まだまだ続く具利度王国の王宮地下内のジャングルフィールドで行われている、学園生とオーズ神官達によるサバイバルバトル。
対面する司と最強の神官、プルート。火花を散らしながら、今にもバトルが始まりそうだ。
「こっちはもう私を含めても2人なんでね、全力でいかせてもらうよ!!赤羽司君!!」
「上等、最強の神官がどの程度の実力なのか、この目でしっかりと見させてもらうぜ……」
挨拶はここまでだ。そう言わんばかりに、2人はBパッドを展開し、すぐさまバトルの準備をした。
ーそして、
「「ゲートオープン、界放!!」」
【朱雀】こと、赤羽司と、具利度王国の国王にして最強の神官、プルートのバトルが始まった。
ー先行は………
ープルートだ。
[ターン01]プルート
《スタートステップ》
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ………まぁ、手始めに……メインマジック、ストロングドローを使用!!カードを3枚ドローし、2枚破棄……ターンエンド」
手札5⇨4⇨7⇨5
リザーブ4⇨1
トラッシュ0⇨3
破棄カード↓
【最後の優勝旗】
【最後の優勝旗】
バースト【無】
プルートは青の強力な手札交換マジック、ストロングドローを使い、その手札をより効率良く回転させる。しかし、先行の第1ターン目ではこれ以上のことは流石にできなかったか、そのままそのターンのエンドとしてしまう。
次は司のターンだ。
[ターン02]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ…………俺はイーズナを2体召喚し、ネクサスカード、朱に染まる薔薇園を配置する!!不足コストはイーズナから1体から確保!!」
手札5⇨2
リザーブ5⇨0
トラッシュ0⇨1⇨4
イーズナ(1⇨0)消滅
司が早速場に呼び出したスピリットはイタチのような見た目の黄色と赤のハイブリッド、イーズナ。それが2体場に出たが、司はすぐさまそれを1体消滅させ、背後に鮮やかな朱色の薔薇が咲く庭園を配置した。
このネクサスは説明するまでもなく、司のデッキにとって大きな潤滑油となる貴重な存在………
「アタックステップ!!軽く遊んでやれ、イーズナ!!」
イーズナにアタックの指示を送る司。イーズナはそれを聞くなり颯爽と走り出す。目指すはもちろんプルートのライフ。
「ほう?……じゃライフで受けようか」
ライフ5⇨4
ストロングドローで大部分のコアを消費していたプルートは当然これを受けることとなる。イーズナのひっかく攻撃が彼のライフ1つを引き裂いた。
「………ターンエンドだ」
イーズナLV1(1)BP1000(疲労)
朱に染まる薔薇園LV1
バースト【無】
できることを全て終え、司はそのターンをエンドとした。次はプルート。増えたコアでいったいどう動いてくるのか………
[ターン03]プルート
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ2⇨3
《ドローステップ》手札5⇨6
《リフレッシュステップ》
リザーブ3⇨6
トラッシュ3⇨0
「メインステップ…………」
「…………」
緊迫感と緊張感が続く空気の中、プルートがメインステップでしたことは………
「メインマジック、ストロングドローを使用!」
「………!?…2枚目?」
「この効果で3枚引き、2枚捨てる」
手札6⇨5⇨8⇨6
リザーブ6⇨3
トラッシュ0⇨3
破棄カード↓
【最後の優勝旗】
【ライドベンダー】
まさかのスピリットの展開はせずに、またまた手札の交換を行ってきた。手札の質は向上するものの、これでは次のターン、間違いなく司の猛攻により大きくライフを削がれることだろう。
「さらにバーストを伏せて、このターンの終わりとしよう……!!」
手札6⇨5
バースト【有】
