バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

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第65話「椎名VS花火!?ブラックウォーグレイモンの脅威!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

【アイランドリーグ】……

 

……その開催地【スピリットアイランド】にある大きなバトルスタジアム。そのサイズは界放リーグが行われた中央スタジアムよりも数段上回る。

 

今日、午前9時の時間帯にもかかわらず、そこには【スピリットアイランド】中に住まうほとんどの人々がそこを埋め尽くすように集まっていた。

 

その中には今日の祭典を見たいがために、来ることさえ困難な【スピリットアイランド】に遥々来日したという人も少なくないだろう。

 

そんな【スピリットアイランド】の熱狂が1つに纏まる日………それが今日、【アイランドリーグ】なのだ。

 

 

「………………」

 

 

そんな中、個人の選手控え室で………

 

デッキを調整しながら芽座椎名は考えていた。と、言うよりかは思い出していたが適切か………

 

それは早朝の予選に起こった出来事の事であり…………

 

 

******

 

 

「ふっ、久しいな!!芽座椎名っ!!」

 

 

キバーラ三世と激しくぶつかり合った予選の決勝、その戦いが椎名の勝利で終了した直後、彼女に話しかけてきたのは、あの【吸血一族】の跡取りで知られている【エンペラー】こと、【吸血堕天】だった。

 

 

「因みにだ、……俺はBブロックの代表になった………お前とのバトル、心待ちにしているぞ……!!」

 

 

そう言いながら拳を強く固めた吸血。そのそぶりや言動はあの【吸血一族】のものとは到底思えない。

 

【吸血一族】と言えば、差別的な教育が行われており、バトスピ一族以外の者を下民や、愚民と称し、侮蔑する。

 

だが、今の吸血堕天はどうだろうか………

 

吸血一族の者がバトルを楽しみにしているなど言うことなど先ず無い。

 

………椎名は噂で吸血堕天は変わった。と、聞かされてはいたものの、まさかここまで変化があるとは思ってもいなかった。まるで人が違う。キャラ崩壊の域に達している。

 

彼もまた、仮面スピリットのようにチェンジした言うべきか…………

 

 

「あぁ!!私も楽しみにしてるよっ!!吸血先輩!!」

 

 

あの時、椎名はそう返しただけだった。

 

しかし、嬉しく思っていた事だろう。最初彼と出会った頃は、【芽座葉月】に似ていて冷たいバトルをする奴だと思っていた者が、今ではバトルを今か今かと楽しみに待ち惚けている。

 

ほんのかすかに頭の中をよぎった事なのだが、椎名は【葉月も絶対に変われる】………そう感じた。あの【吸血一族】の【吸血堕天】がここまで劇的に変われたのなら……………間違いなく…………

 

また葉月た楽しくバトルできる日が来る………そう思った。

 

 

******

 

 

時間は再び巻き戻り、アイランドリーグ会場………

 

 

《レディースアーーンド…ジェントルメン!!………さぁ!!スピリットアイランドに住まう全ての人々よおっ!!熱狂し、発狂しなぁ!!……今日は第6回、アイランドリーグの幕開けだぁ!!》

 

 

とどまることを知らない人々の歓声の中、特別席でマイクを片手に大きな声を上げるのは、アイランドリーグの若き実況者。

 

数千を超える人々がそれに返事をするようにまた轟音のような歓声を上げた。

 

因みに、その会場の観客達の中には真夏、夜宵、雅治の3人の姿も見える。3人は椎名と司の活躍を今か今かと楽しみに待っている。

 

 

《早速行くぜぇ!!今年の参加者はこのメンバーだぁっ!!》

 

 

実況者が頭上にある巨大な電子掲示板を指差す。すると、その電子掲示板に今年のアイランドリーグ参加者の選手名が記載されていく。

 

他の選手達はその電子掲示板を中継のモニター越しで視認する。

 

大会はトーナメント制、電子掲示板に映し出される図形は当然トーナメント表である。AからHブロックより勝ち上がった計8人でしのぎを削る。【芽座椎名】【赤羽司】【吸血堕天】は当然ながら入っている…………しかし、

 

その瞬間。椎名は見逃さなかった。その8人のうち1人にはとんでもない人物の名前が記載されている事を………

 

 

「え…………えぇ!?………一木花火さぁぁぁぁん!?」

 

 

驚きのあまり並べていたカードを吹き飛ばしてしまうほどにその場で飛び跳ねてしまう椎名。

 

そう………そこには椎名の目指す存在であり、彼女の担任、空野晴太の師でもある屈指の人気と実力を持つプロバトラー【一木花火】の名であった。彼の強さなら確かにこの大会に招集されてもおかしくはないが、多忙を極めている事もあって、出場までしたのは意外である。

 

しかも………しかもだ………

 

 

「………1回戦……1戦目で………私とじゃん!!」

 

 

驚く事はまだまだ続く。なんと、椎名の1回戦の相手はその一木花火だったのだ。それも1戦目。すぐさまバトルが始まるため、椎名はデッキとBパッドを手に持ち、スタジアムのバトル場へと赴くのだった。

 

 

******

 

 

