彼は…………
本当に人なのだろうか?
突如として司、プルート、雅治の前に突然現れたのは、とても人とは思えないような途方も無い負のエネルギーを秘めた男性。見た目の印象は………毛深くて、ゴツい。
「さぁ!!俺とバトルしてくれよぉ!!1人残らずぶっ殺してやるからよぉ〜!!」
その剣総という男は挑発行為で3人を煽り出す。
そもそもの話だ。彼はいったいどこからやってきたと言うのだ。ここは仮にも城内。それなりの都合がなければ基本的に門前払いされる。
ーしかし、その理由は直ぐに明らかとなる。
一本の電話が、プルートのBパッドから鳴り響く。彼は目の前にいる剣総を警戒しつつもその電話に応じた。
「………なんだ?」
〈お、王よ!!た、大変です!!我らの王宮内に不届き者が現れました!!門兵を全て薙ぎ倒しこの中に侵入した模様!!〉
切羽詰まったような口調でプルートに話しかけてくる王宮の役人。侵入者など滅多にくる者ではないため、焦っているのが伺える。
プルートはその電話を切りながら察した。彼が何十人と存在する門兵を全て薙ぎ払ってここまで来たことを………また、それを側から聞いていた司と雅治もその事に気付いた…………
「お主は何をしにここまで来た?ここは政権も無い形だけの王国だが、不法侵入は犯罪だぞ?」
プルートが剣総に問うた。
確かに、ここは具利度王国。物珍しい観光地だ。地形も、名産品も、カードも………
それでも対して値がつく物など存在しない。強いて言えばオーズのカードくらいだが、それだけのためにこんな大胆に不法侵入などあまりにも大袈裟過ぎる。
「あぁ?そりゃ当然、お前らみたいな成り上がり一族を成敗するために決まってるだろ?」
「「「!?」」」
「俺は嫌いなんだよ………お前らみたいなカードの力だけで上に行くような連中が………」
果てしない焦燥や嫌悪の感情が3人に伝わってくる。その異様な様子に恐怖すら感じる。ただ、そんなものなどここまでする理由にはならないし、わざわざこんな辺境の地を狙う必要もない。
ー司が恐怖の感情を押し退けてそう言おうとした時、また剣総が閉じない口から言葉を吐く。
「…………と、言うのは建前で〜〜……実は【芽座椎名】って言う女を連れて来いって言う依頼でここまで来たんだよ、お前らなんか知ってる?」
「「「!?」」」
この言葉には3人も驚いた。
確かに剣総は【芽座椎名を連れて行く】と言った。どう言うことだ。理由も何も訳がわからない。こんなテロリストじみた男が何故一般の女子生徒を狙うのか………
椎名が界放リーグで一躍有名になったから?
ロイヤルナイツのマグナモンを持っているから?
仮にそうだとしてもあまりピンとは来ない。
だが、どちらにせよ人攫いなど言語両断。彼はここで止めなくてはならない。
「………知らんな、そんな名前……どちらにせよお主は不法侵入者、このまま野放しにはできん!!少々手荒でも大人しくしてもらうぞ!!」
プルートがそう言った。そして彼は直後に司とバトル中により繋がっていたBパッドの通信を切り、それを今度は剣総に向ける。
彼とバトルする気なのだ。
その様子を見て、剣総は不気味な笑みを浮かべる。単純に喜んでいるのだ。成り上がった一族の長がやる気になっているのが。
ーそしてそれをこの手で叩き潰せることに喜びを感じているのだ………
「おい王のジジイ!!」
「済まんな、決着は後でつけよう………」
王宮がめちゃくちゃにされたのだ。今はサバイバルバトルなどしている場合ではない。プルートは具利度王国の国王として、責任を持って全力で剣総を叩き潰す気だ。
その言葉の重さを感じ取ったか、司も雅治もこの後は特に何も言わなかった。今はこの国王を信じる他ない事を悟ったからだろう。
「ぶわっはっは!!そうだ!!それで良い!!やろうじゃないか!!」
そう言って剣総もまたプルート側にBパッドを展開する。
ーこれで両者のバトルの準備が整った。
ー始まる。2人のバトルが…………
張り詰めた緊張感の中…………それが幕を開ける。
「「ゲートオープン、界放!!」」
司と雅治が見守る中、プルートと剣総のバトルが幕を開ける。
ー先行はプルートだ。
[ターン01]プルート
《スタートステップ》
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ!!さぁ、先ずはネクサスカード、海底に眠りし古代都市を配置しようかな」
手札5⇨4
リザーブ4⇨0
トラッシュ0⇨4
プルートが早速背後に配置したネクサスカードはまるで壮大な夢物語を語るような海底に沈む古代都市。これはあまりの強力さ故に究極カードに指定された特別なカードの1枚だ。
