バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

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第58話「炎と光交わりし時」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ゲートオープン、界放!!」」」

 

王宮地下内に存在するこの広いジャングルゾーンにて、3人の男達がバトルを開始した。

 

何故か芽座椎名を拉致しようとする謎の男、剣総を止めるべく、司と雅治が彼の前に立ちはだかったのだ。

 

2対1………多対1方式でのバトルだ。1人側である剣総は司と雅治の2人分、ライフ10。リザーブ、手札8からのスタートとなる。

 

ーただし、それは普通ならばの話であって………

 

ー剣総がある提案を1つ持ち掛ける。

 

 

「………提案がある……!!」

「「!?」」

「このバトル、俺はリザーブは8、ライフは5、手札は4でスタートしたい。どうだ?ガキを相手にするならちょうど良いハンデだろ?」

「「!?!」」

 

 

その口から出て来た言葉は2人を共感、及び困惑させる。本来、多対1方式の正式なルールとして1人側のプレイヤーは複数人プレイヤーの数に応じて、ライフ、手札、リザーブを増やさなければならない。

 

纏めると、今、剣総は司と雅治にリザーブだけ8にして、他の2つを通常通りからスタートしてやろうという話である。

 

ライフ5と手札4。それだけで2人分の攻撃をしのげるとは到底考えられない。しかも界放市の学生一位との噂も名高い司がいながらだ。

 

その優位性を自ら失おうとするのは正気の沙汰では無い。

 

 

「………舐めやがって………後悔させてやる………!!」

「…………ぶわっはっは!!その返事は心得たということで良いんだよなぁ!!」

 

 

ーこうして、本格的に司と雅治のタッグと剣総のバトルが幕を開ける。

 

 

[ターン01]剣総

《スタートステップ》

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップ………仮面ライダーブレイドをLV1で召喚っっ!!」

手札5⇨4

リザーブ8⇨4

トラッシュ0⇨3

 

 

早速お出ましだ。上空から降り注ぐ一枚の巨大なカード。それは地面に突き刺さり、中から1人の仮面スピリットが姿を現わす。その名は仮面ライダーブレイド。剣総が持つ謎に満ちた仮面スピリットだ。

 

 

「召喚時っっ!!」

オープンカード↓

【仮面ライダーレンゲル】◯

【仮面ライダーブレイド[2]】◯

【仮面ライダーギャレン】◯

 

 

そしてその召喚時も成功。剣総はその中にある【仮面ライダーブレイド[2]】と名のついたカードを手札へと新たに加えた。

 

そして残りはトラッシュへ………

 

 

「さらにさらにぃぃっ!!!ネクサスカードォォ!!BOARDを3枚配置して、ターンエンドっ!!」

手札4⇨5⇨4⇨3⇨2

リザーブ4⇨0

トラッシュ3⇨7

 

仮面ライダーブレイドLV1(1)BP3000(回復)

 

BOARD LV1

BOARD LV1

BOARD LV1

 

バースト【無】

 

「………っ!?一気に同じネクサスカードを3枚配置!?」

 

 

剣総は背後に薄暗くて不気味な研究室を3枚も配置する。これはプルート戦でも使用したネクサスカード。特にその効果等は使用されていないため、司達にとっては未だ未知のカードである。

 

そして剣総は有り余るリザーブのコアを全て使い切りながらこのターンをエンドとした。

 

次は司と雅治のターン。先ずは雅治がターンを行なって行く。

 

 

[ターン02]雅治

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップっ!!椎名に指一本触れさせてたまるかっ!!僕はパタモンを召喚っ!!召喚時効果でカードをオープンっ!!」

手札5⇨4

リザーブ5⇨1

トラッシュ0⇨3

オープンカード↓

【アンキロモン】◯

【サブマリモン】×

 

 

雅治が強い意気込みと共に呼び出したのは耳で飛行可能な小さい小動物のような黄色の成長期デジタルスピリット、パタモン。

 

そしてその召喚時も成功。雅治は対象内のカード、アンキロモンのカードを手札へと新たに加えた。

 

 

「ターンエンドっ!!」

手札4⇨5

 

パタモンLV1(1)BP1000(回復)

 

バースト【無】

 

 

コアが5つではできることが限られてくる。雅治はそれだけでこのターンをエンドとした。

 

最後は司のターン。

 

 

[ターン03]司

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップ………俺もネクサス、朱に染まる薔薇園をLV1で配置!!………ターンエンドだ」

手札5⇨4

リザーブ5⇨0

トラッシュ0⇨5

 

朱に染まる薔薇園LV1

 

バースト【無】

 

 

司が早速配置したのはいつもの潤滑油となるネクサスカード、朱に染まる薔薇園。彼の背後に瞬く間にして、朱く、それでいて鮮やかな薔薇が咲き誇った。

 

そして、次は一周回って剣総のターン。このターンから【アタックステップが解禁】される。

 

 

[ターン04]剣総

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ0⇨1

《ドローステップ》手札2⇨3

《リフレッシュステップ》

リザーブ1⇨8

トラッシュ7⇨0

 

 

「メインステップ………少しだけ力を入れてやろうっ!!仮面ライダーブレイド[2]をLV3で召喚っっ!!」

手札3⇨2

リザーブ8⇨3

トラッシュ0⇨1

 

「「………!?」」

 

 

剣総が召喚したのは最初に召喚したブレイドとはまた違ったブレイド。見た目はそのままだが、その性能は全く異なっている。

 

 

「召喚時ぃっ!!手札にある四道スピリットを手元に置くことでカードを1枚ドローするぅっ!!俺は手札にある仮面ライダーレンゲル[2]のカードを手元に置く!!」

手札2⇨1⇨2

 

 

単純な手札交換に見える。手元のカードは手札にあるものと同様に使用できるとは言え、仮面スピリットの最も得意とする戦法、【チェンジ】は手札からでしか使えない。もっと言えばバトルの流れにおいては重要視されるバーストのセット、煌臨も不可である。

 

だが、剣総の扱うブレイドデッキにとって、この手元に置くという動きは何よりも有力で強力な効果であって………

 

 

「最初のブレイドをLV3に上げ、アタックステップぅっ!!ブレイド達よぉ!!!ガキ共に洗礼を浴びさせてやれぇっ!!」

リザーブ3⇨0

仮面ライダーブレイド(1⇨4)LV1⇨3

 

 

司と雅治のライフをめがけ、走り出す2体のブレイド。

 

 

「さらにブレイドのアタック時ぃ!!相手スピリット1体をBPマイナス4000!!!パタモンをゼロにして破壊!!」

 

「………!!」

パタモンをBP1000⇨0(破壊)

 

 

ブレイドの持つ剣から放たれる一筋の光の矢。それは瞬く間に雅治のパタモンを貫き、爆破させた。

 

