夏のある夜。霞んだ明かりの暖簾を中心に、あっちこっちから人の混み合った声が聞こえてくる。
しかし、その混み合った声は誰も彼もが楽しげな印象を与えるものであって………
ーそう。今日は夏祭り。界放市は今日、どこの区域に行ってもお祭り騒ぎである。
ーそして、椎名と真夏もまた、そのお祭りに参加しており…………
「………いや〜〜!!流石に界放市中から集まるお祭りは凄いなぁ!!私が住んでた島の祭りとは格が違うよ!!」
そう言ったのは浴衣姿の芽座椎名。その浴衣は担任の教師である晴太の姉から借りたお下がりのものである。もっとも、持ってきたのは晴太で、椎名は彼の姉とは会っていないが、
「あったりまえやないか!!界放市は人何人いる思うとるんや!そんじょそこらの祭りとはやっぱスケールが違うわ!!」
真夏が椎名に言い返した。真夏も椎名同様浴衣姿だが、それは自分のものである。2人とも、周りの音が大きすぎて、いつもより大きく声を張っている。
そうだ。真夏の言う通り、界放市のお祭りは規模が全く違う。全長3キロにも及ぶ広さで祭りを行なっているのだ。故にその中で様々なイベントや屋台がある。
「ねぇ!次どこ行く?」
椎名が片手で焼き鳥を頬張りながら軽い気持ちでそう言った。
「ふっふっふ!!次はいよいよあそこやで!!」
「っ!?もう始まるの!?真夏!?」
真夏がその表情に睨みを効かせる。椎名もその表情を見て衝撃が走り、察してしまった。
ーついにあそこに行くのかと………
ー2人が楽しみでしかなかったアレに挑むのかと………
******
「さぁさぁ!!集まって集まってぇ!!今年も年に一度のジャンケン大会の始まりだぁぁ!!」
腹巻きに、黒くて丸い髭を生やした中年男性が、大きめの移動式木製ステージでそう叫んだ。すると、そこの周りにいた200人近いくらいの大勢の人達が応えるかのように大きな声を上げる。
ーその中には椎名と真夏もいた。
このジャンケン大会。毎年この時期に行われるが、その勝った時の商品は毎年豪華なものばかりなのである。
ーそして、今年は…………
「そしてぇ!!栄えある優勝者にはぁぁぁぁぁぁ!!!」
中年の進行者は大きくためてためてその優勝商品の発表を勿体ぶる。周りの人達はそれが何なのかはチラシ等で知ってはいたが、ノリが良い人が多かったか、それに合わせて「おおっ!」っと、何度も声を合わせた。
ーそして発表される。今年の優勝商品は…………
「奇跡のたこ焼き屋台で味わえると言われている奇跡のたこ焼きだぁ!!!」
中年の進行者がそう言うと、他の人達も大きく声をあげた。もちろん椎名と真夏も。その溢れんばかりのテンションを心から叫んだ。
ー奇跡のたこ焼き。世界中を歩き回る屋台でしか味わえないと言う究極にして奇跡の一品なのだ。その進行者の手にはその奇跡のたこ焼きが入った箱があった。
椎名と真夏はこれを狙っていた。
そして毎年あるようだが、進行者からルールの説明が入る。
「ルールは簡単だぁ!!最後の1人になるまで俺にジャンケンで勝て!!!以上!!」
なんとシンプルなルールだろうか。つまり、椎名と真夏はこの進行者とのジャンケンに勝ち続ければ奇跡のたこ焼きにありつけることになる。
「よっしゃぁ!!いくでぇ!!椎名ぁ!!」
「うん!!行くよぉ!!」
気合いは十分。
ーそして始まる。究極のジャンケン大会が………
「それではいくぞぉ!!!一回目ぇ!!………」
進行者が手を後ろに向かわせ、ジャンケンの構えをする。他の者達も皆同じように構える。真剣だ。大人も子供も、老若男女問わず、真剣にあの奇跡のたこ焼きを狙っているのが伺える。
「最初はグーーー!!!!」
進行者が手を固めて前に出すと、皆、また同じように手を固めて前に突き出した。これはこの世で最も有名なジャンケンの始まりのコールだ。
ー今、ゴングが鳴り響いた。
ー始まる。運命の瞬間が………!!
「ジャァンケェェン……………ポンッ!!」
進行者が再び手を前に出した。
その手の形は………………
「私は【チョキ】でした!!……あいこもダメだから【パー】だけじゃなく、同じ【チョキ】も手を下ろしてねぇーー」
確かにその手は人差し指と中指だけが突き出たまま残っている。紛うことなき【チョキ】だ。
つまり、【グー】が勝利となる。
ー負けた、又は引き分けた人達は分かりやすく手を下げていく。
「くっそぉ!!!負けたわぁ!!あのおっさんごっつジャンケン強いやんけ!!」
そんな中、真夏も負けていた。掌を大きく広げて【パー】を出していた。
そんな様々な人達が手を下ろしていく中で、進行者はあることに気づいた。それはこのイベントがひょっとしたらおじゃんになってしまうかもしれないものであって………
「んんん??あれ?【グー】の人いますかぁ!?」
マイクを右手に、左手に【グー】を掲げながらそうアピールするように言った進行者。
そう。殆どの人達が手を下ろしていて、【グー】を出した人物がパッと見て見当たらなかったのだ。この200人程度ある中でこんな早く終わってしまっては他の祭りのイベントのスケジュールが合わなくなるため、進行者としてはそれだけはなんとか避けたかったが…………
そんな時、1人の少女の声が聞こえてきた。
「ここに【グー】はおるでぇ!」
ー関西弁、真夏の声だ。
進行者を含めて他の人達は一目散に目線をその方向へ移動させた。
ーするとそこには天に【グー】を掲げた1人の少女がいた。
ーその名も【芽座椎名】その手は確かに【グー】だ。圧倒的に【グー】だ。サムズアップするかのような立ち振舞い、そしてドヤ顔のまま勝ち誇ったかのような表情をしていた。
1人の可憐な少女の一人勝ちに、他の参加者達が大きくそれを祝うように歓声を上げる。
「やったでぇ!!椎名!!あんたやっぱ強いわ!!どんだけ運強いねん!!一人勝ちやぞ!!」
「ふっふっふ!!私、ジャンケンは昔からめっっっちゃ自信あんだよねぇ!」
椎名の圧倒的な強運。それが今回の一人勝ちに繋がった。真夏も大きく喜んだ。椎名はすぐさま進行者のいるステージへと、その喉から手が出るほどに食べたかった奇跡のたこ焼きを貰いに行こうとした。
ーその直後だった。2人にとって思いもよらない声が聞こえて来る。
「………こっちにも【グー】がいたぞぉ!!!」
「「え?」」
2人は声を揃えて声のする方へと首を傾けた。
