バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

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第43話「ロイヤルナイツ激突!!」

 

 

 

 

 

あの芽座葉月がジークフリード校の教育実習生として椎名の目の前に現れた。いったい何の意図があってのことかはわからないが、椎名の目の前にはたしかにその義理の兄、葉月がいた。約6年ぶりの再会だ。

 

 

「…………え?……芽座って、椎名ちゃんと同じ」

「どうなってんのや?」

 

 

夜宵と真夏が、黒板に書かれた葉月の名前を見て反応を見せる。

 

2人だけではない。教室全体がその名前にざわつき始める。そんな生徒達を見かねてか、担任の教師である空野晴太がそれに対しての説明を入れてくる。

 

 

「こらこら、落ち着けよーー、この人は椎名の義理のお兄さんなんだ……」

「椎名の義理のお兄さん…………」

 

 

雅治が思わず声を漏らした。

 

そう言われて、納得したか、生徒達は静まるが、ただ1人、未だにざわつく者がいて、

 

 

「おいぃ!!葉月ぃ!!!!今までどこ行ってたんだぁ!!」

 

 

椎名がしゃしゃり出てくる。よく言えば元気よく。悪く言うならば口うるさく。興奮するのも仕方ないか、何せあんな別れ方をして、約6年の歳月が流れたのだから、

 

椎名は席を立ち、葉月の方へ近づく。

 

 

「黙れ角虫」

「誰が角虫だぁ!!」

 

 

葉月が椎名に悪態をついてくる。が、椎名も負けず劣らず反抗。

 

が、言い合いは一旦これで終わり。ある人物が椎名を抑え込む。

 

 

「…………おい、椎名………」

「……………!?!」

 

 

 

椎名はその声を聞いた途端。背筋が凍りつくのを感じた。

 

担任の晴太の声だ。それはまったくもって物静かであるが、実際は今にも大噴火しそうな予感を感じさせられるものであって、

 

 

「…………気持ちはわかるが…………静かにする……よな?」

「……………は、はいぃぃいーー!!!!?!!」

 

 

椎名は危機を回避すべく大急ぎで着席し、黙り込んだ。

 

そんな椎名を見て、晴太は安堵したかのように機嫌を取り戻し、

 

 

「まっ!そう言うことだ、みんな仲良くしてくれ!」

 

 

ー朝のホームルームを締めた。

 

 

******

 

 

少しだけ時は流れて放課後。椎名は校舎の屋上と言う場で、改めて葉月と対峙していた。

 

やはりどこからどう見てもあの芽座葉月そのものだ。少しだけ大人びた顔立ちの印象になった以外はあまり昔と変わりはなかった。

 

 

「…………葉月、なんでこんなとこにいるの??私はもう訳がわからないよ………」

 

 

6年前に家を出た義理の兄。彼は自分達のことを家族とさえ思ってなかった。そんな彼がまさか自分の学校の自分のクラスで、教育実習生の生徒として目の前にいることなど、考えがつくはずもない。椎名は頭の処理が追いつかなかった。

 

だが、そんな椎名の気持ちなど露知らず、葉月は単刀直入に自分の欲求だけを話した。それはとても教師を目指す教育実習生とは思えないセリフであり、

 

 

「簡潔に述べよう、…………俺はお前の持つロイヤルナイツ、【マグナモン】を回収しにきた………」

「っ!?!マグナモンを!?」

 

 

椎名が六月から譲り受けたロイヤルナイツのカード、マグナモン。それを葉月は回収しにきたと言う。

 

 

「な、なんでマグナモンを………」

「それはお前のカードじゃなくて、俺のカードだからだ…………それ以外の理由などない」

「………え?私これじっちゃんから貰ったんだけど」

 

 

6年前、葉月はロイヤルナイツであるマグナモンに選ばれるため、故郷の島にある洞穴で激しい特訓や修行を積んでいた。

 

が、結局は選ばれることはなく、彼はそのまま島を出た。そこからさらに6年の修行を経て、今度こそはと今、椎名の目の前にいるのだ。

 

椎名がマグナモンを所有していることは【界放リーグ】の生中継で知っていた。あの時はただただ目を疑ったが、自分の方が選ばれるべきであるとマグナモンに証明すれば問題はない。

 

 

「…………と、とにかく嫌だよ!!マグナモンはもう私の大事なカードなんだ!!」

 

 

椎名はそれを拒否した。当然だ。マグナモンはじっちゃんこと、六月が自分にくれた大事なカード。これまで数々の死線をくぐり抜けてきた大事な仲間だ。そんな仲間を手放しにできるわけがない。

 

 

「…………ふんっ……まぁいい、どちらにせよ明日、お前にはマグナモンを賭けてバトルしてもらう」

「…………え?どゆこと?」

「明日、この学園はどうやら俺を歓迎してるようでな、生徒と俺を1人、歓迎バトルをしてくれるようだ。それでお前を選ばせてもらった……」

「そんな勝手な…………」

 

 

【教育実習生】バトスピ学園も飽くまでも高等学校の1つであるため、物珍しくもないが、バトスピ学園では歓迎の儀と言わんばかりに全校生徒の前でバトルさせる。

 

実際、生徒達も実習生がどんなデッキを組んでいるのか気になることだろう。

 

