バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

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第59話「敗北のデュークモン」

 

 

 

 

 

 

 

「私の友達に何したんだぁっっっ!!!!」

 

 

椎名が右手の人差し指で剣総を指しながらそう叫んだ。

 

 

「………みかんみたいな頭の女ぁ………!!」

 

 

剣総はその椎名を見て、薄く、それでいて心は深く、何より不気味な笑みを浮かべていた。

 

しかし、そんな彼はいったんほっとき、椎名は司と雅治のもとへ、マーズは父親であるプルートのもとへと足を運んだ。

 

 

「おい!!親父っ!!しっかりしろっ!!」

 

 

マーズが気を失ったプルートに声をかける。が、当然のごとく返事はない。マーズはそれを見て悔しさで歯を噛み締めながらもプルートを広場の端まで運んだ。

 

その様子を見て、剣総は【マーズもここの一族であると認識してしまう】

 

 

「雅治っ!!司っ!!大丈夫っ!?」

「うるせぇ、大丈夫じゃねぇわバカ……」

「誰がバカだ!!」

 

 

あいも変わらず、椎名に悪態を吐く司。だが、それはいつも通りの光景。怪我を除けば司は安心だ。

 

 

「んな事より、雅治の奴を運べ……気を失ってるだけだがな」

「うん!!わかったっ!!」

 

 

椎名は司に言われるがままに雅治の体をプルートと同じ場所まで移動させた。司もなんとか這いつくばりながらもその近辺まで退いた。

 

司は屈辱であっただろう。仮にもあの芽座椎名に仮を作ってしまったことに対してだ。だが、仕方のない事だ。椎名がプルートの一言だけで逃げるような人間でないことは彼とて把握済みだ。右腕と右足の骨が折れ、背骨付近の筋も切れ、立ち上がれない今、椎名のバトルの行く末を見守ることしか出来ない。

 

ーそして椎名とマーズは運び終わると、いったんおいていた剣総と向かい合う。

 

 

「親父達をあんなにしたのはこの毛深ブ男で間違いみたいだな」

「あなた誰?……なんでこんなことするの?」

 

 

マーズがそう呟き、椎名が剣総に問うた。

 

 

「………なんで?……愚問だなぁ、芽座椎名!!………当然っ!!カードだけが強い連中をボコボコにしたかったからに決まってるだろおっ!!!」

 

 

剣総は堪え切れないほどに面白いのか、大声で笑いながらそう叫んだ。

 

そうだ。力を、ブレイドを与えてくれた【Dr.A】。そしてその僕らしき男【銃魔】の依頼でこのオレンジの髪色の少女、【芽座椎名】を捕らえるよう言われたが、

 

そんなものは単なる建前に過ぎないのだ。

 

剣総は学生時代、プレイングや構築の実力は高かったものの、バトスピ一族の持つ、デジタルスピリットや仮面スピリットなどのパワーの高さによりほとんどのバトルに勝利できず、低評価のままそれを卒業している過去を持っている。

 

しかし、結局はどこまでいっても逆恨みであるのは間違いのないことではあるが………

 

 

「ムカつくんだよ………腹立つんだよっ!!対して強くもねぇくせに粋がる野郎がなぁっ!!!」

「だからって他の人を傷つけていい訳ないだろっ!!!………行くよマーズっ!!」

「おう!!椎名ちゃんっ!!」

 

 

椎名は剣総の言い分に対して反論しながらも、自身のBパッドを展開し、瞬間的にバトルの準備をした。マーズも同様だ。

 

ーそして始まる。再び3人でのバトルだ。

 

 

「「「ゲートオープン、界放!!!」」」

 

 

コールにより、バトルの開始が伝えられる。

 

ーが、さっきの司と雅治とのバトルにより、自分が強すぎる事をより理解してしまった剣総は、またここで椎名とマーズに提案を持ちかける。

 

 

「ハンデをやるよ、俺はライフ5!!手札は4!!リザーブだけは本来のルールに則って8とする!!そして効果はお前達の場にそれぞれ影響を及ぼすことはなく、お前達のライフはそれぞれ5だ!!!」

「「っ!?」」

「あいつまたあんな事を………」

 

 

また大きく出た剣総。今度は司と雅治の時より大きいハンデを椎名とマーズに与える。

 

この場合、椎名とマーズのライフが別々になるため、仮に片方がライフ0になった場合、もう片方が残ることになる。

 

実質、複数人側にライフが10あるようなもの、そして剣総の効果が椎名とマーズの場、両方に影響を及ぼすこともなくなる。

 

対して、剣総はリザーブを除けば普通のバトルとほとんど同じルールからのスタートだ。明らかにハンデが大きすぎる。

 

 

「あいつ、俺らを舐めてんのか?」

「まぁ、ルールはなんでも良いよ」

「その返事は了承したと言う事で良いんだなぁ!!」

 

 

2人がそう言うと、剣総はまたニタニタと不気味に笑いだし、自分のターンシークエンスを進行して行く。

 

ーバトルの始まりだ。

 

 

[ターン01]剣総

《スタートステップ》

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップゥ!!俺はこのスピリット、仮面ライダーブレイドを召喚っ!!」

手札5⇨4

リザーブ8⇨4

トラッシュ0⇨3

 

「……っ!?仮面スピリット!?」

 

 

上空から降り注ぐ巨大なカード、その中から現れるのは仮面ライダーブレイド。剣総の持つ謎の多い仮面スピリットだ。

 

 

「ブレイド?………聞いたことないな」

 

 

マーズがそのブレイドの姿を見てそう呟いた。

 

剣総はそれに答えることなくその召喚時効果を発揮させて行く。

 

 

「召喚時ぃっ!!」

オープンカード↓

【仮面ライダーブレイド[2]】◯

【仮面ライダーワイルドカリス】◯

【仮面ライダーレンゲル[2]】◯

 

 

その召喚時効果でオープンされたカードはどれも対象内。剣総はその中の【仮面ライダーブレイド[2]】のカードを手札へと加え、残りをトラッシュへと破棄した。

 

 

「さらにぃっ!!ネクサスカード、BORADを2枚配置!!ターンエンドっ!!」

手札4⇨5⇨3

リザーブ4⇨1

トラッシュ3⇨6

 

仮面ライダーブレイドLV1(1)BP2000(回復)

 

BORAD LV1

BORAD LV1

 

バースト【無】

 

 

異様な気を放つネクサスカード、BORAD。そこに描かれている研究室は必ず何か良からぬ事を研究していると勘ぐってしまうほどに不気味だ。

 

1枚1枚のカードが初めて見るものばかり、戸惑いの表情が隠せない椎名とマーズ、

 

だが、それがどんなに強力だろうとやらなければならない。倒されていった仲間達のために、

 

