「緑坂さん、このバトルどっちが勝つと思う?」
「え?」
スタジアムの観客席で椎名と司のバトルを大勢の観客達と共に観戦していた雅治と真夏。そんな中、雅治は真夏に質問した。それは半年前のデジャヴであり、
「前もそんなこと聞きよったなぁ〜、…………せやなぁ、じゃあ今回は椎名に賭けるわ〜〜」
「…………そう、…………じゃあ僕は司に賭けるよ」
前とはほぼ逆の選択をするそれぞれの親友達、果たしてどちらの予想が当たるのか………
界放リーグ、その準決勝。芽座椎名と赤羽司のバトルは続く。現在のフィールドは以下の通り、
《椎名》ライフ3
ガンナー・ハスキーLV2(3)BP4000(回復)
猪人ボアボアLV2(3)BP4000(疲労)
バースト無
《司》ライフ3
ハーピーガールLV2(2)BP4000(疲労)
シュリモンLV2(3)BP9000(回復)
朱に染まる薔薇園LV1
バースト無
現在は椎名のアタックステップ中であったが、攻め手のライドラモンをシュリモンの【アーマー進化】により返り討ちにされ、ターンを終了せざるを得ない状況に追い込まれていた。
「司、何度も言わせないでよ、真夏の兄ちゃんに、ヘラクレスに勝つのは私、芽座椎名だっ!」
追い込まれてもなお、強気に司の宣言を言い返す椎名。そうだ、このどちらかが、真夏の兄、ヘラクレスこと、緑坂冬真と今年の界放リーグの優勝を争うことになる。
それがどれだけ、1年生にとって、いや、学園の生徒全員にとって栄誉あることかは計り知れない。
だが、今バトルしている2人は規模が違う。2人はこれにも勝ち、決勝でヘラクレスにも勝つと宣言している。相手が仮にも有名な上級生なので、普通なら胸を借りるや、挑む。などの言葉を使うはずだ。
彼らはその先をイメージしていたのだ。決勝に上がったその先を、他の学生を押しのけてきたのが理解できる。その目標が、果てしない向上心が彼らをこの舞台まで導いてきたのだろう。
「………ターンエンドだっ!」
ガンナー・ハスキーLV2(3)BP4000(回復)
猪人ボアボアLV2(3)BP4000(疲労)
バースト無
強気に宣言したと言っても、このターンは何もできない。椎名はそのターンを終了させる。
次は場にシュリモンを召喚した司のターンだ。
[ターン07]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨6
トラッシュ4⇨0
ハーピーガール(疲労⇨回復)
「メインステップ、再びホークモンを召喚する」
手札5⇨4
リザーブ6⇨2
トラッシュ0⇨1
司はシュリモンの【アーマー進化】の効果で手札に戻ったホークモンをもう一度召喚した。そしてその召喚時の効果も当然利用できる。
「召喚時効果、3枚オープンっ!」
オープンカード
【イエローリカバー】×
【レッドライトニング】×
【シャイニングバースト】×
残念ながら今回も外れ、司はそれらを全てトラッシュへと送った。
「ちぃ、またハズレか、まぁいい、」
司の手札には既にホークモンの進化系を所持していたのだ。それは椎名の残ったスピリット達を一掃する強力なスピリットだ。
「アタックステップ!その開始時にホークモンの【進化:赤】を発揮!手札に戻し、成熟期のアクィラモンをLV3で召喚!!」
リザーブ2⇨1
アクィラモンLV3(4)BP6000
ホークモンに0と1のデジタルコードが巻きつけられる。それは次第に膨らんでいき、ホークモンを進化させる。そして新たに現れたのは2本の大きなツノを持つ巨鳥型の成熟期スピリット、アクィラモンだ。
「!!……普通の進化!」
「アクィラモンには召喚時とアタック時で同じ効果を発揮する、猪人ボアボアを破壊!」
「!!」
アクィラモンは召喚時とアタック時でBP4000以下の相手のスピリット1体を破壊できる。
アクィラモンの2本の大きなツノから放たれる電撃が、椎名のボアボアを襲う。ボアボアは耐えられずに爆発してしまった。
「さらにアタックステップは継続!やれぇ!アクィラモン!今度はガンナー・ハスキーを破壊っ!」
「っ!!」