《よっしゃぁ!!行くぜぇ!!今年の初戦はなんとも豪華だぁ!!いつも以上になっ!!以上に!!》

 

 

少々独特だが、実況者による開会宣言が始まる。1回戦で戦うバトラーの名前や経歴等を読み上げていく。

 

 

《先ず1人目ぇ!!昨年!!ジャパンのバトスピ激戦区と呼ばれる界放市に新星のごとく現れぇ!!そこで行われる祭典、界放リーグでその圧倒的なドローセンスを活かしぃ!!数々の強敵を薙ぎ払った驚異のスーパー学生!!しかもお顔もキュート!!………ジークフリード校2年!!芽座椎名ぁ!!》

 

 

実況者がそう言うと、スタジアムの壁からやる気十分な椎名が姿を見せる。観客達もそれを見るなりまた轟音のような歓声を上げた。

 

 

「おっ!!来よった!!」

「椎名ちゃあん!!頑張れぇ!!」

「相手が一木プロやからって手ェ抜くなよぉ〜!!」

 

 

観客席にいる真夏と夜宵がそう椎名にエールを送る。これだけ大勢の人達がいるのだ。当然ながらその声は聞こえない。

 

………と、そんな時だった。真夏達3人のすぐ横で………

 

 

「うぉぉお!!しぃぃぃぃいなぁぁぁあ!!!」

「「「っ!?」」」

 

 

他の観客達よりもずっと大きい声で椎名の事を応援する人物がいた。それは3人も知っている人物だ。

 

 

「………ろ、六月のおっちゃん………」

「む?おぉ!!真夏ちゃん!!それに夜宵ちゃん!!…………後小僧!!」

「……なんで僕だけ小僧呼び?」

 

 

真夏と夜宵が六月と知り合いなのは、授業参観等で彼が何度か界放市に来ているためである。雅治は椎名の帰省に付いて行った事があるため、2人よりも早く六月を知っていた。

 

椎名の友人である真夏、夜宵にはて優しい六月であるが、椎名に気があることが理解できる雅治に対してはずぅっとこの態度なのだ。おそらく彼がこの世を去るまで治る事はないだろう。

 

 

「てか、なんでおんねん?」

「そりゃ!!可愛い可愛い椎名の晴れ舞台じゃ!!観に来ない訳には行かんじゃろおて!!」

「はは、相変わらず椎名ちゃん好きですよね〜〜」

 

 

椎名愛を語りながらも、六月は真夏の横へと席を移した。

 

そしてそんな中、実況者が2人目のバトラーの名前や経歴等を読み上げる。

 

 

《そして2人目ぇ!!最近ヨーロッパで行われる大会は全てこの人物が優勝を思いのままに掻っ攫ったぁ!!こちらもジャパンが生んだ驚異のスーパーバトラー!!相棒のウォーグレイモンで今回も打ち上げてくれるのかぁ!?………一木花火ぃ!!》

 

「い、いよいよ来るのか…………一木花火さんが……!!」

 

 

椎名は喜びと嬉しさのあまり、轟音のような歓声にも負けない程に胸を踊らし、高鳴らしていた。

 

ついに………ついにあの一木花火に【また】会える時が来たのだ。最初に会ったのは5歳くらいの時、何があったかはあまり思い出せないままであるが、【あの時】……自分の目の前にいて、首にかけたゴーグルを託したのは一木花火で間違いない。

 

憧れに出会える………

 

………はずだった………

 

 

「ん?……あれ?」

 

 

実況者の声を聞くなり、この広大なバトル場へと歩み寄ってくるのは…………【一木花火】ではなかった。ヒールの音がかつかつ響いてくる………女性だ。

 

………しかも椎名はこの人物を知っている。今まで2度もお世話になった…………あの女性だ。

 

 

「………え?あなたは………」

 

 

 

 

「一木花火の………【叔母】の………【一木聖子】………久しぶりね〜〜ピュアホワイトちゃん……!!」

「………え………えぇ!?………聖子さん!?……てか、花火さんの叔母!?……どっから驚けばいいんだ私はぁ!?」

 

 

椎名の目の前に現れたのは一木花火ではなく、一木聖子。界放市の女性警視であり、今までも模手最輝男のモテ薬の事件だったり、紫治城門が犯した命の危険が伴う事件だったりと、かなり椎名もお世話になった警視である。

 

その肌はシワがなく、張っており、アラフォーの年齢には到底思えないほどに若々しい。

 

椎名の事はその彼女の純粋な性格から唯一、ピュアホワイトと呼称している。

 

聖子は順を追って椎名にゆっくりと説明していき……

 

 

「ふふ、驚いてるわね〜〜……バカンスよ、バカンス!!……甥っ子の花火が「俺の代わりに出てくれ」って言うから勢いで参加しちゃったのよ〜〜!!」

「………ほ、本当に花火さんの叔母さんなんだ………は、初めて知った………」

 

 

一木花火に届いたアイランドリーグの招待状。彼は最初、それに参加する予定だったが、途中で用事が入り断念。花火は叔母である聖子に代役を頼み、こうして聖子は椎名の目の前でアイランドリーグの選手として参加している。

 

選手登録名がそのまま一木花火だったのもそのためである。

 

 

