔薇園をLV2に上げ、ハーピーガールを召喚!!」

手札4⇨3

リザーブ8⇨2

トラッシュ0⇨2

【朱に染まる薔薇園】(0⇨1)LV1⇨2

【ハーピーガール】LV3(3)BP5000

 

 

司の場に鳥の意匠を受け継いだ女性型スピリット、ハーピーガールが舞い降りる。

 

 

「アタックステップ!!ハーピーガールでアタック!!効果により、テメェはLV2と3のスピリットでブロックが不可能となる!!」

「ほお?…なかなかに小賢しい効果だな〜〜」

 

 

ハーピーガールが翼を広げ、飛翔する。ノヴァの場のスピリットは多量のコアブーストもあり、全てがLV3。彼はこのアタックをライフで受ける他なくて………

 

 

「ガッガッガ……まぁいいだろう。それはライフで受ける!!」

ライフ5⇨4

 

 

ハーピーガールの翼撃がノヴァのライフ1つを砕く。さらにこの瞬間、2つの効果が順序よく誘発する。

 

 

「ハーピーガールの効果でライフ1つを回復!!さらに朱に染まる薔薇園の効果!…俺はカードをドロー!!」

ライフ3⇨4

手札3⇨4

 

 

椎名と司のライフが回復する。

 

 

「ガッガッガ……やはり虫ケラだな。貴様程度では俺様には勝てんぞ」

「ハッ!!今のうちに息巻いてるんだな!!……おいめざし!!お膳立てはしてやったぞ!…さっさとクロキモヤローのライフをブチ抜け!!」

「??」

「……わかったよ………私の全力の攻撃でブチ抜いてやる!!」

 

 

司の狙いは単にハーピーガールによるライフ破壊と回復ではない。朱に染まる薔薇園をLV2として残しておくのが本当の狙いだった。

 

このルール上、椎名は司の場に残ったカードなら自身が使用できる。

 

つまり、司の朱に染まる薔薇園のLV2効果である、赤のスピリットとブレイヴの軽減シンボルを黄色としても扱う効果が椎名の手札にも付与される。

 

阿吽の呼吸で連携する椎名と司。司が勝手にやっているかのように見えて実は全力で椎名をサポートしていたのだ。

 

椎名の鬼王の余裕を崩す程の攻撃がやって来る………

 

 

[ターン08]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ5⇨6

《ドローステップ》手札3⇨4

《リフレッシュステップ》

リザーブ6⇨15

トラッシュ9⇨0

 

 

「メインステップ!!ギルモンを1コストで召喚!!ディーアークの効果でドローし、カードを5枚オープン!!」

手札4⇨3⇨4

リザーブ15⇨10

トラッシュ0⇨1

オープンカード↓

【デュークモン クリムゾンモード】◯

【エクスブイモン】×

【ライドラモン】×

【デジヴァイス】×

【マグナモン】×

 

 

真紅の魔竜成長期の姿、ギルモンが場に現れる。椎名はその効果でデュークモン クリムゾンモードのカードを新たに加えた。

 

 

「ガッガッガ……俺様を裏切った真紅の魔竜か」

 

「あんたみたいなのがボスだったらギルモンが鬼を裏切ったのも理解できるな!!…さらに手札からブルーカードを使用!!」

手札5⇨4

リザーブ10⇨9

トラッシュ1⇨2

 

 

椎名が使用するのはデジタルスピリットを進化させる可能性のあるマジック。そのコストも司の場の黄色シンボルのお陰でいつもより多く軽減されていて……

 

 

「カードをオープン、その中の赤一色のデジタルスピリットを進化召喚させる!!」

オープンカード↓

【デュークモン】◯

【フレイドラモン】×

【グラウモン】◯

【ブイモン】×

 

 

効果は成功。当然椎名はその中でも強力なスピリット、デュークモンを選んだ。

 

 

「よし!!1コストを支払い、デュークモンをLV2で召喚!!」

リザーブ9⇨8

トラッシュ2⇨3

【デュークモン】LV2(4)BP14000

 

