第63話「スピリットアイランド」
「こ、……ここが、スピリットアイランド!!…………………す、すっごぉぉぉおおいい!!」
「ちょぉ!!恥ずいわ!!静かにせんかい!!」
【芽座椎名】【赤羽司】【緑坂真夏】【長嶺雅治】【紫治夜宵】の5人は、今、近未来のような背景の街並みにいた。
しかし、ただ単に近未来と言っても………
多くの龍が猛々しく吠え、多くの悪魔が微笑みながら佇み、多くの獣達が群れを成し、多くの機械兵が配列を組み、多くの天女や天使達が宙を舞い、多くの巨人達が人々と共に歩みを進めている。この、まるでファンタジーのような光景は、椎名が興奮してしまうには十分過ぎる事であると言える。
【スピリットアイランド】
それはハワイ島近辺に設立された人工島のことである。
そこには人の科学の全てが積み込まれており、最先端の技術を楽しむことができる。そして何より、それらを活かし、多くのスピリット達の実体を召喚できることから、特にカードバトラー達にとっては楽園とも呼べる存在である。
ここに住む人々………そのほとんどがこの島で働いている科学者や整備士達の親族だが、彼らはその実体のあるスピリットと共に平和に暮らしている。
「まっさかあのスピリットアイランドに来られることがあるなんてなぁ〜〜!!これは椎名達にホンマ感謝やで!!」
「いや〜〜礼なら理事長に言ってよ!!」
真夏がそう言い、椎名がそう言い返した。
通常、スピリットアイランドに招かれる事など殆ど無い。何しろ、最先端の技術を有しているのだ。島に来るだけで相当な費用と実績が必要になるし、セキュリティも厳重である。日本の最高峰のバトスピ学園であるジークフリード校の生徒と言えども、このスピリットアイランドに招かれる事は一部の例外を除いて殆どない。
そんな中何故、椎名達はこのスピリットアイランドにいるのか…………
それは約一週間前の話まで遡る……
******
「【アイランドリーグ】??」
「そうだ。そこに君達2人が招待されている」
ここは学園の理事長室。張り詰めたプレッシャーと重たい空気が流れるこの中に、椎名と司の2人はそこに佇むジークフリード校理事長、【龍皇竜ノ字】に呼び出され、ある島に行けとお達しをもらっていた。
それが【スピリットアイランド】だ。そしてそこで行われる世界的に有名なバトル大会、【アイランドリーグ】への参加資格の招待状をもらっていた。
「【スピリットアイランド】……君らも名前くらい聞いたことがあるだろう」
「……ん?………スピリットアイランドって何?」
「……黙れ」
「いや、知らないんかい」
椎名が横にいる司に聞くが、司は相変わらず無愛想な表情のまま椎名を黙らせる。
【スピリットアイランド】別名カードバトラーの楽園とも言われている場所は、とても有名な観光地、及びリゾート地の1つだ。今では誰もが知る有名な土地だが、椎名は知らなかった。田舎者故の事と、勉強不足だ。
「まぁ、ハワイにあるリゾート地みたいなものだと思っててくれよ………そこで君達【界放リーグ】の成績上位者2人に、【スピリットアイランド】で行われる大きな祭典【アイランドリーグ】への招待状が届いたんだ。毎年世界中から強豪が集まる大会に選手として選ばれる…………これは実に名誉あることだ。私としては鼻が高くなれるし、是非とも君達に参加して欲しい」
「……毎年……世界中から……強豪………楽しそうっ!!やります!!出ます出まぁすっ!!」
簡易ながら、【アイランドリーグ】の本質を理解した椎名は勢い良く挙手で、と言うか手をブンブン上に振り回しながら参加をアピールする。
「おぉっ!!それは頼もしいな!!……赤羽君はどうかね?」
龍皇は司に目を向ける。司はほんのわずかな時間だけ瞳を閉じ……考え……そして……
「…………わかった……俺も出よう」
「よっし!!そうこなくっちゃ!!」
司も未だに冷徹で鉄仮面な表情を崩さないものの、一応、それを承諾。彼なりに何かを考えがあっての参加か………
どちらにせよ今この場にいる椎名と龍皇にはわからぬこと…………