葉月はそんな行事に、椎名を指名してきた。マグナモンを奪うため、又はマグナモンに自分の強さを改めて証明させるためとも取れるか、

 

 

「…………なぜお前なんだ……」

「!?!」

「なんでお前がマグナモンに選ばれる…………椎名………」

「…………選ばれる?」

 

 

椎名は【ロイヤルナイツ】達の隠された秘密を未だに知らない。それ故に、本当は自分がその一柱であるマグナモンに選ばれていたことなど全く気づいていない。

 

当然、葉月の言葉の意味さえも全く理解ができない。

 

葉月は椎名を許せなかった。気が遠くなるほどに、血反吐が出るほどに、血が滲むほどの努力を重ねたはずなのに、選ばれるのはなぜこの自分の力量さえ理解できてない阿呆なのだ。葉月はそう思っていた。

 

 

「…………明日、俺はお前に力の差を改めて見せつけてやる…………覚悟しておけ…………」

 

 

そう言って、葉月は屋上を降りようとする。

 

椎名はそんな彼の背中を見て、何を思ったか、つい思い詰めていた言葉が前のめりに出てしまう。

 

 

「……っ!!……じ、じっちゃんはぁ!!あれからずっと葉月を心配してたんだぞ!!何回も旅をしたんだぞ!!葉月を捜すために!!」

「……………」

 

 

わかって欲しかった。ただただ六月の、じっちゃんの気持ちがわかって欲しかった。

 

あの日、いったい何を理由で六月と喧嘩したのかはわからない。が、やはりこんなのあんまりだ。

 

 

「わかった!明日、私がバトルで勝ったら…………葉月、貴方はじっちゃんと仲直りしよう!!それが条件だ………」

「……………」

 

 

葉月と六月。彼ら2人を仲を取り持つ為、椎名はこのバトルを引き受けた。

 

葉月も承諾したのか、その椎名の発言に対して何を反抗することなく、無言で屋上を降りて行く。

 

 

******

 

 

そして翌日。椎名と葉月がバトルする時が来た。

 

舞台は第3スタジアム。観客席には大勢の生徒や教師が一目観戦しようとそこに赴いていた。

 

 

「マグナモンを賭けてバトル?めざしとあのすかした野郎がか?」

「せや、どうしたもんかなぁ、本当」

「アンティルールは法律で禁止されているのに………」

 

 

司、真夏、雅治、夜宵、英次もその観客席にいた。

 

真夏はただ1人、このバトルの本当の意味を椎名本人から聞いていた。それが他の4人にも伝わり、今の会話が成り立っている。

 

だからとて、どうにかなる問題でもないが、

 

 

「…………でも私達は椎名ちゃんを見守ることしかできないね」

 

 

夜宵が言った。そうだ。何があろうと承諾されたバトルに対して口出しはできない。椎名の実力を信じてただ見届けるしかないのだ。

 

 

「…………さぁ、始めるか……」

「…………今までの私の集大成を葉月に全力でぶつける………っ!!」

 

 

2人がBパッドを展開する。そして始まる。違反であるアンティルールのバトルが、因縁のある義理の兄妹のバトルが、

 

 

「「ゲートオープン、界放!!」」

 

 

バトルが始まった。

 

ー先行は椎名だ。

 

 

[ターン01]椎名

《スタートステップ》

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップ、ガンナー・ハスキーを召喚して、ターンエンド!」

手札5⇨4

リザーブ4⇨1

トラッシュ0⇨2

 

ガンナー・ハスキーLV1(1)BP2000

 

バースト【無】

 

 

 

椎名が初手で呼び出したのは犬型だが、背に拳銃を持つために腕を生やしたスピリット、ガンナー・ハスキー。

 

先行の第1ターン目など、やれることが限られてくる。椎名はそれだけでそのターンを終えた。

 

次は全生徒が注目する芽座葉月のターンだ。

 

 

[ターン02]葉月

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップ、俺はネクサス、水銀海に浮かぶ工場島をLV1で配置し、ターンエンドだ」

手札5⇨4

リザーブ5⇨0

トラッシュ0⇨5

 

水銀海に浮かぶ工場島LV1

 

バースト【無】

 

 

葉月の背後に、その名の通り水銀のような鼠色の海に浮かぶ島が出現した。このネクサスは彼のデッキにとって潤滑油になり得る1枚であって、その効果も色もシンボルもかなり強力である。

 

 

「…………厄介なのを配置したな……」

「デッキは白と紫の混色みたいだね……」

 

 

司と雅治がそう呟いた。

 

あのネクサスは白と紫。そのため、それを配置するだけで葉月のデッキが白と紫の混色デッキであることが示唆されるのだ。

 

何はともあれ、次は椎名のターン。あの厄介なネクサスをどうするかがバトルに勝利する鍵となり得るだろう。

 

 

[ターン03]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ1⇨2

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ2⇨4

トラッシュ2⇨0

 

 

「…………メインステップ、バーストをセットし、ブイモンをLV1で召喚!さらにその召喚時でカードをオープン!!」

手札5⇨4⇨3

リザーブ4⇨2

トラッシュ0⇨1

オープンカード↓

【スティングモン】◯

【ワームモン】×

 

 

椎名がバーストを伏せると同時に召喚したのはいつも通りの小さくて青い竜、ブイモン。それが元気よく飛び出してきた。そしてその召喚時も成功し、対象内のスピリットカード、スティングモンが椎名の手札へ新たに加えられた。

