日中蝉の鳴き声が木霊する夏休み真っ盛りのこの時期。学生であるなら、普通は遊び、遊び、また、遊びまくる筈だ。海に行ったり、お祭りに行ったりと、
ーだが、この少女だけはこの日、夏休みとはベストマッチしない学園の校舎の中にいて…………
「…………せんせ〜〜い!!!なんで私だけ今日学校行かなきゃならないんですかぁ!?」
校舎内を歩きながら、赤毛の少女芽座椎名は、担任の空野晴太にそう声を伸ばしながら言った。
そうだ。なぜか今日。椎名は晴太に学園に来るように呼び出された。晴太は歩きながらそれを説明していく。
「いや、お前あれだよ、「数学」と「物理」の教科、赤点だったろ」
「…………でしたっけ?」
「惚けるなぁ!!その補講なんだよ!!」
「えーー!?なんでそうなるんすかぁ!?」
椎名は1学期末の筆記テストにおいて、「数学」「物理」のテストが赤点であった。実際はテスト内容は簡単だったのだ。教科書を読んでおけば、少なくとも赤点くらいは免れたことだろう。
だがそれを一切せずに赤点を取ったのがこの椎名なのだ。彼女が学園にたった1人で呼び出されたのはそういうことだ。
「それで今回はお前に特別な講師を紹介することになった………」
「……子牛?」
「講師な……先生みたいな意味だ……………着いたぞ」
晴太が椎名の間違いを訂正しながらも、目的地となる所に到着したことを告げた。
ーここは理科の実験室。人体模型はもちろんのこと、アルコールランプや、顕微鏡なども置いてある普通の学校となんら変わりない理科室だ。
ーその扉の前に、今2人は立っている。
「ここに特別な子牛がいるんですか?」
「そうだ……みっちり教えてもらえよ!!また後で様子見にくっからな!!」
そう晴太は念を押すように言葉を残し、実験室を離れていった。椎名はただ1人となり、不安になりつつもその実験室の扉をゆっくりと開ける。
ーすると、そこにいたのは…………
「………し、失礼しま〜〜す………」
「よしっ!!いいぞいいぞ!!その調子だっ!!」
「……………牛じゃないんだ……」
そこにいたのは30は超えてそうな細身の男性。黒々とした髪と、物理の講師らしく白衣の衣装をその身に纏っている。
彼は教卓の上で実験を行なっていた。なにやらシリンダーを使って液体を混ぜているように見える。
だが、問題なのはそれに集中しすぎて、この実験室に入室してきた椎名の存在に全く気づいていないと言うことだ。椎名は自分の存在を知らせるために彼に近寄る………
「あの〜〜!!すみません!!芽座椎名って言います!!貴方が特別な子牛ですか!?」
「よしっ!!最高じゃないか!!仕上げはこれを入れてみよう!!」
「おーーーーい!!!」
だめだ。いくら耳元で叫んでも全く聞く耳を持ってくれないし、振り向いてもくれない。
そんな中、彼が仕上げと言いながらまた別の液体をシリンダーの中へと一滴分投入する。
ーすると、そのシリンダーはみるみるうちに変色し、ぶくぶくと沸騰していく……………
ーそして………
ーボカーーーーーーン!!!!
大爆発を起こした。
******
「いや〜〜悪いことしたなぁ!!俺は【兎戦 確率(とせん かくりつ)】。今回、君の特別講師を担当することになった天才物理学者だ!!よろしく!!」
「はぁ、芽座椎名です………」
2人はさっきの爆発で顔が真っ黒である。
普通自分で天才なんて言うか?……そう思いながら椎名は白いタオルで汚れた顔を拭きつつも軽く挨拶をした。
だが、この男、兎戦確率は、実際、本物の天才なのだ。いくつかの賞も受賞しているほどに。自分から天才と名乗ってもなんの偽りでもない。Bパッドの開発も彼が携わったくらいだ。
まぁ、そんなこと椎名が知る由はないのだが、
「ところで……1学期末の「物理」と「数学」のテスト……君の答案を見たけど……ありゃ酷いな、簡単な問題ばっかりだったのに……特に計算問題が酷かった」
「あっはは!!いや〜〜私計算とかそういうのは全然ダメでしてーー」
まるでなんで赤点を取れるんだと言わんばかりの言いようである。実際はそうなのだが、
「やっぱ、俺が一から教え込む必要があるよな………」
そう言って、確率ななぜか懐からBパッドを取り出し、それを展開した。
「Bパッド?」
「物理や数学の基礎はバトルスピリッツに通用するものがある。だからバトルをしながら君に身をもって教えてあげよう」
「マジっすか!!!やったあ!!物理の補講とか言うからどんなものかと思えば………バトルなら大歓迎だよ!!」
なぜか妙な理由でバトルすることになった。どんなに理由でも構わないのか、バトルすると言う単語だけで諸手を上げ、喜ぶように飛び跳ねる椎名。教卓からある程度の距離を取り、自分もBパッドを展開した。
ーそして始まる。補講でのバトルスピリッツが、天才物理学者と椎名のバトルが…………
「「ゲートオープン、界放!!」」
ーバトルが始まった。先行は確率だ。彼はいったいどんなデッキを使用するのだろうか。
[ターン01]確率
《スタートステップ》
