バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

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第14話「黄金の守護竜……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ始まる【界放リーグ】の予選代表選抜戦。夏休み真っ只中だと言うにもかかわらず、校舎はジークフリード校の生徒達で賑わっていた。

 

 

「………さぁ、とうとうやって来たが、どうしたもんか」

 

 

そう言ったのはジークフリード校の理事長【龍皇 竜ノ字(りゅうおう たつのじ)】。今年で60歳の男性で、ライオンのような鬣が特徴的だが、10年前までは現役の凄腕のプロバトラーで、引退後も【伝説バトラー】として崇められた。

 

そもそもこの界放市にある6つの学園の理事長は皆、この龍皇と同じ代で、尚且つ【伝説バトラー】なのである。

 

そして龍皇は困っていた。それは今年の界放リーグでは必ずヘラクレスに勝てるほどのバトラーを選出しなければならないからである。

 

理由としては、仲の良いキングタウロス校の理事長との賭け事で、どちらかが3年連続で優勝できたら、負けた方が勝った方にハワイ旅行させるというもの。

 

その程度の金は現役時代に稼いだ金でいくらでも出せるのだが、負けるのは血の気が多かった彼としては癪であって、

 

1人目は既に目をつけている。【朱雀】こと赤羽司だ。彼ならヘラクレスに打倒できる可能性がある。彼ほどの実力ならこの学校の3年生をものともせずに勝ち上がって来るだろう。問題は2人目だ。去年、一昨年の結果から、めぼしい上級生はいない。となると1年生しかいないが……

 

 

「……………おぉ、この芽座椎名と言う生徒は4月の代表バトルで赤羽司に勝利している………そしてエントリーもしている……」

 

 

彼は1学期のバトル成績表を見て、椎名の項目を覗いた。椎名はこの学期を通して、唯一司に黒星を与えていた。だが、司とバトルしたのも勝ったのもこれ1回のみ、本当は偶然だったかもしれないという考えが龍皇の頭をよぎる。

 

 

「…………よし!ちょっくら試してみっか」

 

 

そう言って彼は理事長室から出た。

 

 

******

 

 

ここはジークフリード校エントランス。広々としたこの空間は生徒達の休憩所であり、癒しの場だ。だが、それはこの男の存在のせいでいずらいものとなっていた。それは以前椎名に敗北した【毒島富雄】だ。カツアゲなどの乱暴な行為が噂される彼のせいで、エントランスはほとんどの人はやってこなかった。

 

毒島は3年生。実力もまぁまぁあることながら、予選代表選抜に出場する予定であった。だが、彼の目的は予選で勝ち残るのが出場する理由ではなく、椎名に復讐するが本当の目的なのだが、

 

自分の手持ちのカードにはあのフレイドラモンを超えるようなカードはなかった。あのフレイドラモンにさえ勝つことができれば必ず椎名を倒せる。そう思っていた。

 

 

「おい、毒島富雄だな?…ちょっといいか?」

「………!!……あんたは、龍皇理事長…!?」

 

 

唐突に現れたのはなんとこの学校の理事長である龍皇竜ノ字。まさか自分のような者に話しかけてくるとは思ってもいなかったのか、思わず座っていたベンチから立ち上がる。その異常な存在感に腰が引けた。

 

 

「あ、あんたみたいな人が、お、俺に何の用だ?」

「いやいや、お前を応援しようと思ってな、……予選に出るんだろ?……これをやるよ」

 

 

そう言って彼は毒島の手にカードを数枚握らせた。その後、通り過ぎるように通過し、「期待してるぜ」と呟いてその場を去っていった。とてつもないくらいのオーラだった。近づいてきた瞬間は息が詰まりそうなくらいだ。毒島は息を荒げながらもそのカードを見た。そのカード達は皆驚くほどのレアカード。しかも自分のデッキと相性がいいときた。これほどの補強パーツは他にない。

 

あの龍皇理事長が、本気で自分なんぞを応援しているとは思えなかったが、そんなことはどうでもいい。結果論が全てだ。今自分の手にはあの芽座椎名を倒せるカード達があると言う。

