バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

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EP4「獣神の弓、天馬の矢」

「…………」

 

 

場所はオーストラリア。一風変わった様々な動物達が生息するこの土地に、青年、一木花火はいた。

 

芽座椎名と共に旅をしている事でも知られている彼だが、何故1人でここにいるのか。それは今から5日前の話まで遡る。

 

 

 

******

 

 

「………芽座葉月が動き出した?」

《あぁ、花火さんもロイヤルナイツの『オメガモン』を所持している。必ず奴らはそれを狙ってやって来る。気をつけてくれ》

 

 

今ではすっかり今では妹分となっている芽座椎名。彼女からの一通の電話が、彼をオーストラリアに向かわせるきっかけとなったのだ。

 

 

《………後、これは私の勘なんだけど、ロイヤルナイツは13枚揃ったら何かが起こる》

「…………」

《今、バークって奴に調べてもらってる。何かがあってからじゃ遅い。花火さんは、絶対にオメガモンを守ってくれ》

 

 

椎名の声を聞き取り、花火は「ふむ」と呟き、少しの間考える。

 

 

「………実は最近、プロリーグ中に面白い噂を聞いたんだけどさ。何でも、オーストラリアの『エアーズ・ロック』にロイヤルナイツのカードがあるんだと」

《!!》

「丁度プロリーグは終わったし、今からオレがそっちに行ってみようか?……椎名ちゃんの勘は、よく当たるしな」

《でも………》

「気にする必要はねぇよ。ちょっくら行って、探して来るだけだよ…………それに、君だけに無茶はさせられないしな」

《………すまない花火さん、じゃあオーストラリアの方は頼みます》

「……あぁ」

 

 

こうした一連の流れもあって、彼はこうしてオーストラリアの荒野をただひたすら歩いていた。目指す先はオーストラリア名所の1つ『エアーズ・ロック』と言う高さ300メートルにも及ぶ大きな一枚岩だ。

 

 

******

 

 

「おぉ〜〜……これがエアーズ・ロック。流石に間近で見るとすげぇ迫力だな。朝方に見たかったぜ」

 

 

そしてたった今、花火はそこに到着した。絶景と呼ばれるその岩壁は、確かに見事なモノである。

 

 

「てか、着いたはいいものの、こっからどうやって探せばいいんだ………取り敢えず周りを一周してみるか?」

 

 

ロイヤルナイツのカードを探すために、噂を辿ってここまでやって来た花火であったが、肝心の場所はわからず、取り敢えず周りをぐるっと一周して見ようと考える。

 

 

「!」

 

 

しかし、その第一歩を踏み出す直前、彼のデッキから1枚のカードが、光を帯びて飛び出して来た…………

 

 

「オメガモン??」

 

 

花火の持つロイヤルナイツ、オメガモン。そのカードが、何かに強く反応を示すかのように、彼のデッキから飛び出して来たのだ。

 

決してそれは初めての事ではない。オメガモンが自分の目の前に飛び出して来る時は、いつも決まって何かが起こる時、そう考えている花火は、直感的にオメガモンのカードを手に取り、身構える。

 

 

「………地震!?」

 

 

オメガモンに反応するように…………

 

いや、どちらかと言うと、ロイヤルナイツ同士の共鳴に同調するかの如く、大地が揺れ動く。

 

そして、エアーズ・ロックの頂上から小さな亀裂が生じ、そこからある2枚のカードが飛び出して来た。おそらくロイヤルナイツであろうそれらは、オメガモンと同様に光を帯びながら、花火の元へとやって来た…………

 

その名は…………

 

 

「『デュナスモン』と『ロードナイトモン』………!!」

 

 

どちらも13種存在する、ロイヤルナイツの一柱。花火はロイヤルナイツのカードがあると言う伝説じみた噂は聞いていたものの、まさか2枚も発見できるとは思ってもいなかったみたいで………

 

 

「どっちも伝説に名を連ねるロイヤルナイツだ………噂も信じてみるもんだぜ、まさか本当に見つかっちまうなんて、しかも2枚」

 

 

オメガモンのカードをそっとデッキにしまいながら、そう呟く花火。その様子から、岩からカードが飛び出して来た事自体には驚いていないのがわかる。

 

世間的には有名ではないが、彼もまた椎名と肩を並べる世界のために戦った歴戦の戦士のリーダーの1人。こう言った少し変わった異変には慣れているのだろう。

 

 

「よし、じゃあ一旦椎名ちゃんに連絡して………」

「ステイ。オメガモンの所持者、一木花火……!!」

「!!」

 

 

浮遊するデュナスモンとロードナイトモンのカードを眺めながら、椎名に連絡しようとした花火。だがその直前に、ある1人の少女の声が、その耳を通過して…………

 

 

「君は………」

「私は芽座葉月様にお支えする、三聖騎シスターズの1人にして、そのリーダー『スイート・サンダーボルト』…………葉月様のため、貴方の持つロイヤルナイツ、オメガモンを頂戴しに参りました」

「ドストレートだな」

 

 

肩に掛かった金髪が特徴的な彼女の名は『スイート・サンダーボルト』…………

 

大人びている印象を受けるが、見た目は精々17歳程度と言った所か、他の2人よりかは若干上ではあるようだ。そんな彼女の口振りや雰囲気、佇まい、何より芽座葉月にお支えすると言う言葉から、花火は早速彼女を敵だと認識する。

 

 

「………芽座葉月はこんな女の子まで使ってロイヤルナイツを……」

「貴方に同情される覚えはありません。私は、私が好きでロイヤルナイツを集めているのです………全ては葉月様のために」

「………」

「さぁ、早くそこの2枚のロイヤルナイツとオメガモンのカードを渡すのです。さもなければ、痛い目を見ますよ?」

 

 