 

ギルモンが青いカードを潜り抜け、その間で進化を繰り返していく。最終的には赤きロイヤルナイツ、デュークモンへと進化を果たした。

 

 

「ガッガッガ!!ロイヤルナイツに成り果てた真紅の力!!……オマエ達に1ついい事を教えてやろう!!」

「「??」」

「2000年前、俺様が敗れた理由はエニー・アゼムと13枚のロイヤルナイツだ!!……何が言いたいかわかるか?……勝てないんだよ、貴様じゃ!!どうやってもな!!」

 

 

2000年前、鬼王ノヴァを討伐するために、エニー・アゼムの力と13枚のロイヤルナイツの力が必要だった。

 

が、今はその一部を引き継いだ椎名と司しかいない。

 

単純に考えて、不可能なのだ。あの鬼に勝つ事など………

 

 

「知るかそんなモン」

「黙ってろクロキモヤロー」

 

 

しかし、2人にとってはそんな鬼王の言い分など耳を傾ける必要もない。

 

2000年前がどうだったなんて知らない。自分たちの全身全霊をアレにぶつけていくだけだ。

 

 

「朱に染まる薔薇園の効果で経減シンボルを黄色としても扱い、ブレイヴカード、断罪の滅刃ジャッジメント・ドラゴン・ソードをフル軽減で召喚!!」

手札4⇨3

リザーブ8⇨5

トラッシュ3⇨6

 

「っ……それはあの時の……」

 

 

蘇るノヴァの記憶。

 

その最中、闇のエネルギーを帯びた巨大な魔剣が椎名の場へと突き刺さる形で現れた。

 

 

「デュークモンと合体!!」

【デュークモン+断罪の滅刃ジャッジメント・ドラゴン・ソード】LV2(4)BP24000

 

 

手の槍と盾を消滅させ、突き刺さったジャッジメント・ドラゴン・ソードを握り、抜き取るデュークモン。その闇の力がデュークモンの身体全体を隈なく駆け巡る。

 

その鎧は黒に染まり、背にはあかいマントに代わって黒い翼が生えた。

 

 

「アタックステップ!!デュークモンでアタック!!効果によりスピッツァードラゴンを破壊!!」

「!!」

 

 

デュークモンは魔剣を振るい、その刃から斬撃を放つ。ジャッジメント・ドラゴン・ソードの力を受け継いだそれはあっさりとスピッツァードラゴンを斬り裂き、破壊した。

 

 

「さらにこの瞬間に、ジャッジメント・ドラゴン・ソードの効果でエクストラターンが確定!!」

「くっ!!」

 

 

ここに来て鬼王の表情は僅かながら余裕が失われつつあった。

 

そんな彼に対し、椎名はここでさらなるカードを使用して…………

 

 

「フラッシュ!!【チェンジ】発揮!!対象はデュークモン!!」

リザーブ5⇨1

トラッシュ6⇨10

 

「!!」

「この効果により、シンボル3つまで好きなだけ破壊する!!……ノヴァとゾディアーツ2体を破壊!!」

 

 

炎の龍が咆哮を上げ、ノヴァのスピリット達を呑み込み、焼き尽くしていく。

 

 

「そしてその後、対象となったスピリットと入れ替える!!……来い、デュークモン クリムゾンモード!!」

【デュークモン クリムゾンモード+断罪の滅刃ジャッジメント・ドラゴン・ソード】LV3(4)BP31000

 

 

炎の龍がデュークモンと激突する。デュークモンはその中で身体が真紅の赤に染まり、新たにそれと同じ色の装甲が装着される。

 

そしてその炎を弾き飛ばして新たに現れたのは椎名の最強スピリット、クリムゾンモード。

 

 

「クリムゾンモードに……魔剣」

「アタックは継続中!!」

 

「っ……ライフで受ける!!」

ライフ4⇨2

 

 

クリムゾンモードの手に持つ魔剣の一撃がノヴァのライフを一気に2つ砕く。

 

