既に完全に完結した「オバエヴォ」ですが、今回は特別編として、僕の創作仲間で友人の「置き物」君の名オリキャラ「エドワード・ハイ」と、二期のラストバトルで椎名に勝利した世界線の「Dr.A」の対決を執筆致しました!!
元々は、僕個人が彼へのプレゼントとして書き上げた物だったのですが、折角ですのでこうして投稿する事にしました。
オバエヴォのあり得た可能性の世界を堪能していただければ幸いです( ̄∀ ̄)
特別編『Dr.A VSエドワード』
その名はエドワード・ハイ。
バトルスピリッツのカードを通し、バトスピで繋がる数多の世界を巻き込みながら、自身の計画を進めている狂気の科学者。
彼はとある世界での一件後、新たなる力を求め、強力な力のある世界を探し続けていた。
そして、遂に見つけたのは『進化の力』…………
彼は、それがある世界へ、自身が開発した人造人間の1体「TYPE・アポストル」を尖兵として送り込んでいたのだが……………
「アポストルの反応が消えただと……?」
向かわせた先兵、アポストルからの反応が途絶える。
アポストルが並大抵の事では消滅しない事を理解している彼は、その世界が一筋縄ではいかない事を確信した。
「ならば、行くしかないな………この私自身が」
エドワードはようやく見つけ出した「進化の力」を宿す世界へと、自ら赴く。
ただ、この時はまだ知らなかった。その世界には自分以上の狂気の科学者がいる事を…………
今、2つの狂気が交わる…………
******
とある世界、とある街、とある場所。
空間が張り裂けると、そこからワカメヘアーと眼鏡、黒衣が特徴的な狂気の科学者エドワード・ハイが降り立った。
「………ここは、なんだ。素晴らしいな」
倒壊した街の建物、コンクリートの地面に走っている亀裂。何の物質で構成されているかもわからない、黒い霞に遮られた日光。まるで世界が滅んだかのような、情景に、エドワードは早くも心を打たれた…………
期待通りだった。この世界に存在する「進化の力」には、自分が求めるだけの力が間違いなくある。
「………これは」
ふと足元を見てみると、黄色の液体が辺り一面に散らばっていた。
エドワードは、それが送り込んだ尖兵、人造人間「TYPE・アポストル」だと直ぐに理解した。おそらくここで負けたのだろう、バトルスピリッツで。
そして、それ以外にも発見した者が1つ…………
「………誰だ」
物陰から自分を見つめていた誰か。それに気がつくが、すぐさま足音を立てて何処かへと去っていく。
異世界での有機生命体の発見。科学者として、これは心躍る。
「………追いかけっこか、いいだろう」
エドワードは、早速その足音を追跡した。
******
あれから20分程だ。ペタペタと裸足で走りながら、崩壊した街の中央へと進んでいく有機生命体と、それを追い掛けるエドワード。
これまでの様子からして、有機生命体はおそらくただの人間。しかも少女。この崩壊した街の生き残りか何かなのだろう。
「………異世界の人間。良いモルモットになりそうだ」
その言葉は彼の異常さを物語っている。
崩壊した街の人間の生き残り。そう聞いたら普通の人であれば、優しく手を差し伸ばしてあげるだろうに………
だが、彼はまだ知らない。
この世界には、自分よりも異常で、悍ましく、狂気に包まれている存在を……………
「………ヌッフフ、あんまりイジメないでくれるかな?」
「!!」
「彼女は、私にとって大事な存在。何せ、この進化した世界『進世界』のイヴなのだからね」
柔らかい声色で話しかけて来たのは、精々15、6程度の少年だった。白髪で、その顔には大きな火傷の痕が痛々しく残っている。
崩壊してボロボロになっている街並みにはそぐわない、おろしたてのような立派で綺麗な白衣を着用している事から、直ぐにその少年が普通ではない事を悟った。
