いつだって………
いつだって私は自分が楽しむためにバトルしてきた。
そのつもりだった。
いつからだろうか、
自分ではなく、他の人達のためにバトルをするようになっていったのは……
だけど、もう気負う必要もない。
ここからは全力で私自身のバトルを楽しむ!!
******
大勢の観客達が見守る中、椎名と司の最後のバトルスピリッツは続いている。
次は椎名のターンだ。勢い良く自身のターンシークエンスを進行していく……
[ターン04]椎名
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札3⇨4
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨6
トラッシュ5⇨0
「メインステップ、ブイモンを召喚!!…効果によりカードをオープン!!」
手札4⇨3
リザーブ6⇨3
トラッシュ0⇨2
【ブイモン】LV1(1)BP2000
オープンカード↓
【スティングモン】◯
【ギルモン】×
椎名のデッキの軸となる成長期スピリット、青くて小さな竜、ブイモンが姿を見せる。その効果も成功、椎名は新たにスティングモンのカードを加えた。
「さらに追加効果でこのスティングモンを召喚!!…ディーアークの効果でドロー!!」
手札3⇨4⇨3⇨4
リザーブ3⇨0
トラッシュ2⇨4
【スティングモン】LV1(1⇨2)
ブイモンの横に颯爽と現れたのは緑のスマートな昆虫戦士、成熟期のスティングモンだ。その効果でさりげなくコアが増加した。
「行くぞ、先ずは小手調べだ!!バーストをセットして、スティングモンでアタック!!」
手札4⇨3
【スティングモン】(2⇨3)LV1⇨2
「!!」
椎名がこのバトル始まって最初の攻撃を仕掛ける。スティングモンが自身の拳を固く握り、地を駆ける。狙うは当然司のライフだ。
「………ライフだ!!」
ライフ5⇨4
この初撃を守る理由もない。司は椎名がやる気があるのを悟ったのか、嬉しそうに目をギラギラさせながらライフで受ける宣言を行った。
スティングモンの固められた拳の一撃がそのライフを砕いた。
「だがここで、バースト発動!!イビルフレイム!!」
「!!」
「この効果により、シンボル1つのスピリット2体を破壊する!!……ブイモンとスティングモンを破壊する!!」
ライフの破壊と共に勢い良く反転する司のバーストカード。そこから放たれた邪悪な色をした炎がブイモンとスティングモンを包み込んでそれらを焼き尽くした。
「へへ……やるな。ターンエンドだ」
【ディーアーク】LV1
【D-3】LV1
バースト【有】
場のスピリットを失ったため、半ば強制的にターンエンドとさせられる椎名。次は司のターン。勢い良く自身のターンシークエンスを進行していく。
[ターン05]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札3⇨4
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨6
トラッシュ4⇨0
「メインステップ!!来い、バロン バナナアームズ!!」
手札4⇨3
リザーブ6⇨0
トラッシュ0⇨1
【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV3(5)BP7000
司の頭上から空間を裂くようにチャックが現れ、それが全開すると、そこと繋がった別の空間から飛び降りてくる仮面スピリットが1体……
仮面ライダーバロン。最早司の代名詞とも言えるスピリットである。
「新たなバーストを伏せ、アタックステップ!!バロンでアタック!!」
手札3⇨2⇨3
司は今一度バーストカードをセットし、バロンでアタックを仕掛ける。そしてこの時だ。司が椎名のライフを叩き込むべくさらにてふだからあるカードを1枚抜き取ったのは………
「フラッシュ【煌臨】発揮!!対象はバナナアームズ!!」
【朱に染まる薔薇園】(1s⇨0)LV2⇨1
トラッシュ1⇨2s
「っ……煌臨!?」
バロンが赤く光り輝く。その光の中、バロンはさらなる姿へと昇華しており………
「禁断の力用い現れろ!!バロン リンゴアームズ!!」
手札3⇨2
【仮面ライダーバロン リンゴアームズ】LV3(5)BP12000