「ターン終えよう、さぁ、君のターンだ………行いたまえ」
海底に眠りし古代都市LV1
バースト【無】
司とバトルしていた時とはまるで違う態度を見せるプルート。それもそのはずだ。この剣総は王宮をめちゃくちゃにした挙句、神官達が毎年楽しみにしていたバトスピ学園生とのサバイバルバトルさえも邪魔をしたのだ。
当然、捕らえるだけで刑が済む訳がない。
そして次はそんな剣総のターン。プルートの煽りに顔色ひとつ変えず、ニタニタと不敵に笑いながらターンを進めていく。
[ターン02]剣総
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップゥ〜〜………そっちの初手がネクサスならこっちもネクサス置いといてやるか〜〜………ネクサスカード、BOARDを配置ぃ〜〜」
手札5⇨4
リザーブ5⇨2
トラッシュ0⇨3
「「「…………!?」」」
剣総が初手に配置したネクサスカードはまるで何かを研究しているかのような施設。その明かりの暗さから、到底まともなものを研究していないことは一目でわかる。
「なんだ?あのネクサス………」
「さあ?……僕も知らない………」
司と雅治が言った。そう、誰もあんなネクサスカードなど知らないのだ。それの明かりの暗さもあってか、それが放つ異様な何かは2人を困惑させるには十分すぎた。
プルートも当然あんなネクサスなど知らない。だが、それでも彼は未だ平然とした顔を崩さない。
「ターンエンドだ〜〜さぁ一族様ぁ〜〜ターン進めていいぜぇ〜〜!!」
BOARDLV1
バースト【無】
剣総はこれだけでターンを終えた。次はプルートのターン。
[ターン03]プルート
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨5
トラッシュ4⇨0
「メインステップ!!私はマジック、ストロングドローを2枚使用する!!デッキから3枚引き、その後2枚破棄する……これを2度行う!!」
手札5⇨4⇨7⇨5⇨4⇨7⇨5
リザーブ5⇨1
トラッシュ0⇨4
破棄カード↓
【最後の優勝旗】
【最後の優勝旗】
【最後の優勝旗】
【ライドベンダー】
青属性を代表する手札入れ替えマジック、ストロングドロー。プルートはこれを一気に2枚使用し、手札の質を高める。
ーそしてそれと同時にトラッシュの質も上がる。
「さらにバーストをセットし、ターンを終えよう!!」
手札5⇨4
海底に眠りし古代都市LV1
バースト【有】
ついでと言わんばかりに場にバーストをセットするプルート。だがこれはこのバトルの流れを掴んでいくために大事なカード。彼とバトルをした司にはあのバーストが何かわかる。
第3ターン目まで来たが、ここまでお互いスピリットは一切召喚せず、下準備やネクサスの配置のみと、静かな滑り出しだったと言える。
次は剣総のターン。
ーここからバトルはより大きく動き出す……
[ターン04]剣総
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ2⇨3
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ3⇨6
トラッシュ3⇨0
「メインステップ………ほいじゃ、ちょっとだけ本気出しちゃうか〜〜………」
そう言って剣総は手札にある1枚に手をかける。その様子から呼び出されるのはそのデッキの中核を担う存在。それを察した他3人はより一層気が引き締まる。
ーそしてそれが召喚される。
ーそのスピリットの名は……
「俺はぁ!!仮面ライダーブレイドをLV2で召喚っ!!」
手札5⇨4
リザーブ6⇨2
トラッシュ0⇨2
「「!?」」
「……仮面スピリットっ!?」
落下してくる1枚のカード、その柄はバトルスピリッツの物のは異なっている。そしてその中から何者かがこの場へとゆっくり歩みよって来る。
その名は仮面ライダーブレイド。数多く存在する仮面スピリットの一種。だが、その存在自体はほとんど知られていない。当然司達もそんなスピリットなど見たことも聞いたこともなかった。
「き、貴様……本当に何者なのだ!?………なんだその仮面スピリットは………っ!?」
プルートがその異様な仮面スピリットを前に、剣総にそう問うた。
一般的に……
仮面スピリットとは市販での販売はあまりされてはいない。故に一般の人で購入が可能な仮面スピリットは非常に少なく、デッキを組む事自体困難を極めるのである。
見たこともない仮面スピリット………つまり、この仮面スピリットはオーズと同じ、何かしらの一族が扱っている仮面スピリットではないのか?
