バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

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第68話「宿命の対決、そして」

 

 

 

 

 

 

 

【朱雀】こと、赤羽司はどこか知らない薄暗い場所でバトルを行なっていた。

 

……その対戦相手は宿命のライバル、芽座椎名。

 

椎名の場には赤い仮面に黒と青のボディ、そして腰に機関銃を2つ携えた完全体、至高の竜戦士、パイルドラモンと、ロイヤルナイツの1体、白い鎧と赤いマントに加え、右手に槍、左手に盾を装備している究極体、デュークモン。

 

片や司の場はバイザーを装備した聖なる獣人型完全体スピリット、シルフィーモンと、赤羽一族に伝わる美しき金色の鳳凰、ホウオウモン。

 

 

「やれっ!!シルフィーモンッ!!ホウオウモンッ!!」

 

 

シルフィーモンとホウオウモンに指示を送る司。

 

シルフィーモンがパイルドラモン、ホウオウモンがデュークモンとそれぞれバトルを繰り広げていく………

 

 

 

パイルドラモンは腰に備え付けられた機関銃をシルフィーモンに向け連射。だが、シルフィーモンには通用せず、容易に回避され、みるみる距離を詰められて行き………

 

 

「……トップガンッ!!」

 

 

至近距離で凝縮されたエネルギー弾をパイルドラモンの腹部に叩き込んだ。余りの勢いに、パイルドラモンは吹き飛ばされ、破壊、爆発してしまった。

 

 

上空で激闘を繰り広げるホウオウモンとデュークモン。デュークモンの渾身の刺突。ホウオウモンはそれを悠々と交わしながら、一瞬の隙に脚でデュークモンの肩を鷲掴み、デュークモンを力任せに地面に叩き落とす。

 

 

「……金色の超炎……シャイニングエクスプロージョンッ!!」

 

 

地面に叩きつけられたデュークモンが腰を上げた直後、ホウオウモンは金色の色をした4枚の翼から同じ色の炎を放つ。デュークモンはそれをまともに浴びてしまい、鎧や武器が溶解し、力尽き、倒れ、大爆発を起こした。

 

 

「どうだっ!!めざしっ!!これが俺の強さだっ!!」

「………」

 

 

【朱雀】の異名を持つ赤羽司の強さはそこが知れない。如何なる強敵であっても、その華麗なプレイングで全てを翻弄する。

 

間違いなく同じ学生では歯が立たないレベルまで達している。

 

………はずだった……

 

 

「………!?」

 

 

司は咄嗟に気づく。

 

パイルドラモンとデュークモンの爆発による爆煙の煙………そこから何かが突き抜け、飛び出してくるのが見えた………それは大きな咆哮を上げ、空気を張り積ませながら地上へと降り立つ………

 

 

「……そ、そいつは……っ!?」

「……グルゥルルウ……ッガァァァァァァア!!!」

 

 

そこに現れたのは地獄の魔竜メギドラモン。その二つ名の通り、その風貌や外見は地獄そのもの………

 

椎名の姿もあの時、具利度王国で見せた鬼の姿に変わっている。アホ毛がツノのなり、牙が伸び、目が狂ったように真紅に染まっていた。

 

 

「ガァァァァァァァア!!!」

「っ!?」

 

 

その雄叫びで場のメギドラモンに「行け」と命令を下したのか、メギドラモンがシルフィーモン、ホウオウモンとの戦闘に入る。

 

凄まじい速度でシルフィーモンとの距離を詰めるメギドラモン。シルフィーモンは慌ててトップガンを繰り出す構えをするが、それが整う前にメギドラモンの腕に弾かれる。そして、弾かれた側から獄炎の炎を口内から放たれ、直撃し、呆気なく爆発してしまった。

 

メギドラモンは次のホウオウモンに狙いを定め、それがいる上空へと飛び上がる。一瞬にしてホウオウモンとの距離を詰めたかと思うと、ホウオウモンの首根っこを掴み、そのままそれを下に急降下。司の目の前まで落下し、叩き落とした。ホウオウモンはそれに耐えられず大爆発を起こす……

 

 

「………ぐぅっ!?」

 

 

響き渡るのはメギドラモンと椎名の雄叫び。その様子はまるで互いが共鳴し合っているかのよう………司はそこから生まれる恐怖をスピリットの破壊による爆風と共に肌で感じ取る。

 

……そして、メギドラモンは司に向け、今一度獄炎の炎を口内から放ち………

 

 

「ば、馬鹿なっ!!……俺が、俺がお前なんかに負けるわけが………負けるわけがないんだぁぁぁぁあ!!」

 

 

一瞬にして司を飲み込んだ………

 

 

******

 

 

「うわぁぁぁぁあっ!!」

 

 

刹那、司はベッドから飛び上がるように起きた。身体中から汗が流れるのをまた肌で感じる。

 

ここは控え室、司は決勝戦を前に、軽く仮眠を取っていた。

 

………今までのは全部夢……何もかもが幻想だった。だが、1つ確かな事は、夢の中で芽座椎名に敗北を喫したという事………

 

 

「ふぅっ、ふぅっ、…………クッソガァぁ!!!」

 

 

あの日、修学旅行で訪れた具利度王国での一件以後、その脳裏に焼きつくのはあの椎名の鬼の姿と猛々しい地獄の魔竜、メギドラモン………

 

司は呼吸を乱しながらも苛立ち、ベットの横にある壁を拳で殴りつけた。骨の軋む音など全く意に返さず………ただ心の中にある蟠りをその目の前の壁にぶつけた………

 

 

******

 

 

決勝戦が始まる直前、椎名は歓声が薄く響いてくるバトル場への道のりを1人で歩いていた。

 

対戦相手は、銃魔に妙な勝ち方をしてしまった赤羽司だ。銃魔が自爆した時、何やら司は頭に血が上っていたようだが、

 

………いったい何があったのだろう?

 

そんな事を微かに頭に過ぎらせていたが、実際、勝ちは勝ちだ。素直に喜べばいいのに………

 

そんな時だ。椎名の目の前に、待ち構えていたかのように1人の人物が現れる………

 

 

「………椎名ちゃん」

「おっ!!夜宵ちゃぁん!!」

 

 

その正体は紫治一族の1人、紫治夜宵。しかし、いつも元気な彼女らしくなく、彼女の椎名を呼ぶ声はどこか寂しそうであり、

 

 

「……どしたの?わざわざここまで来て私の応援?………だったら司のとこ行った方がいいんじゃ……」

「椎名ちゃん、お願い」

「ん?」

「………司ちゃんを元に戻して……お願いっ!!」

「………っ!!」

 

 

椎名の両肩に手を置き、涙ながらに強く懇願する夜宵。その気持ちに嘘がない事が伺える。

 

 

「もう嫌だ、あんな司ちゃん見たくない………でも私じゃ無理……椎名ちゃんしか、椎名ちゃんしか頼れないっ!!頼れないのっ!!」

「………夜宵ちゃん」

 

 

椎名とて、知っている。

 

この頃、いや、修学旅行が終わってからだろうか、司の様子は激変した。その理由は椎名達では到底分かり得ないものであり、理解しがたいもの………

 

それでも、それでもだ。夜宵はいつものクールぶってて上から目線だけど、本当は優しい司に戻ってほしかった………

 

自分ではダメだった。どんなに接しても冷たく突き放される。しかし、椎名なら、椎名ならきっと本当の司を取り戻せると信じている。

 

………夜宵の強い思いに対し、椎名は……

 

 