「っ……見たことないバロン!!」
その赤い光を弾き飛ばし現れたのは真っ赤に染まったバロン。手には槍の代わりに盾と長めの剣が備え付けられていた。
「煌臨時効果でドロー……そして、煌臨スピリットは煌臨元となったスピリットの全ての情報を引き継ぐ!!……やれ、リンゴアームズ!!」
手札2⇨3
「……ライフで受ける……!!」
ライフ5⇨4
この攻撃を守れるものは何もない。致し方なく椎名はリンゴアームズのアタックをライフで受けた。リンゴアームズの鋭い剣戟がそのライフを1つ斬り刻んだ。
だが、椎名もやられっぱなしでは終わらない。事前に伏せていたバーストカードを勢い良く反転させて………
「ライフ減少により、バースト発動!!…マリンエンジェモン!!」
「!!」
「この効果により、召喚!!…さらにこのターン、私のライフはコスト9以下のスピリットのアタックでは減らない!!……ディーアークの効果でドロー!!」
手札3⇨4
リザーブ5⇨2
【マリンエンジェモン】LV3(3)BP9000
ピンク色で小さな究極体スピリット、マリンエンジェモンが椎名の場に現れ、椎名の前方には水でできたバリアが形成された。
「どうだ司!!これでこのターンは………」
「エンドになる……そう言いたいのかめざし!!」
「!?」
このタイミングでのマリンエンジェモンの防御に絶対的な自信があった椎名。
だが、今の司は椎名の一手二手先を行く………
「リンゴアームズのさらなる効果!!バトル終了時、相手のライフ1つを破壊し、ターンに一度回復する!!」
【仮面ライダーバロン リンゴアームズ】(疲労⇨回復)
「なにっ!?」
「テメェも気づいたようだな!!マリンエンジェモンで無効にできるのは飽くまでスピリットのアタックのみ、効果での破壊は防げん!!……その身に焼き付けろぉぉお!!」
「ぐっ……うぁぁぁぁっ!!!」
ライフ4⇨3
リンゴアームズがその剣の刀身に炎を灯し、椎名のライフへと追撃してきた。その炎はマリンエンジェモンが作り出した水のバリアを突き破って椎名のライフを焼き尽くした。
「まだだ。さらに行け、リンゴアームズ!!」
「くっ……ライフで受ける!!」
ライフ3⇨3
回復したバロンが3度目の攻撃を繰り出してくるが、マリンエンジェモンの水のバリアが復活し、その攻撃を防いだ………
だが………
「ターンに一度の効果は回復のみ、ライフを破壊する効果はここでも発揮される!!…喰らいやがれぇぇ!!」
「ぐっ!!」
ライフ3⇨2
再び……
リンゴアームズの熱き炎の剣戟が椎名のライフを襲った。
「すげぇ……マリンエンジェモンを使ったのにここまでダメージが来るなんて……!!」
明らかに椎名がピンチなこの状況。
しかし、彼女は笑っていた。不思議で、不気味なくらい………
どうしようもないくらいこの司のバトルが楽しかった。いつまでもやっていたいくらいだ。
「フッ……ようやくいつもの調子が戻ってきたみたいだな………さぁ来い、次はテメェのターンだめざし!!」
【仮面ライダーバロン リンゴアームズ】LV3(5)BP12000(疲労)
【ヘルヘイムの産物】LV1
【朱に染まる薔薇園】LV1
バースト【有】
攻撃的な効果を持つリンゴアームズで豪快に攻め、そのターンをエンドとした司。
次は椎名のターンだ。反撃すると言わんばかりにそのターンを進行していく………
[ターン06]椎名
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ5⇨9
トラッシュ4⇨0
「メインステップ!!ネクサスカード、デジヴァイスを新たに配置し、ズバモンを召喚!!マリンエンジェモンと合体!!」
手札5⇨3
リザーブ9⇨4
トラッシュ0⇨2
【マリンエンジェモン+ズバモン】(3⇨6)BP12000
椎名の場に黄金の鎧を持つデジタルブレイヴ、ズバモンが現れる。マリンエンジェモンはその頭の上に乗っかった。
「さらにマジック、フェイタルドロー!!私のライフが2以下のため、カードを3枚ドロー!!」
手札3⇨2⇨5
リザーブ4⇨2
トラッシュ2⇨4
椎名はマジックカードの効果によりさらにその手札を増加させる。そしてここだ。このタイミングでいよいよ真打のお出ましだ……
「【煌臨】発揮!!対象はマリンエンジェモン!!