Bパッドを展開し、己のデッキをセットしながらそう告げるスイート。ロイヤルナイツを誰よりも欲する葉月に忠誠を誓っている彼女が求めている物は、目先に映る新たに出現した、宙に浮かぶ2枚のロイヤルナイツと、花火のデッキにあるであろうオメガモンのみ…………

 

女の子とカードを賭けてバトルするなど、気が引けていた花火であったが、彼女の覚悟や忠誠心を聞くなり、自然と自分もBパッドを展開し、デッキをセットした。

 

 

「あら、痛い目を見る気ですか?………言って置きますけど、私はそこら辺のプロのカードバトラーよりは強いですよ」

「ふ………そこら辺のプロか………いいぜ、ロイヤルナイツを賭けて、オレとバトルだ」

 

 

仮にもロイヤルナイツであるオメガモンに選ばれている花火を『そこら辺のプロ』と吐き捨てるスイート。余程自分の腕に自信があると思われる。

 

その後、2人は一定の距離を取り、バトスピのゲームにおいて、初手となる4枚のカードをドローした…………

 

 

………ゲートオープン、界放!!

 

 

オーストラリアの誇る巨大な一枚岩、エアーズ・ロックの麓で、伝説のデジタルスピリット、ロイヤルナイツのカード達を賭けて、プロのカードバトラーの青年、一木花火と、芽座葉月に忠誠を誓う三聖騎シスターズのリーダー、スイート・サンダーボルトのバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先行はスイートだ。

 

 

[ターン01]スイート・サンダーボルト

 

 

「メインステップ………私はネクサス、夢中漂う桃幻郷を配置」

 

 

ー【夢中漂う桃幻郷】LV1

 

 

殺風景なエアーズ・ロックの周囲を掻き消すかのように、スイートの背後には幻想の世界が広がって行く。

 

 

「ターンエンド」

手札:4

場:【夢中漂う桃幻郷】LV1

バースト:【無】

 

 

「黄色のデッキか」

 

 

次は花火のターン。スイートの配置したネクサスカードにも注意しつつ、それを開始して行く。

 

 

[ターン02]一木花火

 

 

「メインステップ!!……相手が黄色のデッキなら、先ずは序盤の殴り合いを制す………来い、ロクケラトプス、アシガルラプター!!」

 

 

ー【ロクケラトプス〈R〉】LV2(2)BP5000

 

ー【アシガルラプター】LV1(1S)BP2000

 

 

花火の場に出現したスピリットはいずれも小型の赤属性のスピリット。四足歩行に立派な三本角を持つロクケラトプスと、足軽のような軽装を身に纏った二足歩行の恐竜、アシガルラプターだ。

 

 

「ロクケラトプスにアシガルラプター……随分と古いカードを使うのね、流石は今年で33歳」

「年齢言うな!……後、桃幻郷なんか使ってる奴が言えるセリフじゃねぇぞ!!………アタックステップ、ロクケラトプスとアシガルラプターでアタック!!………アシガルラプターの効果で1枚ドロー」

 

 

動き出す2体のスピリット。アシガルラプターには自身の上にソウルコアが置かれている時、アタック時にデッキから1枚ドローできるため、花火は1枚のカードを引く。

 

 

「……アタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4➡︎3〉スイート・サンダーボルト

 

 

ロクケラトプスの突進が、アシガルラプターの噛み付く攻撃が、それぞれ1つずつスイートのライフバリアを破壊した。

 

 

「ターンエンド」

手札:4

場:【ロクケラトプス〈R〉】LV2

【アシガルラプター】LV1

バースト:【無】

 

 

できる事を全てやり終え、ライフの差で優位に立った花火は、そのターンをエンドとする。

 

 

[ターン03]スイート・サンダーボルト

 

 

「メインステップ………ガトーブレパスを2体、LV2で連続召喚」

 

 

ー【ガトーブレパス】LV2(2)BP2000

 

ー【ガトーブレパス】LV2(2)BP2000

 

 

「夢中漂う桃幻郷の効果で、想獣スピリットが召喚されたので1枚ドロー、これを2回」

 

 

スイートの場に出現したのは、黒い翼の生えた牛のようなスピリット。それが2体揃い、互いに共鳴するように小さな雄叫びを上げた。

 

 

「ガトーブレパスはマジで人の事言えないじゃん」

「アタックステップ!!……ガトーブレパス2体で攻撃!!」

 

 

スイートは前のターンの花火同様、2体のスピリットでフルアタックを仕掛ける。これに対し、花火は…………

 

 

「2体ともライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4➡︎3〉一木花火

 

 

軽やかに走る2体のガトーブレパス。それぞれ突進していき、花火のライフバリアを1つずつ砕いて行った。

 

さらに、ガトーブレパスはそれだけでは終わらない。

 

 

「ガトーブレパスの【聖命】………アタックによってライフを減らした時、私のライフ1つを回復する」

 

 

〈ライフ3➡︎4➡︎5〉スイート・サンダーボルト

 

 

「これで元通り」

「…………やるな」

 

 

ガトーブレパス2体分の力により、一気に2つのライフが回復。花火とのライフアドバンテージを取り戻すどころか、そのまま抜き去ってしまう。

 

 

「ターンエンド。序盤の殴り合い、制する事はできなかったみたいだけど、どう?」

手札:5

場:【ガトーブレパス】LV2

【ガトーブレパス】LV2

【夢中漂う桃幻郷】LV1

バースト:【無】

 

 

「へっ……痛い所突いて来るな〜〜………だけど安心しな、やられたら、ちゃんとやり返してやるぜ」

 

 

花火のターン、彼の反撃が幕を開けて行く。

 

 

[ターン04]一木花火

 

 

「メインステップ!!……アグモンを召喚!!」

 

 

ー【アグモン】LV3(4)BP6000

 

 

花火の場に呼び出されたのは、デフォルメされた肉食恐竜のような見た目に、黄色い体表を持つ、赤属性の成長期デジタルスピリット、アグモン。

 