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ………先ずはこれだな、ネクサスカード、パンドラボックスをLV2で配置」
手札5⇨4
リザーブ4⇨0
トラッシュ0⇨3
「…………?」
確率が配置したのは黒くて四角い箱。だが、それは開けてはならない禁忌の箱でもある。
「このカードはLV2の時、破壊されたら相手のターンを強制的に終了させるから気をつけてねーーターンエンド」
パンドラボックスLV2(1)
バースト【無】
なんかやばいことをさらっと言った気がする。
そう。このパンドラボックスは破壊して(開けて)仕舞えば相手のターン(世界)を終了(崩壊)させてしまう。そんな危険なネクサスを残しつつ、確率はそのターンを終えた。次は椎名のターンだ。
[ターン02]椎名
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップっ!!ブイモンを召喚!!」
手札5⇨4
リザーブ5⇨1
トラッシュ0⇨3
椎名が颯爽と召喚したのはデッキのエンジン的存在であるブイモン。青い体の小さい竜だ。額のブイの字が特徴的。今回は教室でのバトルということもあって机の上に立っている。そのこともあって珍しく椎名と目線が同じだ。
椎名は早速その召喚時効果を使用する。
「召喚時効果!!カードを2枚オープンし、その中の対象となるデジタルスピリットを手札に加える!!」
オープンカード↓
【ワームモン】×
【デジヴァイス】×
だが、今回は失敗。めくられた2枚のカードはそのままトラッシュへと破棄された。
「…………45.7%………」
「ん?」
確率は突然謎めいた数字を言い出した。いったい何を意味しているのか椎名にはちんぷんかんぷんである。
「この状況でブイモンの効果で手札に加えられる確率だ…………ほぼほぼハーフハーフだったらまぁ、落ちるよね」
確率は椎名のブイモンの効果により手札に加えられる確率を瞬時に計算していたのだ。
「へ〜〜〜〜………え?ちょっとまって!!なんでそんなことわかるんですか!?」
椎名がそう声を荒げる。単純に浮かんだ疑問だった。そんな確率は椎名のデッキに何が入っているか知っていないとできないものである。
だが、答えは簡単で、
「あぁ、俺は晴太先生から事前に君のデッキの内容を見てもらっていたからね、多少はわかるよ」
「え〜〜!?ずるい!!私確率先生のデッキこれっぽっちも知らないよ!?」
椎名が頬を膨らませて確率に文句垂れる。
「まぁ、そういう授業だとでも思って受けてくれ………計算力は常日頃から考えることによって培われていく。バトル中に計算するのは最も良いトレーニングになるぞ!!」
「言ってる事全然分かんないな……………まあいいや私はフレイドラモンの【アーマー進化】発揮!!対象はブイモン!!」
椎名はそんな確率の言葉など全く気にせずに自分のターンを進める。
ブイモンの頭上に赤くて独特な形をした卵が投下される。ブイモンはそれと衝突し、混ざり合う。
「1コスト支支払い、燃え上がる勇気、フレイドラモンをLV1で召喚!!」
リザーブ1⇨0
トラッシュ3⇨4
フレイドラモンLV1(1)BP6000
新たに現れたのは赤き炎の竜人。フレイドラモン。椎名のエースの1体が早速場に現れた。
「なるほど〜〜既に進化系を手札に持っていたか…………それならさっきのブイモンの効果は確率が下がって43.3%だったな」
「もう!!そんなの別にいいでしょ!?………フレイドラモンでアタック!!」
先のブイモンの効果はもっと確率は低かったと言う天才物理学者、確率。だが、椎名にとってそんなこと知ったことではない。フレイドラモンが確率のライフを減らすべく机の上からそこへ向け、飛び上がる。
「これも講義の一貫なんだがなぁ………ライフで受ける」
ライフ5⇨4
場にはネクサスしかない確率はフレイドラモンの燃え盛る炎のパンチをライフで受けた。そのライフは1つ砕かれる。
「よっし!!ターンエンドっ!!」
フレイドラモンLV1(1)BP6000(疲労)
バースト【無】
椎名はできることを全て終え、そのターンのエンドとした。次は確率のターン。そろそろ本腰を入れてくる頃だが………
[ターン03]確率
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨5
トラッシュ3⇨0
「メインステップ………2枚目のパンドラボックスを配置………さぁ、実験を始めようか……」
手札5⇨4
リザーブ5⇨3
トラッシュ0⇨2
「っ!!」
2枚目となるパンドラボックスを配置した確率。そして立て続けに放った言葉が、さっきまでふわふわしていた空気を妙にピリつかせた。椎名はこのターンに何かが起きることを悟る。
その直感は的中している。今から確率が呼び出そうとしているのは自身のデッキの軸となるスピリットだ。
「俺は仮面ライダービルド ラビットタンクフォーム[3]をLV1で召喚するっ!!」
手札4⇨3
リザーブ3⇨1
トラッシュ2⇨3
「っ!!?」
"ラビット!!タンク!!……ベストマッチ!!”