「………お前は誰だ」
エドワードが少年に訊いた。
すると、先程まで追い掛けていた少女が少年の元に寄り添う。少女は長いオレンジの髪に整った顔立ちの美人だったが、服が囚人服のようにボロボロで、その目にはまるで感情が感じられず、まるでアンドロイドみたいだった。
「私の名はDr.A………この進世界のアダムだ」
狡猾そうな口元で、少年は答えた。白衣にDr.と言う名前からして、彼も同じく科学者なのだろう。しかも飛び切り悪の……………
そしておそらく、この世界を崩壊させたのもコイツだ。エドワードはそう確信する。
「………それにしても、まだ普通の人間が生きているなんてね。君は、いったい何者だい?」
今度はDr.Aと呼ばれる少年がエドワードに訊いた。彼もまた、エドワードがただ者ではない事を理解しているのだろう。
「………私の造ったアポストルをやったのはお前か?」
「おいおい、質問しているのは私の方だぞ。ヌッフフ、まぁいい、存じ上げない名前だが、ひょっとして、昨日エニーズが倒した、あの黄色い液体さんの事かな?」
「!!」
「成る程、アレは君の発明品だったのか」
エニーズとは、ニュアンスからして、「イヴ」とも呼ばれていた、さっきまで追い掛け回していたあの少女の本名か何かだろう。
あんな無機質な目をした子供に、自分の尖兵である人造人間「TYPE・アポストル」が敗れた事に驚きが隠せない。
「………そんな子供に、私のアポストルが負けただと」
「ヌッフフ、私の造ったエニーズはそこらの人間よりも進化の力を多く内包できる。そりゃ動くだけの人形じゃ、勝てるわけないよね」
「造った………?」
目の前の少女を造ったと言うDr.A。あんな若造にそんな事ができるかは俄ではないが、少なくとも、彼の異常さはそれなりに伝わって来た。
ここからは本題だ。エドワードは、少しだけ間を置き、会話を再開する。
「……私の名はエドワード・ハイ」
「お、急に名乗った」
「お前の言う「進化の力」を奪いに来た。根こそぎな」
新たな力「進化の力」を得るため、エドワードは単刀直入にDr.Aに問うた。
「ヌッフフ………異端な技術者よ。進化の力はこの世界でのみ起こる現象。しかも、バトスピをしていれば、それを知らぬ者はいない………つまり」
「………あぁ、私は異世界人だ。お前の答えは2つに1つ。進化の力を寄越すか、ここで俺に負けて朽ち果てるかだ」
「成る程、私の次なる敵は異世界からの侵略者ですか。おぉおぉ、怖い怖い」
そういう割にはマイペースであり、Dr.Aは全く怖気付いてはいない。
「ヌッフフ、しかし今日は進世界が始まって1年という大事な記念日。我が愛しきイヴのため、このDr.Aが人肌脱ぐとしますかね」
彼はそう言うと、懐から取り出したタブレット状の機械をエドワードに投げ渡す。
「………なんだこの薄っぺらい機械は」
「Bパッドも知らないのかい。本当に異世界から来たんだね〜〜……それを腕にはめてバトルするのがこの世界では一般常識なんですよ」
「…………」
「ヌッフフ、もっとも、その世界を壊したの、私なんですけどね」
Dr.Aの言葉を無視しつつも、エドワードはBパッドを腕にはめ、己のデッキをセットする。
「……お前の自慢話はいい。そっちのフィールドに付き合ってやるから、さっさと来るがいい」
「おぉ、野蛮だね〜〜」
Dr.Aもまた己のBパッドを展開し、デッキをセットすると、バトルが始まるのを察したのか、先程まで彼の肩に静かに抱きついていたエニーズが、ゆっくりとその場から離れる。
「ヌッフフ………多分だけど、バトル開始のコールは、どの世界でも共通だよね」
「当然だ。バトスピの文化や価値観はその世界によって異なるが、はじめの言葉はアレ以外あり得ない」
「………じゃあ、はじめようか」
………ゲートオープン、界放!!