 

「召喚時効果で2枚オープン、その中にある対象のカードを1枚手札に加える…………よし、オレはグレイモンのカードを加える」

「アレが一木花火のデジタルスピリット、その原点……アグモンか」

 

 

さらに花火は、ここからだと言わんばかりの勢いで、アタックステップを宣言して…………

 

 

「アタックステップ!!………アグモンの【進化:赤】を発揮!!……自身を手札に戻し、成熟期スピリット、グレイモンに進化だ!!」

 

 

ー【グレイモン】LV3(4)BP7000

 

 

アグモンが0と1のコードに身を包まれていき、その中で姿形を大きく変えて行く。やがてそれらを弾け飛ばしながら姿を現したのは、三本の頭角を持つ肉食恐竜型、グレイモン。

 

 

「グレイモンでアタック!!……その効果でBP5000以下のスピリット1体を破壊する事で1枚ドロー……オレはガトーブレパス1体を破壊!!」

「!!」

 

 

グレイモンはその効果により、口内より燃え滾る火球を放つ。ガトーブレパス1体は、それに被弾してしまい、たちまち爆散した。

 

 

「まだ行くぜ、グレイモンのもう1つのアタック時効果【超進化:赤】を発揮!!……完全体のメタルグレイモンに進化だ!!」

 

 

ー【メタルグレイモン】LV3(4)BP11000

 

 

グレイモンが更に0と1のコードに身を包まれていき、その姿を変化させて行く。そして再び爆誕したのは、左半身が完全にサイボーグと化し、歴戦の戦いを感じさせる翼を携えた完全体のグレイモン、メタルグレイモンだ。

 

 

「召喚時効果……BP12000以下のスピリット1体を破壊する」

「!!」

「残ったガトーブレパスを破壊、ギガデストロイヤー!!」

 

 

メタルグレイモンは登場するなり、胸部のハッチを開き、そこから凶弾を放つ。それは一直線にガトーブレパスの元へと飛んで行き、被弾、爆散していき、スイートのスピリットを全て蹴散らした。

 

 

「続けて行くぞ……メタルグレイモンでアタック!!」

「………ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉スイート・サンダーボルト

 

 

スイートのライフバリアに急接近するメタルグレイモン。左腕に施された強靭にして鋼鉄のアームで、それを1つ砕いて見せる。

 

だが直後、スイートは涼しい表情を崩す事なく、誘発条件を満たしたカードを手札から提示して…………

 

 

「私のライフが減った事により、手札からエジットの天使モニファーエルの効果発揮………トラッシュに黄色1色のカードが1枚以上ある時、このカードのバーストを発動できる」

「!!」

「私のライフを1つ回復し、この効果発揮後、召喚します。現れなさい………モニファーエル!!」

 

 

〈ライフ4➡︎5〉スイート・サンダーボルト

 

 

ー【エジットの天使モニファーエル】LV3(3)BP7000

 

 

再びスイートのライフが5まで回復する。そしてそれと同時に、美しい純白の翼を持つ、褐色肌の天使、モニファーエルが地上へと降り立った。

 

 

「今度は天霊か。器用な子だな」

「貴方がガトーブレパスを破壊しながら突っ込んで来るのはお見通しです。さぁどうします?……残ったスピリットでは、このモニファーエルは倒せないみたいですけど」

「あぁ、このターンはエンドにするよ」

手札:6

場:【メタルグレイモン】LV3

【ロクケラトプス〈R〉】LV2

【アシガルラプター】LV1

バースト:【無】

 

 

残ったロクケラトプスとアシガルラプターでは、スイートの召喚したモニファーエルには勝てない上に、フルアタックしても彼女のライフは削りきれない。無謀かつ無策なアタックはせず、花火はそのターンを終えた。

 

 

[ターン05]スイート・サンダーボルト

 

 

「メインステップ………白猿のシャラバを2体、連続召喚」

 

 

ー【白猿のシャラバ】LV2(2)BP3000

 

ー【白猿のシャラバ】LV2(2)BP3000

 

 

「夢中漂う桃幻郷の効果、この召喚に合わせて、それぞれ1枚枚ずつ、デッキからカードをドロー」

 

 

メインステップ開始早々にスイートの場に2体並んだのは、デフォルメされた白く、小さな猿型スピリット、シャラバ。これもまた系統に「想獣」を持っているため、夢中漂う桃幻郷の効果により、彼女はまたドローを重ねる。

 

そしてそのドローカードの中にお目当てのカードが有ったか、口元は緩み、「くすっ」と笑みを見せる。

 

 

「ロイヤルナイツの中でも最強格と言われている葉月様のアルファモン。それと同等の力を持つとされるオメガモンを拝む事ができなくなるのは残念ですが………いいでしょう。終わりにして見せますよ、このバトル」

「ッ………来るのか」

 

 

空気が変わるのを感じた。今から来るのは間違いなくスイート・サンダーボルトのエース。おそらくはロイヤルナイツの1体だ…………

 

 

「獣神の弓、天馬の矢……暗闇を祓え!!……ロイヤルナイツ、スレイプモン!!……モニファーエルを対象に、煌臨!!」

「!!」

 

 

ー【スレイプモン】LV3(3)BP17000

 

 

スイートの背後、遥か遠くより、フィールド目掛けて何者かが駆け抜けていく。やがてそれは高く跳び上がると、同じくして飛び上がったモニファーエルと共に光となり、重なり合い、1つとなる。

 

こうして誕生したのは、赤い装甲に身を纏う、ケンタウロスのような姿をしたロイヤルナイツの1体、スレイプモン。口上通り、獣神の弓と天馬の矢を携え、スイートの場へと顕現した。

 

 

「……これがロイヤルナイツ、スレイプモン」

「葉月様に仕える、私のエースカード………アタックステップ!!……行きなさい、スレイプモン!!」

 

 