 

 

「こ、これがあれば、奴に、奴に勝てる!!!ガハハハハ!!!!とうとう俺の時代だ!待ってやがれ!」

 

 

毒島は代表選抜予選に臨む。芽座椎名を打倒するために。

 

 

******

 

 

そしてジークフリード校の中では最も広い、この第10バトル場でついに代表選抜予選が幕を開ける。ざっと見て200人は参加している。勝ち星が多い上位2名が出てくるまで何度もバトルすることになる。

 

真夏と雅治が共に2階の観客席で見守る中、椎名と司は予選に挑んでいた。バトル内容はどれも快勝だった。2人とも流石と言える。

 

 

「いっけぇ!!フレイドラモン!……渾身の爆炎!ファイアァァア!!ロケット!!!」

 

 

相手のライフに向かって、炎を纏い、全力で落下するフレイドラモン。その相手のライフを無慈悲に破壊した。最後のライフが消し飛ばされた相手は軽く吹き飛ばされる。

 

 

「へっへ!楽しかったよ!」

 

 

椎名はこれで10戦中10勝。人数的にも後1回。後1回勝てば確定で代表入りを果たせる。

 

 

「やれ!ホルスモン!!!………テンペストウィング!」

 

 

司の指示に従い、ホルスモンは身体を回転させ、まるで竜巻のように飛翔する。そしてそのまま瞬く間に最後のライフを貫いた。司も椎名と同じ勝ち星をあげていた。つまり後1回で代表入り確定だ。

 

 

「2人とも流石だね」

「………せやな」

「緑坂さんはなんで界放リーグに参加しないんだい?」

「あんたくらい頭が良ければ考えずともわかるやろ?……私からしてみればあんたが出ん方がよっぽど謎やで」

「……………」

 

 

黙り込む雅治。あれから何度も出場はしたいのにしたくない、そんな矛盾する気持ちを考えて見たが、なかなかその理由がわからない。そして本番を迎え、結局何が何だか分からず出場しなかった。

 

真夏が出場しないのは当然の如く、兄、ヘラクレスと周りから比較されるが嫌だからだ。彼女にとってそれは自分の身体が引き裂かれるような痛みなのである。

 

 

「よぉぉし!代表選抜予選もいよいよ最後のバトルだ!この4人のうち2人が代表だぞ!」

 

 

バトル場のど真ん中にいる晴太がそう言うと4人の人物がバトル場に歩み寄る。その中には司と椎名も確認できる。

 

椎名は目の前にいる自分の対戦相手を確認する。司ではなかった。彼はその隣で、また別の人物とバトルすることになっていた。椎名としては好都合。彼とは一緒に代表になって本戦でバトルしたいからだ。

 

 

「よっし!頑張るぞぉ〜〜!」

「………よぉ、久しぶりだな、芽座椎名」

 

 

椎名の目の前にいた対戦相手が椎名に話しかける。どうやら椎名の知人のようだが、

 

 

「?……どっかであった?」

「忘れたのかよっ!?俺様だ!毒島富雄様だ!!カードショップでバトルしてやっただろうが!!」

 

 

対戦相手はあの毒島だった。椎名もそれを聞いてようやく思い出す。

 

 

「あぁ、あの毒島先輩かぁ、」

「今回俺はお前に復讐するために来た、……覚悟しやがれよ、アホ毛女」

「へへ!……せっかくだから楽しいバトルにしよう!」

 

 

このバトルは生徒達からは離れたところで龍皇理事長も観戦している。芽座椎名を見極めるためだ。

 

 

「よっし、お手並み拝見だな、芽座椎名」

 

 

多くの生徒や先生が見守る中、この4人のバトルが、代表選抜予選の最後の試合が今、切って落とされる。

 

 

「バトル、始めぇ!」

「「「「ゲートオープン!!界放!!」」」」

 

 

晴太の始めの合図に合わせて、4人共一斉にバトルを始める。

 

椎名と毒島のバトルが始まる。

 

