バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

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第32話「3人で勝て!アーマー体集う!」

 

 

 

 

 

 

 

 

パイルドラモンの強烈な銃撃が、夜宵の最後のライフを粉々に粉砕した。

 

ー椎名の勝ちだ。そして椎名達の目の前で信じられないことが起きる。夜宵がその場で倒れてしまったのだ。Bパッドでのバトルでダメージなど発生しないのに、

 

雅治はそれを見て「遅かった」と言って悔しむ顔を見せる。

 

 

「夜宵ちゃん!!?」

「夜宵!」

 

 

椎名と司はそれを見るに思わず夜宵の側へと駆け寄った。椎名はその夜宵の頭を抱えながら呼びかける。夜宵はわずかに残された意識の中、最後の力を振り絞って自分自身の本当の願いを椎名と司に伝えた。

 

 

「…………し、椎名………ちゃん…………ごめん………私やっぱりこんなことしたくなかった。司ちゃんも……………ごめん………」

「もういいよそんなこと気にしないでよ!」

「私はもうすぐ………肉体だけになっちゃうから…………最後にこれだけ…………言っとくね」

「…………………え?」

 

 

今なんと言った。夜宵は今なんと言ったのだ。【肉体だけになる?】どういうことだ。バトルで負けただけで、信じられるものか。

 

 

「な、何言って…………」

「最初からそういうものだったの……………生贄になるのはあなた達だけじゃない……………肉親である私とお姉様も含まれている」

「…………そ、そんな…………嘘だ!」

 

 

信じられるものか、紫治姉妹までもが生贄の対象など、しかもバトルで負けることが生贄になるのはにわかには信じがたい。ただ【オーバーエヴォリューション】を発現させた直後のバトルで、

 

だったら司の時はどうなのだ、あの時は炎林にはそんなこと起きなかった。

 

 

「……………はぁ、はぁ、……………最後にこれだけ…………………」

 

 

夜宵は椎名の頭の整理が追いつかないまま最後の言葉を残した。それは紛うことなき心の底から思った本当の願いである。

 

そしてそのまま魂が抜けるかのように意識を失ってしまった。

 

 

「…………や、夜宵……ちゃん?………」

 

 

椎名がいくらその身体をさすっても揺らしても夜宵はうんともすんとも言わない。もはやただの屍だ。

 

 

「あ……あ…あ…ああああああっ!?」

 

 

椎名は頭が壊れそうになる。必死に元に戻ろうとしても、たった今起こった出来事がすぐにそれを記憶の上に重ねて忘れさせようとしてくれない。目から滝のように水が流れて視界が無くなる。

 

いったい何がいけなかった。いったい何がいけなかったと言うのだ。自分は夜宵を止めたかっただけだというのに、ただそのことだけで頭の中がパンクしそうだった。

 

司も黙ってはいるが椎名とほとんど同じ考え方だ。だが、その中にはたしかに悔しさと恨みの気持ちが椎名よりも混じり合っている。

 

ーそんな時だった。彼らの背後からゆっくりと足音と手を叩く音が聞こえて来たのは………

 

 

「はっはっはっは!!……いやはや、見事だったよ、見事なバトルだったよ、芽座椎名!……そして美しい友情の物語………感動ものだね」

「!!」

「………てめぇは…………【紫治城門】っっ!!」

 

 

椎名達3人の前に現れたのはデスペラード校の理事長にして紫治一族の現頭領でもある【紫治城門】。そして彼こそが今回の件の黒幕。10年前に亡くした最愛の妻、【紫治亜槌】を蘇えらせるために、娘達に指示を送り、3人を呼び寄せた。

 

その手にはバレーボールくらいだろうか、それくらいの透明感のある水晶玉を持っていた。

 

 

「てめぇ!どのツラ下げて俺らに会いに来やがったっ!!?」

「夜宵ちゃんもそのお姉さんもあなたのためにこんな状態になったんですよ!?……なんで笑ってるんですか!?」

 

 

城門にそう言ったのは司と雅治だ。司はどれだけ頭に血が上っていたことだろうか、城門に対する怒りの感情は計り知れない。

 

雅治も娘2人を犠牲にしたにもかかわらず何事もなかったかのような笑顔を向けてくる城門に怒りを覚えていた。紫治姉妹は全て父親のためと思い、健気にこんなことまでしたと言うのに。

 

だが、城門はそんな2人の言い分などほとんど意に介さず、

 

 

「そりゃ笑うだろう。何せ我が最愛の妻、亜槌がもうすぐこの世に復活するのだからな!」

「「!!」」

 

 

イかれている、狂っている、頭のネジが飛んでいる。司と雅治は思わずそう思ってしまった。

 

娘2人を失っていると言うのに、なんなのだその言い草は、

 

この状況でさぞかし当たり前かのように、子供のように何かを楽しみにしているその様子はもはや脅威の一言だった。

 

 

「う、嘘だ!漫画やアニメじゃあるまいし、人がこの世に輪廻するわけがない!」

 

 

雅治はこのこと自体は初めて耳にすることであって、思わず城門に反論を言葉で提示した。

 

人の蘇生、おかしな話だ。そんな摩訶不思議な出来事は基本的には彼の言う通り、漫画やアニメでしか起こりえないことだ。

 

 

「………できるのさ雅治君……この【Dr.A(ドクターエー)】が作り上げた水晶玉があればね」

「!!Dr.Aだって!?」

 

 

その名前を聞いて2人は驚いた。それもそのはず、それはあの【Dr.A】なのだから。

 