スイートの指示を聞くなり、スレイプモンは疾風の如く、フィールドを駆け抜けて行く。

 

そしてこの時、その強力無比なアタック時効果が、花火に襲い掛かる。

 

 

「アタック時効果!!……相手スピリット1体のBPをマイナス20000。0になった時破壊する」

「!」

「対象はアシガルラプター……消えなさい」

 

 

スレイプモンが獣神の弓より天馬の矢を放ち、花火の場にいるアシガルラプターを射抜く。伝説のロイヤルナイツからの一撃に耐えられるわけもなく、アシガルラプターはあっさり撃沈し、爆発四散。

 

 

「さらに、この効果で破壊した時、このバトル中、このスピリットに黄のシンボルを1つ追加」

「ッ……自前でダブルシンボルになった!?」

 

 

フィールドを駆け抜けるスレイプモンに、宝石のパールを模した、黄色のシンボルが1つ追加される。これによりスレイプモンはダブルシンボルになり、一撃で花火の2つのライフを射抜ける状態となった。

 

だが、これだけでは終わらなくて…………

 

 

「スレイプモンのもう1つのアタック時効果、相手のスピリット1体に指定してアタックができる………対象はもちろん、メタルグレイモン!!」

「なに………疲労状態のメタルグレイモンは相手のスピリット効果は受けないぞ」

「百も承知です。スレイプモンの指定アタック効果は、相手の効果では防げない………そして、バトル終了時、このスピリットのシンボル分のダメージを相手に与えます………!!」

「ッ………!!」

 

 

スイートの狙いはおそらくメタルグレイモンを指定アタックで倒しつつ、花火のライフを一気に2つ破壊し、圧倒的な優位性に立つ事。

 

フィールドでは、メタルグレイモンを射抜こうと弓を引き、矢を飛ばすスレイプモン。メタルグレイモンはそれに気づき、左腕のアームでそれらを弾き返す。

 

しかし、攻撃を防ぐ事に夢中になる余り、スレイプモンの接近を許してしまう。スレイプモンはそのまま前脚蹴りでメタルグレイモンを大きく突き飛ばした。

 

 

「………そう安易と負けてたまるか。フラッシュ、オレも【煌臨】を発揮!!……対象はバトル中のメタルグレイモン!!」

「!!」

 

 

突き飛ばされたメタルグレイモンは、空中で体勢を整え着地。直後に爆音の咆哮を上げ、それと共鳴するかの如く周囲から爆炎が吹き荒れる。

 

そしてメタルグレイモンは、それらを自身の体内へと吸収していき、新たな進化を遂げて行く…………

 

 

「鋼鉄の竜よ、今こそ最強の竜戦士となりて敵を討て!!………究極進化、ウォーグレイモンッッ!!」

 

 

ー【ウォーグレイモン】LV3(4)BP16000

 

 

メタルグレイモンが煌臨、究極進化したのは、グレイモン系列のデジタルスピリットの中では最高クラスの力を有すると言われている、竜戦士、ウォーグレイモン。

 

世界的にも有名な、一木花火のエースカードで、デジタルスピリットがこの世界に浸透し始めた時のカードでもあるため、それら全ての「顔」とも呼べる存在でもある。

 

 

「……ウォーグレイモン。オメガモンの左側が来たわね」

「煌臨時効果、合計BP15000まで、相手スピリットを好きなだけ破壊する」

「しかし、スレイプモンのBPは17000。その効果では倒せませんよ」

「わかってるさ!!……オレは、BP3000の白猿のシャラバ2体を破壊する。大玉ガイアフォース!!」

 

 

登場するなり、ウォーグレイモンは両掌を合わせ、その間に炎の火球を形成、徐々にその間隔を広げていき、炎の火球もそれに合わせて肥大化して行く。

 

極限まで肥大化させると、ウォーグレイモンは遂にそれを全力投球。スレイプモンはヒラリとかわすが、残った白猿のシャラバ2体はそうはいかない。避けるままなく直撃し、焼き尽くされた。

 

しかし、スイートはそれでも依然として涼しい表情を見せており………

 

 

「………甘いですね。このスレイプモンを倒さない限り、貴方に勝ち目はありませんよ?」

 

 

煌臨スピリットは、煌臨元となったスピリットから全ての情報を引き継ぐ。

 

それ故、今、ウォーグレイモンは煌臨元となったメタルグレイモンの情報を引き継いでいるため、スレイプモンとのBPバトルの最中なのである。

 

スレイプモンの弓より、彗星の如く放たれる矢を、ドラモンキラーと呼ばれる近接武器で全て難なく弾き返すウォーグレイモン。そのままそれを討たんとした勢いで前進して行く。

 

 

「フラッシュマジック、エクスキャベーション!!」

「!!」

「不足コストはロクケラトプスから確保。よって消滅…………効果により、ウォーグレイモンのBPをプラス3000!!」

 

 

ー【ウォーグレイモン】BP16000➡︎19000

 

 

「これで合計19000!!……スレイプモンのBPを上回ったぜ」

 

 

コア不足により、ロクケラトプスは消滅してしまうものの、ウォーグレイモンは瞬間的にオーラを纏い、そのBPが助長される。

 

パワーアップしたウォーグレイモンはさらに勢いを増して突き進み、遂にスレイプモンの懐へと飛び込んだ。そしてその腕に装着されているドラモンキラーが、スレイプモンに突き刺さろうとした直後だ。

 

スイートもまた、手札から1枚のカードを切ったのは…………

 

 

「そんな小学生みたいな戦法で、よくこの私に勝てると思いましたね…………フラッシュマジック、サンダーブランチ!!」

「!!」

「このターンの間、相手スピリット全てのBPを2000として扱います。これでウォーグレイモンのBPはエクスキャベーションのBP加算を合わせても5000………スレイプモンの敵ではありません!!」

 

 

ー【ウォーグレイモン】BP5000

 