ー先行は毒島だ。

 

 

[ターン01]毒島

《スタートステップ》

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「ガハハハ!メインステップ!……俺はネクサス、旅団の摩天楼を配置!」

手札5⇨4

リザーブ4⇨1

トラッシュ0⇨3

 

 

毒島が早速背後に配置したのは細長い摩天楼。これはその効果の汎用性の高さから、紫のデッキならば、どんなデッキでも採用圏内に入る強カード。

 

 

「配置時効果で1枚ドローだ!………さらにバーストを伏せる。俺はこれでターンを終了だ!」

手札4⇨5⇨4

 

旅団の摩天楼LV1

 

バースト有

 

 

さらに1枚のバーストカードを伏せ、先行の第1ターンを終える毒島。次は椎名のターンだ。

 

 

[ターン02]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップ!ブイモンを召喚!」

手札5⇨4

リザーブ5⇨1

トラッシュ0⇨3

 

 

椎名が早速呼び出したのはこのデッキの潤滑油的存在、青き体に加え、額に金色のブイの字が刻まれた小さな竜、ブイモンが召喚された。

 

 

「召喚時効果発揮!カードをオープン!」

オープンカード

【グリードサンダー】×

【フレイドラモン】○

 

 

召喚時効果は成功。アーマー体のフレイドラモンのカードが手札に加えられた。

 

そして椎名は早速召喚する。この最高のマイフェイバリットスピリットを。

 

 

「さらにフレイドラモンの【アーマー進化】発揮!対象はブイモン!…1コストを支払い、燃え上がる炎、フレイドラモンをLV1で召喚!」

 

 

ブイモンの頭上に赤く、独特な形をした卵が投下される。ブイモンはそれと衝突し、混ざり合う。そして新たに現れたのは炎を彷彿とさせるスマートな竜人型アーマー体スピリット、フレイドラモン。

 

雅治も「早速来たね」と、声を上げる。毒島は激しい怨念の炎をその心に燃やしていた。痛い目にあわされたあいつが目の前にいると思うと俄然倒したくなる。

 

 

「アタックステップ!……フレイドラモン!」

 

「ライフだ、くれてやる!」

ライフ5⇨4

 

 

フレイドラモンは炎を纏わせた拳で、毒島のライフを1つ叩き割った。椎名にとっては幸先の良いスタートと言える。

 

だが、ここで毒島のバーストがオープンされる。

 

 

「ライフの減りでバーストを発動だ!ジャンピングバインド!……効果によりコアブーストだ!!」

リザーブ2⇨3

 

 

真夏も使ったマジックカード。毒島にコアの恵みが送られる。

 

 

「よっし!ターンエンド!」

フレイドラモンLV1(1)BP6000(疲労)

 

バースト無

 

 

ターンを終える椎名。次は毒島のターンだ。前のターンから一転して、リベンジを果たすべく大きく動き出す。

 

 

[ターン03]毒島

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ3⇨4

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ4⇨7

トラッシュ3⇨0

 

 

「……メインステップ……ガハハハ!!!この力を使う時が来たぜぇ!!」

「………!?!」

 

 

忽然と笑い出す毒島。思わず椎名は身構える。毒島が今から呼び出すのは、龍皇から譲り受けたレアカード。デジタルスピリットでも貴重な完全体のカードだ。

 

 

「召喚!……アルケニモン!!!LV2だ!」

手札5⇨4

リザーブ7⇨0

トラッシュ0⇨4

 

「……!?」

 

 

突如現れる巨大な繭。その中で蠢く何か、それはゆっくりとその繭を引き裂き、現れる。

 

下半身は蜘蛛。上半身は不気味な女性の姿をした魔獣型スピリット、アルケニモンが召喚された。

 

 

「おぉ!すごい!!」

「毒島ってあんなカード隠し持っとったんかいな……!?」

 

 

あいも変わらず強敵そうなスピリットの登場ではしゃぎ出す椎名。その上で、少々驚く真夏。毒島は基本的にドクグモンを軸に戦うデッキだった。なので今回のこの完全体のレアカード、アルケニモンを見て、驚くものはたくさんいた。