ーと言うのがプルートの予想及び推理であった。
「あぁん?貰ったんだよ〜〜〜ある人物になぁ!!」
「それを使ってどうする気だ?」
「さっきも似たようなこと言ったろ?………お前らみたいな成り上がり一族をぶっ殺すためだってなぁ!!」
痺れるような覇気を飛ばしてくる剣総。その事が本気なのが伺える。そしてさらに剣総は仮面ライダーブレイドが持つ召喚時を使用していく。
それは仮面スピリットやデジタルスピリットのデッキにおいては必須レベルの有能な効果である。
「召喚時ぃ!!カードオープン!!」
オープンカード↓
【仮面ライダーブレイド ジャックフォーム】◯
【仮面ライダーギャレン】◯
【醒剣ブレイラウザー】◯
効果は成功。仮面ライダーブレイドは系統「四道」を持つカードを1枚手札に加える事ができる。
「俺はぁ!!この効果でブレイブカード、醒剣ブレイラウザーを手札に加えるっ!!………そしてそのまま召喚し、ブレイドと合体!!」
手札4⇨5⇨4
リザーブ2⇨0
トラッシュ2⇨4
仮面ライダーブレイド+醒剣ブレイラウザーLV2(2)BP8000
ブレイドが呼び出された時と同様に上空から一本の剣が降ってくる。ブレイドはそれを華麗にキャッチし、構え、合体スピリットとなる。
「バーストを伏せぇ、お待ちかねのアタックステップ!!力の差を思い知らせてやれブレイドォォ!!」
手札4⇨3
剣総がバーストをセットすると共に醒剣ブレイラウザーを手に地を駆けるブレイド。目指すはもちろんプルートのライフ。
彼の場にはネクサスが1枚のみ、バーストも反応がない。つまりはライフで受けるということになるが…………
ープルートは思い知ることとなる。この仮面ライダーブレイドが…………いや、剣総という男がどれだけ危険かと言うことを…………
「ライフで受けよう!!」
当然の如くライフで受ける宣言をするプルート。だが、それに対し又もや不敵な笑みを浮かべる剣総。
ーこれから何が起こるのかを知っているからだ。それを想像するだけで自然と笑みがこぼれる。
ブレイドが醒剣ブレイラウザーを構える。目の前のプルートのライフを切り裂くのだ。このアタックはダブルシンボル。よって2つ破壊する。
ーそしてそれを、プルートのライフ2つを一刀両断で切り裂いた。
ーそれ自体は全くもって問題なかった。バトルスピリッツと言うゲームにおいて、これはごくごく当たり前のこと…………
ーしかし………
「ぐ、ぐぉぉぉぉぉ!!!!!!」
ライフ5⇨3
「「!?」」
ライフをブレイドに切り裂かれたと思った瞬間。とてつもない痛みがプルートを襲った。ただごとではないと感じ取った司と雅治もそれを見て驚愕した。
普通のバトルでは先ず痛みはない。それなのになんなのだこの体が焼けるような激しい痛みは…………
プルートはその痛みに耐えながらもそう思考をよぎらせていた。
「ぶわっはっは!!どうだ?どうだった!?最高だろう??」
「おい!!王のジジイ!!」
あまりのダメージに膝をつくプルートを馬鹿にするかのように高笑いする剣総。
その様子に声を荒げる司。だが、プルートは司の言葉に対して「問題無い」と言わんばかりに立ち上がる。
具利度王国の国王、プルートは………
ー今、ここではっきりと理解した。
ーあの男は本気で殺すつもりでここに来ていたこと、
ーこの男をこのまま野放しにしてはならない。
ー他の者達に危害が加えられる前に自分が倒さなければいけないと強く自覚した。
ー王の名にかけてあの【化け物】を倒す………
「ライフの減少によりバースト発動!!鉄拳明王!!」
「………!?」
「この効果によりトラッシュにあるネクサスカード3枚をノーコスト配置!!私はトラッシュにある最後の優勝旗を3枚配置!!その配置時効果でコアを増やす!!」
最後の優勝旗(0⇨1)LV1⇨2
最後の優勝旗(0⇨1)LV1⇨2
最後の優勝旗(0⇨1)LV1⇨2
一気に反転し、発動されるプルートのバースト、鉄拳明王。その効果でトラッシュに落としていたネクサスカード、最後の優勝旗が一気に3枚、彼の背後に配置される。
そしてその効果でコアブーストされると共に1体のスピリットが飛び出してくる。
ー鉄拳明王だ。
「そしてこの効果発揮後、このスピリット、鉄拳明王を LV2で召喚する!!」
リザーブ4⇨1
鉄拳明王LV2(3)BP10000
プルートの背後から飛び出してくる1体の人影、それは青い巨人、4本の特徴的なスピリット、鉄拳明王。
「へぇ〜〜……ターンエンド」
仮面ライダーブレイド+醒剣ブレイラウザーLV2(2)BP8000(疲労)
BOARDLV1
バースト【有】
相手ターンにスピリットの展開はおろか、多量のコアブーストまでもをやってのけたプルートのプレイングを見ても、剣総はなんとも思わなかったか、薄く反応しただけでそのままターンを終えた。
次はプルートのターン。増えたコア、シンボルを使い、一気に反撃に出る。
[ターン05]プルート
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ⇨1⇨2
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨6
トラッシュ4⇨0
「メインステップっ!!」
ー目には目を、仮面スピリットには仮面スピリット………
プルートは召喚する。オーズ一族の誰もが持つ仮面スピリットを…………
「仮面ライダーオーズ タトバコンボ[2]を LV2で召喚っ!!」
手札5⇨4
リザーブ6⇨0
最後の優勝旗(1⇨0) LV2⇨1
最後の優勝旗(1⇨0) LV2⇨1
トラッシュ0⇨2
“タカ!!トラ!!バッタ!!”