《な、な、なんとぉぉお!!一木花火プロではなく、そのご親戚の方のご登場だぁ!!》

 

 

どんな時でも盛り上がるのを忘れない若い実況者。花火の登場無しでモチベーションが下がりつつあった観客のテンションも徐々に徐々にと回復していった。

 

そして………

 

いよいよ幕が上がる。

 

 

「…………と、言うわけで前置きが長くなったけど………要は私があなたの相手って事………手は抜かないわよ!!ピュアホワイトちゃん!!」

「はい!!望むところです!!相手が花火さんの叔母さんだなんて……考えただけでもワクワクしてきたっ!!」

 

 

2人は勢い良くBパッドを展開し、バトルの準備を行う。

 

………そして………

 

 

「「ゲートオープン、界放!!」」

 

 

開始のコールと共にバトルが………

 

第6回アイランドリーグの1回戦第1試合が始まる…………

 

………先行は椎名だ。

 

 

[ターン01]椎名

 

 

「よっしゃぁっ!!スタートステップ!!ドローステップ!!メインステップ!!………来いっ!!ワームモン!!」

手札4⇨5

リザーブ4⇨0

トラッシュ0⇨3

 

 

椎名が手始めにと勢いよく召喚したのは緑属性の成長期スピリット、芋虫のような見た目のワームモンだ。

 

そして椎名はそのワームモンの効果を使い、手札確保を狙う。

 

 

「召喚時っ!!カードオープン!!」

オープンカード↓

【パイルドラモン】◯

【D-3】×

 

 

勢い良く捲られる椎名のデッキのカード。そしてそれは成功。椎名は新たにパイルドラモンのカードを手札へと加えた。しかもそれだけではない。オープンされたD-3の効果でそれごと加える事が可能なので、パイルドラモン、D-3のカードが加えられることになる。

 

 

「よっし!!2枚ゲット!!ターンエンドだっ!!」

手札4⇨6

【ワームモン】LV1(1)BP3000(回復)

 

バースト【無】

 

 

2枚のカードを見て喜びながら、椎名は最初の第1ターンをエンドとした。実際初手で成長期スピリットを召喚しつつ、2枚のカードを加えられたのは大きいと言える。

 

次は一木聖子のターン。甥に一木花火という一流のプロバトラーを持つ彼女の実力は如何程か…………

 

 

「……そう、なら、私のターンね……!!」

 

 

[ターン02]聖子

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ………!!」

リザーブ4⇨5

手札4⇨5

 

 

手慣れた様子でターンシークエンスを進めていく聖子。次のシークエンスはいよいよメインステップ。誰もが注目するであろうこの一瞬…………

 

一木花火の叔母である一木聖子が召喚するスピリットは……………

 

 

「メインステップ………!!………アグモン[2]をLV2で召喚よっ!!」

手札5⇨4

リザーブ5⇨0

トラッシュ0⇨2

 

「……なにっ!?……アグモンだってぇ!?」

 

 

聖子が召喚したスピリット、デフォルメされた小さな黄色い恐竜のようなスピリットだ……それを見て、沸き上がる歓声。それが広大なバトル場を埋め尽くす。

 

それもそのはず………一木聖子が召喚したのは、他でもない。あの【アグモン】なのだ。一木花火のデッキには欠かせない程に重要なスピリットである、あのアグモンだ。

 

椎名とて、いくら花火の叔母とは言え、まさかアグモンが登場するなどとは思ってもいなかったことだろう。

 

 

「ふふ、ちょっと甥っ子から預かっててね〜〜!!今は私がプロバトラー【一木花火のデッキ】を使ってるのよ〜〜」

「ま、マジっすか……!!」

 

 

歓喜の声を上げる椎名。

 

理由はいうまでもなく、花火のデッキと戦えるから………確かに、プレイヤーは違うとは言え、これは椎名と花火のバトルと言っても過言ではないだろう………

 

………だが、あまり喜んでばかりもいられない。なにせ、一木花火のデッキは攻防にバランス良く優れている。この最序盤から早速手始めのアタッカーがやってくる。

 

 

「アタックステップっ!!アグモン[2]の【進化:赤】発揮!!成長期のアグモンを、成熟期のグレイモンへ……進化召喚!!」

【グレイモン】LV2(3)BP5000

 

 

アグモンがデジタルのコードに巻き付けられ、姿形を大きく変え、進化する………

 

やがてそれは弾け飛び、新たに現れるのは立派な頭角を持つ恐竜のようなスピリット………名をグレイモンだ。一木花火のデッキにおいては序盤の様子見やテンポ取りなので良く多用される。

 

………そして今回も………

 

 

「アタックステップは継続!!行きなさい!!グレイモン!!アタック時効果でBP5000以下のスピリット1体を破壊し、ドロー!!消えなさい、ワームモン!!」

手札4⇨5

 

「…………!!」

 

 

グレイモンが口内から放つ巨大な火の玉が椎名の場にいたワームモンに直撃。ワームモンはあまりの高熱に燃え尽きてしまった。

 

しかし、こんなものはまだまだ序の口……

 

 

「さらにグレイモンの【超進化:赤】を発揮!!これにより、完全体、メタルグレイモンへ進化召喚!!」

【メタルグレイモン】LV2(3)BP9000

 