【Dr.A】とは、世界中に足を運び、研究や実験と称しては、なんらかの犯罪行為を繰り返すs級犯罪者である。今回のような事件がいい例だ。妻を失い、心に穴ができた城門にDr.Aが入り込んだのだろう。それが彼のいつもの槍口である。

 

まぁ、もうこの時点で何処かに姿をくらましているのだろうが、

 

 

「この水晶玉にはバトルで負けたも者の魂を封印することができる………」

「…………っ!?」

「そしてこの中にオーバーエヴォリューションに目覚めた3人と蘇らせる対象の人物の肉親2人が封印されれば我が妻はこの世に再び足を伸ばすことができるのだ!」

 

 

Dr.Aが作ったという水晶玉。それを城門は自慢するかのように見せつけてくる。

 

実際は信じるしかない。これまで意図的か、紫治姉妹はバトルで負けた直後に意識を失っている。信じられないことではあるが、これまでのことを推理すると受け入れざるを得ない状況だ。

 

そしてつまり、言っていることが本当なら、城門がここまで赴いた理由はただ1つ、【椎名、司、雅治】3人の魂をあの水晶玉に封印することだ。もちろんバトルで彼らを倒して…………

 

3人もそれを瞬時に理解した。

 

 

「……さぁ、誰からかかってくる?」

 

 

城門はその場で静かに最初の獲物を待つ。そして飛び向かったのは、

 

 

「…………だったら私が一番だ………ぶっ飛ばしてやる…………」

「……………椎名?」

 

 

涙を流し、項垂れていた椎名がそれを拭い、意識を失った夜宵を置いてその場から立ち上がり、城門との距離を詰める。その目は怒りに満ちている。これまでの椎名からは想像もつかなかった。

 

結果として城門は椎名と雅治に人殺しと同一のことをやらせたのだ。普通は怒り狂ってもおかしいことではない。だが、それは何かそれだけではない感じだ。何か………もっと本能的な何か……

 

そんな時だった、椎名を制止させるかのようにその肩に手を置いたのは、

 

ーそれは司だ。

 

 

「おい……待てめざし………抜け駆けすんな」

 

 

司は静かな口調で椎名にそう告げた。それを椎名は棘のある言葉で突き放す。

 

 

「うるさい……私にやらせろ」

「てめぇだけがムカついてると思うなよ………俺はあいつをぶっ飛ばしてやりてぇ…………」

「………私もだ」

 

 

本当ならばここで逃げるのが最善の一手であったことだろう。だが、それじゃあ彼らの腹の虫が治ることはない。

 

そしてそのまま司は椎名にある1つの提案を申し上げた。それはプライドの高い彼からは予想もできない以外な一言であって、

 

 

「だったら俺と協力しろ………」

「………っ!?」

「あいつは仮にも【伝説バトラー】の1人。正直言って、今回ばかりは勝てる気がしねぇ、当然お前も勝てねぇ………だが、協力すれば万に1%でも可能性が上がるかもしれん…………てめぇに頼みなんかしたくはないが、このままじゃどうしようもねぇ、……………頼む」

「……………司」

 

 

椎名は思わず浮き上がって来ていた怒りの感情を心の奥底にしまってしまった。

 

あの司が、プライドの高い司が、自分に今「協力しろ」と頼んだのだ。それほどまでにあの城門を倒したいという感情が強いと言うのが椎名の頭と身体に流れ込んで来たのだ。

 

ーもう断る理由も何もない。

 

 

「………わかった協力する……」

「…………ちょっと待って」

 

 

椎名が承諾した途端。さらに会話に入って来たのは雅治だ。目の前で無謀なことに挑戦しようとしている2人を止めるかに思えたが、

 

 

「本当ならここは逃げるのが一番なんだろうけど…………止めたって無駄だよね?」

「………わかってるじゃねぇか」

「うん、だから僕も一緒に戦うよ」

「…………雅治……」

 

 

この場で1人だけ逃げるを選ぶのは情けなさ過ぎる。それだったら雅治も覚悟した。2人と一緒に戦って勝つと。

 

たった今この瞬間、3人の気持ちはまとまった。同じことを考えている。【3人で紫治城門を倒す】と。

 

 

「てことだ。お前としても悪い話じゃないだろう?…………何せ俺ら3人を同時に倒せば、手間が省けるからな」

「なるほど…………いいだろう、3人でかかって来なさい」

 

 

案外あっさりと承諾した城門。

 

だがこれで少なくとも1on1ではなくなった。1on3ならば可能性は上がる。いつもとは一風変わった違うバトルをすることになるからだ。

 

椎名、司、雅治の3人はそれぞれBパッドを展開した。向けた先はもちろん紫治城門。城門も彼らをあざ笑うかのように自身のBパッドも展開させた。

 

 

「1on3以上でのルールは心得ているかね?」

「あぁ」

「えぇ」

「知りません」

「…………おい」

 

 

椎名だけ知らなかった。司はこの場で思わず軽くツッコンでしまった。

 

それを見かねた雅治が椎名に説明していく。

 

 

「1on3以上でのルールはいつもとは少し違くて、1人の方は多い方の人数分の手札、リザーブ、ライフを得る…………今回は僕ら3人だから相手の初期状態は手札が12枚、リザーブが12個、ライフが15個ってことになるね、ただしソウルコアはいつも通り1個だけ、逆に僕ら多数組のライフは合わせて5、手札、リザーブはそれぞれ4ずつ、ソウルコアも1個ずつ」

「………なんかそれ1人の方ズルくない!?」

「うん。でもその代わり、僕らは連続してターンを進めることができる。単純にステップ数が今回は3倍違うことになるね、最初のターンは誰もアタックができないけど」

「あぁ、なるほど〜」

 

 