そう思いながらも、彼らはターンを進めていく。

 

次はマーズのターン。

 

 

[ターン02]マーズ

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップっ!!チョーターを2体召喚し、さらにマジックカード、ストロングドロー!!3枚引き、2枚捨てる」

手札5⇨4⇨3⇨2⇨5⇨3

リザーブ5⇨1

トラッシュ0⇨2

破棄カード↓

【アンク】

【ライドベンダー】

 

 

マーズが召喚したのはダチョウとチーターを合わせたようなスピリット、チョーターを2体召喚し、青の鉄板マジック、ストロングドローを使用して、手札の入れ替えを行った。

 

 

「ターンエンドっ!!」

チョーターLV1(1)BP1000(回復)

チョーターLV1(1)BP1000(回復)

 

バースト【無】

 

 

マーズはそれでこのターンをエンドとした。次は椎名のターンだ。

 

 

 

[ターン03]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップっ!!ブイモンを召喚っ!!……そして召喚時効果っ!!」

手札5⇨4

リザーブ5⇨1

トラッシュ0⇨3

オープンカード↓

【ライドラモン】◯

【ギルモン】×

 

 

椎名が早速召喚したのは小さな青き竜、ブイモン。そしてその召喚時効果も成功、椎名はその中の【ライドラモン】のカードを加えた。

 

ーそして、それを発揮させる。

 

 

「さらに!!手札にあるライドラモンの【アーマー進化】を発揮!!対象はブイモン!!」

手札4⇨5

リザーブ1⇨0

トラッシュ3⇨4

 

「………!!」

 

「1コストを支払い、轟く友情、ライドラモンを召喚っ!!」

ライドラモンLV1(1)BP5000

 

 

ブイモンの頭上からひょうたんのような形をした何かが投下される。ブイモンはそれと衝突し、混ざり合い、新たな姿へと進化を遂げる。

 

現れたのは黒いボディの獣型のアーマー体スピリット、ライドラモン。これが雷鳴の如く椎名の場に降り立った。

 

 

「召喚時!!私のトラッシュにコアを2つ追加っ!!」

トラッシュ4⇨6

 

 

登場するなり雄叫びを上げるライドラモン。それに共鳴するかのように、椎名のトラッシュにコアが新たに2つ追加された。

 

 

「………ほお、良い効果だな」

「?………ターンエンド」

ライドラモンLV1(1)BP5000(回復)

 

バースト【無】

 

 

ライドラモンの召喚時効果を見た剣総はそう呟いた。椎名はその意味深な発言に若干不思議に思いながらもそのターンをエンドとした。

 

次は一周回って剣総のターン。ここから【アタックステップが解禁される】。

 

 

[ターン04]剣総

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ1⇨2

《ドローステップ》手札3⇨4

《リフレッシュステップ》

リザーブ2⇨8

トラッシュ6⇨0

 

 

「メインステップっ!!俺は仮面ライダーブレイド[2]をLV3で召喚っ!!」

手札4⇨3

リザーブ8⇨3

トラッシュ0⇨1

 

 

剣総が召喚したのは2体目のブレイド。しかし、このブレイドは最初のブレイドとは全く異なる効果を持っており………

 

 

「召喚時効果っ!!手札にある四道スピリットを手元に置くことでカードをドローする!!俺は仮面ライダーワイルドカリスのカードを手元に置くことで1枚ドロー!!」

手札3⇨2⇨3

手元追加カード↓

【仮面ライダーワイルドカリス】

 

 

剣総の手元に仮面スピリットのカードが置かれると共に、デッキのカード1枚が手札へと加えられる。この動きが彼のデッキにとってどれ程のアドバンテージをもたらしているかは計り知れない。

 

 

「さらに最初のブレイドのLVを上げ、アタックステップっ!!最初のブレイドでアタックだ!!」

リザーブ3⇨1

仮面ライダーブレイド(1⇨3)LV1⇨3

 

 

剣総の恐怖のアタックステップが幕を開ける。

 

 

「手始めだっ!!ブレイドの効果でチョーター1体をBPマイナス4000し、破壊っ!!」

 

「っ!?」

チョーターBP1000⇨0(破壊)

 

 

ブレイドの剣先から放たれる一筋の閃光が、マーズの場にいるチョーター2体のうち1体が貫かれる。チョーターはそれに耐えることはできずに破裂するように爆発した。

 

そして、剣総の動きはまだ終わらない。そのまま手札にあるカードを1枚引き抜く。

 

 

「フラッシュ【チェンジ】!!仮面ライダーブレイド ジャックフォームの【チェンジ】の効果を発揮!!対象はアタック中のブレイド!!」

リザーブ3⇨1

トラッシュ1⇨3

 

「「……っ!?」

「この効果で相手スピリット1体のBPをマイナス10000!!……俺はライドラモンのBPをマイナスし、破壊するっ!!」

 

「なにいっ!?……くっ!!ライドラモンっ!!」

ライドラモンBP5000⇨0(破壊)

 

 

次々と上空から降り注ぐ光の矢。これは瞬く間に椎名の場にいるライドラモンを貫き、その力を奪い取った。力を奪い取られたライドラモンは白い灰のような姿と化して空っ風と共に場を流れていった。

 

 

「そしてそしてぇっ!!この効果で破壊したスピリットの効果を俺が適用するぅ!!……トラッシュに2コアを追加ぁぁっ!!」

トラッシュ3⇨5

 

「なっ!?ライドラモンの効果を!?」

 

 

ライドラモンの力を奪い取った光の矢は飛び跳ねるように上空へと戻り、役目を終えたかのように弾け飛ぶ。そしてその落ちてくる光は剣総のトラッシュに影響を与えた。

 

ライドラモンの召喚時効果だ。幾度となく椎名をサポートしてきたこの効果が剣総に利用された。

 

 

「さらに【チェンジ】の追加効果で回復状態で対象のスピリットと入れ替えるっ!!来いっ!!ジャクフォーム!!」

仮面ライダーブレイド ジャクフォームLV2(3)BP6000

 

 

剣総の場にいる最初のブレイドが変化する。体の所々変化し、6枚の羽が新たに生える。そのスピリットの名は仮面ライダーブレイド ジャックフォーム、椎名のライドラモンの効果を奪い去った張本人でもある。

 

 

「アタックの対象は芽座椎名っ!!お前だっ!!」

「っ!!ライフで受けるっ!」

 

 

ライフがそれぞれ5つ持っていて別れているため、剣総はいずれかを選んでアタックすることとなる。今回は椎名だ。

 

いつものようにそのアタック宣言を受け入れ、ライフで受けるが…………

 

 

「ぐっ、………ぐぁぁぁっ!!!」

ライフ5⇨4

 