 

聖子はグレイモンをさらに進化させる。アグモン同様、グレイモンに巻き付けられるデジタルコード。その中でさらに巨躯に、機械化する。

 

やがてそれを弾け飛ばし、新たに現れるのは左半身が機械のグレイモン、メタルグレイモンだ。

 

 

「おおっ!!メタルグレイモン!!生で初めて見た!!」

「余裕ね〜〜!!……やりなさい!!メタルグレイモン!!」

 

「………っ!!……ライフだ!!」

ライフ5⇨4

 

 

メタルグレイモンの左半身のアームが伸び、椎名のライフを1つ砕いた。

 

 

「ターンエンドよ」

【メタルグレイモン】LV3(3)BP9000(疲労)

 

バースト【無】

 

 

できる事を全て終え、そのターンをエンドとした聖子。次は椎名のターン………強力な効果耐性を持つメタルグレイモンを前にどう立ち回るか………

 

 

[ターン03]椎名

 

 

「よっしゃっ行くぞっ!!スタートステップ!!コアステップ!!ドローステップ!!リフレッシュステップ!!」

手札6⇨7

リザーブ2⇨3⇨6

トラッシュ3⇨0

 

 

……次はメインステップ………

 

とは言え、未だ場もコアも整っていない椎名は………

 

 

「メインステップ…………よし、これで行こう!!デジヴァイス、ディーアーク、D-3を連続配置!!」

手札7⇨6⇨5⇨4

リザーブ6⇨0

トラッシュ0⇨6

 

 

総コア数6個では流石に無理があるか、椎名は良く使用するネクサスカード3枚を一気に配置する。色が噛み合い辛い椎名のデッキにおいては毎度重要な役割を担っている。

 

 

「さらにバーストを伏せ、ターンエンド!!」

手札4⇨3

 

【デジヴァイス】LV1

【D-3】LV1

【ディーアーク】LV1

 

バースト【有】

 

 

椎名は最後にバーストをセットし、そのターンを早々にエンドとした。次は聖子のターン。メタルグレイモンが起き上がり、攻め立てる………

 

 

[ターン04]聖子

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ………」

手札5⇨6

リザーブ0⇨1⇨3

トラッシュ2⇨0

【メタルグレイモン】(疲労⇨回復)

 

 

メタルグレイモンが眼光を輝かせ、起き上がり、再び活動モードに入った。

 

 

「メインステップ!!アグモン[2]をLV2で再召喚し、アタックステップ!!アグモン[2]の【進化:赤】でグレイモンへ進化!!」

手札6⇨5

リザーブ3⇨0

【メタルグレイモン】(3⇨1)LV2⇨1

【グレイモン】LV3(4)BP7000

 

 

今一度召喚されたアグモン[2]。【進化】を行うためにメタルグレイモンのLVが下がるものの、結果として2種類のグレイモンが聳え立った。

 

 

「アタックステップは継続!!行きなさい!!メタルグレイモン!!」

 

 

聖子の指示を聞き、走り出すメタルグレイモン。この瞬間、当然ながら疲労したため、椎名のスピリット効果は受け付けなくなる。

 

 

「ライフで受けるっ!!」

ライフ4⇨3

 

 

メタルグレイモンがまた強靭なアーマーで椎名のライフを砕く。

 

だが、これは椎名のバースト条件………椎名のバーストカードが勢い良く反転する………

 

 

「ライフ減少によりバースト発動!!【マリンエンジェモン】!!」

「………っ!?」

 

「この効果により、召喚し、このターン、私のライフはコスト9以下のスピリットのアタックでは減らない!!…………さらにディーアークの効果でカードをドロー!!」

【マリンエンジェモン】LV1(1)BP3000

手札3⇨4

 

 

桃色の小さな天使、マリンエンジェモンが椎名の場を浮遊する。その囁くような歌声が水の力を呼び覚まし、椎名のライフを包み込む。並大抵のスピリットのアタックでは破る事は到底不可能だろう。

 

 

「あらあら〜〜ガードは固いわね〜〜………なら、ターンエンドよ」

【グレイモン】LV3(4)BP7000(回復)

【メタルグレイモン】LV1(1)BP6000(疲労)

 

バースト【無】

 

 

マリンエンジェモンの効果は予想外だったか、グレイモンの効果でマリンエンジェモン自体は破壊可能だったが、このターンは一先ずエンドとした聖子。次は見事アタックを止めてみせた椎名のターンだ。

 

 

[ターン05]椎名

 

 

「スタートステップ!!コアステップ!!ドローステップ!!リフレッシュステップ!!」

手札4⇨5

リザーブ0⇨1⇨7

トラッシュ6⇨0

 

 

ターンシークエンスを意気揚々と進めていく椎名。次はメインステップだ。

 

 

「メインステップ!!……ディーアークのLVを2にアップ!!」

リザーブ7⇨5

【ディーアーク】(0⇨2)LV1⇨2

 

 

椎名はデジタルスピリットの補助タイプであるネクサスの1つ、ディーアークのLVを上昇させた。そして、この時に発揮可能なディーアークの効果が存在する。

 

 

