バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

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第33話「偽りの水晶、闇を照らす金色の炎」

 

 

 

 

 

 

 

「…………………テンペストウィング!!」

 

 

司のホルスモンが竜巻のように回転しながら城門の最後のライフへと飛び行く。後1つ、後1つで自分達3人が勝利できる。

 

ーだが、予想していた通り、彼を倒すのはそう甘くはなかった。

 

 

「…………ふふ、ハンデはここまでだ………」

「なに!?」

 

 

城門はそう不敵な笑みを浮かべらがら、手札のカードを1枚抜き取った。

 

彼が今まで椎名達3人のアタックをライフで受けてきたのは単なる作戦ではなく、余裕であった。あの3人を同時に相手しながらも彼は遊んでいたのだ。

 

そしてもうライフは1。手加減をする理由はなくなった。ここからだ。ここから真の恐怖のバトルが幕を開ける。

 

 

「フラッシュマジック!!反魂呪!!」

手札7⇨6

リザーブ21⇨19

トラッシュ6⇨8

 

「「「!?!」」」

「このマジックはトラッシュにある夜族スピリット1体をコストを支払わずに召喚するっ!!………墓場より甦れ!ヴァンデモン!」

リザーブ19⇨14

ヴァンデモンLV3(5)BP13000

 

 

夜宵の姉、明日香も使用したマジックカード、反魂呪。その効果はトラッシュの夜族スピリット1体を復活させる効果を持つ。

 

城門はこの効果でマグナモンによって破壊されたヴァンデモンを召喚した。地面からそれが飛び出してくる。

 

この時点で既に城門はブロッカーを獲得したため、このターンでの敗北は免れているが、当然それだけでは終わらせるきはない。全力で3人を叩き潰しに行く。

 

 

「さらにフラッシュ!ヴェノムヴァンデモンの煌臨を発揮!対象はヴァンデモン!!」

リザーブ14s⇨13

トラッシュ8⇨9s

 

「!?まずい!あれは…………」

 

 

そう反応してみせたのは雅治だった。彼は3人の中で唯一それと同じ物を見ていたからだ。そしてその凶悪性も知っている。

 

ヴァンデモンが漆黒の闇を纏いながらどんどん巨大化して行く。悍ましく禍々しいその姿はもはや貴族でもなにでもない。ただの悪魔だ。

 

 

「究極進化ぁぁぁあ!!ヴェノムヴァンデモン!!」

手札6⇨5

ヴェノムヴァンデモンLV3(5)BP16000(回復)

 

 

新たに現れたのはヴェノムヴァンデモン。その全長は周りに聳える廃墟よりも頭一個分くらいは大きい。

 

 

「くっ!ここで究極体……っ!?」

「で、でっか………」

 

 

司と椎名は思わずそう呟いた。だが、でかいだけではない。その効果も一級品である。

 

 

「煌臨時効果ぁ!相手のスピリットのコアを3つトラッシュへと送る!」

「「「!!!」」」

 

 

この場合は椎名達3人の召喚しているスピリットから取り除く事になる。その外すコアの合計数は9つだ。

 

 

「先ずはシュリモンとネフェルティモン!」

 

「ぐっ!?」

シュリモン(1⇨0)消滅

ネフェルティモン(2⇨0)消滅

トラッシュ5⇨8

 

 

ヴェノムヴァンデモンの腕から放たれた大きくドス黒い闇が、司のシュリモンとネフェルティモンを取り込んで行く。その2体はそのまま姿を消してしまった。

 

 

「次はディグモン、ペガスモン、サブマリモンからコアを1つずつ取り除く!」

 

「っ!?」

ディグモン(1⇨0)消滅

ペガスモン(1⇨0)消滅

サブマリモン(3⇨2)LV2⇨1

トラッシュ5⇨8

 

 

今度は雅治の場にそれが放たれた。ディグモン、ペガスモンはシュリモン達同様姿を消してしまうが、サブマリモンは辛うじてそこから抜け出した。

 