“タ・ト・バ!!タトバタ・ト・バ!!”
いつもの変身音。いつもの光。上から赤黄色緑の色でまとまったオーズの最も基本的なコンボ、タトバコンボがプルートの場に現れた。
「海底に眠りし古代都市の効果でコアを増やし、さらに召喚時効果でカードをオープン!!」
リザーブ0⇨1
オープンカード↓
【仮面ライダーオーズ プトティラコンボ】◯
【鉄拳明王】×
効果は成功。プルートは自身のオーズ最強コンボ、プトティラコンボのカードを手札に加える。
これで準備は万端か、プルートはここからアタックステップへと移行し、畳み掛ける。
「アタックステップっ!!行け!!タトバコンボっ!!………不届き者を叩き伏せるのだ!」
手札4⇨5
「…………ぶわっはっは!!その程度!!ライフで受けてやるっ!!」
ライフ5⇨4
スピリット全てが疲労しているため、ブロックはできない。剣総は余裕の表情を浮かべながら、そのタトバコンボの鉤爪の一撃を受けた。そのライフが1つ切り裂かれる。
プルート側からは対してダメージはないか、剣総はプルートの時とは違い平然とした顔で依然構えている。
「次っ!!鉄拳明王!!アタック時効果【強襲:3】!!ネクサスカード最後の優勝旗を1枚疲労させ、鉄拳明王は回復する!!」
最後の優勝旗(回復⇨疲労)
鉄拳明王(疲労⇨回復)
「…………!!」
潔く走り出した鉄拳明王が自身の効果で疲労状態から回復状態まで起き上がる。
これには剣総も目を見開いた。
それもそのはず、【強襲:3】とは、即ち、3回回復すると言うこと、通常のアタックと合わせてそのアタック回数は最大4回。
つまり、このまま剣総に反撃の余地がなければ、このまま鉄拳明王がバトルを終わらせてしまうこととなる。
「…………ライフで受ける」
ライフ4⇨3
鉄拳明王の4つの拳の連打が剣総のライフをさらに破壊した。
まだだ。まだここから鉄拳明王のアタックは続いていく。
「次だ!!畳み掛けろ!!鉄拳明王!!2枚目の最後の優勝旗を疲労させ回復!!」
最後の優勝旗(回復⇨疲労)
鉄拳明王(疲労⇨回復)
「ライフだ」
ライフ3⇨2
その場で再び剣総のライフを叩き壊す鉄拳明王。後2度のアタックで彼のライフを全て破壊できると期待がかかるが……………
ーやはりそう簡単にはいかないか………
ー剣総の伏せられていたバーストが反転し、発揮される。
「ライフの減少でバースト発動!!絶甲氷盾!!…………ライフを1つ回復し、アタックステップを終わらせるぅ〜〜!!」
ライフ2⇨3
リザーブ3⇨0
仮面ライダーブレイド+醒剣ブレイラウザー(2⇨1) LV2⇨1
トラッシュ4⇨8
「…………!?」
突如と吹き荒れる猛吹雪が鉄拳明王をプルートの場まで吹き飛ばす。この猛吹雪はプルートのターンが終わるまで止むことはない。
ープルートの反撃は完全に阻まれてしまう。
「………ターンを終えよう」
鉄拳明王 LV2(3)BP10000(回復)
仮面ライダーオーズ タトバコンボ[2] LV2(6)BP5000(疲労)
海底に眠りし古代都市 LV1
最後の優勝旗 LV1
最後の優勝旗 LV1(疲労)
最後の優勝旗 LV2(疲労)
バースト【無】
仕方なくそのターンを終えたプルート。
ーしかし、
「………残したね………」
「……あぁ」
雅治がこの状況を見てそう言い、司がそれに対して頷いた。
そう、プルートはこのターン、敢えて【チェンジ】の効果を持つプトティラコンボを手札に温存したのだ。次のターンでカウンターを決め、回ってきた自分のターンで決着をつけるために…………
[ターン06]剣総
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札3⇨4
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨9
トラッシュ8⇨0
仮面ライダーブレイド+醒剣ブレイラウザー(疲労⇨回復)
「メインステップ……………ブレイドの LVを上げる……」
リザーブ9⇨6