 

 

「これが俺の新たなエースカードだ!!!覚悟しやがれぇ!!アタックステップ!!………アルケニモン!!」

 

 

蜘蛛の下半身を巧みに活かして走り出すアルケニモン。その凶悪なアタック時効果が椎名とフレイドラモンを待ち構える。

 

 

「アタック時効果だ!くたばれぇ!フレイドラモン!!」

「なにぃ!?」

 

 

アルケニモンは右腕から暗黒の粒子の球を形成し、それをフレイドラモンに投げ飛ばす。フレイドラモンはそれに直撃し、塵となり消滅した。

 

 

「アルケニモンのアタック時だ!疲労状態の相手スピリット1体を破壊し、ボイドからコア1つをアルケニモンに置く………ガハハハ!!!どうだ!」

アルケニモン(3⇨4)

 

 

早々にフレイドラモンを失い、痛手となる。が、まだ挽回のチャンスはある。椎名はこのアタックをライフで受けようとするが、

 

 

「くっ!!……ライフで受け…………」

「ちょぉっと待ちやがれ!まだあるぜ!アルケニモンのアタック時効果がなぁ!!!」

「………!!」

 

「アルケニモンの第2のアタック時効果!カードをオープン!」

オープンカード

【ドクグモン】×

【マミーモン】○

 

 

アルケニモンの2つ目のアタック時効果、それは緑、または紫1色のネクサスがある時、デッキからカードを2枚オープンし、その中の完全体スピリットをノーコスト召喚できるというもの。

 

今回は同じく完全体のマミーモンが該当するため、毒島はこれを召喚する。ちなみに、このマミーモンも龍皇から貰ったものだ。

 

 

「いよっしゃぁあ!!俺はこのマミーモンを召喚するぜ!LV2だ!」

アルケニモン(4⇨1)LV2⇨1

マミーモン(3)LV2

 

 

アルケニモンが作り出す暗黒の瘴気、その中から、ミイラのように、全身が包帯で巻かれたアンデッド型スピリット、完全体のマミーモンが召喚された。その手には長い銃が握られている。

 

 

「……!!……一気に完全体が2体!?」

「アルケニモンのアタックは継続だ!!」

 

「ぐっ!……ライフで受ける!」

ライフ5⇨4

 

 

アルケニモンの引き裂くような攻撃が、椎名のライフを1つ破壊した。このターンはこれだけでは済まされない。次はマミーモンの攻撃だ。

 

 

「続きやがれ!マミーモン!……こいつはLV2の時!アルケニモンがいるだけでBPプラス5000、紫のシンボルを1つ追加される!」

マミーモンLV2(3)BP12000

 

 

つまりはダブルシンボルのアタックだ。少ないコア数、場のカード、椎名にはライフで受ける以外の選択肢はない。

 

 

「それもライフで受ける!」

ライフ4⇨2

 

 

マミーモンの銃撃が椎名のライフを一気に2つ破壊する。

 

 

「ガハハハ!!これが俺様の真の実力よ!!ターンエンドだ!」

アルケニモンLV1(1)BP5000(疲労)

マミーモンLV2(3)BP12000(疲労)

 

旅団の摩天楼LV1

 

バースト無

 

 

そのターンを終える毒島。アルケニモンとマミーモン。この最悪のコンビを打ち破る術を椎名は持ち合わせているのだろうか、いや、持ち合わせなくてはならない。本戦に出場し、勝ち残るまで負けてはいられない。椎名がそう思った直後だった。

 

 

《勝者!赤羽司!代表決定!!!》

 

 

そんなアナウンスが流れてくる。椎名はすぐ横を見渡すと、司が対戦相手を完膚なきまでに叩き落としていた。盤面にいるホルスモンが宙を舞う。

 

司は椎名を見る。まるで勝ち誇ったかのような顔だ。まだ椎名と勝負もしていないのに、椎名は不思議とやる気が込み上げてくる。「司には負けられない」と自分を鼓舞していく。

