とある離島の山の頂上にたる、最強のバトスピ一族『芽座一族』の祠にて、椎名VSルーチェモンが続く。
ルーチェモンに肉体を奪われ、もう後戻りができなくなった葉月を救うべく、椎名はロイヤルナイツのないそのデッキを振るう。
******
「バーストをセットし、僕のターンはエンドだ」
手札:4
魂状態:【ルーチェモン】
バースト:【有】
カウント:3
バーストが伏せられ、ルーチェモンの第3ターン目が終了する。
彼の狙いは13枚あるロイヤルナイツを、自分の分身である「ルーチェモン」のカード効果で除外ゾーンに揃えること。おそらく揃うと何かが起こるのだろう。
各ターン1枚増やしていくため、合計で13ターン。椎名はそれまでに決着をつけなければいけなくて……………
「さぁ、君のターンだ」
「………この私を前に、13ターンも生き延びれると思うなよ!!」
椎名の場のフレイドラモンが、リフレッシュステップにより、立ち上がる。
葉月を救うべく、再び椎名のターンが動き出した。
[ターン04]芽座椎名
「メインステップ………ブイモンを再召喚」
ー【ブイモン】LV1(1)BP2000
青き小型の竜、ブイモンが再び椎名の場に出現する。その召喚時効果により、椎名は新たに「スティングモン」のカードを手札は加えた。
そしてそれも呼び出す。
「ブイモンの効果、2コストを支払い、緑の成熟期スピリット、スティングモンを召喚!!……不足コストはブイモンとフレイドラモンから確保、よって消滅」
ー【スティングモン】LV1(2)BP5000
ブイモンとフレイドラモンがその場から消滅してしまうが、フィールドにスマートな昆虫戦士、スティングモンが姿を見せる。
その召喚時効果でさりげなくコアが増えた。
「アタックステップ!!……スティングモンでアタック、その効果でコア1つを増やし、LV2にアップ」
スティングモン単騎となったフィールド。椎名がそれで攻撃を仕掛けるが、その真骨頂はその直後にある。
「【超進化:緑】を発揮!!……スティングモンを至高の竜戦士、パイルドラモンに進化!!」
ー【パイルドラモン】LV2(3)BP10000
スティングモンはデジタル粒子に身を包み込まれ、その中で進化を果たす。やがてデジタル粒子の繭を突き破って現れたのは、甲虫の甲殻を纏う至高の竜戦士、パイルドラモン。
「パイルドラモンか。ロイヤルナイツを失った今、君のデッキで頼りになるのはそれとインペリアルくらいだものね」
「ロイヤルナイツだけじゃない。私のデッキのスピリットは、その全てが切り札だ!!……パイルドラモンでアタック、その効果でコア2つを自身に追加し、一度だけ回復!!」
パイルドラモンがその効果で自身のLVを3に上げつつ走り出す。目指す先は当然、葉月に憑依したルーチェモンのライフバリア。
「ライフで受けるよ」
〈ライフ4➡︎3〉ルーチェモン
パイルドラモンの硬い甲殻で覆われた拳による一撃が、ルーチェモンのライフバリアを1つ砕く。
しかしそれは、彼の伏せていたバーストの発動条件でもあって…………
「ライフ減少により、バースト発動。エクスティンクションウォール」
「!!」
「ライフ1つを回復。コストを払い、アタックステップを終了させる」
〈ライフ3➡︎4〉ルーチェモン
勢い良く反転したバーストカードは、汎用性の高い白の防御マジック。それにより、ルーチェモンのライフが1回復し、椎名のアタックステップを強制的に終了させた。
「………ターンエンド」
手札:6
場:【パイルドラモン】LV3
バースト:【無】
「君のエンドステップ時、魂状態のルーチェモンの効果、デッキからロイヤルナイツ「ドゥフトモン」を除外して、カウント+1。トラッシュにコア1つを追加するよ」
「………4枚目のロイヤルナイツ」
ルーチェモンの頭上には13枚中4枚のロイヤルナイツが揃う。
[ターン05]ルーチェモン
「メインステップ………君に残された寿命をさらに縮めてあげよう」
「!?」
「マジック、グランドクロス……この効果で手札かデッキ、トラッシュからロイヤルナイツのカードを3枚除外し、その数だけカウント+1」
「なに!?」
「僕はこの効果でデッキから「アルフォースブイドラモン」「エグザモン」「スレイプモン」の3枚を除外し、カウント+3」