ーそして最後に襲われるのは椎名だ。

 

 

「最後はライドラモンから全て取り除こう」

 

「くっ!?………ライドラモンっ!!」

ライドラモン(3⇨0)消滅

トラッシュ5⇨8

 

 

ライドラモンは先と同じようにそれに取り込まれ、その姿をくらましてしまった。

 

このルールの恐ろしいところだ。たった1つの効果によって全員の場が壊滅しかねないのだ。そしてこのタイミングはまだ司のホルスモンのアタック中であって、

 

 

「ホルスモンはこのヴェノムヴァンデモンがブロックしよう!!」

 

 

ヴェノムヴァンデモンはその長く太い腕で、空中にいるホルスモンを思いっきり地面へと撃ち落とし、叩きつける。ホルスモンはこれに耐えられず破壊されてしまった。

 

 

「ぐっ!ホルスモン………っ!」

 

 

たった一度の煌臨で全てをひっくり返されてしまった。司もこれではアタックができない。

 

3人合わせて9体もいたアーマー体は、雅治のサブマリモンと椎名のフレイドラモン、マグナモンの計3体のみを残し、皆やられてしまった。

 

どちらにせよバトルを進めなければならない。司は致し方なくそのターンを終えた。

 

 

「…………ターンエンド」

バースト無

 

 

次は一周回って城門のターンとなる。

 

 

[ターン09]城門

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ13⇨14

《ドローステップ》手札5⇨6

《リフレッシュステップ》

リザーブ14⇨23

トラッシュ9⇨0

ヴェノムヴァンデモン(疲労⇨回復)

 

 

「メインステップ、……バーストを伏せ、私はさらに2体のヴァンデモンを追加で召喚しようっ!」

手札6⇨5⇨3

リザーブ23⇨7

トラッシュ0⇨6

 

「くっ!またそいつかっ!」

 

 

城門は場にバーストを伏せ、さらに追い討ちをかけるかのように2体のヴァンデモンを召喚した。椎名達のライフは残り3つ。ブロッカーはいない。この状況で耐え凌ぐのは困難を極めるだろう。

 

もはや手加減することはない、城門はここからアタックステップに入る。

 

 

「アタックステップ!ヴァンデモンでアタック!!………その効果で君らの手札を1枚ずつ破棄!!」

 

「「「!?!」」」

椎名⇨【アビサルカウンター】○

手札4⇨3

司⇨【テイルモン】×

手札5⇨4

雅治⇨【パタモン】×

手札4⇨3

 

 

ヴァンデモンの解き放った蝙蝠の群れが椎名達の手札を通り過ぎるように削ぎ落としていく。

 

そしてまただ。またマジックカードが落ちてしまった。追加効果を発揮される。

 

 

「さらにライフを破壊!」

 

「「「くっ!!」」」

ライフ3⇨2

 

 

通過していく蝙蝠の群れは手札だけにあらず3人のライフまでもを破壊していった。

 

そしてその束の間、ヴァンデモンの本命のアタックが飛び向かってくる。

 

 

「これでお終いだね!!」

「まだまだぁあ!!そう簡単には終わらせないよ!!」

 

 

城門にそう言い返したのは椎名。椎名は手札のカードを1枚引き抜き、それを使用する。それは城門のアタックステップを無理矢理止めれるカードであって、

 

 

「フラッシュマジック!!リアクティブバリア!!」

「!?!」

 

「効果によりこのバトルでアタックステップを終了させるっ!不足コストはフレイドラモンから確保!………ごめん!」

手札3⇨2

リザーブ1⇨0

フレイドラモン(3⇨0)消滅

トラッシュ8⇨12

 

 

フレイドラモンがコアの損失により消滅してしまうものの、椎名の発揮させたリアクティブバリアが有効となる。

 

ーそしてこのアタックは………

 

 

「「「ライフで受ける!」」」

ライフ2⇨1

 

 

ヴァンデモンの鋭い鉤爪による切り裂く攻撃が椎名達3人をのライフをいとも容易く引き裂いた。

 