 

 

[ターン04]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

 

 

「ドローステップ!!……ドロー!!………!!……じっちゃん!」

 

 

椎名がドローしたカードは六月に渡されたカード。それはまさしくこの状況にはうってつけのカードであって、

 

 

《リフレッシュステップ》

リザーブ5⇨9

トラッシュ4⇨0

 

 

「いくよ!メインステップ!バーストをセットして、ガンナー・ハスキーと猪人ボアボアをLV2で召喚!」

手札6⇨4

リザーブ9⇨0

トラッシュ0⇨3

 

 

椎名がバーストを伏せると同時に場に呼び出したのは犬型だが、拳銃を所持するために、青い腕を生やしたスピリット、ガンナー・ハスキーと、猪の頭をした獣人型スピリット、ボアボア。

 

いずれも椎名の速攻部隊となるスピリットたちだ。

 

 

「アタックステップ!ボアボアとガンナー・ハスキーでアタック!」

猪人ボアボア(3⇨4)LV2⇨3

 

「2つともライフだ!!」

ライフ4⇨2

 

 

そのままアタックステップに入る椎名。ボアボアの鎖付き鉄球が、ガンナー・ハスキーの乱射が、それぞれ1つずつ毒島のライフを破壊した。

 

これでライフだけなら同値となるが、

 

 

「ガハハハ!!!バカが!勝負を捨てたか!……これでもうお前を守るスピリットはいない!俺の勝ちだ!!」

 

 

椎名はこのターン、フルアタックをしたせいでブロッカーは無し、確かに大雑把に見れば勝負を捨てたように見えるが、

 

毒島は勘違いをしていた。何故なら、勝負を捨てたプレイヤーがバーストなど伏せるわけがないからだ。

 

既に観戦に回っていた司は思った。「これはめざしの勝ちだ」と。こんな相手に奴が負けるわけがないと、

 

 

「ターンエンド!!……さぁ!どっからでもこい!!」

ガンナー・ハスキーLV2(3)BP4000(疲労)

猪人ボアボアLV2(4)BP4000(疲労)

 

バースト有

 

 

「あぁ!どっからでもきてやるぜ!この俺のターンで終わりだぁ!!」

 

 

[ターン05]毒島

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ2⇨3

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ3⇨7

トラッシュ4⇨0

アルケニモン(疲労⇨回復)

マミーモン(疲労⇨回復)

 

 

「メインステップ!アルケニモンをLV3に上げ、……決めてやるぜ!異魔神ブレイブ!龍魔神!」

手札5⇨4

リザーブ7⇨0

アルケニモン(1⇨5)LV1⇨3

トラッシュ0⇨3

 

「……異魔神ブレイブ!!」

 

 

悪運立ち込める空間に、雷雲と共に現れる黒き龍。左右に合体できる特異なブレイブ。異魔神ブレイブの1種、龍魔神が召喚された。

 

ーそして

 

 

「龍魔神の右にアルケニモンを、左にマミーモンを合体させる!」

 

 

龍魔神の左右の手から光線が伸びる。それはアルケニモンとマミーモンに繋がり、合体状態となる。

 

そして脅威のアタックステップが始まる。

 

 

「終わりだぁ!!アタックステップ!アルケニモン!!……龍魔神の右側の力はアルケニモンとほぼ同等!ガンナー・ハスキーとボアボアの2体を破壊し、コアを2つ追加だ!」

アルケニモン+龍魔神(5⇨7)

 

「……くっっ!!!……でもガンナー・ハスキーのLV2の破壊時効果でコアを2つ増やす!!」

リザーブ7⇨9

 

 

アルケニモンと龍魔神の黒き波動により、ガンナー・ハスキーとボアボアの息の根は止まる。2体とも爆発し、破壊されてしまった。

 

ガンナー・ハスキーのLV2の破壊時でリザーブにコアが追加されるものの、乗せるスピリットがいなければ意味がない。

 

 

「それがどうしたぁあ!!お前の盤面にはもはやスピリットはいない!トドメだ!!」

 