ーするとそこには椎名同様、天に【グー】を掲げる1人の浴衣姿の女性がいた。
ーその正体は椎名達も知っている人物であって………
「やったわ〜〜!!一人勝ちよぉ!!」
その彼女は未だにさっきまでの椎名と真夏みたいに自分が一人勝ちしたものだと思い込んでいた。本当は二人勝ちであるというのに。
「………あ………あれって………」
「兎姫先生やん………」
そう。椎名と同様ジャンケンで勝っていたのは椎名達の副担任を務める女教師。その名も鳥山兎姫。この物語中では何度かその顔を見せている。
2人はあそこまではしゃいでいる兎姫を初めて見た。
「2人だね!!じゃあ!!おふたりさん!!このステージに上がって決着つけてちょうだい!!」
進行者が2人にそう大きく声を張って言った。
******
「……………」
「……………」
椎名と兎姫、2人はジャンケン大会の勝者としてステージの前で向かい合っていた。正直言って椎名にとって少し気まずい。別に兎姫と話せないわけじゃないが、まさかこんな場所でこんな状況で鉢合わせるとは思ってもなかったからだ。
これから始まるのは2人でジャンケン。毎年だ。毎年このイベントは勝者の数が少なくなってくると、ステージに呼び出され、その人物達だけでジャンケンをし、優勝者を決めている。
ー今がその状況。
「さぁ!勝ち残ったのは浴衣の似合うキュート美人とビューティ美人!!果たして勝って奇跡のたこ焼きを手に入れるのは誰なのかぁ!?」
進行者がそう声を荒げる。実況するように声に熱がこもっていく。
「…………兎姫先生………」
「芽座さん………本気で行くわよ………!」
いつにもなく、そして柄にもなく燃え上がる鳥山兎姫。
椎名から見た鳥山兎姫のイメージは、なんでもできるスーパーエリート教師。完全無欠で弱点がなくて、かつ、高貴な存在だった。
ーしかし、このB級グルメであるたこ焼きのためにジャンケンで自分の生徒に勝とうとする鳥山を見て、そのイメージは少し崩れた。
それでも椎名は手を出して、ジャンケンをしようとするが………
ーその前に鳥山兎姫はあることに気づいた。
(………ちょっと待って……本当にこれで良いの!?…………相手はあの芽座さんよ!?………芽座さんと言ったら………)
兎姫は思い出していた。芽座椎名の圧倒的な運の良さを………
教師である立場から椎名の活躍はよく見ていたが、その強運の持ち主だったら間違いなく自分はジャンケンで負けるのではないかと思ってしまった。
ーこのままでは負けは濃厚。
しかし、どうしても奇跡のたこ焼きを食べたい兎姫は機転をきかせ、新たな作戦へと移行する。
「ちょっと待って!!」
「?」
「芽座さん。やっぱりジャンケンはやめてバトルで決着をつけましょう」
掌を椎名に見せるように制止させる兎姫。そしてそこからの突然のバトスピ宣言。ジャンケンする気満々だった椎名は思わずその目を見開いた。
しかし、バトルすることには目がない椎名は………
「マジっすか!?兎姫先生とバトルできるのぉ!?」
目を輝かせながら大いに喜んでいた。なんとちょろいのだろうか。そのままジャンケンをしていればその運の良さでほぼ間違いなく奇跡のたこ焼きを獲得できただろうに。
まんまと兎姫の口車に乗せられ、椎名はバトルをすることになった。ちなみに兎姫はあの空野晴太と肩を並べる程のバトラーである。圧倒的にこっちの方が椎名の勝率は低いと言える。
「なななななんとぉ!?ここでまさかの展開ぃ!!でも時間はあるからやっても良いですよぉぉぉぉぉ!!!」
進行者も夜間の妙なテンションになっていて止める気配が全くない。ジャンケンが余りにも速攻で終わってしまったため、1回バトルするくらいがちょうどいいと思っているのだ。
それを聞いた2人は颯爽とBパッドを展開した。大勢の人達がそれだけで歓声を大きくあげる。
「あのアホぉ!!バトルした方が勝つ確率は低いやろがい!!」
真夏がその歓声の中、椎名に向けて叫んだ。しかし、距離があるのと歓声で掻き消されるのでその声は椎名には届かない。
椎名はそんな真夏の気持ちなど知らず、今から始まるバトルに胸躍らせていた。
奇跡のたこ焼きの事をすっかり忘れてしまった椎名とその副担任の女教師、鳥山兎姫のバトルが始まろうとしていた。
「へへっ!行きますよ!!先生!!」
「……かかってらっしゃい……!」
「「ゲートオープン、界放!!」」
コールと共に2人のバトルが幕を開けた。
ー先行は椎名だ。
[ターン01]椎名
《スタートステップ》
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップっ!!ネクサスカード!!ディーアークを配置してターンエンド!!」
手札5⇨4
リザーブ4⇨1
トラッシュ0⇨3
ディーアークLV1
バースト【無】
椎名はデジタルスピリットをサポートするタイプのネクサス、ディーアークを腰に装着させ、そのターンを終えた。
次は兎姫のターンだ。彼女はいったいどんなデッキを使用するのだろうか。
[ターン02]兎姫
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ!!私はチキンナイトを召喚!!」
手札5⇨4
リザーブ5⇨4
兎姫が手始めに呼び出したのはデフォルメしたニワトリに騎士のような鎧を着た緑のスピリット、チキンナイトだ。
さらにこれだけでない、兎姫はまだまだ大きく動く。
「さらにネクサスカード!!白雲に茂る天翼樹を配置!!」
手札4⇨3
リザーブ4⇨1
トラッシュ0⇨3
続けて兎姫が配置したのは巨大な入道雲とその周り雲を突き抜ける数々の天翼樹。その効果は系統「爪鳥」のスピリット達を扱う兎姫にとって有用な効果である。
「配置時効果でボイドからコアを1つリザーブへ!!さらに系統「爪鳥」のスピリット、チキンナイトが存在するため、さらにもう1つのコアをリザーブへ!」
リザーブ1⇨2⇨3
兎姫のリザーブに次々と追加されていくコア。ネクサスの軽減も相まって、椎名とかなりアドバンテージに差をつけたと言える。
そして兎姫が次に召喚するスピリットは誰もが目を引く珍しいものであって……
「そのコアでさらに緑のスピリット!!ゲイル・フェニックス・ビレフトを召喚!!」
手札3⇨2
リザーブ3⇨0
トラッシュ2⇨4
「………っ!!」