 

スレイプモンにトドメを刺す直前、突如として落ちて来た落雷に撃たれ、BPを弱体化させられてしまう。

 

そしてその一瞬の隙を突き、スレイプモンは超近距離から灼熱の矢を放ち、ウォーグレイモンの腹部を射抜く。ロイヤルナイツの渾身の一撃により、ウォーグレイモンは倒れ、爆発四散した。

 

 

「ウォーグレイモン!!」

「そしてバトル終了時、スレイプモンのシンボル分、2点のダメージを与える!!」

「ぐっ………ぐおっ」

 

 

〈ライフ3➡︎1〉一木花火

 

 

ウォーグレイモンを倒した勢いで、花火にも灼熱の矢を放つスレイプモン。その放たれた矢は一直線に彼のライフバリアを射抜き、2つも破壊した。

 

これで彼の残りライフはたったの1。対するスイートのライフは初期値と変わらない5。エースカード同士の対決にも敗北してしまった事から、絶望的な差が開いてしまったと言える。

 

 

「ターンエンド。オメガモンが出てなければこんなもんよね。ロイヤルナイツでもない究極体が、ロイヤルナイツに勝てるわけがない」

手札:3

場:【スレイプモン】LV3

【夢中漂う桃幻郷】LV1

バースト:【無】

 

 

「よし、オレのターンだな」

「…………」

 

 

絶望的な状況であるはずだと言うにも関わらず、淡々と自分のターンを進めようとする花火。そんな彼を見て、スイートは「なぜそんなにヘラヘラしていられる」と、内心で疑問を抱く。

 

確かな戦力差、圧倒的な力を、プレイングを見せつけたと言うのに、何故この男はこんなにも余裕に溢れているのだ…………と。

 

そんな彼女の疑問は解決されぬまま、一木花火のターンが幕を開けた。

 

 

[ターン06]一木花火

 

 

「メインステップ……アグモンをLV2で召喚」

 

 

ー【アグモン】LV2(3S)BP5000

 

 

前のターンに【進化】の効果で花火の手札に戻っていたアグモンが再度召喚される。その効果で、デッキからカードがオープンされるも、対象カードは無し、1枚も手札を増やさないまま、それは全てトラッシュへと破棄された。

 

 

「マジック、バスタースピア。ネクサス1つを破壊し、デッキから2枚のカードをドロー」

「………」

「オレは君のネクサス、桃幻郷を破壊して、2枚ドロー」

 

 

灼熱の炎を纏う槍が、スイートの背後にある桃幻郷に突き刺さる。それにより桃幻郷は消滅、花火はデッキから2枚のカードをドローした。

 

 

「続けてマジック、リバイヴドロー………トラッシュにあるウォーグレイモンを手札に戻す」

「ウォーグレイモンを手札に?」

 

 

続け様のマジックカードの効果により、花火は自身の手札にウォーグレイモンを再び手繰り寄せる。

 

 

「アタックステップ………アグモンの【進化:赤】……グレイモンに進化だ」

 

 

ー【グレイモン】LV2(3S)BP5000

 

 

アグモンは0と1のコードに包まれ、再び進化を果たし、グレイモンとなる。

 

グレイモン自体は、強力なデジタルスピリットに違いないが、スイートのロイヤルナイツの称号を冠するスレイプモンと比べると、そこには天と地程の差がある。

 

 

「アタックステップは続行………行け、グレイモン!!」

「ふん。たかだか1体のみのアタック………ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉スイート・サンダーボルト

 

 

突進して行くグレイモン。その立派な三本の頭角を活かし、スイートのライフバリアを1つ破壊した。

 

だが、それでもまだ花火が勝つには、彼女のライフを後4つ破壊する必要があって……………

 

 

「オレのターン、エンドだ」

手札:5

場:【グレイモン】LV2

バースト:【無】

 

 

「やはりその程度か、一木花火。所詮はただのプロバトラー………芽座椎名の足元にも及ばないようね」

「いや〜〜はっはっは。確かに椎名ちゃんよりかは弱いかもな〜〜」

「何をヘラヘラしてるのですか。今から負けると言うのに」

「………そっちこそ、何をイライラしてるんだ?」

「…………」

 

 

こんなふざけた奴とバトルしていたら、こっちまで変になって来そうだ。そう思ったスイートは、巡って来た自分のターンを開始して行く。

 

全ては一木花火に勝つため、ロイヤルナイツを得るため、そして、彼女が心から愛している芽座葉月のため…………

 

 

[ターン07]スイート・サンダーボルト

 

 

「メインステップ………は、もう要らない。そのままアタックステップ!!……駆け抜けろ、スレイプモン!!」

「………」

「その効果でグレイモンのBPをマイナス20000!!……破壊して、黄のシンボルを1つ追加!!」

 

 

スレイプモンの天馬の矢に射抜かれるグレイモン。他のスピリット達同様、撃沈し、大爆発を起こす。

 

これで花火の場のカードは0。ライフも0にせんと言わんばかりに、スレイプモンが彼の方へと疾走する。

 

 

「これで終わりよ!!……大人しく、葉月様の礎となりなさい!!」

「いや、まだだ。オレは手札からブラックウォーグレイモンの効果を発揮!!」

「!?」

「相手のBP8000以上のスピリットがアタックしている間、このスピリットを1コスト支払って召喚できる………来い、ブラックウォーグレイモン!!」

 

 

ー【ブラックウォーグレイモン】LV1(1)BP9000

 

 

花火の危機に合わせてフィールドに出現したのは、その名の通り黒いウォーグレイモン、ブラックウォーグレイモン。

 

しかし、ウォーグレイモンと同じく強力なデジタルスピリットではあるが、コア不足により、そのLVは1止まり。もっと言ってしまえば、仮にLVが最大であったとしても、ロイヤルナイツのスレイプモンには届かない…………

 

 