「……へへ!!……仕方ないな〜〜他でもない夜宵ちゃんの頼みだ!!……わかったよ!!司は絶対に私が元に戻す!!」

「………っ!!」

「だから夜宵ちゃんは真夏達と一緒に私達のバトルを見ててよねっ!!……司が戻る一瞬を逃さないためにっ!!」

「………うん……うんっ!!」

 

 

そう言って、椎名は向かった。

 

……名誉あるアイランドリーグ決勝の舞台へ………

 

 

******

 

 

《さぁ!!いよいよ!!いよいよだぁ!!第6回アイランドリーグ決勝戦!!見事勝利して、優秀の美を飾るのはいったい誰だぁぁ!?》

 

 

いよいよ幕を開けようとするアイランドリーグの決勝戦を前に、若き実況者の声を起爆剤にするように轟音のような歓声を上げる観客達。【スピリットアイランド】に住む全ての人々が注目を集める【アイランドリーグ】……その決勝を心待ちにしているかのように……

 

そして、若き実況者は熾烈を極め、争う事だろう両名を呼び寄せる………

 

 

《先ずは1人目ぇ!!このアイランドリーグでも数々の軌跡を起こしてきた期待の学生バトラァァア!!……【芽座椎名】ぁぁあ!!!》

 

 

その声と共に、椎名はアイランドリーグ会場のバトル場へと足を踏み入れる。その途端、また観客達は大きな声を上げる。椎名はそれに対し、笑いながら両手を大きく振る。

 

そして次は2人目………

 

 

《2人目ぇ!!なんと同じく学生バトラァア!!ジュニア時代では負け知らずの逸話を残した逸材!!【朱雀】こと、【赤羽司】だぁ!!!》

 

 

その声と共に、今度は【朱雀】こと【赤羽司】がアイランドリーグ会場のバトル場へと足を踏み入れる。だが、椎名とは違い、司が浴びたものは観客達の酷いバッシング。親指を下に向ける者や、ゴミを投げ込むなど等、とても喜ばしい光景ではなく………

 

 

《ゴミはバトル場には捨てないでくださいいぃ!!》

 

 

若き実況者も唐突に起こったそれを止めようとする。

 

司がこうなってしまったのも、無理はない。何せ、先程行われた、司と銃魔の準決勝。自爆した銃魔を見て、会場の殆どの観客達は【司が八百長をした】というなんの証拠もなく、身もふたもない噂が相次ぎ、彼の評価を大きく下げてしまったのだ。

 

しかし、司はそんな観客のバッシングなど意に介さず、椎名の立つバトル場へと足を進める。そして、2人はついに決勝の舞台で向かい合い………

 

 

「………司」

「………めざし」

 

 

その空気はどこか重たげである。このバトルを心待ちにしていたはずなのに………

 

それもやはり司が変わってしまったのが原因であって………

 

 

「司、夜宵ちゃんが泣いてたよ……司ちゃんを元に戻してくれって私に言ってきたんだ……」

「………そんなことはどうでもいい、俺とバトルしろ、めざし……!!………そのための決勝だ」

「……っ!!…どうしたんだよっ!!最近変だよ!?……いったい何があったの!?」

「………答えてやる義理はない……早くBパッドを展開しろ……!!」

 

 

全く椎名の話に聞く耳を立たない司。軽くあしらい、バトルをする事を要求してくる。

 

司は……このために来た。この大会中で椎名を倒すためだけに本来、このアイランドリーグに、スピリットアイランドに来たのだ。自分の方が強い事を知らしめるため………自分に、椎名に、……そして今は銃魔にも………

 

 

「………っ!!わかったよっ!!……私がバトルに勝ったら洗いざらい話してもらうよっ!!」

「………かかって来いっ!!返り討ちにしてやるっ!!」

 

 

2人は勢いよくBパッドを展開、バトルの準備を瞬時に行う。

 

………そして、宿命の対決が始まる。

 

 

「「ゲートオープン、界放!!」」

 

 

大勢の観客が轟音のような歓声を上げる中、芽座椎名と赤羽司の世紀の一戦とも言える戦いが幕を開ける……

 

先行は司………

 

 

[ターン01]司

 

 

「俺のターンッ!!…スタートステップ、ドローステップ……メインステップ、俺はリボルドローを使用、カードを上から2枚引き、ターンエンド」

手札4⇨5⇨4⇨6

リザーブ4⇨0

トラッシュ0⇨4

 

バースト【無】

 

 

バトルの開始早々、司が使用したのはなんの変哲もない赤属性のドローマジック。単純ながらに優秀なそのドロー効果に従い、彼はデッキからカードを上から2枚引き抜いた。

 

そして次は椎名のターン……

 

 

[ターン02]椎名

 

 

「私のターンッ!!…スタートステップ、コアステップ、ドローステップ!!……メインステップ!!……ディーアークとD-3を配置し、ターンエンドッ!!」

手札4⇨5⇨4⇨3

リザーブ4⇨5⇨0

トラッシュ0⇨5

 

【ディーアーク】LV1

【D-3】LV1

 

バースト【無】

 

 

椎名のターン、彼女が早々に行ったのはネクサスカードの配置、手のひらサイズの機械を2つ腰に装着する。これはデジタルスピリットを全力でサポートする強力なネクサスカード、色がばらけている椎名のデッキにおいては大きな役目を担う。

 

次は一周回って司のターン。

 

 

[ターン03]司

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ……メインステップ、俺はネクサスカード、【朱に染まる薔薇園】を配置し、ターンエンド」

手札6⇨7⇨6

リザーブ0⇨1⇨5⇨0

トラッシュ4⇨0⇨5

 

【朱に染まる薔薇園】LV1

 

バースト【無】

 

 

司が背後に配置したのはいつもの赤き薔薇の庭園。綺麗に咲き誇っているが、そこには確かに鋭い棘が存在している。

 

意外にも静かな滑り出しとなったこの決勝戦。次の椎名のターンで動きがあるか………

 

 

[ターン04]椎名

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ!!……リフレッシュステップ」

手札3⇨4

リザーブ0⇨1⇨6

トラッシュ5⇨0

 

 

互いに全くスピリットを召喚しないこの決勝、だが、椎名はこの均衡を破るべく、1枚のスピリットカードに手をかける。

 

 

「メインステップ!!……来いっ!!【スティングモン】!!召喚時でコアを増やし、ディーアークの効果でカードをドロー!!」

手札4⇨3⇨4

リザーブ6⇨0

トラッシュ0⇨4

【スティングモン】(2⇨3)LV1⇨2

 

 

椎名が呼び出したのは緑の成熟期スピリット、スマートな昆虫戦士、スティングモン。そのコアブースト効果は幾度となく椎名を手助けしてきた。

 

 

「アタックステップ!!行けっ!!スティングモンッ!!」

【スティングモン】(3⇨4)

 

「………ライフだ」

ライフ5⇨4

 

 

颯爽とスティングモンにアタックの指示を送る椎名。その効果でまたコアが増える。

 

スティングモンはアクロバットな動きで司のライフへと近づき、その拳で司のライフを1つ粉々に玉砕した。

 

 

「よしっ!!ターンエンドッ!!」

【スティングモン】LV2(4)BP8000(疲労)

 

【ディーアーク】LV1

【D-3】LV1

 

バースト【無】

 

 

椎名はそれだけでこのターンを終えた。しかし、単にそれだけといっても、かなりの総コア数になったのだが、

 

これに対し、司はどう対処してくるか………

 

 

[ターン05]司

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ」

手札6⇨7

リザーブ1⇨2⇨7

トラッシュ5⇨0

 

 