全てのバトスピ文化共通の掛け合いではじまる、狂気の宴。Dr.Aとエドワードによるバトルスピリッツが幕を開けた。
先攻はエドワードだ。Dr.Aの持つであろう、進化の力を得るため、そのターンを進めていく。
[ターン01]エドワード・ハイ
「………成る程、この端末がそのままバトル台となるのか………ならばメインステップ、ネクサス、フューチャーアースを配置」
「ほぉ、赤ですか」
ー【フューチャーアース】LV1
Bパッドの使い方を理解したエドワードが初手に配置したのは、寂れた情景が描かれた、赤属性のネクサスカード。
それが彼の背後へと配置されるが、その絵は周囲の痛々しい街の風景となんの違和感もなく重なり合い、溶け込んだ。
「………ターンエンド。お前のターンだ少年」
手札:4
場:【フューチャーアース】LV1
バースト:【無】
「ヌッフフ………『少年』ですか。それは実に複雑ですね〜〜………では我が愛しきエニーズよ、よおく見ててくださいね、この私、Dr.Aの勇姿を」
Dr.Aは少女、エニーズが無表情のまま、首をこっくりと縦に振るのを確認すると、己のターンを開始した。
[ターン02]Dr.A
「メインステップ……私もネクサスを置きますか、紫の世界」
ー【紫の世界】LV1
「配置時で1枚ドロー」
Dr.Aが背後に配置したのは、黒き居城が聳え立ち、常に闇が蔓延する紫の世界。
その効果で彼は1枚のカードをドローする。
「最後にバーストを伏せ、ターンエンドです」
手札:4
場:【紫の世界】LV1
バースト:【有】
「………そう言うお前は紫使いか」
「私みたいな悪に染まる者は紫使いと相場は決まっていますからね〜〜」
ネクサスとバーストを備え、Dr.Aはその最初のターンをエンドとした。
バトルは一周し、再びエドワードのターンへと移る。
[ターン03]エドワード・ハイ
「………メインステップ、私はタマムッシュをLV1で召喚する」
「ふむ、今度は緑ですか」
ー【タマムッシュ】LV1(1)BP2000
「召喚時効果でボイドからコア1つを自身に追加する」
エドワードのフィールドに現れたのは、玉虫型の緑のスピリット、タマムッシュ。
その召喚時効果はコアを増加させるという、緑スピリットらしいモノ。
だが、これがDr.Aの伏せていたバーストの引き金になり…………
「ヌッフフ………良い効果ですが、その行為は命取りとなる。あなたのコアの増加に伴い、このバーストを発動が発動!!」
「!!」
「バースト、ナスカ・ドーパント!!」
彼の伏せていたバーストが勢いよく反転する。
「このバーストはライフ減少時のバーストカードですが、相手がボイドからコアを増やした時にも発動が可能です。その効果、先ずは相手のスピリットからコアを4つリザーブに置きます、もちろん対象はタマムッシュ」
「…………」
「さらに、それだけでは終わりませんよ。このバーストがメインステップで発動していた場合、相手のトラッシュにあるコアを3つボイドに置きます」
「ッ………コアをボイドだと!?」
「ヌッフフ………えぇ」
エドワードの場に飛び交う、紫の斬撃の数々。それらはタマムッシュだけにあらず、彼のBパッドからコアをも斬り刻む。
「そして、この効果発揮後、ノーコスト召喚します。来なさい、ナスカ」
ー【ナスカ・ドーパント[2]】LV1(1)BP7000
タマムッシュとコアを斬撃で斬り刻み、消滅させた正体が今、Dr.Aのフィールドに登場する。
その名はナスカ・ドーパント。蒼白なボディに鋭い剣を持つ怪人型のスピリットだ。
「………私のコアが、たったの3つに………くっ、それがお前の持つ進化の力のカードなのか!?」
「ヌッフフ………この程度、まだまだ序の口ですとも」
「…………ターンエンドだ」
手札:4
場:【フューチャーアース】LV1
バースト:【無】
ナスカ・ドーパントの力により、コアの総数を3つと大きく削がれたエドワード。致し方なく、そのターンをエンドとする。
[ターン04]Dr.A
「メインステップ………ふむ。では先ず、ナスカのLVを最大に引き上げましょうか」
ー【ナスカ・ドーパント[2]】(1→4)LV1→LV3
「さらに今一度バーストをセット」
「ッ………またか」
強さが滲み上がるほど強烈な効果を持つDr.Aのバーストカード達。狂気の科学者であるエドワードでさえも、2度目のバーストを大きく警戒する。