 

「そしてこの瞬間!!クリムゾンモードの効果!!アタックしたバトル終了時、トラッシュにあるスピリットカード3枚につき1つ、ライフを破壊する!!」

 

 

今現在。

 

ノヴァのトラッシュにあるスピリットは8枚。2点のライフを破壊が可能。

 

これで終わりだ。

 

クリムゾンモードが魔剣に相反する光の力を注ぎ込み、さらなる斬撃を放つが………

 

 

「終わりだと思うか?」

「!?」

 

「ライフ減少により、バースト発動!!エクスティンクションウォール!!……減った分のライフを回復する!!…さらにフラッシュ効果でアタックステップを終了!!」

ライフ2⇨4

リザーブ25⇨20

トラッシュ23⇨28

 

ー!!

 

 

ノヴァのバーストが勢い良く反転する。その効果なのか、ライフが回復する。

 

 

「その攻撃もライフだ!!」

ライフ4⇨2

 

 

クリムゾンモードの斬撃がノヴァのライフを斬り裂くも、今一歩遅し、ライフは結果的に2のままとなった。

 

 

「だけどまだだ!!ジャッジメント・ドラゴン・ソードの効果でもう一度私のターンを行う!!」

 

 

クリムゾンモードがジャッジメント・ドラゴン・ソードを天に掲げる。すると、その切っ先に闇の力が集中し、椎名に今一度ターンを行う権利を与えた。

 

 

「決めるとしたらここだ!!……行くぞ!!」

 

 

[ターン09]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ1⇨2

《ドローステップ》手札3⇨4

《リフレッシュステップ》

リザーブ2⇨12

トラッシュ10⇨0

 

 

「メインステップ!!スティングモンとデュークモンを再召喚!!…ディーアークの効果でドロー!!」

手札4⇨2⇨3

リザーブ12⇨0

トラッシュ0⇨8

【スティングモン】LV1(1⇨2)BP5000

【デュークモン】LV2(3)BP14000

 

 

効果により手札に戻っていたスティングモンとデュークモンが今一度椎名の場へと現れる。

 

 

「2体のデュークモンが並んだ!!行けるぞ椎名!!」

 

 

茜の遺体を抱え、バークと共にこのバトルを見届けている晴太が言った。

 

そう……

 

おそらく初めて2体のデュークモンが場に並んだ。いつもならどちらかのみでバトルが終了するため、滅多に見られる光景ではない。

 

 

「ジャッジメント・ドラゴン・ソードをデュークモンに合体し直す!!」

【デュークモン+断罪の滅刃ジャッジメント・ドラゴン・ソード】LV2(3)BP24000

 

 

クリムゾンモードが手に持つ魔剣を上空へと放り投げる。そしてそこに飛び上がったデュークモンがその魔剣を新たに握り、今一度闇の力が注がれた状態へと姿を変える。

 

 

「叩き込めめざし!!さっさと終わらせろ!!」

「わぁってるよ!!……アタックステップ!!……デュークモンでアタックッッ!!」

 

 

椎名の指示により、魔剣を豪快に構えたデュークモンが背後に黒い残像を見せるほどの速度で駆け出した。

 

狙うは当然鬼王ノヴァの残り2つのライフ。

 

 

「この一撃で決めるっ!!」

 

 

 

今まさにこの世界の命運を賭けたバトルが終末を迎えようとしたその直後………

 

 

 

「遊びは終わりだ……醜くき下等種族共……!!」

 

 

その異形の顔、表情をさらに歪ませた鬼王ノヴァ。人間に対する確かな怒りが込められたその声色と言動から……

 

……未だその内には秘められた何かを隠しているようにしか見えなくて………

 

 

 

 




〈次回予告!!〉

圧倒的な実力を見せつける鬼王ノヴァ。椎名と司の諦めない心が世界の最後の希望となる………次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ「最後のオーバーエヴォリューション」……今、バトスピが進化を超える!!


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最後までお読みいただき、ありがとうございました!!


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