ルーチェモンがメインステップの開始早々に放った1枚のマジックカード。その1枚で新たに3枚のロイヤルナイツのカードが除外ゾーンに追加され、実にルーチェモンの効果3ターン分加速する。
そして、これだけでは終わらず…………
「さらに魂状態を含むルーチェモンがいる時、相手スピリット1体のBPをー7000」
「!!」
「パイルドラモンだ」
ー【パイルドラモン】BP13000➡︎6000
パイルドラモンに纏わりつく光のオーラ。これが力を奪い、BPは6000まで低下する。
「さらにもう1枚グランドクロスを使用!!」
「なに!?」
「今度は「デュナスモン」「ロードナイトモン」「クレニアムモン」の3枚をゲームから除外し、カウント+3。そしてパイルドラモンのBPを下げ、破壊する」
「くっ……!?」
ー【パイルドラモン】BP6000➡︎0(破壊)
除外されたロイヤルナイツとカウントの追加、さらにはパイルドラモンが淡い光に包まれて爆散する。
「最後に魂状態のルーチェモンの効果、デッキからこのカード「オメガモン」を除外し、カウント+1。トラッシュにコアを1つ追加」
「………オメガモン」
その名を耳にするなり、椎名が思い浮かべるのは、今も意識不明の重体となっている兄貴分「一木花火」…………
彼のためにもこのバトル、負けるわけにはいかない。
「ターンエンド………これで僕の除外ゾーンに溜まったロイヤルナイツの合計は11枚。後2枚で全て揃う、君が自由に動けるターンは次が最後だ」
手札:3
魂状態:【ルーチェモン】
バースト:【無】
カウント:【11】
「………まだ、1ターンある」
「フフ、負け惜しみか。伝説の英雄は言う事が立派だね」
ロイヤルナイツは全部で13枚。ルーチェモンはその内11枚を揃えてリーチをかける。
椎名はその残された1ターンで、ルーチェモンの4つのライフを全て破壊するべく、カードをドローする…………
[ターン06]芽座椎名
「メインステップ……スティングモンとスバモンを召喚。スティングの召喚時効果でコアブーストし、スバモンと合体………さらにネクサス、デジヴァイスを配置」
ー【スティングモン+ズバモン】LV1(2)BP8000
ー【デジヴァイス】LV1
前のターンに手札に戻っていたスティングモンが再召喚。さらにデジタルブレイヴであるズバモンが剣の姿に変形し、その腕に収まる。
椎名の腰に、デジタルスピリットをサポートする掌サイズの機械、デジヴァイスが装着されたところで準備完了だ。逆転への狼煙が上がる。
「アタックステップ………スティングモンでアタック!!」
ズバモンと合体しているスティングモンのアタック。椎名はその効果でコアが増加したのを見届けると、フラッシュタイミングである1枚のカードを切る…………
「フラッシュ【煌臨】を発揮!!……対象はスティングモン!!」
「!!」
「唸れ、猛き皇帝竜……インペリアルドラモン ファイターモードッッ!!」
ー【インペリアルドラモン ファイターモード+ズバモン】LV2(3)BP18000
甲虫型のスティングモンが、一瞬にして皇帝竜インペリアルドラモン、その竜人形態であるファイターモードへと姿を変える。
ファイターモードは、気合を入れるように、右手に力を込めると、そここら砲手を展開、さらには左手には剣の姿で合体したままのズバモンが握られており、その構えには隙がない。
「………これがインペリアルドラモン。エニー・アゼムの遺産か」
「煌臨時効果、このターンアンタは、手札からコスト4、6、8のカードを使用できない」
「………」
「さらに、ファイターモードはアタックによってライフを減らした時、追加で2つのライフを破壊する!!……合体によるダブルシンボルと合わせて4点のダメージで、私の勝ちだ!!」
場には何もなかった状態から僅か1ターン。一撃で4点ものライフを砕くコンボを完成させた椎名。
オマケに手札のカードの使用も制限しているため、この一撃を凌げるカードもかなり限られている。普通のカードバトラーならば先ずこの一撃は通ってしまうに違いない。
もっとも、その相手が今は普通ではないのだが……………
「へぇ、面白い効果だね。フラッシュマジック、氷刃血解」