そんな陽気な機械音が流れてくる。そして次の瞬間、確率の場から多量の水蒸気が発生し、一瞬にして理科室の実験室を覆い尽くした。
「あわわわわ〜〜前が見えない!!換気換気ぃい!!」
椎名は慌てて閉じられていた理科室の窓を開けに行った。多量にあった水蒸気は開けられた窓から外の方へとどんどん逃げていく。
ーそして、それによって遮られていた視界が全開となり、確率の場に出てきていたスピリットを視認でにるようになる。
ーその名も………
“Are you ready?”
“鋼のムーンサルト!!……ラビットタンク!!”
“イエーイ!!”
「………仮面スピリット……」
現れていたのは仮面スピリットが1体。ビルド。その中でも最も基本的なフォーム、ラビットタンクフォーム。赤と青のカラーリングが縦に捩れるように構成されている。
「そうこれがこの天才の使う仮面スピリット………名をビルド!!召喚時効果!!カードを2枚オープンし、その中の対象となる仮面スピリットを手札に加える!!……そしてその確率は98.6%!!」
オープンカード↓
【仮面ライダービルド ファイヤーヘッジホッグフォーム】◯
【仮面ライダークローズ】◯
効果は成功。確率はその中から【仮面ライダービルド ファイヤーヘッジホッグフォーム】を手札に加えた。
「当然!!加えられる!!………そしてアタックステップ!!ラビットタンク!!」
手札4⇨5
ラビットタンクでアタックを仕掛ける確率。そしてこのフラッシュこそ仮面スピリット達が最も強い瞬間でもある。確率は手札を1枚引き抜き、それを使用する。
「フラッシュ!!【チェンジ】を発揮!!対象はラビットタンク!!」
パンドラボックス(1⇨0)LV2⇨1
パンドラボックス(1⇨0)LV2⇨1
トラッシュ3⇨5
「…………っ!!」
ラピッドタンクは小さなボトルを1つずつ両手に持つ。そしてそれを縦にシェイクし、腰にあるベルトに差し込む。そしてそのベルトの横にある取っ手をくるくると回して、その成分を混ぜていく。
“ハリネズミ!!消防車!!……ベストマッチ!!”
“Are you ready?”
また妙な音声が聞こえてくる。ラピットタンクに前方と背後に何かが迫る。それはほぼ同時にラビットタンクを圧縮するかのように衝突し、新たなるビルドを形成する。
“レスキュー剣山!!ファイヤーヘッジホッグ!!”
“イエーイ!!”