リザーブ2s⇨1
トラッシュ4⇨5s
「!!」
マリンエンジェモンとズバモンが赤い光に包まれていき、その中で姿形を大きく変化させていく………
その姿はまさしく洗練された聖騎士と言えるものであって…………
「来い、赤きロイヤルナイツ、デュークモンッッ!!」
手札5⇨4
【デュークモン+ズバモン】LV3(6)BP21000
やがてその光を弾き飛ばしながら現れたのは赤属性のロイヤルナイツのスピリット、デュークモン。これまで椎名のと共に幾多もの死線を潜り抜けてきた真のエーススピリットだ。その姿はズバモンとの合体により、シャープな印象となっている。
「ディーアークの効果でドロー!!……そしてアタックステップ、デュークモン……いけぇ!」
手札4⇨5
アタックステップへと移行する椎名。デュークモンがビーム状と化した槍を構える。
そしてこの瞬間に発揮できる効果があり………
「デュークモンのアタック時効果により、シンボル2つ以下のスピリット、リンゴアームズを破壊!!」
「!!」
「無双の一振り……ジークセイバーッッ!!」
デュークモンがそのビーム状の槍を天高く伸ばし、そのままリンゴアームズに向けて勢い良く叩きつける。
リンゴアームズはその威力に耐えられず、敢え無く大爆発を起こしてしまった。
「デュークモンのさらなる効果!!トラッシュにあるギルモンを手札に回収する事で回復する!!」
手札5⇨6
【デュークモン+ズバモン】(疲労⇨回復)
椎名の手札にギルモンのカードが舞い戻り、デュークモンもそれに合わせて回復状態となる。これでこのターンは二度目の攻撃権利を得た。
ダブルシンボルの2撃が指す意味は4点のライフをターン中に破壊できるという事………
このまま司が何もなければ椎名の勝ちは確定だった………
「何もない俺じゃない!!フラッシュマジック、シンフォニックバースト!!」
手札3⇨2
リザーブ5⇨4
トラッシュ2⇨3
「!!」
流石と言うべきか、司はカウンターのマジックを手札から堂々と切ってきた………
シンフォニックバースト。司を何度も窮地から救ってきた絶対的防御札。それがこの最後の最後のバトルでも遺憾無く発揮される………
「そのアタックはライフだ……!!」
ライフ4⇨2
デュークモンの聖なる槍から繰り出される刺突の一撃が彼のライフを一気に2つも砕いてみせた………
そしてここでも彼の伏せていたバーストが輝く………
こちらも、真打の登場だ………
「ライフ減少により、バースト発動!!」
「!!」
司の高らかなバースト発動宣言により、椎名も察した。あのバーストカードの内容を………
間違いない。アレは司が持つ最強のスピリット、最後のバロン………
「効果によりコイツを召喚する!!……聞け!!魔王の轟く怒号を……そして慄き戦慄せよ!!………来い、ロード・バロン!!」
リザーブ6⇨1
【ロード・バロン】LV3(5)BP16000
迸り落雷する赤い稲妻。そこへ現れたのは魔剣を片手に持つ、赤き仮面スピリットの異形……名をロード・バロン。赤羽司の最強のエーススピリットだ………
「出たな……ロード・バロン!!」
「そしてこの瞬間、シンフォニックバーストの効果でテメェのアタックステップは終わる!!」
司のライフが2以下であるため、シンフォニックバーストの条件が満たされる。黄色い衝撃波が解き放たれ、椎名のデュークモンの動きを封じ込めた………
「っ……ターンエンドだ」
【デュークモン+ズバモン】LV3(6)BP21000(回復)
【ディーアーク】LV1
【D-3】LV1
【デジヴァイス】LV1
バースト【無】
そのターンをエンドとする椎名。次はロード・バロンの召喚を成功させた司のターン。これで終わりにすべく、ターンを進行していく………
[ターン07]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨5