 

ーが、ここで葉月のネクサス、水銀海に浮かぶ工場島が反応するように光り出し、

 

 

「お前、俺のネクサスの効果を忘れたか?……相手ターン中、相手が効果によって手札を増やした時、相手はその枚数分だけ手札を捨てなければならない」

 

「………っ!!!……わかってるよ、何度もくらってたもんね」

手札3⇨4⇨3

破棄カード↓

【エクスブイモン】

 

 

水銀海に浮かぶ工場島。このネクサスは相手のターン中ならば決して効果による手札増加を許さない。

 

椎名は手札から選んだエクスブイモンのカードを渋々トラッシュへと送った。昔から一緒にバトルしていた葉月がよく配置していたこのネクサスの効果を別に忘れていたわけではないが、やはりかなり強い効果だ。これだけで成長期スピリットのサーチ効果も活かし辛くなる。

 

 

「だけどまだ動ける!………私はさらにブイモンの追加効果でスティングモンを2コスト支払って召喚!不足コストはガンナー・ハスキーから確保!!」

手札3⇨2

リザーブ2⇨0

ガンナー・ハスキー(1⇨0)消滅

トラッシュ1⇨3

スティングモンLV1(1⇨2)BP5000

 

 

ガンナー・ハスキーが消滅してしまうものの、その上からまた新たなスピリット、スマートな昆虫戦士、スティングモンが現れた。その効果でまたコアが増える。

 

そして椎名はさらにこのままガラ空きの葉月の場を攻め立てる。

 

 

「アタックステップ!!ブイモン、スティングモン!!」

スティングモン(2⇨3)LV1⇨2

 

 

走り出す2体のスピリット。目指すは当然葉月のライフ。

 

葉月はこのアタックに対し、

 

 

「………ライフで受けよう」

ライフ5⇨4⇨3

 

 

ライフで受けた。

 

ブイモンの渾身の頭突きとスティングモンの拳がそれを1つずつ玉砕して行った。

 

 

「よし!ターンエンド!!」

ブイモンLV1(1)BP2000(疲労)

スティングモンLV2(3)BP8000(疲労)

 

バースト【有】

 

 

椎名はターンを終えた。最序盤としてはなかなかに良い動きだったと言える。

 

が、当然、葉月もこのまま黙っているはずもなく、

 

ー彼は次のターン。おそらく誰もが衝撃を受けるであろうスピリットを召喚する。

 

 

[ターン04]葉月

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ2⇨3

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ3⇨8

トラッシュ5⇨0

 

 

「メインステップ…………俺はネクサスのLVを上げ、さらにソードールをLV1、そして、ハックモンをLV2で召喚!!」

手札5⇨4⇨3

リザーブ8⇨2

水銀海に浮かぶ工場島(0⇨2)LV1⇨2

トラッシュ0⇨1

 

 

「……………ハックモン?……葉月そんなスピリット持ってたっけ?」

 

 

葉月はネクサスのLVを上げるとともに2体のスピリットを召喚した。一方は白と紫のデッキならばよく見るハイブリッドスピリット、コストも軽く使いやすいソードール。

 

ーが、もう一方は誰も見たことがないカードであって、椎名もその姿を見て首を傾ける。

 

その姿は白の成長期スピリットで、竜型。その身につけているマントやゴーグルが他のデジタルスピリットとはやや違う印象を与えていた。

 

 

「これは俺が新たに得た力の一部だ…………召喚時効果!!5枚オープン!!その中の対象のデジタルスピリットを手札に加える」

オープンカード↓

【水銀海に浮かぶ工場島】×

【ソードール】×

【ポーン・ダイル】×

【ジャコウ・キャット】×

【ジエスモン】◯

 

「っ!?!一度に5枚も!?」

 

 

その枚数の多さは強烈かつ脅威。当然だが、オープンカードの枚数が多ければ多いほど、それはヒットしやすいものだ。

 

ーそしてそれは来た。

 

ーそれは誰もが驚愕するカードだ。

 

 

「…………俺はこの効果で、【ロイヤルナイツ】ジエスモンを手札に加える!」

手札3⇨4

 

「!?!」

 

 

その言葉に誰もが驚きを隠せなかった。

 

葉月が今、世界にただ1枚しか存在しない幻のレアカード、ロイヤルナイツ。その1枚の名を口にしたのだ。そしてそれはまさしく本物。

 

今すぐそれは地上へと舞い降りる。

 

 

「さらにこのジエスモンの煌臨を発揮!対象はハックモン!!」

リザーブ2s⇨1

トラッシュ1⇨2s

 

 

ハックモンが白き聖なる光を纏う。

 

それは彼に進化の力を与えると同時にある物も与えていた。

 

 

「この時、ハックモンの効果でコアを3つハックモンに追加する!!」

ハックモン(2⇨5)LV2⇨3

 

「……っ!!3つも追加!?」

 

 

与えられていたのはコア。それがたった一度煌臨するだけで3つも与えられた。

 

そしてさらに驚くのはこれからだ。ハックモンがその聖なる光の影響で姿形を大きく変えていく。それは竜の姿から一変。逞しい聖騎士へと進化を遂げる。

 

 

「究極進化ぁぁあ!!……ジエスモン!!」

ジエスモンLV3(5)BP14000

 

「っ!?!」

 