………2人の参加が決定し、歓喜する龍皇。当然だ。学園からあの【アイランドリーグ】に参加するなど前代未聞の事柄。その学園の理事長ならば喜んで当然。他の理事長達にも自慢できるし、鼻が高くなれる。
そして、龍皇の口から溢れた言葉と、椎名、司への贈り物は、自分なりのほんの細やかなプレゼントだ。
「………ところで……君らは友達は多い方かね?」
「ん?……結構いますよ〜〜!」
突然の理事長からの質問。
椎名の言葉を聞いて、龍皇も口角を少しだけあげ………
「そうか!!それは良かった!!実は今、個人的に【スピリットアイランド】のチケットを3枚分所持してるのだが、君らで他の誰か3人を連れて行ってあげたまえ!」
「……っ!?」
そう言って、龍皇は懐からスピリットアイランドのチケットを取り出し、椎名に手渡した。スピリットアイランドのチケットなど、普通は買える代物ではない。多くの財が存在する学園の理事長であるからこそ手に入れることができるものだ。
「おおっ!!真夏達を誘えるじゃん!!……ありがとうございます!!……てか、なんでこんな物持ってたんですか?」
「え?……あ〜〜……まぁ、私からの感謝と激励の気持ちと思って貰ってくれ………」
「おお〜〜マジっすか!!理事長ってば、太っ腹っすね!!」
そう椎名と言葉のキャッチボールを交わす龍皇だが……
実際は感謝の気持ちでも無ければ激励の気持ちとも違う………言えなかった。
何故ならそれは、そのチケットはちょうど1年前、【界放リーグ】でキングタウロス校理事長【大公獅子】との賭け事に敗れ、罰ゲームのような感覚で買わされたものだからだ。
本来ならば、大公獅子の家族一同が出向く予定であったものの、【デスペラード校理事長】の不在、及びそれによって伴った【デスペラード校の破綻】により、他の5つの理事長達が多忙を極めてしまったため、それは不可となり…………
こうして椎名達の手に渡った………という訳だ。
かくして、椎名、司、雅治、真夏、夜宵の計5人はカードバトラーの楽園、スピリットアイランドへと赴いたのだった。
******
そして、再び時は戻り、現在。
「はっはっは!驚いたかな?」
「もうやばいですっ!!感激です!!」
椎名達5人と共にいるのは、この島の総責任者、そして彼らの案内役と説明役を担っている【功 宗二(こう そうじ)】博士…………今年で40となる中年男性だ。その見た目、容姿は研究に没頭している証拠か、目の下にはくまができ、口周りの髭は伸びっぱなしだ。
「テレビでしか見たことなかったですけど、こうして見るとやはり壮大ですね!」
「はっはっは!そう言ってくれて嬉しいよ」
雅治がそう言い、宗二はそれを嬉しく思い、また笑った。
「博士ぇっ!!私達もスピリット召喚できるんですかぁっ!!」
「……おっ!あぁ、できるとも!!」
椎名が右手を大きく挙手しながら元気な声でそう言った。
宗二は意外にもあまり知られていない【スピリットアイランド】でのスピリットの召喚方法を椎名達に説明して行く。
「………スピリットを実体化させるのは簡単。………このスピリットプロテクターにカードを入れるだけだよ……………見てみてね」
宗二はそう言いながらも懐から一見なんの変哲も無いカードプロテクターを取り出す。
そしてそこに同じく懐から取り出したカードを1枚椎名達5人に見せるように収入……………すると、
「召喚!!【ベアモン】!!」
カードプロテクターがその中に収入されたカードごと消滅したかと思うと、宗二の目の前に小型グマのような赤の成長期スピリット、【ベアモン】が召喚された。
「おおっ!!」
「すごい………本物みたい……」
「はは、ほぼ本物だよ。召喚されたスピリットは当然質量を持ち、このように触れることができる」
そう言いながら、宗二は目の前のベアモンを両手でしっかりと触れ、持ち上げる。