「……………」
場にスピリットは無し。となるとあのバーストは兎に角怪しい。そう考える司。
その予想は大方正しい。
[ターン04]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨5
トラッシュ4⇨0
イーズナ(疲労⇨回復)
「メインステップ…………胡散臭いが………行くか……ハーピーガールをLV2で召喚!!」
手札3⇨2
リザーブ5⇨2
トラッシュ0⇨1
あのプルートの場にあるバーストの存在がどうしても気になる司だが、こちらから行かねば勝ちはない。そう思いスピリットを展開する。
呼び出されたのは女性型の鳥人間と言えるスピリット、ハーピーガール。空中から優雅に舞い、ゆっくりと司の場に現れた。
ーそしてまだ司のメインステップは終わらない。次はこのハーピーガールの強化だ。
「そして、赤のブレイブ、砲竜バル・ガンナー〈R〉を召喚し、ハーピーガールと合体!!」
手札2⇨1
リザーブ2⇨0
トラッシュ1⇨3
ハーピーガール+砲竜バル・ガンナー〈R〉LV2(2)BP8000
司の場に現れたのは赤のブレイブ、背中に砲手を携えたバル・ガンナーだ。出てくるなり、砲手のみを残し姿を消し、ハーピーガールの背に装着される。
ハーピーガールは強力な合体スピリットと成り上がる。
これで準備は万端。司は攻めに転ずる。
「アタックステップ!!やれ!ハーピーガール!!」
手札1⇨2
重たい砲手を気にしながらも、合体スピリットとなったハーピーガールは低空飛行で駆ける。バル・ガンナーの効果で司はその手札を少しだけ潤す。
「さぁ、ダブルシンボルによるアタックだ!!どうする?」
合体により赤と黄のシンボルを1つずつ持つハーピーガール。その一撃はライフを一気に2つ破壊することが可能。ここでそれを受けて仕舞えば、ライフアドバンテージに大きく差が開いてしまうが………
「ハッハッハ!!構わんよ、ライフで受ける!」
ライフ4⇨2
「………!!」
そんなことなど全く意に返さないプルート。ハーピーガールのダブルシンボルさえも余裕の表情で受ける。ハーピーガールの翼撃の一撃と、背中にある砲手による砲撃が、それぞれ1つずつプルートのライフを破壊した。
そしてそれだけではない。ハーピーガールの効果とそれに伴って発揮される朱に染まる薔薇園の効果がある。
「ハーピーガールの効果、【聖命】で俺のライフを1つ回復し、さらに朱に染まる薔薇園の効果でカードをさらに1枚ドローする」
ライフ5⇨6
手札2⇨3
司のデッキの基本的な戦法だ。なんとも噛み合ったこのコンボでライフ差と手札差を大きく引き離していく。砲竜バル・ガンナー〈R〉との合体もあって、今回に限ってはいつも以上にその効果は絶大。
ーだが、やはり来た。ここでようやくプルートは動く。司の読み通り、あのバーストこそが重要で、彼のデッキの動力源だ。
ーそれが勢い良く反転する。
「ライフ減少により、バースト発動!!鉄拳明王!!」
「………っ!?」
「バースト効果により、手札、又はトラッシュにあるネクサスカードを3枚ノーコスト配置!!私はトラッシュにある3枚の最後の優勝旗を配置!!」
そのバーストカードが反転したかと思えば、プルートの背後に巨大な旗が3本も立ち上がった。これは前々のターンで事前にストロングドローの効果でトラッシュに送っていたネクサスカードだ。
「そして、このスピリット、鉄拳明王を召喚!!」
リザーブ5⇨2
鉄拳明王LV2(3)BP10000
打ち上げられた高波と共に飛び出してきたのは青い体の巨人、赤い髪と4本の腕が特徴的。その存在感は現在存在する司のどのスピリットよりも上である。
「さらにさらに!!最後の優勝旗の配置時効果でコアを自身に置く、これを3度連続発揮!!」
最後の優勝旗(0⇨1)LV1⇨2
最後の優勝旗(0⇨1)LV1⇨2