 

現れたのは白き聖騎士型スピリット、伝説のロイヤルナイツの1体、ジエスモンだ。腕や足が劔になっていて、周りには3つ、何かオーラ的なものが浮遊している。

 

 

「ロイヤルナイツ!?!」

「椎名さんのお義兄さんが所持していたのか……」

 

 

雅治と英次がそう言いながらそれを見て驚いた。いや、驚いていたのは彼らだけではない。他の生徒はもちろん、教師までもがざわつく程に驚愕していた。

 

 

「…………あいつの……めざしの周りの人間はいったいどうなってやがんだっっ!?」

 

 

司が言った。たしかに疑問に思っても仕方ない。何せ、椎名のマグナモンはその育ての親、六月から、そして次はその孫にあたる彼が同じくロイヤルナイツに属するジエスモンを呼び出したのだから。

 

 

「………は、葉月、………そ、それは」

「俺の…………力だ!!煌臨時効果!!相手のスピリットを3体手札に戻す!!俺の眼前から消えろ!ブイモン、スティングモン!!…………」

 

「っ!?!」

手札2⇨4

 

 

ジエスモンの周りで浮遊している3つのうち2つのオーラがジエスモンの支持を受け、動き出す。それは瞬く間にブイモンとスティングモンを通り過ぎるようにすり抜け、2体の魂を吹き飛ばした。

 

その後は肉体もデジタルの粒子となって椎名の手札へと戻っていった。

 

そしてまだだ、まだ葉月のメインステップは終わりらない。さらなる展開で椎名をとことん追い詰めていく。

 

 

「さらに俺は異魔神ブレイブ、竜機魔神を召喚!!」

手札3⇨2

リザーブ1⇨0

トラッシュ2s⇨3s

 

 

葉月が呼び出したのは紫の異魔神ブレイブ。漆黒の暗闇の靄の中からゆっくりと竜の形をした機械が出現した。

 

 

「異魔神ブレイブ…………」

「俺はジエスモンに竜機魔神を右合体!!」

 

 

竜機魔神の右手から放たれた一筋の光線。それはジエスモンの身体と繋がれ、それをより一層パワーアップさせる。

 

 

「…………バーストを伏せ………アタックステップ………」

手札2⇨1

 

 

葉月はメインステップの最後にバーストをセットし、次なるアタックステップへと移行した。ジエスモンが椎名を倒さんとばかりにその眼光を放つ。

 

 

「ジエスモン………やれ」

 

 

常に宙を舞っているジエスモンが椎名のライフを撃たんとばかりに飛び立つ。

 

そしてこの時、竜機魔神とジエスモン自身のアタック時が発揮され、

 

 

「竜機魔神の右合体時効果、お前は手札を1枚選んで破棄する」

「…………っ!?!…」

 

 

竜機魔神が口内から放つ紫の波動。それは椎名の手札を襲い、それらを宙に明かす。それは椎名がどれか1枚をトラッシュに置くまでは戻ることはない。

 

 

「…………猪人ボアボアを破棄………」

手札4⇨3

 

 

椎名は手札にある猪頭ボアボアを選択。そのカードはそのままトラッシュに置かれ、手札は竜機魔神の力から解かれ、椎名の元へと帰ってきた。

 

そして次はジエスモンのアタック時効果だ。それはまさしく【ロイヤルナイツ】に相応しい強力な効果であって、

 

 

「さらにジエスモンのアタック時、お前のバーストを破棄し、ジエスモンはブロックされない………」

「…………っ!?」

 

 

ジエスモンの右手の劔から放たれた一筋の光線。その高威力なエネルギーは一直線に椎名のバーストを貫いた………………

 

ーかに思われたが、

 

椎名のバーストはジエスモンのその攻撃を弾いていた。まるで水を弾く油のように。

 

 

「………っ?」

「…………残念だったね葉月、私のバーストは…………【マリンエンジェモン】………このカードはバーストセットされている時、私のトラッシュに成長期カードがあるなら、相手の効果を受けない…………私のトラッシュにはワームモンがいるから、その効果を受けないよ」

 

 

葉月は眉を少しだけ寄せ、若干驚いたかのような表情をするが、一瞬にして問題ないと判断したのか、すぐさま元の冷静な表情に戻る。

 

 

「だがアタックは止められない…………」

 

 

そう、マリンエンジェモンはライフ減少を条件とするバーストスピリット、つまりこのジエスモンのアタックはそれに止められることはない。どうしてもライフを減らされるとこまで行くのだ。

 

 

「でもまだライフは5!!ライフで受ける!!」

ライフ5⇨3

 

 

ジエスモンの高速の剣技。その一瞬の早業が椎名のライフを一気に2つ、紙切れのように引き裂いた。

 

だが、ライフは失われたが、ここで露わになっていた椎名のバーストが発動される。

 

 

「私のライフの減少により、バースト発動!!マリンエンジェモン!………効果によりこれを召喚!!」

リザーブ6⇨5

マリンエンジェモンLV1(1)BP3000

 

 

その場で反転する椎名のバーストカード。そこから現れるのは桃色の体を持つ小さい天使、マリンエンジェモン。

 

この見た目でも究極体。それ相応の力がマリンエンジェモンには備わっている。

 

 

「マリンエンジェモンの効果!……このターン、相手の合体のコストを無視したコスト9以下のスピリットじゃ、私のライフは減らない………」

 