兎姫が召喚したのは優雅な尾を引く美しい不死鳥。ゲイル・フェニックス・ビレフト。晴太のエグゼシード・ビレフトと同列のスピリットである。
「その召喚時効果でコアを1つ追加!!」
ゲイル・フェニックス・ビレフト(1⇨2)
LVは上がらないものの、その効果でまたコアを増やす兎姫。まだ2ターン目だが、椎名とのコアの総数は圧倒的に開いたと言える。
「ターンエンドよ!」
ゲイル・フェニックス・ビレフトLV1(2)BP3000(回復)
チキンナイトLV1(1)BP1000(回復)
白雲に茂る天翼樹LV1
バースト【無】
兎姫はそれでこのターンを終えた。後攻の第1ターン目にしてはなかなかに展開したと言える。
次は椎名のターン、ビレフトを前に、気合いは十分。いったいどんなバトルが展開していくのか見ものである。
[ターン03]椎名
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨5
トラッシュ3⇨0
「メインステップっ!!ズバモンを召喚!!」
手札5⇨4
リザーブ5⇨1
トラッシュ0⇨3
このバトル、椎名が初めて召喚したのは黄金の鎧を持つ成長期のデジタルブレイブ、ズバモン。その靡くマントは他の成長期スピリットとはやや異なった印象を与える。
このズバモンは椎名のデッキにとっては有力な【進化:全色】という異端な効果を持っており…………
ー椎名はそれを余すことなく運用していく。
「さらにバーストを伏せ、アタックステップ!!その開始時にズバモンの【進化:全色】発揮!!ズバモンを青の成熟期スピリット、エクスブイモンに進化!!」
手札4⇨3
エクスブイモンLV1(1)BP3000
バーストカードが椎名の場にセットされると共に、ズバモンがデジタルの粒子となり、椎名の手札へと帰還する。そして代わりに現れるのはブイモンが一段階進化した姿、腹部のエックスの文字が特徴的な竜、エクスブイモン。
「場にデジタルスピリットが召喚されたことにより、ディーアークの効果でカードを1枚ドロー!!さらにエクスブイモンの効果で2枚ドローし、1枚破棄する!!」
手札3⇨4⇨6⇨5
破棄カード↓
【ブルーカード】
目まぐるしい程に回っていく椎名のデッキ。手札の質がどんどん良好していく。
「そしてアタックステップは続行!!エクスブイモンっ!!」
その逞しい身体で走り出すエクスブイモン。目指すはもちろん兎姫のライフ。
「ライフで受けるわ」
ライフ5⇨4
序盤なら当然か、兎姫はこのアタックをライフで受けた。エクスブイモンがそれを思いっきり硬い拳で殴りつけ、粉砕した。
「よし!!ターンエンドっ!」
エクスブイモンLV1(1)BP3000(疲労)
ディーアークLV1
バースト【有】
できることを全て終え、椎名はそのターンをエンドとした。次は兎姫のターンだ。
[ターン04]兎姫
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨7
トラッシュ5⇨0
「メインステップ…………スピリットのLVを上げ、バーストをセット!!」
手札3⇨2
リザーブ7⇨5⇨3
ゲイル・フェニックス・ビレフト(2⇨4)LV1⇨3
チキンナイト(1⇨3)LV1⇨2
兎姫の2体のスピリットのLVが調整されると共にバーストがセットされる。前のターンとは打って変わって静かなメインステップである。
「そしてアタックステップ!!ビレフトでアタックよ!!」
誰もが目を引くような美しい姿で飛翔するゲイル・フェニックス・ビレフト。目指すはもちろん椎名のライフだが、この時、ゲイル・フェニックス・ビレフトには効果があり……………
「ビレフトの効果!!2コア支払い、ターンに1回回復するっ!」
リザーブ3⇨1
トラッシュ0⇨2
ゲイル・フェニックス・ビレフト(疲労⇨回復)
その瞬間、緑の光を一瞬輝かせ、疲労状態から回復状態となるゲイル・フェニックス・ビレフト。これでこのターンこのスピリットは2度のアタックの権限を得た。
「…………回復!!これはゲイル・フェニックス系のお家芸よ!」
「…………ライフで受けるっ!!」
ライフ5⇨4
ゲイル・フェニックス・ビレフトの先端の嘴が椎名のライフを1つかち割った。これで椎名と兎姫のライフ差は同じ。
ーだが、忘れてはならない。今の椎名の場にはバーストカードが伏せられているということを、椎名はそれを勢いよく反転させる。
「なんのこれしきぃ!!バースト発動!!マリンエンジェモン!!」
「………!!」
「効果によりこれを召喚!!」
リザーブ2⇨0
マリンエンジェモンLV2(2)BP6000
突如として椎名の場に現れたのは桃色の小さな天使、マリンエンジェモン。クリオネのような小さな見た目とは裏腹に、究極体である。
「ディーアークの効果でドロー!!………さらにマリンエンジェモンの効果!!このターン、私のライフはコスト9以下のスピリットのアタックでは減らない!!」
手札5⇨6
椎名のライフに水のバリアが張られていく。マリンエンジェモンの力だ。これはこのターンが終わるまでは消えることはない。
兎姫のスピリットではあのバリアを突破できないため、彼女はこのターンのターンエンドの宣言を迫られたことになる。
「…………仕方ないわね、ターンエンドよ」
ゲイル・フェニックス・ビレフトLV3(4)BP6000(回復)
チキンナイトLV2(3)BP4000(回復)
白雲に茂る天翼樹LV1
バースト【有】
結果として、兎姫はビレフトとチキンナイト、2体のスピリット達をブロッカーとして場に残す形でエンドとなった。次は見事にマリンエンジェモンの召喚に成功した椎名のターンだ。
[ターン05]椎名
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札6⇨7
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨4
トラッシュ3⇨0
エクスブイモン(疲労⇨回復)
「メインステップっ!!双牙皇オルト・ロードを召喚!!」
手札7⇨6
リザーブ4⇨2
トラッシュ0⇨2
椎名が召喚したのは2つの顔を持つ武装した獣のようなスピリット、オルト・ロード。作中では何度もフレイドラモンと合体して椎名の窮地を救ってきた1枚である。
ーそれがこのバトルでも救うことはできるのか………