トラッシュ3⇨0
「メインステップ、ヘルヘイムの産物のLVを2に上げ、イーズナをLV2で召喚!!……さらにマジック、双光気弾!!…テメェのブレイヴ、ズバモンを破壊する!!」
手札3⇨1
リザーブ5⇨0
トラッシュ0⇨2
【イーズナ】LV2(2)BP2000
「!!」
司の場にイタチ型の小さなスピリット、イーズナが現れたかと思うと、どこからともなく突然炎の弾丸が飛び交い、椎名のデュークモンを襲う。その炎はデュークモンと合体していたズバモンのみを正確に撃ち抜いて焼き尽くした。ズバモンの破壊により、デュークモンは通常の状態へと戻る。
「終わりだ……これで決めてやる!!…アタックステップ!!……ロード・バロン!!」
司がアタックステップへと移行し、ロード・バロンにアタックの指示を送る。ロード・バロンは魔剣を構え、自身のアタック時効果を発揮させて………
「効果により、BPの最も高いスピリット、デュークモンを破壊する!!」
「!!」
ロード・バロンは魔剣に禍々しい赤黒いエネルギーを蓄積。極限まで溜めると、それを全力で振るい、斬撃をデュークモンに向けて飛ばす。
デュークモンは盾でなんとか凌ごうとするも、ロード・バロンの飛ばした斬撃はその盾ごとデュークモンを斬り裂いた。デュークモンは力尽き、大爆発を起こしてしまう…………
「どうしたもう終わりか!?…アタックはまだ続いているぞ!!」
「!!」
ロード・バロンが椎名めがけて走り出した。残り2つのライフを奪うためだ。彼女の残りライフは2つ。イーズナとのアタックで全てを破壊することが可能………
だが、それを当然見越している椎名は、手札から1枚のカードを堂々と抜き取って反撃に出る………
「フラッシュマジック、リアクティブバリア!!」
手札6⇨5
リザーブ7⇨4
トラッシュ5⇨8
「!!」
「そのアタックはライフで受ける!!………そして効果により、そのアタックでアタックステップが終了する!!」
ライフ2⇨1
ロード・バロンが魔剣を振るい、椎名のライフ1つを紙切れのように斬り裂くも、すぐさま司の場に猛吹雪が発生し、彼のスピリットたちは身動きが取れなくなった………
「………ターンエンドだ」
【ロード・バロン】LV3(5)BP16000(疲労)
【イーズナ】LV2(2)BP2000(回復)
【ヘルヘイムの産物】LV2(1)
【朱に染まる薔薇園】LV1
バースト【無】
致し方なく、ターンをエンドとする司。その宣言と共に猛吹雪が収まり、視界が全開になる。
次は椎名のターン。
彼女は不思議と今までの思い出が頭の中をよぎっていた。楽しかったこと辛かったこと、嬉しかったこと泣いたこと………その全てが………直接頭に叩きつけられた………
「なぁ司………」
「なんだ」
ターンを始める直前、椎名が口を開いた………
「この界放市に来て、色んなバトルをした………私はその中で、バトルは楽しいだけじゃない。辛く険しいものも沢山あるんだって理解した」
昔はただただバトルを楽しむことしか考えてなかった。でも、それが時には命すら賭けなければならないと知った………
「でも、これだけは忘れちゃダメだった……私のこの手はカードやコアを握って敵を倒すためだけにあるんじゃない……」
椎名の手はバトルスピリッツで敵を倒すためにあるんじゃない。況してや誰かを傷つけるためにあるんじゃない………
「仲間達と熱く、楽しいバトルをして、その後に固く握手をするためにあるんだ………」
そう、
きっとそう思う。
今だからこそ、
こう考えられる………
「フッ……御託はいい、続きをやるぞ……!!」
「へへ、あんたならそう言うと思ったよ!!」
司が別に無頓着なわけではない。内心では少し微笑んでいる。
だが、今自分が求めているのは椎名の言葉よりもバトルだ。
椎名もそれを理解しているからこそ、全力でそれに応えようとしていて………
「行くぞ司!!これがラストターンだ!!」