次に狙われたのはガンナー・ハスキー。ボアボアと同じく電撃をくらい、爆発してしまった。だが、ボアボアと違い、ガンナー・ハスキーには破壊時の効果が備わっており、
「ガンナー・ハスキーのLV2の破壊時効果!ボイドからコアを2つリザーブへ!」
リザーブ10⇨12
ガンナー・ハスキーの力が椎名のBパッドに流れ込む。彼女に新たなコアの恵みが与えられた。
「ふんっ、コアが増えたところで意味はないっ!この3体のアタックで終わりだ!」
椎名の残りライフは3。司の場のスピリットの総数はアタック中のアクィラモンを合わせて3体。椎名のライフを全て破壊できた。
だが、司も本当は分かっている。椎名がこの程度でくたばるわけがない、と。
椎名は当然のように手札のカードを1枚引き抜いた。
「フラッシュマジック!リアクティブバリア!」
手札4⇨3
リザーブ12⇨8
トラッシュ2⇨6
「!!」
椎名が使ったのは吸血戦でも使用した白マジック、リアクティブバリア。その効果は白のマジックでは一般的な効果であって、
「アクィラモンのアタックはライフで受けるっ!」
ライフ3⇨2
アクィラモンの強烈な翼撃が椎名のライフを1つ破壊する。だが、ここで椎名の使用したリアクティブバリアの効果が発揮され、
「リアクティブバリアの効果でこのターンのアタックステップは終わりだぁ!」
「…………」
立ち込める猛吹雪、その中では司のスピリット達は一切の行動ができない。司はこのターンを終了せざるを得ない状況になってしまった。
「…………ターンエンド」
アクィラモンLV3(4)BP6000(疲労)
ハーピーガールLV2(2)BP4000(回復)
シュリモンLV2(3)BP9000(回復)
朱に染まる薔薇園LV1
バースト無
司はターンを終了させる。次は椎名のターンだ。
[ターン08]椎名
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ9⇨10
《ドローステップ》手札3⇨4
《リフレッシュステップ》
リザーブ10⇨16
トラッシュ6⇨0
「メインステップ、………」
場のスピリットはゼロ。椎名は先ず、戦力の補強から行う。
「やっぱこっからじゃないとね!……私はブイモンを召喚するっ!」
手札4⇨3
リザーブ16⇨12
トラッシュ0⇨3
椎名は先ずブイモンを召喚した。そしてその召喚時の効果で手札を整える。
「召喚時の効果!カードをオープンっ!」
オープンカード
【フレイドラモン】○
【ガンナー・ハスキー】×
「!!……フレイドラモンっ!」
「よっし!これを手札に加えるよ!」
手札3⇨4
効果は成功。椎名は自身のエーススピリットであるフレイドラモンのカードを手札に加えた。だがまだ召喚はしない。ひとまずはあのスピリットを、さっき司のシュリモンの効果により手札に帰ってしまったあのスピリットを召喚する。
「ライドラモンの【アーマー進化】発揮!対象はブイモン!!1コストを支払い、青き稲妻、ライドラモンをLV3で召喚!!!」
リザーブ12⇨11⇨7
トラッシュ3⇨4
ライドラモンLV3(4)BP10000
ブイモンの頭上に黒くて独特な形をした卵が投下してくる。ブイモンはそれと衝突し、混ざり合う。そして新たに現れたのは黒いボディを輝かせる獣型のアーマー体スピリット、ライドラモンだ。
「召喚時効果でトラッシュにコアを追加ぁ!」
トラッシュ4⇨6
本日2度目、ライドラモンの雄叫びが椎名のBパッドにコアの恵みを与えた。
そしてまだ続く椎名のスピリット展開。今一度椎名は小さき青い竜を召喚する。
「もういっちょ!ブイモンを召喚!!」
手札4⇨3
リザーブ7⇨4
トラッシュ6⇨8
額にブイの字を輝かせる青き竜。ブイモンが、三たび椎名の足元から飛び出してくる。
そして次は椎名のエーススピリットのご登場だ。椎名は1枚の手札を引き抜く。
「フレイドラモンの【アーマー進化】発揮!対象はブイモン!1コストを支払い、炎燃ゆるスピリット、フレイドラモンをLV2で召喚!!」
リザーブ4⇨1
トラッシュ8⇨9
フレイドラモンLV2(3)BP9000
(………フレイドラモン……!!)