雅治の分かりやすい説明でなんとなくではあるが納得した椎名。そう、このルールがこの世界で実際に行われている1on3以上だ。

 

 

「もういいだろ、行こうぜ」

「…………うん!」

 

 

そして始まる。城門にとっては妻、亜槌を生き返らせるため、椎名達はあの妙な水晶玉に魂を封印された夜宵達のため、この界放市外れにある無法地帯、【ジャンクゾーン】で大きなバトルが始まる。

 

 

「「「「ゲートオープン、界放!!!!」」」」

 

 

4人の声が重なり、バトル開始の宣言が行われた。

 

ちなみにこのバトルでのルールは最初のターンは誰もアタックができない。アタックステップが最初に行われるのは一周回って第5ターン、城門からだ。

 

 

「私のターンからだ!」

 

 

城門は勢いよくターンを始める。もうすぐ妻を、亜槌を取り戻せるからか、そのテンションは最高潮に達しているのだろう。

 

 

[ターン01]城門

《スタートステップ》

《ドローステップ》手札12⇨13

 

 

「メインステップ、ネクサスカード、浮遊ピラミッド群とムゲンマウンテンを3枚ずつ配置!」

手札13⇨7

リザーブ12⇨0

トラッシュ0⇨12

 

「「「!!」」」

 

「ターンエンド……………」

ムゲンマウンテンLV1

ムゲンマウンテンLV1

ムゲンマウンテンLV1

浮遊ピラミッド群LV1

浮遊ピラミッド群LV1

 

バースト無

 

 

聳え立つのは連なる山々と宙に浮いたピラミッド。3枚ということもあって、それらが放つ異様な存在感と重圧を感じられずにはいられなかった。

 

このルールにおいて、1人の方はその多い手札やリザーブから、基本的に好き勝手に動ける。だが、ネクサスだけを配置していると連続でターンを行えるプレイヤー達が猛攻を仕掛けてくるのが目に見えている。

 

そしてそんな多人数のプレイヤーはそのターンの順番が大事なのだが、

 

 

「どうする?誰から行こうか……」

「…………その前にお前らにも伝えておかないといけないことがある」

「「?」」

 

 

そう言ったのは司だった。雅治と椎名はその言葉に耳を傾けた。

 

 

「あの紫治のジジイの持つ水晶玉、奴はあの中に夜宵とその姉の魂があると言った。…………つまりだ、あれを壊せば…………」

「夜宵ちゃん達の意識が戻るかもしれない!!」

「そういうこと」

 

 

もしかしたら、飽くまでももしかしたらだ。城門の持つ水晶玉を破壊することができたらその中に入った魂はもともとあった器に戻るのではないか。司はそう推理した。

 

魂と肉体の分離、元々司はそんなものは信じたくはなかったが、約半年前に魂だけの本物の幽霊に出会ったことからその存在をすっかり認めるようになっている。

 

 

「よし!だったら私から行かせて!」

「椎名!?」

「大丈夫!行けるよ!そして夜宵ちゃんを必ず取り戻す!」

「…………勝手にしろ……」

 

 

椎名は夜宵が死ぬわけじゃない事を知ってモチベーションがうなぎ登りになる。

 

そして順番が決まった。

 

椎名⇨雅治⇨司の順番になる。

 

 

「よし!私のターン!!!」

 

 

椎名は勢いよくスタートを切った。

 

 

[ターン02]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップ、私はブイモンを召喚するっ!」

手札5⇨4

リザーブ5⇨1

トラッシュ0⇨3

 

 

椎名が召喚したのは自分のデッキの軸となるスピリット、青きからだの小さき竜、ブイモン。そしてその召喚時の効果で進化系の確保を試みる。

 

 

「召喚時効果!カードをオープン!」

オープンカード

【ライドラモン】○

【猪人ボアボア】×

 

 

効果は成功、椎名はアーマー体スピリット、ライドラモンのカードを手札へと加えた。

 

そして椎名は召喚する。

 

 

「ライドラモンの【アーマー進化】を発揮!対象はブイモン!1コストを支払い、轟く青き稲妻、ライドラモンをLV1で召喚!」

手札4⇨5

リザーブ1⇨0

トラッシュ3⇨4

ライドラモンLV1(1)BP5000

 

 

ブイモンの頭上に黒くて独特な形をした卵が投下される。ブイモンは飛び上がり、それと衝突し、混ざり合い、新たな姿へと進化する。現れたのは黒き獣型のアーマー体スピリット、ライドラモンだ。

 

 

「ライドラモンの召喚時効果!ボイドからコアを2つ私のトラッシュへと追加する!」

トラッシュ4⇨6

 

 

ライドラモンの雄叫びが椎名のトラッシュにコアの恵みを与えた。

 

 

「ターンエンド!」

ライドラモンLV1(1)BP5000(回復)

 

バースト無

 

 

多対1でのルールでは最初のターンは誰もアタックステップを行えない。椎名はそのターンを終えた。次は雅治の番だ。

 

 

[ターン03]雅治

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》

 

 

「メインステップ、僕はアルマジモンを召喚する!」

手札5⇨1

リザーブ5⇨1

トラッシュ0⇨3

 

 

雅治が初手で呼び出したのはデッキの軸となるアルマジロのようなスピリット、アルマジモン。その召喚時も使用する。

 

 

「召喚時効果!カードを3枚オープン!」

オープンカード

【アルマジモン】×

【パタモン】×

【ディグモン】○

 

 

効果は成功、雅治はこの効果で該当したディグモンのカードを手札に加えた。そして椎名同様これをすぐさま召喚する。

 

 