 

マリンエンジェモンが小さく鳴き声を上げる。すると、椎名の周りに水のバリアが現れる。それはこのターン、葉月のターンが終わるまで残り続け、元のコストが9より上のスピリットしかそれを突破することができない。

 

 

「……………ターンエンドだ」

ジエスモン+竜機魔神LV3(5)BP18000(疲労)

ソードールLV1(1)BP1000(回復)

 

水銀海に浮かぶ工場島LV2(2)

 

バースト【有】

 

 

葉月はこのターン。どちらにせよ攻め手は無くなったと見たか、そのターンを終えた。

 

次は椎名のターンだ。持ち前の速攻で一気に片をつける気満々である。

 

 

[ターン05]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ5⇨6

《ドローステップ》手札3⇨4

《リフレッシュステップ》

リザーブ6⇨9

トラッシュ3⇨0

 

 

「このターンで一気に決める!!行くよ葉月!!………メインステップっっ!!……私はマジック、バスタースピア〈R〉を使用!!効果により、水銀海に浮かぶ工場島を破壊し、カードを2枚ドローするっ!!」

手札4⇨3⇨5

リザーブ9⇨6

トラッシュ0⇨3

 

「……………っ!?!」

 

 

椎名の場から放たれる一本の槍。それは炎を纏といて一直線に葉月のネクサス、水銀海に浮かぶ工場島へ飛び行く。そしてそれに突き刺さり、貫いてみせた。ネクサスは貫かれたところからどんどん消えていき、やがて消滅した。

 

厄介なネクサスは消えた。ここからが本腰を入れるところだ。椎名の大展開が幕を開ける。

 

ー反撃開始だ………

 

 

「ブイモンを召喚!!さらに召喚時効果!!」

手札5⇨4

リザーブ6⇨3

トラッシュ3⇨5

オープンカード↓

【ストームアタック】×

【マリンエンジェモン】×

 

 

葉月のジエスモンにより手札へと戻されていたブイモンが今一度椎名のために場へと現れる。

 

だが、その召喚時効果は失敗。どれも手札に加えることはできない。

 

が、椎名がこの効果を使ったのは手札に加えたいためじゃない。この後の追加効果を使うためだ。

 

 

「ブイモンの追加効果で再び緑の成熟期スピリット、スティングモンを召喚!!」

手札4⇨3

リザーブ3⇨0

トラッシュ5⇨7

スティングモンLV1(1⇨2)BP5000

 

 

椎名の場に再び緑の昆虫戦士、スティングモンが現れる。その効果によりさりげなくコアが増える。

 

ーこれで勝利への敷地は揃った。椎名は葉月のライフを打たんとばかりにアタックステップへと移行する。

 

 

「アタックステップっっ!!…スティングでアタック!!効果でコアが増え、LV2にアップ!!」

スティングモン(2⇨3)LV1⇨2

 

 

コアが更に増え、LVを上げるスティングモン。そしてこの時、スティングモンは更なる飛躍を遂げる神秘の能力が使えるようになる。

 

 

「さらにスティングモンのアタック時、【超進化:緑】を発揮!!」

「…………!!」

 

 

椎名のスティングモンの効果の発揮宣言に、葉月は少しばかり反応してみせた。ものの雰囲気で察したのだ。間違いなく今から何か強力なものを呼び出そうとしていることを。

 

ーその予想は当然的中しており、

 

 

「この効果で緑の完全体スピリットを召喚!!…………私はこいつを……至高の竜戦士、パイルドラモンをLV2で召喚!!」

パイルドラモンLV2(3)BP10000

 

 

スティングモンが全身をデジタルコードに巻かれ、新たな姿へと進化する。そのコードを解き放ち、現れたのは竜のパワーと昆虫の固さと素早さを持つ至高の竜戦士、パイルドラモンだ。

 

 

「…………それがお前の今のエースか………」

「その通りだ!!召喚時効果!!コスト7以下のスピリット1体を破壊するっ!!対象はソードールだ!!………デスペラードブラスター!!!」

 

 

召喚されるなり、パイルドラモンは両手にある機関銃を乱射…………するまでもなく、たったの4、5発程度でその小さいソードールを撃ち抜き、爆発させ、仕留めた。

 

 

「アタックステップは継続!!そして、この乱撃で終わりだぁ!!パイルドラモンでアタック!!その効果、コアを2つパイルドラモンに置き、ターンに1回だけ回復する!!……エレメンタルチャージ!!!」

パイルドラモン(3⇨5)LV2⇨3

 

 

パイルドラモンは単体でも1ターンに2度攻撃できる。そのことを踏まえなくても、葉月のライフは残り3つ、椎名の場にいるブイモン、マリンエンジェモンと合わせて4回の攻撃で十分すぎるものがある。

 

ーこれで決まりか…………

 

ーいや、決まらない。その程度ではまだ終わるはずもなく、葉月は手札から更なる一手を繰り出す。

 

 

「甘い!!お前の手など俺にとっては手に取るようにわかる!!フラッシュマジック!!ドリームリベンジを使用するっ!!」

手札1⇨0

リリザーブ3⇨0

トラッシュ3⇨6

 

「…………っ!?」

 

「この効果で自分のスピリット1体を回復……俺はジエスモンを回復!さらにこのターン、この効果で回復したスピリットがBPバトルで勝利した時、相手スピリット2体を手札に戻す!!」