「マリンエンジェモンにオルト・ロードを合体だ!!」
マリンエンジェモン+双牙皇オルト・ロードLV2(2)BP11000
マリンエンジェモンとオルト・ロードが合体。
と言っても、マリンエンジェモンがオルト・ロードの背中にちんまりと居座っただけである。椎名はこの状態で、さらにアタックを仕掛けていく。
「アタックステップっ!!マリンエンジェモンでアタック!!」
マリンエンジェモンを乗せたオルト・ロードが地を駆けて行く。目指すは兎姫のライフ。
さらにこの時、さらにオルト・ロードの効果が起動し、
「オルト・ロードの効果で手札3枚を破棄し、回復させる!!」
手札6⇨3
破棄カード↓
【D-3】
【ワームモン】
【グラニ】
マリンエンジェモン+双牙皇オルト・ロード(疲労⇨回復)
青の光を一瞬輝かせ、マリンエンジェモンならぬ、オルト・ロードは回復状態となる。先のゲイル・フェニックス・ビレフトと同様、2回目の攻撃の権限を得た。
ーそしてそれだけではない。今度はマリンエンジェモンの効果が発揮される。
「今度はマリンエンジェモンの効果!!トラッシュからネクサスカード、D-3をLV2で配置する!!」
リザーブ2⇨0
D-3LV2(2)
オルト・ロードの背に乗っているマリンエンジェモンが歌を詠唱すると、トラッシュにあったD-3が引っ張られ、ディーアーク同様、椎名の腰に装着される。
オルト・ロードで捨てたカードをマリンエンジェモンで配置。実に無駄の無い動きであると言える。それで回復もしているのだからこのコンボの威力は言わずもがな………
だが、椎名はまだ終わらなかった。ここからさらに大きく動き出すと言わんばかりに手札のカードを切っていく。
「フラッシュ!!マグナモンの【アーマー進化】発揮!!対象になれるスピリットはいないけど、ネクサスカード、D-3の効果で疲労させることでその代わりにさせる!!」
D-3(回復⇨疲労)
「…………!!」
D-3の効果はアーマー体による【アーマー進化】の補助だ。タイミングが限定されるものの、これにより椎名は成長期のスピリット無しで【アーマー進化】が行える。
「1コストを支払い、黄金の守護竜、マグナモンをLV2で召喚!!」
手札3⇨2
D-3(2⇨1⇨0)LV2⇨1
トラッシュ2⇨3
マリンエンジェモン+双牙皇オルト・ロード(2⇨1)LV2⇨1
マグナモンLV2(2)BP8000
椎名が腰にあるD-3をタッチ。それに反応したD-3の力で光が立ち昇る。そこからゆっくりと降りてくるのは黄金の守護竜、ロイヤルナイツの1体にして、最強のアーマー体スピリット、マグナモンだ。
「マグナモンの召喚時効果!!相手の場の最もコストの低いスピリット1体を破壊!!………今先生の場で一番コストが低いのは0のチキンナイト!!よってそれを破壊!!黄金の強弾!!プラズマシュート!!」
「…………っ!!」
マグナモンはその両手からエネルギー弾を連続で投げ飛ばす。それはチキンナイトの方へと向かっていき、そして命中。チキンナイトは黒焦げになり、小さく破裂した。
ー一見、圧倒的に見える。圧倒的に椎名が優位な盤面に見える。しかし、実際追い詰められていたのは椎名であった。
ーその理由は今から直ぐに分かることであって………
「どうだ兎姫先生!!このまま一気にライフゼロだ!!」
「ふふ、呑気ね〜〜」
「!?」
サムズアップし、このまま一気に勝利すると言わんばかりの勢いになる椎名。
ーだが、兎姫はそれを遇らうかのように伏せていたバーストをゆっくりと反転させる。
「スピリットの破壊により、バースト発動!!……………天空戦艦ピラミッドウィング!!」
「………っ!?!」
「この効果で先ずはデッキの上からカードを2枚オープン、その中の爪鳥スピリットを好きなだけノーコスト召喚する!!…………さぁ、来なさい!!カード、オープン!!」
オープンカード↓
【戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックス】◯
【戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックス】◯
効果は2枚とも成功。それも大当たり中の大当たりだ。それらはこのピラミットウィングの効果で同時にノーコストで好きなだけ召喚することが可能だ。
「効果は成功!!!このカード、戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックス2体をノーコストで同時召喚!!」
リザーブ4⇨2
戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックスLV1(1)BP10000
戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックスLV1(1)BP10000
「…………っ!!」
地平線の遥か彼方より飛翔してきたのは燃え上がる戦国の力を得たゲイル・フェニックスとでも言うべきか、赤き鎧をその身に纏い、今、椎名の目の前に強敵として立ち塞がった。
ーそれも2体だ。
「そしてピラミットウィングはこの効果発揮後ノーコスト召喚できる」
リザーブ2⇨1
天空戦艦ピラミッドウィングLV1(1)BP6000
バーニング・ゲイル・フェニックスの背後からゆっくりと軍艦音を鳴らして現れたのは、それらよりもずっと巨大な爪鳥スピリット、天空戦艦ピラミッドウィング。その名の通り、ピラミッドのような物がその首下にぶら下がっている。
「どう芽座さん?……私の爪鳥デッキの真髄は………っ!!」
「おおっ!!!かっこいい!!………流石です!!先生!!」
「アホォ!!!喜んどる場合か〜〜!!!このバトルで負けたらあんたたこ焼き食えんねんぞ〜〜〜!!!」
一瞬にして並び立つ強力な爪鳥達を前に、椎名はいつものように歓喜の声を上げていた。その目をギラギラと輝かせていた。真夏のツッコミは周りの人達の声で全く届かない。椎名はたこ焼きのことなどもはや頭にこれっぽっちも残ってはいなかった。
ーただ目の前のバトルを楽しんでいるだけ、
だが喜んでばかりもいられない。椎名のターン中ではあるが、早速召喚された爪鳥スピリット達が椎名の場を襲って行く。
