界放リーグ、その2回戦第二試合、激突する生徒はキングタウロス校3年。現在2連覇中の緑坂冬真、又の名を【ヘラクレス】。対するはデスペラード校1年、その人気はアイドル超え、超絶人気の女の子、紫治一族の末裔、紫治夜宵だ。
2人は中央スタジアムで顔を合わせる。
「おぉぉぉぉぉ!!!まさかあの夜宵ちゃんとバトルできるなんて〜〜〜光栄や〜〜!!……………………あっ、サインちょうだい」
「ははっ、…………い、いえ、こちらこそ光栄です」
世界中が注目する界放リーグだというのにヘラクレスは一切の緊張感を見せない。夜宵はやけに距離感が近いヘラクレスに少し引きつつも、ヘラクレスの持ってきた色紙にサインした。
ヘラクレスがあらかじめそれを持ってきていたと考えると、彼は本当に夜宵とバトルできるのを嬉しく思っていたのだろう。紫治夜宵のファン層はなかなか広い。
「…………はい、どうぞ」
「おぉぉぉぉぉっほっほ!ありがとや〜〜!」
サイン色紙をヘラクレスに渡す夜宵。ヘラクレスはそれを見て、まるで子供のように大はしゃぎする。
「でも気をつけてくださいね?」
「?」
「今日の運勢は緑が最下位で、紫が1位です……………そしてあなたは緑デッキ、私は紫デッキ…………どういう意味かわかりますね?」
つまり今日はヘラクレスの運が悪くなり、夜宵の運が最も強い日とでも言いたいのだろうか。
ヘラクレスは一瞬頭を抱えた。確かに自分は緑を使うが、最下位だからとて、バトルには全く関係がないだろう。と、
ヘラクレスはその運勢自体は、今日の夜宵がメインパーソナリティーを務めるラジオ番組、パープルヒーリングにて、知ってはいたが、
まぁ、どうせなにかのハッタリだと考えて、ヘラクレスはBパッドを展開した。夜宵も同様に、…………この後ヘラクレスは思い知ることになる。夜宵の占う運勢の力というものを。
「まぁ、気ぃつけときますわ……さっ、やろか?」
「ええ、」
「「ゲートオープン!界放!!」」
界放リーグ、第2回戦第二試合、ヘラクレスこと、緑坂冬真と、紫治一族の次女、紫治夜宵のバトルが始まった。
ー先行は夜宵だ。
[ターン01]夜宵
《スタートステップ》
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ、魂鬼と、ピコデビモンをLV1ずつで召喚!」
手札5⇨3
リザーブ4⇨0
トラッシュ0⇨3
夜宵が早速召喚したのは火の玉幽霊のような姿になった鬼と、コウモリのような小さいデジタルスピリット、ピコデビモンだ。
ピコデビモンはシキツル互換の効果を所有しており、
「ピコデビモンの召喚時効果でデッキから1枚ドロー」
手札3⇨4
紫のデッキは手札が枯渇しにくい、ヘラクレスは手札が増え辛い緑のデッキ、運がどうとかよりも先ず、デッキ相性的に彼は若干不利であった。
「さぁ、これでターンエンドです」
魂鬼LV1(1s)BP1000(回復)
ピコデビモンLV1(1)BP1000(回復)
バースト無
先行の第1ターン目など、やれることは限られてくる。次はヘラクレスのターンだ。
[ターン02]ヘラクレス
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップやな、……………別に手札事故はしてへんしなぁ〜〜……………じゃあ、ネクサスカード、大樹茂る天守閣をLV2で配置や」
手札5⇨4
リザーブ5⇨0
トラッシュ0⇨3
ヘラクレスが早速呼び出したのは、天守閣を貫く大樹。これが背後に聳え立った。このカードはヘラクレスのデッキとは相性が良く、逆に夜宵にとってはきついカードだ。
「大樹茂る天守閣は、相手のターンで、緑のスピリットはコア数がLV1コストより少なくならないでぇ………………ターンエンドや」
大樹茂る天守閣LV2(2)
バースト無
これ以上は何もせずにそのターンを終えるヘラクレス。次は夜宵のターンだ。
[ターン03]夜宵