新たなビルドは濃ゆい赤と白い体を持つ者。右手にはトゲトゲのボール。左手には何かが飛び出してきそうな武器が備えられている。
そしてここで【チェンジ】の効果が本格的に発揮されていく。
「ファイヤーヘッジホッグの【チェンジ】効果でBP7000以下のスピリット1体を破壊する!!」
「っ!!」
「俺はこの効果でフレイドラモンを破壊する!!」
ファイヤーヘッジホッグの左手の武器から多量の水が射出される。それは水の苦手なフレイドラモンにとっては大ダメージ。それは受けたフレイドラモンは力尽き、爆発を起こした。
「くっ!!フレイドラモンっ!!」
フレイドラモンの爆風を肌で感じながらそれを嘆く椎名。だが、実際はそんなことをしている場合ではない。
「そして【チェンジ】で入れ替わったスピリットは回復状態。バトルならそのまま続行させる!!」
そう。確率はラビットタンクのアタック時のフラッシュタイミングでファイヤーヘッジホッグの【チェンジ】を使った。つまり、この場でファイヤーヘッジホッグによる2回連続攻撃が決まるのだ。
「ライフで受けるっ!!」
ライフ5⇨4
今の椎名にこれを防ぐ手立ては無い。ファイヤーヘッジホッグはジャンプし、右手のトゲトゲを振り下ろし、椎名のライフを砕いた。
「そしてもう一撃!!」
「それもライフだっ!!……ぐっ!!」
ライフ4⇨3
着地した瞬間ももう一撃そのトゲトゲの武器で椎名のライフをまた1つ破壊した。
「ふっふっふ………ターンエンドだ」
仮面ライダービルド ファイヤーヘッジホッグフォームLV1(1)BP4000(疲労)
パンドラボックスLV1
パンドラボックスLV1
バースト【無】
確率はできることを全て終えてそのターンを終えた。この序盤で椎名のフレイドラモンを破壊しつつ、ライフを2つも削ったのだ。流石に見事と言わざるを得ないだろう。
次は椎名のターンだ。ここから挽回となるか、
[ターン04]椎名
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ3⇨4
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ4⇨8
トラッシュ4⇨0
「メインステップっ!!……面白くなってきたぁ!!ここから大逆転だ!!ブイモンを召喚!!そしてその召喚時効果も使用!!」
手札5⇨4
リザーブ8⇨4
トラッシュ0⇨3
オープンカード↓
【ギルモン】×
【パイルドラモン】◯
椎名は反撃開始と言わんばかりに【アーマー進化】の効果で手札に戻ってきていたブイモンを再召喚する。
そしてその召喚時効果も成功。完全体であるパイルドラモンを手札に加えた。
「よし!パイルドラモンを手札に加えるっ!!」
手札4⇨5
「あの中からたった1枚のカードを引く確率は……………11.9%か」
「もう!!いちいち口挟まないでくださいよぉ!!」
「君のための講義だ!!君も計算しなさい!!」
そうは言われても計算の仕方もわからない椎名には解けるわけがない。やはり本来は教師ではないからか、確率は物事を教えるのが少々下手であるようだ。
椎名はそんなことは気にせずに、次の一手を繰り出す。
「ブイモンの追加効果!!2コスト支払い、スティングモンを召喚するっ!!」
手札5⇨4
リザーブ4⇨1
トラッシュ3⇨5
スティングモン(1⇨2)
ブイモンが呼び寄せたのはスマートな緑の昆虫戦士、スティングモン。その効果でコアが1つ追加された。
そしてそれは進化の布石でもあって……
「さらにバーストをセットして、アタックステップっ!!スティングモンでアタック!!その効果でコアを増やし、LV2に!!」
手札4⇨3
スティングモン(2⇨3)LV1⇨2
椎名のバーストが伏せられると同時に、メインステップからアタックステップへと移行され、スティングモンのLVが上がる。それはBPアップだけでなく、新たな力を与えている。
「そのままスティングモンのLV2、3のアタック時効果!!【超進化:緑】を発揮!!」
「………っ!!」
「パイルドラモンをLV2で召喚っ!!」
パイルドラモンLV2(3)BP10000
スティングモンにデジタルコードが巻き付けられる。そしてその中で姿形を変え、それを突き抜けて現れたのは腰に2丁の機関銃を携えた至高の竜戦士パイルドラモン。椎名の第2のエースだ。
「パイルドラモンの召喚時効果!!コスト7以下のスピリット1体を破壊するっ!!」
「っ!!」
「私はこの効果でコスト4のファイヤーヘッジホッグフォームを破壊!!……デスペラードブラスター!!!」
パイルドラモンは腰の機関銃を持ち上げ、ファイヤーヘッジホッグへ向け連射する。ファイヤーヘッジホッグは流石に全ては避けられず、命中し、破壊された。
