界放リーグの2回戦もいよいよ大詰め。最後の第三試合が始まろうとしていた。その対戦者とは、ジークフリード校の1年、【朱雀】こと、赤羽司。オーディーン校の3年、【五の守護神】こと、五護鉄火だ。2人はスタジアムで顔を合わせていた。
「朱雀………赤羽司、か」
「お初にお目にかかるなぁ、五の守護神」
この2人は初対面だった。だが、互いの名前くらいは当然知っている。年齢差の関係でジュニアクラスの大会では巡り会うことがなかったが、こうして今、各学園の代表同士として向かい合っている。
「難攻不落の鉄壁のライフ、瓦解させてやるぜ」
「ほぉ、貴様の攻撃が俺を楽しませると言うのか?…………いいだろう」
2人はBパッドを展開した。
ーそして
「「ゲートオープン!界放!!」」
界放リーグ、その2回戦最後の第三試合が始まる。先行は司だ。
[ターン01]司
《スタートステップ》
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ、イーズナを召喚」
手札5⇨4
リザーブ4⇨2
トラッシュ0⇨1
司が最初に呼び出したのは、イタチのようなスピリット、イーズナ。赤と黄色として扱う便利なハイブリットスピリットだ。
「ターンエンド」
イーズナLV1(1)BP1000(回復)
バースト無
先行の第1ターン目などやることが限られている。司はイーズナを呼び出しただけでそのターンを終えた。次は五護のターンだ。
[ターン02]五護
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ、機巧武者サイウンをLV2で召喚!」
手札5⇨4
リザーブ5⇨0
トラッシュ0⇨3
五護が呼び出したのは青き鎧を携え、2本の刀を持つ系統「機巧」のスピリット、サイウンだ。このスピリットは機巧のデッキにおいては必須といっても過言ではない効果を持っており、
「知ってるとは思うが、サイウンは全ての機巧スピリットのBPを3000上げる」
機巧武者サイウンLV2(2s)BP4000⇨7000
「………知ってるさ……エンドステップ時にお前のライフが減っていなければコアを大量に増やす」
「その通りだ………ターンを終幕する」
機巧武者サイウンLV2(2s)BP7000(回復)
サイウンを維持しつつライフを守ることが、そのままコアブーストのメリットに繋がる。五護は当然ここでアタックは仕掛けずにそのターンを終えた。
次は司のターンだ。
[ターン03]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ2⇨3
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ3⇨4
「メインステップ、2体目のイーズナとハーピーガールをLV1で召喚!」
手札5⇨3
リザーブ4⇨0
トラッシュ0⇨2
司が呼び出したのは2体目のイーズナと、腕や足のみが鳥型となっている女性型のスピリット、ハーピーガール。司のいつものスピリットたちだ。
「無理矢理にでも減らしに行くぞ…………アタックステップだ…………イーズナでアタック!」
サイウンの効果は極めて厄介だ。司の言う通り、無理矢理にでもライフを減らしに行かなければアドバンテージの差は開く一方だろう。
走り出す1体のイーズナ。そして対する五護の選択は、
「サイウンでブロック」
ブロックした。理由はただ1つ、仮にこのアタックをライフで受ければ司はこのターン絶対にもうアタックはしないだろう。その時点で五護のライフを破壊することに成功しているからだ。
つまりアタックする必要がなくなる。だからせめてブロックして司のスピリットを破壊しようという魂胆だ。
BP差は圧倒的、イーズナは果敢に飛び込むも、サイウンの刀にいとも容易く切り裂かれた。
だが、これで五護を守るスピリットは誰一人としていない。司の猛攻が始まる。
「2体目のイーズナとハーピーガールでアタック!」
「……………ライフで受けよう」
ライフ5⇨3