「バーニング・ゲイル・フェニックスの召喚時効果!!相手のスピリット2体を重疲労させる!!エクスブイモンとマリンエンジェモンよ!!」
「…………っ!!」
エクスブイモン(回復⇨重疲労)
マリンエンジェモン+双牙皇オルト・ロード(回復⇨重疲労)
召喚された1体のバーニング・ゲイル・フェニックスが動き出す。その翼で熱風を生み出し、椎名の場を襲う。エクスブイモンとマリンエンジェモン、オルト・ロードが疲れ果て、ただの疲労状態でない重疲労状態となった。
ーそしてこれは未だにマリンエンジェモンのアタック中であって………
「そのアタックはバーニングがブロック!!」
「っ!!」
BPはバーニング・ゲイル・フェニックスの方が上である。バーニング・ゲイル・フェニックスは走り行くオルト・ロードの背にあるマリンエンジェモンを翼で正確に撃ち抜いて破壊した。
「くっ!!オルト・ロードは場に残す………」
自身の命も危うしと見たオルト・ロードはそのままUターンして椎名の場へと帰っていった。
この場で唯一椎名の場で残ったのはロイヤルナイツのマグナモンだが、マグナモンのBPでは兎姫のスピリットには勝てない。必然的に椎名にターンの終了が迫られていた。
「…………くっそぉ〜〜無理か〜〜ターンエンド!!」
エクスブイモンLV1(1)BP3000(重疲労)
マグナモンLV2(2)BP8000(回復)
双牙皇オルト・ロードLV1(1)BP5000(重疲労)
ディーアークLV1
D-3LV1
バースト【無】
こうなっては仕方がないか、一旦椎名はここでターンを終了させた。次は見事にバーストカード1枚で戦況をひっくり返して見せた鳥山兎姫のターンだ。
[ターン06]兎姫
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨4
トラッシュ2⇨0
戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックス(疲労⇨回復)
「メインステップ!!バーニング2体のLVを2にアップ!!」
リザーブ4⇨2⇨0
戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックス(1⇨3)LV1⇨2
戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックス(1⇨3)LV1⇨2
2体のバーニング・ゲイル・フェニックスのLVが上がる。これによりこの2体は新たに強力な効果を得た。それはアタックステップ中に存分に発揮されることだろう。
「アタックステップ!!行きなさい!!バーニング!!」
バーニング・ゲイル・フェニックスの1体が地を滑空するように椎名のライフへと飛び行く。今の椎名はコアが少ない。よって、このアタックはライフで受ける他ない。
「ライフで受ける!!」
ライフ4⇨3
バーニング・ゲイル・フェニックスの嘴の先端が勢いよく椎名のライフを貫き、破壊した。
ーそしてこれだけでは終わらない。バーニング・ゲイル・フェニックスの効果の真骨頂はバトル終了時である。
「バーニング・ゲイル・フェニックスの効果!!バトルの終わりに2コア支払い、回復する!!この時、ターンに1回、さらに相手のライフを1つ破壊する!!」
ゲイル・フェニックス・ビレフト(4⇨2)
戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックス(疲労⇨回復)
「なにぃ!?………うわっ!!」
ライフ3⇨2
バーニング・ゲイル・フェニックスがその嘴から火炎を解き放ち、椎名のライフをさらに減少させると共に、再び行動が可能な回復状態となる。
そう、これがバーニング・ゲイル・フェニックスの効果だ。ゲイル・フェニックス系の持つ回復する効果に加え、効果によりさらにライフを破壊することができる優れものだ。
ーしかもこのターンに1回というのは効果によるライフの破壊であり、回復はコアさえあれば何度でもできる。そして別のバーニング・ゲイル・フェニックスがいれば、その効果ダメージも2度発揮可能だ。
「2体目のバーニングでアタックよ!!」
別のバーニング・ゲイル・フェニックスが飛翔する。狙いはもちろん椎名のライフ。椎名はこれを受けたら効果ダメージと共にライフをゼロにされてしまうため………
「マグナモンでブロックだ!!」
ーブロックする他なかった。
マグナモンが椎名の目の前に立ち、バーニング・ゲイル・フェニックスを受け止めようと構える。
ーだが、
「BPは…………圧倒的にバーニングが上よ!!燃え滓となりなさい!!」
その身に炎を纏わせるバーニング・ゲイル・フェニックス。マグナモンは受け止めるものの、その熱量と圧倒的なパワーによって突破され、貫かれてしまう。
椎名もただでは転ばない。白マジックで応戦する。
「フラッシュマジック!!リアクティブバリア!!効果でこのバトルの終わりがアタックステップの終わりとなる!!」
手札2⇨1
リザーブ3⇨0
マグナモン(2⇨1)LV2⇨1
トラッシュ3⇨7
マグナモンは力尽き、大爆発を起こすものの、すぐさま兎姫のばに猛吹雪が発生。そのスピリット達の動きを封じ込めた。
「…………ターンエンドよ」
ゲイル・フェニックス・ビレフトLV1(1)BP3000(回復)
天空戦艦ピラミッドウィングLV1(1)BP6000(回復)
戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックスLV2(3)BP13000(回復)
戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックスLV2(3)BP13000(疲労)
流石に仕方ないか、圧倒的な力を見せつけるものの、兎姫はこのターンをエンドとした。2体目のバーニング・ゲイル・フェニックスの効果は敢えて発揮させなかった。椎名のライフ2など、ここまでくると1と大差ないと感じたからだろう。
たしかにそれなら残りのコアを防御に回した方が得策である。
ー次は椎名のターン。だが、残った手札の1枚は…………
(芽座さんの手札にある残ったカードは【ズバモン】…………場に残ったスピリット、ブレイブ、ネクサスだけではどうしようもない…………このバトルは私の勝ちね!たこ焼きはいただきよ!)