ブイモンの頭上に今度は赤い卵が投下される。ブイモンはそれと衝突し、混ざり合い、進化する。そして新たに現れたのは、炎操る竜人型のアーマー体スピリット、フレイドラモンだ。
これで椎名の主力となる2体が揃った。
「フレイドラモンの召喚時及びアタック時効果で、BP7000以下のスピリットを1体破壊!今回はハーピーガールだ!………爆炎の拳!!ナックルファイアぁぁ!!」
手札3⇨4
「………ぐっぅ!!」
フレイドラモンの放つ炎の鉄拳。それは瞬く間にハーピーガールを焼き尽くした。そして椎名はおまけのようにデッキからカードをドローした。
椎名はいつだって、どんな時だって、この一番好きなスピリット、フレイドラモンで境地を乗り越えてきた。
ーそして今回も、
「アタックステップ!」
「だが!フレイドラモンのBPは9000!!シュリモンと同値だ!指定アタックしたところで相討ちになるだけ…………」
「誰がフレイドラモンからアタックするって?」
「……なに?」
司は僅かながらに曲解していたのかもしれない。いつもの椎名はここでフレイドラモンの独壇場とする戦法を取っていた。その方がアドバンテージを取れるからだ。だが、今回は違う。
その理由はライドラモンにある。
今回のフレイドラモンはライドラモンと共に敵を討つ。
「最初にアタックするのはライドラモン!」
「!?!」
勢いよく地を駆けるライドラモン。目指すは司の3つのライフ。……かと思えば、
「さらにこの時、フレイドラモンのLV2の効果で効果名に【進化】を含むスピリットは指定アタックができる!…………ライドラモンでシュリモンを指定アタックっ!」
「……!?!……そういうことかっ!」
走るライドラモンにフレイドラモンの炎の加勢が入る。ライドラモンはその炎を纏い、シュリモンめがけて突進していく。
そう、フレイドラモンだけが指定アタックできるのではないのだ。今までは場面場面でしょうがなくフレイドラモンが指定アタックしたきたが、本来はこのような使い方が理想なのである。
「ライドラモンのBPは10000!…………シュリモンより強いっ!…………いっけぇ!!!爆炎と稲妻の、ディザスターダッシュ!!!」
ライドラモンはそのまま自身の青い稲妻とフレイドラモンの炎を纏いながらシュリモンへと激突した。シュリモンはそれを止めようとするも、勢いを殺しきれず、逆にそれをまともに受けてしまった。
炎と稲妻に貫かれたシュリモンは力尽き、そのまま爆発してしまった。
「ほぉ、なるほどなぁ〜、アーマー体のほとんどは他のデジタルスピリットを補強していく効果が多い、つまり複数揃うた方が圧倒的にバトルを有利に進められるってこっちゃ」
スタジアムの隅で淡々と試合を考察していたヘラクレス。椎名のプレイングを感心するように頷く。
彼の言う通り、アーマー体は並べれば並べるほど強い。これで形成が逆転した。司は椎名の反撃を受けることになる。
「次だ!フレイドラモンでアタックっ!アタック時効果でBP7000以下のアクィラモンを破壊してドローだ!………ナックルファイアぁぁ!!」
手札4⇨5
「…………ぬっ!」
再び放たれるフレイドラモンの炎の鉄拳。それは瞬く間に空中にいるアクィラモンを直撃し、墜落させた。これで司の場にいたスピリットは全て消え、更地となった。
そしてアタック中。さっきはライドラモンにフレイドラモンの効果が乗せられたが、次はフレイドラモンにライドラモンの効果が乗る番だ。
「アタックは継続中!」
「くっ!……ライフで受ける」
ライフ3⇨2
フレイドラモンの炎のパンチが、司のライフを1つ破壊した。
そして、
「この瞬間!ライドラモンの効果!アーマー体スピリットがライフを減らしたことで、さらに1つのライフを破壊するっ!」
「!!?!」
ライドラモンの青い稲妻が、フレイドラモンの右拳に集中していく。フレイドラモンは自身の炎とライドラモンの青い稲妻の力を使い、再び司のライフを殴りつける。
「爆炎と稲妻のぉぉ!!ディザスターナックルぅぅぅう!!!!」
「ぐっ、………ぐぉぉっ!!」
ライフ2⇨1
炎と稲妻が融合したパワーは底が知れない。その爆発は一瞬にして司のライフを破壊した。
「どうだ司ぁ!これでターンエンドだよ!」
フレイドラモンLV2(3)BP9000(疲労)
ライドラモンLV3(4)BP10000(疲労)
バースト無
フレイドラモンとライドラモンのコンビネーションが炸裂した良いターンであったと言える。椎名は自慢気な表情を見せながらターンを終えた。
「……ッ!……調子にのるなよめざし、」