この時、多対1のルールによって、司の場にいるスピリットにもマイナス4000が入っていたのだが、いかんせん、司の場にはスピリットが存在しないため、司の場に対しては不発となっていた。

 

しかし、それでも今現在、司と雅治のライフを守ってくれるスピリットは一切存在しない。

 

ーつまり、ライフで受けなければならない。あの具利度国王の国王プルートが踠き苦しみ味わった経験を、彼らも受けることとなる。

 

 

「………行くぞ……」

「………うん」

 

「「ライフで受けるっ!!」」

ライフ5⇨4⇨3

 

 

2体のブレイドの剣撃が、2人のライフを合計2つ、1つずつ引き裂いた。

 

ーそして………

 

 

「うわぁっっ!!!」

「ぐっっっ!!!」

 

 

そのあまりのダメージ量に膝をつく雅治と司。

 

まるで一撃一撃が脳に刺激を与えるような、

 

まるで目の前のスピリットは本物であったかのような

 

そんな感想だった。

 

どちらにせよ、痛い。こんな痛みにあの国王、プルートは戦っていたのかと思うとゾッとする。

 

 

「おい、雅治、まだいけるだろ?」

「………あぁ、もちろん」

 

 

司が雅治にそう言いながら立ち上がり、雅治もまた、その司の言葉に鼓舞されるかのように足を震わせながらも立ち上がってみせた。

 

その様子を見て、剣総はニヤケが止まらない。

 

ー喜んでいるのだ。また倒し甲斐のあるおもちゃと出会えたことを………

 

 

「お前ら〜〜〜………最っ高じゃねぇかーー!!!俺はこれでターンエンドっっ!!」

仮面ライダーブレイドLV3(4)BP5000(疲労)

仮面ライダーブレイド[2]LV3(4)BP7000(疲労)

 

BOARD LV1

BOARD LV1

BOARD LV1

 

〈手元〉

仮面ライダーレンゲル[2]

 

バースト【無】

 

 

そう言いながらも、剣総はこのターンをエンドとした。

 

次は雅治のターン。ここから反撃となるか………

 

 

[ターン05]雅治

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札5⇨6

《リフレッシュステップ》

リザーブ5⇨8

トラッシュ3⇨0

 

 

「メインステップっ!!僕はアルマジモンを召喚っ!!」

手札6⇨5

リザーブ8⇨4

トラッシュ0⇨2

 

 

雅治の場に飛び出して来たのは、黄色の成長期スピリット、アルマジロのような外見の愛らしいスピリット、アルマジモンだ。

 

そしていつも通りその優秀な効果で雅治を手助けする。

 

 

「召喚時、カードをオープンっ!!」

オープンカード↓

【エンジェモン】◯

【アルマジモン】×

【パタモン】×

 

 

その効果は成功。雅治はその3枚の中からエンジェモンのカードを手札へと加えた。

 

ーそして、それだけでは終わらない。アルマジモンにはブイモン同様、召喚時効果に追加の能力が存在する。それは攻めるにしても守るにしても優秀な力だ。

 

 

「さらにアルマジモンの追加効果で、このエンジェモンを2コスト支払って LV2で召喚するっ!!」

手札5⇨6⇨5

リザーブ4⇨0

トラッシュ2⇨4

エンジェモンLV2(2)BP7000

 

 

上空から2人の場に差し込んでくる一筋の光。その中から純白の翼を広げ、天使型のスピリット、エンジェモンが現れた。

 

これで雅治の場には成長期スピリットのアルマジモンと、強力な効果を持つエンジェモンが場に出揃ったこととなる。

 

ーしかし、まだ展開は終わらない。雅治はさらに手札のカードを1枚引き抜き、それを使用して行く。

 

 

「さらに手札のサブマリモンの【アーマー進化】を発揮!!対象はアルマジモン!!」

アルマジモン(2⇨1)

トラッシュ4⇨5

 

「…………!!」

 

「1コスト支払い、渦巻く誠実、サブマリモンを召喚っ!!」

サブマリモンLV1(1)BP4000

 

 

アルマジモンが上空から投下される卵型の何かと衝突し、混ざり合う。

 

新たに現れたのは潜水艦のような見た目のアーマー体スピリット、サブマリモン。

 

 

「召喚時効果っ!!相手の4コスト以下のスピリット1体を破壊!!僕はこの効果で仮面ライダーブレイド[2]の方を破壊する!!」

 

「………!!……ほぉ」

 

 

サブマリモンは場に現れるなり、鼻先のドリルを回転させ、それにより発生した竜巻で仮面ライダーブレイド[2]を狙う。

 

それに巻き込まれたブレイド[2]はそのまま空中で大爆発を起こした。

 

 

「さらにアタックステップ!!サブマリモンとエンジェモンでアタックっ!!…………エンジェモンのアタック時効果で、相手スピリット1体のBPをマイナス6000して、0になったら破壊!!」

「………!!」

「対象は仮面ライダーブレイドだ!!……行けエンジェモン!!……ヘブンズナックル!!」

 

「…………」

仮面ライダーブレイドBP5000⇨0(破壊)

 

 

エンジェモンはその右拳に光の力を集約させ、それをブレイドに向けて放った。ブレイドはそれに耐えられず、この場から塵となって消滅した。

 

 

「さぁ!!アタックは継続中!!」

 

「仕方ないなぁ〜〜……ライフで受ける……」

ライフ5⇨4⇨3

 

 

泳ぐように地を駆けるサブマリモンの一角の一撃と、飛翔するエンジェモンの拳の一撃が、剣総のライフを一気に2つ破壊した。

 

剣総はやはり自分には多大なバトルダメージは存在しないのか、プルートや雅治、司の時のように踠き苦しんだりは一切せず、飄々とした余裕のある表情を浮かべていた。

 

 

「………ターンエンド!!……司、任せたよ!!」

エンジェモンLV2(2)BP7000(疲労)

サブマリモンLV1(1)BP4000

 

バースト【無】

 

 

雅治の言葉に、司はゆっくりと頷いた。

 

次は司のターン。このまま優勢を崩さず、一気に決めることができるのか………

 

 

[ターン06]司

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ2⇨3

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ3⇨8

トラッシュ5⇨0

 

 

「メインステップ………俺はネクサスの LVを上げ、ホークモンを召喚!!召喚時効果でカードをオープンっ!!」

手札5⇨4

リザーブ8⇨7⇨5

トラッシュ0⇨1

朱に染まる薔薇園(0⇨1)LV1⇨2

オープンカード↓

【テイルモン】◯

【フレイムブロウ】×

【ホウオウモン】×

 

 

司が召喚したのは赤き羽を持つ鳥型の成長期スピリット、ホークモン。司のデッキの核となるカードだ。

 

そしてその召喚時効果も成功。司は対象内となるテイルモンのカードを手札へと新たに加えた。

 

これだけでは当然終わらない。次はホークモンの召喚時効果の追加効果だ。それはブイモンやアルマジモンと同等の優秀な効果である。

 