 

走り出すアルケニモン。龍魔神との合体でシンボルは2つ。椎名の残りのライフをいとも容易く消し飛ばすことが可能。誰が見てもこの状況は変わらない。そう思われた直後だった。椎名のバーストカードが光り出し、一気に反転する。

 

 

「相手のアタック後でバースト発動!トライアングルバースト!!」

「なに!!?」

 

「トライアングルバーストは、バースト効果で手札にあるコスト4以下のスピリットをノーコストで召喚できる、……ブイモンを召喚!!」

手札3⇨2

リザーブ9⇨5

ブイモンLV2(4)BP4000

 

 

突如現れるトライアングルの光り。その間から【アーマー進化】の効果により手札に戻っていたブイモンが再び登場する。

 

 

「なるほど……相手のアタック時効果を掻い潜り、成長期を召喚、さらに【アーマー進化】を決める算段か、」

 

 

そう呟いたのはすぐ横のバトル場にいる司。彼の予想通り、椎名は呼び出しても直ぐにアタック時効果で破壊されかねないブイモンを維持するために、それよりタイミングが後のアタック後のバースト、トライアングルバーストを仕込むことで、相手ターンでの【アーマー進化】を可能にした。

 

ーだが、

 

 

「仮にフレイドラモン、ライドラモンを出せたとして、この状況を変えることはできない…………」

 

 

そう呟いたのは雅治。確かにフレイドラモンでもライドラモンでも、毒島のアルケニモン、マミーモンに勝つことはできない。だが、椎名が召喚するスピリットはフレイドラモンでもライドラモンでもない、誰もが予想だにしない新たなるスピリットを召喚する。

 

 

「フラッシュ!【アーマー進化】発揮!対象はブイモン!」

「ガハハハ!!今さらフレイドラモンか?そんなものを出しても無駄だ!俺様のアルケニモンとマミーモンの敵ではない!」

 

「……誰がフレイドラモンを召喚するって?……私が召喚するのはこいつだ!!……1コストを支払い、黄金の守護竜………マグナモンを召喚!!!」

リザーブ5⇨4

トラッシュ3⇨4

マグナモンLV3(4)BP10000

 

「な、なにぃ!?マグナモン!?!……」

 

 

金色の輝きを放つ黄金の鎧を纏う卵のようなものがゆっくりとブイモンの頭上に投下される。ブイモンはそれと衝突し、混ざり合う。そして新たに現れるのは、鉄壁の防御能力を持つ、最強のアーマー体。それは黄金の鎧をその身に纏い、椎名の場に現れる。

 

それを見るなり、椎名以外の者は驚愕していた。それもそのはず、このマグナモンは他のデジタルスピリットとは訳が違う。

 

 

「あ、あれは………マグナモン………!?」

「【ロイヤルナイツ】の1体………!!なぜめざしが、……」

「世界にただ1枚しかないカードのはずやで!?……そんなもん持っとったんかいな!?」

 

 

マグナモン。伝説のデジタルスピリット。【ロイヤルナイツ】の1体。【ロイヤルナイツ】とは、世界にただ1枚しか存在しないと言われる無敵のデジタルスピリット集団。それらは全てで13種、そのうちの1体であるマグナモンを椎名が召喚した事により、周りは騒然とする。それはあの龍皇理事長も同様である。

 

ちなみに椎名は【ロイヤルナイツ】の存在を、マグナモンの価値を全く知らない。マグナモンの煌めく後ろ姿にただ見惚れていた。

 

 

「おぉ!!これがマグナモン!!カッコいい!!………よろしくね!!マグナモン!!」

 

 

椎名の言葉に少しだけ振り返り、小さく頷くマグナモン。対戦相手の毒島はただそのマグナモンの存在に驚き、恐怖していた。

 

 

「ぐっ!!………だが!!!所詮はBP10000!!アルケニモンの敵じゃあない!!」

 

 

確かにBPだけならマグナモンは他のアーマー体となんら変わりはない。だが、マグナモンは仮にもアーマー体最強のスピリット。それにはそれ相応の強力な効果がいくつも備わっていた。