「今更その程度のスピリット………忘れたの?……スレイプモンはアタックしたバトルの終了時に、自身のシンボル分のダメージを相手に与える」

「…………」

「………そいつごと貫いて、今度こそチェックメイトよ」

 

 

この程度では止まらない、止められない。

 

スイートのロイヤルナイツへの執念と芽座葉月への愛情は、ブラックウォーグレイモンだけでは止める事など不可能。

 

だがそれは、飽くまでもブラックウォーグレイモンだけではの話である。花火はこのピンチ、逆境を楽しむかのように口角を上げ、手札から1枚のカードを切った。それは、新たな進化の兆し…………

 

 

「フラッシュ【煌臨】発揮、対象はブラックウォーグレイモン」

「ッ……【煌臨】!?……またウォーグレイモンか。そんなスピリットでいくら戦いを挑んでも、私のスレイプモンには………」

「誰が、ウォーグレイモンって言った?」

「!!」

「オレが呼ぶのはコイツだ………黒き竜戦士よ、今こそ真紅の鋼鉄竜へ覚醒せよ!!………煌臨、ブリッツグレイモンッッ!!」

 

 

ー【ブリッツグレイモン】LV1(1)BP9000

 

 

ブラックウォーグレイモンの上から、真紅の装甲が次々と装着されて行く。こうして新たに爆誕したのは、真っ赤に染まる新たなるグレイモンの境地、ブリッツグレイモン。

 

ウォーグレイモンとは違い、その腕には、近接用武器ドラモンキラーではなく、電流火器プラズマステークが施されている。

 

 

「ブリッツグレイモン!?……聞いた事がないデジタルスピリットだ」

「これがオレのグレイモンデッキの、新たな力だ」

「し、しかし……LVはたったの1。それではスレイプモンは倒せない……!!」

 

 

新たなるグレイモン、ブリッツグレイモンの登場に動揺が隠せないスイート。だがまだ、ロイヤルナイツのスレイプモンがいる限り、自分に負けはないと、絶対的な自信があるようだ。

 

そんな彼女を一蹴するように、「それはどうかな?」と、花火は笑みを浮かべる。

 

今こそ反撃の時…………

 

 

「ブリッツグレイモンの煌臨時効果、トラッシュにあるソウルコアを戻し、BP15000以上のスピリット1体を破壊する!!」

「な、なんですって………15000以上!?」

「あぁ、よって、BP17000のスレイプモンを破壊する………プラズマステーク!!」

 

 

ブリッツグレイモンは背中にあるバーニアで、スレイプモン目掛けて飛翔する。スレイプモンはブリッツグレイモンを撃ち落とさんと、灼熱の矢を何本も放つが、ブリッツグレイモンはそのドッシリとした真紅のボディで傷一つ付かない。

 

そして獣神の弓を弾き、スレイプモンの懐に潜り込んだブリッツグレイモンは、両腕の電流火器から赤い稲妻をスレイプモンの体内に流し込んでいく……………

 

流石のロイヤルナイツも、この攻撃には耐えられなかったか、悲鳴を上げながら、大爆発してしまい、最期を迎える。

 

 

「さらに、グレイモンに煌臨していたら、デッキから2枚のカードをドローする」

「そ、そんな………ロイヤルナイツでもないスピリットに、ロイヤルナイツのスレイプモンが負けるなんて………」

「へっ……工夫さえすれば、勝てないスピリットなんて、この世に存在しないのさ」

「くっ………ターン、エンド」

手札:4

バースト:【無】

 

 

圧倒的優位だったはずの状況が一変。ブリッツグレイモンと言う、予想外のグレイモンの登場により、ロイヤルナイツ、スレイプモンを失い、逆に追い詰められてしまったスイート。

 

致し方なく、そのターンをエンドとする。

 

次は花火のターンだ。ブリッツグレイモンがまた動き出す。

 

 

[ターン08]一木花火

 

 

「メインステップ………ブリッツグレイモンのLVを3に上げる」

 

 

ー【ブリッツグレイモン】(1➡︎5S)LV1➡︎3

 

 

このターンに返って来たコアを使い、ブリッツグレイモンのLVを上げる。そのBPも上昇し、ウォーグレイモンと並ぶ16000となった。

 

 

「アタックステップ………行け、ブリッツグレイモン!!」

「くっ……」

 

 

花火からの命を受け、再び背中のバーニアで飛翔するブリッツグレイモン。今度の狙い先は、もちろんスイートのライフだ。

 

そしてその直後、花火は勝利を決定的にすべく、すぐさま手札のカードを切って…………

 

 

「フラッシュマジック、ガイアフォース」

「!!」

「効果により、ブリッツグレイモンを回復」

 

 

使用したマジックカードの効果により、アタック中のブリッツグレイモンは回復状態となる。これにより、このターンは2回目のアタックが可能となった。

 

このタイミングでこのカードを使用した、という事は、相応の意味があるのは間違いない。

 

 

「………ライフで受ける」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉スイート・サンダーボルト

 

 

ブリッツグレイモンは電流火器を装備した事により、極太となったその腕を、スイートのライフバリアへと叩きつけ、それを1つ砕いた。

 

 

「まだ続くぞ!!……アタックしたバトル終了時、追加でもう1つ、ライフをリザーブに置く!!」

「ッ………なに!?………ぐ、ぐぁっ!?」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉スイート・サンダーボルト

 

 

スレイプモンを下した電流火器プラズマステークの一撃が、スイートのライフバリアにも突き刺さる。そのライフは遂に半数を切り、たったの2となった。

 

しかもブリッツグレイモンは、ガイアフォースの効果でアタックしても尚回復状態。もう一撃それのアタックを食らって仕舞えば一環の終わり。

 

そう思い至った彼女は、反射的に手札から1枚のカードを切った…………

 

 