ーだが、

 

 

「ライフは1だけど、アタックステップは終了するよ!」

 

 

吹き上げる猛吹雪。これでは流石に城門のスピリット達は身動きはできない。仕方なくそのターンを終えることにした。

 

 

「……………ターンエンド」

ヴァンデモンLV3(5)BP13000(疲労)

ヴァンデモンLV3(5)BP13000(回復)

ヴェノムヴァンデモンLV3(5)BP16000(回復)

 

ムゲンマウンテンLV1

ムゲンマウンテンLV1

ムゲンマウンテンLV1

浮遊ピラミッド群LV1

浮遊ピラミッド群LV1

 

バースト有

 

 

なんとかそのターンを凌いだ3人。司の念をいれたライフ回復がここで活きたと言える。

 

だが、ここで決めないと止めた意味がない。3人は意気込んで攻めに集中しようとしたその時だった。

 

 

「………椎名っ!!」

 

 

椎名を呼ぶ声が後ろから聞こえてくる。その声はとても聞き慣れた声色。思わず背筋がピンっと真っ直ぐになってしまう張り詰めた声だ。

 

椎名達は3人はゆっくりと背後に振り返る。するとそこには椎名の担任である空野晴太の姿があった。そしてすぐ横にはどこかで見たような40前後の女性がいる。

 

 

「…………せ、先生……なんで」

「この知り合いの警視から聞いたんだよ………」

「………久しぶりね、ピュアホワイトちゃん」

「っ!?………あなたは確かあの時の………聖子さん?」

 

 

そう、晴太にそのことを伝えたのは横にいる女性警視、【一木聖子】。椎名とは模手最輝夫の起こした事件で知り合いになった。彼女は【ジャンクゾーン】の警備が消えたことを耳に入れると、直ぐにその原因を調べ、それがS級犯罪者である【Dr.A】の仕業であると確信したのだ。

 

そして逮捕すべく晴太の協力を要請し、現在に至る。晴太も晴太で自分の生徒が巻き添えになるのを黙って見ているわけにはいかない。だからこうして付いてきたのだ。

 

 

「椎名、長峰、赤羽、こんなバトルはもうやめろ…………さっきすれ違った真夏もお前達3人を心配していた………」

「……………空野先生………」

 

 

晴太は物静かにそう告げた。わかっているのだ。全ての事情を【Dr.A】専門である聖子から聞いたのだ。彼のいつもの槍口を、

 

最初は半信半疑であった。だが、ヘラクレスに肩を貸し、泣きそうな顔で椎名達を心配していた真夏と、そこに横たわっている紫治姉妹を見て、それが本当であると確信した。このバトルはやばい、一刻も早く中止させるべきだと、

 

雅治はやめるやめないはともかくとして、その晴太の言葉を真摯に受け止めていた。だが、反対にこの少年は、

 

 

「……………何言ってんだこのクソ教師!そこに横たわっている夜宵とその姉が見えねぇのかよ!」

 

 

そう答えたのは司だった。まるで「それでも悔しくないのか」と言わんばかりの言い草だ。

 

司とてわかる。晴太の立場からしてみれば止めるしかないのだと、だが、わかっていてもこのバトルだけはいつかの椎名と自分のバトルの時のようには止められたくはない。譲れない確かな想いがあったのだ。

 

 

「………そうだ、止めてはならん………この者たちは私の妻の贄となるのだからな………」

「………城門さん。まさかあの【伝説バトラー】の1人であるあなたがこんなことをしでかすなんて……もうやめろ、こんなこと…………仮にあなたの奥さんが戻ったとしても、あなたは結局この警視である聖子さんに刑務所に入れられるだけだぞ」

「構わん…………亜槌が生き返るのなら私は死んでも構わない………」

 

 

一歩も譲らない城門。だが、次の瞬間に女性警視である聖子が放った一言が、彼の心を揺さぶり、大きく動揺させた。

 

 

 

「……………本当に生き返ればね」

「………………………なに?」

 