ジエスモン+竜機魔神(疲労⇨回復)

 

 

常に宙を舞うジエスモンが疲労より目覚め、再び活動可能になる。

 

パイルドラモンとジエスモン。この2体のBP差は歴然。圧倒的にジエスモンが上である。このままパイルドラモンのアタックをブロックさせられては椎名の場はひとたまりもなくなることだろう。

 

ーが、椎名は待っていた、カウンターを、葉月なら確実にここで返してくると思った。手によるようにわかるのは葉月だけではない。共に多くの時間を共有してきたこの椎名も同じなのだ。

 

 

「そう来ると思ったよ!!」

「っ!!?」

 

 

椎名はその手札のカードを引き抜いた。それは決め手となるであろう大きな大きな一手であって、

 

 

「フラッシュ!!マグナモンの【アーマー進化】発揮!!対象はブイモン!!1コスト支払う!」

パイルドラモン(5⇨3)LV3⇨2

トラッシュ7⇨8

 

「…………っ!?!」

 

 

ブイモンの頭上に黄金に光輝く鎧を着た卵のようなものが投下される。ブイモンはゆっくりと降ってくるそれを受け入れるように衝突、そして混ざり合う。

 

新たに現れるのは葉月のジエスモンと同じく【ロイヤルナイツ】に属するうちの1体。黄金の鎧を輝かせ、今、マグナモンが椎名の場へと降り立つ。

 

 

「黄金の守護竜!!マグナモンをLV1で召喚!!」

マグナモンLV1(1)BP6000

 

「…………マグナモンっ!!!」

 

 

葉月はマグナモンを見た途端に嫌悪感を剥き出しにする。それと同時にそれを欲しいとも思った。心が踊った。

 

昔から待ち望んだ自分の力が目の前にあるのだ。兎に角強さを求めていた彼にとって、これほどまでに心踊ることはない。

 

だが、そんな彼の感情を悟る事もなく、椎名はその効果を発揮させる。それはジエスモンを討つための必勝技だ。

 

 

「目には目を、ロイヤルナイツにはロイヤルナイツだぁぁあ!!マグナモンの召喚時効果、相手の場にいる最もコストの低いスピリット1体を破壊するっっ!!」

「………っ!!」

「破壊対象は………もう1体しかいないよね?……ジエスモンを破壊!!黄金の波動、エクストリーム・ジハード!!!」

 

 

マグナモンは登場するなりその黄金の力を前回まで使い、黄金の障壁を形成。それは球体であり、どんどん膨らんでいく。

 

やがてそれは宙に浮いてるジエスモン。そしてその周りにある3つのオーラ諸共包み込み、それらを全て一瞬にして消滅させた。

 

場には異魔神ブレイブである竜機魔神だけが虚しく残った。

 

 

「………す、凄いで!!椎名!ロイヤルナイツを倒しよった!!」

「流石だ……椎名さんっ!!」

「…………俺も倒したことあるがな、【ロイヤルナイツ】」

 

 

観客席にいる真夏と英次が椎名の見事な誘い込み技に感銘を受ける。

 

司は何故かそれに対抗しているのか、自分もロイヤルナイツを倒したと、ここにはいない椎名を煽るように口ずさんだ。

 

 

「ジエスモンはブロックする前に破壊した!!パイルドラモンのアタックはそのまま有効になる!!」

「……………」

 

 

異魔神ブレイブはアタックとブロックが出来ず、基本的に合体元がいないとバトルに参加できない。そのため、このパイルドラモンをブロックできるスピリットは今、葉月の場には存在しない。

 

 

「よし!勝てる、いけるでぇ!」

「だよね!頑張れぇ〜椎名ちゃん!!」

 

 

そう言って、観客席で喜ぶ真夏と夜宵。

 

 

「……………おい、雅治」

「うん、なんか変な感じだ……あの人まだ何かあるんじゃ」

 

 

女子2人とは裏腹に、司と雅治はこのバトル中に葉月から何かを感じていた。それは2人の直感でしかないのだが、とてつもなく悍ましく、禍々しい何かが蠢いているのではないかと感じさせるものであって、

 

 

「………パイルドラモン!!!」

 

 

椎名の指示で葉月のライフを破壊すべく再び前進するパイルドラモン。もうそれを妨げるものはない。

 

ジエスモンも破壊されたし、葉月の手札もゼロだ。

 

 

「…………ライフで受ける」

ライフ3⇨2

 

 

パイルドラモンの強靭な拳の一撃が、葉月のライフを1つ玉砕した。

 

 

「どうだ葉月!!これが私がこの1年とちょっとで築き上げてきた力だ!!」

 

 

椎名が拳を固め、唸るように葉月に言った。

 

これが自分の力だ。もう私は葉月よりも強いと言わんばかりに、

 

ー行ける。

 

ー勝てる。

 

この回復したパイルドラモンを含めた、3体のいずれかでアタックすれば、間違いなく、

 

ー椎名がそう慢心した直後だった。

 

 

「…………結局この程度か…………高々1年程度でのぼせ上がるな…………俺は何年、その力とやらを築き上げてきたと思ってるんだ………」

「………っ!?!」

 

 