「わ、私のライフが減った時、手札から絶甲氷盾の効果を発揮!!」

「!!」

「このアタックの終了が、このターンのエンドになる!!」

「ッ………これでもまだ耐えれるのか」

 

 

彼女の残ったライフバリアから、半透明のバリアが飛び出して来る。ブリッツグレイモンはそれに弾かれ、花火のフィールドへと戻される。

 

 

「………ターンエンドだ」

手札:5

場:【ブリッツグレイモン】LV3

バースト:【無】

 

 

絶甲氷盾の効果に阻まれ、花火は致し方なくそのターンをエンドとする。しかし『辛うじて凌いだ』と言う言葉がピッタリなこの状況、明らかにスイートに不利な状況が続いている。

 

最早、このバトルの勝利は一木花火も同然だ。

 

しかし、それでもまだ、スイートは自分の勝利を諦めてはいなくて…………

 

 

「ハァッ………ハァッ………!!」

「………1つ聞かせてくれ、なんで君はロイヤルナイツのために、芽座葉月のためにそこまでするんだ?」

 

 

追い詰められても尚、おそらく芽座葉月のために戦うのをやめないスイートに、花火が訊いた。その疑問、質問は、彼女にとっては愚問に等しい。

 

 

「………当然よ。だってあの人は、私の命の恩人…………落ちぶれ貴族の娘で、ゴミ同然だった私に居場所を、家族をくれたのだから」

「それが例え、ロイヤルナイツのためなら平気で人を傷つけるような、悪人でもか」

「あの人は、悪人なんかじゃない!!………貴方達に何がわかる!!……貴方や芽座椎名みたいに、ただバトスピ楽しんでいるだけでいい人達に、何が!!」

「……!!」

 

 

無神経な言葉を使ってしまったか、無自覚ながらもスイートの怒りを逆撫でる言動を口走ってしまった花火。

 

スイートは怒りのまま、己の巡って来たターンを進めて行った。

 

 

[ターン09]スイート・サンダーボルト

 

 

「メインステップ!!……白猿のシャラバ、ガトーブレパス、モニファーエルの3体を連続召喚!!」

 

 

ー【白猿のシャラバ】LV2(2)BP3000

 

ー【ガトーブレパス】LV3(3)BP3000

 

ー【エジットの天使モニファーエル】LV3(3)BP7000

 

 

残りライフ1つの花火にトドメを刺すべく、スイートは手札から全てのスピリットカードを展開。今回のバトルで見えたスレイプモン以外のスピリット達が、それぞれ1体ずつ場に出揃った。

 

 

「アタックステップ!!……行きなさい、私のスピリット達!!」

 

 

さっきまでの余裕は、もうどこにもない、切羽詰まる様子で、全てのスピリット達に攻撃を指示する。

 

 

「………悪いな。君がどんなに勝ちたくても、オレにだって負けられない理由がある………フラッシュ【煌臨】発揮、対象はブリッツグレイモン!!」

「!!」

「来い、ウォーグレイモン!!」

 

 

ー【ウォーグレイモン】LV3(4)BP16000

 

 

ブリッツグレイモンはその真紅の装甲をパージし、ウォーグレイモンの姿へと変化を遂げる。そして当然ながら、その効果も使用可能だ。

 

 

「煌臨時効果、BP15000まで、相手スピリットを好きなだけ破壊する!!………君の場の全てのスピリットを破壊だ!!」

 

 

ウォーグレイモンは両掌から再び巨大な火球を生成し、投擲。

 

まるで隕石のように降り注ぐそれは、スイートの展開したスピリット達を、一匹残らず焼き尽くすには余りにも十分過ぎた。

 

 

「く、クソッ………ターン、エンド」

手札:1

バースト:【無】

 

 

…………『強過ぎる』

 

スイートは花火に対してそう思った。大した事ないと見下していたが、素の大らかな性格が幸いしているのか、その途方もない強さに、全く持って気が付かなかった。

 

見ただけで強者だとわかるオーラを放つ、芽座椎名や葉月とは違う。また異なる強さが、彼の中にはあるのだ。それは、実際に彼と対面し、バトルしなければわからない、不思議で、特別なモノ…………

 

 

「オレのターンだな」

 

 

スイートが自分に戦慄してる事など知らず、花火は迎えた自分のターンを開始して行く。

 

 

[ターン10]一木花火

 

 

「メインステップ………ソウルコアを支払い、アグモンを召喚」

 

 

ー【アグモン】LV3(4)BP6000

 

 

このバトルでは三度目の登場となるアグモン。コストの支払いにソウルコアを払ったため、今、花火のトラッシュにはソウルコアが置かれた状態となった。

 

 

「アタックステップ…………オレは今、妹分の椎名ちゃんのために戦っている」

「………」

「ロイヤルナイツが全て集まってしまったら、何か大変な事が起こるかもしれない、なら止めないと行けないと…………そう言っていた」

 

 

花火は、今の自分の気持ちを表明しつつ、アタックステップの開始を宣言する。

 

 

「………何が言いたい?」

「バトスピを楽しんでいるだけじゃない、椎名ちゃんも君たちと同じだ。多分、芽座葉月のために戦っている………アイツが、取り返しのつかない事を、する前に………!!」

「!!」

「アタックだ、ウォーグレイモン!!」

 

 

大地を強く踏み締め、力強く走り出すウォーグレイモン。その目指す先は、スイートのライフバリア。

 

そして、その行手には、もう敵はいない…………

 

スイートが宣言するべき言葉は、たった1つしか残されていなくて…………

 

 

「………ライフで、受ける」

「ウォーグレイモンは、アタックしたバトル終了時、トラッシュにあるソウルコアを自身に戻す事で、追加で1つのライフをボイドに置く」

 

 

〈ライフ2➡︎1➡︎0〉スイート・サンダーボルト

 

 

ウォーグレイモンは、ドラモンキラーにガイアフォースの燃える力を込め、スイートのライフバリアを一気に2つ破壊する。

 

これにより、花火の勝利だ。ロイヤルナイツのスレイプモンに苦戦させられたが、最後に圧倒的な力の差を見せつけた。

 

 

「ッ………」

 

 

自分の敗北という事実を実感したスイートは、その場で座り込んでしまう。

 

 

「………悪いけど、デュナスモンとロードナイトモンのカードはオレが貰って行くよ。後、さっき言った事は忘れないで欲しい。椎名ちゃんもまた、家族のために戦ってるって事を…………」

「…………」

 

 

最早何も言い返す気力も、言葉もない。スイートはただただ呆然とするのみ。

 

一方で花火は、未だに宙に浮かぶ、2枚のロイヤルナイツのカードを手に取ろうと、その腕を伸ばした。

 

しかし、その瞬間…………

 

 

「………久し振りだな、一木花火」

 

 

ー!!