最後の優勝旗(0⇨1)LV1⇨2
「………っ!?なに!?」
鉄拳明王の登場と共に凄まじい勢いで増えていくプルートのコア。ライフが減っていることもあって、その総数は圧倒的に司を上回っている。
「…………ちぃっ!……エンドだ」
ハーピーガール+砲竜バル・ガンナー〈R〉LV2(2)BP8000(疲労)
イーズナLV1(1)BP1000(回復)
朱に染まる薔薇園LV1
バースト【無】
流石にBPの弱いイーズナでアタックはできなかったか、司はこの決して良好とは言えない状況の中、舌打ちし、このターンを仕方なくエンドとした。
ー次は見事に鉄拳明王と最後の優勝旗3枚のコンボを見せたプルートのターン。ここからだ。ここまではほんのウォーミングアップ。ここからが彼の国王としての本気のターンとなる。
******
ここは司とプルートがバトルしているゾーンとはまた別の場所、ここには更なる対戦相手を求めてジャングル内を探索している芽座椎名がいた。
「真夏と夜宵ちゃんが負けてる!?………あの王様そんなに強いのか………」
椎名は今更ながらBパッドに届く通知を見ていた。生存者や敗北者のリスト、誰が勝利したなどがきめ細かく記載されている。もちろん司がジュピターに勝利を収めたことも知った。
「あぁ、うちの親父は強いぞ」
「ふ〜〜〜ん。やっぱそうなんだ……………………………………………ん?…………………うわわぁっ!!」
唐突だ。唐突に誰かが椎名の横にいて、勝手に独り言に割り込んできた。椎名はびっくりして思わず声が裏返り背筋が仰け反る。その横にいた人物の正体は……………
「あはははっ!!反応も可愛いなぁ!!」
「マーズ!!」
赤のオーズ神官、マーズだ。今回はしっかりとオーズ神官らしく、自分の面、赤くて鷹の絵が描かれているものを被っていた。
「よっ!!椎名ちゃん!!1時間ぶりくらいか?」
「びっくりさせないでよね〜〜」
「………通知見たよ、うちの姉ちゃんや弟がみんな君にやられたみたいだね、」
「えっへへ!!すごいっしょっ!!」
マーズに褒められた椎名はどこか誇らしげ、ここまでのサバイバルバトル、最も多い人数を倒してきたのはこの芽座椎名だ。あのプルートでさえも未だに真夏と夜宵の2人だけである。
「さっきのブ男とか、茶髪の男とか、色々見かけたけどね〜〜俺はやるならやっぱ女の子かな〜〜って思ってさ〜〜」
「…………はは」
マーズらしい理由だ。椎名も流石に苦笑いで話を流す。さっきのブ男というのは毒島のことだ。そして茶髪の男は雅治の事、マーズの性格がこんなんでなければ、もしかするとマーズとバトルしていたのはあの2人のうちのどちらかだったのかもしれない。
「さっ!!バトルと言う名のデートと行こうじゃないか!!」
「デートはしたくないけど、バトルは大歓迎だ!!行くよっ!!!
椎名とマーズ、2人はそう言うと、勢い良く懐からBパッドを取り出し、展開。速攻でバトルの準備をし………
「「ゲートオープン、界放!!」」
ーバトルが始まった。
******
一方、司とプルートのバトル。プルートの第5ターン目からの再スタートだ。
[ターン05]プルート
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ2⇨3
《ドローステップ》手札5⇨6
《リフレッシュステップ》
リザーブ3⇨6
トラッシュ3⇨0
「メインステップ…………さぁ、ここからが腕の見せ所だな、」
プルートのそのおおらかな表情は、実力と言う名の自信に満ち溢れていた。司とてわかる。ここからが真なる神官バトルだ。
ー先ずは手始めと言わんばかりにあの仮面スピリットを召喚していく。
「私は、仮面ライダーオーズ タトバコンボを召喚!!」
手札6⇨5
リザーブ6⇨1
トラッシュ0⇨2
“タカ!!トラ!!バッタ!!”
“タ・ト・バ!!タトバタ・ト・バ!!”