当然司もこのままで終わるはずがない。椎名のライフはたった2つしかないことから、場が有利になったとはいえ、油断は禁物だった。
[ターン09]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ12⇨13
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ13⇨14
トラッシュ1⇨0
「メインステップ…………」
司もたった1ターンで場のスピリットを全て破壊された。だが、既にこの場を整える方法が手札には存在しており、
「俺は、朱に染まる薔薇園のLVを上げ、手札にいるホークモンをフル軽減で召喚」
手札5⇨4
リザーブ14⇨11
朱に染まる薔薇園(0⇨1)LV1⇨2
トラッシュ0⇨1
司のネクサスカード、朱に染まる薔薇園は、LV2の時、赤のスピリットを召喚する際に、黄色としても扱うような効果を備えている。これにより、ホークモンが全ての軽減を満たされて召喚される。
「召喚時効果!3枚オープンっ!」
オープンカード
【テイルモン】○
【ハーピーガール】×
【ネフェルティモン】○
効果は成功した。司はこの場合、どちらか1枚を手札に加えることができるのだが、
「テイルモンを加える」
手札4⇨5
何のためらいもなく、司はテイルモンのカードを加えた。そしてこの瞬間、ホークモンの召喚時の効果の追加効果も発揮される。
「さらにホークモンの召喚時の追加効果で、2コストを支払い、今手札に加えたテイルモンを召喚する!」
手札5⇨4
リザーブ11⇨6
トラッシュ1⇨3
テイルモンLV3(3)BP5000
猫のように見えるが、本当はネズミ型の成熟期スピリット、テイルモンが司の場にいるホークモンの横に現れた。そして司はアタックステップへと移行する。椎名の残り2つのライフを討つためだ。
「アタックステップ!テイルモンでアタック!…そのアタック時効果でカードを1枚オープンっ!」
オープンカード
【シルフィーモン】○
テイルモンはアタック時にカードをオープンして、それが完全体スピリットならばライフを1つ回復できる。今回は成功、完全体のシルフィーモンのカードが手札に加わりつつ、司のライフが1つ回復することになる。
「テイルモンの効果でライフを1つ回復、さらにアタックステップ中にライフが増えたことにより、朱に染まる薔薇園の効果でデッキから1枚ドロー!」
ライフ1⇨2
手札4⇨5⇨6
ライフ回復に伴い、司のネクサスカード、朱に染まる薔薇園の赤薔薇も赤く発光する。その手札をより潤していく、
そしてまだだ、まだアタック時効果は終わってはいない、テイルモンは成熟期のスピリットだ、当然他と同じように、完全体に進化できる【超進化】の効果を持っており、
「テイルモンのもう1つのアタック時効果!【超進化:黄】発揮!テイルモンを手札に戻し、聖なる獣人、シルフィーモンを召喚するっ!」
リザーブ6⇨5
シルフィーモンLV3(4)BP12000
「!!」
テイルモンに0と1のデジタルコードが巻きつけられる。それ次第に膨らんでいき、テイルモンの姿形を変えさせていく。そしてそれが破裂すると同時に現れたのは、完全体のスピリット、白い体が特徴的な獣人型のスピリット、シルフィーモンだ。
「……ッ!……待ってたよっ!シルフィーモン!!」
椎名は思わず笑みがこぼれた。シルフィーモンという強敵が目の前に現れたからだ。ずっと戦いたかった。司のオーバーエヴォリューションで生まれた時から、
「ほんと、イかれてんな、てめぇ、」
「へへ、……だってさぁ、こんなに楽しいことはないよっ!」
椎名にとって、バトルスピリッツを楽しむことは生きがいなのだ。昔から六月に言われてきた。【バトルスピリッツは楽しむもの】だと。
この世界中が注目する界放リーグの準決勝で、これだけ純粋にバトルを楽しめる人物は他にはいないだろう。司の言うイかれてる。は、言葉を変えれば、【大物】。
この緊迫する場面でここまでバトルを楽しめる椎名はもはや他のプロにも勝も劣らないかもしれないほどの大物であると言えるかもしれない。
そんな中、司はバトルを再開し、シルフィーモンの召喚時効果を発揮させる。
「召喚時効果っ!BP12000以下のスピリット1体を破壊するっ!くたばれぇ!ライドラモン!」
「!!」
両手を合わせて突き出すようにエネルギー弾を放つシルフィーモン。それは瞬く間に椎名のライドラモンを捉えて命中させる。ライドラモンは耐えられなくなり、その場で力尽き、爆発してしまった。
「くそっ!ライドラモンっ!」