司のイーズナとハーピーガールがそれぞれ体当たりと翼の一撃で五護のライフを1つずつ破壊した。はやくも五護の牙城を崩してみせた。
「ハーピーガールの【聖命】の効果でライフを1つ回復する……………はやくも自慢の牙城が崩れたな」
ライフ5⇨6
ハーピーガールの効果で司のライフが5から6になる。
「ふん、この程度で崩れたとでも思うか?」
ライフ5から3にまで減らされたと言うのに五護は全くその冷徹な表情を崩さない。バトルスピリッツは試合が進めば次第にライフが減っていくゲーム。序盤で速攻を受けて仕舞えば誰だってライフが減らされてしまう。
だが、五護のバトルは白の効果を活かし、その失われたライフをバトル中に取り戻していく。この程度のライフの減少は彼にとって必要経費と言ったところなのだろう。
「…………ターンエンドだ」
イーズナLV1(1)BP1000(疲労)
ハーピーガールLV1(1)BP3000(疲労)
バースト無
司はターンを終える。このターンで五護のサイウンの効果を発揮させなかっただけでも御の字だ。
司とて彼の、五護のバトルを知っている。この程度で有利になるとは到底思えてはいなかった。
[ターン04]五護
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ2⇨3
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ3⇨6
トラッシュ3⇨0
「メインステップ、俺は鉄砲機兵タネガシマと機巧将シグレをLV1ずつで召喚」
手札5⇨3
リザーブ6⇨2
トラッシュ0⇨2
五護が召喚したのは火縄銃のようなものを持った機械兵、タネガシマと、大きめの刀を携えた白い機巧武者、シグレだ。
この2体も当然系統「機巧」を持つスピリット。サイウンのBPアップ効果を受けることができる。
「さらに俺はネクサスカード機巧城をLV1で配置」
手札3⇨2
リザーブ2⇨0
トラッシュ2⇨4
五護の背後に白くて巨大なお城が聳え立つ。その存在感は抜群である。
そして五護は仕返しと言わんばかりにアタックステップに移行する。シグレが疲労状態でもブロックできる効果を持つので、思い切ってアタックできたことだろう。
「アタックステップ、3体のスピリットで一斉アタック」
「………ちぃ、……3体ともライフだ」
ライフ6⇨3
走り出すサイウンとシグレ、銃を構えるタネガシマ。2体の持つ刀の一閃とタネガシマの銃撃が、司のライフを3つも奪っていった。これで2人のライフの数は同値となる。
「…………流石に一筋縄ではいかない、か」
そう思わず呟いてしまう司。五護はあの実力が底を知らないヘラクレスと肩を並べると言われるほどのバトラーだ。初めからそうは思ってはいたが、いざ対面してみると初めてわかった。彼は強い。
おそらく今までの自分だったら、あの勝ちに固執し、固定概念に囚われるだけの自分だったら間違いなく負けていたことを悟る。だが、今の自分は違う。このバトルでその証明をすると今、心に誓った。
「ターンを終幕する………さぁ、どこからでも俺のライフを減らしに来い」
機巧武者サイウンLV2(2s)BP7000(疲労)
鉄砲機兵タネガシマLV1(1)BP6000(疲労)
機巧将シグレLV1(1)BP7000(疲労)
機巧城LV1
バースト無
やることを全て終え、そのターンを終える五護。次は司の番だ。反撃なるか、
[ターン05]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札3⇨4
《リフレッシュステップ》
リザーブ5⇨7
トラッシュ2⇨0
ハーピーガール(疲労⇨回復)
イーズナ(疲労⇨回復)
「メインステップ………………」
司は考える。さっきのターンは攻めたが、間違いなく五の守護神の牙城は完成しつつある。このターンも攻めたいところだが、全くつけいる隙がないのだ。
あの五護の場にいるスピリット、機巧将シグレは、疲労状態でもブロックでき、相手のターン中ではそのBPを4000も上げる。サイウンの効果とも相まって厄介だ。LVが1なのもそれに拍車をかける。LVか2、3ならば、ハーピーガールの効果ですり抜けられるのだ。五護はおそらくその効果を知っていたからこそ、敢えてLV1で召喚したのだろう。