「さらにディグモンの【アーマー進化】を発揮!対象はアルマジモン!1コストを支払い、鋼の叡智、ディグモンを召喚する!」

手札4⇨5

リザーブ1⇨0

トラッシュ3⇨4

ディグモンLV1(1)BP4000

 

 

アルマジモンの頭上に黄色くて独特な形をした卵が投下される。アルマジモンはそれと衝突し、混ざり合い、進化を遂げる。そして新たに現れたのは昆虫型のアーマー体スピリット、ディグモン。鼻先と両手に取り付けられたドリルを回転させてやる気を示す。

 

 

「ターンエンド!」

ディグモンLV1(1)BP4000(回復)

 

バースト無

 

 

雅治もターンを終えた。そして次はラストとなる司だ。

 

 

[ターン04]司

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップ、俺はホークモンを召喚する!」

手札5⇨4

リザーブ5⇨1

トラッシュ0⇨3

 

 

司召喚したのは赤き鳥型のスピリット、ホークモン。その召喚時で手札の確保を狙う。

 

 

「召喚時効果、カードを3枚オープン!」

オープンカード

【ホルスモン】○

【イーズナ】×

【朱に染まる薔薇園】×

 

 

効果は成功、司はこの効果でアーマー体であるホルスモンを手札へと加えた。

 

そして椎名、雅治同様、それを召喚する。

 

 

「さらにホルスモンの【アーマー進化】発揮!対象はホークモン!1コストを支払い、これを召喚する!」

手札4⇨5

リザーブ1⇨0

トラッシュ3⇨4

ホルスモンLV1(1)BP4000

 

 

ホークモンに銀色で独特な形をした卵が投下される。ホークモンはそれと衝突し、混ざり合い、新たな姿へと進化する。新たに現れたのは風を育む獣型のアーマー体スピリット、ホルスモン。

 

さらに司はそのホルスモンの召喚時効果を発揮させる。

 

 

「召喚時効果!お前のネクサスカードを1つ破壊してカードを1枚ドローする!………浮遊ピラミッド群を1つ破壊だ!」

手札5⇨6

 

「!!」

 

 

ホルスモンは召喚されるなり、城門の場にあるネクサス達を鋭い目力で睨みつける。するといくつかのピラミッドが地面へとゆっくり沈んで行った。

 

 

「俺はこれでターンエンドだ」

ホルスモンLV1(1)BP4000(回復)

 

バースト無

 

 

司もターンを終えた。

 

これで全てのプレイヤーが一度ずつターンを行ったことになる。これによりこれ以降のターンからはアタックステップが解禁される。

 

 

「はっはっは、そうかアーマー体か、君らはこれらを軸にするんだったね、……………だが所詮は完全体以下の力」

「アーマー体スピリットどもをなめんなよ、特にこのルールではな」

 

 

アーマー体のデジタルスピリット達は言わば成長期スピリット達のドーピングと言っても過言ではない。それ以降の進化はしないが、成熟期と完全体の間程度の力を幅広いタイミングでなることができる。

 

個々の力は強めではあるが、後半ではやや力不足になりがちだ。だが、司の言う通り、このルールにおいては侮れないものとなる。それはターンが進めばわかることであって、

 

 

[ターン05]城門

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ0⇨1

《ドローステップ》7⇨8

《リフレッシュステップ》

リザーブ1⇨13

トラッシュ12⇨0

 

 

「メインステップ、私はこのスピリット、ヴァンデモンを2体、LV2で連続召喚する!」

手札8⇨6

リザーブ13⇨1

トラッシュ0⇨3⇨6

 

「っ!?……あれは!?」

 

 

そう反応したのは雅治だった。

 

城門が呼び出した最初のスピリットはあの明日香も使用した紫の吸血鬼のような完全体のスピリット、ヴァンデモンだ。それが同時に2体。

 

 

「2人とも気をつけて、あのスピリットは………」

「!?」

 

 

雅治が椎名と司に注意を仰ごうとしたその時だった。その言葉を遮るかのように城門がアタックステップを開始させる。

 

 

「アタックステップっ!行きなさいヴァンデモン!その効果で君らの手札を1枚ずつ破棄させる!」

 

「「!?」」

椎名⇨【ストームアタック】○

手札5⇨4

司⇨【ハーピーガール】×

手札6⇨5

雅治⇨【天使キューリン】×

手札5⇨4

 

 

ヴァンデモン1体が放つ無数の蝙蝠達が椎名達3人の手札にまとわりつく。そしてそれぞれ1枚ずつその手札を破棄させた。

 

 

「ヴァンデモンの効果だ、アタック時、相手の手札1枚を破棄させる」

「え!?じゃあなんで3枚も!?」

「あの手の効果は俺たちの場から1つずつ発揮されたことになる。つまり、俺たちの手札から1枚ずつ破棄されることになんだよ」

 

 

そう、多対1ルールでは1人のプレイヤーが発揮させる「相手の〜1つ(1体)」などと記載された効果等は多人数側はそれぞれ1人ずつ効果を及ぼす。

 

このルールのおかげで城門のヴァンデモンの効果が椎名達3人の手札に影響を与えたのだ。

 

そしてそれだけではない。その破棄したカード達の中にマジックカードがあればヴァンデモンは追加で効果を発揮できる。

 

 

「さらにヴァンデモンの追加効果!破棄した中にマジックカードが1枚でもあれば、君らのライフを1つ破壊する!…………さっき中にマジックカード、ストームアタックがあったね」

 

「「「っ!?」」」

ライフ5⇨4

 

 

その蝙蝠達は3人の手札だけにあらず、ライフまでもを破壊した。

 

そう、この手の追加効果もどれか1つでも該当するものがあれば発揮する。それが1人のプレイヤーの初期状態以外の利点だ。

 