「アタックステップは継続だ!やれぇ!シルフィーモン!」
高い脚力を活かして、天高く飛び上がるシルフィーモン。そのまま滑空し、椎名のライフへと向かう。
現在、司の場のスピリットはシルフィーモンとホークモンの計2体。対する椎名のライフは残り2。椎名が抵抗しなければバトルはこのターンで終わってしまう。
「……まだだっ!フラッシュマジック!アビサルカウンター!」
手札5⇨4
リザーブ5⇨2
トラッシュ9⇨12
「!!?!」
「アビサルカウンターはコスト3以下のスピリット1体を破壊するっ!ホークモンを破壊だ!」
青のマジック、アビサルカウンターは、コスト3以下のスピリットか、合体スピリットのブレイブを1つ破壊できるマジックだ。今回その対象に選択されたのはコスト3のホークモン。
大きな竜巻が突然発生し、ホークモンを巻き込んでいく。ホークモンがそれに耐えられるわけもなく、力尽き爆発してしまった。
「……だが、シルフィーモンのアタックは有効のままだ」
「………ライフで受けるっ!………くっぅ!」
ライフ2⇨1
滑空してくるシルフィーモンの強烈なダブルパンチが椎名のライフを1つ破壊する。これで椎名のライフは残りたったの1つ。
「さらにシルフィーモンのバトル終了時効果により、ライフを1つ回復し、ネクサスカード、朱に染まる薔薇園の効果でカードを1枚ドロー…………」
ライフ2⇨3
手札6⇨7
ー再び司が逆転した。
司のたった1つだったライフが3まで戻る。おまけに朱に染まる薔薇園の効果で手札も増やし、無駄がない。
「………ターンエンド」
シルフィーモンLV3(4)BP12000(疲労)
朱に染まる薔薇園LV2(1)
バースト無
次は椎名のターンだ。ここでまたやり返さねば後はないだろう。
[ターン10]椎名
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ3⇨4
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ4⇨16
トラッシュ12⇨0
フレイドラモン(疲労⇨回復)
「メインステップ、……………よし!これだっ!……青のブレイブよ!潮より来たれ!双牙皇オルト・ロードを召喚!」
手札5⇨4
リザーブ16⇨11
トラッシュ0⇨4
椎名の背後から打ち寄せてくる大波。その中から飛び出してくるのは2つの顔を持つ獣のような青のブレイブ、双牙皇オルト・ロード。連続アタックを可能にできる強力な1枚だ。
「さらにブイモンを召喚っ!」
手札4⇨3
リザーブ11⇨8
トラッシュ4⇨6
椎名は立て続けに手札に戻っていたブイモンを召喚した。そしてその召喚時を使用する。
「ブイモンの召喚時効果っ!カードをオープンっ!」
オープンカード
【風盾の守護者トビマル】×
【マグナモン】○
効果は成功、アーマー体であるマグナモンのカードが椎名の手札へと加えられた。
「よっし!マグナモンを手札に加えるよ!」
手札3⇨4
「……………」
【ロイヤルナイツ】の一角、黄金の守護竜マグナモン。司はそれをなぜ椎名が持っているのか疑問を抱いていた。だが、いくら聞いても椎名は「じっちゃんからもらった」としか言わなかった。事実といえば事実なのだが、
司がそんなことを思い出している間に、椎名はそれを、黄金の守護竜を召喚する。いつものようにその大きなコストを補える【アーマー進化】の効果を使って、
「マグナモンの【アーマー進化】発揮!対象はブイモン!1コストを支払い、黄金の守護竜、マグナモンをLV3で召喚っ!」
リザーブ8⇨7⇨4
トラッシュ6⇨7
マグナモンLV3(4)BP10000
ブイモンの頭上にゆっくりと金色に光り輝く黄金の卵が投下される。ブイモンは受け入れるようにそれと衝突し、混ざり合い、新たな姿へと進化する。そして眩い光と共に現れたのは黄金の鎧を身に纏う【ロイヤルナイツ】の一体、マグナモンだ。
「…………ふんっ、ようやくご登場か」
「へっへぇ!………勝負はこれからだよ!マグナモンの召喚時効果!最もコストの低い相手のスピリット1体を破壊するっ!」
「…………俺のスピリットはシルフィーモンだけ………」
「そう、つまりそれが破壊されるっ!…いっけぇ!!マグナモンっ!黄金の波動!!エクストリーム・ジハード!!」
マグナモンはその奇跡の力を体内に結集させ、それを一気に球状に放出させる。シルフィーモンは瞬く間にそれに取り込まれ、肉体ごと消滅させられてしまった。
マグナモンのこの効果は相手の場に効果を受けないタイプのスピリットさえいなければほぼ確実にスピリットを破壊できる強力な効果だ。