「できるものならやってみろ!!……そうはいかんぞ!!」
今……
進化と限界を超えた………
椎名のターンが幕を開ける………
[ターン08]椎名
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ5⇨6
《ドローステップ》手札5⇨6
《リフレッシュステップ》
リザーブ6⇨14
トラッシュ8⇨0
「メインステップ!!……最後はこれで決めるのが相応しい……私の最初のエーススピリット………」
椎名は手札から勢い良くそのカードをBパッド上に叩きつけ………
そのスピリットの名を叫ぶ………
「燃え上がる勇気……来い、フレイドラモン!!」
手札6⇨5
リザーブ14⇨7
トラッシュ0⇨4
【フレイドラモン】LV2(3)BP9000
「っ……ここでフレイドラモンだと!?」
椎名の前方が赤い炎で燃え上がる。その中で眼光を放つスピリットはそれを全て振り払い、姿を見せる。
その名はフレイドラモン。
椎名が幼き頃よりエースとして来た一番の相棒である。
「フレイドラモンの召喚時、BP7000以下のスピリット1体を破壊する!!……イーズナを破壊だ!!」
「!!」
「爆炎の拳……ナックルファイアッッ!!」
手札5⇨6
フレイドラモンがその拳から炎の弾丸を放つ。熱々と燃え滾るそれは司のイーズナへと直撃し、それを焼き尽くした。
「さらに!!青のブレイヴ、双牙皇オルト・ロードを召喚!!」
手札6⇨5
リザーブ7⇨4
トラッシュ4⇨6
【双牙皇オルト・ロード】LV1(1)BP5000
「……こいつは……!!」
椎名の背後から場へと飛び出して来たのは2つの首を持つ獣型のブレイヴ、オルト・ロード。
フレイドラモンとオルト・ロード。この2体が並び立ったことで司は気づいた。この布陣、間違いなくあの時のバトルと同じであると………
「フレイドラモンにオルト・ロードを合体!!…合体スピリットとなれ!!」
【フレイドラモン+双牙皇オルト・ロード】LV2(4)BP14000
フレイドラモンとオルト・ロードが呼吸を合わせ、跳び上がり、激突し、混ざり合う………
そして新たに現れたのは言わば蒼炎のフレイドラモン。背には黒い翼が生え、体中から溢れんばかりの蒼炎が漏れ出ており、その異常さが理解できる………
「アタックステップ!!フレイドラモンでアタック!!…オルト・ロードの合体中効果により、手札3枚を捨て、回復する!!」
手札5⇨2
破棄カード↓
【ギルモン】
【インペリアルドラモン ドラゴンモード】
【グラウモン】
【フレイドラモン+双牙皇オルト・ロード】(疲労⇨回復)
椎名の手札からコストとして3枚のカードが破棄される。椎名のその行為に呼応するように雄叫びを上げるフレイドラモンは回復状態となった……
「フレイドラモンはダブルシンボル!!…あんたが何もなければ私の勝ちだぞ!!」
司の残りライフは既に2。この合体しているフレイドラモンのアタックを一撃でも受けて仕舞えばその時点で敗北が確定する。
しかし、
あの赤羽司がこの程度でくたばるわけもなく………
「俺が何もないと考えていたのならテメェの負けは確定だ!!……フラッシュマジック、スクランブルブースター!!…このバトル中、ロード・バロンは疲労状態でのブロックが可能となる!!……ブロックしろ、ロード・バロン!!」
手札1⇨0
リザーブ2⇨0
トラッシュ2⇨4
「……!!」
司の使用したマジックにより疲労ブロックが可能となったロード・バロン。膝をついている疲労状態から起き上がる……
フレイドラモンがロード・バロンに狙いを定め、低空飛行で超速移動し、一瞬にしてロード・バロンの懐に潜り込む。
襲いくるフレイドラモンを前に、ロード・バロンは咄嗟に魔剣を盾にするも、フレイドラモンはそれに噛み付いて難なくそれを噛み砕いてしまう……