そう、これは本物に限りなく近い。今まで椎名達が行ってきたバトルで召喚されたスピリット達は立体的ではあるものの、飽くまで映像であるため、実体は持たない。しかし、この【スピリットプロテクター】は違う。【バトルでは応用されたことは無い】が、確かに今、椎名達の目の前にスピリットが存在していた。
「今回、この【アイランドリーグ】が終わるまで君達にこの【スピリットプロテクター】を1枚ずつ渡しておこう………どうぞ」
「おおっ!!ありがとうございます!!」
椎名達5人は宗二からプロテクターを1枚ずつ手渡された。これでこのスピリットアイランドにいる間はいつでもどこでも自分の持つスピリットカードを実体化で召喚することができる。
5人の中でも特にその目を輝かせていたのは椎名だ。
「い、入れてもいいですか?」
「あぁ、どうぞ」
真っ先に椎名は宗二にそう聞いた。宗二としても断る理由はない。純粋な椎名に優しい笑顔を向けながらそれを承諾した。
椎名はデッキから1枚のカードを引き抜き、そのプロテクターに入れる。それは椎名が先ず1番に触れたいスピリットだ。
「ブイモンを召喚!!」
椎名が召喚したのは青く、そして小さな竜、ブイモン。今まで椎名のバトルに数多く登場し、デッキのエンジンのような役割を担ってきた大事な成長期スピリットだ。
「………ぶ、ブイモン………」
椎名は恐る恐る目の前に召喚されたブイモンに近づいていき、背丈を合わせるために膝を曲げ、態勢を低くする…………
その手をブイモンの頭の上へとそっと置こうとした…………
普通ならばすり抜ける。普通のBパッドで召喚したものならば。
忘れもしない。何も知らなかったジークフリード校の入試試験の日………召喚されたブイモンに興奮し、触ろうとしたらすり抜けた手を……また、その感覚を………
だが、今回は違った………
「さ、……触れるぅぅう!!!」
触れた。感触がある。若干毛があり、暖かい。
椎名はあまりの喜びに撫でるだけでは終わらず、ブイモンをそのまま抱き寄せた。ブイモンも椎名に触れられてそうされて嬉しかったか、幼い口角を上げ、笑っていた。
椎名の夢の1つが叶った瞬間だった。雅治達もその様子を微笑ましく眺めている。
「はっはっは!喜んでくれて良かったよ!……それじゃ、私はこれで、明日のアイランドリーグの準備があるからね〜〜」
「あっ!!ほんま、ありがとうざいました!!」
「ありがとうございました!!」
宗二とて多忙である。椎名達に付きっ切りというわけにも行かない。特に明日は島の総責任者として監修に回らなければならない。時間的に椎名達と付き合えるのも限界である。
「それじゃ、今日1日はゆっくり楽しむといいよ……椎名ちゃん。司君………明日のリーグ予選、頑張ってね」
「はいっ!!精一杯頑張ります!!」
「………ふんっ」
最後にそう言い残し、宗二はこの場を去っていった。
【アイランドリーグ】は明日、詰まる所それまでならば自由にこの楽園を満喫しても良いということになる。
「ほな、私はリリモンでも召喚しょかな?」
「じゃあ私はレディーデビモンを………」
「僕はアンキロモンかな〜〜」
真夏、夜宵、雅治がそれぞれ自分の召喚したいスピリットの名を述べる。
「椎名ちゃんは他に何を召喚したい?………あれ?」
夜宵がブイモンと戯れている椎名の方へと首を向ける。しかし、彼女の姿はブイモン諸共消え去っており………
「椎名いないね?………まさかまた迷子?」
雅治がそう言った。椎名は極度の方向音痴。目を離した隙に忽然と消え去ることも多い。
「あぁ、どうせ今頃………」
真夏は今、椎名が何をどうして何をしているのかを理解している。まぁ、迷子になるという点は結局変わり得ないのだが、
「ま、後で迷子センターに行けば会えるやろ」
「そうだね!!………じゃあ、司ちゃんはぁ!私とデートでもする?…………あれ?司ちゃんもいない……」
椎名の話は一旦終わり、夜宵はさっきまでいたはずの司の方を向くが、司も椎名同様、姿を忽然と消していた。
「ほんまや、どこいったんやあいつ………」
「…………最近……っていうか、修学旅行終わってから司ちゃん、変だよね………いつもはなんやかんやで一緒にいてくれるのに……」