この修学旅行編と言う名の章が幕を開けてからと言うもの、いったい何度この陽気な音楽を聴いたことだろうか、いつものように赤、黄、緑の上三色の光と共に仮面ライダーオーズ タトバコンボが場に現れた。
司は思わずその身を引き締めた。このタトバコンボはさっきまでバトルしてた緑の神官、ジュピターとはわけが違うことを知っているからだ。
「召喚時効果でカードをオープンし、対象内となるカードを手札に加えるよ」
オープンカード↓
【仮面ライダーオーズ プトティラコンボ】◯
【ライドベンダー】×
その効果は成功、プルートはその中の当たったカードを手札へと加えた。
ーそれはオーズ神官の頂点に立つ者、つまりこの具利度王国の国王しか使うことを許されない統一コンボの中でも特に特別なオーズ。
ーだが、これを手札に加えてもまだ彼はこのメインステップで何かを展開するようで………
「さらに、アンクを召喚しようかな………召喚時効果でまたカードをオープン」
手札5⇨6⇨5
リザーブ1⇨0
トラッシュ2⇨3
オープン↓
【セルメダル】◯
【セルメダル】◯
これもかなりの頻度で登場しているオーズデッキのキーパーソン、ブレイブのアンク。宙にその右腕だけが浮遊している。
そしてその召喚時も成功、セルメダルのカードを一気に手札に加えた。
「タトバコンボにアンクを合体!!」
手札5⇨7
仮面ライダーオーズ タトバコンボ+アンクLV2(3)BP8000
アンクがタトバコンボに憑依する。と言っても右腕がアンクになっただけで特にめぼしい変化はないのだが、
どちらにせよ合体によって強化されたのは確かなことであって…………
ーそして、いよいよ王が動き出す………
「アタックステップっ!!行きたまえ!!タトバコンボっ!!」
タトバコンボにアタックの指示を送るプルート。
ーだが、それはすぐさまタトバではなくなる。
ー変わるのだ。
ーチェンジするのだ。
ー自分の持つ最強のオーズに…………
プルートは手札にあるそのカードに手を当て、引き抜いた。
「フラッシュ【チェンジ】!!対象はタトバコンボ!!」
最後の優勝旗(1⇨0)LV2⇨1
最後の優勝旗(1⇨0)LV2⇨1
トラッシュ3⇨5
「……っ!!……来るかっ!」
プルートのチェンジの宣言に、司は悟った。間違いなく王のオーズが登場すると………
タトバコンボの体内から突然メダルが飛び出してくる。その色は紫。それらはまるで意思でもあるかのようにタトバコンボのベルトに差し込まれていく。
ーそしてタトバコンボはスキャナーでそれをスキャン、読み込み…………
「さぁ、我がオーズ!!プトティラコンボよ!!この地に舞い降りよ!!」
仮面ライダーオーズ プトティラコンボ+アンクLV3(3)BP20000
“プテラ!!トリケラ!!ティラノ!!”
“プ・ト・ティ・ラ〜〜ノザウッル〜〜ス!!”
タトバコンボが紫の光を纏って変えた姿はなんとも禍々しい仮面スピリット。基本的にヒーロー扱いされる仮面スピリット達とは一線を画している。
紫のオーズ、プトティラコンボが司の前に敵として現れた。
「これが最強のオーズ…………」
「あぁ、禍々しいだろ?…………【チェンジ】効果!!コスト4以下のスピリット1体を破壊!!」
「っ!?」
「イーズナを破壊しようか!!」
まるで獣、いや、恐竜のような咆哮をあげるプトティラコンボ。そして地面に手を思いっきり突っ込み、何かを掴み取り、引き抜いた。
ーそれはプトティラコンボ特有の武器。斧のような外見をしている。
プトティラコンボはそれで飛ぶ斬撃を放ち、司の場にいるイーズナを狙い撃つ。イーズナが当然そんなものを避けられるわけもなく、あっさりとそれに引き裂かれ、爆発してしまう。
「アタック中だよ、どう受ける?」
「………っ!!……ライフだ!!」
ライフ6⇨4
再び飛ぶ斬撃を放つプトティラコンボ。今度はイーズナではなく、司自身に飛ばしてくる。ハーピーガールはアタックによって疲労しているため、当然司はこれをライフで受けることとなった。
