バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

47 / 129
第47話「真紅と漆黒、デュークモンVSアルファモン!」

前回、新しいデッキを組んだ椎名は、晴太に代わって葉月にバトルを挑むが、2体のロイヤルナイツの圧倒的戦力差により、直ぐに劣勢となってしまう。が、新たに得たギルモン系のカードを巧みに使いこなし、ついには新たなエース、デュークモンをも煌臨させてみせた。

 

 

 

******

 

 

 

「…………ネクスト・イストリア!!!」

手札5⇨6

デュークモン(疲労⇨回復)

 

 

唯一椎名の場にいるスピリット、紅いマントを靡かせる白い騎士、【デュークモン】は一瞬だけ、赤く発光し、回復状態となった。2度目のアタックの権利を得たのだ。

 

それに対し、葉月の場にあるのはネクサスである【No.1ノースシーロード】と、【バースト】のみ。

 

だが、そのバーストがこの圧倒的に椎名が有利な戦況を一変させるものであって、

 

 

「………お前の一人芸もここで終わりだっ!!」

「っ!?!」

 

 

葉月がそう叫んだ。その強気な発言で、椎名は理解した。今葉月が伏せているあのバーストが何か、

 

ーそれは直ぐに分かることであって、

 

 

「デュークモンのアタックはライフで受けるっ!!」

ライフ4⇨3

 

 

デュークモンの1度目の攻撃が炸裂。聖なる槍の一撃が、葉月のライフを1つ貫いた。

 

この一撃はとても大きいものである。椎名にとっても、そして、葉月にとっても、

 

ー葉月は待ち侘びたかのようにその裏向きのバーストを勢いよく反転させる。

 

 

「俺のライフの減少により、バースト発動!!………アルファモン!!」

「……っ!!」

 

 

その発動させられたバーストとは、椎名も予想してた通り、【ロイヤルナイツ】のアルファモン。

 

その1つ1つが洗練された強力な効果が発揮されて行く。

 

 

「この効果で、相手のスピリット1体をデッキの下へと沈める!!」

「っ!!」

「お前の場のスピリットは1体………俺の眼前から消え失せろぉお!!デュークモンッッ!!」

 

 

デュークモンの背後にデジタルゲートが開かれる。それは何者かが潜む場所。そこから黒い拳が現れ、デュークモンを掴もうとする。

 

まただ。パイルドラモンやジャスティモンと言った者達がそれに引きずり込まれてきた。そして今度はデュークモンが…………

 

しかし、今回はそう簡単には行かなくて………

 

刹那、デュークモンを掴もうとした拳を、何者かが高速で通り過ぎるように弾いた。黒い拳の持ち主は思わずそれをデジタルゲートに引っ込める。

 

 

「………なっ!?……どういうことだ!?なぜデッキに戻らない!!?」

 

 

葉月は驚いた。それは周りにいる真夏、雅治、晴太も同じ。まるで誰かがデュークモンを守ったかのように見えたが…………

 

 

「私はこれを使ったんだよ………赤のブレイブ!!【グラニ】!!」

「っ!?!」

 

 

椎名がそう言うと、その赤のブレイブ、謎の真紅の飛行物体、グラニが空中でホバーリングするかのように場へと素顔を見せた。

 

 

「グラニは手札にいる時、自分の滅竜スピリットが相手の効果の対象になったら、1コストを支払って召喚………さらにこのターン、その対象となったスピリット1体は、効果で破壊されず、手札、デッキに戻らない!!………私はこれをデュークモンに直接合体するように召喚!!」

手札6⇨5

デュークモン(9⇨8)

トラッシュ3s⇨4s

デュークモン+グラニLV3(8)BP24000

 

「っ!!?!小癪な………っ!!」

 

 

グラニは滅竜スピリットを守る力がある。デュークモンも滅竜スピリットの1種であることから、アルファモンの効果から身を守ってくれたのだ。

 

 

「………だが、効果自体を止めるわけではないっ!俺は手札を4枚になるまでドローし、この漆黒のロイヤルナイツ………アルファモンを召喚するっ!!」

手札2⇨4

リザーブ15⇨9

アルファモンLV3(6s)BP20000

 

 

葉月の場に現れるのは巨大なデジタルゲート。そこから降りてくるのは漆黒の鎧を身に纏うロイヤルナイツ。

 

ロイヤルナイツ屈指の実力者でもあるアルファモンが、彼の場へと顕現した。その重圧感と存在感は只者ではない。

 