「ディーアークのLV2効果、【カードスラッシュ】!!」

「………っ!?」

 

「私はこの効果で【パイルドラモン】のカードを破棄し、そのLV1BP、7000以下のスピリット1体を破壊!!……メタルグレイモンを破壊だっ!!」

手札5⇨4

破棄カード↓

【パイルドラモン】

 

「………っ!!」

「行けっ!!デスペラードブラスター!!」

 

 

椎名がパイルドラモンのカードをディーアークにスキャンさせる。するとそこから赤い仮面と青と白の4本の羽を持つ竜戦士、パイルドラモンが場に現れ、腰に備え付けられた2本の機関銃をメタルグレイモンに向けて乱射。

 

メタルグレイモンも流石にひとたまりもなかったか、機械化した体ごと撃ち抜かれ、力尽き、爆発四散した。

 

メタルグレイモンは本来、スピリットとブレイヴの効果を受け付けない。だが、今回椎名が行ったのはネクサスカードの効果。パイルドラモンのデスペラードブラスターと言えども通じてしまうのだ。

 

 

「よしっ!!メタルグレイモンを破壊した!!」

「成る程ね〜〜上手く耐性の穴を突いてきたわね〜〜………もちろんそれだけじゃないんでしょ?」

 

 

メタルグレイモンの破壊に成功し、ガッツポーズを掲げる椎名に対し、仰ぐように語りかけてくる聖子。椎名は当然と言わんばかりに攻め立てる………

 

 

「はい!!当然ですっ!!………続けて来いっ!!エクスブイモン!!LV2だ!!」

手札4⇨3

リザーブ5⇨0

トラッシュ0⇨2

 

 

椎名が次に呼び出したのは蒼き闘竜エクスブイモン。その召喚時効果は青属性らしい優秀なものだ。

 

 

「先ずはディーアークの効果で1枚ドローし、エクスブイモンの効果でさらに2枚ドローし、2枚捨てる!!」

手札3⇨4⇨6⇨4

破棄カード↓

【スティングモン】

【グラウモン】

 

 

その効果により多量に手札の入れ替えを行う椎名。その質がより良い方向へ向上した。

 

 

「さらにディーアークのLVを下げ、デジヴァイスのLVを2にアップ!!」

【ディーアーク】(2⇨0)LV2⇨1

【デジヴァイス】(0⇨2)LV1⇨2

 

 

ネクサス間でコアが移る。ディーアークの代わりにデジヴァイスの効果数が1つ増加した。

 

 

「アタックステップ!!エクスブイモンでアタックっ!!」

 

 

アタックステップへと移行する椎名。

 

そしてこの瞬間、LVの上がったデジヴァイスの効果が活かされる。

 

 

「デジヴァイスの効果!!成熟期スピリットがアタックした時、トラッシュにある完全体か究極体を回収できるっ!!戻って来い!!パイルドラモンっ!!」

手札4⇨5

 

 

腰のデジヴァイスが光、トラッシュにあるパイルドラモンのカードがひらひらと椎名の手札へと舞い戻る。

 

そして、まだ終わらない。今度はそれの召喚だ………

 

 

「エクスブイモンの【超進化:青】を発揮!!完全体スピリットのパイルドラモンに進化!!」

【パイルドラモン】LV2(3)BP10000

 

 

エクスブイモンがデジタルコードに包まれていく、その中で姿形を大きく変え、進化する。やがてそれは弾け飛び、新たに現れるのは機関銃を備えた至高の竜戦士、パイルドラモン。

 

 

「お〜〜流れるようなコンボね〜〜」

 

 

椎名の進化コンボに関心があるのかないのか、言葉の内容は関心があるように思えるが、その聖子の声色からは軽く流しているようにも思えてくる。

 

 

「召喚時効果!!コスト7以下のスピリット1体を破壊!!グレイモンを撃て!!デスペラードブラスター!!」

 

 

パイルドラモンは登場するなり、今一度機関銃の弾を連射する。グレイモンがそれに耐えられるわけがなく、3本の頭角を折られた挙句に力尽き、爆発した。

 

 

「行けっ!!パイルッドラモンッ!!………アタック時効果により、コアを2つ追加し、回復っ!!……エレメンタルチャージ!!」

【パイルドラモン】(3⇨5)LV2⇨3(疲労⇨回復)

 

 

パイルドラモンの体中にエレメントの力が流れ込む。パイルドラモンはその力を得、このターン、2度目のアタックの権限を得た。

 

ここで一気に差をつけることができれば、椎名の勝ちも見えてくる。あの一木花火のデッキに勝利したとあらば、また椎名は一躍有名となるだろう。

 

………だが、まだまだ甘かったか………

 

………聖子は自分の方へと一直線に走ってくるパイルドラモンを見て、薄く笑いながら手札にあるカード1枚を引き抜いた………

 

………そのカードとは………

 

 

……一木花火のデッキにおいて、ウォーグレイモンと双璧を成すエーススピリットの1体…………

 

 

「ふふ、確かに凄いけど、やっぱりまだまだピュアホワイトね〜〜……フラッシュ!!【ブラックウォーグレイモン】の効果っ!!」

「…………!!」

 