「ではでは、お待ちかねのアタックステップですよ。行きなさい、ナスカ」
Dr.Aが指示を送ると、ナスカは静かに頷き、剣を構える。
「効果により、このアタックはブロックできません。もっとも、君の場にスピリットは1体もいませんがね………ヌッフフ」
対するエドワードは、前のターンにナスカによって、場のスピリットとコアを失っているため、この攻撃を防ぐと言う選択肢はどこにもなくて…………
「………ライフで受ける………ぐっ、ぐおぉっ!?」
〈ライフ5→4〉エドワード・ハイ
ナスカの神速俊速の剣撃が、彼の前方に展開された5枚のライフバリアの内1枚を八つ裂きにする。
それに伴い発生する激痛が、彼を襲った。
「どうだい痛いだろう、進化の力が込められた、カードの一撃は」
「………この程度、まだまだ序の口だな」
「ヌッフフ……減らず口ですね〜〜……ナスカの効果、アタックしたバトル終了時、相手の手札を1枚、内容見ずに破棄します」
「!?」
「1番右のカードを破棄!!」
エドワードの手札から1枚のカードがトラッシュ、つまり使用不可となるゾーンへと捨てられる。
バトスピにおいて重要なのはコアと手札。ナスカはその両方を減少させる効果を持ち合わせている、まさに死神のようなスピリットだ………
「………コアだけでなく、手札までも…………!!」
「ヌッフフ………折角の余興だ、もう少し足掻いてみてくださいね。私はこれでターンエンド」
手札:4
場:【ナスカ・ドーパント[2]】LV3
【紫の世界】LV1
バースト:【有】
ここでDr.Aはターンエンド。再びエドワードへとターンが渡る。
[ターン05]エドワード・ハイ
「………メインステップ。森林のセッコーキジ、六分儀剣のルリ・オーサを連続召喚」
ー【森林のセッコーキジ】LV1(1)BP1000
ー【六分儀剣のルリ・オーサ】LV2(2)BP5000
エドワードの場に、甲冑と刀を装着したキジ、セッコーキジと、剣を装備するスマートな甲虫戦士、ルリ・オーサが出現する。
「ルリ・オーサの召喚時効果、ボイドからコア1つずつを赤のスピリット2体に置く。私は赤としても扱うこの2体のスピリットにコアを追加する」
ルリ・オーサの持つ強力な召喚時効果。それにより、エドワードは一気に2つのコアを増加させる。
ここで警戒しなければならないのは、当然2枚目のナスカ。再び使用されて仕舞えば、このコアブーストは帳消しとなってしまうからだ。
緊張感走る中、やはりと言うべきか、Dr.Aは口角を不気味な角度で上げながら、その伏せたバーストカードを発動させる。
「ヌッフフ………相手の召喚時発揮後のバーストを発動」
「!!」
「ハートロイミュード」
「ッ……ナスカじゃないだと!?」
「効果により、先ずはこのスピリットを召喚しますよ。現れなさい、ハート」
ー【ハートロイミュード】LV2(2S)BP12000
凄まじい熱量を放つ、心臓のような形をした何かが投下される。
それは放っていた熱を閉じ込めて爆発すると、爆炎、爆煙の中より、赤き異形の怪物、ハートロイミュードを爆誕させた。
「おやおや、あの程度は序の口だと、お伝えしたじゃないですか…………ハートロイミュードのバースト効果は続きますよ。召喚後、相手の手札1枚の内容を見ないで破棄」
「また手札を!?」
「今度は1番左のカードを破棄しましょうかね」
ハートロイミュードは登場するなり荒れ狂ったような咆哮を張り上げる。
すると、エドワードの手札はまた1枚、トラッシュへと破棄されて行った。これにより、残り手札は1枚のみとなってしまう。
「ヌッフフ………コアはそれなりに取り戻せたようですが、今度は手札がズタズタみたいですね〜〜」
「くっ………ターンエンドだ」
手札:1
場:【森林のセッコーキジ】LV2
【六分儀剣のルリ・オーサ】LV2
【フューチャーアース】LV1
バースト:【無】
手札やコアを減少され続け、自由にバトルをする事さえも許されないエドワード。
このターンも致し方なくエンドを宣言。Dr.Aへとターンが渡った。
[ターン06]Dr.A
「メインステップ………紫の世界にコア1つを置き、アタックステップへ………行きなさい、ナスカ」
ターン開始早々にメインステップを切り上げてアタックステップへと突入するDr.A。再びナスカが動き出す。
「ナスカのアタックはブロックできない」
「………ライフで受ける。ぐっ………!!」
〈ライフ4→3〉エドワード・ハイ