 

「そしてヴァンデモンは完全体スピリットのアタック時、相手はスピリットのコアを1つトラッシュに置かねばブロック宣言できない…………それが2つ分だ」

「…………うそ、そんなのもうブロックできないじゃん」

(不味いな、アタックするだけでライフを破壊するだけじゃなくてブロックも抑制してくる…………これは早々に手をうたねぇと)

 

 

ヴァンデモンのもう1つの効果だ。最初のターンで当然そんなものにコアは残っていない。ゆえに3人はライフで受けるしか手がないのだ。

 

 

「仕方ねぇ!ここはライフで受けるぞ!」

「そうみたいだね………」

「「「ライフで受ける」」」

ライフ4⇨3

 

 

ヴァンデモンの強烈な鉤爪の攻撃が椎名達3人のライフを引き裂いた。

 

ちなみにライフ破壊時のコアは1つ破壊されるごとに多数プレイヤーそれぞれ1人ずつコアがリザーブに送られる。この時点で3人はコアを2つずつ自分のリザーブに確保していることになる。

 

そしてまだだ。まだヴァンデモンは残っている。漆黒の翼を広げ、2体目のアタックが飛んでくる。

 

 

「次だ、2体目のヴァンデモンでアタック!そして効果を発揮!……再び手札を破棄させる!」

 

「!!!」

椎名⇨【ワームモン】×

手札4⇨3

司⇨【朱に染まる薔薇園】×

手札5⇨4

雅治⇨【イエローリカバー】○

手札4⇨3

 

 

再び3人の手札が破棄される。そしてその中には再びマジックカードが確認され、

 

 

「該当するカードを確認、さらにライフを破壊するよ」

 

「「「!!!」」」

ライフ3⇨2

 

 

また流れるように蝙蝠の群れが椎名達のライフを破壊した。

 

そしてまだ本命のアタックが残っており、

 

 

「「「ライフで受ける!!」」」

ライフ2⇨1

 

 

再びヴァンデモンの強烈な鉤爪の攻撃が椎名達のライフを切り裂き1つ破壊した。

 

 

「ふふ、……ターンエンド」

ヴァンデモンLV2(3)BP10000(疲労)

ヴァンデモンLV2(3)BP10000(疲労)

 

ムゲンマウンテンLV1

ムゲンマウンテンLV1

ムゲンマウンテンLV1

浮遊ピラミッド群LV1

浮遊ピラミッド群LV1

 

バースト無

 

 

たった1ターンで椎名達のライフはゼロに限りなく近い数値となる。その分コアが増えたものの、どちらにせよ危ない状況であるのに変わりはない。

 

 

「……どうしよう、もうライフが………」

「気にするな、ライフは俺のターンでどうにかしてやる、お前ら2人は奴のライフを減らすことだけを考えろ」

「なるほどね、よし!椎名、次のターン任せたよ!」

「うん!私のターン!」

 

 

だが、ライフが1でも残っている限り彼らは諦めたりなどしない。切り込み隊長の椎名が先陣を切り、スタートの宣言を行った。

 

 

[ターン06]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札3⇨4

《リフレッシュステップ》

リザーブ5⇨11

トラッシュ6⇨0

 

 

「メインステップ、再びブイモンを召喚!そして召喚時効果発揮!」

手札4⇨3

リザーブ11⇨8

トラッシュ0⇨2

オープンカード

【ガンナー・ハスキー】×

【マグナモン】○

 

 

【アーマー進化】により手札に戻っていたブイモンが再び召喚される。そしてその効果も成功、マグナモンが椎名の手札へと加えられた。

 

ーそして召喚する。

 

 

「マグナモンの【アーマー進化】を発揮!対象はブイモン!1コストを支払い、黄金の守護竜、マグナモンを召喚!」

手札3⇨4

リザーブ8⇨7

トラッシュ2⇨3

マグナモンLV1(1)BP6000

 

 

ブイモンの頭上に黄金の鎧を着た卵のようなものが投下される。ブイモンはそれを受け入れるように衝突し、混ざり合う。そして新たに現れたのはロイヤルナイツが一体、黄金の守護竜、マグナモンだ。

 

 

「ほぉ、マグナモン…………」

「召喚時効果!相手の場にいる最もコストの低いスピリット1体を破壊する!ヴァンデモン1体を破壊!………黄金の波動!エクストリーム・ジハード!!」

「!!」

 

 

マグナモンは登場するなり黄金の力を溜め込み、そして放出させた。そのエネルギーは瞬く間に城門のヴァンデモン1体を捉え、巻き込む。ヴァンデモンはその光の中で塵ひとつ残さずに消滅した。

 

 

「……よし!」

 

 

ガッツポーズを見せる椎名。だが、まだそれはいささか気が早くて、

 

ヴァンデモンが破壊された直後のことだった。椎名の場にいるマグナモンとライドラモンに突如として紫の重力波が上から押し寄せて来た。2体はそれに耐えられずに膝をつき、疲労状態となってしまう。

 

 

「……え!?……なんで!?」

ライドラモン(回復⇨疲労)

マグナモン(回復⇨疲労)

 

 

驚いた椎名に城門がすかさず説明を挟む。

 

 

「浮遊ピラミッド群の効果さ、自分の紫のスピリットが破壊された時、相手のスピリット1体を疲労させる、それが2枚で…………」

「2体疲労ってか、……」

 

 

この疲労効果は城門の配置したネクサスカード、浮遊するピラミッド群によるものだった。これでは椎名達は迂闊に城門のスピリットを破壊できない。

 

だが、それでも椎名は諦めない。持てるカードをフルで使い、少しでも城門のライフを減らそうと試みる。

 