「っ!?椎名ちゃん!?」

「めざしっ!!」

 

 

ジャックフォームの手に持つ剣の一撃が、椎名のライフ1つを切り裂く。そしてそれと同時に発揮される謎めいたバトルダメージ。そのあまりの大きさに、椎名は思わず膝をついた。

 

 

「な、何これ………いった〜〜〜」

「そうか、これで親父達をあんなにしたのか………」

 

 

その様子を見て、マーズは全てを悟った。この多大なバトルダメージこそ、プルートが、父親が自分達に逃げろと言った理由であると、

 

 

「ぶわっはっはっは!!!どうだっ!!そして次はお前だぞっ!!腐れ一族ぅ!!」

「っ!!!」

 

「ジャックフォームとブレイド[2]でアタックっ!!この瞬間!!ブレイド[2]の効果発揮!!手元にある四道スピリットのアタック時効果1つをコピーし、使用するっ!!」

「はぁ!?」

 

 

2番目のブレイドとジャックフォームが地を駆ける。目指すはマーズのライフ。そしてこのタイミングで発揮される2番目のブレイドの効果。

 

ー現在、剣総の手元にある四道スピリットカードは………仮面ライダーワイルドカリスだ。

 

そのカードが発光し、そのエネルギーは2番目のブレイドの剣に集約される。

 

 

「俺はこの効果で手元のワイルドカリスの効果を発揮!!ターンに一度、俺のライフを1つ回復するっ!!」

ライフ5⇨6

 

 

ワイルドカリスの力を得た2番目のブレイドは、剣から聖なる光を解き放ち、剣総のライフを1つ回復させる。

 

 

「なんだその効果は………聞いたことねぇぞ」

「アタックは継続中ぅ!!」

 

「くっ!!ライフだっ!!…………ぐぁぁぁっ!」

ライフ5⇨3

 

 

2番目のブレイドとジャックフォームの剣の一撃が、今度はマーズのライフを一気に2つ引き裂いた。

 

マーズもそのバトルダメージをこの身で味わった。ただ単純に痛い。脳に刺激が走るような痛みを感じ取っていた。

 

 

「はっはっは!!ターンエンドっ!!」

仮面ライダーブレイド[2]LV3(4)BP7000(疲労)

仮面ライダーブレイド ジャックフォームLV2(3)BP6000(疲労)

 

BORAD LV1

BORAD LV1

 

〈手元〉

仮面ライダーワイルドカリス

 

バースト【無】

 

 

剣総は最早勝ちを確信したかのような高笑いをしながらこのターンをエンドとする。

 

次はマーズのターン。反撃なるか。

 

 

[ターン05]マーズ

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札3⇨4

《リフレッシュステップ》

リザーブ5⇨7

トラッシュ2⇨0

 

 

「メインステップっ!!俺は仮面ライダーオーズ タトバコンボ[2]を LV2だ召喚っ!!」

手札4⇨3

リザーブ7⇨3

トラッシュ0⇨2

 

 

“タカ!!トラ!!バッタ!!”

“タ・ト・バ!!タトバタ・ト・バ!!”

 

 

オーズ一族の誰もが所持する仮面ライダーオーズのベースカード、タトバコンボが妙な歌と共にマーズの場へと推参する。

 

 

「召喚時!!カードをオープンっ!!」

オープンカード↓

【ストロングドロー】×

【セルメダル】×

 

 

だが、その召喚時効果は失敗に終わる。彼の手札的にもこのターンにタジャドルへの【チェンジ】も不可。

 

しかし、攻めあぐねても行けない。マーズはここは勇猛果敢に攻めに転ずる。

 

 

「バーストを伏せ、チョーターの LVを3にアップ!!」

手札3⇨2

リザーブ3⇨0

チョーター(1⇨4) LV1⇨3

 

 

マーズの場にバーストが伏せられると同時に、チョーターの LVが上がり、一瞬青く輝いた。

 

 

「アタックステップっ!!行って来いっ!!チョーター!!タトバっ!!」

 

 

走り出すチョーターとタトバコンボ。目指すは剣総のライフ。前のターンでフルアタックを行ってしまった彼の場は、今や全てのスピリットが疲労状態。何もなければライフで受ける他なかて………

 

 

「貰うぜっ!!ライフだ!!」

ライフ6⇨5⇨4

 

 

チョーターの体当たり、オーズの虎のような鉤爪の一撃が剣総のライフを一気に2つ破壊した。

 

だが、バトルダメージを痛がる椎名達とは裏腹に、剣総はライフダメージを受けても尚涼しく余裕のある表情を浮かべている。

 

単純に彼にはバトルダメージが入らないのだ。

 

 

「…………ターンエンドだ……任せたよ椎名ちゃん……後終わったらデートしよう」

仮面ライダーオーズ タトバコンボ LV2(2)BP5000(疲労)

チョーター LV3(4)BP4000(疲労)

 

バースト【有】

 

「任せてっ!!でもデートは嫌かなっ!!」

 

 

こんな状況でもモテ欲を忘れないマーズ。ターン終了の間際に椎名をデートに誘う。

 

椎名はそれを断りながらも真剣に目の前のバトルに集中して行く。

 

 

[ターン06]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ2⇨3

《ドローステップ》手札5⇨6

《リフレッシュステップ》

リザーブ3⇨9

トラッシュ6⇨0

 

 

「メインステップっ!!私はブイモンを再召喚っ!!そしてカードをオープンっ!!」

手札6⇨5

リザーブ9⇨5

トラッシュ0⇨3

オープンカード↓

【ディーアーク】×

【マリンエンジェモン】×

 

 

椎名は早速前のターンでライドラモンの【アーマー進化】の効果によって手札に戻っていたブイモンを召喚する。

 

だが、その召喚時効果は失敗。どれも該当するカードではないのでトラッシュへと破棄されて行く。

 

しかし、椎名にとって重要なのはこの効果を使用することであって………

 

 

「ブイモンの召喚時の追加効果っ!!2コスト払い、緑の成熟期スピリット、スティングモンを召喚っ!!」

手札5⇨4

リザーブ5⇨0

トラッシュ3⇨5

スティングモンLV2(3⇨4)

 

 

足音もなくブイモンの横に現れたのは緑のスマートな昆虫戦士、スティングモン。その効果でさりげなく椎名のコアが増えて行く。

 

 

「アタックステップっ!!スティングモンでアタックっ!!コアを増やし、アタック時効果っ!!【超進化:緑】を発揮!!」

スティングモン(4⇨5)LV2⇨3

 

「…………っ!?」

 

 

スティングモンのアタック時効果。それは成熟期のスピリットならば誰もが所有している効果。

 

そしてこのデッキにおいては、椎名のエースを爆誕させる重要な効果である。

 

 