 

「さらに俺は2コスト支払い、このテイルモンをLV2で召喚!!」

手札4⇨5⇨4

リザーブ5⇨0

トラッシュ1⇨3

 

 

司の場に、そしてホークモンの横に飛び出して来たのは猫のような見た目のスピリットだが、実際はネズミ型の成熟期スピリット、テイルモン。

 

そして司はここから雅治がガラ空きにして、攻めやすくなった剣総の場を一気に攻め立てる。

 

 

「アタックステップっ!!やれっ!!テイルモン!!アタック時効果でカードをオープン!!」

オープンカード↓

【朱に染まる薔薇園】×

手札4⇨5

 

 

走り出すテイルモン。その効果で1枚、司のデッキからカードがオープンされるが、対象外のカードであるため、追加のライフ回復は行えなかった。

 

ーしかし、司の狙いはライフ回復などと言う、そんな生優しいものではなく、

 

 

「………そのアタック!!この身で受けてやろうっ!!」

ライフ3⇨2

 

 

テイルモンのネコパンチが剣総のライフを1つ木っ端微塵に砕いた。

 

これで後2つだ。後2つで司と雅治の勝利となる。

 

その2つまで破壊できる程のスピリットと数は、今現在の司の場には存在しないが、問題無い。増やすのではなく、起こせば何も変わりはしない。

 

 

「続けぇっ!!ホークモンっ!!……」

 

 

赤く、小さい羽を駆使して飛び立つホークモン。

 

そしてこのタイミングで司は使用する。このバトルを決めるカードを………

 

 

「フラッシュ!!ネフェルティモンの【アーマー進化】発揮!!対象はテイルモン!!」

朱に染まる薔薇園(1⇨0)LV2⇨1

トラッシュ3⇨4

 

「……………!!」

 

「微笑みの光、ネフェルティモンをLVで召喚っ!!」

ネフェルティモンLV2(2)BP6000

 

 

上空からテイルモンに向けて、卵型の何かが投下される。テイルモンはそれと衝突し、混ざり合い、新たな姿へと進化する。

 

現れたのはスフィンクスのような見た目の黄色のアーマー体スピリット、ネフェルティモン。

 

【アーマー進化】の効果で呼び出されたので、当然、回復状態である。

 

 

「ネフェルティモンの召喚時効果、トラッシュのコア1つを俺らのライフに置く………さらに朱に染まる薔薇園のLV1効果で俺はカードをドロー………」

トラッシュ4⇨3

ライフ3⇨4

手札5⇨6

 

 

ネフェルティモンは召喚されるなり、その身体を光輝かせ、司達2人のライフを回復させた。そしてそれに伴い、朱に染まる薔薇園の効果が誘発。司は新たなカードをドローした。

 

 

「よしっ!!これでシンボル打点が足りる!!」

「あぁ、終わりだっ!!」

 

 

剣総の残りライフは2。対する司の場にいるアタック可能なスピリットは2体。ホークモンとネフェルティモンのアタックが通れば2人の勝利となる。

 

ーだが、それは通り夢の話。剣総はフラッシュで意外なところからカードを使用して行く。

 

 

「甘いわぁっ!!フラッシュ【チェンジ】!!……俺は手元から仮面ライダーレンゲル[2]の効果を発揮っ!!」

リザーブ11⇨8

トラッシュ1⇨3

 

「……なっ!?」

「………手元から【チェンジ】……だと!?」

 

 

剣総は手札ではなく、手元にあったカードを使用した。これが普通のマジックであるのならば全く問題はなかった。

 

ーしかし、【チェンジ】や【アーマー進化】、煌臨と言った効果達は手札に存在していなければその効果を使用できない。

 

つまり、剣総が手元から【チェンジ】の効果を発揮させるなどルール違反なのだ。

 

ーだが、剣総にそんな生半可なルールなど通用しない。それを塗り替えてしまう効果がこの場には確かに存在していて…………

 

 

「俺のネクサス、BOARDの効果で、俺は手元からでも【チェンジ】と煌臨を使えるぅっ!!」

「「……!?」」

 

 

そう、それを可能にしていたのは剣総の場にある3枚のネクサス、BOARDの効果であった。BOARDは四道スピリットならば、手元でもそれらを使用することが可能となる。

 

これにより、剣総はルールを度外視して、問答無用に仮面ライダーレンゲル[2]の効果を発揮させる。

 

 

「レンゲル[2]の効果ぁっ!!俺はトラッシュにある仮面ライダーブレイドを召喚!!」

リザーブ9⇨6

仮面ライダーブレイドLV3(3)BP5000

 

 

プルートとのバトルの時同様、剣総の場に紫の靄が現れる。それが晴れていくと同時に姿を見せたのは、雅治のエンジェモンが破壊したはずの仮面ライダーブレイド。

 

戒めの禁忌たる力でそれは今一度剣総の場へと輪廻した。

 

ーそして、その召喚時効果もまた、輪廻する。

 

 

「召喚時効果ぁ!!カードをオープンっ!!」

オープンカード↓

【仮面ライダーカリス】◯

【仮面ライダーレンゲル[2]】◯

【仮面ライダーブレイド ジャックフォーム】◯

 

 

その効果で捲られたカードはどれも該当するカード達。剣総はその中にある1枚、【仮面ライダーブレイド ジャックフォーム】のカードを手札へと新たに加えた。

 

そして、司と雅治の2人を嘲笑するかのように、その加えたカードを使用して行く。

 

 

「さらにぃ〜〜!!フラッシュ【チェンジ】!!その効果で相手スピリット1体をマイナス10000!!このルール化により、お前達の場のスピリット1体ずつ、エンジェモンとネフェルティモンを潰すっ!!」

手札2⇨3

リザーブ6⇨4

トラッシュ3⇨5

 

「「………!!」」

ネフェルティモンBP6000⇨0(破壊)

エンジェモンBP7000⇨0(破壊)

 

 

2人の場に突如として放たれる雷。それは瞬く間に天罰の如くネフェルティモンとエンジェモンに落とされた。2体は耐えられなくなり、その場で大爆発を起こした。

 

本来ならば1体しか対象を取ることができないこの効果だが、この多対1ルールにおいては複数人プレイヤーの数の場に一度ずつ発揮できる。

 

ーそして、次なるは【チェンジ】の追加効果。こっちが本命であると言っても過言ではない。

 

 

「場に存在する仮面ライダーブレイドとこのジャックフォームを入れ替えるっ!!来いよ〜〜ジャックフォーム!!」

仮面ライダーブレイド ジャックフォームLV2(3)BP6000

 

 

剣総の場に存在するブレイドが変化する。身体は若干の変化を加え、さらには新たな羽まで生えた。

 

それはブレイドの次なるステージ、ジャックフォーム。コスト5の四道スピリットである。

 