仮面ライダーブレイド+醒剣ブレイラウザー(1⇨4) LV1⇨3
ブレイドの LVが上昇する。
「さぁ…………そろそろ決めておきますか」
「!?」
「アタックステップ!!あのイキリジジイをぶっ殺せぇ!!ブレイドォォ!!」
剣総の指示に従い、剣を手に持ち走り出すブレイド。
「ブレイドの効果で相手のスピリット1体をBPマイナス4000!!鉄拳明王をマイナス!!」
「………!!」
鉄拳明王BP10000⇨6000
ブレイドの頭部から神々しく放たれる閃光が、鉄拳明王のBPをダウンさせる。この効果で0にできれば破壊できたのだが、本命はこっちではない。今度は合体中の醒剣ブレイラウザーの効果だ。
「醒剣ブレイラウザーの効果!!相手スピリットのBPをマイナス5000!!今度はお前だぁ!!タトバコンボ!!」
「………!!」
仮面ライダーオーズ タトバコンボ[2]BP5000⇨0
ブレイドの持つ剣、醒剣ブレイラウザーから放たれる閃光が、今度はタトバコンボに命中する。鉄拳明王程BPは無いタトバコンボのBPは0。爆発し、破壊されるが………
「この時!!タトバコンボの効果を発揮!!手札を破棄して場に残る!!」
手札5⇨4
破棄カード↓
【セルメダル】
爆発の爆煙の中、タトバコンボは自身の効果で見事に生還していた。
「その程度の攻撃など、オーズには効かんぞ!!」
「ほお?まあ、こんくらいはやるよなぁ!!……」
仮面スピリットと言えば【チェンジ】。剣総がここからさらにそれを決め、一気に勝負を決めに来ているのはそのセリフからよく分かる。
つまり、ここでブレイドのアタックを止めなければならない。プルートはここが勝負どころと見て、手札にある1枚のカードを引き抜いた。それは具利度王国の王だけが手にすることができる最強のオーズだ。
「フラッシュ!!仮面ライダーオーズ プトティラコンボの【チェンジ】発揮!!対象はタトバコンボ!!」
リザーブ1⇨0
最後の優勝旗(1⇨0) LV2⇨1
トラッシュ2⇨4
「………………」
“プテラ!!トリケラ!!ティラノ!!”
“プ・ト・ティッラァ〜〜ノザウッル〜〜ス!!”
タトバコンボの体内から紫色のメダルが飛び出してくる。それはタトバコンボのベルトに差し込まれ、強制的にスキャンされる。
そして陽気な音声と共にタトバコンボは姿を変え、紫色のオーズ、プトティラコンボがプルートの場に姿を現した。
「ほぉほぉ、あれがオーズの最強コンボねぇ〜〜」
あまり大変な状況であることを理解しきっていないのか、剣総はそのプトティラコンボを目の前にしても全く動じず、あいも変わらずニタニタと不気味な笑みを浮かべている。
プルートはそれに対して、「笑っていられるのも今のうち」だと言わんばかりにプトティラコンボの【チェンジ】効果を発揮させる。
「プトティラコンボの【チェンジ】効果!!コスト4以下の相手スピリット1体を破壊する!!」
仮面ライダーオーズ プトティラコンボ LV3(6)BP17000(回復)
司も苦しまされたプトティラコンボの効果だ。低コスト帯のスピリット1体を破壊できる。
ーしかし、
「はぁ?頭の悪い王族だなぁ!!俺のブレイドは醒剣ブレイラウザーとの合体でコストは7!!そんなチンケなコスト破壊で潰れるほどやわじゃねぇんだよ!!」
そうだ。ブレイドの元々のコストは3。だが、ブレイブカード、醒剣ブレイラウザーとの合体により、その合計コストは7なのだ。プトティラでは破壊できない。
ー飽くまでもこの現状での話だが…………
「この時!!私の場にあるカード1枚につき、その破壊可能コストを1上げる!!」
「………!!!」
「今!!私の場には6枚のカードがある!!……よって6+され、破壊上限コストは………10!!ブレイドを破壊する!!」
プトティラコンボは地面に手を突っ込み、斧のような武器を生成し、取り出す。そしてその中にメダルを差し込んで行き、力を溜める。
そのままそれを接近してくるブレイドに向けて…………
“プ・ト・ティッラ〜〜ノヒッサ〜〜ツ!!”