「………スティングモンを進化させ、志向の竜戦士!!パイルドラモンを召喚っ!!」

パイルドラモンLV3(5)BP13000

 

 

スティングモンがデジタルのコードに巻き付けられ、その中で姿形を大きく変えて行く。

 

そしてそれが弾け飛び、中から新たに現れたのは、背中にそれぞれ2枚ずつ生えている青と白の翼に加え、腰に備え付けられた二本の機関銃。赤い兜を被った志向の竜戦士、パイルドラモンだ。

 

 

「ほお、これがパイルドラモン……お前のオーバーエヴォリューションによって現れたカードか……!!」

「そうだっ!!私のエースの1体だっ!!」

「………っ!?」

 

 

剣総はパイルドラモンを見て、また不気味な笑みを浮かべる。その言い草はまるで椎名のパイルドラモンを知っているかのよう………

 

この違和感に気づいたのは司だ。剣総は自分達の持つカードを知らなかった。なのになぜ芽座椎名のカードを詳しく知っているのだ。と、

 

椎名をさらう為に研究して来たと言えばそれまでの話ではあるが、司は何か引っかかるものを感じていた。

 

 

「パイルドラモンの召喚時効果っ!!コスト7以下のスピリット1体を破壊するっ!!」

「………!!」

「私はこの効果でブレイド…………ジャックフォームを破壊するっ!!……デスペラードブラスタァァァァア!!」

 

 

登場するなり、パイルドラモンは腰にある機関銃を持ち上げ、それをジャックフォームに向けて乱射。ジャックフォームの羽と装甲を粉々に粉砕し、爆発させた。

 

 

「アタックステップは継続っ!!行けっ!!パイルドラモンっ!!アタック時効果でボイドからコア2つをパイルドラモンに追加し、ターンに一度だけ回復するっ!!」

「………ほお」

 

「……エレメンタルチャージ!!!」

パイルドラモン(5⇨7)(疲労⇨回復)

 

 

パイルドラモンでアタックを続行する椎名。その効果で鮮やかな色を持つエレメントの力をその身に宿し、パイルドラモンはこのターン、2度目のアタックの権限を得た。

 

 

「そいつはライフで受けるかぁ!!」

ライフ4⇨3

 

 

パイルドラモンの拳は剣総のライフを1つ玉砕した。

 

ーそしてもう一発。

 

 

「二撃目だぁぁ!!パイルドラモンっ!!」

パイルドラモン(7⇨9)

 

「それもライフゥゥ!!」

ライフ3⇨2

 

 

パイルドラモンは今度は反対の拳で剣総のライフを殴り壊した。

 

 

「よしっ!!ターンエンドっ!!」

パイルドラモンLV3(9)BP13000(疲労)

ブイモンLV1(1)BP2000(回復)

 

バースト【無】

 

 

パイルドラモンの勢いを殺さずに、椎名はそのターンをエンドとした。椎名達にとってはいい流れでバトルは進行していると言える。

 

次はまた一周して、剣総のターン。追い込まれている側だと言うのに妙に飄々とターンシークエンスを進行して行く。

 

 

[ターン07]剣総

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ8⇨9

《ドローステップ》手札3⇨4

《リフレッシュステップ》

リザーブ9⇨14

トラッシュ5⇨0

仮面ライダーブレイド[2](疲労⇨回復)

 

 

「メインステップ………俺はブレイブカード、醒剣ブレイラウザーをブレイド[2]に直接合体ぃぃい!!」

手札4⇨3

リザーブ14⇨12

トラッシュ0⇨2

仮面ライダーブレイド[2]+醒剣ブレイラウザーLV2(3)BP10000

 

 

上空から投下される醒剣ブレイラウザー。2番目のブレイドはそれを華麗にキャッチし、二刀流の合体スピリットとなる。

 

 

「さらにマジック!!双翼乱舞!!カードを2枚ドロー!!」

手札3⇨2⇨4

リザーブ12⇨8

トラッシュ2⇨6

 

 

剣総は汎用性の高い赤のドローマジック、双翼乱舞を使用し、その手札を若干ながらに回復してみせる。

 

そして、その引いた2枚を見て、また不気味な笑みを浮かべ……………

 

 

「バーストをセットしてアタックステップっ!!ブレイド[2]で合体アタック!!」

手札4⇨3

 

 

剣総の場にバーストが伏せられると同時に地を駆ける2番目のブレイド、その手には二本の剣が携えられている。

 

 

「ブレイド[2]の効果でワイルドカリスをパクってライフを回復し、ブレイラウザーの効果でチョーターのBPをマイナス5000して破壊っ!!」

ライフ2⇨3

 

「………っ!!」

チョーターBP4000⇨0(破壊)

 

 

2番目のブレイドは再び剣総の手元にあるワイルドカリスの効果を発揮させ、ライフを回復。それと同時に飛ぶ斬撃を放ってマーズの場にいるチョーターを一刀両断した。

 

ーそして、剣総はこのタイミングで呼び出す。プルートや司、雅治に深手を負わした、最強のブレイドを………

 

 

「フラッシュ!!煌臨を発揮!!対象はブレイド[2]!!」

リザーブ8s⇨7

トラッシュ6⇨7s

 

「「………っ!?」」

「………奴だ………」

 

 

この最中、剣総とバトルしていた司だけが理解した。間違いなく剣総はあのスピリットを呼び出すのだろうと………

 

ー2番目のブレイドは立ち止まり、黄金色に輝いて行く。

 

 

「王の力を束ねて現れよぉお!……仮面ライダーブレイド キングフォームゥゥ!!!」

手札3⇨2

仮面ライダーブレイド キングフォーム+醒剣ブレイラウザーLV2(3)BP17000

 

 

そしてその黄金の輝きを弾くように解き放って姿を見せたのは、最強のブレイド、キングフォーム………

 

 

「………な、なんだ、こいつ……今までの奴らと何かが違う…………!!」

 

「煌臨時効果!!手札かトラッシュにある四道カードを5枚まで俺様の手元にぃぃ!!」

手元追加カード↓

【仮面ライダーレンゲル[2]】

【仮面ライダーワイルドカリス】

【仮面ライダーブレイド ジャックフォーム】

 

 

その効果で、剣総はトラッシュにある2枚の四道カードを自身の手元へと置いた。これで、現在、剣総の手元のカードの総数は計4枚。その4枚がキングフォームの力となる。

 

 

「キングフォームのアタック時効果っ!!手元にあるカード1枚を破棄し、回復っ!!………俺様はワイルドカリスを1枚破棄するっ!!」

仮面ライダーブレイド キングフォーム+醒剣ブレイラウザー(疲労⇨回復)

 

 

キングフォームの剣にワイルドカリスのカードが投入される。キングフォームは光を一瞬纏い、疲労状態から回復状態となる。

 