 

「まだまだぁ!!もう一度ブイモンを召喚!そしてその召喚時効果!」

手札4⇨3

リザーブ7⇨5

トラッシュ3⇨4

オープンカード

【フレイドラモン】○

【グリードサンダー】×

 

 

手札に戻ったブイモンをフル軽減で召喚した椎名。さらにその召喚時効果も成功、フレイドラモンが手札へと加えられた。そしてそれも召喚する。

 

 

「よし!フレイドラモンの【アーマー進化】発揮!対象はブイモン!1コストを支払い、炎燃ゆるスピリット、フレイドラモンをLV2で召喚!」

手札3⇨4

リザーブ5⇨4⇨2

トラッシュ4⇨5

フレイドラモンLV2(3)BP9000

 

 

ブイモンの頭上に今度は独特な形をした赤い卵が投下される。ブイモンは飛び上がり、それと衝突、混ざり合う。そして新たに現れたのは炎燃ゆる竜人のアーマー体スピリット、フレイドラモンだ。

 

 

「さらにライドラモンのLVを2に上げてアタックステップ!!……いけぇ!フレイドラモン!」

リザーブ2⇨0

ライドラモン(1⇨3)LV1⇨2

 

 

ライドラモンのLVを上げる椎名。疲労しているため、一見あまり意味のないように思えるが、実はこれは最善の一手であって、

 

そして走り出すフレイドラモン。目指すは大量にある城門のライフ。

 

数はまだまだ余裕。城門はそれに対し、カウンターも何も使うそぶりすら見せずにライフで受ける宣言をした。

 

 

「ライフで受けよう」

ライフ15⇨14

 

 

迫ってきたフレイドラモンの暑き炎の拳が、城門のライフを1つ消しとばした。

 

そして、フレイドラモンとライドラモンの渾身の連携により、まだアタックは続く。

 

 

「ライドラモンのLV2からの効果!「アーマー体」がライフを減らした時、さらに1つのライフを破壊する!!」

「……………!!」

「爆炎と稲妻の…………ディザスターナックル!!!」

 

「……………!!」

ライフ14⇨13

 

 

ライドラモンの稲妻が流れるようにフレイドラモンの拳にまとわりつく。フレイドラモンはその力を使い、もう一度城門のライフを殴り壊した。

 

 

「よし!ターンエンド!!…………次頼むよ!雅治!」

ライドラモンLV2(3)BP7000(疲労)

マグナモンLV1(1)BP6000(疲労)

フレイドラモンLV2(3)BP9000(疲労)

 

バースト無

 

 

椎名はそのターンを終える。浮遊ピラミッド群の効果により、思うようにアタックできなかったものの、このLV2で場に残ったライドラモンの存在がこのバトルを大きく揺らすことになるとは、椎名自身もまだわからないことであった。

 

 

「うん!任せて!……僕のターンだ!」

 

 

雅治は椎名とバトンタッチし、自分のターンシークエンスを進めていく。

 

 

[ターン07]雅治

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札3⇨4

《リフレッシュステップ》

リザーブ5⇨9

トラッシュ4⇨0

 

 

「メインステップ、パタモンとアルマジモンを召喚!」

手札4⇨2

リザーブ9⇨4

トラッシュ0⇨3

 

 

雅治が召喚したのは【アーマー進化】により手札に戻っていたアルマジモンと耳で飛行できる哺乳類型の成長期スピリット、パタモン。

 

雅治はそれぞれ召喚時効果を発揮させる。

 

 

「パタモンとアルマジモンの召喚時効果!カードをオープン!」

パタモン⇨オープンカード

【アルマジモン】×

【エンジェモン】○

アルマジモン⇨オープンカード

【華黄の城門】×

【天使キューリン】×

【ペガスモン】○

 

 

効果はどちらも成功、それぞれエンジェモンとペガスモンのカードを手札へと加えた。

 

そして雅治はこのままアタックステップへと移行した。城門の溢れんばかりのライフを削ぎ落とすために。

 

 

「アタックステップ!いけぇ!パタモン、アルマジモン!!」

 

 

颯爽と飛び出していったのはアルマジモンとパタモン。

 

椎名の時同様、城門はカウンターを使うそぶりすら見せずにそれをそのままライフで貰い受ける。

 

 

「…………ライフで受けようか」

ライフ13⇨11

 

 

パタモンとアルマジモンの勢いのある体当たりが城門のライフを2つ一気に破壊した。

 

 

「次だ!頼むよ!ディグモン!!」

 

 

雅治の命令を聞いて頷き、走り出すディグモン。

 

そしてこの瞬間、雅治は2枚のカードを使用する。2体同時に【アーマー進化】だ。

 

 

「さらにサブマリモンとペガスモンの【アーマー進化】を発揮!対象はアルマジモンとパタモン!1コストずつを支払い、これらを召喚!」

リザーブ4⇨3⇨2⇨0

トラッシュ3⇨5

サブマリモンLV2(3)BP8000

ペガスモンLV1(1)BP5000

 

 

アルマジモンは潜水艦のようなサブマリモンに、パタモンは天馬のようなペガスモンにそれぞれアーマー進化する。

 

この時、ペガスモンは召喚時とアタック時の効果で城門の場にいるヴァンデモンのBPを少し減らしているのだが、ヴァンデモンのBPが高いせいでそれが全く効いていない。

 

だが、ここで肝心な事は、なによりもアタックするスピリットが増えた事だ。

 

 

「そしてディグモンの本命のアタックだ!」

 

 

このフラッシュは雅治のディグモンのアタック中、よって未だにアタックが有効だ。

 