椎名がスピリットを出したからか、反撃に出ると言わんばかりに、彼もまたスピリットを展開する。

 

 

「メインステップ、俺はイーズナ1体、ハーピーガールを2体LV2ずつで召喚!!」

手札7⇨4

リザーブ7⇨0

トラッシュ0⇨2

 

「……っ!!」

 

 

司が召喚したのはイタチのような小型スピリット、イーズナと、人間の女性の顔だが、腕や足が鳥のようなものになっているスピリット、ハーピーガール……それが2体だ。

 

どれも司が長年愛用して来たスピリット達であって……その効果は今尚も強力そのもの……

 

 

「アタックステップッ!!やれっ!!」

 

 

司はそう強く言い放ち、合計3体のスピリット達が一斉に椎名のライフをめがけ飛び立った。前のターンでブロッカーを残さなかった椎名は当然防ぐ手段はなく………

 

 

「ライフだっ!!………ぐっ!」

ライフ5⇨4⇨3⇨2

 

 

2体のハーピーガールの翼撃と、イーズナのひっかく攻撃が椎名のライフを一気に半分以上削り取ってしまう。しかもそれだけではなく……

 

 

「ハーピーガールのアタック時効果、【聖命】!!ライフを2つ回復!!さらに朱に染まる薔薇園の効果で2枚ドローー!!」

ライフ4⇨5⇨6

手札4⇨5⇨6

 

 

司のライフに新たな命が吹き込まれると共に、赤き薔薇達はその手札に可能性を恵んだ。

 

司がよく行う強力なコンボ、ライフを増やしつつ、カードをドローするこの動きは今の椎名のデッキだからこそついていけないものがあって………

 

 

「くぅ〜〜っ!!キッツイなぁ!!」

 

「黙れっ!!ターンエンドだ!!」

【イーズナ】LV2(2)BP2000(疲労)

【ハーピーガール】LV2(2)BP4000(疲労)

【ハーピーガール】LV2(2)BP4000(疲労)

 

【朱に染まる薔薇園】LV1

 

バースト【無】

 

 

司はそのターンをエンドとした。

 

椎名はこの時点で改めて思った。やはり、司は強い。底が知れないくらいに………そして、このバトルはとても楽しい……と、

 

そんな次は彼女のターン、司の勢いに負けじと反撃に転じる。

 

 

[ターン06]椎名

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ!!…リフレッシュステップ」

手札4⇨5

リザーブ3⇨4⇨8

トラッシュ4⇨0

【スティングモン】(疲労⇨回復)

 

 

リフレッシュステップに伴い、スティングモンが疲労から回復する。

 

 

「メインステップ!!私は【ギルモン】を召喚っ!!」

手札5⇨4

リザーブ8⇨2

トラッシュ0⇨2

 

 

椎名が呼び出したのは真紅の色に染まる竜型の成長期スピリット、ギルモン。当然ながら、椎名はその召喚時効果で手札を増やしに行く。

 

 

「ディーアークの効果でカードをドローし、ギルモンの召喚時効果!!カードを5枚オープン!!」

手札4⇨5

オープンカード↓

【ブイモン】×

【ワームモン】×

【ライドラモン】×

【メガログラウモン】◯

【デジヴァイス】×

 

 

その効果は成功、椎名は新たに完全体、メガログラウモンのカードを手札に加える。

 

 

「メインマジック、【フェイタルドロー】!!……効果で2枚ドローし、さらに私のライフが2以下なのを条件に、追加で1枚、合計3枚のカードをドロー!!」

手札5⇨6⇨5⇨8

リザーブ2⇨0

トラッシュ2⇨4

 

 

単純でそれでいて明確に強力なドローマジック。それを椎名も使用。その手札量をさらに増強させた。

 

 

「そして、スティングモンのLVを下げ、ディーアークのLVを2にアップ!!でもってその【カードスラッシュ】の効果っ!!メガログラウモン2枚とエクスブイモンを破棄し、そのLV1BP以下のスピリットを破壊っ!!」

【スティングモン】(4⇨2)LV2⇨1

【ディーアーク】(0⇨2)LV1⇨2

 

「っ!?」

 

「私はこの効果でイーズナ1体とハーピーガール2体を破壊!!」

手札8⇨5

破棄カード↓

【メガログラウモン】

【メガログラウモン】

【エクスブイモン】

 

 

椎名のディーアークにカードがスキャされる。そしてその椎名の場に現れるのは真紅の魔竜、その完全体のスピリット、上部の武装が特徴的なメガログラウモンが2体と、蒼き闘竜、エクスブイモン。

 

この3体の一斉射撃でイーズナとハーピーガールが消し飛び、消滅した。その後、計3体のデジタルスピリットは幻だったかのようにゆっくりとその姿を消滅させた。

 

 

「よしっ!!」

「………」

 

 

一気に形成逆転。そう思った椎名はこの場でガッツポーズを見せつける。一方で司はその様子を見ても全く何も反応せず………ただ破壊による爆風を肌で感じながら冷静に現状の状況を分析していた。

 

 

「バーストを伏せて、アタックステップッ!!スティングモンッ!!」

手札5⇨4

【スティングモン】(2⇨3)LV1⇨2

 

 

椎名の場にバーストが伏せられると共に走り出すスティングモン。効果によりコアが乗せられ、またLVが上がる。

 

 

「ライフで受ける」

ライフ6⇨5

 

 

スティングモンの拳がまた司のライフを粉々に玉砕した。だが、ハーピーガールの効果によって回復していた司にとって、この程度のダメージはあまり痛手にはならず………

 

 

「………ターンエンド」

【スティングモン】LV2(3)BP8000(疲労)

【ギルモン】LV3(4)BP6000(回復)

 

【ディーアーク】LV2(2)

【D-3】LV1

 

バースト【有】

 

 

椎名も一旦冷静になり、考え、そのターンをエンドとした。次は司のターン、未だに彼の方がライフは有利とて、ディーアークの【カードスラッシュ】の効果により、盤面はほぼ消え去っているため、一概に完全有利とは言えない。

 

 

[ターン07]司

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ!!……リフレッシュステップ」

手札6⇨7

リザーブ7⇨8⇨10

トラッシュ2⇨0

 

 

ターンシークエンスをゆっくりと進行していく司。そして次はメインステップ………

 

ここからが司のデッキの本領発揮と言える。彼もそう言わんばかりに手札のカードを抜いていく。

 

 

「メインステップ!!俺はイーズナとホークモンを連続召喚っ!!そして、ホークモンの召喚時効果でカードをオープンッ!!」

手札7⇨6⇨5

リザーブ10⇨7

トラッシュ0⇨1

オープンカード↓

【リボルドロー】×

【テイルモン】◯

【ハーピーガール】×

 

 

司が召喚したのは2体目のイーズナと赤き鳥型の成長期スピリット、ホークモン。そしてその召喚時効果も成功に終わり、黄色の成熟期スピリット、テイルモンを新たに手札へと加えた。

 

 

「さらに!!ホークモンの追加効果で2コスト支払い、テイルモンを召喚っ!!」

手札5⇨6⇨5

リザーブ7⇨2

トラッシュ1⇨3

【テイルモン】LV3(3)BP5000

 

 

ネコ型に見えるが、本当はネズミ型の小さき成熟期スピリット、テイルモンがホークモンの横から姿を見せる。

 

司のいつもの展開パターンだ。成長期スピリットと成熟期スピリットを同時に展開することでデッキにある強力な進化系スピリットへのアクセスがしやすくなる。ここから繰り出されるのは大抵、【超進化】か、【アーマー進化】である。