これで椎名、葉月、両者のエースとなるロイヤルナイツが場に揃ったことになる。デュークモンとアルファモンは互いを睨み合う。まるで決戦前の侍かのごとく………

 

だが、椎名のデュークモンはまだもう一回だけアタックができる。そしてその効果はアルファモン程の大物を破壊できる強力なものであり、

 

 

「私のデュークモンは効果で回復してるからもう一度アタックできるっ!!……いけぇ!デュークモン!!さらにアタック時効果だ!!」

 

 

デュークモンがその槍になった右手を構える。それはアタック時効果を使用する構えだ。

 

 

「デュークモンのアタック時効果っ!!……シンボル2つ以下の相手スピリット1体を破壊するっ!」

「……なに……っ!?!」

「……凄いでぇ!!こんなん殆どなんでも倒せるやん!!」

 

 

椎名の効果説明に、葉月達は驚いた。確かにシンボル2つ以下が対象だと、真夏の言う通り殆どのスピリットは破壊できる。

 

 

「私が選ぶのは当然………アルファモンッ!!………くらえぇえ!!聖槍の一撃!!ロイヤルセーバー!!!」

 

 

デュークモンはそのアルファモンに向けた槍の先から、高密度、高威力のエネルギーをビームとして射出する。それは一直線に伸び、アルファモンへと向かう。

 

そして命中し、その黒い鎧を貫き、破壊……

 

………かと思えたが、

 

 

「……………え?」

 

 

椎名は思わず声をこぼした。それもそうだろう。デュークモンのロイヤルセーバーが決まった直後、荒れ狂う砂埃と爆煙が晴れていく中で、なぜかそれをくらったはずのアルファモンが生存していたのだから。

 

ーその漆黒の鎧には傷1つついてはいない。

 

 

「な、なんで………っ!?」

「残念だったな……俺は手札からこのスピリット………機巧獣ショウエンの効果、【影武者】を発揮していた………」

手札4⇨3

リザーブ9⇨7

トラッシュ0⇨2

 

「…………っ!?!」

 

 

 

【影武者】白属性の一部のスピリットが持つ専用効果だ。さっきのグラニ同様、手札から発揮でき、スピリットを効果から守る力がある。いや、どちらかといえば身代わりと言うべきか……

 

アルファモンにデュークモンのロイヤルセーバーが直撃する寸前、葉月はこの機械の猿のようなスピリット、機巧獣ショウエンの効果を発揮させ、アルファモンの盾としたのだ。

 

 

「…………なるほどね〜〜〜………でもデュークモンのアタック自体が止まっているわけじゃない!!アタック続行だ!!デュークモン!!そして今度はグラニの効果!!相手のデッキを1枚破棄!!」

 

「…………っ!!?!」

破棄カード↓

【絶甲氷盾】×

 

 

グラニが空中から葉月のデッキに向けてビームを放つ。葉月のデッキはそこから1枚だけ破棄された。

 

この効果で、葉月の場にいるスピリットと同じ系統を持つスピリットであれば、また効果でスピリットを破壊できるのだが、葉月の場にいるスピリットはアルファモンのみ、アルファモンの系統は戦機と究極体、そうそういない系統である。

 

このアタック時は無残にも空振りに終わった。

 

ーだが、椎名の言う通り、デュークモンのアタック自体は残っている。デュークモンが地を駆け、葉月のライフを狙う。

 

 

「…………っ!…ライフだっ!!」

ライフ3⇨1

 

 

デュークモンの聖なる槍の一撃が、また葉月のライフを1つ砕いた。そしてもう1つは、空中にいるグラニが突撃していき、破壊した。計2つのライフを砕いたことになる。

 

これで葉月も椎名同様、ライフ1。ギリギリの状態となった。

 

 

「…………ターンエンド!!」

デュークモン+グラニLV3(8)BP24000(疲労)

 

ディーアークLV2(2)

 

バースト【無】

 

 

椎名は出来ること、やれることを全て終えて、そのターンをエンドとした。次は見事場にアルファモンを留めた葉月のターンだ。

 

 

[ターン10]葉月

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ9⇨10

《ドローステップ》手札3⇨4

《リフレッシュステップ》

リザーブ10⇨12

トラッシュ2⇨0

 

 

「メインステップ…………ロイヤルナイツを、デュークモンを使っても所詮はこの程度………椎名、これがお前の限界、そしてこのターンで終わりだ……っ!!」

「っ!?!」

 