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨3
トラッシュ2⇨0
「メインステップ、………私もネクサスカード、No.3ロックハンドを配置しようかしら」
手札5⇨4
リザーブ3⇨1
トラッシュ0⇨2
夜宵も背後にネクサスカードを配置する。それは今にも動き出しそうな岩でできた手。系統「呪鬼」を主軸に使うデッキならばその強力な効果を存分に活かせる。ヘラクレスとてそれを理解している。
「アタックステップ!行きなさい!ピコデビモンっ!」
小さな羽を広げて、ヘラクレスのライフめがけ飛び立つピコデビモン。だが、ここでヘラクレスの配置したネクサスカード、大樹茂る天守閣のLV2の効果が発揮される。
「大樹茂る天守閣のLV2の効果!相手のスピリットがアタックしてきた時、自分のデッキからカードを1枚オープンし、それが系統「怪虫」「殻虫」「殻人」を持つスピリットカードならノーコスト召喚する!」
「…………無駄よ、そんな効果使っても、…………今日のあなたの運勢は最悪なのだから」
「俺のデッキのカードのうち、30枚はスピリットやで?つまり確率は約4分の3で成功する……………カードオープンっ!」
オープンカード
【大樹茂る天守閣】×
外れた。あのヘラクレスが、運に見放された。それはバトル中では絶対にありえないことである。観客達はどよめいた。観客席にいる彼の妹の真夏も同様に。
「あれ?外したんかいな?………まぁ、そんな時もあるやろ………外したカードは破棄されるで……………そしてピコデビモンのアタックはライフや」
ライフ5⇨4
ヘラクレスは2枚目の大樹茂る天守閣のカードをトラッシュへと送った。
そして、送った瞬間にピコデビモンが彼のライフへと体当たりしてきた。そのまま彼のライフを1つ破壊した。
「さて、本当にそうでしょうか?…………次は魂鬼でアタック!」
夜宵はいつになく得意げな表情を見せている。
次は魂鬼がヘラクレスのライフを狙う。そしてまたヘラクレスの場にあるネクサスカード、大樹茂る天守閣の効果が発揮される。が、
「カードオープンっ!…………-あれ?」
【大樹茂る天守閣】×
また外れた。3枚目の大樹茂る天守閣のカードがトラッシュへと破棄された。一体ヘラクレスに何があったと言うのだろうか。確率的にも2回連続でこの効果を外すのはおかしい。ヘラクレスのデッキのスピリットは全てこの効果に該当する系統。そしてそれらは30枚ある。外す確率の方が圧倒的に低いのだ。
「うーーーーむ、しゃーない、ライフで受けたるか」
ライフ4⇨3
今度は魂鬼のアタックが彼のライフを1つ破壊した。
「………ターンエンドです」
ピコデビモンLV1(1)BP1000(疲労)
魂鬼LV1(1s)BP1000(疲労)
No.3ロックハンドLV1
バースト無
夜宵のターンが終わる。次は不調のヘラクレスのターンだ。
[ターン04]
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ2⇨3
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ3⇨6
トラッシュ3⇨0
「メインステップ、………………どないしたもんやろなぁ?」
ヘラクレスはこの状況にも取り乱すことなく冷静さを保っていた。とにかく今は守りを固めるしかないだろう。手札のカードを1枚引き抜いた。
「じゃあ俺はテントモンでも召喚したろかな?LV2やで」
手札5⇨4
リザーブ6⇨1
トラッシュ0⇨2
ヘラクレスがこのバトルで初めて召喚したのは、彼のデッキの軸となる緑のデジタルスピリット、てんとう虫型のテントモンが場に現れた。その召喚時はとても使いやすい効果であり、
「召喚時の効果でボイドからコア1つをテントモンに置くでぇ」
テントモン(3⇨4)