夜宵は感じていた。司との距離感を、そしてそれがまた遠ざかっているのを………彼の態度は明らかに他のメンバーを遠ざけていた。これは、今現在、彼が1人である大きな悩みを抱えていることが理由に挙げられるが、今の夜宵達にそれを知ることは不可能なことで……………
「………まぁ、あいつ不器用だから、そっとしとけばそのうち機嫌も良くなるよ」
雅治が夜宵にそう言った。不安な彼女の心を拭うために………
雅治とて、感じている。司との距離感………
あの時から、雅治はなんとなく司がなんでああなっているのかわかっていた。
おそらく【何かを見たのだろう】あの【修学旅行で】【あのバトルの後で】…………司だけが何かを知っているのだろう………と。
******
一方その頃、椎名はと言うと………
「よっしゃぁぁぁあ!!!いっけぇ!!ライドラモン!!!」
ライドラモンの背にまたがり、凄まじい勢いでテーマパークのような街並みを疾走していた。野生のスピリットが自由に闊歩するこの島に公約違反は存在しない。が、故にほぼ自由である。それはこの島自体の厳重なセキュリティあってのこと………
ライドラモンの背に乗って走る。これもまた椎名の夢の1つであった。
しかし、ライドラモンも気分が乗ってきたか、気高く吠えたかと思うと…………
「ん?あれ?ちょっとライドラモン!?……そこは危なぁぁぁあいい!!!」
ライドラモンは空中を蹴るように大ジャンプ。そして上空を飛翔する赤いドラゴンの背を飛び越えてはまた飛び、飛び越えては飛びを繰り返し、上空高く飛び上がった。
しかし、そのまま自由落下し、落ち行く椎名とライドラモン。
「………っ!?」
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
椎名は落下した。ライドラモンと共に、【ある少年】の目の前で、ライドラモンは無事着地するが、椎名はその勢いでライドラモンの背から放り出されてしまう。
「………いったたた……頭打った〜〜」
少々はしゃぎすぎたか、調子に乗りすぎていたことを瞬時に反省する椎名。額にできたこぶがヒリヒリして痛い。
………そんな時だ。
「………お姉さんもしかして………」
「ん?」
「芽座椎名!?……あの第9回界放リーグで1年生だったのに3位になった!!」
「……え?……あぁ、そうだけど……」
「やっぱり!!」
椎名に声をかけてきたのはまだ10にも満たないであろう少年。情報通なのか、やけに界放リーグや椎名の事に詳しい。
「凄い!!凄いよ!!僕は【功 流異(こう るい)】って言います!!サインください!!……服にでっかくお願いします!!」
「お、おぉ、まぁお安い御用だよ」
椎名は流異の勢いに乗せられながらも彼の来ている白パーカーにデカデカとサインを書いた。界放リーグで活躍して以後、この類の依頼は増えていたのでお手の物ではある。
「よしっ!!と、これでいいかな?」
「わぁっ!!ありがとうございます!!」
書き終わり、椎名がペンをしまう時だった。流異が椎名の側にいたライドラモンに目がいったのは………
「こ、これが椎名さんのライドラモン!!かっこいいな〜〜」
気高く吠えるライドラモン。黒いボディ、稲妻を模した鋭角な角。少年が見惚れるのは十分過ぎるパーツである。そんな流異の様子を見た椎名は…………
「スピリット好き?」
「うん!!大好きだよ!!僕も大きくなったらかっこいいカードバトラーを目指すんだ!!」
「……ふふ、かっこいいカードバトラー……か」
流異の示した自分の夢に、椎名は少しだけ笑った。別にバカにしているわけではない。自分と全く同じ夢だったからである。
そんな椎名は張り切って…………
「よしっ!!………だったら………今回は大サービスだ!!」
「?」
椎名はその場で自身のBパッドを展開する。対戦するバトラーは目の前にはいないが、それで構わない。今回はただ、見せるだけだ。自分のスピリット達を………夢の大きなこの少年に…………