 

葉月はさらにもう1体なにかを展開する。それは最初に学園で椎名とバトルした時も召喚したあれだ。

 

 

「召喚!異魔神ブレイブッ!竜機魔神を召喚し、アルファモンと右合体!!!」

手札4⇨3

リザーブ12⇨9

トラッシュ0⇨3

アルファモン+竜機魔神LV3(6)BP25000

 

 

突如現れる紫の靄。その中より姿を見せるのは機械の竜。それは特別なブレイブ。異魔神ブレイブだ。

 

竜機魔神の右の力がアルファモンに与えられる。アルファモンはより一層、その力を高めた。

 

そして葉月はアタックステップへと移行する。終わらせるためだ。このバトルを、そして椎名の持つデュークモンを得るためでもある。

 

 

「アタックステップッ!!やれぇ!!アルファモン!!竜機魔神の右効果で、お前の手札を1枚破棄!!」

 

「んーーーーこれにしよう……」

手札5⇨4

破棄カード↓

【ギルモン】

 

 

竜機魔神の吐き出す紫の靄。それが椎名の手札を攫う。これはどれか1枚を選択しない限りは離れることはない。椎名は仕方なくその中のダブついているギルモンのカードを破棄し、解放させた。

 

ーそして次はアルファモンの効果だ。

 

 

「アルファモンの効果っ!!デュークモンのコアを2つリザーブに置き、さらに2コア支払うことで、アルファモンは回復するっ!!」

リザーブ9⇨7

トラッシュ3⇨5

アルファモン+竜機魔神(疲労⇨回復)

 

「………っ!?」

デュークモン+グラニ(8⇨6)

 

 

アルファモンが無数のデジタルゲートを展開し、そこから波動弾を連射。いくつかデュークモンに被弾するが、置かれているコアが多かったか、デュークモンはそれを受けてもなお、LV3のまま、生き延びていた。

 

その後、アルファモンはデジタルゲートから自身の武器である王竜剣を手繰り寄せる。

 

実際は回復する意味など殆どない。椎名のライフは1。唯一のスピリットであるデュークモンは疲労状態であるからだ。

 

 

「ま、まずい、これをそのまま受けたら椎名の負けだ………」

 

 

雅治がそう呟いた。

 

だが、まだ椎名は負けない。その手札から1枚引き抜き、アルファモンを倒しに行く。

 

 

「まだだぁぁあ!!フラッシュマジック!!スクランブルブースター!!」

手札4⇨3

リザーブ2⇨1

トラッシュ4s⇨5s

 

「…………っ!!」

「この効果で、このバトルのみ、デュークモンを疲労ブロッカーとする!!………迎え撃て!!デュークモン!!!」

 

 

白のマジック、スクランブルブースター。これで椎名はデュークモンを選択し、アルファモンへとそれをぶつける。

 

だが、BPは僅かながらにデュークモンが下回っており………

 

 

「馬鹿めぇ!!一度防いだところで結果は変わらん!!……アルファモンッッ!!!」

 

 

椎名のデュークモンの聖なる槍。そして葉月のアルファモンの王竜剣が火花を散らしながら激突する。そのパワーは若干ながらアルファモンが上だったか、徐々に徐々にとデュークモンを押していく。

 

デュークモンは不利と見たか、一旦アルファモンとの距離を取り、そこから再び槍からのビームであるロイヤルセーバーを連射する。

 

が、アルファモンには全く通じず、それらはデジタルゲートに吸い込まされたり、王竜剣で断ち切られる等で凌がれる。

 

ーそして………

 

 

「終わりだ………俺の眼前から消え失せろ…………」

 

 

葉月がそう呟いた瞬間。アルファモンは王竜剣を掲げ上げながら大きく飛び上がり………

 

 

「………究極戦刄王竜剣………っ!!!」

 

 

その剣、王竜剣をデュークモンの頭部に向けて振り下ろした。そして衝突。この場に鈍い音が鳴り響いた。

 

デュークモンの頭はいとも容易くそれに砕かれ…………破壊。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーされるはずだった…………

 

 

「…………っ!?!……なっ!?」

 

 

その光景を見て、葉月は驚かずにはいられなかった。

 

何せ、砕かれていたのはデュークモンの頭ではなく、アルファモンの王竜剣の方だったのだから………

 

それは刃先からひび割れていき、やがて地面へと完全にバラバラと落ち、アルファモンの手に残るのは柄だけとなった。

 