テントモンはコアの恵みを受ける。だが、夜宵はそこを見逃さなかった。自分の手札から1枚のカードを引き抜く。その効果はまさしく緑キラーとも言うべきカードであって、
「この瞬間!私は手札から龍面鬼ビランバの効果発揮!」
「おおっと!ビランバかいな!!」
龍面鬼ビランバ。紫のスピリットだが、その効果は、相手がコアステップ以外でコアをボイドから増やした時、ノーコスト召喚する効果に加え、その増えたコア1つにつき、相手のスピリットのコアを2つボイド送りにする強力な効果を持っているスピリットだ。
「相手がコアステップ以外でコアをボイドから増やしたので、これを召喚!」
手札4⇨3
リザーブ1⇨0
龍面鬼ビランバLV1(1)BP8000(回復)
地中に蠢く闇の中から、龍の面を被った鬼のスピリット、ビランバが召喚された。さらに、
「ビランバの効果でテントモンのコア2つをボイドに送ります!」
「おおっとっとっ!……コアが逆に減っちまったよ」
テントモン(4⇨2)LV2⇨1
ビランバがテントモンに右手をかざすと、テントモンのコアは抜き取られてしまう。幸い消滅は免れたものの、ヘラクレスの総コア数は1つ減ってしまった。
「はっは、外れる天守閣に、ビランバ……………確かに最悪かもしれへんなぁ〜〜〜」
「ふふっ、呑気ですね?ヘラクレスさん、」
ヘラクレスもようやく夜宵の占いの凄さに気づく。いや、凄さには気づいてはいた。ヘラクレスとて、彼女のファンだからだ。ただ、バトルにここまで影響をきたすとは思ってはいなかった。
「まぁ、このターンは仕方あらへんなぁ〜…………バーストを伏せ、テントモンのLVを2に戻して、ターンエンドやで」
手札4⇨3
リザーブ1⇨0
テントモン(2⇨3)LV1⇨2
テントモンLV2(3)BP3000(回復)
大樹茂る天守閣LV2(2)
バースト有
機能しないネクサスと、テントモンだけじゃ、心もとない、ヘラクレスはバーストをセットし、守りを固め、そのターンを終えた。
いつものようにカブテリモンも手札には来ていなかった。これでは攻勢にも回りづらいものがある。
次は夜宵のターンだ。
[ターン05]夜宵
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
「ドローステップ時、No.3ロックハンドの効果、手札にある系統「呪鬼」のスピリットカードを破棄することで、そのドロー枚数を2枚増やす!……………私はオーガモンのカードを破棄します!」
手札3⇨2⇨5
破棄カード
【オーガモン】
この効果は夜宵の得意とする戦法、トラッシュからの召喚の下準備も兼ねている。そしてそれは時を待つことなく始まろうとしていた。
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨3
トラッシュ2⇨0
ピコデビモン(疲労⇨回復)
魂鬼(疲労⇨回復)
「メインステップ、ピコデビモンのLVを2に上げます!」
リザーブ3⇨1
ピコデビモン(1⇨3)LV1⇨2
ピコデビモンのレベルアップ。これにより、ピコデビモンは進化の力を得た。そして夜宵はアタックステップに入る。自分のデッキの軸となるスピリットを召喚するためだ。
「アタックステップ!その開始時にピコデビモンの【進化:紫】を発揮!成熟期のデビモンに進化!LV2!」
デビモンLV2(2)BP7000
ピコデビモンに0と1のデジタルコードが身体中に巻かれて、それを成長させる。そして新たに現れたのは悪魔のような形相の成熟期デジタルスピリット、デビモンだ。
「ほぉ〜〜可愛い顔しとる割にはスピリットの顔はおっかないんやな〜〜」
「ふふ、使うスピリットは見た目では選ばないので……………アタックステップは継続!デビモンでアタック!」
穴の空いていてボロボロの翼で飛翔するデビモン。デビモンには強力なアタック時効果が備わっており、
「デビモンのアタック時効果!トラッシュから系統「成長期」「成熟期」のスピリットをノーコスト召喚できます!………………この効果でトラッシュにいるオーガモンを召喚!LVは1!」