城門も今は防ごうとせずにその攻撃を受け入れる。

 

 

「いいだろう、ライフで受けようか」

ライフ11⇨10

 

 

ディグモンの鼻先と両手と合わせて3つのドリル攻撃が城門のライフを1つ破壊した。

 

ーそして、ここで、このタイミングでさらに効果を発揮できるスピリットがいて、

 

 

「さらに僕は椎名のライドラモンの効果発揮っ!」

「……………………え!?私の!?」

 

 

椎名は驚いた。何せ自分のターンでもないのに突然自分のスピリットの効果を使用するというのだから。

 

 

「相手のライフをさらに破壊!」

 

「!!」

ライフ10⇨9

 

 

ディグモンの攻撃に合わせて、ライドラモンがその頭角の先から青き稲妻を放ち、城門のライフをまた1つ破壊した。

 

 

「…………どうなってんの?私のターンじゃないのにライドラモンが動くなんて…………」

 

 

まるでわけのわからない椎名に対し、雅治はまた説明を入れることにした。

 

 

「このルールにおいて多数組はそれぞれが召喚したスピリットでしかアタック、ブロック宣言ができないけど、その効果は発揮させてもいいんだ…………だから今回はライドラモンが僕に味方してくれたのさ」

「!!!…………なるほど〜〜〜」

 

 

椎名は納得した。それと同時に前に司が言った言葉も理解した。

 

アーマー体スピリットは並べば並ぶほど強い。つまり、この状況なら一気にライフを持っていける。本当に侮れない存在となるのだ。

 

 

「まだ行くよ!ペガスモン!サブマリモン!」

 

 

ペガスモンは空中を、サブマリモンは地面を水中のように泳ぎながら推進して行く。目指すはもちろん城門のライフ。

 

 

「…………なるほど、侮れない…………ねぇ…………ライフで受ける」

ライフ9⇨8⇨7

 

 

ペガスモンの前脚の重たい一撃とサブマリモンの下からの突進で、城門のライフはさらに2つ破壊される。

 

そしてまただ。また椎名のライドラモンがここで反応する。今度は椎名がその発揮を勢いよく宣言した。

 

 

「ライドラモンの効果!いっけぇ!!ダブルブルーサンダー!!!」

 

「!!!」

ライフ7⇨5

 

 

ライドラモンの頭角から放たれる青き稲妻が、再び城門のライフを大きく削ぎ落とした。これにより通常ルールの初期ライフまで落とされた。

 

もうひと頑張りだ。

 

 

「よし!ターンエンド!」

ディグモンLV1(1)BP4000(疲労)

サブマリモンLV2(3)BP8000(疲労)

ペガスモンLV1(1)BP5000(疲労)

 

バースト無

 

 

やれることを全て終え、そのターンを終えた雅治。椎名のライドラモンとうまく連携した良いターンであったと言える。

 

次は司のターンだ。

 

だが、その表情はあまり良くはない。

 

それもそのはず。何せ、相手はあの6人いる【伝説バトラー】のうちの1人、紫治城門なのだ。こんな単調な攻撃でライフを全て破壊できるはずがない。おそらくコアをより多く溜めたいからだろう。

 

つまり次のターンを、城門のターンを回してはならない。そんなことをすれば間違いなく自分達のライフはなくなるだろう。せめて決められなかったとしても次を耐えられるほどのライフを戻さなくてはならないのだ。

 

だが、司はそんなプレッシャーなど跳ね除け、引き運とプレイングでほぼ完璧にカバーしてくる。

 

 

[ターン08]司

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ5⇨9

トラッシュ4⇨0

 

 

「メインステップ、再びホークモンを召喚!………召喚時効果でカードオープン!

手札5⇨4

リザーブ9⇨6

トラッシュ0⇨2

オープンカード

【ハーピーガール】×

【天魔神】×

【ネフェルティモン】○

 

 

司は今一度ホークモンを呼び出す。そしてその召喚時の効果も成功、アーマー体であるネフェルティモンのカードが手札へと加えられる。

 

そしてまだだ、司はまだホークモンの効果を終わらせない。その追加効果でさらにスピリットを展開する。

 

 

「ホークモンの追加効果により、2コストを支払うことで黄色の成熟期スピリット、テイルモンを召喚する!」

手札4⇨5⇨4

リザーブ6⇨4⇨3

トラッシュ2⇨4

テイルモンLV1(1)BP3000

 

 

司が次に呼び出したのはネズミ型の黄色の成熟期スピリット、テイルモン。その使いやすいアタック時の効果は司のバトルを何度も手助けしてきた。

 

 

(奴のネクサスは破壊に反応してくる……………ならばこいつだ!)

 

 

司はこの場で最高のカードを引き抜いた。それは城門のネクサスの効果をスルーしつつ、ヴァンデモンを除去する効果を持ったカードだ。

 

 

「行くぞ!クソジジイ!俺はシュリモンの【アーマー進化】を発揮!対象はホークモン!1コストを支払い、これを召喚するっ!」

リザーブ3⇨2

トラッシュ4⇨5

シュリモンLV1(1)BP5000

 

 

ホークモンの頭上にこれまた独特な形をした卵が投下され、混ざり合い、進化する。新たに現れたのは忍者のような見た目のスピリット、シュリモンだ。

 

ーそして司はその召喚時の効果を発揮させる。

 

 

「シュリモンの召喚時効果!相手の疲労状態のスピリット1体を手札に戻す!消えろ!ヴァンデモンッ!」

 

「!!」

手札6⇨7

 

 

シュリモンの投げた巨大な手裏剣がヴァンデモンに直撃する。ヴァンデモンは耐えられずに、デジタルの粒子と化し、城門の手札へと戻ってしまった。

 