ナスカの神速俊速の剣撃がこのターンも炸裂。エドワードのライフバリアをまた1つ斬り裂く。
「バトル終了時、最後の手札も破棄してもらいましょうか」
「ッ………」
ナスカの効果により、エドワードの最後の手札が破棄され、遂にその手札は0枚にまで追い込まれてしまう。
「続きなさい、ハート」
今度はハートが行く。夥しい量の熱と、それに伴う蒸気を発生させながら、エドワードの元へ飛びかかる。
「………それもライフだ。ぐうっっ!?」
〈ライフ3→2〉エドワード・ハイ
ハートの拳が、エドワードのライフバリアをさらに砕いていく。
彼はライフダメージの激痛に堪えるも、思わず片膝を地につけてしまう。
「ヌッフフ……では、このターンはエンドで」
手札:5
場:【ナスカ・ドーパント】LV3
【ハートロイミュード】LV2
【紫の世界】
バースト:【無】
強烈な効果を所持する強力な2体のスピリット『ナスカ』と『ハート』を従えるDr.A。
余裕の表情のまま、そのターンを終えた。
「さぁ、君のターンですよ、立ち上がってください。まぁ、仮に立てたとして、進化の力を微塵も持ち合わせていない君如きでは、この私に勝つ事など、万に1つ、いや、億に1つでもあり得ない事ですがね〜〜………ヌッフフ」
「…………」
限りなく無限に等しい進化の力を内包するDr.A。そんな彼のデッキも、常識では考えられない程恐ろしい強さを誇っている。
エドワードも、この数ターンでそれはかなり身に染みた筈。
ならば力の差に絶望したに違いない。
Dr.Aはそんな彼の絶望に歪んだ表情を楽しみにしていたのだが……………
「くく………」
「?」
「アーッハッハッハ!!!」
立ち上がりながら見せたその表情は、絶望ではなく、寧ろ希望に満ち溢れていた。
彼のその狂ったように笑い出す様は、あえなき探究心を剥き出しにしているようにも見える。
今、Dr.Aもここでようやく気がついた。
………『彼もまた、狂っている』
と。まるで、昔の自分を見ているような感覚だった。
「いいな、いいなぁ進化の力!!……これこそまさに俺の追い求めていた力に相応しい!!……必ず、必ず手中に収めて見せよう!!!」
「ヌッフフ………つくづく面白い男だよ、君は」
進化の力の強さと奥深さに、血でも沸騰しているかのような興奮振りを見せるエドワード。一人称も「私」から「俺」になり、言動もかなり荒々しくなっている。
おそらくこれが、本当の彼なのだろう。
[ターン07]エドワード・ハイ
「メインステップ!!!………マジック、フォースブライトドロー!!」
「!」
「効果により、俺は手札が4枚になるまでデッキからドローする。今の俺の手札は0、よって4枚のカードをドローする」
起死回生の赤のドローマジック。
エドワードはその効果で手札を一気に4枚まで増やした。さらにその中に良いカードがあったのか、口角を上げ、それらを切っていく………
「手札の五賢龍帝アウレリウスの効果。12コストのこのスピリットを5コストとして召喚できる」
「……ふむ」
「来い、LV1で召喚だ」
ー【五賢龍帝アウレリウス】LV1(1)BP10000
上空から、エドワードの場へと飛来して来たのは、多くの装飾を飾り付けた巨大なドラゴン達の帝王、アウレリウス。
強力な効果を持つスピリットだが、それでさえも、まだまだ序の口。彼のデッキの真骨頂はここからであり…………
「ここで、ネクサス、フューチャーアースの効果を発揮!!」
「!」
「場にいるアウレリウスを破壊する事で、今から召喚するこのスピリットのコストを、破壊したアウレリウス分、12下げる」
「ヌッフフ………成る程、それは面白いコンボだ」
ここに来て第1ターンに配置したネクサス「フューチャーアース」の効果が起動。
登場したばかりのアウレリウスが爆散され、その爆発のエネルギーは、エドワードの手札にある1枚のカードへと集約される。
「行くぞDr.A!!!」
そして、彼はそれを呼び出す。
「生命を喰らい。絶望を喰らい。世界を喰らい。今、世界に混沌と新たなる秩序をもたらす為、滅亡の邪神は降臨する。顕現しろ、滅亡の邪神 ハイパーゼットン……!!」
突如、フィールドの空間全土を焼き尽くすように大爆発の大嵐が起こる。
そして、その唸る大爆発の中で、黒い怪物、ハイパーゼットンは、機械音混じりの咆哮を張り上げると、それらの大爆発が収まる。