リザーブ2⇨1
オーガモンLV1(1)BP8000
デビモンは空から闇のオーラを地面に向け、発射する。すると、触れた地面の中から飛び上がってくるスピリットの姿が、それはオーガモン。鬼型のデジタルスピリットだ。
夜宵は事前にロックハンドの効果でこのカードをトラッシュへと送っていたのだ。
「これで私の場にいるスピリットの総数は4。ちょうどあなたのライフをゼロにできます!」
「ちょい待ち!大樹茂る天守閣のLV2効果で1枚オープン!」
オープンカード
【千枚手裏剣】×
効果はまた外れ、そのカードはトラッシュへと破棄された。
今現在。夜宵の場のスピリットは魂鬼、ビランバ、デビモン、そしてオーガモン。と、計4体となっていた。これでヘラクレスのテントモンを飛び越えて、残り4つの彼のライフを破壊する算段だった。
だが、相手はあのヘラクレス。学園に入学してからその圧倒的な実力で幾度もの大会を総なめにしてきた彼の実力は計り知れない。当然まだ、この程度なら耐える。
「なるほど、……すごい展開力やな〜〜…………デビモンのアタックはライフで受けるでぇ」
ライフ3⇨2
デビモンの鋭い爪の攻撃が、ヘラクレスのライフを1つ八つ裂きにする。だが、それは同時に彼のバーストの発動条件であって、
「ライフの減少により、バースト発動!手裏剣大地!!効果でコアを1つ増やすでぇ」
リザーブ1⇨2
「!!……ネクサスのバースト!?」
勢いよくひっくり返るヘラクレスのバーストカード。それはあまり見ないネクサスカードのバーストだ。特にこのカードは強力。何せ、ダブルシンボルでコアブースト効果など、優秀な効果が詰まっているのだから。
「この効果発揮後、ノーコスト配置する!……………配置時効果で相手のスピリットを2体疲労!選ぶのはビランバと、オーガモンや!」
「!!」
オーガモン(回復⇨疲労)
龍面鬼ビランバ(回復⇨疲労)
ヘラクレスの背後に天守閣と並ぶもう1つのネクサス、手裏剣大地が現れた。その巨大な手裏剣は勢いよく回転、風を起こし、夜宵のオーガモンと、ビランバ、2体のスピリットを疲労させた。
「うっ、……………仕方ないですね、このターンはエンドです」
デビモンLV2(2)BP7000(疲労)
オーガモンLV1(1)BP8000(疲労)
龍面鬼ビランバLV1(1)BP8000(疲労)
魂鬼LV1(1s)BP1000(回復)
No.3ロックハンドLV1
バースト無
ここは致し方ないと言うべきか、夜宵は魂鬼だけをブロッカーに残し、そのターンを終える。次はヘラクレスのターンだ。
[ターン06]ヘラクレス
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ2⇨3
《ドローステップ》手札3⇨4
《リフレッシュステップ》
リザーブ3⇨5
トラッシュ2⇨0
「メインステップ、……………よし、一発かましたろか…………」
「!?」
ヘラクレスはドローしていた。自分のデッキのメインアタッカーの1体を。それは彼の叔父譲りの強力なカードであって、
「アトラーカブテリモンをLV2で召喚や!」
手札4⇨3
リザーブ5⇨0
テントモン(3⇨2)LV2⇨1
地中から勢いよく飛び出してくるのは、茶色っぽい赤色の甲殻を携えた甲虫の完全体デジタルスピリット、アトラーカブテリモンだ。
「アトラーの召喚時効果で、相手のスピリット2体を疲労…………ゆうても回復しとるのは魂鬼だけやがな」
「……………」
魂鬼(回復⇨疲労)
巨大な甲虫、アトラーカブテリモンが巻き起こす旋風に、魂鬼は疲労状態となってしまった。
「…………テントモン…………消しとくか…………テントモンを消滅させ、そのコアで手裏剣大地のLVを2にアップさせるでぇ…………さらにバーストも伏せる」
テントモン(2⇨0)消滅
手裏剣大地(0⇨2)LV1⇨2