 

聖子は確かにそう言った。この場合はもちろん城門の最愛の妻である紫治亜槌のことを指している。

 

そしてまだまだその語りは続く。それは【Dr.A】をずっと追っていた自分だからこそ言えることだ。正直言いたくはないが、バトルを止めるにはこれしかないと思っていた。

 

ー淡々と物静かにシリアスに、その口を進めた。

 

 

「その水晶にはそんなことはできやしないのよ…………それはただ、付近でのバトルに負けた人の魂を抜き取るだけ………」

「…………………嘘をつくな……」

 

「…………残念な人ね、【伝説バトラー】ともあろうお人が、たった1人の犯罪者の実験台にされちゃって」

「…………………黙れ……」

 

「………あなたは利用されただけなの……そして妻だけでなく2人の娘も失った……」

「っ!?………黙れと言っているのがわからんのかぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」

 

 

ここに来て初めて本当に心の底から怒り狂った城門。

 

疑うものか、ここまで来て、

 

信じられぬものか、たかが1人の警察の言葉など、

 

亜槌が蘇らないはずがない。2人の大事な娘を犠牲にし、そして今目の前にいる未来のある若きバトラー達の魂さえも犠牲にしようとしているのだ。その代償の大きさで蘇らないはずはない。

 

ーそう思っていた。

 

 

「バトルの続きだ!早くターンを進めろ!」

 

 

城門は椎名達に圧力をかけ、ターンの進行を急かした。もはやさっきまでの余裕はほとんどない。目は血走り、眼前の3人しか見てはないない。

 

 

「…………先生」

「……………椎名」

「……………もう後には引けないんです…………大丈夫ですよ、必ず勝ちますから…………」

「………っ!?」

 

 

椎名もそのバトルゾーンだけを視界に入れている。ただ、晴太にわかりやすくサムズアップして、そのバトルに対するやる気を示していた。

 

ー晴太はこれほど自分が情けなく思ったことはなかった。

 

自分の教え子が、こんなにも苦労して目の前の強敵に立ち向かっていると言うのに、自分は何もできないのか、と。

 

ただそれを見守ることしかできないのか、と。

 

だが、それも教師としての役目であるのなら、その勇姿を後押しするしかない。とも考えていた。

 

 

「……………あぁ、……あいつを、【伝説】をぶっ飛ばせ!椎名!」

「…………はい!!」

 

 

晴太の後押しの元、椎名は再びターンシークエンスを進めていく。

 

 

「…………良い教え子を持ったわね、晴ちゃん」

「……………はい、聖子さん」

「……………本当にそっくりだわ、あの娘………………………」

 

 

そう会話した2人。聖子は少しだけ懐かしく感じていた。今、自分の目の前にいる【芽座椎名】という純真な女の子はそっくりだった。

 

ー重なっていた。

 

自分の兄と義姉が残していった忘れ形見に……………

 

結局は止められなかったが、彼女なら、いや、彼女達なら必ず城門を止めてくれる。

 

ーそう信じた。

 

城門とて【Dr.A】の被害者だ。救わなくてはならない。心の病から……………

 

 

 

[ターン10]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ2⇨3

《ドローステップ》手札2⇨3

《リフレッシュステップ》

リザーブ3⇨15

トラッシュ12⇨0

マグナモン(疲労⇨回復)

 

 

「メインステップ、……………」

 

 

椎名の手札は正直言って、弱かった。とてもではないが、攻めに行けるものではなく、守りに徹した手札であった。

 

今回は司と雅治の3人で結託してこのバトルに臨んでいる。であればだ、自分にできることはただ1つ………

 

 

「マグナモンにありったけのコアを乗っけて、ターンエンド!!」

リザーブ15⇨0

マグナモン(1⇨16)LV1⇨3

 

バースト無

 

 

そのターンを終えた。自分は守りに徹し、攻めは後の2人に任せたのだ。

 

司と雅治もそれを理解した。だったら行くしかあるまい、全力の攻撃で……

 