「この効果により、1コスト支払い召喚っ!」

手札6⇨5

リザーブ5⇨4⇨0

トラッシュ1⇨2

【ブラックウォーグレイモン】LV3(4)BP15000

 

 

聖子に殴りかかるパイルドラモンの行く手を阻むごとく場に現れたのは黒い靄。その中にいる誰かがパイルドラモンの拳を受け止め、蹴り飛ばした。

 

……それは、その正体は言うなれば黒いウォーグレイモン。黒い靄を弾け飛ばし、この場に顕現した。

 

 

「………おおっ!!こ、これがブラックウォーグレイモン!!」

 

 

花火のエースの1体の登場により、そう喜びの声を漏らす椎名。

 

椎名だけではない、殆どの観客が沸いた。それもそのはず、何せこのブラックウォーグレイモンは世界的な人気を誇る一木花火のエースなのだから………

 

ブラックウォーグレイモンは相手のBP8000以上のスピリットに反応してフラッシュタイミングで召喚できる効果を持つ。一木花火のデッキにおいての守りの要でもある。

 

 

「笑うなんて余裕ね〜〜!!……召喚時効果発揮!!BP12000以下のスピリット1体を破壊する!!」

「………っ!!」

「マリンエンジェモンを破壊よ!!……暗黒の…ガイアフォース!!」

 

 

パイルドラモンを蹴り飛ばした直後、ブラックウォーグレイモンは両手を合わせ、徐々に間隔を開けて行くと共に黒い炎の塊を形成、椎名の場にいるマリンエンジェモンに投げ込む。マリンエンジェモンに耐えられるはずもなく、消し炭にされてしまった。

 

 

「パイルドラモンはブロックよ〜〜………相手してやりなさい!!」

「っ!?……パイルドラモン!!」

 

 

蹴り飛ばされてもなおブラックウォーグレイモンに果敢に突っ込むパイルドラモン。しかし、ブラックウォーグレイモンはそれを軽くかわし、その腕を掴み上げ、体格差を無視してパイルドラモンを振り回し、投げ飛ばした。

 

何とか再び起き上がるパイルドラモン。だが、その隙を逃さなかったブラックウォーグレイモンのドラモンキラーと呼ばれる腕の武装に腹部を貫かれ大爆発を起こしてしまった。

 

 

「くっ!!……ターンエンド」

【デジヴァイス】LV2(2)

【D-3】LV1

【ディーアーク】LV1

 

バースト【無】

 

 

パイルドラモンの爆発による爆風を肌で感じながらも、椎名はそのターンをエンドとした。次は未だにライフ5をキープしている聖子のターン。ブラックウォーグレイモンと共に攻め立てる。

 

 

[ターン06]聖子

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ………」

手札5⇨6

リザーブ0⇨1⇨3

トラッシュ2⇨0

【ブラックウォーグレイモン】(疲労⇨回復)

 

 

パイルドラモンを打ち倒したブラックウォーグレイモンが疲労から起き上がり回復状態となった。次はメインステップ、椎名の残り3つのライフを破壊すべく、聖子は2体のスピリットを召喚する。

 

 

「メインステップ!!……アグモン[2]とロクケラトプス〈R〉をLV1ずつで召喚!!」

手札6⇨4

リザーブ3⇨0

トラッシュ0⇨1

 

 

聖子が召喚したのは本日3度目となるアグモンと、立派な3本の頭角を生やした四足歩行の地竜スピリット、ロクケラトプス。ブラックウォーグレイモンと合わせて3体のスピリットが整った。

 

 

「アタックステップっ!!行きなさい!!アグモン!!ロクケラトプス!!」

 

 

聖子の指示を受け走り出すアグモンとロクケラトプス。目指すは当然椎名のライフ。

 

……だが、椎名がここでくたばる訳が無くて………

 

 

「2度目のアタックの時にフラッシュだ!!……【リアクティブバリア】!!」

手札5⇨4

リザーブ6⇨2

トラッシュ2⇨6

 

「……!!」

 

「この効果により、このアタックでアタックステップは終わるっ!!……てことで2体ともライフに来い!!」

ライフ3⇨2⇨1

 

 

アグモンとロクケラトプスが立て続けに椎名のライフへと体当たりする。そのライフが一気に2つ削り落とされる。そしてこの時、事前に発揮させていたリアクティブバリアの効果が適応される。

 

 

「リアクティブバリアの効果でアタックステップは終了するっ!!」

 

 

聖子の場に立ち込める猛吹雪。それがアグモン達はおろか、ブラックウォーグレイモンでさえも身動きが取れる状況では無くなってしまった。

 

 

「………ターンエンド」

【ブラックウォーグレイモン】LV3(4)BP15000(回復)

【アグモン[2]】LV1(1)BP2000(疲労)

【ロクケラトプス〈R〉】LV1(1)BP3000(疲労)

 

バースト【無】

 

 

流石に仕方がないか、聖子は結果としてブラックウォーグレイモンをブロッカーとして場に残し、このターンをエンドとしてしまう。

 

次は何とかライフ1で踏みとどまった椎名のターンだ。未だにライフ5を維持している聖子を倒せるか………

 

 

[ターン07]椎名

 

 