そして椎名はまだこのメインステップで動く。今度はフレイドラモンとオルト・ロードの合体だ。
「フレイドラモンと双牙皇オルト・ロードを合体!合体スピリットとなるっ!」
フレイドラモン+双牙皇オルト・ロードLV2(4)BP14000
呼吸を合わせるように空中へと飛び上がるフレイドラモンとオルト・ロード。そして2体は衝突し、混ざり合い、新たな姿となる。現れたのは言わば蒼いフレイドラモン。オルト・ロードの装甲が装備され、その炎はより高温となり、青に変わる。さらには背中から漆黒の巨翼が新たに生えている。
それが今、ゆっくりと椎名の場に降り立った。
司は思い出していた。あの時、芽座椎名に負けたあの4月の代表バトルを、あの時勝負をつけられたスピリットが目の前にいると思うとその心には俄然やる気が灯されていた。
そして椎名はようやくアタックステップへと移行する。司との準決勝バトルに決着をつけるために。
「アタックステップ!フレイドラモンでアタックっ!」
その黒くて大きな翼を広げ、蒼い炎を灯しながら飛び立つフレイドラモン。目指すは残り3つの司のライフだ。
現在のフレイドラモンはオルト・ロードとの合体でダブルシンボル。つまり一度のアタックで2つのライフを減らすことができる。このアタックとマグナモンのアタックで終わらせる。椎名はそう考えていた。
ーだが、そう上手くはいかない。司はここで引き込んでいた1枚を引き抜いた。それは自分の窮地を何度も救ったカードであって、
「フラッシュマジック!シンフォニックバースト!」
手札7⇨6
リザーブ9⇨7
トラッシュ3⇨5
「なに!?」
シンフォニックバースト。黄色のマジックで、効果はバトルの終了時に自分のライフが2以下ならばそのアタックステップを強制的に終わらせるというもの。司はこの界放リーグ中は何度もこのカード1枚で相手のスピリットのアタックを食い止めていた。
「フレイドラモンのアタックはライフで受けるっ!……………ぐっぅ!」
ライフ3⇨1
フレイドラモンは蒼い炎をその身に纏い、司のライフへと激突してくる。そのライフを3からたった1まで減らしたが、
「ふっ!……シンフォニックバーストの効果でアタックステップは終わりだっ!」
「くっ!………」
黄色い衝撃波が広がっていく。それは椎名の場にいたフレイドラモンとマグナモンの動きを一時的に停止させていた。
これにより、椎名はターンを終了せざるを得ない状況となってしまった。
「……………ターンエンド」
フレイドラモン+双牙皇オルト・ロードLV2(3)BP14000(疲労)
マグナモンLV3(4)BP10000(回復)
バースト無
アタックステップを終わらされてはしょうがない。椎名は悔しみながらもそのターンを終える。が、また形成が椎名に傾いているのは明らかであった。司がここから逆転するのは至難の技を言えるだろう。
[ターン11]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ9⇨10
《ドローステップ》手札6⇨7
《リフレッシュステップ》
リザーブ10⇨15
トラッシュ5⇨0
司はこのドローステップで最高のドローをしていた。それはこのゲームを終わらせらことのできる強力な1枚であって、
「メインステップ、イーズナを召喚し、マジック、コールオブロストを使用、……トラッシュにいるシルフィーモンを手札に加える」
手札7⇨6⇨5⇨6
リザーブ15⇨14⇨12
トラッシュ0⇨2
「!!………シルフィーモンが戻った……!?」
司はイーズナを召喚すると同時にトラッシュへと落ちたシルフィーモンのカードを手札に戻した。戻した理由はただ一つ、もう一度召喚するためだ。
「さらにテイルモンを召喚し、アタックステップだ」
手札6⇨5
リザーブ12⇨6
トラッシュ2⇨4
司は前のターンで【超進化】の効果により、手札に戻っていたテイルモンを再び召喚すると、そのままアタックステップに移行した。このターンで決める気だ。
「テイルモンでアタック!効果で1枚オープンし、そのまま手札に加え、【超進化:黄】!手札に戻し、シルフィーモンに進化っ!」
オープンカード
【ソウルオーラ】×
手札5⇨6
シルフィーモンLV3(4s)BP12000
司はテイルモンの効果で手札を増やしつつ、それを進化させる。シルフィーモンを再び場へと呼び出した。
だが、シルフィーモンの召喚時効果ではもはや椎名のスピリットを破壊はできない。
(………せっかく倒したのに…………でもこの手札なら…………いけるっ!)