「ッ……コスト3のマジック」
「これにより、このバトルの間、僕のライフは一切減らない……そのアタック、ライフで受けるよ。減らないけどね」
〈ライフ4➡︎4〉ルーチェモン
ファイターモードが右手の砲手から放った極太のレーザー光線。ルーチェモンはたった1枚のマジックカードから展開した半透明のバリアでそれを凌ぐ。
ファイターモードのアタック時効果はライフを減らさなければ発揮できないため、結果的にルーチェモンのライフバリアを1つも奪えない状況に陥ってしまう。
「……さぁ、君のアタックできるスピリットはそれだけ、つまりそのアタックを終えた今、強制的にエンドステップとなる。僕の分身、ルーチェモンの効果を再び発揮………「デュークモン」デッキから除外してカウント+1。トラッシュにコアを1つ追加」
「ッ………ターンエンドだ」
手札:3
場:【インペリアルドラモン ファイターモード+ズバモン】LV2
【デジヴァイス】LV1
バースト:【無】
12枚目のロイヤルナイツ「デュークモン」が除外された。
それを見届けることしかできない椎名は、歯痒くもそのターンをエンドとする。
[ターン07]ルーチェモン
「メインステップ……待たせたね。ルーチェモンの効果」
「!!」
ロイヤルナイツ。
全部で13枚あるそれは、その昔、芽座一族の戦士達が鬼と戦うために使ったカード達だと言われている。それらのカード達は1枚1枚がバトルを大きく揺るがす性能を誇っており、カード自身が、その使用者を選ぶ…………
だが、そのカード達は今、不本意ながら、悪しき者の手によって集結してしまう…………
「最後のロイヤルナイツ「アルファモン」を除外!!」
「………13枚のロイヤルナイツが揃った………!?」
遂に除外ゾーンにて集結する13枚のロイヤルナイツ。ルーチェモンのカウントもまた13に到達した。
これにより、呼び出す条件を満たしたカードが、彼の手の内にある。
それは、ロイヤルナイツでさえも脅かされる凶悪なデジタルスピリットであり…………
「時は満ちた。今こそ完全なる復活を果たす時………!!」
「!?」
突如、ルーチェモンが乗っ取った葉月の肉体から、白と黒の翼が10枚ほど生える。
ルーチェモンはその翼で宙を舞うと、見上げる椎名に憎たらしい笑顔を見せながら、そのカードを手札から切った…………
「【契約煌臨】……対象は魂状態のルーチェモン………聖騎士を糧に君臨するがいい、ルーチェモン フォールダウンモード!!」
「!?」
ー【ルーチェモン フォールダウンモード】LV3(3)BP23000
「………ルーチェモンが進化した!?」
13枚のロイヤルナイツ達の力がエネルギーに変換され、魂状態のルーチェモンに力を与える。
ルーチェモンは激しい稲妻と突風に身を包み、超越とも呼べる凶悪な進化を果たす。その名はルーチェモン フォールダウンモード。
天使と悪魔、その両方の力を宿す、最も神に近いスピリットである…………
「流石は葉月の肉体…………思っていた以上に、最高の復活だ。まさかフォールダウンモードの効果をここまで引き出せるとはね」
「………」
「煌臨時効果、カウント1につき、相手の手札を1枚破棄」
「なに!?」
煌臨直後、戦慄する間もなく、フォールダウンモードが掌を椎名に翳すと、その手札は彼女の手を抜け、全てトラッシュへと破棄されていく。
カウントが13もあるのだ。残る手札などあるわけがない。
「その後この効果で破棄したカード1枚につき、相手のスピリットのコアをリザーブに置く………消えなよインペリアルドラモン!!」
「ぐっ………ズバモンはスピリット状態で残す」
ー【インペリアルドラモン ファイターモード+ズバモン】(3➡︎0)消滅
フォールダウンモードは掌をファイターモードへと向け直すと、ファイターモードは暗黒の力に肉体を蝕まれ、瞬く間に消滅していく…………
辛うじてズバモンのみがスピリット状態となり場に残るが、手札の破棄もあり、その戦力差は圧倒的に開いたと言える。
「アタックステップ、フォールダウンモードでアタック。その【OC】効果により、紫のシンボルを1つ追加し、ターンに一度回復する」
「………そんな効果まで」
ー【ルーチェモン フォールダウンモード】(疲労➡︎回復)