それだけで、

 

それだけで果てしない重圧とプレッシャーだった。

 

はっきり言って、剣総は…………

 

司達よりずっと強い。

 

いったい何が理由でここまで強くなったのかは知れたものではないが、彼は少なくとも伝説バトラーと同じ、又はそれ以上の実力を確かに有していた。

 

それは今、彼とバトルしている司と雅治だからこそ思えること。特に彼らは【紫治城門】という伝説バトラーとバトルした経験があるためか、尚のことそれを確信していた。

 

剣総はそんな彼らの期待を裏切らず、さらにこのブレイドを新たな姿へと昇華させる。

 

ーそれは名実ともに最強の「ブレイド」……

 

 

「煌臨発揮!!対象はジャックフォームゥっ!!」

リザーブ4s⇨3

トラッシュ5⇨6s

 

「………っ!?」

「………来るか……」

 

 

2人は察した。間違いなく奴が来ると、具利度王国の国王にして、オーズ一族最強の男、【プルート】さえも歯が立たなかったスピリットが…………

 

ー自分達の目の前にも現れる。

 

 

「王の力を束ねて現れよぉっ!!!……仮面ライダーブレイド キングフォーム!!!」

手札3⇨2

仮面ライダーブレイド キングフォームLV2(3)BP13000

 

 

ジャックフォームが眩い光に包まれて行く。彼はその中で姿形を変え、新たな姿へと昇華する。

 

そしてそれは巨大な剣を引き抜き、地上へと還元する。その名は仮面ライダーブレイド キングフォーム。黄金で、かつ、最強のブレイドだ。

 

 

「ぶわっはっはぁ!!!……煌臨時効果ぁっ!!トラッシュにある四道カードを5枚、俺の手元へぇ!!!」

手元追加カード↓

【仮面ライダーレンゲル[2]】

【仮面ライダーレンゲル[2]】

【仮面ライダーカリス】

【仮面ライダーギャレン】

【仮面ライダーレンゲル】

 

 

トラッシュにある5枚のカード達が踊るようにキングフォームの剣の中へと吸い込まれて行く。それはキングフォームの効果を使うためのエネルギーとなる。

 

そして、忘れてはならない。これは全て司のターンに起こった出来事。今現在はホークモンのアタック中なのだ。

 

剣総はそのキングフォームでその小さなスピリットのアタックを妨げに行く。

 

 

「そのチンケな鳥野郎のアタックは、このキングフォームがブロックしてやんよ〜〜!!」

 

 

両手に剣を握りしめ、ホークモンに襲いかかってくるキングフォーム。ホークモンは辛うじて避けるが、このままでは破壊されるのも時間の問題だ。

 

だが、司とてこのバトルは負けられない。手札のカード1枚を抜き取って、この場を凌ぐ最善のカードを使用する。

 

 

「フラッシュ!!俺は手札のホルスモンの【アーマー進化】発揮!!対象はホークモン!!」

リザーブ2⇨1

トラッシュ3⇨4

 

「っ!!………またそれか!!」

 

「またこれだっ!!羽ばたく愛情、ホルスモンを召喚っ!!」

ホルスモンLV1(1)BP4000

 

 

ホークモンの頭上から独特な形をした卵型の何かが投下される。ホークモンはキングフォームの攻撃から逃げながらも、それと衝突し、混ざり合い、進化する。

 

新たに現れたのは赤き獣型のアーマー体スピリット、ホルスモン。飛翔能力の備わっているこのスピリットが、風に運ばれるかのようにゆっくりと司の場に現れた。

 

 

「【アーマー進化】の効果により、バトルは中止だ」

「……ちっ!!往生際の悪い………!!」

 

「さらにホルスモンの召喚時効果で、お前のBOARDを1枚破壊し、ドローするっ!!」

手札6⇨7

 

 

ホルスモンは登場するなり、剣総の背後にあるBOARD1つを鋭い眼光で睨みつける。すると、その1つは地面にゆっくりと沈んでいった。

 

未だに2枚のBOARDは残っているものの、追加のドロー効果もあって、この効果は有意義なものであったことだろう。

 

ここまで来て、ようやく一手、この剣総を若干ながら驚愕させたかもしれない。

 

【チェンジ】の効果と違って、【アーマー進化】はバトルを続行させない。つまり、バトル中のスピリットから【アーマー進化】した場合、バトルは続行されず、破壊もされない。

 

ーそしてなりより、この【アーマー進化】の効果によって召喚されたホルスモンは、新たな召喚扱いであるため、当然回復状態。追撃が可能だ。

 

 

「やれっ!!ホルスモンっ!!」

 

 

ホルスモンが司の指示を聞くなり、上空へと飛翔して行く。そしてそのまま竜巻のように身体を回転させ、一本の槍を彷彿とさせる技で剣総のライフへと飛び行く。

 

 

「旋風の………テンペストウィング!!!」

 

「………ライフで受ける」

ライフ2⇨1

 

 

キングフォームもさっきの無駄足となったバトルのせいで疲労状態。流石に受けるしかなかったか、剣総はそのホルスモンのアタックをライフで受けた。

 

旋風の槍と化したホルスモンは通り過ぎるようにそのライフを1つ貫いてみせた。

 

剣総のライフはいよいよ後1つだ。

 

 

「………ターンエンド……」

ホルスモンLV1(1)BP4000

 

朱に染まる薔薇園LV1

 

バースト【無】

 

 

ー惜しかった。

 

後一歩というところまでライフを削ったものの、全て破壊できなければなんの意味もない。おまけに、次の剣総のターン。強力なアタック時効果を所有するキングフォームで攻めに来るのは言うまでもなく目に見えていることであって…………

 

 

[ターン07]剣総

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札2⇨3

《リフレッシュステップ》

リザーブ5⇨9

トラッシュ4⇨0

仮面ライダーブレイド キングフォーム(疲労⇨回復)

 

 

「メインステップっ!!もう加減はしねぇぞクソガキ共っ!!俺は手札にあるブレイブカード、醒剣ブレイラウザーを召喚し、キングフォームと合体させるっ!!」

手札3⇨2

リザーブ9⇨7

トラッシュ0⇨2

 

 

仮面ライダーブレイドが所持する剣。醒剣ブレイラウザー。それが上空から降り注がれ、この地に降り立った。そしてそれをキングフォームが手に取り、二刀流となる。

 

そして、キングフォームの強力なアタック時効果からか、これ以上の展開は無意味と考えた剣総はここからアタックステップへと移行する。

 

ー破壊しに行くのは当然4つある司と雅治のライフだ。

 

 

「アタックステップゥっ!!やれぇっ!!キングフォーム!!!」

 

 

二本の剣を握りしめ、地を駆けるキングフォーム。目指すはもちろん司と雅治のライフ。

 