(………終わりだめざし……このターンで最後にしてやる)
お互いに、手札の状態は良いようであり、どちらかの手札が強いかが、この勝負を分けると言っても過言ではない。
ー椎名が守るか、方や司が押し切るか、互いの手札に望みを託し、今、ラストバトルが切って落とされる。
「【超進化】は効果を発揮したスピリットのフラッシュタイミングだけが残る。つまり、俺はここでフラッシュが使えるっ!」
「……!?」
成熟期スピリットの持つ【超進化】の効果は主にアタック時に発揮されるものだが、進化した後は、そのアタックしたことにより発生するフラッシュタイミングが残るのだ。
これはデジタルスピリット特有のものだが、これを隙と捉えるか得と捉えるかはバトラーしだい。少なくとも司は得だと捉えている。何せ、このタイミングで自分の最強のスピリットを呼び出すことができるのだから。
「煌臨発揮!対象はシルフィーモンっ!」
シルフィーモン(4s⇨3)LV3⇨2
トラッシュ4⇨5s
「!!」
シルフィーモンの周囲に巨大な火柱が立ち上る。シルフィーモンはその炎の中で姿形を大きく変えていく。
椎名は悟った。絶対にあいつだ。と、当然その読みは正しい、赤羽一族に伝承されていた最強の赤スピリットが今、この準決勝でも大きく羽ばたいてみせる。
「天空の王よ!その輝ける翼を持って地上の全てを薙ぎ払えぇ!究極進化ぁぁ!!!」
手札6⇨5
ー黄金の炎の力を持つ究極の赤スピリットが黄金に煌めく翼を広げ、華麗に舞い上がる。
「…………ホウオウモンっ!」
ホウオウモンLV2(3)BP12000
火柱の中で形成された巨鳥が咆哮すると、その炎は全て弾け飛ぶ。そしてその中から現れたのは赤羽一族に伝承されてきた黄金の巨鳥。ホウオウモンだ。
自身の効果により、トラッシュからも煌臨できたが、今回は手札からの煌臨となった。
「…………おぉっ!これがホウオウモンっ!!」
椎名の顔は喜びに満ちていた。それもそのはずだろう。何せ、一番対面したかったスピリットなのだから。
いざその雅な羽ばたきを目の前にしてみるととてつもないプレッシャーを感じる。こんな相手とバトルしたのは初めてだった。
「見惚れるなよ、…………煌臨時効果!煌臨元になった赤の完全体、シルフィーモンを手札に戻すことにより、お前のBP10000以上のスピリット1体を破壊するっ!………フレイドラモンっ!お前だっ!!!!」
手札5⇨6
「………!?!!」
「煌翼の!スターライトエクスプロージョンッ!!!」
ホウオウモンの翼から放たれる金色の炎、それは瞬く間に地上にいるフレイドラモンまで届き、それを溶解させてしまった。合体していた双牙皇オルト・ロードは分離する形でなんとかことなきを得た。
「くっ!…………フレイドラモンっ!」
「これでお前のエースは消えたっ!これで終わりだ!ホウオウモンでアタックッ!!……そのアタック時効果により、BP10000以下の双牙皇オルト・ロードを破壊っ!」
椎名の残り1つのライフをめがけて飛び立つホウオウモン。その瞬間に分離してスピリット状態となっていたオルト・ロードを翼の炎で通り過ぎるように焼き払っていった。
司の場にはホウオウモンとイーズナがいる。だが、椎名の場にもまだ、【ロイヤルナイツ】のマグナモンという頼もしい仲間が場にいるのであって、
「フレイドラモンはいなくなっても私にはまだマグナモンがいるっ!マグナモンでブロックだ!」
マグナモンは疲労状態でブロックができる。つまりこのホウオウモンとのBP勝負に勝つことができれば、椎名はこのターンをしのぐことができる。
ーまた逆も然り、
どちらにせよ、このBP勝負に勝った方が準決勝の勝者であると考えてもいいだろう。
椎名は遅かれ早かれこのターンでこうなることは予想がついていた。だからこそこのタイミングで思う存分フラッシュをねじ込んでいく。
「フラッシュマジック!ワイルドライド!マグナモンを対象に発揮させる!……」
手札4⇨3
リザーブ8⇨5
トラッシュ7⇨10
「!!」
「この効果によりマグナモンはBPプラス3000!!………ホウオウモンを超えたぁ!」
マグナモンBP10000⇨13000
この大会だけでもう何度も椎名の窮地を救ってきたマジックカード、ワイルドライドが使用される。マグナモンは緑のオーラを纏い、そのパワーを上昇させる。
ホウオウモンのBPを僅かながらに超えた。マグナモンは再びエクストリーム・ジハードを放つ。ホウオウモンを破壊するためだ。ホウオウモンも負けじとスターライトエクスプロージョンを放つ。
2つの黄金のエネルギーが衝突した。現在はマグナモンの方が押している。このままいけば確実にホウオウモンを破壊できるだろう。