「さらにアタックステップは継続!!パイルドラモンでアタックっ!!そしてその効果、エレメンタルチャージ!!!ボイドからコアを2つパイルドラモンに置き、回復させる!!」
パイルドラモン(3⇨5)LV2⇨3(疲労⇨回復)
パイルドラモンの肉体に一瞬、様々な色をした光が灯される。それはパイルドラモンにコアが置かれた証であり、疲労状態から回復状態となった証でもある。これでこのターンの2度連続攻撃を可能にした。
「いけぇ!!パイルドラモンっ!!」
「……くっ!!ライフで受けよう……っ!!」
ライフ4⇨3
パイルドラモンの機関銃が、今度は確率のライフを狙い撃った。そのライフは忽ち1つ砕かれた。
「さらにもう一発!!」
パイルドラモン(5⇨7)
「……ライフで受けよう………っ!!」
ライフ3⇨2
再び放たれたパイルドラモンの銃撃の嵐が確率を襲った。そのライフをまた1つ散らす。
いよいよ残り後2つ。追い込まれた。そして今度はブイモンのアタックだ。椎名は一気に畳み掛ける。
「ブイモンっ!!」
意気揚々と走り出すブイブイモン。
ーだが、ここでライフを1にされるのは痛いとみたか……確率は手札のカードを1枚引き抜き、それを止めに行く。
「フラッシュ!!【チェンジ】!!仮面ライダービルド ファイヤーヘッジホッグフォーム!!この効果でBP7000以下のスピリット、ブイモンを破壊する!!」
手札5⇨4
リザーブ3⇨1
トラッシュ5⇨7
「なぁ!?2枚目ぇ!?」
仮面スピリットの【チェンジ】の効果は、デジタルスピリットの【進化】とは違って対象となるスピリットが場に存在しなくても発揮が可能。その場合は通常のマジックのように効果の使用後にトラッシュへ破棄されてしまうが、
パイルドラモンが倒したはずの仮面ライダービルド ファイヤーヘッジホッグフォームが確率の場へと出現する。そのまま走ってくるブイモンに向けて左手の武器から火炎放射を放つ。ブイモンはそれに耐えきれずに爆発してしまった。
その後、ファイヤーヘッジホッグフォームはその場からゆっくりと消滅していった。
「くっそ〜〜〜仕方ないかーー……ターンエンド!!」
パイルドラモンLV3(7)BP13000(疲労)
バースト【有】
ブイモンが破壊されたものの、確率のライフと盤面を大きく削いだこのターン。椎名はできる限りのことをしてそのターンをエンドとした。
次は確率のターン。椎名のパイルドラモンをどう対処していくのか、見ものである。
[ターン05]確率
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨9
トラッシュ7⇨0
「メインステップ!!仮面ライダービルド ラビットタンクフォーム[3]を召喚!!そして召喚時効果!!その確率は97.4%!!」
手札5⇨4
リザーブ9⇨5
トラッシュ0⇨1
オープンカード↓
【仮面ライダービルド キードラゴンフォーム】◯
【パンドラボックス】×
【チェンジ】の効果で手札に戻っていたラビットタンクフォームがまた妙な音声と共に場に現れた。そしてその召喚時効果も成功。確率はキードラゴンフォームのカードを手札に加えた。
「さらに仮面ライダービルド ゴリラモンドフォームを召喚!!」
手札4⇨5⇨4
リザーブ5⇨2
トラッシュ1⇨3
“ゴリラ!!ダイヤモンド!!……ベストマッチ!!”
“Are you ready?”
“輝きのデストロイヤー!!ゴリラモンドフォーム!!”
“イエーイ!!!”
また妙な音声と共に新たなビルドが現れた。今度は水色とオレンジ色。ゴリラのワイルドなパワーとダイヤモンドの圧倒的な硬度が合わさったベストマッチフォームだ。
これで下準備は整った。確率はここからアタックステップへと移行し、勝負を決めるべく畳み掛ける。
「勝利の法則は………決まった!!」
「……っ!!」
これは彼のいつもの決め台詞。右手をスナップさせながら言った。これを聞いて生き延びれた者は数少ない。
「アタックステップ!!ラビットタンクでアタック!!」
走り出すラビットタンクフォーム。
ーそしてまたこのタイミングでビルドの強力な【チェンジ】が発揮される。その【チェンジ】はその名の通り危険なビルド。
「フラッシュ!!仮面ライダービルド ラビットタンクハザードフォーム!!対象はアタック中のラビットタンク!!」
リザーブ2⇨0
仮面ライダービルド ラビットタンクフォーム(3⇨2)LV2⇨1
トラッシュ3⇨6
「っ!!」
“ハザードオン!!!”
ラビットタンクフォームが自身のベルトに謎の機械を取り付ける。そして横にある取っ手を回し、新たな姿へと変身する。黒い靄がかかってその姿が見えなくなる。
“ラビット!!タンク!!……スーパーベストマッチ!!!”
“Are you ready?”
“アンコントロールスイッチ!!”
“ブラックトリガー!!”
“ヤベーーーイ!!!”