振り下ろした。
ブレイドは咄嗟に剣を盾代わりに構えるが、それさえも弾かれてしまい、その一太刀を浴びてしまう。流石に耐えられなかったか、ブレイドはその場で大爆発を起こす。
「…………どうだ………化け物め……!!」
「そうだなあ…………一言にまとめると…………」
プルートとて、特に剣総に今現在の感想を求めていたつもりはないが、剣総はそれを間に受けて答える。自分の思ったことを素直に……………
「クソつまんねえかなあ?」
「……!?」
ーと、剣総は答えた。これまでこの男、王国の王、プルートとバトルをしていて、純粋に思ったことだ。
ーこの男は………
ーなんて弱いんだろう
ーなんて浅はかなんだろう
ーとんだ期待はずれだ。汚い薄汚れた一族を始末できると言う理由でここまで来たと言うのに、あまりにも手応えがなさ過ぎる。
本当に彼らは強いカードがあるだけで、全く実力がない………
ーただの成り上がり野郎じゃねぇか………
ーと、ただただそう考えていた。
「つまらない………だと!?言ってくれたな!!この状況でどうすると言うのだ!?お主は最早このターンでは【チェンジ】などできんぞっっ!!」
剣総のその支離滅裂とも取れる発言に対して怒りを露わにするプルート。仮にも最強の王の自分と相手をして、そのような言葉が出てくるとは思ってもいなかったのだろう。
ーだが、剣総の感想は決して支離滅裂なものではなくて……………
「入れ変わんなくていいんだよ、フラッシュ……【チェンジ】発揮!!……仮面ライダーレンゲル[2]!!」
手札4⇨3
リザーブ10⇨6
トラッシュ0⇨4
「…………ぬっ!?」
「この効果でトラッシュにある仮面と四道を持つスピリット1体をノーコスト召喚する………俺はこの効果でトラッシュにある仮面ライダーブレイド ジャックフォームを召喚する!!」
リザーブ6⇨3
仮面ライダーブレイド ジャックフォーム LV2(3)BP6000
剣総の場に突如として現れる黒い靄。その中からゆっくりとこの場に歩み寄ってくる仮面スピリットが1体………
ブレイドがバージョンアップした姿、ジャックフォームが羽を広げ、この場に誕生した。
「今さら1体出たところで………」
「何ができる?」……プルートはそう言おうとした。1段階上のステージに立った程度では自分のオーズ プトティラコンボには到底敵わない。
ーそう思っていたし、そう信じていた。
ーが…………剣総が今から行おうとしていたのは1段階どころの話ではなくて………
プルートの言葉を遮るように、彼は、剣総は手札にある1枚のカードを引き抜く。
「フラッシュ!!煌臨発揮!!対象はジャックフォーム!!」
リザーブ3s⇨2
トラッシュ4⇨5s
「なに!?煌臨だとぉ!?……」
【チェンジ】が入り乱れるこのバトルの中、剣総が咄嗟に使用したのは煌臨を持つカード。
仮面スピリットにおいて、煌臨はデジタルスピリット同様、最強の力を持つ者が多い。それはこのブレイドも例外ではなくて…………
ジャックフォームに神々しい光が灯される。彼はその中で姿形を変えていく。
ーそして、新たに現れるのは常識を覆す程の力を持った最強のブレイド…………
「王の力を束ねて現れよ!!仮面ライダーブレイド キングフォーム!!!」
仮面ライダーブレイド キングフォーム LV2(3)BP15000
その神々しい光を弾き飛ばしながら現れたのはブレイドの言わば最強の姿。13の力を携えた奇跡の姿、キングフォームだ。その存在感はプルートの持つプトティラコンボを圧倒的に上回っている。
「………な、なんだそいつは……!?」
プルートはキングフォームのその圧倒的なオーラに呑まれかける。それを感じたのはプルートだけではない。これを見ていた司も、雅治も、逃げてはダメだと思っていても本能的に体が震え、逃げろと訴えて来るのを感じた。
「………お前らクソ一族様を始末するため、俺に与えられた力だよぉ!!!煌臨時効果!!手札かトラッシュにある四道カードを5枚まで手元に置く!!」
「……!?」
「俺はこの効果でトラッシュにあるブレイド、レンゲル[2]、醒剣ブレイラウザー、ギャレンの計4枚を手元に置く!!」
手元↓
【仮面ライダーブレイド】
【仮面ライダーギャレン】
【醒剣ブレイラウザー】
【仮面ライダーレンゲル[2]】
キングフォームはその手に持つ剣を天に掲げ、4枚のカード達を巻き上げるように取り込んでいく。
ーこれはキングフォームの力を最大限に発揮させるための下準備でもあって………
「アタックステップは継続ぅ!!キングフォームでアタック!!」
走り出すキングフォーム。目指すはもちろんプルートのライフだが…………
「馬鹿者め!!BP15000ではプトティラコンボの前には遠く及ばん!!ブロックだ!!」
そうだ。いくら最強と言えども、バトルのルールは逆らえない。プルートのプトティラコンボのBPは17000。キングフォームを返り討ちにできる。
プトティラコンボが斧の一閃でキングフォームを狙い撃つが、キングフォームはそれを剣で押さえ込んだ。もちろん、これは一時的な回避でしかない。このままではキングフォームは破壊される。
ーが、剣総はこんな状況でもニタニタ笑っており………
「何を笑っている!!」