手札3⇨2
テントモンは寂しそうな顔で消滅してしまうものの、ヘラクレスの配置したネクサスカード、手裏剣大地のLVがアップする。
手裏剣大地、LV2の効果はエンドステップ時に、自分のスピリット2体を回復させるというもの、ヘラクレスはLV2のアトラーカブテリモンをアタッカーにしつつ、ブロッカーとしても立てておきたかったのだろう。
「アタックステップ!………ほないってき!アトラー!」
走り出すアトラーカブテリモン。目指すは夜宵のライフだ。だが、その前にアタック時効果の処理があり、
「アトラーのアタック時効果で、今度はデビモンとオーガモンを手札に戻すで!」
「!!」
手札5⇨7
アトラーカブテリモンの一本ツノから放たれる赤い稲妻がデビモンとオーガモンを襲う。彼らは力尽き、夜宵の手札へと戻ってしまった。
アトラーカブテリモンは召喚時かアタック時に、2体疲労か、疲労状態のスピリット2体を手札に戻すかのどれか1つの効果を発揮させることができる。
そしてこれが本命のアタックだ。
「………そのアタックはライフで受けます!」
ライフ5⇨4
アトラーカブテリモンの一本ツノの攻撃で夜宵のライフがようやく1つ破壊された。だが、これだけでは終わらない。アトラーカブテリモンのもう1つの効果がここで発揮される。
「アトラーカブテリモンのもう1つの効果……完全体のスピリット1体につき、さらに1つのライフを破壊する!……今はアトラーが1体!よってさらに1つのライフを破壊するでぇ!…………レッドホーンブレイク!」
「…………くぅ!」
ライフ4⇨3
アトラーカブテリモンの一本ツノから放たれる赤い稲妻が、夜宵のライフへと落雷する。夜宵のライフがさらに1つ破壊された。
「エンドステップ………手裏剣大地の効果でアトラーを回復…………ターンエンドや」
アトラーカブテリモンLV2(3)BP13000(疲労⇨回復)
大樹茂る天守閣LV2(2)
手裏剣大地LV2(2)
バースト有
やることを全て失い、仕方なくそのターンを終えるヘラクレス。次は夜宵のターンだ。
[ターン07]夜宵
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ5⇨6
「ドローステップ時にロックハンドの効果で再びオーガモンを破棄してドロー枚数を増やします!」
手札7⇨6⇨9
破棄カード
【オーガモン】
夜宵は再びロックハンドの効果を使い、その手札を一気に潤した。
《リフレッシュステップ》
魂鬼(疲労⇨回復)
龍面鬼ビランバ(疲労⇨回復)
「メインステップ、先ずはピコデビモンをLV2で召喚!」
手札9⇨8
リザーブ6⇨1
トラッシュ0⇨2
再び小さな羽を翻し、飛び立つのはピコデビモン。夜宵はその召喚時の効果を発揮させる。
「ピコデビモンの召喚時効果でカードを1枚ドロー!」
手札8⇨9
ピコデビモンの効果でカードを増やす夜宵。だが、それこそがヘラクレスのバースト発動の条件でもあって、
「相手の手札が効果で増えた時、バースト発動!千枚手裏剣!」
「!!」
龍面鬼ビランバ(回復⇨疲労)
魂鬼(回復⇨疲労)
ヘラクレスのバーストが勢いよくひっくり返る。そのまま強い突風が吹いてきて、夜宵の場にいるビランバと魂鬼を疲労状態にしてしまった。
「千枚手裏剣は相手のスピリット2体を疲労させ、2つコアを増やすバーストやで」
リザーブ0⇨2
夜宵も迂闊だったと言える。何せあの千枚手裏剣のカードは一度、大樹茂る天守閣の効果でオープンされていたのだから、注意していたらあのバーストは踏んではいなかったことだろう。
「くっ!……でもメインステップならやり直しは効きます!……ビランバと魂鬼を消滅させて、新たに魂鬼を2体召喚!」
手札9⇨7
龍面鬼ビランバ(1⇨0)消滅
魂鬼(1⇨0)消滅
夜宵はメインステップで疲労してしまった2体を自ら消滅させて、新たに魂鬼を2体召喚した。
「さらにオーガモンをLV1で召喚!」