 

「僕のターンだ!」

 

 

雅治が勢いよくターンシークエンスを進めていく。

 

 

[ターン11]雅治

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ1⇨2

《ドローステップ》手札3⇨4

《リフレッシュステップ》

リザーブ2⇨10

トラッシュ8⇨0

サブマリモン(疲労⇨回復)

 

 

「メインステップ、僕はアルマジモンをLV2で召喚するっ!」

手札4⇨3

リザーブ10⇨4

トラッシュ0⇨3

 

 

雅治は【アーマー進化】の効果により手札に戻していたアルマジモンを再度召喚した。

 

そしてその召喚時の効果も使用して、手札の増加を狙う。

 

 

「アルマジモンの召喚時の効果でカードをオープンっ!」

オープンカード

【ディグモン】○

【サブマリモン】○

【アンキロモン】○

 

 

今回も成功、この場合、3枚のうちどちらか1枚が手札へと加えられるが、

 

 

「僕はこの効果でアンキロモンを加えるっ!」

手札3⇨4

 

 

雅治はアンキロモンのカードを加えた。そしてまだだ、まだ続く。アルマジモンの召喚時の追加効果でさらにスピリットを展開する。

 

 

「さらにアルマジモンの追加効果で、2コストを支払うことで手札にあるエンジェモンを召喚っ!」

リザーブ4⇨2⇨0

トラッシュ3⇨5

エンジェモンLV2(2)BP7000

 

 

雅治の場に現れたのは天使型の成熟期スピリット、エンジェモンだ。その潔白なる白き翼を広げ、場に降り立った。

 

ーそして次はアルマジモンの進化だ。

 

 

「アタックステップ!その開始時に、アルマジモンの【進化:黄】発揮!手札に戻して、成熟期のスピリット、アンキロモンに進化させるっ!」

アンキロモンLV2(3)BP5000

 

 

アルマジモンが0と1のデジタルコードに巻かれてその姿形を変化させていく。そして新たに現れたのは黄色の成熟期スピリット、鎧のような皮膚を持つ、4足歩行の恐竜のようなアンキロモンだ。

 

準備は整った。雅治は攻勢えと一転する。

 

 

「アタックステップは継続!アンキロモンでアタックだっ!」

 

 

重たい体を引き摺りながら走り出すアンキロモン。

 

だが、場にはヴァンデモンやヴェノムなど、それよりBPの高いスピリットは多い。

 

しかし、雅治はそんな凡ミスはしない。手札のカードを1枚引き抜き、それを使う。それはこの場を一気にやりかえせる有力なカードだ。そして自分が新たに得たカードでもある。

 

 

「…………行くよ、フラッシュ!シャッコウモンの【ジョグレス進化】を発揮!対象はアンキロモンとエンジェモン!」

「…………っ!?」

 

 

アンキロモンとエンジェモンが飛び立つ。この2体のデジタルスピリットは互いのデジタルコードを混じり合わせ、新たな姿へと昇華させて行く。

 

ーそして、

 

 

「鋼の天使!……シャッコウモンを召喚っ!」

手札4⇨5

シャッコウモンLV3(5)BP13000

 

 

新たに現れたのはまるで翼の生えた土偶。だが、その体躯はヴェノムヴァンデモン並みに巨大な完全体のデジタルスピリット、シャッコウモンだ。

 

 

「おぉっ!でかい!」

「これが雅治のオーバーエヴォリューションで得た力か…………」

 

 

椎名と司がそう言った。そう、これが彼の新たなる力だ。この力で彼を、城門を討つ。

 

 

「シャッコウモンの召喚時効果!【ジョグレス進化】での召喚であれば相手のスピリット全てのBPをマイナス20000!!」

「なんだと!?」

「いっけぇ!!裁きの光!アラミタマっ!」

 

「……………むおっ!?」

ヴァンデモンBP13000⇨0(破壊)

ヴァンデモンBP13000⇨0(破壊)

ヴェノムヴァンデモンBP16000⇨0(破壊)