そして、剣総は眼前に存在する司と雅治のスピリット、サブマリモンとホルスモンを邪魔だと言わんばかりにキングフォームのアタック時効果を発揮させて行く。

 

 

「醒剣ブレイラウザーの効果でホルスモンのBPをマイナス5000!!キングフォームのフラッシュ効果発揮!!手元にある四道カード、仮面ライダーレンゲルを破棄し、回復!!」

仮面ライダーブレイド キングフォーム+醒剣ブレイラウザー(疲労⇨回復)

 

 

剣総の手元のカードの5枚のうち、1枚が破棄される。それはキングフォームの剣へと吸い込まれ、彼に力を与える。

 

ーそして回復だけではない。

 

 

「さらにさらにぃ!!お前らのスピリット1体をBPマイナス13000!!くたばれぇ!!サブマリモンっ!!」

 

「「………!!」」

サブマリモンBP4000⇨0(破壊)

ホルスモンBP4000⇨0(破壊)

 

 

キングフォームの2本の剣による眩い光の飛ぶ斬撃が、司と雅治のホルスモンとサブマリモンを襲う。だが、抵抗する間も無く、一瞬にして2体同時に引き裂かれ、爆発した。

 

それだけではない。キングフォームは回復したのだ。このターン、2度目のアタックの権限を得ている。おまけに合体によりダブルシンボルであるため、奪うライフは2つ。

 

 

「まだだっ!!フラッシュマジック!!シンフォニックバースト!!」

手札7⇨6

リザーブ2⇨0

トラッシュ4⇨6

 

「………っ!?」

 

「アタックはライフで受けてやるっ!!」

 

 

雅治の有無も聞かず、咄嗟に動き出した司。だが、これは雅治とて待ち望んでいたこと、これでこのターンを防ぐことができる。

 

ー問題なのはライフダメージの方であるが………

 

 

「………ぐ、ぐわぁっ!!」

「ぐっ!!!」

ライフ4⇨2

 

 

キングフォームの二刀流の剣の一撃が、司と雅治のライフを破壊した。スピリットがスピリットということもあってか、そのダメージ量は最初に受けたダメージとは比にならない。骨が砕けそうだ。

 

しかし、2人はそれでも必死にその痛みに耐え、その先にある勝利を信じて、シンフォニックバーストの効果を発揮させる。

 

 

「シンフォニックバーストの効果っ!!俺達のライフが2以下になったことにより、このターンのアタックステップを終了させるっ!!」

 

「………ちいっ!!しゃらくせぇ!!」

 

 

弾け飛ぶ閃光。それが剣総の場にいるキングフォームの動きをまとわりつくように封じ込めた。

 

これにより、剣総はこのターンのアタックを続行不可にされてしまう。

 

 

「…………ターンエンドだ」

仮面ライダーブレイド キングフォーム+醒剣ブレイラウザーLV2(3)BP19000(回復)

 

BOARD LV1

BOARD LV1

 

〈手元〉

仮面ライダーレンゲル[2]

仮面ライダーレンゲル[2]

仮面ライダーギャレン

仮面ライダーカリス

 

バースト【無】

 

 

決めたかったターンに決められなかったことからか、その表情がやや険悪になる剣総。しかし、流石に仕方なかったか、そのままそのターンをエンドとした。

 

次は雅治のターン。司が繋いでくれたこのチャンスは無駄にはできない。全力であと1つの剣総のライフを奪いに行く。

 

 

[ターン08]雅治

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ5⇨6

《ドローステップ》手札5⇨6

《リフレッシュステップ》

リザーブ6⇨11

トラッシュ5⇨0

 

 

「メインステップっ!!アルマジモンを召喚っ!!効果でカードをオープン!!」

手札6⇨5

リザーブ11⇨8

トラッシュ0⇨2

オープンカード↓

【サンクチュアリバインド】×

【サンクチュアリバインド】×

【サンクチュアリバインド】×

 

 

雅治が早速呼び出したのは、サブマリモンの【アーマー進化】の効果によって手札へと帰還していたアルマジモン。

 

だが、その効果は失敗。対象内となるカードはどこにもなく、破棄される。が、その追加効果はそれらが成功の有無を問わず発揮でき………

 

 

「追加効果で2コストを支払い、アンキロモンを召喚!!」

手札5⇨4

リザーブ8⇨2

トラッシュ2⇨4

アンキロモンLV3(4)BP6000

 

 

恐竜のアンキロサウルスのような見た目の黄の成熟期スピリット、アンキロモン。これがアルマジモンの追加効果で新たに召喚された。

 

ー雅治は準備は整ったと言わんばかりにアタックステップへ移行する。

 

 

「アタックステップっ!!アンキロモンでアタック!!……そして、アタック時効果【超進化:黄】で、僕のエースを召喚するっ!!」

 

 

アンキロモンがデジタルのベルトに巻かれ、その中で大きく形を変えて行く。その姿はまさしく、土偶。その異端な姿はとてもではないが強そうには見えない。

 

だが、そんな見た目でも、そのスピリットは雅治のエーススピリット、これまで何度も、幾度となく救ってきてくれた。紛うことなき自分のエースなのだ。

 

ーそしてその名が叫ばれる。

 

 

「シャッコウモンをLV3で召喚っ!!」

シャッコウモンLV3(4)BP13000

 

 

白い翼の生えた土偶、シャッコウモンが雅治の場に現れた。

 

 

「な、なんだ!?この妙なスピリットは……!?」

 

 

剣総はシャッコウモンの見た目に、思わず驚き、口を開いた。確かに異様な姿の多いデジタルスピリットたちの中でもこのシャッコウモンは異端中の異端であると言える。

 

雅治はそんな中、剣総に聞く耳など持たず、シャッコウモンの召喚時効果を発揮させて行く。

 

 

「シャッコウモンの召喚時効果っ!!相手スピリット全てのBPをマイナス5000!!」

 

「………っ!!」

仮面ライダーブレイド キングフォーム+醒剣ブレイラウザーBP19000⇨14000

 

 

シャッコウモンは登場するなり、どこを見ているのか定かではない眼孔から、赤い光を照射する。その光に、キングフォームは吹き飛ばされ、BPを削がれてしまった。

 

ーだが、

 

 

「はん!!全くもって意味がねぇなぁ!!」

 

 

その通りだ。キングフォームのBPはそれでもまだ大きく、シャッコウモンを上回っている。

 

しかし、雅治の狙いはそんなところではなく………

 

 

「アタックステップは続行っ!!シャッコウモンでアタック!!……シャッコウモンのアタック時効果!!LV2、3の相手スピリット1体を手札に戻す!!」

「………っ!?なにっ!?」

「僕が戻すのは当然キングフォームっ!!」

 

「………っ!?」

手札2⇨4

 

 

シャッコウモンの掌から放たれる淡い光を纏った球は、瞬く間にキングフォームへと命中。キングフォームはその謎の力により、この場から消滅し、剣総の手札へと戻されてしまった。