心の中でそう考えた兎姫。
そうだ。椎名の手札は残り1枚。それもそれだけでは機能しないズバモン。場に残った2体も重疲労状態。次のターンが来てもようやく普通の疲労状態となり、アタックすらできない。
兎姫は自分の勝利を確信した。
ーが、バトルの途中ですっかりと忘れたのか………
ー相手がこれまでに幾度となく信じられないほどの奇跡を起こしてきたあの芽座椎名であると言うことに…………
[ターン07]椎名
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
「ドローステップ!!……ドロー!!……へへっ!」
手札1⇨2
「…………っ!?!」
椎名はその勢い良くデッキから引いたカードを見て、思わず笑みがこぼれた。その様子を見て、兎姫は何故だか妙な予感を感じた。それはまだまだこのバトルが終わらないのではないかと言う、そんな嫌な予感だ。
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨8
トラッシュ7⇨0
エクスブイモン(重疲労⇨疲労)
双牙皇オルト・ロード(重疲労⇨疲労)
エクスブイモンとオルト・ロードはバーニング・ゲイル・フェニックスの効果により、重疲労状態。このターンで回復しても未だに動けない状況が続いていた。
ーが、それも関係ない。椎名はそう言わんばかりにメインステップへと移行する。
「メインステップ!!……ブイモンを召喚!!」
手札2⇨1
リザーブ8⇨3
トラッシュ0⇨2
「…………っ!?このタイミングで成長期スピリットを!?」
椎名がドローしていたのは青の成長期スピリット、小さな竜、ブイモン。
ーそしてこれから始まる椎名の大大逆転劇に兎姫は驚愕して行くこととなる。
「ディーアークの効果でカードをドローし、ブイモンの効果でカードを2枚オープンする!」
手札1⇨2
オープンカード↓
【ギルモン】×
【フレイドラモン】◯
効果は成功。椎名はこの効果により、赤属性のアーマー体スピリット、フレイドラモンのカードを手札へと加えた。
ー残ったギルモンのカードはトラッシュへと破棄されて行った。
「さらにフレイドラモンの【アーマー進化】発揮!!対象はブイモン!!1コストを支払い、燃え上がる勇気、フレイドラモンをLV2で召喚!!」
手札2⇨3
リザーブ3⇨2
トラッシュ2⇨3
フレイドラモンLV2(3)BP9000
ブイモンの頭上に赤くて独特な形をした卵が投下される。それはデジメンタルと言うアーマー進化を行うための進化アイテムのような物。ブイモンはそれと衝突し、混ざり合い、進化する。新たに現れたのは炎を纏う竜戦士、フレイドラモンだ。
「フレイドラモンの召喚時効果で、相手のBP7000以下のスピリット1体を破壊!!ビレフトを狙えっ!!……爆炎の拳、ナックルファイアァァ!!」
手札3⇨4
「…………っ!!」
フレイドラモンの飛ぶ炎の鉄拳が、兎姫の場のゲイル・フェニックス・ビレフトを襲う。ゲイル・フェニックス・ビレフトは燃え上がり、爆発した。
この時点で既に兎姫は驚愕していた。たった1枚だった手札があれだけの展開をしているのにもかかわらず4枚まで膨れ上がったのだから無理もない。
ーしかし、驚くのはまだ早かった。
「さらにフレイドラモンとオルト・ロードを合体!!フレイドラモンの赤き炎は今こそ蒼炎となる!!」
フレイドラモン+双牙皇オルト・ロードLV2(4)BP14000(疲労)
呼吸を合わせ、フレイドラモンとオルト・ロードは宙へ飛び上がり、混ざり合う。そして新たに現れるのは言わば蒼い炎のフレイドラモン。背中には新たに漆黒の翼が生えており、あまりにも多すぎる炎の量に、常時体からその蒼炎が漏れ出ている。
ーが、ブレイブのオルト・ロードが疲労状態であったため、それに合わせてこの合体したフレイドラモンも今現在は疲労状態となっている。
ー飽くまでも今現在は………
「さらにマジック!!パワーブースト!!フレイドラモンのBPを3000上げ、【連鎖:青】で私のネクサスカード、D-3を破棄して回復させる!!」
手札4⇨3
フレイドラモン+双牙皇オルト・ロード(4⇨3)BP14000⇨17000(疲労⇨回復)
トラッシュ3⇨4
椎名の使った赤マジック、パワーブースト。その効果によりネクサスであるD-3が破裂するように散っていく。が、その代償として、蒼炎のフレイドラモンが立ち上がる。
「これで準備は万端!!アタックステップ!!フレイドラモンでアタック!!」
漆黒の翼を翻し、宙を舞う蒼炎のフレイドラモン。そしてそのアタック時効果は健在。椎名は忘れずにそれを使用していく。
「アタック時効果で今度はピラミッドウィングを破壊!!……!!」
「……!!」
「蒼炎の拳!!ブレイズナックル!!!」
蒼炎のフレイドラモンの拳から放たれる蒼き炎の一挺打線。それは巨大なピラミッドウィングをも意図も容易く撃ち抜き、ピラミッドウィングは空中で大きな爆発を起こす。
「さらにオルト・ロードの効果により、手札のカードを3枚破棄して回復!!…………!!」
手札3⇨4⇨1
破棄カード↓
【ズバモン】
【ブイモン】
【ワームモン】
フレイドラモン+双牙皇オルト・ロード(疲労⇨回復)
フレイドラモンの炎の量がさらに多くなっていく。まるでその肉体を覆い尽くすかのように。これでフレイドラモンは回復状態となり、2度目のアタック権利を得た。
「そしてバーニングに指定アタック!!!………渾身の蒼炎!!!バーニングインフォース!!!」