そして、それだけではなく…………

 

 

「さらにさらにぃぃっ!!!相手のスピリット1体をBP13000マイナスし、ゼロになれば破壊するっ!!」

「「………!?」」

「消し飛べぇぇぇっ!!パイルドラモンっっ!!」

 

「……くっ!?パイルドラモンっっ!!?」

パイルドラモンBP13000⇨0(破壊)

 

 

キングフォームの飛ぶ斬撃が椎名の場にいるパイルドラモンを引き裂いた。パイルドラモンはそれに耐えられずに力尽き、大爆発を起こした。

 

 

「っ!!……パイルドラモンが一撃で………」

「これがキングフォームの力よぉ!!!アタックは継続!!先ずはお前からだ!!雑魚一族の末裔!!」

「………!!」

 

 

アタックが継続中のキングフォームで剣総が狙うのは、彼が忌み嫌うバトスピ一族であるマーズのライフ。

 

キングフォームは狙いをマーズに定め、二本の剣で彼に襲いかかる。マーズの場のスピリットは疲労しているタトバコンボのみ、ブロックは不可だ。このダブルシンボルのアタックを受けなければならない。

 

 

「ライフで受けてやるっ!!…………ぐっ、ぐぁぁぁっ!!!」

ライフ3⇨1

 

「……っ!!……マーズっ!!」

 

 

キングフォームの二刀流の一撃が、マーズのライフを一気に2つ切り裂いた。果てしないほどに大きいバトルダメージが彼を襲う。

 

マーズはその痛みに死に物狂いで耐えながらも、自身の伏せていたバーストを発動させる。

 

 

「はぁ、はぁっ…………大丈夫よ、椎名ちゃん………俺のライフ減少により、バースト発動!!アルティメットウォール!!!」

「……!?」

「この効果で、このターン、お前はこれ以上のアタックができないっ!!」

 

 

マーズのバーストが反転すると同時に発生する猛吹雪。それは無理矢理キングフォームを剣総の場へと押し返し、その動きを封じ込めた。

 

これで、少なくともこのターン、剣総は追撃することは不可となった。

 

 

「ちぃっ!!まぁ、良い、ターンエンドだ」

仮面ライダーブレイド キングフォーム+醒剣ブレイラウザーLV2(3)BP19000(回復)

 

BORAD LV1

BORAD LV1

 

〈手元〉

仮面ライダーワイルドカリス

仮面ライダーブレイド ジャックフォーム

仮面ライダーレンゲル[2]

 

バースト【有】

 

 

不満を抱き、剣総は舌打ちしながらも、このターンをエンドとした。次はもう既に満身創痍のマーズ。ここから魅せることはできるのか…………

 

 

[ターン08]マーズ

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ6⇨7

《ドローステップ》手札2⇨3

《リフレッシュステップ》

リザーブ7⇨9

トラッシュ2⇨0

仮面ライダーオーズ タトバコンボ(疲労⇨回復)

 

 

「メインステップ…………俺は仮面ライダーオーズ タジャドルコンボの【チェンジ】の効果を発揮!!対象はタトバ!!」

リザーブ9⇨7

トラッシュ0⇨2

 

「………!?」

「来る……マーズのエース……」

 

 

ようやく本調子になったマーズが発揮させた【チェンジ】の効果。それはオーズ神官だけが所有できるオーズの特別なコンボ。

 

 

「この効果により、トラッシュからアンクをタトバに直接合体するように召喚っ!!」

リザーブ7⇨5

トラッシュ2⇨4

仮面ライダーオーズ タトバコンボ+アンク LV2(2)BP8000

 

 

大量の赤い羽根がひらひらと宙を舞う。その中から現れたのは右手だけの赤い怪物、アンク。オーズのサポートカードの一種だ。

 

それがタトバコンボの右手に憑依して行く。

 

ーそして次は【チェンジ】の入れ替えだ。

 

 

「タトバをタジャドルにチェンジ!!来い!!雄々しく、そして美しい翼を持つ伝説の仮面よ!!」

仮面ライダーオーズ タジャドルコンボ+アンク LV1(2)BP8000

 

 

“タカ!!クジャク!!コンドル!!”

“タ〜〜〜ジャ〜〜〜ドルゥゥ〜〜!!”

 

 

タトバコンボが自身のベルトのメダルを入れ替え、改めてスキャンする。その瞬間、音楽が聞こえて来ると同時にタトバコンボは炎に包まれ、姿形を変えて行く。

 

そしてその炎を弾き飛ばしながら場に現れたのは赤きオーズ、オーズ神官の中でもマーズのみが使用を許されたオーズの統一コンボ、名をタジャドル。

 

 

「………だからなんだ?……強いカードの自慢か?」

 

「自慢だったらこれからたっぷりしてやるぜ!!アタックステップっ!!行け!!タジャドル!!アンクの効果でそのLVを最大にするっ!!」

仮面ライダーオーズ タジャドルコンボ+アンク LV1⇨3 BP15000

 

 

赤き翼を広げ、飛び立つタジャドル。アンクの力でその LVとBPが急上昇する。

 

さらに、タジャドルにはもう1つ効果が備わっており…………

 

 

「タジャドルのアタック時効果!!相手スピリット1体を指定アタックし、回復っ!!」

「………!!」

 

「俺はキングフォームを指定!!勝負だっ!!」

仮面ライダーオーズ タジャドルコンボ+アンク(疲労⇨回復)

 

 

地上に存在するキングフォームに向けて急降下するタジャドルコンボ。そのままキングフォームの二本の剣と自身の炎の拳を衝突させ、取っ組み合いになる。

 

ーだが、

 

 

「馬鹿め!!キングフォームのBPは19000!!!血迷ったか!!!」

 

 

そうだ。キングフォームの方がタジャドルよりも圧倒的にきにBPが高い。このままでは間違いなくタジャドルコンボは競り負け、キングフォームに破壊されることだろう。

 

しかし、当然マーズも無作為に自滅特攻などするわけもなく…………

 

 

「甘いぜブ男!!俺はフラッシュマジック!!秘剣燕返しを使用!!」

手札2⇨1

リザーブ5⇨3

トラッシュ4⇨6

 

「………!?」

「この効果で醒剣ブレイラウザーを破壊っ!!」

 

 

青い斬撃が唐突にキングフォームの横から放たれる。キングフォームと合体している醒剣ブレイラウザーがこれと衝突し、破壊された。

 

これでBPは五分五分。だが、マーズのバトルは甘くはない。特にその相手がブ男なら………

 

 

「さらにフラッシュマジック!!セルメダル!!」

手札1⇨0

 

「………なに!?」

 