ー【滅亡の邪神 ハイパーゼットン(イマーゴ)】LV2(3)BP20000
このフィールドに現れたハイパーゼットンこそ、エドワード・ハイのエースにして、彼を狂気の科学者と言わしめる存在。
「ふむ。ハイパーゼットン………私でも見た事のないスピリットですね」
「俺にこれを召喚させたのはお前の失態だ!!……異空間の粉塵にしてくれる!!」
「おやおや、それは物騒な」
「召喚時効果、相手のBP20000以下のスピリットを3体破壊し、破壊した数だけ、トラッシュのコアを2つ戻す」
「!!」
「くたばれ、ナスカ・ドーパント、ハートロイミュード!!」
ハイパーゼットンの黄色い胸部から放たれる、何億度もある火炎弾。それらはDr.Aの場に直撃、広がり、ナスカとハートを焼き尽くしていく。
「破壊したスピリットは2体、よってコア4つをハイパーゼットンに」
ー【滅亡の邪神 ハイパーゼットン(イマーゴ)】(3→7)LV2→LV3
トラッシュにあるコアが、ハイパーゼットンのカードに移動し、LVを上昇、そのBPは30000となり、バトルスピリッツの中では最高峰のパワーを獲得した。
「アタックステップ!!……ハイパーゼットンでアタック、その効果で紫の世界を破壊だ」
アタックステップに突入し、エドワードがハイパーゼットンに攻撃の指示を送る。
Dr.Aの背後にある紫の世界を焼き尽くさんと、ハイパーゼットンは再び胸部から火炎弾を放つ。
「………紫の世界の【転醒】の効果を発揮。ソウルコアを自身に置き、紫の悪魔神に転醒」
ー【紫の悪魔神】LV1(2S)BP6000
間一髪の所で、迫り来る火炎弾を邪悪な禍々しい剣で斬り裂いたのは、紫の世界が生み出した、紫の悪魔神。
それがそのままDr.Aのフィールドへと降り立つ。
「ふむ。まぁ、即席のブロッカーとしては十分かな」
「即席のブロッカー?……そんな生温い戦法がこの俺に通用するかよ!!」
「!」
そう告げると、エドワードはまた1枚の手札をBパッドに叩きつける。
「フラッシュタイミング、マジック『シックスブレイズ』!!」
「ほぉ」
「不足コストは、ハイパーゼットンから確保」
ー【滅亡の邪神 ハイパーゼットン(イマーゴ)】(7→4)LV3→2
「よってLV2にダウンするが、シックスブレイズは、BP12000まで相手のスピリットを好きなだけ破壊し、その効果を発揮させない!!……紫の悪魔神を破壊だ!!」
ハイパーゼットンのLVとBPがダウンしてしまうものの、エドワードの背後からは、ハイパーゼットンのモノよりかは小規模なものの、6つの火炎弾が放たれる。
それらは、Dr.Aの紫の悪魔神に直撃していき、木っ端微塵に砕いた後に、完全に焼き払った。
「これで再びお前のブロッカーは0。大人しくハイパーゼットンの攻撃を受けるんだな」
「…………」
滅亡の邪神の名に恥じない暴れっぷりを披露したハイパーゼットン。今度はDr.Aのライフを破壊せんと、ゆっくりと歩み、進んで来る。
盤面をひっくり返され、不利に立ったDr.Aだったが、そんな彼の表情は未だに余裕を貫いていて…………
「ヌッフフ………異世界にも、こんなにぶっ飛んだ効果を持つスピリットがいたとはね。恐れ入ったよ、やはり君は面白い」
「…………」
「だがね、それでも進化の力には敵わないよ。君が思っている以上に、進化の力は偉大なんだ」
「だからそれを奪いに来たんだ」
「ヌッフフ………良い目だね。将来有望だよ」
Dr.Aは、その真っ直ぐな狂気を向けるエドワードの目に、若き頃の自分を重ね合わせると、手札にある1枚のカードをBパッドへと叩きつけた。
「………手札にあるこのスピリットカードの効果、相手のコスト8以下のスピリット1体を手札に戻す事で、2コストを支払い召喚できる」
「なに!?」
「私は、ルリ・オーサを手札に戻して、これの条件を満たす」
ハイパーゼットンが歩みを進める中で、ルリ・オーサの身体が粒子化され、消滅。そのカードはエドワードの手札へと戻る。
そして、その直後にDr.Aも、自身の最も信頼するエースカードを呼び寄せる…………
「進化の頂点に立つ者が、愚かなる世界に変革をもたらす……仮面ライダーエボル ブラックホールフォーム………LV2で召喚ッ!!」
ー【仮面ライダーエボル ブラックホールフォーム】LV2(4)BP10000
フィールドに現れた、逆巻く黒い渦。その中より出現したのは、禍々しいオーラを常に放っている、白いライダースピリット。