 

ただ、合体中であった醒剣ブレイラウザーは地に突き刺さり、場に居座った。

 

 

「これで終わりだぁ!!」

 

 

今現在、雅治の場にはアタック中のシャッコウモンを含め、アルマジモンと2体。ブレイラウザーでブロックされることを考えても、剣総のたった1つのライフを破壊できる算段だ。

 

ーだが、流石にまだまだ余裕はあるか、剣総は手札にある1枚のカードで雅治の場を薙ぎ払う。

 

 

「馬鹿めっ!!フラッシュ【チェンジ】!!仮面ライダーブレイド ジャックフォームの効果発揮!!アルマジモンのBPをマイナス10000し、破壊するっ!!」

手札4⇨3

リザーブ11⇨9

トラッシュ2⇨4

 

「………っ!!」

アルマジモンBP2000⇨0(破壊)

 

 

煌臨元となっていて、先のシャッコウモンの力により、キングフォームと一緒に手札に戻って来ていたジャックフォームの効果がここで適応される。

 

稲光とともに放たれる落雷が、アルマジモンを襲い、爆発させた。

 

 

「どうだっ!!これでこのターンでは決められまいっ!!」

 

 

誇らしげな表情といやらしい目つきをしながら雅治にそう言う剣総。

 

ーだが、雅治も負けじと睨み返し、手札のカードを引き抜いた。

 

 

「フラッシュマジック!!舞華ドロー2枚!!」

手札4⇨3⇨2

リザーブ2⇨1⇨0

トラッシュ4⇨5⇨6

 

「………!!」

 

「この効果で相手のスピリット1体のBPをマイナス3000!!2枚分でマイナス6000!!僕は醒剣ブレイラウザーのBPをマイナスし、破壊!!」

手札2⇨3

 

「………くぅっ!!」

醒剣ブレイラウザーBP4000⇨1000⇨0(破壊)

 

 

2枚のカードが剣、ブレイラウザーの剣脊に突き刺さる。その中に黄色の力が溢れ出し、ブレイラウザーは破裂するように爆発した。

 

これで再びブロッカーはゼロだが、剣総もまだまだ尽きてはいない。

 

 

「温いわぁっ!!!フラッシュ【チェンジ】!!手元のレンゲル[2]の効果を再び発揮!!トラッシュにある仮面ライダーブレイド[2]を召喚し、その召喚時で手札にあるキングフォームを手元に置き、カードをドロー!!」

リザーブ10⇨3

トラッシュ4⇨6

仮面ライダーブレイド[2]LV3(4)BP7000

手札3⇨2⇨3

手元追加カード↓

【仮面ライダーブレイド キングフォーム】

 

「「………!!」」

 

 

再び黒い靄が現れ、その中から仮面ライダーブレイド[2]が出現した。そして次なるはその【チェンジ】の効果発揮後だ。

 

 

「レンゲル[2]の効果でさらにこのブレイド[2]と入れ替えるっ!!」

手札3⇨4

仮面ライダーレンゲル[2]LV3(4)BP9000

 

 

ブレイド[2]が粒子となり、その姿形を返還させて行く。そして新たに現れるのは仮面ライダーレンゲル[2]。剣総がこれまで幾度となく使用して来た【チェンジ】効果の状態である。

 

二本のツノと紫がかったボディは2人に少なくないプレッシャーを与える。

 

ーが、しかし、その姿を見るのもここまで、剣総はすぐさまこのスピリットのグレードをアップさせる。

 

 

「さらに煌臨っ!!!手元からレンゲル[2]を対象にキングフォームを煌臨させるっ!!」

仮面ライダーレンゲル[2](4s⇨3)

トラッシュ6⇨7s

 

「「………っ!?」」

 

 

ーここまで来て、

 

ーまだそれを呼び出すと言うのか………

 

ー何という執着と執念、

 

ーその拘りにはもはや狂気に近いものまでも感じ取れる。

 

レンゲル[2]が光輝き、その姿形を変換させる。そして、新たに現れるのは、もちろんブレイドの最終進化系体、キングフォーム。

 

再びそれが司達の前に姿を現した。

 

 

「俺のキングフォームは不滅だ、お前らみたいな強いカードだけでブイブイ合わせてる奴らなんかじゃあ…………突破なんてできるものかぁ!!!」

仮面ライダーブレイド キングフォームLV2(3)BP15000

 

 

そして当然、このキングフォームは回復状態。ブロックが可能だ。

 

 

「やれぇっ!!キングフォーム!!そのデカ物を抹殺しろっ!!」

 

 

キングフォームは迫ってくるシャッコウモンを、手に持つ剣で一刀両断。シャッコウモンは流石に耐えられずに大爆発してしまった。

 

 

「シャッコウモンっ!?」

 

 

雅治の声も、その爆風の虚しさに拍車をかけるだけ、

 

ー雅治では勝てない。

 

ーしかし、この男なら………

 

赤羽司なら………この後を継ぎ、必ず奴を倒せる。

 

そう信じて彼は司に望みを託す。

 

 

「………ターンエンド……司っ!!後は任せたよっ!!」

バースト【無】

 

「………言われるまでもねぇっ!!」

 

 

雅治は剣総に多くのカードやコアを消費させたものの、勝つには至らなかった。

 

次は赤羽司のターン。一気に決着をつけるべくターンシークエンスを進めて行く。

 

 

[ターン09]司

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ3⇨4

《ドローステップ》手札6⇨7

《リフレッシュステップ》

リザーブ4⇨10

トラッシュ6⇨0

 

 

「メインステップ…………朱に染まる薔薇園のLVを2に上げ、ホークモンを召喚っ!!効果でカードをオープン!!」

手札7⇨6

リザーブ10⇨9⇨7

トラッシュ0⇨1

オープンカード↓

【イエローリカバー】×

【天魔神】×

【ホークモン】×

 

 

司も雅治同様、【アーマー進化】によって手札へと帰還していたホークモンを再度召喚する。その召喚時のサーチ効果は失敗に終わるものの、司も大事なのはその後だ。

 

 

「追加効果で2コストを支払い、テイルモンを召喚するっ!!」

手札6⇨5

リザーブ7⇨2

トラッシュ1⇨3

テイルモンLV3(3)BP5000

 

 

今一度ネズミ型の成熟期スピリットであるテイルモンが司の場へと現れた。

 

 

「アタックステップっ!!テイルモンでアタック!!効果でカードをオープン!!」

オープンカード↓

【リボルドロー】×

手札5⇨6

 

 

走り出すテイルモン。その効果でカードが捲られるが、失敗。手札には加わるものの、ライフ回復までには至らなかった。

 

だが、これもホークモンと同様、その後が肝心。

 

 

「もう1つの効果っ!!【超進化:黄】を発揮!!テイルモンをシルフィーモンに進化させるっ!!」

リザーブ2⇨1

シルフィーモンLV3(4)BP12000

 