黒い靄から現れたのは黒いビルド。目の部分のみが赤と青であるため、辛うじてラビットタンクフォームであることがわかる。だが、その状態はどこをどう見ても正気ではない。
「ハザード…………危険?」
「そう!!やばい奴さ!!ハザードの【チェンジ】効果!!BP14000以下の相手スピリットを全て破壊するっ!!」
「っ!?!」
一瞬。それは一瞬だった。ハザードフォームは目にも止まらぬ速さで椎名の場にいるパイルドラモンに急接近。そして体格差を物ともせず、殴りつけた。パイルドラモンはそれに腹部を貫かれ、力尽き、大爆発を起こした。
「くっ!!パイルドラモンっ!!」
「そして【チェンジ】で入れ替わったハザードはアタック中!!!」
ハザードフォームはその目に映る物を全て壊す。次は椎名のライフだ。拳にエネルギーを溜める。
「……ライフだ……っ!!」
ライフ3⇨2
ハザードフォームはその拳を椎名に殴りつけた。椎名のライフはまた1つ砕け散った。
これで椎名のライフは後2つ。いよいよ追い詰められた。フルアタックで決められてしまう。
ーが、それを抑え込むべくバーストが椎名の場には伏せられており………
ー椎名はそれを勢いよく反転させ、発動させる。
「ここだぁ!!ライフ減少によりバースト発動!!マリンエンジェモン!!」
「…………っ!!」
「効果によりこれを召喚!!さらにこのターン、私のライフはコスト9以下のスピリットのアタックでは減らない!!」
リザーブ10⇨7
マリンエンジェモンLV3(3)BP9000
椎名のバーストカードから現れたのはまるでクリオネのように宙を舞う超小型の究極体スピリット、マリンエンジェモン。その効果で椎名の周りに水のバリアが展開され、コスト9以下のスピリットのアタックから身を守ることがこのターン可能となった。
ーしかし、椎名のカードをある程度知識として覚えていた確率はその程度で止まることはせず…………
「………はっはっは!!それでこのターンを防いだつもりか?」
「ん?」
ハザードフォームは止まらない。そのパイルドラモンを破壊した【チェンジ】の効果以外の効果がこのタイミングで発揮される。
「ハザードフォームのもう1つの効果!!このスピリットがアタックしたバトルの終了時、相手のライフ1つをボイドに置く!!」
「なぁ!?」
「この天才に抜かりはない!!君がここでマリンエンジェモンを使って来ることはわかってた、マリンエンジェモンは【アタック】によるライフの減少を防く!!……だが、この効果は【効果】によるライフ減少!!マリンエンジェモンの効果では防げない!!!」
そう。マリンエンジェモンは飽くまでもスピリットのアタックという行為自体のライフ減少を防ぐ。だが、ハザードフォームのようなスピリットが持つ効果によるダメージは通ってしまう。
「ぐぅっ!!」
手札3⇨2
ライフ2⇨1
ハザードフォームは再びその拳にエネルギーを纏い、マリンエンジェモンの補正がかかったライフを殴りつける。その拳はそれをも打ち砕き、椎名のライフを1つ葬り去った。
「はっはっは!!!この回復状態のハザードフォームのアタックで終わりだ!!」
そうだ。ハザードフォームはこのターン自身の【チェンジ】の効果により呼び出された。つまり、後1回の攻撃が可能。椎名のライフを全て砕こうとした、その瞬間だった。
「リアクティブバリア!!!」
「っ!!」
椎名がそういった次の瞬間、場に猛吹雪が吹き荒れる。それはハザードフォームまでもを吹き飛ばし、確率のこのターンでのアタックステップを終了させるまでに追い込む。
「っ!?」
「リアクティブバリアは効果でライフダメージが入る時、手札から捨てることでそのダメージ数を1にし、さらにコストを払い、そのアタックステップを終わらせる………私はこのカードを使ってたんだ……」
リザーブ7⇨3
椎名はハザードフォームの効果ダメージが入る寸前、咄嗟にこのリアクティブバリアを使用していた。これでこのターンの確率はアタックが不可。そのターンをエンドとしなければならない。
「…………なに?…………………仕方ない、ターンエンドだ」
仮面ライダービルド ゴリラモンドフォームLV1(1)BP3000(回復)
仮面ライダービルド ラビットタンクハザードフォームLV2(2)BP9000(回復)
バースト【無】
流石に仕方ないか、確率はそのターンのエンドとした。
「へへっ!!なんとかしのいで見せたよ!!」
(まさかあんなカードを入れてるなんて…………だが、俺の勝利の法則は揺るがない。彼女の手札の枚数は2枚。このターンでドローしたとしても3枚。そのうちの1枚はスティングモンだ。場のスピリットもマリンエンジェモンのみ、………………ここから彼女が勝てる可能性は1%にも満たない)
確率は勝利を確信していた。そう、椎名の手札の枚数的にも、ここから逆転するにはかなりの運が必要であった。
ーが、その計算は失敗だった。確率は相手をしているバトラーが芽座椎名であるということを考えていなかった。