だが、プトティラコンボはアンクとの合体によりダブルシンボル、斬撃は司のライフ2つを一気に引き裂いた。
ーそして何より忘れてはならない。プトティラコンボはアタック中のタトバコンボと入れ替わった。つまり、【チェンジ】の効果によって、今尚も回復状態。2度目のアタックが可能だ。
「ほい、二撃目〜〜…………プトティラコンボのアタック時効果!!」
「………!!」
「プトティラコンボを除いて最もコストの高いスピリット1体を破壊するよ〜〜………今この場で最もコストが高いのは…………」
「………俺のハーピーガール………」
プトティラコンボのアタック時効果だ。プトティラコンボを除いて最もコストの高いスピリットが敵味方を問わず問答無用で破壊される。
現在、この場でコストが最も高いのは司の場にいるハーピーガール。そのコストは砲竜バル・ガンナー〈R〉との合体で8。プトティラコンボの効果対象圏内に収まった。
プトティラコンボは斧のような武器に収まり切れない程の莫大なエネルギーを溜め、それをハーピーガールに向けて振り下ろす…………
“プ・ト・ティッラ〜〜ノヒッサ〜〜ツ!!”
ハーピーガールはなすすべなくそれに引き裂かれ、大爆発を起こした。合体していたバル・ガンナーは身の危険を感じたか、咄嗟に分離してことなきを得た。
「さらにこの効果で破壊した相手スピリットのコア1つをボイドに送る!!」
「………!?」
普通、スピリットの破壊などによって帰ってくるコアはリザーブに送られる。だが、プトティラコンボはそれさえをも逃さない。ハーピーガールの破壊によって飛び散ったコアの1つは、プトティラコンボのあまりに強力な攻撃によって砕け散った。
「さぁ!!このアタックはどう受ける?」
プルートの場にいるスピリットはプトティラコンボを除けば、後は鉄拳明王。このスピリットは青特有のネクサスを疲労させることで回復し、連続アタックを可能にする【強襲】の効果を持っている。
ー極力このプトティラコンボのアタックで終わらせねば、
司はそう思い、手札のカードを1枚引き抜いた。
「フラッシュマジック!!シンフォニックバースト!!」
手札3⇨2
リザーブ3⇨1
トラッシュ3⇨5
「…………!!」
「アタックはライフで受けてやるよ…………っ!!」
ライフ4⇨2
プトティラコンボの斧の一撃が、司のライフを一撃で一気に2つ破壊した。だが、それがトリガーとなり、司の使用したマジックカード、シンフォニックバーストの効果が発揮される。
「シンフォニックバーストの効果!!バトルの終わりに俺のライフが2以下だった場合、お前のアタックステップを終了させる!!」
「……おぉ!!」
プルートは司に感心するが、それどころではない。弾け飛ぶように放たれた閃光が、彼の場にいるプトティラコンボと鉄拳明王の動きを封じ込めた。
これではこのターンは一歩も動くことはできない。
「ハッハッハ!!流石にこの程度ではやられはせんか!!ターンを終えよう!!」
鉄拳明王LV2(3)BP10000(回復)
仮面ライダーオーズ プトティラコンボ+アンクLV2(3)BP13000(疲労)
最後の優勝旗LV2(1)
最後の優勝旗LV1
最後の優勝旗LV1
バースト【無】
流石にこれは仕方がないか、プルートはここでターンを終えた。次は見事に彼の猛攻を防ぎ切った司のターン。ここでやり返せなければほぼ敗北が確定するが…………
「あっ…………司………」
「あぁ?……なんだ雅治か……」
「なんだとは不躾だなぁ………」
突然彼の背後から現れる人物が1人、長嶺雅治だ。今回、彼は一度もバトルを行なっていない。そうして歩き回った結果、偶然にも司の元に辿り着いた。
「………てか、お前一回くらい戦えよ」
「それが1人たりとも出会わなくてねーーー…………なんならさっさとこれに負けて僕と代わっても良いんだよ?」
「冗談抜かせ、ここからが怒涛の大反撃なんだよ………」