シンボル2つとなり、2回アタックを行えるフォールダウンモード。単体で実に4点ものライフを破壊できることになる。
「………アタックはライフで受ける………ぐぁっ!?」
〈ライフ5➡︎3〉芽座椎名
「フフ、いいね。もう一度君の苦しむ姿が見たいよ、再度アタック!!」
「………それもライフだ………ぐっがぁっ!?!」
〈ライフ3➡︎1〉芽座椎名
フォールダウンモードの掌から放たれる黄色と紫の光球が椎名を執拗に襲い続け、そのライフは一気に残り1つまで減少した。
Dr.Aの造った人造人間エニーズ故に、椎名は頑丈だが、前日の葉月との激しい戦いで既に疲弊していたのもあってか、片膝をついてしまう…………
「ハァッ………ハァッ………クソッ!!」
「ターンエンド。折角だからもうちょっと足掻いてみてよ。この強さを試す場所が、この世だともう君しかいないんだから」
手札:2
場:【ルーチェモン フォールダウンモード】LV3
バースト:【無】
目の前のフォールダウンモードはおそらく、13枚のロイヤルナイツ達の力が無理矢理収束させられた力の結晶。
この世界のカードで、そんなバケモノみたいなスピリットに勝てるカードなど、ごく僅かしかいないだろう。ただ、不幸中の幸いか、はたまたこれまでの戦いが功を奏したのか、椎名のデッキには、これを覆すカードがたったの1枚投入されていて……………
「…………負けられない。このバトルには葉月の、みんなの命がかかっているんだ!!」
糸よりも細い、ごく僅かの勝利への可能性を信じ、椎名は奮い立つ。
[ターン08]芽座椎名
「ドローステップ………ドロー!!」
足掻く椎名の渾身のドロー…………
そのカードを視認するなり、疲れ切っていた椎名の表情は一点、明るくなる。それを見たルーチェモンは余裕だった表情をほんの少し掠めた。
「メインステップ………」
椎名は1枚になったその手札のカードを颯爽と使用していく。
全てはルーチェモンのエースたらスピリットを葬り去るために…………
「インペリアルドラモン パラディンモードの【チェンジ】発揮!!……最もコストの高い相手スピリット1体を破壊」
「ッ………!!」
「そう。アンタの場のスピリットは1体、フォールダウンモードは破壊される!!」
巨大な白き聖剣が降り注ぎ、フォールダウンモードの胸部へと突き刺さる。強大なBPとコストを持つそれだが、この効果の前では敢えてそれが仇となり、悲鳴を上げて爆散していく…………
「よし、これで互いのエースカードは破壊された。まだ勝負は終わらない」
爆炎により舞う爆煙の中、椎名がそう呟く。
手札は0だが、最も厄介になるスピリットを破壊できたために、まだ自分にも勝ちの芽があると、そう信じていた……………
「フォールダウンモードが相手によってフィールドから離れた時、ルーチェモン サタンモードの効果発揮」
「!!」
「手札から自身をノーコストで召喚する!!……現れ出でよ、究極を超えた魔獣、ルーチェモン サタンモード!!」
ー【ルーチェモン サタンモード】LV3(3)BP30000
「な、なんだって………まだそんなカードを!?」
フォールダウンモードの破壊に反応し、爆煙を吹き飛ばしながら現れたのは、これまでの美しき姿とは一点して醜き異形となり、変わり果てたルーチェモンの最強進化形態「サタンモード」……………
足掻き、足掻き抜いて倒した強敵。だがさらにその上の存在までは予想すらしていなかった。今の椎名が抱える感情はただ絶望のみ…………
「サタンモードは互いのエンドステップ時、互いのライフを1つずつボイドに置く」
「!!」
「僕のライフは4。対する君のライフは1。勝負あったね………葉月は死ぬし、君が愛した友人や家族、仲間も世界も、全て僕によって壊れるんだ」
果てなき破壊衝動を持つルーチェモン。その純粋な瞳の奥には、ただの幼稚な遊び心のみ…………
遊び感覚で、彼は人を殺せるのだ。
「さぁ、ターンエンドを宣言するんだ」
「………」
「早く、さぁ早く早く早く!!!………アーッハッハッハ!!!!」
何かを壊す行い自体が久し振りなのだろう。ルーチェモンはそれが目前に迫った事に対する悦びが抑えきれずに大きな口を開けて笑い出す。
だが、ある人物によって、直後にその口は閉じる。