 

 

「俺は手札のホルスモンの【アーマー進化】を発揮!!対象はホークモン!!」

「………!!」

 

「1コスト支払い、羽ばたく愛情、ホルスモンを召喚っ!!」

リザーブ2⇨1

トラッシュ3⇨4

【ホルスモン】LV1(1)BP4000

 

 

ホークモンの頭上に翼をモチーフにした銀色のデジメンタルが降下される。ホークモンはそれと衝突し、混ざり合い、新たな姿へと進化する。

 

新たに現れたのは空飛ぶ獣型アーマー体スピリット、ホルスモン。風を育みながら司の場へと降り立った。

 

 

「ホルスモンの召喚時効果っ!!お前のネクサス、ディーアークを破壊っ!!」

手札5⇨6

 

「っ!!……ディーアークが…!?」

 

 

登場するなり、椎名の腰にあるディーアークを鋭い眼光で睨みつけるホルスモン。すると、ディーアークは内部から破裂。場から消え去ってしまう。

 

 

「これで【カードスラッシュ】は使えない………いくぞっ!!アタックステップッ!!テイルモンでアタックし、効果でカードをオープン!!それを手札に加える!!」

オープンカード↓

【イーズナ】×

手札6⇨7

 

 

走り出すテイルモン。オープンカードは完全体スピリットではないため、ライフ回復はできなかったものの、当然、司の狙いはそこではなく………

 

 

「【超進化:黄】発揮!!テイルモンを完全体、シルフィーモンへ超進化っ!!」

リザーブ1⇨0

【シルフィーモン】LV3(4)BP12000

 

 

テイルモンが0と1で構成されているデジタルコードに巻き付けられ、その中で姿形を大きく変える。それは卵状になり、膨らみ、やがて破裂、中から現れたのは聖なる獣人型スピリット、完全体のシルフィーモンだ。

 

 

「へへ!!出たな〜〜シルフィーモン!!」

「何をヘラヘラと………シルフィーモンの召喚時効果っ!!BP15000以下のスピリット1体を破壊するっ!!」

「……っ!!」

「俺はスティングモンを破壊するっ!!……トップガンッ!!」

 

 

シルフィーモンはスティングモンへと凝縮されたエネルギー弾を投げ飛ばす。スティングモンに逃れる術はなく、命中、腹部に風穴を開けられ、力尽き、倒れ、大爆発を起こした。

 

 

「アタックステップは継続!!……シルフィーモンでアタックッ!!」

 

 

司の命令を受け、地を駆けるシルフィーモン。目指すは当然、椎名のライフ。

 

 

「………ライフで受けるっ!!」

ライフ2⇨1

 

 

シルフィーモンよりBPの低いギルモンでブロックするわけにも行かなかったか、椎名はそのアタックをライフで受ける。シルフィーモンが腕にある鋭利な羽でそれを1つ引き裂いた。

 

これにより、椎名のライフは一気にデッドゾーンへと到達する。が、この瞬間、椎名が事前に伏せていたバーストカードが反転する。

 

 

「ライフ減少により、バースト発動!!」

「………!!」

 

「【マリンエンジェモン】!!……効果によりこれを召喚し、このターン、私のライフはコスト9以下のスピリットからは減らされないっ!!」

リザーブ6⇨3

【マリンエンジェモン】LV3(3)BP9000

 

 

椎名のバーストが反転すると同時に現れたのは小さい桃色の小動物。水中のクリオネみたいに宙をふよふよ舞うそれは、意外にも究極体スピリットの1体であり………

 

マリンエンジェモンは歌う。すると、優雅なメロディと共に椎名のライフは水のバリアで包まれた。

 

 

「………シルフィーモンの効果でライフを1つ回復し、朱に染まる薔薇園の効果で1枚ドロー………………ふんっ!!防御だけで手がいっぱいのようだな………!!」

ライフ5⇨6

手札6⇨7

 

「なんのなんのっ!!これからだよっ!!」

 

 

司の言葉に反応し、右拳を固め、そう言い放った椎名。そんな楽観的で何も考えていないような態度に司はまた怒りを募らせ………

 

 

「……いい加減にしろ……」

「っ!?」

「………本気で戦えっ!!【あの力】を使えっ!!」

「何をぉ!?私はハナっから本気でバトルしてるよっ!!!………てか、【あの力】ってなんだぁぁ!?」

 

 

椎名の前でとうとう【鬼化】の事を話してしまう司。抽象的であるため、椎名は理解しきっていないが………

 

 

「………あの姿のお前に勝たなければ………なんの意味もないっ!!」

「はぁ!?ホントにどうしたんだよ司!?」

 

 

当然、司の言うことなど分からない椎名。あの時の記憶がないのだ。具利度王国で初めて【鬼化】し、メギドラモンをオーバーエヴォリューションで生み出したことなど………

 

 

「…………ターンエンド」

【シルフィーモン】LV3(4)BP12000(疲労)

【イーズナ】LV1(1)BP1000(回復)

【ホルスモン】LV1(1)BP4000(回復)

 

【朱に染まる薔薇園】LV1

 

バースト【無】

 

 

ライフと手札に大きく差をつけ、司はこのターンをエンドとした。次は劣勢を強いられている椎名のターン。司の言った事を若干気にしながらも、ターンを進めていく。

 

 

[ターン08]椎名

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ!!……リフレッシュステップ」

手札4⇨5

リザーブ3⇨4⇨8

トラッシュ4⇨0

 

 

ターンシークエンスを進めていく椎名。次はメインステップ………この状況を打破すべく、椎名は大きな一手を繰り出す。

 

 

「メインステップッ!!……D-3のLVを2に上げ、そして来いっ!!ズバモンッ!!……マリンエンジェモンと合体!!」

手札5⇨4

リザーブ8⇨6⇨4

トラッシュ0⇨2

【D-3】(0⇨2)LV1⇨2

【マリンエンジェモン+ズバモン】LV3(3)BP12000

 

 

椎名が召喚したのは黄金の鎧を携えた成長期スピリットならぬブレイヴ。ズバモン。

 

そしてそれはマリンエンジェモンと合体。……と言っても、サイズの問題で、マリンエンジェモンがズバモンの頭の上に乗っかっただけだが………

 

 

「アタックステップッ!!マリンエンジェモンでアタックッ!!効果でトラッシュからディーアークをLV2でフッカァァツ!!」

リザーブ4⇨2

【ディーアーク】LV2(2)

 

 

マリンエンジェモンの水の力が椎名の腰に再びディーアークを装着させる。そしてこの時、いよいよ椎名も本気か、自身が持つ最強のエーススピリットを呼び出す。

 

 

「フラッシュ!!【煌臨】発揮!!対象はマリンエンジェモン!!」

リザーブ2s⇨1

トラッシュ2⇨3s

 

「…………!!」

 

 

この言葉だけで司は理解した。今から呼び出されるのは間違いなくあのスピリット………それは芽座椎名をあそこまで強くした要因の1つとも言える存在が………

 

マリンエンジェモンがズバモンごと赤い光に包み込まれる。2体はその中で混ざり合い、姿形を大きく変換させる。

 

 

「来いっ!!赤きロイヤルナイツッ!!【デュークモン】っ!!」

手札4⇨3

【デュークモン+ズバモン】LV2(3)BP17000

 

 

赤い光を全て解き放ち、現れたのは伝説のロイヤルナイツの1体にして、椎名の絶対的なエーススピリット、デュークモン。今回は早々にズバモンとの合体状態からでの登場だ。

 