「いや〜〜………本当に馬鹿だなぁって思ってよぉっ!!…………キングフォームの効果発揮!!………手元にあるカードを破棄することで、キングフォームは回復し、相手スピリット1体のBPを13000!!」
「……………は?」
プルートは思わず呆気に取られてしまった。キングフォームの更なる効果の説明を聞いただけで咄嗟に理解してしまった。
ー自分がいくら足掻こうが………この化け物には勝てない。と。
「俺はこの効果でブレイドのカードを破棄し、プトティラコンボのBPをマイナスする!!」
「…………っ!?」
仮面ライダーオーズ プトティラコンボ
BP17000⇨4000
剣と斧を交えていたキングフォームとプトティラコンボ。だが、カードがキングフォームの剣に力を与える。急激に力が増したキングフォームの剣の一太刀はプトティラコンボの斧を砕くどころか、その肉体まで横一線に浅く切り裂いてしまう。
「………宝の持ち腐れだよなぁ!!」
「……!?」
剣総のその力強い言葉に応えるかのようにキングフォームはトドメの剣撃を丸腰同然となったプトティラコンボに浴びせた。
これには流石のプトティラコンボも耐えることはできず、敢え無く大爆発を起こしてしまった。
「…………ば、馬鹿な………この私が……」
「終わりだ、この成り上がり一族!!」
さらに畳み掛けるようにキングフォームにアタックの指示を送る剣総。キングフォームの効果で今度は手元にある仮面ライダーギャレンのカードを破棄して………
「キングフォームを回復!!鉄拳明王のBPを下げて破壊ぃ!!」
「……ぬおっ!!」
キングフォームの飛ぶ斬撃が、鉄拳明王に命中する。鉄拳明王もプトティラコンボ同様、耐えられず大爆発を起こしてしまった。
「アタック中だぞ!!成り上がりぃ!!」
「くっ!!……ら、ライフで受ける…………ぐっぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!」
ライフ3⇨2
キングフォームの一太刀が、今度はプルートのライフに向けられる。プルートはもはやなすすべなくその攻撃を受け入れる。
あまりにも大き過ぎるバトルダメージの痛みに苦しい声を上げる。剣総はその苦しそうな声や表情を見て馬鹿にするように高笑う。
後二撃…………これで終わりだ。
「ぶわっはっは!!やれ、やれぇ!!キングフォーム!!今度は醒剣ブレイラウザーのカードを破棄して回復!!」
仮面ライダーブレイド キングフォーム(疲労⇨回復)
「ら、ライフで…………ぐわぁぁぁぁぁぁあ!!」
ライフ2⇨1
「王のジジイ!!!」
キングフォームの一太刀がまた彼のライフを切り裂く。司も声をかけるが、今の自分ではこの状況をどうにもできない。ただ指を咥えて見ることしかできない………
「さぁ………トドメだ………バトル内容は足らなかったったが、お前みたいなクソ一族を始末できて、俺はなかなか楽しかったぜぇ〜……」
そう言って剣総が4度目となるキングフォームのアタック宣言を行おうとした直後だった。プルートはBパッドを通話モードにし、ある人物に繋げる。
ーそれは具利度王国の王としての最期の抵抗であると言える。
ーその通話相手とは………
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一方、また別の場所では椎名とマーズがバトルしており…………
バトルはもう終盤。このバトルで勝負が決まると言っても過言ではない。椎名の場にいるのは青と緑のジョグレス体パイルドラモン。そしてマーズの場にいるのは自身の持つ赤いオーズ、タジャドルコンボだ。
「………なかなかやるね〜〜〜…椎名ちゃんっ!!…」
「へへっ!!そっちこそ!!…………でもこれで決まりだ!!いけぇ!パイルドラモン!!」
「……それはこっちのセリフだ!!タジャドル!!」
共に主人の指示に従い、宙を飛ぶタジャドルとパイルドラモン。そこで何度も衝突し、拳を合わせていく。互角だ。
そこでは確かに手に汗握る熱いバトルが行われていた。
ーが、それはここで終い、
ーある一本の電話がこのバトルを終幕させる。
「「………!?」」
2人は思わず目を見開いた。それもそのはず、バトル中だったパイルドラモンとタジャドルコンボの間に突然それを妨げるかのように1つのビジョンが現れたのだから………
それを見て、パイルドラモンもタジャドルコンボも興が醒めたたか、翼を収め、一旦地に降り立つ。
そしてそのビジョンに映し出された人物は、マーズにとって良く知っている人物だ。
「親父!!」
マーズの父親、具利度王国の現国王、プルートであった。マーズは邪魔するなよと言わんばかりの声を上げるが…………
〈マーズ………今すぐ、電子檻に投獄された者達を解き放ってここから逃げろっ!!〉
「はぁ!?………どう言う意味だよ?サバイバルバトルはどうすんだ!?」
マーズにはこの切羽詰まったようなプルートの言ってる意味がわからなかった。バトルに負けた者達を檻から解放するということは、このサバイバルバトルも終わりだと言うこと………
まだ決着も付いていないのにそれをするなんてどうかしている。マーズはそう思った。
ーしかし、理由は直ぐにわかる………
〈乱入者が現れた!!こいつは危険だ!!早く逃げろぉっ!!〉
「乱入者?」
〈早く!!君達も早く!!……逃げろぉっ!!……………ぐわぁぁぁぁっ!!!…〉