ー椎名のことを知る他の人物ならわかる。椎名は例え勝つ確率が1%だろうとそれ以下だろうと何だろうと、必ずそれを実現させてくる。それだけのセンスが彼女にはあるのだ。
ー今、それが天才物理学者の前で立証されることになる。
[ターン06]椎名
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ3⇨4
「ドローステップっ!!……っ!!……よっしゃあ!!!」
手札2⇨3
椎名はドローしたカードを見て大いに喜んだ。まさしくそれは最高のドロー。奇跡の一枚とも言えるカードである。
その様子を見て、確率は思わず身を構えた。
《リフレッシュステップ》
リザーブ4⇨13
トラッシュ9⇨0
「メインステップっ!!……ギルモンを召喚!!」
手札3⇨2
リザーブ13⇨9
トラッシュ0⇨3
椎名はたった今ドローしたギルモンを召喚した。ギルモンは赤の成長期スピリット、真紅の魔竜の最初の形態だ。
「召喚時効果!!カードを5枚オープンし、その中の対象となるカードを手札に加える!!」
オープンカード↓
【ブルーカード】×
【ディーアーク】×
【ファイナル・エリシオン】×
【ライドラモン】×
【デュークモン 】◯
めくられていく椎名のカード。その中には伝説のロイヤルナイツの1体、デュークモン。そして自身の効果で対象内となるファイナル・エリシオンのカードもある。
椎名はその2枚を同時に加えた。
「デュークモンか………だが、煌臨元となるスピリットはいない!!」
デュークモンは確かに強力なスピリットだ。だが、それを呼び出すには煌臨が必要。普通に召喚で呼び出すにも大量のコアが必要になる。
現在の椎名の場にいるギルモンとマリンエンジェモンでは煌臨元になることはできない。
ーだが、椎名は確率の思いもよらない方法でそれを煌臨で呼び出してしまう。
「ふっふっふ…………煌臨元がいないなら作れば良いんだよ!!」
「………作る?」
「私は続けてブレイブカード、ズバモンを召喚!!」
リザーブ9⇨7
トラッシュ3⇨5
「っ!?ブレイブ!?」
椎名がギルモンに続けて召喚したのは成長期のデジタルスピリット。いや、デジタルブレイブと言うべきカード。ズバモン。
その靡く赤いマントや黄金の鎧から、他の成長期とはやはり違う存在であることが理解できる。
「そのままマリンエンジェモンと合体だ!!」
マリンエンジェモンがズバモンと合体。……と言ってもサイズが合わないか、ズバモンの上にマリンエンジェモンがひょっこりと乗っかっただけである。
ーこれで条件は整った。椎名は呼び出す。自身の持つ史上最強のエーススピリットを………
「デュークモンの煌臨発揮!!対象はマリンエンジェモン!!」
リザーブ7s⇨6
トラッシュ5⇨6s
「…………なっ!?!……バカな!?マリンエンジェモンに煌臨だと!?」
確率は椎名の煌臨宣言に思わず驚いた。それもそのはず、何せ、デュークモンの煌臨条件は赤のコスト5以上。マリンエンジェモンは青1色であるため、それを満たしてはいない。
確率はこれをただの椎名のプレイングミスかと思った。
ーしかし、確率の思惑とは裏腹に、マリンエンジェモンはデジタルの粒子となって、その姿を返還させていく。それは巨大な聖騎士となり椎名の場に顕現する。
「赤のロイヤルナイツ!!デュークモンを煌臨!!」
手札4⇨3
デュークモンLV2(3)BP14000
芽座葉月のロイヤルナイツ、アルファモンさえをも打ち破った赤属性のロイヤルナイツ、デュークモンが椎名の場に現れた。
「………な、なぜ、煌臨に成功した?」
「へっへーー!!マリンエンジェモンにズバモンを合体されてたでしょ?………ズバモンは全ての色属性を持つブレイブ……つまり、さっきまでのマリンエンジェモンは6つの色属性を全部持っていたんだ!!」
「っ!!……なるろど、それで煌臨に成功したのか………………」
そう。デュークモンの煌臨条件は赤のコスト5以上だが、他の色が混ざっていても赤さえあれば煌臨できる。ズバモンは全ての色のブレイブであるため、合体さえできればこのデュークモンの煌臨が可能となるのだ。
「そして、デュークモンにズバモンを合体!!」
デュークモン+ズバモンLV2(3)BP17000
ズバモンがデュークモンと混ざり合う。デュークモンの鎧が少しだけ鋭い形に変化していき、右手の聖槍がビーム状に形作られる。
「………そして、これが仕上げだ!!マジック!!ファイナル・エリシオン!!」
手札2⇨1
リザーブ6⇨4
トラッシュ6s⇨8s
「………っ!!」
「この効果で、シンボル1つの相手スピリット1体を破壊する!!私はこの効果でゴリラモンドフォームを破壊!!」
デュークモンの聖なる盾がもう1つ宙に浮きながら椎名の場に現れた。そしてその中心から放たれる聖なるエネルギーの一撃。それは確率の場にいたゴリラモンドフォームをいとも容易く貫き、破壊した。
ーこれで確率の場に残ったのはハザードフォーム1体のみ。それもデュークモンの無双の槍で破壊されることとなる。