 

 

「マグナモンの召喚時効果発揮!!……マグナモンは召喚した時、相手の場にいる最もコストの低いスピリット1体を破壊する!」

「……な、なぁ???!?」

「毒島先輩の場にいる最もコストの低いスピリットは10のアルケニモン!これを破壊する!…………黄金の波動!!!エクストリーム・ジハード!!!!」

 

 

マグナモンはその身に黄金の光を集中させ、それを一気に解き放つ。その膨大なエネルギーは瞬く間にアルケニモンを捉えて、それを消滅させた。

 

 

「へっへー!!アルケニモンが破壊された事で、マミーモンに与えられたBPとシンボルが低減するっ!」

 

「ぐっっ!!!」

マミーモン+龍魔神BP16000⇨11000

 

 

アルケニモンがいなくなった事により、寂しさを感じたのか、涙を流すマミーモン。彼は仇を取るべくアタックしに行く。

 

 

「だが!!!まだ俺様の場にはまだマミーモンがいる!!アタックだ!!!……マミーモンのアタック時効果でマグナモンのコアを2つリザーブに置き、龍魔神の効果で疲労させる!!!………喰らえ!マグナモン!!」

 

 

マミーモンの渾身の銃撃と、龍魔神の闇の瘴気が同時にマグナモンを襲う。このままではマグナモンはLVが下がるだけでなく、疲労状態になってしまう。

 

ーだが、

 

 

 

マグナモンはその黄金の鎧の力を示すように輝かせると、その2つの攻撃を同時に跳ね返してしまう。

 

 

「な、なにぃ!?!……なぜ効かない!!?!」

「マグナモンは相手のスピリット、ブレイブの効果を受け付けない………!!…よってその効果は効かないよ!」

 

 

マグナモンの強力な効果の1つ。それは耐性効果。マグナモンに対するスピリットとブレイブのこれ一切の効果を遮断してしまう。

 

最強のアーマー体と言われる由縁の1つだ。そして、マミーモンはアタック状態。椎名はこれをマグナモンで迎え撃つ。

 

 

「アタックはマグナモンでブロックするっ……!!」

 

 

マミーモンの気持ちはまだおさまらず、包帯を飛ばし、マグナモンを縛り付けにしようとする。マグナモンはその攻撃を上空に飛ぶ事で回避する。

 

 

「ガハハハ!!!いくら【ロイヤルナイツ】と言えどバトルスピリッツのルールには逆らえまい!!BPはマミーモンが上!!くたばりやがれぇ!!」

 

 

だが、椎名も何も考え無しにブロックしたりなどしない。さらなる逆転の1枚を引き抜く。

 

 

「へっ!……フラッシュマジック!アビサルカウンター!!……アビサルカウンターは相手の合体スピリットのブレイブを1体破壊する!私が破壊するのは龍魔神!!」

手札2⇨1

リザーブ4⇨2

トラッシュ4⇨6

 

「……は、はぁ!?!!……あ、あぁ!?!……俺様の龍魔神!!?!」

 

 

龍魔神を襲う特大の竜巻。龍魔神はそれに取り込まれ、宙に飛ばされて、そのまま爆発してしまう。

 

これにより龍魔神の合体時+は無くなり、マミーモンのBPは椎名のマグナモンより劣ってしまう。

 

 

「今だぁ!!いっけぇ!!マグナモン!!………黄金の一撃!!ゴォォルデン!!ドラァァイブ!!!」

 

 

マグナモンは再び黄金の輝きをその身に纏い、上空からマミーモンに向けて落下して行く。マミーモンは焦り、銃を乱射するが、通用せず、全て弾き返される。そしてそのままその攻撃が直撃、爆発する。

 

爆発の煙の中、マグナモンだけが生存していた。その黄金の鎧が、より輝いて見える。

 

 

「……た、ターン、エンド……っ!!」

旅団の摩天楼LV1

 

バースト無

 

 

なすすべがない。何もできない毒島は仕方なくそのターンを終えてしまう。

 