だがロード・バロンもやられっぱなしではない。フレイドラモンを殴りつけ、前方へと吹き飛ばし、そのまま自身の体を赤黒い煙状態へと変化させ、フレイドラモンに纏わり付き、上空へと追いやった………
「俺のロード・バロンのBPは16000!!……対するフレイドラモンはBP14000!!…勝負あったな!!」
「まだだ!!まだ私は諦めない!!……フラッシュマジック、レッドカード!!……フレイドラモンのBPを3000アップ!!」
手札2⇨1
リザーブ4⇨2
【フレイドラモン+双牙皇オルト・ロード】BP14000⇨17000
「!!」
椎名が咄嗟に引き抜いたマジックカードの効果により、フレイドラモンがそのBPを上昇させる。
煙状態となって纏わり付いていたロード・バロンを蒼炎を纏わせた足蹴りで地面へと叩きつけた。ロード・バロンはその威力に思わず元の状態へと逆戻りしてしまう………
「これでフレイドラモンはロード・バロンを上回った!!……打ち込め、フレイドラモン……渾身の蒼炎……バーニングインフォースッッ!!」
フレイドラモンが上空から両手を前方に突き出し、体中に蒼炎を纏いながらロード・バロンに向かって急降下していく………
ロード・バロンは超速でぶつかってくるそれを両手で支えるも、その様子から時間の問題と見える………
が、
まだこの男、赤羽司は諦めてはいなかった………
「めざしぃぃい!!!……フラッシュ、ヘルヘイムの産物の効果!!…ヘルヘイムの産物のコア1つを対象となるスピリットに置き、そのターン、そのスピリットのBPを3000アップさせる!!」
【ヘルヘイムの産物】(1⇨0)LV2⇨1
【ロード・バロン】(5⇨6)BP16000⇨19000
「!!」
激突するフレイドラモンとロード・バロン。しかし、ロード・バロンがまたしてもフレイドラモンのBPを上回ったため、ロード・バロンは力任せにフレイドラモンを上空へと弾き飛ばした………
「これで終わりだぁぁあ!!」
勝利が間近に近づいた事で昂ぶったテンションが下がる事を知らない司。
………だが………
「あぁ、終わりだな……私の勝ちで!!」
「っ!?」
「フラッシュマジック、レッドカード!!……フレイドラモンのBPをさらに3000アップさせる!!」
手札1⇨0
【フレイドラモン+双牙皇オルト・ロード】BP17000⇨20000
「っ……2枚目だと!?」
弾かれたフレイドラモンが息を吹き返し、高い跳躍力を活かしてさらに上空へと跳び上がる……
限界まで昇ると、フレイドラモンはその身にさらなる蒼炎と、元々存在する自身の赤い炎を同時に纏って………
再びロード・バロンに向かって急降下する。今度の炎はさっきのものとは格が違うほど巨大であり……
「……行け、フレイドラモン……」
渾身の………
超爆炎…………
「ファイナルロケットッッ!!」
「……っ!!」
ロード・バロンでも受けきれないほどの威力で突撃してきたフレイドラモン。その余波、及び爆風が会場全体を大きく揺らして………
そんな中、爆煙が晴れ上がり、フレイドラモンが姿を見せる。当然ながらそこにはもうロード・バロンは存在しない。勝利したのだ。この……椎名のフレイドラモンが………
「フッ………俺の負けか………」
その様子を見た司は自身の負けを悟った。だが、その表情からは安堵と喜びが感じ取れて………
「へへ………行け、フレイドラモン!!……これでラストアタックだ!!」
フレイドラモンがその蒼炎を纏わせた拳を司へと向ける…………
「っ!!」
ライフ2⇨0
もう宣言などする必要もない。
フレイドラモンの蒼炎の拳は司のライフを一気に2つ破壊し………
椎名を勝利へと導いた………
「勝った………っ!!勝ったぞぉぉぉぉぉお!!」
優勝した事による喜びと高揚から、大きな声を上げる椎名。そしてそれを遮るかのように数百万を超える観客達から轟音のような歓声が与えられた………
役目を終えたフレイドラモンはゆっくりとその場から姿を消失させた。