だが、司にフラッシュがないわけがない。テイルモンのアタック時効果でさりげなく加えていたマジックカードを手札から抜き取った。
「あまいっ!効果で加えたこいつを忘れていたか!フラッシュマジック!ソウルオーラッ!俺のアタックしているスピリット全てをBPプラス3000!!」
手札6⇨5
リザーブ6⇨5
トラッシュ5s⇨6s
ホウオウモンBP12000⇨15000
「!!」
ソウルオーラの力により、ホウオウモンは赤いオーラを纏い、そのパワーを上昇させる。マグナモンを再び超えた。
ここでBPアップ系のカードを手札に持っていたのは流石と言える。
マグナモンの放ったエクストリーム・ジハードをホウオウモンの黄金の炎、スターライトエクスプロージョンがゆっくりと押し返していく。
ーだが、椎名がその公開情報を知らなかったわけがない。さらに椎名は手札のカードを引き抜いた。それは彼女を界放リーグの決勝へと導かせる切札だ。
「まだまだぁぁぁあ!!フラッシュマジック!グロウウィングソード!!」
手札3⇨2
リザーブ5⇨2
トラッシュ10⇨13
「……なに………っ!?」
「グロウウィングソードは自分のスピリット1体をBPプラス3000し、その後1コスト以上のコアを支払ことで、払ったコア1つにつき、追加で1000ずつアップさせるっ!対象は当然マグナモン!そして2コア払ってさらに2000アップ!」
マグナモンBP13000⇨16000⇨18000
マグナモンはさらにそのパワーを上昇させる。再びエクストリーム・ジハードはスターライトエクスプロージョンの炎を押し返していく。
「いっけぇ!!黄金の超波動っ!!!エクストリーム・ジハードォォォォオ!!」
どんどん黄金の炎を押しのけて突き進んでいく黄金の波動。そしてついに、ついにホウオウモンまで近づいていく。そして衝突し、
ー破壊、されるはずだったー
「……え?……………」
マグナモンBP18000⇨15000
突然、それは突然だった。マグナモンとホウオウモンが奇妙な光に包まれるていく、その中でマグナモンはパワーが下がるが、なぜかホウオウモンはさらにパワーアップしていた。
その光景を見て、思わず口が開く椎名。
このカラクリは、司が引き起こしたものであって、
「………………フラッシュマジック…………フルーツチェンジ」
手札5⇨4
リザーブ5⇨4
トラッシュ6s⇨7s
「…………!!?!」
「フルーツチェンジ………このバトル中にBPを比べる時、互いのスピリットのBPを入れ替える…………お前のマグナモンはBPが15000まで下がり、逆に俺のホウオウモンは18000となる」
ホウオウモンBP15000⇨18000
「な!?……………ッ!!」
以前、雅治とのバトルでもくらっていたマジックカード。だが、同じ黄色を使うからと言ってもBPを上げやすい赤が主軸の司のデッキには使われないだろうと思っていた。そのためか、使われるなど、椎名には予想できなかった。
「金色の超炎!スターライトエクスプロージョンッ!!」
最後の最後でホウオウモンのスターライトエクスプロージョンが巻き返していく。そのパワーは先ほどの比にならない。どんどんマグナモンのエクストリームジハードを押し返していく。
そして、その金色の炎はとうとうその波動を打ち破り、マグナモンまで届く。最高の硬度を誇るマグナモンの鎧に一瞬でヒビを入れた。
流石に耐えられなかったか、その金色の炎の中で、マグナモンは力尽き、消滅していった。
「(これから先、俺は常にお前の先へ行く)イーズナでアタックッ!」
そう心で思いながら、司は残ったイーズナでアタックを宣言した。イーズナが椎名のライフをめがけて懸命に走り出した。
ーそして、
「…ッ!……………」
ライフ1⇨0
イーズナの爪のひっかく攻撃が、椎名の最後のライフを破壊した。椎名はショックからか、言葉がなにも出てこなかった。ただその攻撃を受け入れただけ、
そのガラス細工が割れるような音が発せられた瞬間は、不思議と轟音のような歓声がピタリと止んだ。
ー赤羽司、赤属性を多用する一族、赤羽一族の末裔で、【朱雀】と言う2つ名で呼ばれることが多い、芽座椎名の生涯のライバルとなる男だ。
〈本日のハイライトカード!!〉
「椎名です!今回はこいつ!【テイルモン】!!」
「テイルモンは司が使う黄色の成熟期スピリット!アタック時にカードを1枚オープンして、それが完全体スピリットだったらライフを回復するよ!」
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
次回もお楽しみに!