手札7⇨6
リザーブ1⇨0
夜宵はさらにロックハンドの効果で破棄したオーガモンとは別の2枚目のオーガモンを召喚した。
これで準備は整った。夜宵はアタックステップへと移行する。
「そしてアタックステップ!その開始時にピコデビモンの【進化:紫】を発揮!成熟期のデビモンに再び進化!」
デビモンLV2(2)BP7000
再びピコデビモンはデジタルコードに巻かれて、成熟期のデビモンに進化を遂げた。
「アタックステップは継続!……デビモンでアタック!そのアタック時効果でトラッシュにあるオーガモンを再召喚!」
リザーブ1⇨0
オーガモンLV1(1)BP8000
デビモンは今一度闇の力を使い、トラッシュからオーガモンを復活させた。
これで夜宵の場にいるスピリットの総数はデビモンに加え、2体のオーガモン、魂鬼、と、計5体。ヘラクレスのブロッカーの数を通り越して余裕で彼のライフを破壊することができる。
「大樹茂る天守閣のLV2の効果でカードをオープンや」
オープンカード
【手裏剣大地】×
そして当たり前のように外れる大樹茂る天守閣。今日のヘラクレスは一体どうしたと言うのか。
そして夜宵のデビモンが彼のライフへと迫り来る。
「デビモンの本命のアタックはどうします?」
「…………アトラーでブロックや………」
BPは圧倒的にアトラーカブテリモンが上、上空にいるデビモンを巨大な腕で鷲掴みにして地面に思いっきり叩きつけた。デビモンは当然耐えることはできずにその場で爆発してしまった。
だが、夜宵の場にはまだ4体のアタックできるスピリットが生存しており、
「魂鬼でアタック!」
「大樹茂る天守閣!」
オープンカード
【手裏剣大地】×
また外れる。ヘラクレスのデッキにあるスピリットではないカードは後2枚だ。
魂鬼が彼のライフへと向かう。
「仕方ない、そのアタックはライフで受けよか〜〜」
ライフ2⇨1
絶対絶命のピンチだと言うのにもかかわらず、ヘラクレスは余裕だった。魂鬼にライフを減らされて、残りのライフはわずかに1だと言うのに。
夜宵は最後のアタックを少しだけ戸惑った。ヘラクレスの放つあの異様な強者のオーラに思わずたじろいだからだ。だが、それでもアタックをした。今日の自分の運勢は最高であると信じて、
「オーガモンでアタック!これで終わりです!」
走り行くオーガモン。目指すはヘラクレスのライフだが、忘れてはならない。ここでヘラクレスの配置したネクサスカード、大樹茂る天守閣のLV2の効果が再び発揮されることを。
ヘラクレスのデッキに眠るスピリットは全てこの効果に該当する。そしてスピリット以外のカードは後2枚。普通なら当たるはずだが、今回はもうすでに何度もこの効果を外してきていた。
だが、ヘラクレスは何のためらいもなくデッキから1枚のカードをオープンした。まるで勝ちを確信しているような。そんな手際だった。
「大樹茂る天守閣の効果!」
オープンカード
【アトラーカブテリモン】○
「!!……そんな!?ここでアトラーを!?」
ヘラクレスがめくったのは2枚目のアトラーカブテリモンのカードだった。それはまさしくこの状況では最高のカードであって、
ヘラクレスは大樹茂る天守閣の効果でこのカードをノーコスト召喚する。
「効果は成功や!2枚目のアトラーカブテリモンをLV2でノーコスト召喚!」
リザーブ3⇨0
アトラーカブテリモンLV2(3)BP13000
再び蠢きだす地中。そしてその中から2体目のアトラーカブテリモンが召喚された。アトラーカブテリモンはこの時でもその召喚時効果を発揮できる。
「アトラーの召喚時効果!魂鬼とオーガモンを1体ずつ疲労や!」
「くっ!」
魂鬼(回復⇨疲労)
オーガモン(回復⇨疲労)
再び巻き起こる旋風。その風は瞬く間に夜宵の2体のスピリットを疲労状態にしてしまう。
そしてこのタイミングは、オーガモンのアタック中であって、
「オーガモンのアタックは2体目のアトラーでブロックやで」