「めざし!!」
「!!」
司が椎名の元まで歩み寄って来た。
「……優勝、おめでとう……!!」
「へ??」
椎名は戸惑った。
それもそのはず、あの頑固でへそ曲がりな司が自分に「おめでとう」と言うばかりか握手まで求めるように手を差し出したのだから………
「へへ、なんだ、最後はやけに素直じゃない司!!」
だが、椎名はあっさりと受け入れて、司との握手を交わした。
「めざし……卒業後、俺はプロになる。テメェは一木花火と旅に出ると言っていたな……」
「あぁ」
「なら、いつかリベンジさせてもらう!!俺は更なる高みへと向かうぞ!!精々首を洗ってるんだな!!」
「なんだ、結局そう言う感じになるのね〜〜………へへ」
「フッ………」
最後に2人は微笑みあった。
それは友として、ライバルとして、絶妙な言葉のニュアンスによって固い友情を確かに確信した証拠であり………
鬼王ノヴァという異端な存在との戦いもありながら、第10回界放リーグは芽座椎名の優勝で幕を閉じた………
……それと同時に、芽座椎名と赤羽司は界放市の英雄として、これからの長い歴史に名を刻まれることとなった………
これにて、
芽座椎名の物語は完結した………
かに見えた………
******
第10回界放リーグが閉幕してから約半年が経過した。時期は7月。芽座椎名を始めとした第9期生はバトスピ学園を去り、それぞれの未来へと駆け出した………
そんな少し未来の話………
ー…
「椎名ちゃん、何見てんだ??」
どこかの街、大きな大都市、並び立つビルが彩る街並みにて………
芽座椎名と共に旅をしている茶髪の青年、一木花火はBパッドを眺めている椎名に聞いた………
「ん?…あぁいや、晴太先生と兎姫先生が結婚式を挙げたので、友達からその写真が送られて来たんですよ〜〜」
「あぁ、そういやあの2人結婚したんだよな……今考えてもよく結婚できたよな、晴太の奴」
「本当ですよね〜〜」
晴太を弟子に持つ花火は晴太の鈍感な性格を思い浮かべながら言った。確かによく結婚できたものである。
「さ、この街でやる事は終わったし、そろそろ違う街へ行こうか!!」
「はい!!」
話を切り替え、重たい荷物を背負う椎名と花火。
さて、次はいったいどこへ行くのやら………
「おっ……花火さん、ちょっと私用事できました!!」
「へ?……あ、ちょっと椎名ちゃん!?」
しかし、椎名は路地裏にある光景を目に移した途端に、そこへと走り出してしまう。
その光景とは…………
ー…
「か、返してください!!ぼ、僕のデッキ!!」
「ちょっとお金に変えてくるだけだって、悪いようにはしねぇよ!!ワッハッハ!!」
昼間だと言うのに暗めの路地裏。そこではまだどう見積もっても小学6年生くらいの黒髪の少年がチャラチャラしたガラの悪い男に自身のデッキを獲られかけていた……
こんな人影のあまりない路地裏。誰も助けに来るわけがない………
少年は絶望していた………
だが、そんな時だ。
暖かくて、優しい声が聞こえて来たのは………
「全く、どんなに街のセキュリティが高くても、こういう馬鹿は絶滅しないんだな……」
「あぁ!?なんだテメェ!!」
いつのまにか、その2人の間にはオレンジ頭の少女が立っていた。
「そんなにデッキが欲しいなら、私のデッキでもいるか?……ただし、私に勝てたらな。逆に私が勝ったらその子のデッキ、返してもらうぞ」
「ほぉ?…なんだヤケに自信があるんだなネェちゃんよ〜〜!!」
オレンジ頭の少女が不気味とも言える角度で口角を上げながらガラの悪い男に言った。ガラの悪い男はその申し出に承諾するつもりなのか、すぐさま自身のBパッドとデッキを構え、バトルの準備を行った………
「上等だゼェ!!やってやろうじゃんかよぉぉぉぉぉお!!」
「へへ……後悔すんなよ?」
オレンジ頭の少女もデッキを構え、バトルの準備を瞬時に行う。
ーゲートオープン、界放!!