「召喚!!……ブイモン!!ワームモン!!エクスブイモン!!スティングモン!!フレイドラモン!!マグナモン!!パイルドラモン!!ギルモン!!グラウモン!!メガログラウモン!!デュークモン!!」
大量にスピリットが展開される。それは今まで椎名のバトルを支えてきた有力なスピリット達。弱い強い関係なしに、椎名が大好きなスピリット達。その様子はまさに圧巻の一言である。
「………わ、わぁっ!!か、かっこいいっ!!」
これを見て心踊らない人などいるのだろうか。
少なくとも目の前にいたこの流異は軽く感涙するほどに心を惹きつけられていた。今、自分の前にいるスピリット達は幾千もの戦いを経験した魂のデジタルスピリット達…………自分もいずれこんなスピリット達を引き連れ、かっこいいバトラーになりたい……いつかこうなりたい。と、夢見ている。
「へへっ!!どうよ!!」
「凄い!!界放リーグではいなかったスピリットもいる!!」
大興奮の流異。
しかし、椎名はここで流異に対する1つの疑問を投げかける。それはごく当たり前の事であって………
「そういえば……流異君……だっけ?こんな広いとこで1人なの?大丈夫?」
そう、ここまで広い街なのだ。子供1人で出歩くにはいささか厳しいものを感じる。実際、周りには子連れの家族も多く、この流異だけが1人でいるのは不自然に感じていた。
「あぁ、僕のお父さんは研究で忙しいし……僕、病気持ってるんだけど、この街はこうして外に出ると色んなスピリットと出会えるから、こうして歩いておきたいんだ〜〜」
「……………そっか」
その流異の声はどこか遠くを見つめているような……一見明るいが……寂しい声……
なんか悪い事を聞いてしまった気がする椎名。
彼女は名前を忘れてしまって一致していないようだが、流異の父親は【功 宗二】……この島の総責任者だ。彼は何とかして流異の病気を治そうと必死だ。それもこの島の管理やスピリット達の研究もしなければならないのだから尚のこと忙しく、多忙を極めている。
母親も同じ病気で他界してしまったため、どうしても今は流異1人なのだ。
………捨て子で……1人が辛い事を誰よりも理解している椎名は………
「よしっ!!今日は私と遊ぼう!!めいいっぱい!!」
「え?」
「今日一日、暇だからさ私!!遊ぼう!!ライドラモンの背中に乗る?メガログラウモンの肩でもいいな!!」
勝手に遊ぶと言い出し、口が止まらない椎名。そんな彼女の凄まじい勢いにたじろぐ流異。
「いや、悪いですよ………あなたがここに来ているって事は、【アイランドリーグ】に参加されるんでしょう?……その準備とか……」
「いいのいいの!!私直感派だから!!……後、あなた、とか、椎名さん……じゃなくて……お姉ちゃんと呼んでよね〜〜!!」
「えぇ!?」
「さぁ!!一緒にスピリットの背に乗ってこの島を探検しようじゃないか〜〜!!」
椎名はそう言いながら、スピリットプロテクターからライドラモンのカードを抜き取り、代わりにメガログラウモンのカードを入れる。これにより、ライドラモンに代わってメガログラウモンが質量を持ち、実体化する。
椎名は半ば強引に流異の手を引き、一緒にメガログラウモンの肩へ乗る。
「よっしゃぁ!!行けぇ!!メガログラウモン!!」
「わわっ!!」
椎名の指示を聞き、大きな咆哮を上げながら、そして重たい体を揺らしながら走り出すメガログラウモン。
「……す、すごい…………」
メガログラウモンの肩の上で………
流異は感動していた。心が震撼していた。
そこから見える光景に………
スピリットと一体となって走っているかのようで………
「へへっ!!楽しいでしょ?……先ずはどこへ行こうか?……まぁ、多分私道に待ってるんだけどね〜〜」
「え?」
椎名は最初にライドラモンの背に乗って走ってた時点でなんとなく気づいていた。また無自覚に迷子になっているということに…………
しかし、それでも2人は日が暮れるまで遊びに遊んだ。それは一生の思い出になるには十分過ぎるものだった。
流異は………
今日という日を忘れる事はないだろう。