「スタートステップ!!コアステップ!!ドローステップ!!……よしっ!!……リフレッシュステップ!!」

手札4⇨5

リザーブ4⇨5⇨11

トラッシュ6⇨0

 

 

ターンシークエンスを進めていく椎名。その過程で行ったドローステップで思わず口角が上がる。

 

………来たのだ。待ち望んでいた逆転の一手が………

 

 

「メインステップ!!ブイモンを召喚!!ディーアークの効果でカードをドローし、召喚時効果発揮!!」

手札5⇨4⇨5

リザーブ11⇨6

トラッシュ0⇨2

オープンカード↓

【フレイドラモン】◯

【デュークモン】×

 

 

椎名がここで召喚したのは青くて小さな竜、ブイモン。成長期スピリット特有の召喚時効果も成功し、アーマー体スピリットであるフレイドラモンのカードが新たに手札へと加えられた。

 

 

「【アーマー進化】発揮!!対象はブイモン!!燃え上がる勇気!!フレイドラモンをLV2で召喚!!」

手札5⇨6

リザーブ6⇨5

トラッシュ2⇨3

【フレイドラモン】LV2(3)BP9000

 

 

早速ブイモンの頭上から投下される赤くてツノの生えた卵。それはブイモンと衝突し、混ざり合い、新たな姿へと昇華させる。

 

燃え上がる炎の中、椎名の場へと降り立ったのはスマートな赤き武装を施したアーマー体、フレイドラモン。

 

 

「フレイドラモンの召喚時効果っ!!BP7000以下のスピリット1体を破壊して1枚ドロー!!ロクケラトプスだっ!!爆炎の拳……ナックルファイアッ!!」

手札6⇨7

 

「………!!…あらあら〜〜」

 

 

フレイドラモンは登場するなり爆炎の炎の弾丸を殴りつけるように射出。それは見事に聖子の場に存在していたロクケラトプスに命中、焼き尽くされ、爆発した。

 

 

「まだだ!!まだ終わらないっ!!青のブレイヴ、潮より来たれ!!【双牙皇オルト・ロード】を召喚し、フレイドラモンと合体!!」

手札7⇨6

リザーブ5⇨3

トラッシュ3⇨5

【フレイドラモン+双牙皇オルト・ロード】LV2(3)BP14000

 

 

椎名の背後で打ち上がる大波。そこから飛び出してきたのは青いブレイヴ。2つの首が特徴的な獣型のブレイヴ、オルト・ロードだ。

 

フレイドラモンとオルト・ロードは呼吸を合わせ、飛び上がり、混ざり合い、やがて新たな姿へと昇華する。

 

椎名の場に舞い降りたのは蒼いフレイドラモン。漆黒の翼が生え、アーマーだけで無く、炎までもが蒼くなり、あまりの炎の高温により、常時それが漏れ出ている。

 

 

「…………ふふ、やるじゃない……でも、まだ私のブラックウォーグレイモンのBPには及ばないわね〜〜」

「いや!!それでも良い!!……アタックステップッ!!行けっ!!フレイドラモン!!」

 

 

漆黒の翼を広げ、飛び立つフレイドラモン。聖子の場にはまだフレイドラモンより強力なブラックウォーグレイモンが存在するというのに………

 

だが、椎名とて無策なわけではない………

 

 

「フレイドラモンのアタック時効果でBP7000以下のスピリットを破壊!!今度はアグモンだ!!……蒼炎の拳!!ブレイズナックルッ!!」

手札6⇨7

 

「………っ!!」

 

 

強力な合体スピリットとなったフレイドラモンの拳から放たれる蒼い炎の弾丸。それは瞬く間に聖子のアグモンを焼き尽くした。

 

 

「次はオルト・ロードの効果っ!!手札3枚を破棄して回復っ!!」

手札7⇨4

破棄カード↓

【エクスブイモン】

【グラウモン】

【ブルーカード】

【フレイドラモン+双牙皇オルト・ロード】(疲労⇨回復)

 

 

椎名がトラッシュにカードを破棄する行いに反応するように、青い光を纏い、疲労状態から回復状態となるフレイドラモン。これでこのターン、2度目のアタック権限を得た。

 

……そして次はブラックウォーグレイモンの対策だ………

 

 

「フラッシュマジック!!【チェイスライド】!!」

手札4⇨3

リザーブ3⇨0

トラッシュ5⇨8

 

「………っ!?」

 

「この効果により、ブラックウォーグレイモンを疲労させるっ!!」

 

「…………」

【ブラックウォーグレイモン】(回復⇨疲労)

 

 

椎名が唐突に放った緑のマジックカード、チェイスライド。それは単純にスピリットを疲労させる有用なもの。

 

突如場に吹き込む突風が、ブラックウォーグレイモンを孕ませる。この隙は逃さない。椎名はフレイドラモンで一気に叩き込む………

 

 

「これで誰もブロックはできないっ!!……フレイドラモンッ!!」

 

「っ!!……ライフよ」

ライフ5⇨3

 

 

フレイドラモンの蒼く、熱い拳の一撃が、とうとう聖子のライフに傷をつけた。一気に2つ破壊する。

 

そして、今現在、フレイドラモンは合体しているオルト・ロードの力で回復状態となっており………

 