いったい何が起きたのか………それは、その答えはなんともシンプルなものだった。

 

 

「………フラッシュマジック!!………レッドカード!!フラッシュ効果により、デュークモンのBPを3000上げるっ!!………よってそのBPは27000!!!」

手札3⇨2

ディーアーク(2⇨0)LV2⇨1

トラッシュ5s⇨7s

 

「…………っ!?!」

 

 

椎名の使ったマジック、レッドカード。これによりデュークモンのBPが瞬間的に3000も上昇したのだ。これでBP25000のアルファモンを超えた。

 

ーそして

 

 

「……この一撃で決めるっ!!………いっけぇ!!デュークモン!!!」

 

 

結果的に、不用意に近づいてきたアルファモン、デュークモンはその機を逃さず、その巨大な盾となっている左手をそれに向ける。

 

そしてそこにロイヤルセーバーとは比にならないほどのエネルギーを瞬時に蓄積し…………

 

 

「………聖盾の一撃!!!ファイナル・エリシオンッッ!!!」

 

 

椎名がその技名を叫ぶと共に蓄積されたエネルギーが盾から一直線に真っ直ぐに飛び行く。アルファモンは流石に近すぎたか、避けることは叶わず、それをもろに受けてしまう。

 

土手っ腹とマントに風穴を開けられたアルファモンは流石に力尽きたか、ゆっくりと倒れ、その場で大爆発を起こした。

 

ー椎名はようやく、ようやく強敵、アルファモンを撃破した。

 

 

「…………な、なん、だとっっ!?!」

「や、やったで!!椎名がアルファモンを倒しよった!!」

 

 

そのアルファモンが敗北する瞬間を見て、驚愕する葉月。真夏や雅治は逆にその光景を見てガッツポーズし、喜んでいた。

 

 

「スクランブルブースターの効果でカードをドロー!」

手札2⇨4

 

「…………た、ターン……エンド………っ!!」

竜機魔神LV1

 

No.1ノースシーロードLV1

 

バースト【無】

 

 

屈辱だ。こんなものは何かの間違いだ。そう信じたかった葉月だが、いくら願おうが結果は変わらない。

 

屈辱にまみれたその表情を崩さないまま、そのターンを終えた。

 

次は椎名のターン。おそらく、これが最後となるだろう。

 

 

[ターン11]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ1⇨2

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ2⇨9

トラッシュ7⇨0

デュークモン+グラニ(疲労⇨回復)

 

 

椎名はゆっくりとターンシークエンスを進めた。

 

ーそしてメインステップを行うことなくアタックステップへと移行し………

 

 

「デュークモンッ!!……アタックだ!効果で竜機魔神を破壊!!」

 

 

デュークモンにアタックの指示を送った。デュークモンは手始めと言わんばかりに再び槍からのビーム、ロイヤルセーバーを葉月の竜機魔神へと放つ。

 

竜機魔神はこれを回避する術はない。直撃し、ゆっくりと消滅していった。

 

そして、葉月の手札にはもはやこのデュークモンのアタックを返せるものはない。

 

ー終わりだ。長きに渡って戦慄させ続けてきた修羅も、ここで一旦落ちることになる。

 

 

「…………ば、馬鹿な!?………全てのバトラーの頂点を取るこの俺が………」

 

 

「負けるだと?」葉月がそう信じられないような想いを言いかけた時だった。

 

 

「……葉月ぃぃい!!!」

「……っ!?!」

 

 

椎名が葉月に大きな声で叫んだ。

 

 

「……前に葉月はさ!…真なる家族は血で結ばれるものだって言ってたけど………私は違うと思う!!」

「………何を唐突に……っ!!」

「きっと家族は思い出や、記憶で繋がるものなんだ!!」

 

 

椎名は咄嗟に昔、6年前に葉月に言われたことを思い出していた。これはその時からずっと6年間言い返したかった言葉だ。

 

 

「………っ!!…だからなんだと言うんだ!!何が言いたいっ!?!」

「だから私達は家族だって言ってるんだよっ!!」

「…………っ!!」

 

 

次の瞬間、デュークモンがグラニの背に飛び乗り、搭乗する。そしてそのまま凄まじいスピードで、2体は葉月のライフへと突撃していく。

 

そして椎名はその右拳を突き出しながらその技名を叫ぶ。

 

 

「……竜騎絶撃!!!ドラゴンドライバアァァァァア!!!!!」

 

「………くっ!!……ふ、ふざけるなぁぁぁあ!!!」

ライフ1⇨0

 