このターンは致しかたない、司はこのターン、場の維持に全力を尽くす。
「俺はネクサスカード、朱に染まる薔薇園を2枚、LV1で配置」
手札4⇨2
リザーブ7⇨4⇨2
トラッシュ0⇨3⇨5
司の背後に現れるのは真っ赤の薔薇に染まる園庭。2枚分により、それはより一層凄みを増していた。
スピリットのBPでは司が圧倒的に不利になる。こうなれば司は高レベルのスピリットに頼る他ないだろう。そう思って、赤と黄色、2つのシンボルを持つこのネクサスでシンボルの確保を行ったのだ。
ーしかし、結局できることはこれだけである。
「………ハーピーガールのLVを3に上げ、俺はこのターンエンドだ」
リザーブ2⇨0
ハーピーガール(1⇨3)LV1⇨3
ハーピーガールLV3(3)BP5000(回復)
イーズナLV1(1)BP1000(回復)
朱に染まる薔薇園LV1
朱に染まる薔薇園LV1
バースト無
司は結局それ以外は何もすることはなく、そのターンを終えてしまった。そして、五護のスピリット、サイウンと、ネクサス、機巧城の効果が発揮される。ライフを守りきった褒美として、五護にコアとドローの恵みが与えられる。
「このターン、俺のライフが減っていないことにより、機巧城の効果で2枚ドローし、サイウンの効果でコアを3つ増やす」
手札2⇨4
機巧武者サイウン(2s⇨5s)LV2⇨3
「…………ちぃ」
一瞬だ。ほんの一瞬相手が彼の守りに屈しただけで一気にアドバンテージの差が開いていく。これが彼のデッキの恐ろしいところだ。
次はそんな五護のターンだ。増えたコアと手札でいったい何をするのか、
[ターン06]五護
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨5
トラッシュ4⇨0
鉄砲機兵タネガシマ(疲労⇨回復)
機巧武者サイウン(疲労⇨回復)
機巧将シグレ(疲労⇨回復)
「メインステップ、俺はマジックカード、リカバードコアを2枚使用する」
手札5⇨3
リザーブ5⇨0
機巧武者サイウン(5s⇨4s)
トラッシュ0⇨3⇨6
五護が使ったのは白のライフ回復マジックだ、これで彼のライフが元に戻る。つまりは牙城の修復だ。
「………これでまた振り出しだな」
ライフ3⇨4⇨5
鉄砲機兵タネガシマ(1⇨2⇨3)LV1⇨2
「くっ……………」
絶対にライフ5を貫き通す彼の、五護のバトルスタイル。彼は勝つつもりだ。このまま、……………もう1つのライフも削られることもなく。
「アタックステップ…………やれ、機巧武者達よ」
走り出す3体の機巧スピリット達、司はすべてのアタックをライフで受けるわけにはいかない。極力今回はブロックする作戦に出る。
「…………イーズナとハーピーガールでブロックだ」
イーズナがサイウンに、ハーピーガールがシグレに挑むも、2体ともあっさりと刀に切り裂かれてしまう。
そしてタネガシマのアタックが残っている。
「タネガシマはどうする?」
「ちぃ、………ライフだ」
ライフ2⇨3
タネガシマの銃撃が、司のライフを貫いた。
「………ターンを終幕する」
鉄砲機兵タネガシマLV2(3)BP8000
機巧武者サイウンLV2(2s)BP7000
機巧将シグレLV1(1)BP7000
機巧城LV1
バースト無
ほんの前の、ほんの前のターンでは司が圧倒的に有利だった。ライフは6、五護は3。圧倒的であったはずなのに、わずかこれだけで司はなぜかライフを逆転され、場のスピリットは消え去っていた。
そもそもデッキの相性が悪い。司のデッキのスピリット達は全体的にBPが低い、それに対して五護の操る機巧スピリット達は軒並みにBPが高いスピリットが多い。肉弾戦になると、どうしても司には部が悪かった。
だが、司とて諦めているわけじゃない。なんとかこの場を突破出来ないか模索する。彼の父、紅蓮の教え、【あるもの全ての可能性を考え、それをフルで活かせ】これを使って勝つことを胸に。