両拳に蒼炎の炎を纏わせ、空中から急降下するようにバーニング・ゲイル・フェニックスを狙い撃ちにしようとするフレイドラモン。
BPも僅かながらにフレイドラモンが勝っている。これでいける。兎姫の場を全滅できる。
ー椎名はそう思っていた。
ーが、兎姫は甘くはなくて…………
「フラッシュマジック………ワイルドライドを2枚使用!!対象は指定アタックを受けたバーニング!!」
手札3⇨2⇨1
リザーブ3⇨2⇨1
トラッシュ2⇨3⇨4
「………なぁ!?」
「この効果でこのターン、対象となったバーニングのBPを合計6000上げる!!」
戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックスBP13000⇨16000⇨19000
兎姫が使用したマジック、ワイルドライド。椎名も度々使用しているカードだ。これにより、バーニング・ゲイル・フェニックスのBPが上がり、飛び向かってくるフレイドラモンを迎撃する態勢に入る。
ーこれでは間違いなくフレイドラモンは破壊される。
ーかと思えたが…………
ーここから椎名はさらに兎姫の上を行く戦法でこの状況を大きくひっくり返して見せる。
「へへっ!フラッシュ!!デュークモンの煌臨発揮!!対象はフレイドラモン!!」
リザーブ2s⇨1
トラッシュ4⇨5s
「っ!?……な、何ですって!?フレイドラモンから煌臨!?」
聞き間違いではない。椎名は確かに煌臨と叫んだ。デュークモンの煌臨条件は赤のコスト5以上。フレイドラモンはそれを満たしている。
漆黒の翼を羽ばたかせ、その急降下の勢いを止めたフレイドラモン。そしてその瞬間、デジタルの粒子に包まれ、その姿を大きく変化させて行く。
「来い!!真紅の聖騎士!!デュークモン !!………今回はその身にオルト・ロードを纏って現れよ!!」
手札1⇨0
デュークモン+双牙皇オルト・ロードLV2(3)BP22000
新たに現れたのはロイヤルナイツの1体。そして椎名の最強エース、デュークモン。今回はオルト・ロードの鎧を自身の鎧に溶け馴染ませての登場だ。その鎧は黒くて、所々蒼い。
「………く、黒くて……蒼いデュークモン………っ!?」
「これでBP22000!!!バーニングを超えたぁ!!煌臨スピリットはその煌臨元となったスピリットの全ての情報を引き継ぐ!!!!いっけぇ!!デュークモン!!」
デュークモンは宙を駆け、バーニングに向けてその黒く変色した槍を差し向け、それに蒼い炎を纏わせる
そして椎名はその技名と共にバーニング・ゲイル・フェニックスを撃つ。
「蒼炎激槍!!!バーニングインスピアァァア!!!」
「っ!?」
刹那、一瞬でバーニング・ゲイル・フェニックスに何百発と炎を纏わせた槍の一撃をぶち込んだデュークモン。バーニング・ゲイル・フェニックスは流石にそれには耐えることができなかったか、墜落し、大爆発を起こした。
「オルト・ロードの効果で回復してるデュークモンで再度アタック!!効果により残った2体目のバーニング・ゲイル・フェニックスを破壊!!聖槍の一撃!!ロイヤルセーバー!!!」
「くっ!?」
追撃と言わんばかりに槍先から聖なるビームを放つデュークモン。それはいとも容易く兎姫の場に残った2体目のバーニング・ゲイル・フェニックスを貫き、爆発させた。
ーそしてまだだ。まだまだデュークモンの効果は終わらない。
「さらにデュークモンの効果!!!トラッシュにある滅竜スピリットを回収することでターンに1回、回復する!!」
「………!!」
「私はトラッシュにあるギルモンのカードを手札に戻し、デュークモンを回復させるっ!!ネクスト・イストリア!!!」
手札0⇨1
デュークモン+双牙皇オルト・ロード(疲労⇨回復)
蒼き力を巧みに扱い、デュークモンは回復する。これでこのターン、3度目のアタック権利を得た。
兎姫の場にはスピリットはいない。もはや守るものなどなにもないのだ。後はこの合体によりダブルシンボルになった聖騎士が貫くだけ。
「これで終わりだぁ!!………デュークモンっ!!」
マントを靡かせながら、兎姫の目の前に降り立ったデュークモン。そしてそのライフにも槍を構え……
「…………そ、そんな………この私が………」
ライフ4⇨2⇨0
デュークモンの回復からの強烈な二連撃。その強力な聖槍が、兎姫の残ってた4つのライフを一気に貫き消しとばした。
これにより勝者は芽座椎名。見事に大大逆転劇をしてみせた。手札のカードが1枚でもズレていたら訪れてはいない勝利であったことだろう。だが、それさえも必然に変えてしまうのがこの芽座椎名の圧倒的なセンスであるとも言える。
「よっしゃぁ!!!大大勝利だよ!!」
場に残ったデュークモンとエクスブイモンが椎名の勝利を祝うように、高らかにポーズを取って、その場でゆっくりと消滅していった。
この会場にいた全ての人達が椎名の勝利を拍手で迎えた。真夏も大いに喜んでいた。椎名が奇跡のたこ焼きをゲットしたからだ。
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「はぁ………」
ここは祭りの範囲内にある公園のベンチ。そこで腰を掛けながら、溜息をこぼしたのは鳥山兎姫だ。流石にあそこまで来て敗北したのはショックだったか、
だが、教師とて、1人のカードバトラー。これを糧に精進するしかない。
そんな時だった。前方から自分を呼ぶ声が聞こえた来る。
「お〜〜い!!兎姫先生!!!」
「っ!?芽座さん!?それに緑坂さんも………」
商品の奇跡のたこ焼きの箱を手に持ち、椎名と真夏が兎姫の前に現れた。