その鎧はいつもより鋭利で鋭く、聖なる槍はレーザー状に変化している。

 

 

「…………デュークモン………!!」

 

「さらにディーアークの効果でドロー」

手札3⇨4

 

 

これだけで圧倒的な存在感があると言える。仮にもロイヤルナイツの1体なのだ。当たり前ではあるが………

 

だが、椎名の展開はまだまだ終わらない。

 

 

「次はD-3のLV2効果を発揮!!……疲労させ、【アーマー進化】を行うっ!!」

【D-3】(回復⇨疲労)

 

「………っ!!」

 

「燃え上がる勇気……【フレイドラモン】を召喚っ!!」

手札4⇨3

【D-3】(2⇨0)LV2⇨1

トラッシュ3s⇨4s

 

 

椎名はD-3を軽くタッチする。D-3はそれに反応し、赤い光を照射する。そこから現れたのは椎名の永遠のエーススピリット、フレイドラモン。スマートな竜人型のアーマー体スピリットだ。

 

 

「フレイドラモンの召喚時効果でBP7000以下のスピリット、ホルスモンを破壊っ!!」

「……っ!!」

 

「爆炎の拳……ナックルファイアァァァア!!!」

手札3⇨4

 

 

フレイドラモンは登場するなり、拳に炎を溜めて、ホルスモンへと射出する。ホルスモンはそれに焼き尽くされ、爆発した。

 

 

「そして!!煌臨スピリットは煌臨元となったスピリットの全ての情報を引き継ぐっ!!アタックは継続っ!!行けっ!!デュークモンッ!!」

 

 

煌臨元であったマリンエンジェモンがアタック中であったため、煌臨したデュークモンもアタック中となる。低空飛行で駆けるデュークモン。さらにこの瞬間にも強力な効果があり…………

 

 

「デュークモンのアタック時効果っ!!トラッシュにある滅竜スピリット1体を手札に戻すことで回復するっ!!トラッシュにあるメガログラウモンのカードを手札に戻し、回復!!……ネクスト・イストリア!!」

手札4⇨5

【デュークモン+ズバモン】(疲労⇨回復)

 

 

眼光を輝かせ、疲労状態から回復状態となるデュークモン。これにより、このターン、2度目のアタック権利を得る。

 

 

「まだだ!!まだまだぁぁあ!!ディーアークの【カードスラッシュ】でもう一度メガログラウモンのカードを破棄!!」

手札5⇨4

破棄カード↓

【メガログラウモン】

 

「………!!」

 

「LV1BP、6000以下のスピリット1体を破壊する!!……私はイーズナを破壊っ!!………アトミックブラスター!!」

 

 

【カードスラッシュ】の効果で今一度場に現れるメガログラウモン。そのまま上部の武装から原始の力が込められたレーザーを照射し、司の場に存在しているイーズナを掻き消してしまう。

 

その後、メガログラウモンは先ほど同様、役目を終えたかのようにゆっくりとその姿を消滅させた。

 

これで、司の場にはアタックしたがために疲労状態となっているシルフィーモンのみ、ブロッカーはゼロ。何もなければ椎名のフルアタックを受けることになる。

 

 

「……ライフで受ける………ぐっ!!」

ライフ6⇨4

 

 

デュークモンの聖なる槍の鋭い刺突が司のライフを一気に2つ貫いた。さらにこの勢いは止まらない。椎名はその場にいるデュークモンにさらなるアタックの指示を送る………

 

 

「もう一度だっ!!デュークモン!!今度はロイヤルセーバーでシルフィーモンを破壊っ!!」

「………ちぃ!!」

 

 

ライフを貫いた後で、司の目の前に聳え立つデュークモン。レーザー状となっている槍を背後にいるシルフィーモンへと軽く向け、聖なる一撃を発射。シルフィーモンを貫き、爆散させた。

 

そしてその目は再び司の方へと振り向き………

 

 

「このターンで終わりだっ!!司っ!!」

 

「詰めが甘いんだよっ!!お前はなぁあっ!!……フラッシュマジック!!シンフォニックバースト!!」

手札7⇨6

リザーブ8⇨6

トラッシュ3⇨5

 

「………っ!!」

 

「そのアタックはライフで受けるっ!!………ぐっ!!………だが、これまでだぁ!!」

ライフ4⇨2

 

 

デュークモンの聖なる槍での刺突が司のライフをさらに大きく貫く。だが、それに反応するかのように司の使用したシンフォニックバーストの効果が発揮され………

 

椎名のスピリット全ては黄色い光に包まれ、このターンのアタックを不可にされてしまう。椎名は必然的にこのターンのエンドを迫られた。

 

 

「………ターンエンドだ」

【ギルモン】LV3(4)BP6000(回復)

【フレイドラモン】LV1(1)BP6000(回復)

【デュークモン+ズバモン】LV2(3)BP17000(疲労)

 

【ディーアーク】LV2(2)

【D-3】LV1

 

バースト【無】

 

 

これでは流石に無理と判断したか、椎名はこのターンを終了させる。次は見事にシンフォニックバーストの効果を使い、椎名の猛攻を止めてみせた司のターン。

 

椎名の風前の灯となっているライフを破壊すべく、ターンを進めて行く。

 

 

[ターン09]司

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ!!……リフレッシュステップ」

手札6⇨7

リザーブ8⇨9⇨14

トラッシュ5⇨0

 

 

朱に染まる薔薇園のみで何も存在しない場。だが、司は結果的に増えたコアを利用し、再びスピリットを多量に展開していく。

 

 

「メインステップ!!俺は3体目のイーズナ、ホークモン、テイルモンを連続召喚!!」

手札7⇨4

リザーブ14⇨6

トラッシュ0⇨3

 

 

司が連続で呼び出したのは本日3体目となるイーズナと、【アーマー進化】の効果によって手札に戻っていたホークモン。そして、【超進化】の効果で手札に戻っていたテイルモンだ。

 

 

「ホークモンの召喚時効果っ!!」

【イエローリカバー】×

【朱に染まる薔薇園】×

【ホウオウモン】×

 

 

展開と同時にホークモンの召喚時効果を使用する司。だが、そこには対象となるデジタルスピリットは存在せず、全てトラッシュへと破棄されてしまった。

 

だが、司はそんなこと全く気にせず、次の一手を飄々と繰り出す。

 

 

「メインマジック!!コールオブロスト!!トラッシュに落ちたシルフィーモンを再び俺の手札に、さらに双光気弾!!お前のディーアークを再び破壊っ!!」

手札4⇨3⇨2⇨3

リザーブ6⇨4⇨2

トラッシュ3⇨5⇨7

 

「っ!!」

 

 

司の使用した2枚マジックカード、1枚はトラッシュに落ちたシルフィーモンのカードを今一度司の手札へと戻し、もう1枚は椎名のディーアークを再び破裂させる。

 

これにより、ディーアークの守りも消え、心置きなく椎名を攻めることができる。

 

 

「アタックステップッ!!テイルモンでアタック!!効果でカードをオープンし、それを手札に加える!!」

オープンカード↓

【フルーツチェンジ】×

手札3⇨4

 

 

司は、テイルモンの効果を使用し、失いかけた手札をもう一度潤していく。もちろんそれだけではない。次はシルフィーモンへの進化だ。

 

 

「【超進化:黄】で再びシルフィーモンを召喚っ!!」

【シルフィーモン】LV3(4s)BP12000

 

 

全くといいほどの同じ手法で、テイルモンは再び司のエーススピリット、シルフィーモンに進化を遂げた。

 

 