[ターン07]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ5⇨7
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ7⇨12
トラッシュ5⇨0
「メインステップ……………俺はホークモンを召喚!」
手札3⇨2
リザーブ12⇨10
トラッシュ0⇨1
司は自分のデッキの中核となるスピリット、ホークモンを召喚した。その効果でいつものあいつを呼び込む。
「ようやく出てきたか、貴様のデジタルスピリット」
「………あぁ、まぁな………ホークモンの召喚時効果、カードを3枚オープンし、対象のカードを手札に加える!」
オープンカード
【イーズナ】×
【イエローリカバー】×
【ホルスモン】○
効果は成功、司はホークモンの効果でホルスモンを手札に加えた。そして召喚する。自分が最も頼りにしているアーマー体を。
「【アーマー進化】発揮!対象はホークモン!1コストを支払い、羽ばたく愛情!ホルスモンを召喚!」
リザーブ10⇨9
トラッシュ1⇨2
ホルスモンLV1(1)BP4000
ホークモンの頭上に、独特な形をした卵が落下してくる。ホークモンは自らそれに飛び込み、衝突、そして混ざり合う。そして新たに現れたのは赤き空飛ぶ獣型のアーマー体スピリット、ホルスモンだ。
ホルスモンには赤属性らしい便利な効果が内蔵されている。
「ホルスモンの召喚時効果!お前のネクサスを破壊し、カードをドローする!…………俺が選ぶのは当然機巧城だっ!」
手札3⇨4
「!!」
機巧城を謎の力を使いながら睨みつけるホルスモン。すると、機巧城はまるで埋まっていくように地面へと姿を消していく。
ネクサスの破壊とドロー。まさしく赤属性らしい効果だ。そしてここで司は最高のドローをした。そのカードとは、1回戦での炎林とのバトル、その時に覚醒したオーバーエヴォリューションにより得た、彼の新たなる力だ。
「行くぞ!俺はこのカード、シルフィーモンをLV2で召喚!」
手札4⇨3
リザーブ9⇨2
トラッシュ2⇨6
「………あの時のスピリットか」
聖なる光と風、それが一点に集中する時、白い獣戦士型のスピリット、完全体のシルフィーモンが場に現れた。
シルフィーモンには強力な召喚時効果がある。それはなかなかに利便性の高い、広範囲の除去効果であって、
「召喚時効果!BP12000以下の相手スピリット1体を破壊する!…………消えろっ!サイウンっ!…………トップガン!!」
「……………くっ!」
シルフィーモンの両手から放たれる螺旋状のエネルギー凝縮弾は、疲労しているサイウンに直撃する。サイウン程度のスピリットが、その強力な攻撃を受けられるわけもなく、無惨にもその鎧が砕け散り、大爆発してしまった。
サイウンの損失により、五護のスピリットのBPが大幅に減少した。
さらに司はここぞとばかりに一気に攻め込む。その手札から1枚のカードを引き抜いた。
「さらにマジック!レッドライトニング!…………この効果でお前のタネガシマを破壊する!」
手札3⇨2
リザーブ2⇨0
トラッシュ5⇨7
「……………」
迸る赤い稲妻が、タネガシマに直撃する。タネガシマはそれに耐えることはできず、呆気なく破壊されてしまった。これで五護の場に残ったのはシグレだけとなってしまう。
そして司は一気に攻め込むべく、アタックステップに入る。
「アタックステップ!シルフィーモンでアタックだ!」
宙に飛び上がるシルフィーモン。そのまま滑空するように進んで行く。
そのBPは9000。五護のシグレよりも1000高い。
「…………この程度の攻撃で崩れる俺ではないっ…………シグレでブロック……」
滑走路を邪魔するように現れるシグレ。そして五護は手札から1枚のカードを引き抜く。彼が多量に入れている防御マジックだ。
「フラッシュマジック!鉄壁ウォール!……このバトルで貴様のアタックステップは終幕するっ!……さらにコストにソウルコアを支払った場合、自分のスピリットはあらゆる破壊から身を守られる」
手札3⇨2
リザーブ7s⇨4
トラッシュ6⇨9s
「!!」