「この効果により、タジャドルのBPを2000アップ!!これでキングフォームを超えたっ!!」

仮面ライダーオーズ タジャドルコンボ+アンクBP15000⇨17000

 

 

キングフォームと競り合っているタジャドルコンボの背後から銀色のメダルが投入される。その力を受け、タジャドルコンボはさらにそのBPを上昇させ、とうとうキングフォームを超える。

 

 

「行けっ!!タジャドルっ!!!」

 

 

 

 

 

 

ーだが、

 

 

 

 

 

 

ーだが、

 

 

 

 

 

 

 

ーだが、当然キングフォームは、剣総がこの程度のコンボで倒されるわけもなくて…………

 

マーズを嘲笑うかのように、彼は手元から1枚のカードの効果を発揮させる。

 

 

「はい、残念でした〜〜〜!!……フラッシュ【チェンジ】、手元から仮面ライダーブレイド ジャックフォームの効果を発揮!!タジャドルのBPをマイナス10000する!!」

リザーブ7⇨5

トラッシュ7s⇨9s

 

「なにっ!?手元から【チェンジ】だとっ!?」

「!?」

 

 

剣総のバトルを見てもいなかった椎名とマーズは知らなかった。剣総の配置しているネクサスカードBORADの効果で、本来なら発揮できない手元からの【チェンジ】と煌臨を可能としているということに。

 

そして、それは理不尽にもこの場で再び発揮される。

 

 

「……タジャドルっ!!!」

仮面ライダーオーズ タジャドルコンボ+アンクBP17000⇨7000

 

 

上空から降り注ぐ光の矢。これらは瞬く間にタジャドルの背中や翼に突き刺さり、その力を奪い去る。

 

そして、

 

 

「キングフォームの勝ちぃぃ!!」

 

 

一気にパワーダウンしてしまったタジャドルを見逃すことなく、キングフォームはタジャドルを吹き飛ばし、剣の斬撃をこれでもかと言わんばかりに飛ばす。

 

タジャドルコンボはそれに切り刻まれ、大爆発を起こした。その最中で合体していたアンクが爆煙と共に飛び出して行く。

 

 

「ぶわっはっはっはっは!!!残念だったなぁ!!クソ一族野郎!!!」

 

「くっ………ターンエンド……すまない椎名ちゃん、後は任せた………」

アンク LV1(2)BP3000(回復)

 

バースト【無】

 

「…………任せて………」

 

 

手札を完全に無くしてしまったマーズは悔しみながらも次のターンの椎名に望みを託しながら、そのターンをエンドとした。

 

次は椎名のターン。

 

 

[ターン09]椎名

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ9⇨10

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ10⇨15

トラッシュ5⇨0

 

 

「メインステップっ!!メガログラウモンを召喚っ!!」

手札5⇨4

リザーブ15⇨2

トラッシュ0⇨7

 

「…………出たな……真紅の魔竜………!!」

 

 

地響きと共に椎名の場に現れたのは真紅の魔竜。その完全体の姿、メガログラウモン。巨大な体躯に加え、上部に武装が施されているのが印象的。

 

そして椎名はメガログラウモンを起点に、そのまま呼び出す…………自身が所有する最強のエーススピリットを…………

 

 

「煌臨発揮!!対象はメガログラウモンッ!!」

リザーブ2s⇨1

トラッシュ7⇨8s

 

「…………!!」

「真紅の魔竜よ!!今こそ真紅の聖騎士となりて敵を貫けっ!!………究極進化ぁぁ!!」

 

 

メガログラウモンが赤い光に包まれ、その中で姿形を大きく変えて行く。

 

ーそして現れるわ真紅の聖騎士………

 

 

「真紅のロイヤルナイツッ!!デュークモン!!」

手札4⇨3

デュークモン LV3(6)BP18000

 

「………こいつが………デュークモンか………意外とちんまいのな」

 

 

白い鎧、槍、盾を構えるのは、真紅のマントを靡かせる伝説のロイヤルナイツの1体、デュークモン。

 

これまで幾度となく椎名を救ってきた正に無敵の最強エーススピリットと言うに相応しいだろう。

 

ーそして、今回も救済となるか…………

 

 

「一気に決めるっ!!アタックステップッ!!デュークモンでアタック!!」

 

 

アタックステップに移行し、デュークモンにアタックの指示を送る椎名。そしてこの瞬間、デュークモンのアタック時効果の1つが即座に発揮される。

 

ーそれは並大抵のスピリットならばいとも容易く薙ぎ倒してしまう程の強烈な一撃。

 

 

「デュークモンのアタック時効果っ!!シンボル2つ以下のスピリット1体を破壊っ!!」

「………!!」

「私はこの効果でキングフォームを破壊するっ!!………聖槍の一撃……ロイヤルセェェエバァァァア!!!」

 

 

その右手の槍を構えるデュークモン。その切っ尖から凝縮されたエネルギー弾を発射する。キングフォームはそれに腹部を貫かれ、力尽き、大爆発を起こした。

 

 

「よしっ!!キングフォームを倒したっ!!」

 

 

ーそして、デュークモンにはもう1つアタック時効果が存在する。それはフラッシュタイミングで行える強効果。

 

 

「デュークモンの効果っ!!トラッシュにある滅竜スピリットを回収することで回復するっ!!」

「………!!」

「私はギルモンを回収し、デュークモンを回復させるっ!!……ネクスト・イストリアッ!!」

 

 

デュークモンの効果。ネクスト・イストリアはトラッシュにあるスピリットを手札に回収しつつ、回復する効果を持つ。

 

ー今回もそれが成立し、2度目の攻撃の権限を得られる……………はずだったのだ………

 

 

「………あれ?……デュークモンが回復しない?…………ネクスト・イストリアッ!!…………ネクスト・イストリアッ!!……………えぇ!?どうなってんの!?」

 

 

いつもなら赤い光を一瞬纏い、回復するはずだ。しかし、何故か手札に戻らないギルモン。そして回復しないデュークモン。いくら椎名が技名を宣言してもそれが発揮される気配は一切感じられない。

 

ーそれは、咄嗟のフラッシュタイミングで使用した、剣総の1枚のカードによる影響であって…………

 

 

「おいおい!!俺の場をよく見てみな〜〜」

「………!!」

 

「俺はお前より早いタイミングで、フラッシュ【チェンジ】、仮面ライダーワイルドカリスの効果を手元から使用していたんだよ〜〜〜〜!!」

リザーブ8⇨5

トラッシュ9s⇨11s

 

 

椎名とマーズは周りをよく見て見た。するとそこには黄色で張り巡らされた不思議な空間。これはワイルドカリスが形成した独自のフィールド、これは1ターンのみ形成されるものだが、その間は強力な効果を発揮できる代物。

 

 