「シルフィーモンの召喚時!!フレイドラモンを破壊っ!!」

「……っ!!」

 

 

シルフィーモンの技、トップガン。

 

それは椎名の場にいるフレイドラモンに命中、フレイドラモンは吹き飛ばされ、力尽き、爆発四散した。

 

これで椎名のブロッカーはギルモンのみ、ライフは3。そしてそれに対し、司の場のアタッカーは3体。彼女の残りのライフを破壊するにはあまりにも十分すぎる。

 

だが、椎名はこの状況を打破すべく、ある一手をこの【超進化】発揮後に成熟期のアタックで残るフラッシュタイミングで使用する。

 

 

「フラッシュ!!【アーマー進化】!!対象はギルモン!!」

「………っ!?」

 

 

椎名の場に存在するギルモンが分子レベルまで分解され、椎名の場を退く。そして、それをまるで糧にするかのように、新たなスピリットが椎名の元へと駆けつける………

 

 

「1コスト支払い、黄金の守護竜!!マグナモンを召喚っ!!」

リザーブ4⇨3

トラッシュ4s⇨5s

【マグナモン】LV3(4)BP10000

 

「…………!!」

 

 

現れるは2体目のロイヤルナイツ………

 

最高の硬度の黄金の鎧をその身に宿し、椎名の目の前に現れる。その名はマグナモン。最強のアーマー体にして、伝説のロイヤルナイツの一柱………

 

 

「マグナモンの召喚時効果っ!!相手の最もコストの低いスピリット1体を破壊するっ!!」

「……!!」

「黄金の凶弾!!プラズマシュートッ!!」

 

 

登場するなり、掌から雷を放つマグナモン。それは瞬く間に司の場に存在するイーズナまで伸び、感電させる。小型のイーズナがそれに耐えられるわけもなく、あっさりと爆発してしまった。

 

 

「どうだ司っ!!これでマグナモンがBPで勝てば次のターンで私の勝ちだっ!!」

 

 

マグナモンには疲労状態で何度でも相手のスピリットのアタックをブロックできる強力な効果を備えている。このマグナモンさえいれば椎名のライフは減らない………

 

飽くまでもBPバトルに勝ち続ければの話ではあるが………

 

 

「だったら勝ってみやがれっ!!フラッシュ!!トラッシュから【煌臨】発揮!!対象はシルフィーモン!!」

【シルフィーモン】(4s⇨3)LV3⇨2

トラッシュ7⇨8s

 

「………!!」

 

 

この言葉だけで椎名には司が今から何を呼び出そうとしているのかが容易に想像できた。

 

今から呼び出されるのは【朱雀】、赤羽司の切り札。赤羽一族に伝わる伝説のデジタルスピリット………

 

 

「金色の翼翻す王者よ!!今こそ地上の全てを焼き払えっ!!究極進化ぁぁあ!!」

 

 

司のその口上と共に、合わせるかのごとく、シルフィーモンが聖なる炎へとその身を包み込ませる。シルフィーモンはその中で姿形を大きく変えていく………

 

そしてそこから現れるのは究極の鳥型スピリット………

 

 

「………ホウオウモンッ!!」

【ホウオウモン】LV2(3)BP12000

 

 

聖なる炎を羽ばたきと共に薙ぎ払い、飛翔したのは、赤属性の究極体スピリット………4枚の金色の翼を持つホウオウモン。その優雅な飛び方、鳴声は見るもの誰もを虜にしてしまう。

 

 

「……ホウオウモンッ!!……いつ見てもカッコいいなぁ!!」

 

 

敵側だというのにあいも変わらずはしゃぎ出す芽座椎名。それほどまでにこのバトルを楽しんでいる事が伺えるが、決勝戦で、しかも名誉あるアイランドリーグで出てくる言葉とは到底考えられない。

 

……しかし、そんな椎名だからこそ、今まで数多くのバトルに勝ってきた、又は奇跡を起こして来た。今回もそれが発揮されるか………

 

 

「浮かれてんじゃねぇ!!ホウオウモンの煌臨時効果発揮!!」

「………っ!!」

 

「俺は煌臨元となったシルフィーモンを手札に戻し、BP10000以上のスピリット、デュークモンを破壊するっ!!……金色の超炎!!シャイニングエクスプロージョンッ!!」

手札4⇨5

 

 

ホウオウモンの4枚の翼から解き放たれる同じ金色の色の炎。その熱量は確かに超炎と呼べる代物であって………

 

相手が強ければ強いほどに逃れられないそれは、瞬く間に椎名の場のデュークモンを包み込んで行き、その聖なる鎧ごと焼き尽くしてしまった。

 

デュークモンが消える直前、合体していたブレイヴ、ズバモンが逃げ出すかのように飛び出した。

 

 

「くっ!!デュークモンッ!!」

 

「あの時と全く同じだなっ!!めざしっ!!………お前の負けだっ!!ホウオウモンでアタック!!その効果で残されたズバモンを破壊っ!!」

 

 

さっきまでの攻防は全てテイルモンのアタックによるフラッシュタイミング。ホウオウモンの正式なアタックが始まる。その口内から放たれる金色の炎は椎名の場のブレイヴ、ズバモンをあっさりと消し去った。

 

椎名のライフは1。当然、マグナモンでブロックする他ない。

 

司が明言する通り、この状況はあの時と全く同じである。忘れもしない、もう1年以上前となる【界放リーグ】での準決勝。椎名はこのマグナモンとホウオウモンのBP勝負に敗れ、司に壮絶な敗北を喫した。

 

……忘れるわけがない思い出の1つだ。

 

 

「………今度は負けないっ!!迎え撃てっ!!マグナモンッ!!」

 

 

マグナモンに防御を命ずる椎名。マグナモンはホウオウモンを迎え撃つべく構える。その構えによるものなのか、身体中からマグナモンの持つ黄金の力が広がっていく。

 

それはマグナモンの持つ必殺技。この技で司のホウオウモンを消し去るつもりだ………

 

対するホウオウモンを敵であるマグナモンを視認したか、煌臨した時の態勢になり、翼にそれと同じ色の炎を溜め…………

 

………今一度この両者が激突する………

 

 

「黄金の波動!!エクストリームジハードッ!!」

「金色の超炎!!シャイニングエクスプロージョンッ!!」

 

 

地上からはマグナモンの黄金の波動が、上空からはホウオウモンの金色の超炎が降り注ぎ、【界放リーグ】の時同様、2つの金が激突する。

 

ホウオウモンのBP12000。対するマグナモンはBP10000。やはり不利か、エクストリームジハードが徐々に徐々にと押され始める。

 

……だが、この程度は予想済みか、椎名は手札の1枚でマグナモンをサポートする。

 

 

「フラッシュマジック!!【ワイルドライド】!!このターン、マグナモンのBPを3000アップ!!」

手札4⇨3

リザーブ6⇨3

トラッシュ5s⇨8s

【マグナモン】BP10000⇨13000

 

 

あの時と同様、椎名は緑マジック、ワイルドライドを使用し、そのBPを3000上昇させ、僅かながらにホウオウモンを超えてみせた。

 

マグナモンはその眼光を輝かせ、黄金の力を上昇させる。それに伴い、エクストリームジハードがまたシャイニングエクスプロージョンを押し始めた………

 

これでこのまま何もなければマグナモンがBP勝負に競り勝ち、椎名の勝利がほぼ確定する。

 

………しかし、こうなる事を司が想定していないわけがなく………

 

 

「お前には学習能力が備わっていないのか!?フラッシュマジック!!【フルーツチェンジ】!!」

手札5⇨4

 