BPはシルフィーモンが上、シグレをそのまま地面へとたたきふせるが、シグレは五護の使った鉄壁ウォールの効果で場に残る。
だが、シルフィーモンにはバトルの終了時にも効果を発揮できるスピリットであって、
「シルフィーモンの効果!バトル終了時、俺のライフを1つ回復する!」
ライフ2⇨3
シルフィーモンの聖なる力が、司のライフに流れ込み、それを1つ回復させた。そしてこの時にも効果を発揮できるカードが、
「さらに朱に染まる薔薇園のLV1効果、俺のライフが増えた時、デッキから1枚ドロー…………それが2枚あることにより、2枚ドローする!」
手札2⇨4
司はさらに朱に染まる薔薇園の効果で一気に手札を増やした。さっきまで圧倒的だった差を一気に縮めるどころか引き離してしまった。
だが、五護は全くその冷徹な表情を崩してはいなかった。まるで全てが自分の計算通りで必然であったかのような顔つきだ。
「………俺はこれでターンエンドだ」
ホルスモンLV1(1)BP4000(回復)
シルフィーモンLV2(3s)BP9000(疲労)
朱に染まる薔薇園LV1
朱に染まる薔薇園LV1
バースト無
鉄壁ウォールにより、やれることを失った司はそのターンを終えた。そして次は五護のターンだ。
[ターン08]五護
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ5⇨14
トラッシュ9⇨0
機巧将シグレ(疲労⇨回復)
「メインステップ、………………時は満ちた」
「あぁ?」
五護はこのタイミングであのスピリットを召喚するつもりだ。自分の最も信頼するエーススピリットを。
ー手札を1枚引き抜く。
「我が牙城を完璧なものとせよ!召喚!大機巧武者コンゴウ!!!!」
手札3⇨2
リザーブ14⇨4
トラッシュ0⇨7
「……………きやがったな」
大きな体躯に、白い武装、棍棒の武器を携えて今発進した。その名はコンゴウ。彼のエーススピリット、司とてそれを知っている。その効果も、
「アタックステップ!やれぇ!コンゴウ!」
背中のジェットを巧みに使い、対空移動で移動するコンゴウ。そのアタック時、ブロック時の効果は非常に厄介、そして今、コンゴウのカードにはソウルコアが置かれており、
「コンゴウの効果!お前のソウルコアが置かれていないスピリット、ホルスモンを手札に戻し、さらにコンゴウ自身の効果でそれをデッキボトムに!」
「……………」
コンゴウの棍棒の一振り、それは竜巻を発生させ、ホルスモンを一瞬のうちに巻き込み、それごと消滅した。コンゴウはソウルコアが置かれている時、アタックステップ中、相手のスピリットが手札に戻る場合、そのスピリットを手札ではなくデッキに戻す効果がある。
「ふんっ、だがシルフィーモンは戻されはしない」
司はこの危機を察知し、事前にシルフィーモンの上にソウルコアを置いていた。五護が相手なら妥当な判断だが、彼のバトルに隙はない。それを司は思い知る。
「関係ない、フラッシュマジック!ドリームバブル!効果でスピリット1体を手札に、…………突然シルフィーモンだ」
手札2⇨1
リザーブ4⇨2
トラッシュ7⇨9
「なに!?」
コンゴウの効果は決して自分の効果のみに反応する効果ではない。手札にも出されるならどんなカードでもデッキ下のバウンス効果になるようなものだ。
シャボン玉のようなものに閉じ込められるシルフィーモン。それは浮力のまま空中へと足を運び、やがて破裂、シルフィーモンもその中で姿を消した。
「これで頼みの綱が消えたな……………これが本命のアタックだどう受ける?」
「ちぃ、仕方ねぇフラッシュマジック!シンフォニックバースト!」
手札4⇨3
リザーブ4⇨3
トラッシュ8⇨9
「!?」
「この効果により、このバトルの終わりに俺のライフが2以下ならそれでお前のアタックステップは終わりだ!…………そのデカブツのアタックは当然ライフで受けてやるぜ」
ライフ3⇨2
発揮される司のシンフォニックバースト。そしてコンゴウの棍棒の一撃が、彼のライフを1つ粉々に粉砕する。
司のライフは2。シンフォニックバーストの条件は成立した。