葉月が口を開いた。まるで追い詰められていないかのような冷静で冷酷な表情である。実際は絶壁に立たされた大ピンチであるはずなのに。

 

 

「…………1つ教えてやろう椎名…………この世界にお前程度の実力の学生など………死ぬほどいる……」

「…………っ!?!」

 

 

ーそして葉月はここから逆襲に赴く。

 

 

「………ライフ減少により……バースト発動!!!」

「………!?!」

 

 

葉月のバーストが勢いよく反転した。

 

そのカードも誰もが見て驚くものであって、

 

ーそしてバーストカードであるそれは、当然このタイミングで何かしらの影響を及ぼすものである。

 

 

「………パイルドラモンっ!?!」

 

 

椎名のパイルドラモンの背後に突如としてデジタルゲートが開かれる。そしてそこから、謎の黒い拳が出現。それはパイルドラモンを鷲掴みにし、一瞬にしてそのデジタルゲートへと引きずり込んで行った。

 

 

「…………このバーストカードの効果は……相手のスピリット、又はアルティメット1体をデッキの下へと送る………さらに俺はデッキから4枚になるようドロー」

手札0⇨4

 

 

葉月は手札を増やした。元々0枚だった手札は、初期の4枚へと戻る。

 

 

「………な、なんだ、あのバースト効果……」

「デッキの下に送る効果に加え、ドローまで……」

 

 

司と雅治がそう言った。

 

ーそう、この効果は誰も知らない。

 

ーだが、そのカードは誰もが知っている伝説のスピリット…………

 

 

「………その後、こいつを召喚する………召喚!!」

「………っ!?!」

 

 

空気が震え、震撼する。

 

再び現れたのはパイルドラモンが引き込まれていったデジタルゲート。そこからゆっくりと降りて来る者がいた。もちろん、パイルドラモンではない。

 

ーそれこそ、黒い拳の正体……

 

ー黒いのは拳だけではなく、全身黒い黒鎧を纏う聖騎士型の究極体スピリットだ。

 

 

「………【ロイヤルナイツ】アルファモンを召喚!!」

リザーブ6⇨0

アルファモンLV3(6)BP20000

 

 

背の青いマントを靡かせ、黒鎧のロイヤルナイツ、アルファモンが現れた。それはそこにいるだけで目の前のバトラーに多大なプレッシャーを与える程の威圧感があった。

 

 

「に、2枚目だと!?」

「2体目のロイヤルナイツ………」

 

 

司と英次がそう言い、驚いた。

 

もちろん驚いたのは2人だけではない。周りの他の生徒や教師もその葉月の持つカードに驚きを隠せないでいた。

 

ーいったい彼はいくつ【ロイヤルナイツ】を所持しているのか………

 

 

「………な、なんだ、このスピリット………なんか嫌な感じだ……」

 

 

椎名はそんなアルファモンを見て、妙な悪寒を感じずにはいられなかった。

 

だが、ライフも対して破壊できないのに、BPの低い残った2体でバトルするわけにもいかず、ここはターンを切ることになるが、

 

 

「…………ターンエンド」

マリンエンジェモンLV1(1)BP3000(回復)

マグナモンLV1(1)BP6000(回復)

 

バースト【無】

 

 

そのターンを終えた椎名。

 

次は【ロイヤルナイツ】アルファモンを召喚し、ここにいる全ての生徒と教師を驚かせた葉月のターンだ。

 

 

[ターン06]葉月

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ0⇨1

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ1⇨7

トラッシュ6⇨0

 

 

「メインステップ、アルファモンに竜機魔神を右合体……」

 

 

前のターンのジエスモン同じく、右手から放たれた光線を受け、アルファモンはさらにその力を増大させる。

 

葉月はありふれた手札を使うことなく、アタックステップへと移行した。

 

ーもう必要はないと判断したからだ。

 

 

「アタックステップ……やれ、アルファモン……竜機魔神の効果でお前の手札を1枚破棄する」

 

「…………これだ」

手札3⇨2

破棄カード↓

【ガンナー・ハスキー】

 

 

再び竜機魔神が椎名に手札の破棄を要求。椎名は手札1枚を破棄した。

 

そして、次はアルファモンの効果であり、

 

 

「さらにアルファモンの効果……コアを2つ支払うことで……このスピリットは回復する………っ!!」

リザーブ7⇨5

アルファモン+竜機魔神(疲労⇨回復)

 

「……なっ!?!」

「まだだ!!もう1つの効果でお前のマリンエンジェモンからコアを2つリザーブに送る!!」

 

「…………っ!?!」

マリンエンジェモン(1⇨0)消滅

 

 

アルファモンはコアの力により、再び攻撃できる権利を得た。

 

そしてそれと同時に拳から波動弾のようなものを放ち、椎名の場にいるマリンエンジェモンを撃ちとった。

 

 

「………あ、あいついくつ効果持ってんねん………」

「デッキ下のバウンス、ドロー、コア除去、極め付けは回復………なんでもありかよ……」

 

 

真夏と司が言った。

 

そう、それこそアルファモンの効果。その1つ1つが卓越された効果を駆使し、敵を追い詰めていく。

 

 

「さぁ!このアタックはどう受ける!!?」

 

「……っ!!……ライフだ!!」

ライフ3⇨1

 

 

アルファモンはデジタル空間からいくつものエネルギー弾を射出。それで椎名のライフを一気に2つ粉々に粉砕した。

 