「………し、椎名………」
「葉月!?」
ルーチェモンを抑え、葉月の自我が飛び出して来た。これまでの激闘でルーチェモンが疲弊したからなのか、葉月の底力がルーチェモンを押し退けたのかは定かではないが、椎名はひとまず葉月の命がまだ存在する事に喜ぶ。
「な、何故だ。何故オマエはそこまでしてオレを救けようとする………こんな、力に驕れるオレなんかを………!!」
「………!!」
ルーチェモンの意識と闘い続けているのか、苦しそうな声で葉月がそう告げた。
椎名は笑顔でそれに答える。
「………そんなの決まってるじゃん。家族だから」
「!!」
「葉月は世界でたった1人の私の兄ちゃんだから………大事じゃないわけがない。今助けるから、もう少しだけ待っていてくれ」
「…………椎名」
椎名の慈愛の言葉に、葉月はいったい何を思い、考えたのか、苦しそうにしながらも、安らかに、その瞳を閉じる。
さらに、彼の意識が弱まった事を察知したのか、再びルーチェモンの意識が復活して…………
「やれやれ、タフな男だ。私の中でまだ消えていなかったとは」
「………私は諦めないぞ」
「あぁ?」
「葉月を、兄ちゃんを取り戻すまで、絶対に諦めないぞ!!」
決意を改め、椎名は手札0のまま戦いに臨む。
そして、その決意に応えんとする2枚のカードが、それぞれ赤と黒の輝きを放つ……………
「ッ………なに、デュークモンにアルファモンが………!?」
「!!」
椎名の葉月を助けたいと言う感情に呼応するかのように、ルーチェモンの除外ゾーンから封印されていたデュークモンとアルファモンのカードが2枚、それぞれ赤と黒の輝きを纏いながら椎名の元へと帰還。そのデッキへと装填される。
2枚のロイヤルナイツの力により、椎名のデッキは燃え上がるように輝きを放ち、進化を果たす。
「デュークモン、アルファモン。ありがとう、行くよ………!!」
サタンモードによって消えかけた逆転への道筋…………
その道が、2枚のロイヤルナイツの力、椎名の進化の力によって、今再び示される。
「アタックステップ。その開始時、成長期スピリットのズバモンがいる事により、デジヴァイスの効果発揮、疲労させる事で、1枚ドロー!!」
進化を何度も繰り返し、蠢き続けるデッキの上から1枚をドローする椎名。そのカードはまさに、この奇跡のために創造されたスピリットカード…………
「さらに同じタイミングで、このカードのスピリット効果を発揮!!」
「!?」
「自分のライフが2以下の時、手札からノーコスト召喚できる………赤の聖騎士、黒の聖騎士が混ざり合う!!………森羅万象、伝説さえをも覆せ!!………アルファデュークモンをLV3で召喚!!」
ー【アルファデュークモン】LV3(5)BP25000
赤と黒の光が、螺旋状に交差し合いながらゆっくりと交わり、地面に投下され、そこから発せられる衝撃と爆発により、新たなるデジタルスピリットが誕生した。
その名はアルファデュークモン。デュークモンをベースに、アルファモンの黒い鎧が重なり合った姿をしている、究極形態。
「あ、アルファデュークモン!?……デュークモンとアルファモンが合体しただと!?」
「これが、ロイヤルナイツ達の絆の力だ。決してオマエみたいな奴に扱えるような力じゃない!!」
「ほざけ!!……所詮は2体分の力…………このサタンモードで蹴散らしてやる」
まさかの合体、意外な展開に、ルーチェモンは僅かな焦りを感じ始める。
そして、その僅かを確信に変えるべく、椎名はアルファデュークモンを駆る。
「アタックだ、アルファデュークモン!!……その効果発揮、トラッシュにあるデジタルスピリット1体の効果とシンボルを得る!!」
「ッ………!!」
「私はトラッシュにあるインペリアルドラモン パラディンモードの効果とシンボルを得て、効果発揮、トラッシュにあるコア全てをアルファデュークモンに置き、ルーチェモン サタンモードを疲労させる!!」
「な、なんだと!?!」
アルファデュークモンは、一瞬だけパラディンモードの影を纏うと、そのシンボルと効果を確保。右手で薙ぎ払っただけで発生させて大風は、たちまちサタンモードの足を取り、疲労状態へと追いやった。
これでバトルに参加させる事は不可能…………