これは破壊ではなく手札に戻す形での除去、破壊をトリガーとする城門のネクサスカード、浮遊ピラミッド群は反応しないのだ。

 

 

「うまい!これで相手の場のスピリットを全て排除した!」

 

「こんなもんじゃねぇ!行くぞ!アタックステップだ!………テイルモンでアタック!アタック時効果発揮!カードをオープン!!」

オープンカード

【シルフィーモン】○

 

 

テイルモンが走ると同時に司のデッキがオープンされる。この効果でオープンされたカードが完全体スピリットであれば、司達のライフは1つ回復する。

 

今回は成功、完全体のシルフィーモンがめくられた。

 

 

「よし、俺たちのライフを1つ回復し、これを手札に加える」

ライフ1⇨2

手札4⇨5

 

 

テイルモンの周りから解き放たれた光が椎名達3人を包み込み、そのライフを1つ回復させた。

 

 

「おぉ!戻った!」

「まだだ!さらにフラッシュ!ネフェルティモンの【アーマー進化】を発揮!対象はテイルモン!1コストを支払い、光の聖獣、ネフェルティモンをLV2で召喚!」

リザーブ2⇨1⇨0

トラッシュ5⇨6

ネフェルティモンLV2(2)BP6000

 

 

テイルモンの頭上に独特な形をした卵が投下される。テイルモンはそれを受け入れるように衝突し、混ざり合い、新たな姿へと進化を果たす。現れたのはメスのスフィンクスと言ったような外見のアーマー体スピリット、ネフェルティモンだ。

 

 

「ネフェルティモンの召喚時効果、トラッシュのコア1つを俺のライフへと置く」

トラッシュ6⇨5

ライフ2⇨3

 

「そこは「俺たちの」……だろ?」

「…………ふんっ」

「でもすごいよ!!これでアーマー体が9体!!」

 

 

ネフェルティモンの召喚時効果だ。司のトラッシュのコアが椎名達3人のライフとなる。

 

これで全て、3人の持っている全てのアーマー体スピリットが場に現れた。全てのスピリット達が、吠え、鳴き、咆哮を上げた。まるで全員が意気投合しているかのように。

 

 

「これで準備は整った………アタックだ!ネフェルティモン!」

 

「…………ライフで受けようか」

ライフ5⇨4

 

 

空中を飛び交うネフェルティモンの渾身の体当たりが城門のライフを1つ減らした。

 

 

「……ライドラモン!」

 

「!!」

ライフ4⇨3

 

 

椎名の掛け声に合わせてライドラモンが城門に向けて頭角から青い稲妻を放ち、またそのライフを破壊した。

 

 

「次だ!シュリモン!」

 

 

忍者のように手早く無駄なく動き、城門との距離を詰めるシュリモン。そしてその両手に取り付けられた手裏剣で、

 

 

「……………ライフで受けよう」

ライフ3⇨2

 

「……!?」

 

 

ライフを粉々に破壊した。

 

 

「ライドラモンの効果でさらに破壊!」

 

「!!」

ライフ2⇨1

 

 

それに合わせて、またライドラモンが稲妻を放った。それももろに受けてしまい、城門のライフはいよいよ後1つだ。

 

 

「よし!いける!………勝てる!」

(……………なんなんだこいつ………本当に【伝説バトラー】の1人か?………まるで手応えがねぇじゃねぇか)

 

 

後一息、後1つのライフを破壊するだけで自分達の勝利だ。喜ぶ椎名。だが、その裏で司と雅治はある違和感を覚えていた。

 

【まるで手応えがない】と。

 

いくら1on3と言えども仮に界放市が産んだ6人の【伝説バトラー】のうちの1人。こんなにも呆気なくやられるわけがない。そう思っていた。

 

だが、いざ蓋を開けてみるとほぼノーガードで自分達の攻撃を受け続け、カウンターのカードも使わずに呆然一方ではないか、おかしい、明らかにおかしい。元々のコア数が多いのだ。ライフなど7、8くらいはキープして置いてもいいはずだ。

 

手札事故なのか……………いや、それだとあの余裕のある表情などできないのではないか…………

 

どちらにせよ、司はこのアタックステップをまだ終えるわけにはいかない。このアタックで全てを取り戻せるかもしれないのなら、行くしかないだろう。

 

 

「…………これで終わりだっ!!くたばりやがれぇ!!………………ホルスモン!!」

 

 

赤い翼を広げて空中へと飛び立つホルスモン。そして竜巻のように身体を回転させ、城門の最後のライフを破壊すべく突き進む。

 

これがラストアタックとなれば、椎名達3人の勝利………………

 

 

 

 




〈本日のハイライトカード!!〉

「はい!椎名です!今回はこいつ!【ライドラモン】!」

「ライドラモンは私が使う緑のアーマー体スピリット、特定のデジタルスピリットがライフを減らすと、追加でさらに減らしてくれる効果を持っているよ!」






※今回、作中で雅治が2体同時に【アーマー進化】をしましたが、実際にはできないので注意しましょう。(フラッシュは相手と交互で1枚ずつ)飽くまで作中での描写の都合です。


最後までお読みくださり、ありがとうございました!
今回行った新ルールの1on3以上(仮名)は後々【オバエヴォの設定】にてより詳しく載せておきます。
今回が特別なだけで基本はいつものベーシックなバトルをお届け致します。この手のものが苦手な方はご了承ください。
なんかあれです、私も普通にバトルするだけじゃあ飽きるのです。今回以降、度々そういうことをするかもしれませんね。まぁあったとして、全体を通しても3、4回と言ったところでしょうか、

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