「シンフォニックバーストの効果でお前のアタックステップは終了だ!」
弾け飛ぶ黄色い閃光。それは五護のスピリット達の身動きを封じる。これで少なくとも五護はこのターンを終わらざるを得なくなってしまった。
「……………まぁいいだろう、そうしているのも時間の問題だ……………ターンを終幕する」
大機巧武者コンゴウLV2(3s)BP14000(疲労)
機巧将シグレLV1(1)BP4000(回復)
バースト無
五護の言う通り、このままでは司はゆっくりと侵略されていくことだろう。彼のスピリットを破壊する方法が限られているからだ。BP差もあることながら、これを突破するのはなかなか難しいところがある。
[ターン09]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札3⇨4
《リフレッシュステップ》
リザーブ5⇨14
トラッシュ9⇨0
「メインステップ………………」
司は考えていた。どうやったらあの難攻不落の牙城を崩すことができるのかを、どうやったらあのライフを減らせるのかを、必死に、手にあるカードを見ながら試行錯誤していた。
(………奴のシグレはLV1、……おそらくは俺のハーピーガールを警戒してのことだろう、だったらそれを逆手に取らせてもらおう)
五護の場にいるシグレは現在、LVは1。理由はただ一つ、司のハーピーガールの効果でもブロックができるようにするためだ。だったら司はそれを逆手に取り、ライフを破壊する作戦に移行する。
司は手札に戻ったあのカードを再び召喚する。
「俺は手札に戻ったホークモンを召喚!」
手札4⇨3
リザーブ14⇨12
トラッシュ0⇨1
司は再びホークモンを召喚した。そしてその召喚時の効果も使用した。司はその効果にかけている。
「ホークモンの召喚時効果!カードをオープン!」
オープンカード
【レッドライトニング】×
【ホウオウモン】×
【ネフェルティモン】○
効果は成功した。司はアーマー体のスピリット、ネフェルティモンを手札に加えた。
「まだまだ行くぞ!俺はマジックカード、リボルドローを使用する!………………その効果でデッキの下から2枚ドローする!」
手札3⇨4⇨3⇨5
リザーブ12⇨10
トラッシュ1⇨3
「なに!?下からだと!?」
司が咄嗟に使ったマジック、リボルドローはデッキの下から2枚ドローできる少し変わったマジック。司のデッキの下にいたのはホルスモンとシルフィーモン。その2枚が手札へと加えられた。
「バーストを伏せ、さらに俺はテイルモンを召喚!」
手札5⇨4⇨3
リザーブ10⇨7
トラッシュ3⇨5
バーストを伏せると同時に司が呼び出したのは猫のように見えるが、実はネズミ型の黄の成熟期スピリット、テイルモン。このスピリットはネフェルティモンの【アーマー進化】には欠かせない存在だ。
そしてここで司はアタックステップに入る。
「アタックステップ!テイルモンでアタック!その効果でデッキから1枚オープン!」
オープンカード
【ソウルオーラ】×
テイルモンはアタック時に、カードオープンし、それが完全体のスピリットならばライフを1つ回復させる効果を持つ。ただしそれが別のカードであっても行先はトラッシュではなく、
「ハズレでも手札に加える」
手札3⇨4
司はオープンカードを手札に加えた。だが、テイルモンのBPでは五護のスピリットには敵わない。司はさらにホークモンで加えたアレを召喚する。
「フラッシュ!【アーマー進化】発揮!対象はテイルモン!1コストを支払い、ネフェルティモンをLV2で召喚!」
リザーブ7⇨6⇨5
トラッシュ5⇨6
テイルモンの頭上にこれまた独特な形をした卵が投下される。テイルモンはそれと衝突し、混ざり合い、進化する。新たに現れたのはメスのスフィンクスとでも言うべきだろうか、黄色のアーマー体、ネフェルティモンだ。
「ネフェルティモンの召喚時効果!トラッシュのコアを俺のライフに置く!………………さらに俺のライフが回復したことにより、朱に染まる薔薇園、2枚分の効果でカードを2枚ドローする!」
トラッシュ6⇨5