「元から赤と紫のシンボルを持っているアルファデュークモンに、パラディンモードの青緑のシンボルを追加した!!………これで、クアドラプルシンボル。一撃で4つのライフを消し飛ばす!!」
「ば、馬鹿な………そんな事が………この僕が」
アルファデュークモンは、デジタルハザードのマークが刻まれた巨大な剣斧状の武器、王竜聖刃を両手に握り締め、ルーチェモンに凄まじい速度で接近する。
「終焉の一撃………王竜聖刃!!!」
そして、赤紫青緑のシンボルを持つその一撃が、バトルに決着を齎す……………
「ぐっ………ぐぁぁぁぁあ!?!」
〈ライフ4➡︎0〉ルーチェモン
王竜聖刃による強烈な一撃が、ルーチェモンのライフバリアに直撃、一刀両断された。
彼のライフが0になった事によるものなのか、場に残ったサタンモードは痛々しい喘ぎ声を張り上げ、もがき苦しみながら粉塵と化し、この場より消滅して行った…………
「ぐっ………あ、ありえない。ロイヤルナイツを扱える完全な肉体を手にした、この僕が………嘘だ。嘘だァァァァ!!!!」
葉月の中に宿っていたルーチェモン。フォールダウンモードの姿で飛び出していき、これもまた、粉塵となってこの場より消滅していった……………
その光景を見るなり椎名が抱いた感情は、殺めてしまった僅かな罪悪感と、世界を救えたと言う安心感。そして、葉月の安否だ。
「葉月!!」
倒れる葉月を抱き抱え、名前を呼ぶが、返事がない。
「葉月、葉月!!……おい!!」
「………んだよ。うっせぇな………椎名」
「葉月………」
無事に目を覚ます。兄の生還に、椎名は安堵し肩を撫で下ろした。
「…………なんでだ」
「え?」
「なんでオマエはオレに構う。助けようとする…………馬鹿がよ」
何度も聞いたその質問。椎名はいつものように反射的に思った事を口にする。
「何度も言わせるなよ!!……家族だから、兄ちゃんだからだ………って…………」
「…………」
そっぽを向く葉月のその目には涙が溢れ落ちていた。その光景に、椎名は驚いて声も出せなくなる。
弟子を取ったり身寄りのない子供達を拾ったりしていた事を知った時から何となく感じてはいたが、葉月にもまだ人の心が残っていたのだ…………
長年、ルーチェモンという怪物の声を聞きながらも、人の善意の感情をしっかりと持っていたのだ。
そう思うと、椎名は自然と笑顔になれた。
******
あれから小一時間程の時間が経過。椎名も葉月も、自分一人で動ける程には回復した。
そして葉月はここから立ち去らんと、Dr.Aに改造されたBパッドの機能を使ってワームホールを開口させた。
「………もう行くの?」
「あぁ」
「下にはまだ葉月の弟子と、慕う女の子達がいるよ?」
「いいんだ。アイツらにはオレは死んだと伝えておいてくれ…………オレと一緒にいるだけで、アイツらには迷惑をかけるからな」
「…………」
世間では、葉月は今でもS級の犯罪者として扱われている。三聖騎シスターズやレオンと一緒にいたい気持ちは葉月とて山々であるが、このままだと彼らまで犯罪者扱いになってしまう危険がつきまとう。
だから葉月は大人しくここを去るのだ。
「………わかった。わかったけど葉月」
「なんだ」
「最後にまたバトスピしないか?」
「!!」
「昔みたいに、楽しくさ」
椎名の心からの懇願。それに対し、葉月の返答は…………
「嫌だ」
「………え?」
「オレはもう疲れた。一刻も早くここを出たいんだよ」
まさかのNOだった。椎名は少しばかりショックを受けるが…………
「そう拗ねんなって、バトスピなんか、いつでもできるだろ??」
「!!」
昔、まだ幼かった頃と全く同じ言葉。椎名の目からも涙が落ちる。
間違いなく、今の葉月は昔のあの優しい芽座葉月なのだ。
「………そうだね!!」
「ありがとうな、椎名」
椎名も昔と全く同じ返答をすると、そんな変わらないでいてくれた、変わってしまった自分を連れ戻してくれた大事な妹に、葉月は感謝の言葉を送った………………
これでオーバーエヴォリューションズのお話は全て終了でございます。
この完結編は、続編の「王者の鉄華(https://syosetu.org/novel/250009/)」に関係した事柄がいくつか存在します。それに関する点は、是非本編をご覧になってください!!