憧れの芽座椎名と一緒に遊んだこの日を………
幸せな時を刻んだこの日を………
そして……
【明日という日】も忘れる事はない………………
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ここは同じスピリットアイランド…………
しかし、明るいテーマパークのような街並みとは違い、ここは薄暗い路地裏。もともと人の人口が少ないことも相まって、なかなか人が寄り付かない………
そんな中でただ1人、自分のデッキを手に持つ人物が1人…………朱雀こと、赤羽司だ………彼は何を思うのか、そのデッキをただ強く握りしめていた…………
「【アイランドリーグ】…………明日………見せてやる………めざし……俺とお前の実力の差を………俺の方が上であると……証明してやる……!!」
そう言いながら…………感情を滾らせ……
またデッキを固く、強く握りしめた。
彼は明日……バトラーの楽園、スピリットアイランド……そこで行われる世界規模の大会……アイランドリーグで決着をつけるつもりだ………最大のライバルである芽座椎名と………
彼女に勝つことができれば………
又は自分の方が上、強い事を認識できたら……
……このなんとも言えないむしゃくしゃした気持ちは……
……きっと晴れる……
この時司はそう考えていた………
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ここは………
……また別の場所……
……しかし、同じ時が流れ、同じ島に存在している。
地下なのだろうか、路地裏以上に暗く……薄気味悪く、それでいて邪悪で禍々しい部屋で……
ある2人の男性が対峙していた。1人はこの島の総責任者【功宗二】……そしてもう1人は覆面を被った老人………
「本当に……息子の病気を治してくれるんですね!?……」
切羽詰まったように言い草でその覆面で高齢の男性に詰め寄る宗二………
……息子とは……流異のことだろうか……
そんな様子を見て、覆面の高齢男性は………
「あぁ、明日、君が協力してくれたらね……」
「しかし、そんなこと上手くいくのか!?……意図的にできることではないはずだ!!」
「………なぁに、心配する事はない………必ず、【彼ら】なら勝ち上がるさ………ギッヒッヒッヒ!!」
覆面の高齢男性は不気味な笑みを浮かべながら、それでいて君が悪い声を上げ……鼻を高くし、笑った。
もはや言うまでもないが……彼は【Dr.A】……今、
この時点での物語においては殆どが謎に包まれている存在………
翌日…………
様々な思いが交差する中………カードバトラーの楽園、スピリットアイランド……そこで行われる【アイランドリーグ】が幕を開ける………
〈本日のハイライトカード!!〉
椎名「本日のハイライトカードは【メガログラウモン】!!」
椎名「真紅の魔竜、その完全体の姿であるメガログラウモン!!肩の上に乗って走ってもらうと意外と楽しいよ!!」
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〈次回予告!!〉
椎名「いや〜〜なんとか迷子復帰できましたよ〜〜!!」
真夏「ほんとお騒がせやな……あんたは……」
椎名「ごめんごめん!!でも、アイランドリーグは絶対に勝つからさ!!真夏も見ててよね!!」
真夏「ほいほい、その前に地下の予選で勝たんとな!!……ほれ、さっさと行ってきぃや〜〜!」
椎名「次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ、「地下予選、復活のエンペラー!!」……今、バトスピが進化を超える……!!」
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最後までお読みくださり、ありがとうございました!!
新章開幕です!!これからも全力で駆け抜けていきます!!
※毎度ながら、次回のサブタイは変更の可能性もあるのでご了承ください。