 

 

「オレがガキの頃に、一度会った時以来か」

 

 

声が聞こえて来た。男の声だ、どこまでも冷たく、この世の温みさえも全て凍り付かせてしまうような、そんな冷たい男の声だ。

 

花火はその声を聞いた事はなかったが、その声の主が誰なのかは、すぐにわかった。

 

 

「芽座葉月………!!」

「葉月様!!」

 

 

そう。その人物は、芽座葉月。芽座椎名の義理の兄にして、ロイヤルナイツためならば平気で犯罪にも手を染める極悪人。あのDr.Aとも結託していた事もあって、今では世界中の治安維持局に追われる身となっている…………

 

しかし、そんな彼でも、スイートら三聖騎シスターズにとっては父、もしくは兄と言った家族同然。彼の登場に、曇っていたスイートの表情は明るくなる。

 

 

「………オマエ、ロイヤルナイツを全て集めて、何をするつもりだ………アイツらは、ただのカードじゃないんだろ?」

「全てはオレが、最強のカードバトラーになるためのシナリオだ。オレが何をしようと、貴様には関係ないだろ」

「椎名ちゃんが心配してたぞ。オマエの妹だったら………」

「オレに妹などいない。オレにあるのは、力が欲しいと言う欲望だけだ」

「………テメェ」

 

 

相も変わらず、その目先にはロイヤルナイツしか映っていない葉月。義理の妹であるはずの椎名の事も、家族とは思ってはおらず、ただのロイヤルナイツを持っている不届き者程度の認識しかない。

 

そして花火に対してもまた、同じ認識である。

 

 

「来い、ロイヤルナイツ………デュナスモン、ロードナイトモン」

「!?!」

 

 

葉月は、花火、正確には2枚のロイヤルナイツの方へ手を翳す。すると、その2枚は、まるで彼の手の中に吸い寄せられるように、彼の元へと飛んで行った。

 

何が起こったのかは全く持って理解できない花火だが、少なくとも、今の葉月が異形じみた力を保有している事だけは、難なく想像できて…………

 

 

「これでオレの得たロイヤルナイツは7枚。三聖騎シスターズ共の3枚のロイヤルナイツと併せて、残り3枚………」

「………」

「そうだ。貴様のオメガモンと、椎名のデュークモン、マグナモンで全て揃う………そして、先ずは貴様からだ」

 

 

Bパッドを展開しながら、葉月が花火に対してそう告げて来た。

 

そして、花火もまたBパッドを展開し直すが…………

 

 

「へっ……そう簡単に渡してたまるかよ。寧ろ、テメェから全部ぶんどって、またバラバラにしてやるぜ」

「粋がるなよ、小物が………オレを誰だと思っている?」

「………!!」

 

 

花火は………

 

何となくこの時点で感じ取っていた。

 

仮に、百万回百億回、このバトルをやり直せたとしても、決して、葉月から勝利する事はできない…………と。

 

そして、これはプレッシャーのあまり見えてしまった、彼の幻覚かもしれないが、その背後に天使のような翼があった。花火は一瞬だけ見えたその姿を、不本意ながら脳裏に刻み込み、彼とのバトルに臨んだ。どう足掻いても勝つ事のできない、彼とのバトルに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、EP5「芽座葉月」


******


【スレイプモン】

コスト9
色:黄
軽減シンボル:黄4
系統:究極体、戦騎、想獣
LV1(1)BP9000
LV2(2)BP12000
LV3(3)BP17000
シンボル:黄

フラッシュ《煌臨:黄&コスト6以上『自分のターン』》
LV1、LV2、LV3『このスピリットのアタック時』
相手スピリット1体のBPをー20000し、0になった時、破壊する。この効果で破壊した時、このバトルの間、このスピリットに黄のシンボル1つを追加する。さらに、バトル終了時、このスピリットのシンボルの数だけ、相手ライフ1つをリザーブに置く。
LV2、3『このスピリットのアタック時』
相手スピリット1体を指定してアタックができる。この効果は相手の効果では防げない。


******


【ブリッツグレイモン】

コスト9
色:赤
軽減シンボル:赤4
系統:究極体、地竜、機竜
LV1(1)BP8000
LV2(3)BP12000
LV3(4)BP16000
シンボル:赤

フラッシュ《煌臨:赤&コスト6以上『お互いのアタックステップ』》
LV1、LV2、LV3『このスピリットの煌臨時』
[ターンに1回:同名]トラッシュのソウルコアをこのスピリットに置き、相手のBP15000以上のスピリット1体を破壊できる。さらに、このスピリットが「グレイモン」に煌臨していた時、自分はデッキから2枚ドローする。
LV2、LV3『このスピリットのアタック時』
アタックしたバトルの終了時、相手ライフ1つをリザーブに置く。


******

オバエヴォの続編『バトルスピリッツ 王者の鉄華(https://syosetu.org/novel/250009/)』の方も是非よろしくお願いします!!
バルバトス、鉄華団の新規カード、待ってます( ̄∀ ̄)
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