体格差は圧倒的、オーガモンの棍棒を振り回す攻撃はアトラーには全く通用しない。そのまま軽く手で吹き飛ばされて、オーガモンは爆発してしまう。
「う、うそ、ここまで追い詰めて…………」
「夜宵ちゃぁん、バトスピは占いなんかに収まるようなゲームじゃないでぇ」
いったいなぜヘラクレスはこの土壇場で運気が戻ったのだろうか、そう考えていた夜宵。このタイミングでアトラーカブテリモンはいくらなんでも強すぎる。運勢が最悪ならば、スピリットは引いても弱いスピリットであるはずだと考えたからだ。
だが、もうどちらにせよこのターンは終了せざるを得ない。夜宵はターンをヘラクレスに渡した。
「……………ターン、エンドです」
魂鬼LV1(1s)BP1000(疲労)
魂鬼LV1(1)BP1000(疲労)
オーガモンLV1(1)BP8000(疲労)
N o.3ロックハンドLV1
バースト無
次はヘラクレスのターン。2体のアトラーカブテリモンが猛攻をかけるべく起き上がる。
[ターン08]ヘラクレス
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨4
トラッシュ3⇨0
アトラーカブテリモン(疲労⇨回復)
アトラーカブテリモン(疲労⇨回復)
「メインステップ…………ゆうてももういらんやろ、アタックステップやで!アトラーカブテリモンでアタック!」
ラストアタックにすべく、2体のうちの1体のアトラーカブテリモンが走りだす。
「アタック時効果で魂鬼と、オーガモンを1体ずつ手札に戻すでぇ!」
「…………!!」
手札6⇨8
アトラーカブテリモンから放たれる赤い稲妻が魂鬼とオーガモンを狙い撃った。2体は耐えられなくなり、夜宵の手札へと帰還してしまう。
夜宵はたった今気づいた。自分の運気の方が無くなっていることに。自分の手札はあんなにドローしたのにもかかわらず、防御札と呼ばれるカードが1枚もなかった。そして拍車をかけるようにあのタイミングで効果で出てきたアトラーカブテリモン。まるで全ての行いがヘラクレスの勝利を導いているようだった。
(なんて人………!……こんな人を味方につけれたら…………)
心強い。夜宵は思わずそう心の中で考えてしまった。
「……ライフで受けます……………っ!」
ライフ3⇨2
アトラーカブテリモンの一本ツノの一撃が夜宵のライフを1つ破壊した。そしてまだ終わらない。アトラーカブテリモンの最後の効果が発揮される。
「アトラーの効果!………今回はアトラーが2体分で2点のライフを破壊するでぇ!…………レッドホーンフィニッシュ!!」
「き、きゃぁぁあ!!」
ライフ2⇨0
共鳴する2体のアトラーカブテリモン。アタックした方が、そのツノに赤き稲妻2体分を集中させて、夜宵のライフめがけて突進する。それを纏った一撃が、夜宵のライフを一気にゼロにした。
これにより勝者はヘラクレス。夜宵の予言を見事に乗り越えてみせた。これで今年のベストスリーが確定する。バトル終了に伴い、2体のアトラーカブテリモンが奇声を上げながらゆっくりとその姿を消滅させていった。
「いやぁ、楽しかったでぇ!夜宵ちゃん!ほなまたなぁ〜〜〜」
そう言って掌を挙げて去っていくヘラクレス。夜宵はその強者の背中を見届けながら考えていた。【あの人材はこの後必ず必要になると】。
その試合をテレビで観ていた夜宵の姉、明日香も同じことを考えていた。この界放市に間違いなく何かが起ころうとしている。
そして次の対戦者、2回戦のラスト、第三試合は、【朱雀】こと、赤羽司と、【五の守護神】こと五護鉄火のバトルだ。司はあの鉄壁の守りを崩すことができるのか。
〈本日のハイライトカード!!〉
「はい!椎名です!今回はこいつ!【デビモン】!」
「デビモンは紫の成熟期スピリット!アタック時に成長期か成熟期をなんとトラッシュから復活させるよ!」
最後までお読みくださり、ありがとうございました!