「………!!」

 

 

テイルモンが光を纏い、姿形を変換させる。新たに現れたのは雄々しく、それでいて猛々しい白き獣人型スピリット、シルフィーモン。

 

赤羽司のエーススピリットだ。

 

 

「………また妙な完全体を………」

 

 

剣総はシャッコウモンとシルフィーモンと言ったカード達の事は知らなかった。【銃魔】に聞いていなかったこともあるが、基本的にそれらはオーバーエヴォリューションによって覚醒したカード達であるため、認知のしようがなく、仕方ないとこも多少ある。

 

それでもシルフィーモンを知らないという事は、少なくとも去年の【界放リーグ】の試合中継を観ていないということでもある。

 

もし、本当にそうなのであれば、【芽座椎名】を狙う理由が見当たらない。

 

ー司はその一瞬でそう解釈するものの、考えても無駄と見たか、このバトルを終わらせて彼本人から聞くことに思考をシフトさせて行く。

 

 

「シルフィーモンの召喚時!!お前のBP15000以下のスピリット1体を破壊するっ!!砕け散れっ!!キングフォームっ!!」

「………っ!?」

「………トップガン!!」

 

 

シルフィーモンの掌から放たれる凝縮されたエネルギー弾が、剣総のキングフォームを一瞬にして消し炭にした。

 

後は簡単な事だ。ガラ空きとなった場にアタックするだけ…………

 

 

「終わりだっ!!シルフィーモンでアタック!!」

 

 

トドメと言わんばかりにシルフィーモンにアタックの指示を送る司。シルフィーモンもそれを聞くなり、上空へと飛び立ち、滑空するように剣総のライフを狙いに行く。

 

ーだが、まだだった。まだ倒れる事はなく………

 

 

「フラッシュ!!2枚目のレンゲル[2]!!」

リザーブ6⇨3

トラッシュ7s⇨10s

 

「………!!」

 

「俺様はこの効果でトラッシュにある仮面ライダーブレイド キングフォームを再び召喚するっ!!!甦れっ!!」

リザーブ3⇨0

仮面ライダーブレイド キングフォームLV2(3)BP15000

 

 

いったい何度甦れば気がすむのか、キングフォームが再び黒い靄の中からゆっくりと姿を現した。

 

これだけならまだ大丈夫ではあった。シルフィーモンのアタックが防がれたとしても、司の場にはまだホークモンがいるからだ。ホークモンで最後のライフを破壊できる。

 

ーしかし、剣総はそれさえも許さない。

 

 

「フラッシュマジック!!ライトニングスマッシュ!!」

手札3⇨2

仮面ライダーブレイド キングフォーム(3⇨1)LV2⇨1

トラッシュ10s⇨12s

 

「………!!」

「この効果でお前達のスピリット全てをBPマイナス6000!!」

 

「………っ!?」

ホークモンBP2000⇨0(破壊)

シルフィーモンBP12000⇨6000

 

 

キングフォームがシルフィーモン同様、滑空するようにキックをお見舞いする。その果てしない雷の力は、シルフィーモンを地に叩きつけ、ホークモンを破壊した。

 

これにより体数押しでの勝利は不可能。場に残ったシルフィーモンでどうにかするしかない。

 

ーと言っても、シルフィーモンのBP6000に対し、キングフォームはLV1でもBP13000。到底勝てるものではない。

 

ーだが、司にはそれさえをも覆す一手があった。

 

ーこのターンが始まる時から見据えていた。手元にあるカードを使われるなど、前のターンで学習済みだ。

 

ー司はその逆転の一手を繰り出す。

 

 

「フラッシュ!!俺はトラッシュからホウオウモンの煌臨を発揮!!対象はシルフィーモン!!」

シルフィーモン(4s⇨3)

トラッシュ3⇨4s

 

「………何いっ!?トラッシュから煌臨だとっ!?」

 

 

手元から【チェンジ】や煌臨を行なっていた剣総でさえもその効果を聞いて驚愕した。トラッシュとは基本的に捨て札。そこからの煌臨など聞いたこともない。

 

ーそして、その唯一の効果であると言えるそのスピリットがシルフィーモンから進化し、現れる。

 

 

「天空の王よ!!今こそその超炎で地上の全てを焼き払えっ!!究極進化ぁぁ!!!」

 

 

司の叫びと共に、シルフィーモンの周りから巨大な火柱が吹き上がる。シルフィーモンはその中に取り込まれ、姿形を大きく変えて行く。その姿はまさしく鳳凰と呼ぶに相応しいと言える。

 

 

「………ホウオウモンっ!!!」

ホウオウモンLV2(3)BP6000

 

 

そしてその火柱を弾け飛ばし、現れたのは金色の身体を持つ巨大で、尚且つ優雅な鳥型の究極体スピリット、ホウオウモンだ。その圧倒的な存在感と威圧感はキングフォームと同格のものを持っている。

 

 

「………ほ、ホウオウモン……!?」

 

 

その雄々しく、美しい姿に加え、それが放つ異彩なプレッシャーに剣総は思わずたじろいだ。

 

ーやばい。こればかりはやばいと本能で感じ取っているのだ。

 

その予想はほぼ的中している。司はホウオウモンの効果を使用し、バトルを終わらせるべく、この展開をさらに大きく揺れ動かす。

 

 

「ホウオウモンの煌臨時効果っ!!煌臨元となったシルフィーモンを手札に戻すことで、BP10000以上のスピリット1体を破壊するっ!!」

手札6⇨7

 

「…………っ!?」

 

 

ホウオウモンの力はいかに強力で凶悪なスピリットであっても、焼き払ってしまう効果。

 

 

「俺はこの効果でキングフォームを焼き払うっ!!…………金色の超炎………シャイニングエクスプロージョン!!!!」

 

 

大いなる4枚の翼から、金色に光輝く炎を溜め、そして一気に放出させるホウオウモン。キングフォームはそれをまともに受け、一瞬にして溶解してしまう。

 

ーこれで再び、いや、ようやくと言ったところか、ようやく剣総のライフを守るスピリットは消えた。

 

ー今度こそ、

 

ー終わる。

 

 

「「いけっ!!ホウオウモンっ!!」」

 

 

司と雅治が声を合わせてホウオウモンに指示を送る。羽ばたくホウオウモン。さらに上空へと飛び立ち、再び金色の超炎を、今度は剣総のライフへと注ぐ。

 

ーそして…………

 

 

「………ぐ、ぐあぁぁぁっっっ!!!!」

 

 

ホウオウモンの超高温の金色の炎が地面をも焼きつくす勢いで剣総に襲いかかった。

 

そして剣総の叫びとともに、その場は大爆発を起こした。

 

 

「はぁっ、……はぁっ…………どうだ、この……チート野郎!!!」

「使えるコアはたった1つしか残ってなかったんだ………もう終わり…………」

 