次に椎名が放った一言はなんとも人間として感心する一言であって………
「折角だし一緒にたこ焼き食べませんか?箱6つ入ってるし、3人で2個ずつ!!」
「こいつがこんなこと急に言い出すんで、ずっと兎姫先生のこと探し回っとったんですよ〜〜」
「みんなで一緒に食べた方が美味しいですしね!!」
「………芽座さん」
そう言って、椎名はブイの字サインを可愛くして見せると、兎姫に奇跡のたこ焼きの箱を手渡した。まだ若干の温みを感じる。
兎姫は少し感動していた。今思えば自分はあんなに大人気ない事をしていたというのに、この少女はそれを全く気にせずに一緒に食べようと言ってくれるとは…………なんと器が大きいのだろう。
どちらにせよ折角の生徒からの好意だ。教師側としても個人的にもこれを食すことになる。
「………ふふ、ありがとう……私も一緒に美味しくいただくわ!」
「よっし!!じゃあ、折角なんでこれから打ち上がる花火が見やすいとこ行きましょうよ〜〜!!」
「おっ!!それええな!」
そんな話が淡々と進む中、兎姫は1つ2人に忠告する事にした。それは彼との関わりが特に深い2人には絶対に行っておかねばならない事であって………
「と、ところで芽座さん、緑坂さん………」
「「?」」
「今日、ここで私に会ったことは晴く………空野先生には内緒よ…………」
「ん?晴太先生??なんで?」
兎姫は恥ずかしがりながらも左の人差し指で口を押さえながら言った。真夏はなんとなくそれを察したが、椎名には全く理由が検討もつかなかった。
だがしかし、そんな兎姫の想いとは裏腹にまたまたとんでもない偶然と奇跡が起こってしまった。
「おぉ〜〜い!!椎名ぁ、真夏ぁ!!」
「ん?晴太先生だ」
「んなぁ!?」
それは偶然か必然か、椎名達の担任教師、空野晴太が袴姿で歩いて来た。下駄の甲高い音が妙に耳につく。驚いた兎姫は思わず反対側を向いて晴太から隠れようとする。
「どうだ、祭りは楽しんでるかぁ!!!」
「はい!!楽しんでまーーす!!お姉さんの浴衣、サイズぴったりでした!!」
「おお、それは良かった!!」
椎名と晴太がそんな話をする。兎姫はどうにかこのまま時が経ってくれとずっと願っていたが、
「ん?………これ兎姫ちゃん?」
ー気づかれた。あっという間に………
仕方がないか、兎姫はゆっくりと晴太達の方を振り向いた。
「やっぱ兎姫ちゃんじゃん!!なんだよ、祭り行かないって言ってたじゃねーか!!」
「え?そうなんですか!?」
そう、兎姫は今年の祭りは晴太と行かないつもりだった。何せ、たこ焼き好きなところがバレるわけには行かなかったから…………何故か彼にバレるのだけは嫌で嫌で仕方がなかったのだ。だから今回、こうやって密かに1人で祭りに来たのだ。
ーしかし、それも不覚か、晴太は兎姫の手に持っているものに気づいてしまう。
「おっ!!それって奇跡のたこ焼き!?!凄いなぁ!!…………」
「!?!!!い、いや、こ、これはそ、その………」
「え?てゆうか兎姫ちゃんたこ焼き好きだったっけ?」
「あ、あぁ、先生、これはな…………」
不思議そうに兎姫に詰め寄って行く晴太。そしてテンパって行く兎姫を見兼ねて、真夏がどうにか誤魔化すために説明しようとしたその時だった。兎姫は思わず…………
「うるさいわぁ!!!!!このボンクラァァア!!!」
「ぐおぉぉおっっ!!?!!!」
そのたこ焼きが入っていた箱を思いっきり晴太の顔面にぶつけた。たこ焼きが飛び出てくるほどに。箱が晴太の顔から落ちると、そのたこ焼き6個は晴太の顔に付着していた。もう晴太以外は食べられたものではない。
虚しくも奇跡のたこ焼きが地面に落ちて行く。
「………ふんっ!!悪かったわね!!たこ焼きなんかが好きで!!」
そう言って機嫌を損ねた兎姫は椎名達3人の前から去っていった。
晴太は未だにこの状況でなんで兎姫にたこ焼きを投げつけられたかよくわかっていない。
「…………椎名………俺なんか兎姫ちゃんに悪いこと言った?」
口に垂れてきたたこ焼きのたれをそのまま舌で味わいながら、晴太は椎名に問うた。
「…………さぁ?」
だが椎名も何が何だかわからない表情を浮かべていた。
「椎名も大概やけど先生も大っっ概やな!!」
唯一意味のわかっていた真夏だけはここの最後で渾身のツッコミをかました。そしてまたまた偶然か、綺麗にこのタイミングで打ち上げ花火が綺麗に打ち上がった。
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ー後日、椎名と真夏の家に匿名の誰かから奇跡のたこ焼きが送られて来たのはまた別のお話。
〈本日のハイライトカード!!〉
椎名「本日のハイライトカードは【戦国の神皇バーニング・ゲイル・フェニックス】!!」
椎名「バーニング・ゲイル・フェニックスは数多く存在するゲイル・フェニックス系の1体!!その暴れっぷりはまさしく戦国の武人ならぬ武鳥!!」
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〈次回予告!!〉
次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ 「オーズ一族」…今、バトスピが進化を超える!!
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最後までお読みくださり、ありがとうございました!
次回から予告通り二期第2章となります。お楽しみにしていただけたら幸いです!