「ワイルドカリスの効果ぁ!!このターン、お前らのスピリット効果は一切の発揮は許されないっ!!」

「「!?」」

 

 

デュークモンのネクスト・イストリアの効果が使用できない理由がこれだ。この黄色いフィールドがデュークモンの効果を打ち消していたのだ。

 

 

「よってぇぇ!!デュークモンは回復しないぃぃい!!!」

「………くっ!!」

 

 

このターン、デュークモンとブイモンで計3回のアタックを決め、剣総の全てのライフを破壊する予定だった椎名にとって、このワイルドカリスの効果は予想外極まりないものであった。

 

しかし、デュークモンのアタック自体が無効になったわけではない。真紅のマントを靡かせ、地を駆けるデュークモン。目指すは当然、剣総のライフ。

 

 

「そのアタックは受けてやんよ〜〜〜っ!!」

ライフ3⇨2

 

 

デュークモンの鋭利な槍の一撃が、剣総のライフを1つ貫いた。だが、剣総はこれを待っていた。何よりも待ち望んでいた。

 

ーこれで、自分の【本当のエーススピリット】が召喚できる条件が満たされた…………

 

ーそのカードが、バーストカードが…………勢いよく反転する…………その気配はその時点で最早普通のバーストカードを逸脱しており…………

 

 

「………おめでとう芽座椎名……!!」

「………っ!?」

「お前は俺を初めて本気にさせたぁぁぁぁぁぁあ!!ライフ減少により、バースト発動!!!!」

 

 

気が狂ったかのようにそれの発動を宣言する剣総。そして先ずは手始めと言わんばかりにそのバースト効果が発揮される。

 

 

「バースト効果ぁぁあ!!!俺の減ったライフの数だけ、相手のスピリットのコア1つをボイドに送るぅぅう!!!…………消え去れぇぇ!!ブイモンっ!!」

 

「………っ!?ブイモンっ!?」

ブイモン(1⇨0)消滅

 

 

紫の靄が椎名の場に存在するブイモンを襲う。ブイモンはそれに飲み込まれたまま、再び姿を見せることはなく、消滅してしまった。

 

ーそして、次はバースト効果を持つカードらしく、召喚だ……………

 

 

「最強の切り札よぉぉお!!全てのバトスピ一族をこの世から消し去ってしまえぇぇ!!……召喚っ!!【ジョーカー】!!!」

リザーブ6⇨4

ジョーカーLV2(2)BP12000

 

 

禍々しいドス黒い球体が、剣総の場に降り立つ。それは地面に触れると共に広がっていき、ゆっくりと消滅して行く、ただ、その中のスピリット1体を除いては………

 

緑色の目を持つ黒いスピリット、最早それは仮面スピリットとは言えない………文字通り切り札となる、剣総の本当のエーススピリット、名をジョーカー………

 

 

「………じょ、ジョーカー………だと!?」

「こ、ここまで来てまだこんな奴を召喚するなんて…………」

「あの野郎………まだあんな化け物を………」

 

 

マーズ、椎名、司の順でそう言葉を漏らした。

 

ジョーカー………今までのスピリット達とはわけが違う。そのオーラが少なくともここにいるデュークモンをも遥かに凌ぐと訴えてきているかのようだ。

 

 

「さぁ!!どうするっ!!!芽座椎名ぁぁぁぁあ!!!」

 

「くっ!!………ターンエンドだ」

デュークモンLV3(6)BP18000(疲労)

 

バースト【無】

 

 

最早何も出来ず、椎名はそのまま剣総の場にジョーカーという大きな存在を残し、そのターンをエンドとしてしまう。

 

次はジョーカーを召喚した剣総のターン。その力を遺憾なく発揮させる。

 

 

[ターン10]剣総

《スタートステップ》

《コアステップ》4⇨5

《ドローステップ》手札2⇨3

《リフレッシュステップ》

リザーブ5⇨16

トラッシュ11⇨0

 

 

「メインステップゥゥ!!!ブレイドを再召喚っ!!」

手札3⇨2

リザーブ16⇨11

トラッシュ0⇨2

 

 

剣総は【チェンジ】の効果で手札へと戻ってきていたブレイドを再召喚する。

 

 

「そしてぇぇぇ!!ジョーカーをLV3にアップゥゥウ!!」

リザーブ11⇨0

ジョーカー(2⇨13)LV2⇨3 BP12000⇨26000

 

 

ジョーカーにコアが与えられ、その力をより上昇させる。ジョーカーはそれを証明するかのような奇声をこの場に轟かした。

 

ーそして始まる。恐怖のアタックステップが………

 

 

「アタァックステップゥゥウ!!!ジョーカー!!!!やれぇ!!」

 

 

剣総の指示を受け、アタックの体勢に入るジョーカー。

 

手始めと言わんばかりに、その右手をデュークモンに向け………

 

 

「ジョーカーのアタック時効果ぁぁぁぁぁぁ!!疲労状態のスピリットを破壊して、その効果を得るっ!!!」

「なぁ!?」

「俺様はこの効果でデュークモンを破壊しぃぃい!!ロイヤルセーバーの効果を得るぅぅう!!!!………吸っちまいなぁ!!!ジョーカァァア!!!そいつの全てをぉぉお!!」

 

 

その右手からデュークモンの力をどんどん吸収して行くジョーカー。デュークモンはそれを受け、徐々に徐々にと色が褪せて行く。力を奪われている証拠だ。

 

やがて、デュークモンはジョーカーに全てを吸い取られ、肉体が灰と化し、微弱な風と共にこの場から消え去ってしまった。

 

 

「………でゅ、デュークモン………!!」

 

 

椎名はそんな悲しい声を零してしまう。デュークモンはこれまで椎名の様々なバトルで活躍し彼女を勝利へと導いて来た。

 

その最も頼りになる後ろ姿はもういない………このバトルを諦めたわけではないが、軽く絶望していた。ここからどうやって勝てばいい………どうやってあれを倒せば良い。そう思考を過ぎらせていたのだ。

 

 

「そして!!デュークモンのアタック時効果、ロイヤルセーバーを発揮させるっ!!シンボル2つ以下のスピリット1体を破壊っ!!………今度はお前だぁ!!ゴミ一族!!……アンクを破壊っ!!」

 

「………ぐうっ!!」

 

 

デュークモンの力を奪い取ったジョーカーは右手からロイヤルセーバーを放つ。マーズの場に生き残っていたアンクがそれに貫かれ、破壊されてしまう。

 

 

「そしてこれで終わりだよなぁ!!ゴミ一族の末裔野郎!!!」

「!?」

「ジョーカーで一族の末裔にアタックぅぅう!!!」

 

 

マーズに狙いを定め、走り出すジョーカー………

 