 

 

シャッコウモンの目から放たれる赤い照射線が、城門の場にいるスピリット達を皆溶解させていく。

 

彼の場は再び更地と化した。

 

だが、彼もただではやられない。

 

 

「私のスピリットが破壊されたことにより、浮遊ピラミッド群の効果発揮!貴様らのスピリットを全て疲労させるっ!」

 

「「!?!」」

椎名⇨マグナモン(回復⇨疲労)

雅治⇨シャッコウモン(回復⇨疲労)

サブマリモン(回復⇨疲労)

 

 

2人の場のスピリット達に紫の衝撃波が上から押し寄せてくる。3体のスピリット達はいずれも動けない状態となってしまった。

 

だが、雅治はまだやる。目は死んでなどいない。何度も何度も諦めずにトライして行く。

 

 

「フラッシュマジック!イエローリカバー!」

手札5⇨4

シャッコウモン(5⇨4)

サブマリモン(2⇨1)

トラッシュ5⇨7

 

「なにっ!?」

 

「この効果で自分の黄色のスピリット1体を回復させるっ!起き上がれっ!シャッコウモン!!」

シャッコウモン(疲労⇨回復)

 

 

アンキロモンのアタック時に残ったフラッシュタイミング。ここで雅治はターンに1回のみ、黄色のスピリット1体を回復させるマジックカード、イエローリカバーを使う。

 

シャッコウモンが紫の衝撃波を断ち切り、再度立ち上がった。

 

ーそして、

 

 

「アタックだっ!シャッコウモン!!」

 

 

シャッコウモンがその翼で飛び行く。行き先はもちろん城門の残り1つのライフだ。

 

 

「よしっ!いけ!雅治!」

「決めちゃえぇ!!」

 

 

司と椎名も声援を送る。

 

だが、仮にも城門は【伝説バトラー】の1人。場を更地にされた程度では到底倒せない存在であって、

 

 

「倒れるものかぁ!!フラッシュマジック!反魂呪!!」

手札3⇨2

リザーブ22⇨20

トラッシュ6⇨8

 

「っ!?!……2枚目っ!?」

 

「この効果でトラッシュよりヴェノムヴァンデモンをLV3で呼び起こすっ!」

リザーブ20⇨15

ヴェノムヴァンデモンLV3(5)BP16000

 

 

再び解き放たれた膨大な闇。そこから飛び出してきたのは、さっき倒したはずのヴェノムヴァンデモン。

 

当然回復状態だ。

 

 

「奴のアタックを阻止せよ!ヴェノムヴァンデモン!!」

 

 

シャッコウモンの方がBPで劣る。ヴェノムヴァンデモンはシャッコウモンを闇の力で動きを止めると、長い腕でそれを全力で殴りつける。シャッコウモンはそれに吹き飛ばされて、力尽き、大爆発を起こした。

 

 

「くっ!シャッコウモンッ!!」

 

 

流石は【伝説バトラー】と言ったところか、この程度ではビクともしない。雅治の場に唯一残ったサブマリモンも、城門の配置したネクサス、浮遊ピラミッド群の効果で疲労状態。雅治は仕方なくそのターンを終えることになる。

 

 

「……………ターンエンド…………司、任せたからね」

サブマリモンLV1(1)BP4000(疲労)

 

バースト無

 

 

「お前に言われるまでもねぇ、……………既に勝利への道筋は決まっている…………」

「……………ほぉ、……それは本当かね?……………」

 

 

城門はまるで信じ難いと言っているかのような言い草だ。

 

それに対し、司はさらに強く宣言していく。

 

 

「…………だったらしっかりと、その虚ろな目ん玉かっぽじって見ていやがれ……………いくぞぉ!」

 

 

今の城門に、前半ほどの余裕や落ち着きはない。確実に自分たちの攻撃は効いてきている。

 

ーやはりどんなバトラーも無敵ではない。

 

「必ず勝てる」と司は確信しながら、雅治とバトンタッチし、ターンを進めて行く。

 