雅治との何気ない言い合い。司にとっては毎度毎度のことであるが、その言い合いがまた彼のこのバトルに対するモチベーションを向上させたのは間違いないことであって……………
ー司の怒涛の大反撃が幕を開ける………
[ターン06]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ3⇨4
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ4⇨9
トラッシュ5⇨0
砲竜バル・ガンナー〈R〉(疲労⇨回復)
「メインステップ!!……俺は3体目のイーズナを召喚し、………さらにこのスピリット、シルフィーモンをLV3で召喚するっ!!」
手札3⇨1
リザーブ9⇨1
トラッシュ0⇨4
「…………!!」
司は3体目となるイーズナを呼び出すと共に、自身のエーススピリット、オーバーエヴォリューションによって覚醒した完全体、白き獣人、シルフィーモンを召喚した。
シルフィーモンは滑空するように上空から司の場へと現れた。
「ほほぉ、あれが噂に聞くシルフィーモン………!!」
「感心してんじゃねぇぞ!!王のジジイ!!……シルフィーモンの召喚時効果!!!」
「…………!!」
「俺はこの効果でBP10000の鉄拳明王を破壊するっ!!…………トップガン!!!」
シルフィーモンは登場するなり、掌を合わせ、その間にエネルギーを凝縮し、それをボールのように鉄拳明王に撃ち込む。鉄拳明王はそれに腹部を貫かれ、無惨にも大爆発してしまった。
「そして、シルフィーモンに砲竜バル・ガンナーを合体!!」
シルフィーモン+砲竜バル・ガンナー〈R〉LV3(4)BP16000
バル・ガンナーが再び砲手のみを残して消滅する。残った砲手は先のハーピーガール同様、シルフィーモンの背に装着されシルフィーモンを合体スピリットへと昇格させた。
司は前のターンでライフ2まで追い込まれたが、それはプルートも同じこと、彼もまた、司と同じライフ2なのだ。
ー司はこの一撃で決める覚悟でこのターンのアタックステップへと移行していく。
「アタックステップ!!翔けろ!!シルフィーモン!!」
手札1⇨2
上空に飛び立ち滑空飛行でプルートのライフまで目指すシルフィーモン。司は砲竜バル・ガンナー〈R〉の効果でカードをドローする。
シルフィーモンは合体によりダブルシンボル。当然ながら一撃で2つのライフを破壊できるのだ。プルートの場に残った唯一のスピリット、プトティラコンボは今や疲労状態。ブロックは不可。
ーいける…………
司がそう思った直後だった。プルートが自身の手札からカードを1枚抜き取ったのは…………
「甘い!!フラッシュ【チェンジ】発揮!!2枚目のプトティラコンボ!!」
リザーブ3⇨1
トラッシュ5⇨7
「…………!!?」
「効果対象は当然場に残ったプトティラコンボ!!これと入れ替える!!」
仮面ライダーオーズ プトティラコンボ+アンクLV2(3)BP13000(回復)
プルートが使用したのは2枚目となるプトティラコンボのカード。見た目が変わらないためか、特に入れ替わる様子もなく、元々場にいたプトティラコンボが疲労から起き上がった。
「そして【チェンジ】の効果で、コスト4以下のスピリットを破壊!!再びイーズナを破壊しよう!!」
「………!!」
プトティラコンボの飛ぶ斬撃が、またもや司のイーズナを襲う。3枚目も2体目同様、避けられるわけもなくあっさりと引き裂かれてしまった。
ーそして、次は回復したプトティラコンボで………
「ブロック!!」
シルフィーモンのアタックをブロックした。滑空するシルフィーモンに向かって飛び上がるプトティラコンボ。そのままシルフィーモンに斧を振り下ろし、シルフィーモンを撃墜させた。
「ちぃっ!!だが、俺のシルフィーモンの方がBPは上だ!!………フラッシュマジック!!イエローリカバー!!この効果でシルフィーモンを回復させる!!」