その名はエボル。Dr.Aのエーススピリットだ。
「………それがお前のエースカードか」
「えぇ、私の進化の力を注ぎ込んで誕生させた、最高の相棒です。エボル、ハイパーゼットンをブロックしてあげなさい」
Dr.Aの指示でエボルがハイパーゼットンの行手を阻む。
「アタックブロック時、相手のスピリット1体のコア2個をリザーブへ、さらに消滅後はゲームから除外される。消え去りなさい、森林のセッコーキジ」
ー【森林のセッコーキジ】(1→0)消滅
エボルがセッコーキジに向かって手を翳すと、そこにブラックホールが形成、セッコーキジを吸引し、消滅させた。
「ルリ・オーサとセッコーキジ程度のスピリットを排除できても、俺にはこのハイパーゼットンがいる!!……BP10000では遠く及ばん!!」
エボルはハイパーゼットンへ向けて、再び小型のブラックホールを何発も発生させるが、ハイパーゼットンは両腕を振るうだけでそれを掻き消す。
BPバトルでは圧倒的にエボルが不利だ。このまま肉弾戦に突入すれば先ず間違いなく返り討ちに遭う事だろう。
しかし、それを覆せる策が、彼の、Dr.Aの手の中にはあって…………
「フラッシュ【煌臨】発揮!!……対象はエボル」
「ッ………このタイミングで煌臨を!?」
Dr.Aは、ソウルコアをコストに、スピリットを重ね合わせ、進化させる煌臨を発揮する。
その刹那、青と紫の2つの淡い光球がエボルを覆い尽くし、さらなる進化を促していく……………
「進化の頂、究極の頂を我が手に宿せ!!……仮面ライダークローズエボル………LV3で煌臨ッッ!!」
ー【仮面ライダークローズエボル】LV3(4)BP20000
「………進化しただと」
完全に進化を果たしたそれは、纏わりつく青と紫の淡い光を己の覇気で弾き飛ばす。
こうして姿を現したのは、青きドラゴンの力を宿した、エボルの最強進化形態『クローズエボル』…………
「煌臨アタック時効果、相手スピリットのコア3個をリザーブへ!!」
「!!」
「ハイパーゼットンからコア3つを外し、LVを1まで下げる」
ー【滅亡の邪神 ハイパーゼットン(イマーゴ)】(4→1)LV2→LV1
登場早々に、右の拳で空を殴りつけると、その先から青と紫のオーラで構成されてドラゴンが出現、ハイパーゼットンの元へと飛び出して行き、激突していく…………
天空や大地さえをも揺るがすその一撃を受けたハイパーゼットンは思わずダウン。LVは下がり、BPも15000となってしまう。
対してクローズエボルのBPは20000。最早勝てるわけがない。
「………まさか、負けるのか。俺のハイパーゼットンが」
「ヌッフフ………えぇ、そのまさかですよ」
直後に「トドメを刺してあげなさい」と、クローズエボルに向けて告げるDr.A。
クローズエボルは、それに応えるように、右足へ先程の青と紫のオーラを溜め込み、一気に天空高く飛び上がった。
「余興にしては贅沢なスピリットでしたよ!!」
「ッ………!!」
力を溜め込んだ右足を突き出し、ハイパーゼットンへ向けて、上空からライダーキックを放つクローズエボル。
ハイパーゼットンはやっとの思いで立ち上がるが、直ぐにそれが直撃。強固な黒いボディが容易く貫かれてしまう…………
そして、着地したクローズエボルが振り返る間もなく、ハイパーゼットンは力尽き、大爆発を起こした。
「…………な、なんと素晴らしい。これが進化の力か」
「ターンエンドですか?」
「………あぁ」
手札:2
場:【フューチャーアース】LV1
バースト:【無】
進化の力に興奮気味だったエドワード。だが、このターンでそれの更なる高みを見た今、テンションがオーバーフローして逆に少し冷静になれた。
欲しい。
その力が欲しい。
今すぐに…………
力への真っ直ぐな欲望の渦がまた感情を支配して来る。しかし、目の前にあるそれを満たせるモノに手が届かないまま、ターンはDr.Aへと移る。
[ターン08]Dr.A
「メインステップ………は、もう必要ありませんね。アタックステップ、クローズエボル、ラストアタックで締めにしましょうか」
「!!」
彼がそう告げると、クローズエボルは既にエドワードの眼前へと姿を現していた。
「は、ハハ………ライフだ、奪うがいい。進化の力の象徴よ!!」
そして、その拳を固く握り締め、不気味に笑い出すエドワードのライフバリアを、その果てなき欲望ごと殴り壊した………….