 

[ターン12]司

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ2⇨3

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ3⇨12

トラッシュ9⇨0

 

 

「メインステップ、俺はホークモンを再度召喚するっ!」

手札5⇨4

リザーブ12⇨8

トラッシュ0⇨3

 

 

司は【アーマー進化】の効果により手札に戻っていたホークモンを再び召喚した。

 

そしてその召喚時の効果も使用し、手札の増加も狙う。

 

 

「召喚時効果、デッキから3枚オープンし、その中の対象となるデジタルスピリット1体を手札に加えるっ!」

オープンカード

【ホウオウモン】×

【天魔神】×

【アクィラモン】○

 

 

効果は成功、司は赤の成熟期スピリット、アクィラモンのカードを手札へと加えた。

 

司は一気にそれを展開して行く。

 

 

「メインステップを継続して、俺はアクィラモンを召喚するっ!」

手札4⇨5⇨4

リザーブ8⇨1

トラッシュ3⇨6

 

 

司はたった今手札に加えた成熟期のアクィラモンのカードを、ホークモンの【進化】を使わずに召喚した。

 

単純に手数が欲しかったか、そして手札から1枚のカードを引き抜いた。

 

 

「さらにマジック!ネクサスコラプスを使用し、てめぇのネクサス2つ、浮遊ピラミッド群2枚を破壊するっ!」

手札4⇨3

リザーブ1⇨0

トラッシュ6⇨7

 

「っ!?!」

 

 

飛び交う炎の弾丸。これは瞬く間に城門の背後に存在するピラミッド達を燃やして行く。それは灰になってしまい、地面に混ざるように消えてしまった。

 

これで紫のスピリットを破壊しても厄介な疲労効果が発揮されることはなくなった。

 

そして司は決めに行く、場にいるこの2体の鳥型デジタルスピリットで、

 

 

「アタックステップッ!!ホークモンッ!!」

 

 

赤い翼を羽ばたかせ、空を飛ぶホークモン。目指すは城門の残り1つのライフ。

 

だが、まだだ、まだまだだ。城門はしぶとい、手札から1枚のカードを引き抜き、それを使いカウンターに出る。

 

 

「甘いっ!………フラッシュマジック!光翼之太刀!!対象はヴェノムヴァンデモンっ!」

手札2⇨1

リザーブ15⇨12

トラッシュ8⇨11

 

「…………っ!?!」

 

「この効果でヴェノムヴァンデモンのBPを3000上げ、このターン、疲労状態でブロックができるっ!」

ヴェノムヴァンデモンBP16000⇨19000

 

 

ヴェノムヴァンデモンに白いオーラがまとわりつく。それはヴェノムヴァンデモンに新たな力を与えている。

 

白のマジック、光翼之太刀はスピリット1体を疲労ブロッカーにする力を持つ。つまり、このターンは除去さえされなければ永遠とブロックを行うことができるのだ。

 

 

「ホークモンを落とせぇぇえ!!」

 

 

ヴェノムヴァンデモンはその長い腕で上空にいるホークモンを叩き落とした。ホークモンはその勢いで地面へと落下し、爆発してしまった。

 

その爆発音はまるで絶望への道を示すかのようであって、

 

 

「…………そんな、ここまで来て、白のマジックだなんて…………」

「……………いや、………これは……いけるっ!いけぇ!司っ!」

 

 

最後の最後で白のマジックを使ってきたことに絶望を感じる雅治。

 

そんな中で、椎名は気づいた。ヴェノムヴァンデモンは城門は…………倒せる。いける。と、確信した。

 

 

「………その通りだめざしっ!!……俺はアクィラモンでアタックするっ!」

 

 

その大きな翼を広げ飛び立つアクィラモン。そしてこの瞬間に発揮できる効果があって、

 

 

「アクィラモンの【超進化:赤】を発揮!これを手札に戻し、完全体のシルフィーモンをLV3で召喚っ!」

 

 