手札2⇨1
リザーブ2⇨0
トラッシュ4⇨6
シルフィーモン+砲竜バル・ガンナー〈R〉(疲労⇨回復)
「………む!?」
撃墜されてもなお、シルフィーモンは立ち上がり、イエローリカバーの効果を受け、シルフィーモンは疲労状態から回復状態まで復活する。これでこのアタックは防がれようとも2度目のアタックで決着をつけることができる。
シルフィーモンは反撃開始だと言わんばかりに、プトティラコンボを隙のない格闘術で攻めて行く。プトティラコンボは辛うじて防いでいるが、負けるのは時間の問題と言って良い。
ーしかし、仮にも国王がこの程度ではくたばるわけもなく…………
「面白い!!なら、このバトル、全力で勝つまで!!フラッシュマジック!!セルメダル!!これを2枚分使用し、プトティラコンボのBPを合計4000アップさせる!!」
手札7⇨6⇨5
仮面ライダーオーズ プトティラコンボ+アンクBP13000⇨15000⇨17000
「…………っ!?BPを上回った!?」
銀色のコインがプトティラコンボの体内に侵入してくる。プトティラコンボは眼光を輝かせ、再びシルフィーモンを圧倒し始める。
「さぁ、次はどうでる?」
プルートが司に問いかけるように言った。そしてこの瞬間、司は確信した。
ーこのバトルは自分の勝ちであると………
「終わりだ…………フラッシュ!!煌臨発揮!!対象は……………っ!?」
「………!?」
ー「対象はシルフィーモン」司はこの時、そう叫ぼうとした。だが、あるものが目に入った途端に言葉が出なくなった。
ーそれは、その人物は自分の目の前に、いや、プルートの背後にその人物はいた。雅治も驚愕したような表情でそれを見ていた。
ーそれが普通の人間ならまだ驚愕などしなかったことだろう。だが、その人物からはとても人とは思えないほどのオーラが痛いほど伝わって来るのだ。
ーそれはとてもではないが、人間とは呼べない………
2人の異変に気付いたか、プルートは司と雅治の目線の方へと振り向く。
ーそこには自分も知らない、人物が1人。それはサバイバルバトルの参加者でもなければ、ましてやオーズ一族ですらない。プトティラコンボなどとは比にならないほどに禍々しい人物だ。
ーそして3人の視線が自分に向けられたこの時、ようやくその人物は口を開く。
「なんだか楽しそうなことしてんなぁ〜〜………一族様ぁ?」
その人物の体格は簡単に言えば厳つい。ゴツい、と言えば分かりやすいか、他に特徴的なことを言えば、毛深い。
そう、椎名達は知らないが、この人物は、サバイバルバトルが始まる前、【Dr.A】となんらかの関わりがある【銃魔】と会話をしていた人物だ。目的はみかんのような頭の女の子を拉致すること……………
ーそして、ようやく明かされる、
ーその人物の名は…………
「俺の名は【剣総(けんそう)】!!!……一族様ぁ!!俺も混ぜてくれよぉ!!」
この男、剣総は煽るようにそう叫んだ。
ーここからだ。ここから今年のサバイバルバトルは大いに乱れて行くこととなる。
〈本日のハイライトカード!!〉
椎名「本日のハイライトカードは【仮面ライダーオーズ プトティラコンボ】!!」
椎名「プトティラコンボはオーズの紫のコンボで、王にだけ使うことが許される最強のコンボ!!2種類の破壊効果で敵を追い詰めるよ!!」
******
〈次回予告!!〉
司「なんなんだこいつ!?いったいどこから湧いて出やがった!?まぁ、良い、こいつも倒すまでだ……あぁ?王のジジイ、お前が排除するってか?…………次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ、「乱入者、仮面ライダー剣!!」今、バトスピが進化を超えるっ!!」
******
最後までお読みくださり、ありがとうございました!!
予告の剣のフリガナはもちろんブレイドです。
※新キャラ、剣総は第55話の最後でも少しだけ登場しておりますので、そちらも参考程度に………