ープツン………
ー刹那。プルートの悲痛な悲鳴とともに通信は途絶えてしまった。
「っ!?親父?……親父ぃ!?」
「………い、いったい何が起こったの……っ!?」
椎名がそう言った。
状況はいまいち読み込めなかったが、今、ここで、何かただごとでは無いことが起こっていると言う事はこれだけで十分理解できた。2人がこの地下で巻き起こっている異変に気付いた瞬間であった…………
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場所は元に戻ってプルートと剣総がバトルしていた場所。キングフォームによってライフが完全に砕かれてしまったプルートは、その場で意識が途絶えたかのように倒れてしまった。
「ジジイ!!」
「プルート王!!!」
司と雅治が駆けつける。様子を見るが、生きてはいる。
が、ダメージがあまりにも大きすぎたか、完全に気を失っている。
「ぶわっはっは!!無様だなぁ!!呆気なさ過ぎるだろぉ!!これだからカードの力だけの一族はよぉ〜〜!!…………テメェは長以前にバトラー失格だぁ!!」
剣総はまたそう言ってプルートに向けて親指を下に立てた。
「あっ!!そうそう、芽座椎名だよ!!そうそう!!………お前ら学生だろ?何か知ってるんじゃないか?」
剣総は思い出したように司達に依頼の対象である椎名のことを聞いた。
「………知ってたらどうする?」
司が逆に剣総に問いかける。そしたらまた剣総はニタニタと笑いながら………
「………ぶっ殺す……!!」
とだけ言った。その表情は狂気に満ちている。
その様子を見て、司は「そうか」と呟き、何か決心を固めたか、立ち上がり、Bパッドを構える。
ーバトルする気なのだ。あのイカれた化け物と戦う気なのだ。
「おい!司っ!!何する気だ?」
雅治が司に言った。まるで止めろと言わんばかりに………直ぐにわかったからだ。司がこれから何をするか、それがどんなに愚かなことか知っているから、止めなければならない。
「お前はそのジジイを連れて早く何処へでも行きやがれ…………」
「何言ってるんだ!!見ただろう?ここは一緒に逃げるべきだ!!」
「そのジジイ連れてか?」
「………っ!?」
今回ばかりは司の言い分が正しい。剣総は主に一族を狙っているが、間違いなく無差別に人を襲っている。ここで3人で逃げるよりかは誰かが囮になる方が逃げ切れる確率が非常に高い。
ーしかし、雅治には司を置いて自分だけ逃げるなどと言う事は決してできない。
「………囮になる気なのかい?」
「バカ言え、勝つに決まってるだろ?」
ー嘘だ。確実に勝てるのなら逃げろとは言わない。司は見栄を張っている。あのプルートを赤子の手を捻るかのように倒した相手なのだ。勝てるわけがない。
ーそう言う事は司とてわかっている筈だ。
「わかったらとっととどっか行け、邪魔だ………」
そう言って、司は雅治に背を向け、Bパッドと剣総と向き合う。その背中が、後ろ姿が早くここから逃げろと物語っている。
ーしかし、どんな言い分でもどんなに理屈が通っていても雅治は親友を、司を置いて逃げるなどと言う事は出来なかった…………
「じゃあ僕もやるよ………」
「………!!」
雅治は彼の横に飛び出し、Bパッドを構えた。
「逃げるよりかは2人で戦った方が勝つ確率は上がるし、なにより効率が良いからね…………それに、理由はわからないけど敵は椎名を狙ってるし、僕が情けなく背を向けて逃げる訳にもいかないだろう?」
「………ふっ、勝手にしろ………」
「やっぱり、司……えらい軟化したよね」
司はその雅治の澄ました表情を見て、鼻で笑い、若干口角を上げる。これは幼馴染の2人にしか出来ない会話だ。お互いを理解しきっているからこその短い会話であった。
ー2人の決心は固まった。
「話は済んだか?ガキども………」
「「あぁ、2人でお前をぶっ飛ばすと決めたっ!!」」
司と雅治は打倒を狙うかのように剣総に人差し指を向けながら強く宣言した。
それを見て、剣総はまたニタニタと不気味に笑い始める。早く壊したいのだ。あの希望に満ちたあの表情を、苦しむ顔が見たいのだ。それが楽しみで仕方なかったのだ。
ーそして始まる。1対2のバトルが………
「「「ゲートオープン、界放!!!」」」
ーバトルが………また………始まった…………
〈本日のハイライトカード!!〉
椎名「本日のハイライトカードは【仮面ライダーブレイド】!!」
椎名「系統、仮面と四道を持つ珍しいスピリット!!BPマイナスは恐怖の一言だね!!」
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〈次回予告!!〉
雅治「あいつの本当の狙いは何だ?ただ人を襲いたいのか?椎名を連れて行きたいのか?どっちも本当っぽくていまいち絞り込めない……でも椎名に何かあるのならばこの僕が絶対に許さない!!行くよ、司っ!!……次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ、「炎と光交わりし時」……今、バトスピが進化を超えるっっ!!」
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最後までお読みくださり、ありがとうございました!!