「ぐっ………ぐっォォォォォォ!!!!」
〈ライフ2→0〉エドワード・ハイ
エドワードのBパッドから、敗北を告げる「ピー……」と言う無機質な機械音が流れる。
これにより、勝者はDr.A。彼は倒れるエドワードを、無様だと言わんばかりに、嘲笑うように鼻で笑った。
「ヌッフフ………君は、将来有望な科学者だよエドワード君。どうだい、進化の力のために、この私について来る気はあるかね?」
「…………」
「より良い方向へ、この進化した世界『進世界』を導くんだ」
エドワードに手を差し伸べる。おそらく、彼から滲み出る狂気から、自分に近いものを感じ取ったからだろう。
そして、エドワードはその差し出された手を…………
「………あ、あはは」
「?」
「アー、アー、アーッハッハッハ!!!」
「!!」
掴まなかった。差し伸ばしたその手を、軽く弾き、先程よりも大きく表情を歪ませ、やや過呼吸気味に笑い出した。
その狂気的、怪奇的咆哮とも呼べるそれは、あのDr.Aでさえも、背筋に悪寒が走るのを感じてしまう程。
「俺が、俺が誰かの下につくわけないだろう。俺につくのは、俺だけだァァァァァァァァアーッハッハッハ!!!!!」
「………ふむ」
「貰うぞ、お前の………お前のォォォ!!!……進化の力ァァァ!!!!」
「!!」
デッキを外したBパッドを、Dr.Aへ向かって勢い良く投げ返すエドワード。
Dr.Aはそれを手で弾くも、エドワードの手が自分の左胸を捕らえたのを感じて…………
「よこせ、進化の力………よこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせぇぇぇぇえ!!!」
「ぬ、ヌゥォォォォ!?!!」
胸を掴まれ、喘ぎ声を上げるDr.A。
残された力でそれを握るエドワードの手からは、進化の力なのか、徐々に虹色の輝きが漏れ出して……………
「………若造が、この私を誰だと思っている!!………うぉぉぉぉ!!」
「!!」
「私はDr.A。この世界を支配した、進世界の神だァァァァ!!!!」
もがきながらも叫び、片手でエボルのような小型ブラックホールを形成するDr.A。そこに全力でエドワードをぶん投げる。
そのブラックホールは直ぐに閉ざされ、エドワードはまた謎の空間を漂う事となる……………
「ハァッ………ハァッ」
「……………」
エドワードが消えた事で静まり返る進世界。息が荒くなったDr.Aを支えるように、エニーズが寄り添う。
感情の入っていない、真っ直ぐな瞳で、彼を見つめる。
「あぁ、心配かけたねエニーズ。ほんの少しだけ、進化の力を持っていかれたようだ。だが問題ない、この程度は修復可能さ」
やはり、あの時彼の胸から漏れ出ていた虹色の光は進化の力。
エドワードはそれを、Dr.Aから奪い取ったのだ。
「………エドワード・ハイ。ヌッフフ………あなたの成すことやる事には微塵も興味がありませんが、いいでしょう」
私のその進化の力。
あなたのその狂気的な欲望を満たすために、役立てなさい。
私は常に、大いなる力を求める者の、味方ですよ。
Dr.Aはまた「ヌッフフ……」と、気味の悪い笑い声を上げると、最愛の女性エニーズと共にどこかへ消え去って行った……………
彼と同じく狂気的な道を辿る青年「エドワード・ハイ」の物語は、まだ終わらない。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!!
今回登場した「エドワード・ハイ」と言うキャラクターは、前述した置き物君の考えたオリキャラです。彼のTwitter等で、うちの子よその子の交流会、いわゆる「うちよそ」と呼ばれる物で活躍している名オリキャラですね。
是非今後のエドワードの活躍を見届けてあげてください!!