それでは読者の皆様、今まで芽座椎名の物語を見守ってくださり、本当にありがとうございました!!
******
【ルーチェモン】
コスト3
色:黄
軽減シンボル:無
系統:成長期、天霊
LV1(1)BP1000
《OC13+》+1000
シンボル:無
魂状態のこのカードには《契約煌臨》できる。このとき、煌臨するカードに、自分のフィールド/リザーブのコアを好きなだけ置く。
【魂状態】/【スピリット】LV1『自分のメインステップ』/『相手のアタックステップ終了時』
[ターンに1回:同名]手札/トラッシュ/デッキから、系統:「究極体」か「アーマー体」を持つ、系統:「戦機」のスピリットカード1枚をゲームから除外する事で、ボイドからコア1つをトラッシュに置き、カウント+1。その後、デッキから除外していたら、デッキをシャッフルする。
【契約煌臨元】LV1
相手のスピリット/アルティメットがアタックしたとき、このスピリットは回復する。
******
【グランドクロス】
マジック
コスト4
軽減シンボル:黄2
フラッシュ:自分の手札/トラッシュ/デッキから系統:「究極体」か「アーマー体」を持つ、系統:「戦機」のスピリットカード3枚までゲームから除外する事で、その数1つにつき、カウント+1。その後、デッキから除外されていたら、デッキをシャッフルする。この効果発揮後、相手スピリット1体のBPをー7000し、0になったとき破壊する。
******
【ルーチェモン フォールダウンモード】
コスト12
色:黄紫
軽減シンボル:黄3・紫3
系統:完全体、天霊
LV1(1)BP6000
LV2(2)BP7000
LV3(3)BP10000
《OC13+》+13000
シンボル:黄
「フラッシュ《契約煌臨》ルーチェモン&C13以上『自分のターン』」
LV1、LV2、LV3『このスピリットの煌臨時』
自分のカウント1につき、相手は自分の手札を1枚選んで破棄する。その後、この効果で破棄したカード1枚につき、相手スピリットのコア1つをリザーブに置く。
《OC中》『このスピリットのアタック時』
このスピリットに紫シンボルを1つ追加し、ターンに1回回復する。
******
【ルーチェモン サタンモード】
コスト12
色:紫
軽減シンボル:黄3・紫3
系統:究極体、天霊
LV1(1)BP15000
LV2(2)BP20000
LV3(5)BP30000
シンボル:黄紫
このスピリットカードは、自分の「ルーチェモン フォールダウンモード」が相手によってフィールドから離れたとき、手札からコストを支払わずに召喚できる。
LV1、LV2、LV3『お互いのエンドステップ時』
お互いのライフを1つずつボイドに置く。
LV2、LV3『このスピリットのアタック/ブロック時』
相手のスピリット3体のBPをー15000し、0になったとき破壊する。
******
【アルファデュークモン】
コスト12
色:赤紫
軽減シンボル:赤3・紫3
系統:究極体、戦機、滅龍
LV1(1)BP12000
LV2(3)BP20000
LV3(5)BP25000
シンボル:赤紫
『自分のアタックステップ開始時』
このスピリットカードは、自分のライフが2以下のとき、手札からコストを支払わずに召喚できる。
LV1、LV2、LV3
このスピリットは相手の効果で破壊されず、手札/デッキに戻らない。
LV2、LV3『このスピリットのアタック時』
自分のトラッシュにある系統:「究極体」/「アーマー体」のスピリットカード1枚の効果とシンボルを全て得る。