 

「もういっちょ行けっ!!フレイドラモン!!…………この瞬間!!またオルト・ロードの効果で手札3枚を破棄し、回復っ!!」

手札3⇨0

破棄カード↓

【ブイモン】

【メガログラウモン】

【ディーアーク】

【フレイドラモン+双牙皇オルト・ロード】(疲労⇨回復)

 

 

再び回復状態となるフレイドラモン。これで3度目のアタック権限を得た。ダブルシンボルの3度連続のアタック………これにより、聖子のライフを全て破壊できる。

 

 

「………それもライフで受けるわ」

ライフ3⇨1

 

 

フレイドラモンの拳が、また聖子のライフを一気に2つ破壊した。

 

……後1つだ。後1つで聖子を、一木花火のデッキを倒せる。椎名はそう思い、最後のアタック宣言を行う………

 

 

「これで最後だっ!!フレイドラモンッ!!……渾身の蒼炎……バーニングインッフォースッ!!」

 

 

漆黒の翼で再び飛び上がるフレイドラモン。そのまま宙返りし、蒼炎をその身に纏って聖子のライフへと急降下する。

 

そのフレイドラモンを見て、聖子は何を思うのか、また不敵に、それでいて意味深に薄笑いを浮かべる。

 

 

「………へ〜〜……1ターンでここまで…………でも、フラッシュッ!!」

「………っ!!?」

 

 

唐突に力強くフラッシュの宣言を行う聖子。その手札の1枚に手をかける…………

 

そこから使われるカードは、椎名の猛攻を遮るもの………

 

逆転のさらなる逆転を狙える一木花火の持つとんでもないカード………

 

 

…………であると、この会場にいる誰もが思っていた………

 

 

 

「……と、言いたいとこなんだけど、そんなものはないんだよね〜〜!!」

「……………え?」

 

 

次の瞬間、蒼い炎をその身に纏ったフレイドラモンの一撃が場がガラ空きとなっている聖子の最後のライフを打ち砕いた。ライフは爆発し、爆煙が立ち昇る。

 

会場の人々は皆唖然としていた。

 

まさかあれだけ期待させておいて本当は全てフェイクで何もないとは、爆発による爆煙がその虚しさをより強く誇張させる。

 

 

「…………あれ?……私ってば………勝ったの?」

 

 

椎名もイマイチ勝ったことにしっくりきていない。当然だ。

 

 

「はっはっは!!そうだよ〜〜おめでとう!!流石は現役学園バトラー!!強かったわ〜」

「え?あ、はい……ありがとうございます?」

「何よ〜〜勝ったんだから堂々と胸張ってなさいよ!!…………さて、甥っ子との約束も果たしたし、私はスピリットアイランドを見学にでも行こうかな〜〜!!」

「えぇ!?あれ!?……ちょっと聖子さん!?」

 

 

そう椎名に言い残し、聖子は軽快なリズムのステップで会場を去って行く。その様子はまるで敗者の振る前とは思えない。

 

 

「………え〜〜!?訳わかんないよ〜〜!!」

 

 

そう叫ぶ椎名。結局聖子のミステリアスな大人の雰囲気に最後まで飲まれ続けてしまった。

 

何はともあれ、腑に落ちないものの、芽座椎名はアイランドリーグ1回戦を突破した。

 

 

******

 

 

 

会場の裏側………参加者や関係者以外は立ち寄ることのできないこの場所で…………

 

軽快なリズムに乗ってスキップしていた聖子はその足を静かに止め………さっきまでの楽観的な表情を消し、どこか冷たく感じるような目つきを見せる。まるで、何かを深く考えているような…………そんな感じだ。

 

………そして彼女は口ずさむように、小声で………

 

 

「Dr.A………本当にこんなところにいるのかしら?………」

 

 

こう言った。

 

彼女はDr.Aがここにいるという確かな情報を得て、一警視としてこの島にやってきた。アイランドリーグに参加したのもこのため、大会参加者ならある程度ここに来る時のセキュリティは緩くなるためである。

 

本来なら甥っ子が参加するはずだったこの大会………事情を説明し、参加券を譲ってもらったのだ。世界を股にかける犯罪者Dr.Aを捕らえるために…………

 

だが、疑問もある。この島のセキュリティは厳重であるはずなのに、何故、Dr.Aはこの島に来れたのだ………と。

 

何はともあれ、これで自分は負けた。ここからは好きなだけこの島捜索できる…………

 

 

 

 




〈本日のハイライトカード!!〉

椎名「本日のハイライトカードは【ブラックウォーグレイモン】!!」

椎名「あの花火さんのエーススピリットの1体!!相手の強力なスピリットのアタックに反応して召喚できるよっ!!高いBPと召喚時の破壊効果で返り討ちにしちゃおう!!」


******


〈次回予告!!〉


椎名「まぁ、何はともあれ、1回戦突破だぁ!!この勢いで決勝まで一気に駆け上がってやるっ!!次の試合は………っ!!……あ、あいつは!?………次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ、「飛翔するキバ!!ベルゼブモン来襲!!」……今、バトスピが進化を超える!!」



******


最後までお読みくださり、ありがとうございました!!

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