 

それは一瞬のうちに葉月を通り過ぎるかのように、電光石火の如く、そのライフを葉月の悲痛な叫びと共に打ち砕いた。

 

これにより、葉月のライフはゼロ。

 

ー勝者は芽座椎名だ。見事、葉月に初勝利を収めてみせた。

 

 

「…………よっしゃあ!!葉月に初勝利だぁ!!!」

 

 

椎名はこの時、芽座葉月に人生で初めて勝ち星を挙げた。

 

喜びのあまりその場で飛び上がる椎名。バトルの終了に伴い、最後まで場に残ったデュークモンとグラニはゆっくりとその場から消滅していく。

 

ーそして、あのカードもようやく椎名の元に帰ってくることになる。

 

 

「………っ!?!」

 

 

葉月のデッキから1枚のカードが浮遊する。それは椎名の強奪された【ロイヤルナイツ】の一柱、マグナモン。

 

それは謎の浮遊を続けたまま、椎名の元へと飛び立った。

 

椎名はそれをパシッと手に取った。そしてそれをゆっくりと確認する。間違いない。本物のマグナモンだ。

 

 

「………お帰り、マグナモン」

 

 

椎名はそれに対し、そう優しく告げた。

 

そして椎名はBパッドに顔を向けたまま現実逃避をし続ける葉月の前まで赴き、

 

 

「………葉月……楽しいバトルだったよ!!またやろうね!!」

 

 

椎名はあいも変わらず優しげで明るい笑顔を葉月に振る舞った。

 

 

「…………ふざけるな………っ!!」

「………っ!?!」

 

 

葉月は顔を上げて椎名にきつい第一声を放った。その顔の表情は怒りに満ちている。

 

 

「………バトルは楽しむものではない!!己が力を証明するための道具だ!!」

 

 

そう。それが葉月のバトルに対する考え方。6年前、そのこともあって、六月とも違った。

 

そんな椎名の返答は……

 

 

「………いや、違うよ……別に葉月が強さを求めるのは勝手だけどさ………やっぱりバトルはどこまでいっても楽しむものだよ……私はそう思うし、信じている…………」

 

 

ーそう言った。

 

それは界放市に来て、今まで数々の試練や苦悩を体験してきた椎名だからこそ言える言葉であった。

 

椎名とて、葉月の言う通り、力を証明するためにバトルをしたことはある。だが、その前に先ず、又はその先には、バトルを楽しむと言う気持ちが必ずあった。

 

 

「………何より私達家族だからさ!!絶対同じ気持ちになれるって!!!」

「…………」

 

 

椎名は葉月にブイの字サインを見せながらそう言った。椎名は未だに、変わってしまった葉月のことも家族だと思っている。

 

そんな椎名の言葉を聞くなり、葉月はもう疲れたのか、何も言い返しはせず、後ろを振り向き、一言二言だけを残す。

 

 

「………俺はいずれ、全てのロイヤルナイツを手にする………だが、今はお前にその2枚を預けておく………」

 

 

椎名の言っていることが何もわかっていないのか、そう言って、この空港の屋上を降りていった。椎名にはその背中がやけに寂しく見えて仕方なかった。

 

 

「…………少しでもわかってくれればいいんだけどなぁ〜〜」

 

 

椎名がそんな言葉をこぼした時だった。それを見ていた仲間達がわっと椎名に声をかけてくる。

 

 

 

「勝利おめでとう椎名!これで一件落着だね!」

 

 

先ず雅治が椎名にそう言った。椎名もそれに対して喜んで頷いた。

 

 

「椎名ぁ!!凄かったやん!!なんや他にもカードもろうたんかぁ?」

「……真夏ぁ!そうそう!オマケみたいな感じでさ〜〜〜」

 

 

次は真夏だった。椎名もそれに対し明るく受け答えをした。

 

 

「………椎名………」

 

 

最後は担任の晴太だった。名前を彼に呼ばれて、椎名もそっちの方を振り向く。

 

ーが………

 

 

「晴太先生!!勝ちましたよぉ!!マグナモンもこのとおぉぉぉり!!」

 

 

椎名が晴太に勢いよく、そして何より自慢気にその取り返したマグナモンのカードを見せる。

 

ーしかし、

 

 

「…………まぁ、それはいいんだけど……お前、何日学校無断で休んだ??」

「…………はい?」

 

 

椎名はなんか唐突に晴太がお怒りモードに入った気がした。いや、入っている。普段通り物静かであるが、確実に。

 