次はラストになるであろう、椎名のターンだ。

 

 

[ターン06]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ2⇨3

《ドローステップ》手札1⇨2

《リフレッシュステップ》

リザーブ3⇨9

トラッシュ6⇨0

マグナモン(疲労⇨回復)

 

 

「メインステップで……ブイモンを召喚し、アタックステップ!………ブイモンとマグナモンでアタックだぁ!!」

手札2⇨1

リザーブ9⇨4

トラッシュ0⇨2

 

 

動き出す2体のスピリット。目指すは残った毒島の2つのライフ。毒島の手札にはもはやカウンターカードはない。

 

ー決着だ。

 

 

「ぐっっ!!………ら、ライフだぁあ!!」

ライフ2⇨1⇨0

 

 

マグナモンの肩部から放たれるミサイルが、ブイモンの頭突きが、毒島の残ったライフを完全に叩き壊す。

 

これにより勝者は椎名。見事大逆転を飾ってみせる。ブイサインを掲げる彼女の前にいるマグナモンとブイモンはゆっくりとその姿を消滅させて行く。

 

 

《勝者!芽座椎名!代表決定!!!》

 

 

勝利を告げるアナウンスが流れる。湧き上がる歓声。

 

これでバトスピ学園、ジークフリード校の代表2人は芽座椎名と赤羽司に決定した。

 

 

「ぐっ!!ま、負けた…………」

「毒島先輩!!いいバトルだったよ!!またやろうね!!」

「…………うるせぇ!……覚えてやがれぇ!」

「あ、あれ!?」

 

 

そう言ってまた古い捨てゼリフだけを残して、毒島はその場を去って行く。

 

 

******

 

 

代表が決まり、今は表彰式だ。椎名と司は真ん中の表彰台の前に立たされ、祝福されていた。目の前にいるのは龍皇理事長だ。

 

 

「あっほん!……改めて代表入りおめでとう、芽座椎名、赤羽司!……特に芽座椎名、お前のあのマグナモンには驚かされたよ、これからも頑張れよな!」

「あっはは!!ありがとうございます!」

(よぉ〜し、狙い通りだ、やっぱ凄い才能だったぞこいつ、この2人でなんとか【ヘラクレス】を倒してくれよ………頼むからマジで)

 

 

龍皇はキングタウロス校の理事長との賭け事に勝つことしか頭にない。こんな歳になって何を考えているんだと思うかもしれないが、彼とて年長者。余生を楽しみたいのだろう。

 

 

「ところで理事長。【界放リーグ】本戦はいつですか?」

「!?!」

 

 

思わず呆気にとられる龍皇。まさかここまで勝ち上がってきてそんなことも知らないとは思ってなかった。

 

横にいる司がそれを説明し、伝える。

 

 

「何今更言ってんだめざし、【界放リーグ】の本戦は夏休み明けて、10月だろうが」

「………えぇ!?そんなに長く待つの!?」

「はっは!……まぁ、他校も強敵を送ってくるんだし、それまでに腕を磨くのもいいかもな!」

「はぁ、馬鹿馬鹿しい、俺はこれで失礼するぜ」

「えぇ?まだ終わってないよ!?」

「俺がそんなこと知るか……」

 

 

司はそれだけ伝えるとまだ表彰式は終わっていないというのに、表彰台から降り、その場を去って行く。

 

 

(めざしはあんな力を………ならば俺も新たに身につけねばならん、癪だが、あそこに帰ってみるか)

 

 

司は心の中でそう考える。椎名の持つ【ロイヤルナイツ】、マグナモンを見て、追い越されている気がした。司はあのカードを必ず得ると誓った。【赤羽一族に伝わる伝説のスピリット】を。

 

 

 

 

 

 




〈本日のハイライトカード!!〉

「はい!椎名です!今回はこいつ!【アルケニモン】!」

「アルケニモンは緑と紫の強力な完全体スピリット!……アタック時に疲労状態のスピリットを破壊したり、マミーモンを連れてきたりできるよ!」








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