薄暗い路地裏の中、コールと共にバトルスピリッツが幕を開けた………
******
「な、なんだ!!なんなんだお前は!?」
バトルが始まって数ターン。
ガラの悪い男はそのオレンジ頭の少女の圧倒的なバトルの強さに驚愕し、腰を抜かしていた。
「へへ……燃え上がる勇気、フレイドラモンを召喚!!」
少女の場に存在するのは騎士のような見た目のスピリット、デュークモン。そしてその直ぐ横にある街灯に着地したのは赤い炎を操るスマートな竜人型のスピリット、フレイドラモンだ。
「アタックステップ……デュークモンとフレイドラモンでアタック!!」
「ぐ、ぐぁぁぁぁあ!!!」
ライフ2⇨1⇨0
デュークモンの聖なる槍から繰り出される刺突とフレイドラモンの流星を思わせるような炎を身に纏った突撃がガラの悪い男のライフを全て砕いた。
これにより、オレンジ頭の少女の完勝でバトルは幕を閉じた………
「だから言ったろ?…後悔すんなよって」
オレンジ頭の少女がフレイドラモンとデュークモンの攻撃による爆発で転がって来た少年のデッキを手にしながらガラの悪い男に言った。
「ほれ、これ君のカードだろ??……ほんじゃな、大事にすんだぞぉ〜〜」
「え、あっはい!!」
オレンジ頭の少女が少年にデッキを手渡した。少年はそのオレンジ頭の少女のバトルに見惚れてしまっていてそれどころではなかったが、戸惑いながらも感謝の言葉を述べた………
そして、その去って行こうとするオレンジ頭の少女に向かって少年は聞いた………
「あ、あの!!……あなたのお名前はなんですか!!」
と、勢いよく、目を輝かせ、ワクワクした様子で………
オレンジ頭の少女は振り返り、少年の顔を見ると、微笑ましく笑いながらこう答えるのだった………
「私は芽座椎名!!……いつかこの世界で一番かっこいいカードバトラーになる奴の名前だから、しっかり覚えとけよ!!」
椎名は右の拳を突き出しながらその少年に言った………
芽座椎名の物語は………
まだまだ続く。
彼女が世界で一番かっこいいカードバトラーになる、その日まで………
『バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ』
ー完ー
《新作予告!!》
ここは幾億もの人々が住まうとある世界。そこには現実離れした広大なファタジーの景色が無限に広がっている。
舞台となるのはその世界の1つの国。その国の人間たちの身分は………
………最上位の『エックス』
………バトスピ貴族と呼ばれる『マスター』
………所謂平民である『レア』
………そして、最も貧しく、身分も低い『コモン』の4つに分けられていた。
そんなファンタジーの世界でも当たり前のように存在し、誰もが息をするように行うカードゲームがあった………
その名は『バトルスピリッツ』
この世界ではこのバトルスピリッツこそが至高であり、バトルスピリッツの優劣こそが絶対である……
そして、この国で最も強いカードバトラーを人々は『頂点王』と呼んだ。
「ソウルコアが無くてもオレは頂点王になる!!諦めないのがオレのバトスピだ!!…召喚、オレのライダースピリット、仮面ライダー龍騎!!」
これは何も無かった1人の少年の証明の物語。
『バトルスピリッツ コラボストーリーズ』
第1話絶賛公開中!!
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最後までお読みいただき、ありがとうございます!!
そして、約一年と半年の間、ご愛読くださり、ありがとうございました!!
『バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ』及び、その世界観の小説はここで一旦完結となりますが、次作である『バトルスピリッツ コラボストーリーズ』では、椎名など人気のあったキャラクターを一部名前と見た目を引き継いで参加させようと思っています!!
※コラボストーリーズはオーバーエヴォリューションズの世界観とは違います。
※『仮面ライダーバロン リンゴアームズ』の煌臨条件は【仮面&コスト5以上、バロン】ですので、問題なく煌臨できます。