 

巻き上がる砂埃や爆煙。2人は息を切らしながらも確かに勝ちを確信していた。剣総の使えるコアはただ1つ。それだけでホウオウモンの強力なアタックを防げるとは思えない。

 

ーしかし、その予想は大きく外れることとなる。

 

爆煙と砂埃が晴れようとする頃、やけに鼻に付くような、そして自分達を嘲笑うかのような嘲笑が聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

 

「くっくっく……………ぶわっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ー2人は背中が騒ついた。

 

ー信じられるものか、あの状態で防げるはずなどない。しかし、その理由と共に、剣総の生き残った姿が2人に視認される。ライフは確かに1つ残っていた。

 

 

「フラッシュゥゥマジックゥゥ!!!アブソリュートゼロォォォオ!!!!」

手札3⇨2

リザーブ1⇨0

 

「「…………!?」」

「この効果でホウオウモンのシンボルを消したんだよぉ〜!!残念でしたぁっ!!!ぶわっはっはっはっは!!!!」

 

 

黄色のマジック、アブソリュートゼロ。剣総はスピリットのシンボルを消し去るこの効果を咄嗟に使っていた。ホウオウモンのシンボルはゼロとなり、ライフを減らすことはできなかったのだ。

 

 

「………そ、そんな………」

 

 

雅治は頭の血の気が下がるのを感じた。

 

あんなに攻めて、攻めて、攻め抜いたにもかかわらず、司の渾身の一手までもを凌いで来るなどと信じられるものか………

 

本当に、彼は何者なのだろうか。ブレイド達仮面スピリットからはとてもではないが人間が持っていい力とは思えない。

 

 

「さぁ、お前らはターンエンド…………俺の至福の時だ………っ!!!」

 

 

タイミングの都合もあって、司はこれ以上の行動はできない。半ば強制的に剣総のターンとなる。

 

彼はゆっくりとターンシークエンスを進めて行き…………

 

 

「メインステップゥゥっ!!俺は手札から2体のブレイドと手元にあるカリス、ギャレンを連続召喚っ!!」

 

 

仕上げだ。剣総はこれでもかと言わんばかりにスピリットを展開する。【チェンジ】の効果によって手札に戻っていた2体のブレイドと、クワガタのような頭部を持つ仮面スピリット、ギャレン、そしてカミキリムシのような頭部のカリスだ。

 

 

「………終わりだぁ!!死に去らせぇ!!!」

 

 

4体の仮面スピリットが一斉に走り出す。2人の残り2つのライフを破壊するためだ。

 

ー最早2人になすすべはない。ただ、その4撃を受けるだけ…………

 

 

「「ぐっ、ぐわぁっっっ!!!!」」

ライフ2⇨0

 

 

4体のスピリットが、その手に持つ剣で司と雅治のライフを引き裂いた。

 

ー果てしない苦痛と衝撃が2人を襲う。

 

 

「………し、椎名は………ぼ、僕が……ま、も………」

 

 

横に倒れながら、必死に起き上がろうとする雅治。だが、言葉の途中で力尽き、とうとう倒れてしまう。本当に死んではいない。プルート同様、気を失っただけ、だが、危ない状態になったのは確かな事であって………

 

 

「………はぁっ、はぁっ………」

 

 

呼吸が乱れる。痛い、しんどい、苦しい。司は辛うじて意識はあるもの、既に満身創痍。再び立ち上がることはほぼ不可能である。

 

 

「ほお?あんだけダメージを負いながらまだ意識があるか………だが、無理だな、右手右足の骨、そして何より背骨近辺の筋が切れてるみたいだ、立ち上がれまい……」

「………はぁっ、はぁっ、……」

 

 

悔しいがその通りだ。司は立ち上がりたくても立ち上がれない。

 

 

「ふっふっふっふ!!!丁度良い!!お前みたいなカードだけのいきり野郎にはまだまだアタックしたりないと思ってたからなぁ!!」

「………!?」

 

 

剣総は司を殺す気だ。完全に。完膚なきまでに………

 

そんな時、司は微かに開いた口から…………

 

 

「はっはっはっ!!カードだけのいきり野郎?………お前が俺に言えたことじゃねぇだろう?」

 

 

息を切らしながらも剣総を小馬鹿にするように煽り、反論した。

 

 

「………あぁん?」

 

 

司のその言葉に腹を立てたか、剣総は初めて何かに苛立ったような表情をする。

 

 

「今なんて言った?………俺がカードだけだとぉぉぉぉぉぉ!!?お前と一緒にするなっ!!!このいきり野郎がぁ!!!」

 

 

剣総が怒りのままに場に残った4体の仮面スピリットにアタックの指示を送ろうとした

 

ーその直後だった。

 

 

「見苦しいなぁ!!このブ男!!」

「………っ!?」

 

 

剣総の動きを制止させるように、誰かの声が聞こえて来た。

 

剣総が声のする背後へと振り返る。

 

ーそこにいたのはオーズ一族の神官の1人、赤髪の少年【マーズ】プルートの逃げろという指示を無視して、彼を助けにここまでやってきたのだ。

 

ーそして、彼が来たということは彼女もここに来たということ………

 

 

「私の友達に…………何してんだぁっっっ!!!!」

 

 

そう、ジャングルが大きな声で震撼するほどまでに叫んだのは芽座椎名。彼女もまた司達を放っておくことができずに、ここに来たのだ。

 

剣総はその椎名の姿を見るなり、さっきまで斜めだった機嫌が急に真っ直ぐになるのを感じた。

 

ー間違いない。【銃魔】が言っていたのはこいつだ。写真に載っていた、ミカンみたいな頭の少女。何が理由かは知らないが、こいつを指し出せれば自分はこの力を、ブレイドの力の保持を確立できる。彼にとってそれ程までに嬉しい事はない。

 

 

「………ミカンみたいな頭の………女ぁ………!!」

 

 

剣総はようやく見つけた本命の獲物に目を輝かせ、喜びの声を上げる。椎名、マーズがこの剣総とバトルするのはそう遠くない未来だ。

 

 

 




〈本日のハイライトカード!!〉

椎名「本日のハイライトカードは【仮面ライダーブレイド キングフォーム】!!」

椎名「ブレイドの王、キングフォーム!!その力は名実共にまさしくキング!!手元にカードがある限りアタックできるよ!!」


******


〈次回予告!!〉


椎名「雅治と司があんなボロボロになるなんて………こんの野郎っ!!行くよマーズ!!私達がぜぇったい!!貴方をぶっ倒す!!次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ、「敗北のデュークモン」……今、バトスピが進化を超えるっ!!」


******


最後までお読みくださり、ありがとうございました!!


地味ながら初めて10日以内ギリギリに投稿しました。ブレイドでバトルを考えるの、本当にしんどいです。

多対1ルールに関しては、設定を参照に、


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