「………!!」

 

「この効果でこのバトル中、BPを比べる際、互いのスピリットのBPを入れ替える。不足コストはホウオウモンから確保っ!!」

【ホウオウモン】(3⇨1)LV2⇨1 BP12000⇨7000

 

 

そう、1年前もこれだった。この手によって、椎名は壮絶な敗北を喫した。ホウオウモンからコアが確保され、ホウオウモンはそのBPをより落とすことになる。

 

が、それで良いのだ。フルーツチェンジの効果でBPが入れ替わって仕舞えば、その低めのBPはマグナモンのものになるのだから………

 

 

「俺の………勝ちだっ!!」

 

 

そう言い放ち、ホウオウモンはさらに力強く金色の超炎を放出させていく。今一度その黄金の波動を押し返してみせる。

 

………万事休すか………

 

……だが、椎名はまた、こんな状況でも笑ってみせた。微かにだが、その口角を上げてみせた。そんな彼女の様子を視界に入れてしまった司は驚異と言う名の悪寒を感じ取った。

 

………知っているからだ。

 

………誰よりも………

 

局面であの表情をした芽座椎名と言う人間は……

 

………負けない事を………

 

 

「この時を待ってたんだっ!!ずっとっ!!1年間っ!!………フラッシュマジック!!【ストロングドロー】!!スピリット1体のBPをプラス3000するっ!!」

手札3⇨2

リザーブ3⇨2

トラッシュ8s⇨9s

 

 

椎名が使用したのはまたBP増強のためのフラッシュマジック。

 

だが………

 

 

「バカめっ!!今更マグナモンのBPを上げても全てホウオウモンのBPになるだけだっ!!」

 

 

そう、このタイミングでマグナモンのBPを上昇させても、BPを比べるタイミングになって仕舞えば、それは全て司のホウオウモンのものになってしまう。

 

………このマジックは何の意味もない。

 

………しかし、椎名は………

 

 

「誰がマグナモンのBPを上げるって言った?…………私がBPをアップさせるのは………ホウオウモンッ!!あなただっ!!」

 

「っ!?…なにっ!?」

【ホウオウモン】BP7000⇨10000

 

 

青い光がホウオウモンを包み込み、それの力を上昇させる。

 

そうなのだ。この手のフラッシュマジックは大抵、相手のスピリットもBPアップ対象に含まれる。椎名が狙っていたのは逆転の発想………

 

BPが入れ替わると言うのなら………ホウオウモンのBPを上げて、最終的にはマグナモンのものにしてしまえば良い………

 

そして立て続けに………

 

 

「さらにフラッシュマジック!!【レッドカード】!!このターン、ホウオウモンのBPをさらに3000アップ!!不足コストはマグナモンをLV2にして確保っ!!」

手札2⇨1

リザーブ2⇨0

トラッシュ9s⇨13s

【マグナモン】(4⇨2)LV3⇨2 BP13000⇨11000

 

「くっ!!!………」

【ホウオウモン】BP10000⇨13000

 

 

赤いカードがホウオウモンを潜り抜ける。ホウオウモンはさらにそのBPを上昇してしまう。

 

 

「そしてっ!!BPを比べる際!!フルーツチェンジの効果でマグナモンとホウオウモンのBPが入れ替わるっ!!」

【マグナモン】BP11000⇨13000

 

「………っ!?」

【ホウオウモン】BP13000⇨11000

 

 

このタイミングで全てのフラッシュタイミングが終了し、司の発揮させた黄色のマジック、フルーツチェンジの効果が適応、黄色の淡い光に両者は包まれ、そのBPを入れ替える。

 

その結果、司のホウオウモンのBPは11000。椎名のマグナモンのBPは13000………マグナモンの方が上となった。

 

 

「………ぶちかませぇっ!!マグナモンッ!!フルパワーだぁっ!!」

 

 

椎名の叫びに呼応するかのように、マグナモンは今一度その眼光を輝かせ………黄金の力を最大値まで高める………そこから放たれる波動は誰にも止められやしない。

 

 

「黄金の波動!!エクストリームジハード・マキシムッッ!!」

「………っ!?……め、めざしぃぃぃぃぃい!!!!」

 

 

解き放たれる真の力は超炎などまるで最初からなかったかのように消し去り、凄まじい勢いで上空に佇むホウオウモンに迫る。ホウオウモンは当然逃れられることはなく、それに命中。

 

包み込まれ、その中で超炎同様、散り散りとなって消滅してしまう………

 

……1年と言う長い時間をかけ、ついにマグナモンがホウオウモンに勝利を収めた瞬間であった…………

 

 

「よっしゃぁぁぁあ!!!」

「………ば、馬鹿な………この俺が……俺のホウオウモンが………」

 

 

敗北したホウオウモンの消滅した姿を目の当たりにして、そう呟く司………完璧だった。これまでは殆どと言っていいほどに優勢だった。

 

しかし、このBPバトルに敗北したことで状況が一変。これまで培ってきた有利性の全てを椎名に持っていかれてしまう。

 

だが、少なくともこのターンは終わらざるを得ない。LVが2までダウンしたとはいえ、マグナモンの疲労ブロッカー効果は健在。それもおまけと言わんばかりにワイルドライドの効果で回復もしている………

 

 

「………ターン……エンド……ッ!!」

【ホークモン】LV1(1)BP2000(回復)

 

【朱に染まる薔薇園】LV1

 

バースト【無】

 

 

その声を震わせ、どうしても拭えない屈辱の感情と共に混ぜながら……そのターンのエンドを宣言した司。

 

次は見事に競り勝ち、優位性をその手にもぎ取った椎名のターン。勝利への道を歩みだす。

 

 

[ターン10]椎名

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップッ!!……リフレッシュステップッ!!」

手札1⇨2

リザーブ0⇨1⇨14

トラッシュ13⇨0

 

 

勝利が目前のこのターン………

 

当然ながら、椎名は油断せずにターンシークエンスを慎重に進めて行く………

 

そしてメインステップ………

 

 

「よっしゃっ!!メインステップッ!!ここで一気に勝負を決めるっ!!」

 

 

ここからさらにスピリットを展開し、残り2つである司のライフを破壊する予定だった。

 

………だが、ここで椎名にある異変が発生する……

 

 

「……私はギルモンを召喚…………ん?」

 

 

マグナモンの効果、【アーマー進化】により手札に戻っていたギルモンを再度召喚しようとした直後だった。その自分に起こった異変に気付いたのは………

 

 

「え?なになに!?どゆこと!?」

「………っ!?」

 

 

椎名の身体が………

 

突然デジタルの分子レベルに崩れ去ろうとしていく。それはみるみるうちに彼女の有無を聞かず、身体を蝕んでいき………

 

 

「えぇっ!?ちょっと待って!!どう言うことだよ!?今メッッチャいいとこじゃん!!……う、うわぁぁつ!!」

 

 

消滅してしまった。その身にまとう衣服や使用していたカード、Bパッドごと………

 

Bパッドも消えたことで、当然マグナモンもその姿を消滅させる。司のBパッドとの通信が遮断された証拠だ。

 

 

「…………は?」

 

 

司は信じ難いかのような声を上げる。当然だ。さっきまでバトルしていた人物が突然消え去ったのだ。意味がわからない。どうしようもなく拭えない怒りがまた込み上げてくる。

 

 

「ん?椎名のやつ、どこ行ったんや?……アイランドリーグの演出?」

「……いや、そんなものはないと思うけど………」

 

 

観客席にいる真夏達はそんな会話をしている。このデジタルの映像に頼り切った世界において、この程度の演出ならば朝飯前にできる。

 