 

「…………え、え〜〜っと………1週間くらい?………かな〜〜」

「…………じゃあお前はこれから1週間補講だな」

 

 

晴太がそう椎名にゆっくりと静かに告げた。

 

椎名が「えぇ!?!」っとめんどくさそうな声を上げると、仲間達はまたそこが笑いのツボに入った。

 

ようやくだ。ようやくいつも通りの日常が帰ってくる。

 

 

 

******

 

 

ここは空港の中、チェックインを済ませた葉月は、その自分が乗る飛行機が来るのをただひたすらベンチに座って待っていた。

 

ーそんな時だ。メガネをかけた細身の若い男が彼に近づいていき、

 

 

「………結果はプラマイゼロか……意外と大したことないんだな……芽座葉月……」

 

 

そんな悪態をつくような言葉を彼にぶつけた。この男は先の椎名の事や葉月の事、そしてそれらが絡んだロイヤルナイツの件を全て知っているのだろうか。

 

 

「…………黙ってろ【銃魔(じゅうま)】……」

 

 

葉月がそれに対して低い声で脅すように重圧をかける。

 

だが、男は物ともせず、

 

 

「その程度で【Dr.A】の力になろうと言うのだから、本当に笑わせる……」

「お前ら小物と一緒にするな……俺が【Dr.A】に協力しているのも、奴が【ロイヤルナイツ】の情報をくれるからだ」

「…………ほぉ、小物か………」

 

 

メガネの男、銃魔は、少しだけ苛立ったか、メガネを指先で触る仕草に、彼が怒りの感情を募らせていることが感じ取れる。

 

この会話の流れでさりげなく出てきた【Dr.A】。彼は数々の事件を引き起こしてきた犯罪者だ。未だ椎名達とは直接絡んだことはないが、紫治一族と戦った時には間接的に絡んでいる。

 

また、その謎も多い。今のところは科学者であると言うことと、年長の男性であることだけが知られている。

 

このメガネの男、銃魔はその【Dr.A】となにやら密接な関係にあるらしい。

 

それだけではない。葉月もまた【Dr.A】と絡んでいるような口ぶりであった。

 

 

「………まぁ良い、貴様が提供した情報は確かだった……それだけで十分だ……まさか本当に義妹だったとはな……」

「…………俺は芽座六月の孫だ。当然知っている………そして、あいつは俺の義妹じゃない………」

 

 

葉月の言葉に対して、銃魔は軽く「そうか……」とだけ呟いた。

 

これは【芽座椎名】のことだろうか。

 

椎名も何かこれらの謎に関連してくるのか………

 

ーそして銃魔は話題を変える。それは葉月が驚くものであり、

 

 

「………にしても貴様、知らなかったんだな……【真紅の魔竜】のこと……」

「…………っ!?!お前はあれがなんなのか知っているのかっ!?」

 

 

葉月が驚くようにベンチから立ち上がった。それもそのはず、自分でも知らなかったあの椎名が使ってた謎の紅いカード達のことを、この銃魔は知っているかのような口ぶりで話してくるのだから……

 

 

「……あぁ、だが、これを話すと、【17年前の真実】に直結するが………それでも構わないか?」

「………………あぁ、構わん…話せ」

 

 

 

葉月は少しだけ悩むが、それを、真紅の魔竜達について詳しく聞くことにした。

 

銃魔が口にした【17年前の真実】

 

ー真紅の魔竜の、ギルモン系統のカード達が何故存在するのか、その過去を話すだけで、

 

ーこの物語の全貌が明らかになる。

 

ーそれを葉月は耳にすることになった。

 

 




〈本日のハイライトカード!!〉

椎名「今回のカードは【デュークモン】!!」

椎名「私の新しいエース!!デュークモンは、赤のロイヤルナイツ!!アタック時のロイヤルセーバーはシンボル2つ以下の相手ならなんだって破壊できちゃうよ!!」


******


〈次回予告!!〉

椎名「よっしゃぁぁぁあ!!葉月に初勝利!!結局葉月を心から救えたかはわからないけど、なんか少しは進歩できた気がするよ!!……このままどんどん強くなるぞ〜〜……って、みんななんか強くなってない?…私じゃ勝てないんだけど………次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ…「椎名のスランプ!? ブイorギル!」……今、バトスピが進化を超える!!」


******


最後までお読みくださり、ありがとうございました!
もうしばらくこの章は続きます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。