ライフ2⇨3
手札4⇨6
司のライフが1つ回復する。それに伴い反応する朱に染まる薔薇園。ライフを整えつつ手札を増やす、いいコンボだ。そしてそれだけでは終わらない。
「ネフェルティモンでアタック!その効果でお前はLV1、2のスピリットでブロックできない!」
「…………!!」
ネフェルティモンの効果だ。アーマー体スピリットは全てネフェルティモンがいる限り、指定されたLVのスピリットからブロックされないのだ。それはもちろんアーマー体である自身にも与えられる効果であって、
シグレのLVを下げていたままだったのが仇になった。謎の浮力で飛び立つネフェルティモン。目指すは2体のスピリットを通り越して五護のライフを破壊することだ。
だが、ここまでしてもその牙城は瓦解することはない。少しの損傷も許すことはない彼は手札から1枚のカードを引き抜いた。
「貴様の緩い攻撃は通じん!フラッシュマジック!リミッテッドバリア!………不足コストは俺のコンゴウのソウルコアから確保する!」
手札1⇨0
リザーブ2⇨0
大機巧武者コンゴウ(3s⇨2)LV2⇨1
トラッシュ9⇨12s
「…………!?」
手札6⇨7
司のネクサス、朱に染まる薔薇園が1枚だけ、デジタルの粒子となり、彼の手札に戻ってしまう。リミッテッドバリアの追加効果だ。ソウルコアさえ払えば、相手のネクサス1つを手札に戻すことが可能なのだ。
そして本命の効果は、
「このターン、俺のライフはコスト4以上のスピリットのアタックからでは減らん……………無論そのアタックはライフで受けよう」
ライフ5⇨5
五護のライフが、謎の白いバリアに固められる。ネフェルティモンはいくらそこに体当たりしていってもそれには傷1つつかない。ネフェルティモンのコストが5だからだ。
かと言ってコスト3のホークモンはBPが低すぎてアタックできない。司は仕方なくそのターンを終えた。
「(ここまでしても奴のライフを減らせないのか………………)ターンエンドだ」
ネフェルティモンLV2(2)BP6000(疲労)
ホークモンLV1(1)BP3000(回復)
朱に染まる薔薇園LV1
バースト有
そのターンを終える司。やはり無理なのか、あの五の守護神と呼ばれている五護からライフをこれ以上もぎ取るのは不可能なのではないのか、観客中にいるほとんどがそんなことを考えてしまう。
ーだが、司は確信した。牙城は崩れる、難攻不落なバトスピ など存在しない………………と。
[ターン10]五護
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札0⇨1
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨13
トラッシュ12⇨0
大機巧武者コンゴウ(疲労⇨回復)
「メインステップ……………以外と長かったが、これで終幕だ」
「!!」
「さぁ、その幕を下ろせ!巨腕の機巧武者ラカンをLV3で召喚!!」
手札1⇨0
リザーブ13⇨3
トラッシュ0⇨6
地中から顕現するのは巨大な2つの手を持つ機巧武者、ラカンだ。その疲労ブロック効果と召喚時効果は強力かつ厄介だ。
「召喚時効果!機巧スピリットの数まで貴様のスピリットを手札に戻す!消え去れぇ!」
「!!!!」
手札7⇨9
ラカンがその手を地面に勢いよく叩きつけると、地面が唸るように暴れ出し、その波に巻き込まれる形でホークモンとネフェルティモンを吹き飛ばし、彼の手札へと戻らせた。
「……………終わりだ、朱雀……………本当にがっかりだ、口先だけの人間とはな」
「…………」
まさしく絶対絶命だ。司は逆転する方法があるのか。
今にも3体の機巧武者達が司のライフを討つために動き出そうとしていた。その決着は次回だ。
〈本日のハイライトカード!!〉
「はい!椎名です!今回はこいつ!【機巧武者サイウン】!!」
「サイウンは白の機巧スピリット!機巧スピリット限定のパワーアップ効果と、ライフが減らされていないことを条件にコアブーストする効果を持ってるよ!」
最後までお読みくださり、ありがとうございました!