が、どこの場所、地域、街、国においても、神聖なるバトルスピリッツを邪魔などするわけがなく………

 

その証拠に、他の観客席の人々も意味がわからず、困惑しているかのような声を漏らしているし、若き実況者もさっきまでは熱くバトルについて語っていたのに、今では音沙汰もなく、フリーズして言葉がなかなか出てこない状態だった。

 

 

「………ちょっと心配じゃあの……わしが運営側に問い合わせてこよう………」

「え?おっちゃん多分それ他の人の仕事やで?心配せんとも椎名ならそのうち出てくるて………」

 

 

流石に椎名のことが心配なのか、六月は席から立ち上がり、そう言い告げる。

 

だが、真夏の言う通り、これは素人がどうこうと言う問題ではない。運営側の処理に任せるしかないだろう。

 

………そんな時だ………

 

 

………そんな時………

 

 

……まるで今のこの状況を待ち望んでいたかのように………

 

 

……観客の困惑の声などよりも遥かに大きな高笑いで………

 

………その男はようやく現れる……

 

 

「ヌフフフフ……………ワァッハッハッハッハ!!!!」

「………っ!?」

「……ついにこの時がやって来た……!!」

 

 

その声を聞いて黙り込む観客達。不思議だ。その声は全ての身体の動きと思考を停止させてしまう。

 

……だが、その声を聞いて、何やりも、それでいて誰よりも反応し、驚愕したのは他でもない。芽座六月。

 

その湿った笑い声は……聞き覚えがある。もう17年、いや、もうすぐ18年聞いていないことになるのか………

 

その声主はある人物と共に、唐突に司のみが存在するバトル場に足を運ぶ………

 

 

「………お、お前は………!?」

「お初にお目にかかるね〜〜〜【朱雀】……【赤羽司】…………私の名は………【Dr.A】!!……ヌフフフフ……よろしく……」

 

 

司の目の前に現れたのは……Dr.A……世界話またにかける、その殆どが謎に包まれているマッドサイエンティスト。おそらくだが、椎名をどこかへ消し去ったのは彼だ。しかし、司が気になったのはそれだけではない。

 

その横にいる人物は………

 

 

「……知ってるさ…Dr.A……だが何故お前がそいつと一緒にいやがる?……スピリットアイランド最高責任者………【功 宗二】!?」

「………」

 

 

Dr.Aの隣にいたのは、他でもない。このスピリットアイランドの創設者にして、この島の最高責任者でもある科学者、【功 宗二】………椎名がこの島に来て仲良くなった少年、【功 流異】の父親でもある。

 

そんな時、静まり返ったせいで、観客に司の声が届いたのか、そのバトル場にいるのがDr.Aだと言うことが観客席にいる全ての人々に伝わり………

 

 

「ど、Dr.A?……日本を中心にイカレタ実験をするって言う………あの?」

「じゃ、じゃあ、俺たちはどうなんだ!?」

「こ、これから僕達を使って何かするんじゃ………」

「そ、それってやばいっ!!!」

「……に、逃げろぉっ!!」

 

 

静まり返っていた観客席が一変、悲鳴で会場は埋め尽くされ、他の観客達は早くここから出ようと大急ぎで走り出す。

 

 

《ちょちょちょっ!!皆さまここは落ち着いて!!………て、おわ!!あわわっ!!うわぁっ!!》

 

 

それを止めようと若き実況者も大勢の人ラッシュに巻き込まれ飲まれ、どこかえ消え去ってしまった。1分もしないうちにそれは収まり、会場には椎名と関係のある人物だけが残ってしまった。

 

 

「………あら?私ってそんなに有名だったんだ……まぁ、この島はセキュリティが固いからどこに行ったって逃げられないけどね〜」

「おいっ!!民間人には手を出さない約束だろっ!!」

「はいはい、全く普通の科学者は頭がお固い」

 

 

Dr.Aの言うことに、若干の怒りを覚え、そう発言する宗二。しかし、やはり何かしらの約束は交わしたかのような発言もしている。

 

 

「………あ、あいつがDr.A?………夜宵ほんとかいな?」

「………い、いや、私の時は目の前に姿を見せてないから………」

「でもあの覆面、間違いないよ………」

 

 

観客席で初めてDr.Aの姿を目の当たりにした真夏、夜宵、雅治。夜宵は一度間接的に彼と関わっていたものの、実際にその姿を見せていたのは父、【紫治 城門】のみであったため、今回が初となった。

 

 

「………ど、Dr.A?………あれが?」

 

 

芽座六月はDr.Aという名の人物は聞いたことがあった。だが、それは飽くまでもタチの悪い犯罪者と言ったテイストでの認識。

 

………だが、今回、初めてそれを目の前で目視し、声を聞いて………思い出していた。

 

………奴を……

 

………いや、そんなはずはない。奴はあの時確かに死んだ。【あの子】と共に、あの大きな火事で………

 

しかし、そこにいるのは、どうしても奴にしか見えない……

 

………そんな六月に気付いたのか、Dr.Aは彼の方を振り向き………

 

 

「おやおや〜〜?………こりゃまた随分と懐かしい奴がいるね〜〜………久しいな………【六月】!!」

「……っ!!」

「え?」

「な、なんでDr.Aはおっちゃんの名前を知っとんねん!?」

 

 

Dr.Aは見事に芽座六月の名を的中させた。

 

理由は簡単。初めから知っていたから………そう、昔から知っている。幼い時からずっと………界放市の現市長、【木戸 相落】と六月、そして彼は………友だった。唯一無二の……かけがえのない………

 

六月は背筋をはじめとする身体全体が震え上がった………

 

……間違いない。

 

……間違いなくあいつだ………

 

……そう六月は心に言い聞かせながらも、Dr.Aはその証拠を彼に見せつけるかのように、独特な絵の覆面を脱ぎ始める。

 

そして、完全に外し、その場に覆面を捨て去り、素顔を晒す………その顔を見た六月は確信に変わった。

 

六月と同じ観客席にいる真夏達やDr.Aと面と向かって対峙している司は驚愕した……その顔を………

 

 

「いや〜〜……あの時は熱かったよ………お陰で私の顔はずっとこのまんま………まぁ、別に怒ってないけどね〜〜ヌフフフフ」

 

 

その顔には痛々しい程存在する無数の火傷の跡………歳によるシワのせいもあって、その表情はより歪んで見える。

 

 

「………あ、暗利ぃぃぃぃぃい!!!!」

 

 

六月は叫ばずにはいられなかった………

 

その名を……

 

……【徳川暗利(とくがわ あんり)】の名を………

 

……その正体はDr.A……それは芽座椎名の育て親、【芽座六月】と、界放市の現市長、【木戸 相落】の親友にして………全ての元凶………椎名のバトスピ物語において、必然的に立ちはだかる………闇の主犯………

 

 

 




〈本日のハイライトカード!!〉


椎名「本日のハイライトカードは【ズバモン】!!」

椎名「ズバモンは6色全てを揃えたデジタルブレイヴ!!【進化:全色】の効果や、合体時の効果はデジタルスピリットのデッキとは相性抜群っ!!」


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〈次回予告!!〉


ついに姿を見せたDr.A。彼はこの島の最高責任者、功 宗二と手を取り、この島のセキュリティ権限を乗っ取っていた。一方、椎名は地下に強制転移させられてしまう。そしてそこで鉢合わせた人物は………次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ、「動き出した闇、デュークモンVSベルゼブモン!!」……今、バトスピが進化を超える!!



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