マーズの場にカードはなく、手札もない。極めつけはライフ残り1。打つ手がない。

 

ーこのアタックはどう転がろうと受けるしか他ない。

 

マーズは負けを悟り、椎名の方を振り向くと、

 

 

「椎名ちゃん!!」

「!!」

「君ならできるっ!!きっと勝てるっ!!」

「…………マーズ……」

「死に去らせぇぇ!!」

 

 

ジョーカーが右腕から鎌を発現させる。完全にマーズのライフを切り刻むためだ。

 

ーそして…………それをマーズのライフへと振り下ろした…………

 

 

「だから、だから諦めるなぁぁぁ!!…………う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

ライフ1⇨0

 

「……っ!!……マァァァズゥゥッ!!!!」

 

 

ジョーカーは無慈悲に、それでいてなんの躊躇いも躊躇もなく、マーズの最後のライフを引き裂いた。

 

これでマーズのライフはゼロ。このバトルは強制的にリタイアとなる。

 

 

「マーズ!!……マーズッ!!」

 

 

何度もマーズの名を叫ぶ椎名。

 

あまりのバトルダメージの大きさに、その場でBパッドとデッキごと倒れてしまい、動かないマーズ。もちろん死んでなどいない。プルートと雅治同様、気を失っているのだ。

 

 

「あ〜〜あ、本当にこれで終わっちまったよ〜〜………少しくらいは抵抗したらどうだよ、このカードだけのゴミ一族が………」

 

 

力尽き、倒れたマーズを憐れむような目で見つめる剣総。「ゴミ一族」と銘打って悪態をついてくる。

 

いくら………

 

いくらなんでも許されることではない。

 

いくら自分が昔バトスピ一族に弄ばれ、カードの力の差を思い知らされたとはいえ………他の………関係のない者達をここまで追い込むのは、どう考えても歪んでいるし、許されることではない。

 

ーそして、剣総の悪行はまだ続く………

 

 

「やっぱ………お前らみたいなクズは………この俺に葬られるべきだよなぁぁあ!!!」

「………っ!?」

 

 

剣総の場にはまだ回復状態、つまりまだアタックが可能なブレイドが残っている…………

 

剣総はまだアタックを続けるつもりだ。それも最早ライフが尽きた…………マーズに………

 

椎名も不思議とそれを悟り、感じ取った。

 

 

「………アタックだ………ブレイド………アタック対象は…………あのクズ一族!!!」

「やめろぉぉぉぉお!!!!!」

「あの野郎っ!!」

 

 

剣総の指示を受け、剣を強く握りしめ、地を駆けるブレイド………目指すはマーズ………あの状態であのバトルダメージを受けて仕舞えばひとたまりもないに違いない。

 

 

「さぁ!!死ねぇ!!ゴミ一族!!クズ一族!!!お前らはこの世に存在してはならないんだよぉぉお!!!!!」

 

 

椎名と司の叫びも虚しく、走るのを一切やめないブレイド。そしてその剣の切っ先をマーズへと向け、今にも振り下ろそうとする。

 

 

「なんで…………こんなことするんだよ…………同じ人間なのに………っ!!………なんでっ!!!」

 

 

椎名はその剣総のイカレ、狂った様子に、心から怒りの感情が込み上げてくるのが感じた。それはどうしようもなく、かつ、途方も無い苦しい感情であった…………

 

普通の、ごく普通の人間ならば、この時、その怒りが込み上げてくるだけで終わりだ。この状況はどうしようもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーだが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーだが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーだが、椎名だけは違った……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………っ!!」

 

 

 

この時、この瞬間、刹那…………椎名の中で何かがはち切れ、理性が吹き飛んだ…………………………

 

何か、身体の中にあるとんでもない何かが解き放たれたような、そんな感覚。

 

やがてそれは彼女の全身の血液を隈なく走り回り……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー今…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー椎名が………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー進化を超える……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グゥゥゥ……………………ガァァァァァァァァア!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

 

その突如として放たれた獣のような雄叫びはブレイドの攻撃を止めるには十分すぎるものだった。その手はピタリと止まり、目の前の【何かの】恐怖のあまり、剣総の場へと後ろジャンプで後退り、元に戻る。

 

司と剣総はその咆哮の音が聞こえた方へと振り向いた………………

 

 

「………め、めざし?………」

 

 

司が半信半疑のような疑いのある声をかけた。それもそのはず、あまりの変貌ぶりに、そこにいた人物は本当に芽座椎名なのかと疑わずにはいられなかった。目の前のことが受け入れられなかった。

 

しかし、それは確かに椎名本人だ。だが、明らかにいつもの様子とは違う。顎前まで牙が生え、澄んだ青色だった瞳は真紅の色に変わり、赤黒いオーラをその身に纏っている…………………

 

そして何より…………【アホ毛だった部分が硬質化し、外骨格を形成していた】……………

 

ーその外見はまるで【一本の大きな角】

 

 

「………な、なんなんだ!?……なんなんだぁ!?お前のその姿はぁ!!!………はっ!!?!」

 

 

剣総はその変わり果てた椎名の姿を見て……………

 

1つだけ思い出した。それはここに来る少し前、【銃魔】が口にしていた言葉だ……………

 

ーそれは………

 

 

ー『………【鬼】には気をつけろよ……』

 

 

彼は確かにあの時、そう言っていた。

 

 

ー【鬼】

 

それは誰もが知る日本の列記とした空想上の怪物………

 

椎名の今の姿はまさしくそれに該当すると言っても過言ではなかった……………

 

今、剣総は少しだけ、【Dr.A】が何故この少女にここまで拘るのかわかった気がした。

 

 

 

 

「ガァァァァァァァァアァァア!!!!!!!!!!」

 

「ま、まさか、お前が………【鬼】……なのか……!?」

 

 

 

理性が吹き飛んだ椎名が咆哮を上げる。ただそれだけでジャングルの木々がざわめき、地が震撼する。

 

 

ーこれは、

 

ーこの現象は、これからの椎名達のストーリーに大きな影響を及ぼすこととなる。

 

ーまた、それが、このストーリーの鍵を握ることになる………………

 

 

ーその名は…………【鬼化】

 

 

 

 




〈本日のハイライトカード!!〉

椎名「本日のハイライトカードは【ジョーカー】!!」

椎名「ジョーカーはバーストを持つスピリット!!コアをボイドに置く効果と、アタック時に、相手のスピリットの効果を奪う効果を発揮するよっ!!」


******


ー次回、バトルスピリッツオーバーエヴォリューションズ、「鬼化、地獄の魔竜メギドラモン!!」……今、椎名が進化を超える………


******


最後までお読みくださり、ありがとうございました!!

銃魔の【鬼】の台詞については第54話の最後で発言していますので、参考程度に………

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