椎名のライフもいよいよ後1つ。追い詰められてきた。

 

 

「……アルファモンで再度アタック…………竜機魔神の効果で手札を破棄!」

 

「………………」

手札2⇨1

破棄カード↓

【スティングモン】

 

 

スティングモンのカードを破棄する椎名。

 

ーそしてこの効果も再び、

 

 

「アルファモンの効果で2コア支払い、回復!!」

リザーブ5⇨3

アルファモン+竜機魔神(疲労⇨回復)

 

「……………え?」

「ターンに1回じゃないのか!?」

 

 

椎名が小さく声をこぼし、雅治がそう驚き、言った。

 

アルファモンはコアさえあれば何度でもアタックできるスピリット、もう椎名にそれを止めることはできない。

 

 

「今さら気づいたか…………やれぇ!!アルファモン!!」

「くっ!?!……マグナモン!!」

 

 

これを受けたら敗北だ。椎名は咄嗟にマグナモンにブロックの支持を送る。

 

が、同じ【ロイヤルナイツ】と言えどもその力の差は歴然であって、

 

力を極限まで溜め、黄金の波動を放つマグナモン。だが、アルファモンはデジタルゲートから自身の武器を呼び寄せ、それを振るった一振りで、その波動を粉々に玉砕した。

 

その武器とは剣。とても太く、重く、形も独特であり、普通のスピリットでは扱えないものであるのは確かだ。

 

 

「…………究極戦刄王竜剣………っ!!!」

 

 

その一瞬。マグナモンと距離を詰めたアルファモン。そして王竜剣と呼ばれるその剣を振り下ろす。マグナモンを押しつぶすように叩きつけた。

 

マグナモンは堪らず耐えられなくなり、大爆発を引き起こした。

 

 

「………ま、マグナモンっっ!?!」

 

 

ー終わりだ。勝負は決した。

 

 

「アルファモンでアタック……竜機魔神の効果で……残ったのは【ブイモン】か、それを破棄する!!」

 

「……………」

手札1⇨0

破棄カード↓

【ブイモン】

 

 

もはや椎名が選ぶまでもない。葉月が残った1枚を言い当て、それを破棄させた。

 

今の椎名の手札はゼロ。そして盤面もゼロだ。

 

ー抵抗する術は完全に絶たれた。

 

 

「…………ま、負けんなやぁ!!椎名ぁ!!」

 

 

真夏が椎名に言った。

 

 

「…………そうだ………お前に勝てんのは俺だけだ!!このめざし野郎!!……どうにかして見せろ!!」

 

 

司が椎名に言った。

 

 

そう思ったのは2人だけではない。雅治も、英次も、夜宵もほとんど同じことを考えていたし、願っていた。

 

ー椎名なら必ずここからどうにかして見せると………

 

だが、当然それは届かないものであって……

 

 

「………終わりだ………失せろ、弱者………お前は島に帰って子守でもやってろ…………っ!!」

「…………っ!!?」

 

 

 

 

 

アルファモンが椎名の目の前で王竜剣を掲げ上げる。

 

ーそして、

 

 

 

 

 

「……………っ!!!………」

ライフ1⇨0

 

 

ー振り下ろす。

 

振り下ろされた王竜剣が椎名のライフに突き刺さり、最後のライフまでもを粉砕した。それは儚くも、一瞬にして、

 

これにより、椎名の負け………葉月の勝利となる。

 

 

「…………………」

 

 

椎名は疲れやショックからか、膝をつき、眠りにつくように、又は気絶するかのようにゆっくりと横たわり、倒れた。

 

 

「し、椎名ぁぁぁあ!!!」

 

 

周りの生徒はざわつき始め、よりバトル場の近くで観戦していた晴太は慌ててそこまで行く。Bパッドで担架を持ってくるように指示したり、倒れた椎名の受け答えを確認したりしている。

 

椎名の仲間達もその光景を見て、とても驚いていたし、心配していた。

 

ーそしてその直後、まだ驚くべきことは続く。

 

 

「…………来い……マグナモン」

 

 

葉月がそう言った途端だった。突如、椎名のマグナモンが椎名のBパッド、デッキから離れ、謎の浮力で飛び行く。目指す場所は、葉月だ。

 

葉月は飛び向かうそれを手に取った。

 

周りの者達も皆驚いていた。浮くカードなど聞いたことがないからだ。そんな摩訶不思議な現象に、今、ジークフリード校の全ての人達が直面している。

 

 

「…………これでようやく【3枚目】だ………」

 

 

葉月はその言葉だけを最後に残し、倒れた椎名のことなど見向きもせずに、その場から立ち去った。

 

 

 




〈本日のハイライトカード!!〉

真夏「今回はこいつや!【アルファモン】!!」

真夏「アルファモンは究極体のデジタルスピリット、そして【ロイヤルナイツ】の1体や!効果はデッキ下バウンス、ドロー、コア除去、終いには回復………おっかない奴や」


******


〈次回予告!!〉

夜宵「あの椎名ちゃんが負けるなんて信じられないな、…………でも椎名ちゃんなら必ずまた立ち上がって来るはず!!……え?もう島に帰る??……やめてよ椎名ちゃん、行かないで〜〜〜!!……次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ「椎名帰郷、真紅の魔竜との出会い!」……今、バトスピが進化を超えますっ!!」



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