アクィラモンに0と1のデジタルコードが巻きつけられ、進化を果たす。新たに現れたのは聖なる白き獣人型のデジタルスピリット、シルフィーモンだ。

 

だが、シルフィーモンだけでは当然この場は突破できない。

 

 

「はっはっはっは!!!!…………滑稽だなぁ!…そんなスピリットでどうしようと言うのだ、所詮は完全体っ!」

 

 

ジョグレスの完全体は少なからず他の完全体よりも力がある。だが、それは究極体を超えるほどではない。現にBP差も圧倒的。

 

ーしかし、

 

 

「………誰が完全体でいくっつったよ!」

「…………なに?」

 

 

そう、誰もまだこれで終わりなど言っていない。司はここで本命の起死回生の一手を繰り出す。

 

 

「視野が狭すぎるぜ!クソ伝説野郎!!………俺はトラッシュにあるホウオウモンの効果で、場にいるシルフィーモンを対象に煌臨を発揮!!」

シルフィーモン(4s⇨3)LV3⇨2

トラッシュ7⇨8s

 

「なっ!?……それはっ!」

 

 

このホウオウモンのカードはこのターン。司が召喚したホークモンの効果で事前にトラッシュへと送られていたものだ。司の言う「視野が狭い」とはそう言うことである。

 

ーそしてもう気づいても遅い。

 

 

「天空の王者よ!今こそ聖なる炎で地上の全てを焼き尽くせっ!!究極進化ぁぁあ!!」

 

 

シルフィーモンが地面を熱するほどの、赤く、聖なる炎に包まれていき、その中で姿形を大きく変えて行く。

 

その姿は先ほどのとは打って変わって完全なる巨鳥。その大きな翼を翻し、

 

今、飛翔する。

 

 

「………ホウオウモンッ!!」

ホウオウモンLV2(3)BP12000

 

「!!?」

「「よしっ!!」」

 

 

雅治と椎名はガッツポーズを見せる。

 

ーいける。

 

ー勝てる。

 

司はホウオウモンの煌臨時効果を発揮させる。

 

 

「ホウオウモンの煌臨時効果発揮!!……煌臨元になった赤の完全体のスピリット1体を手札に戻すことで……BP10000以上の相手のスピリット1体を破壊するっ!………俺はこの効果でシルフィーモンを手札に戻し、BP19000のヴェノムヴァンデモンを破壊するっ!!」

手札3⇨4

 

「…………ぐぅっ!?!」

「「いっけぇ!!司ぁぁぁぁあ!!」」

 

 

椎名と雅治は声を合わせて司に声援を送る

 

司はその技名を宣言した。

 

 

「…………金色の超炎!!!……シャイニング・エクスプロージョンッ!!」

 

 

ホウオウモンの翼から放たれるその金色に輝く聖なる炎は、瞬く間にヴェノムヴァンデモンを燃やしていく。もがき苦しんでもそれは決して治ることはない。

 

 

「…………くっ!!……ま、まだ抵抗する気か……………この………この生贄どもがぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」

 

 

そして、ヴェノムヴァンデモンを完全なる消し灰にした。

 

【ジャンクゾーン】に吹く空っ風がそれを彼方へと流していく。

 

そんな中、城門の悲痛な叫びだけが、乾いた地面を叩くように響いていた。

 

 

 

 

 




〈本日のハイライトカード!!〉


「はい!椎名です!今回は……………」
「【ホウオウモン】だ、」
「ちょちょちょ!!!司っ!これ私のコーナーだよ!?」
「あぁ?誰がてめぇのコーナーっつてたよ、………ホウオウモンは赤の究極体スピリット……………」
「あーーーあーーーあーーー言うなぁぁぁぁあ!」
「うるせぇ!……煌臨元になった赤の完全体スピリットカードを手札に戻すことで、どんな強力なスピリットでも燃やし尽くす………………以上だ」
「………………全部言っちゃったよ」








最後までお読みくださり、ありがとうございました!
まさかまさかの3話目突入です!次回決着です!
お楽しみに!!
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