「………アタックステップっ!!いけぇ!!デュークモン!!アタックだ!!効果発揮!!シンボル2つ以下の相手スピリット1体を破壊するっ!!」
「ぐっ!!……………ラストターンでギルモンを引きつつ、ここまでの展開をするのはいったい何%の確率なんだぁ!?」
「知らないよ!!でもデッキが、スピリットが私に応えてくれた………それだけだぁ!!!」
「っ!?」
「無双の一振り!!……ジークセイバー!!!………ライフごと貫けぇぇぇ!!!!」
デュークモンは椎名の声に応えるかのように槍を確率に向け、疾風迅雷の如く駆ける。ハザードフォームはそれを防ごうとするが、その無敵の槍は文字通り無敵。デュークモンの槍はハザードフォームを貫き、そのまま勢いを止めることなく確率のライフまで突き進む。
「………な、なんだ?この現象は?……偶然なのか!?……いや、信じられない!!………芽座椎名には通常の確率は………計算は通用しないとでも言うのか?…………面白い………最高だっ!!」
ライフ2⇨0
確率は目の前にいる計算では求めることが不可能な椎名を認めるかのようにその攻撃を受け入れた。デュークモンがハザードフォームごとその最後の2つのライフを貫いた。
ーこれにより勝利は芽座椎名だ。見事に1%以下の確率の壁を超え、無敵のドローを天才物理学者に見せつけた。
「いよっしゃぁ!!!私の勝ちだね!!!」
ガッツポーズを掲げながら喜ぶ椎名。それを見て喜ぶようにデュークモンとギルモンはゆっくりとその場で消滅していった。
「どうっすか!!確率先生!!バトルに確率は関係ないでしょ!!………あっ!!確率っていうのは計算の方の確率ね!!」
椎名が確率にそう言った。
ーだが、確率は既に椎名のことを補講の対象生徒とは見ていなかった。
「…………す、素晴らしい………っ!!」
「…………へ?」
「なんて逸材だ!!こんなに探究心に燃えるのは何年振りだろうか!?」
なんだろう。椎名は嫌な予感がしていた。その異様な空気に思わずアホ毛が萎れ、背筋が凍りついた。
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「椎名の奴、ちゃんと勉強しているだろうか?」
椎名の担任。空野晴太は椎名があれ以降しっかりと数学や物理の勉強をして、しっかりと単位を取れているか気になっていた。
理科室の前に着くと、颯爽とその扉をゆっくりと開ける。しかし、その光景は…………
「待ってくれぇ!!もっと君を研究させてくれぇ!!きっと君を調べ終えた時、俺の新たな天才的な理論が立証される!!」
「嫌だよぉ!!もう終わったんだし、早く返してよーーー!!!!」
そこには椎名を追いかける天才物理学者、確率が椎名を追いかけているというなんともカオスな光景だった。
「う〜〜晴太先生!!助けてぇ!!!」
「…………うーーーーん………バカと天才は紙一重………………ってか?」
涙ながらに晴太に助けを求める椎名。晴太はそれを見て、手でゆっくりと顎を触りながら自分の考えをさらっと述べる。
「くっそぉ!!私の夏の一日を返してよーーー!!!!」
椎名の途方も無い叫びは、この夕暮れの光に照らされるジークフリードの校舎中に木霊するのであった。
〈本日のハイライトカード!!〉
椎名「今回はこれ!!【仮面ライダービルド ラビットタンクハザードフォーム】!!」
椎名「ハザードフォームはビルドデッキのエース的存在!!チェンジ効果のスピリット一掃効果と、アタックしたバトルの終了時に発揮するライフダメージ効果はまさしくヤベーーーイ奴!!」
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〈次回予告!!〉
椎名「それはある夏休みのとある祭りの日………真夏と共に奇跡のたこ焼きを求めていた私は……ある意外な人物とバトルすることになった…………次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ、「奇跡のたこ焼きを求めて、VSゲイル・フェニックス!」……今、バトスピが進化を超えるっ!!」
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最後までお読みくださり、ありがとうございました!
次回もお楽しみにしていただければ幸いです!
と言っても、次回はお休みにしようかなと思っております。その代わり、来週木曜に訪れるバレンタインの日に番外編を投稿しようかなと思っております。番外編と言っても、一期の間で起こった出来事を短編集で纏めただけですが、
これから先、二期、三期ではかなり日常話が減ってくる予定ですので、度々こういうのは入れていかないとなぁと思ったのです。楽しんでいただければ幸いです。
一応、気になったところを見たい、又はこの時期、この章で、このキャラは何をしてた?などと思われた方は感想にて受け付けますので、そちらで、(できる限り番外編、短編集にて掲載いたします)
※少しだけデュークモンの描写を変えました。