バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

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第69話「動き出した闇、デュークモンVSベルゼブモン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界政府が認めたS級犯罪者、【Dr.A】………世界各地にいる心悩む人々に立ち寄り、実験と称し、力を貸す。

 

彼の持つ科学力は最早人智など軽く超えているという。彼と関わりを持った者は必ずと言っていいほどにただで済む事はない。必ずその者の命よりも大きな代償を払うことになる。

 

******

 

 

突然現れたDr.Aに怯え、観客や実況者が逃げ惑い、このアイランドリーグのスタジアムはすっかり静かになってしまった。それほどまでにDr.Aという名は世界に知れ渡っているのが伺える。

 

今尚もこの会場にいるのは、目の前で彼と対面している司、観客席にいる真夏、雅治、夜宵、六月。そして、何故かDr.Aの横にいる功 宗二。このスピリットアイランドの最高責任者であり、椎名達をこの島に案内、及び招待した張本人。しかも、椎名と仲良くなった功 流異の父親でもある。

 

 

「………あ、暗利?………おじいさん、あなた、Dr.Aの事を知ってるんですか!?」

 

 

覆面を脱ぎ捨てたDr.A。それを見て、六月は叫んでしまった。彼の本当の名前を………

 

……当然、司を始めとした、他の人物は知らない、彼の事を知っているのは、部下である銃魔を除けば、今やこの芽座六月と、現界放市市長、木戸相落のみであろう。

 

雅治がそれに反応し、そう六月に質問するが、六月はそれに対し一切の返事ができなかった。

 

言えないのだ。17年前、いや、もう18年前の真実を語ることになるからだ。これだけは口外できない。絶対に、自分の口からは言えなかった。

 

 

「相変わらず、血の気が多いね〜〜……【エニーズ】はどうだい?お前が育てたのだろう?」

「……っ!?………椎名をどこかへ消したのはお前か暗利っ!!」

「……あぁ、まぁね………あの子にはちょっとした試練を乗り越えてもらうことにしたよ〜〜【最後の覚醒】のために……!!」

「………っ!!」

 

 

真夏や司達では到底分かり得ない会話を交わす六月とDr.A、もとい徳川暗利………

 

 

「ちょっ!!おっちゃん!!さっきからどゆことや!?【エニーズ】て何!?」

「………椎名をどこへやった!?わしをそこに案内しろ!!!」

 

 

真夏の言葉にも全く聞く耳を持たない六月。なかなか冷静になれないのだ。

 

このままではマズイ………椎名が全てを知ってしまう。それだけは避けなければならないからこそ、六月は今焦っている。

 

 

「私がなんで生きているとは聞かないんだね〜〜……ちょっと残念」

「黙れっ!!早く教えろっ!!」

「いいのかな〜〜私を急かしても………」

「っ!?」

 

 

そんな血気盛な六月に対し、まるでDr.Aはこうなる事を読んでいたかのように、六月の行動を制限する。

 

 

「……いいかい?六月……今私はこのスピリットアイランドに存在する全てのスピリットをコントロールできる!!……この島の最高責任者、功 宗二博士のおかげでね!!」

「なにっ!?」

「余計な事をすればどうなるかわからないお前ではないだろう?……なら、そこでその子らとじっと指を咥えて見ているんだね」

「………あ、暗利ぃぃぃぃぃぃい!!」

 

 

今のDr.Aはこの島に存在する全てのスピリットの制御を行える。島にいるスピリットとは、当然ながら、スピリットプロテクターにより、実体化している。

 

実体化しているスピリットと言えば、普通にBパッドを使って召喚しているスピリットとはわけが違う。人に危害を加える可能性があるのだ。それが悪人の意のままに操ることができるなど、考えなくとも最悪な状況。

 

言うなれば、今のこの状況はこのスピリットアイランドに住まう全ての人々を人質に取られているようなものだ。六月はその事を理解しているからこそ、この場から動けなくなる。それは真夏達も同様に………

 

なんとも悪者らしい、卑怯で、卑劣な一手だ。

 

そんなDr.Aは目の前にいる司の方へと体を向け………

 

 

「【エニーズ】の覚醒も大事だけど、銃魔が目をつけた君にも非常に興味深い………【朱雀】、赤羽司……!!」

「………!!」

「どうだい?私がこれから作る進化した世界に来る気はないかい?争いも紛争もない何もかもが平和な世界へ……!!」

 

 

【進化した世界】

 

【争いも紛争もない世界】

 

これらの言葉は銃魔とバトルした時に彼から聞いた。この言葉の一致により、本当に彼らは繋がっていることが明らかとなる。

 

 

「そこには【エニーズ】も連れて行く。君はあの子に勝ちたいのだろう?じゃあ共に………」

「………行くわけないだろ!!」

「………あら」

 

 

そのスカウトをあっさりと断る司。

 

当然だ。誰が好きで犯罪者の元へと行くものか………

 

 

「………そもそも、【エニーズ】ってなんだ!!めざしの事か!?………あいつはなんなんだ!?」

「………ヌフフ、そうか君はあの時【鬼化】まで見たんだよね〜……そりゃ気になるか」

 

 

司は聞いた。

 

おそらく全ての事柄を理解しているであろう主犯に………芽座椎名を何故【エニーズ】と呼称するのか、【鬼化】とはなんなのかを………

 

……その事を聞いて驚く真夏達。自分達のわからないところで話がどんどん進んでいく……正直ついていけない。

 

だが、六月は………

 

 

「………【鬼化】……だと!?」

「そうだよ六月……【エニーズ】は一度【鬼化】を行い、オーバーエヴォリューションを繰り返した………ヌフフフフ、めでたいね〜〜」

「馬鹿な……椎名が……!!」

 

 

何故鬼化した。

 

何故

 

あの優しくて大らかな椎名が………

 

そんなわけがない。そんなわけがないと自分に言い聞かせるが、司の言葉が何よりの証拠だ。普通に暮らしていて、【鬼化】などという言葉が出てくるわけがない。

 

 

「おいっ!!おっちゃんっっ!!………いい加減話しぃ!!【エニーズ】って何や!!【鬼化】てなんやっ!?」

「緑坂さん!!落ち着いて……!!」

「……真夏ちゃん!!」

 

 

とうとう痺れを切らした真夏。六月の両肩に両手を置き、急かすように揺さぶる。余りの勢いに雅治と夜宵が止めに入る。

 

六月はそれに対し、一切口を開けず、寡黙を続ける。

 

………そんな真夏達を見てか、Dr.Aが六月に代わり………

 

 

「それでは私が話そう、お嬢さん!!」

「「「!?」」」

「………やめろ……暗利っ!!」

 

 

止めようとする六月。しかし、その言葉はどこか弱々しくて……

 

Dr.Aはその口を淡々と動かしていく……

 

どうしようもなく、真夏達はその言葉を耳に受け付けてしまう。

 

 

「【エニーズ】とは!!遥か昔、弥生時代においての渡来人!!今の【オーバーエヴォリューション】の発端となった人物!!【エニー・アゼム】からもじった造語であり!!当時生息していた【鬼】のDNAを持つ存在!!…………」

「………やめろ」

 

 

六月の制止を聞かず、Dr.Aはその口を止めない。

 

 

「………そして何より、私が造り上げた!!最高傑作なのだっ!!」

「「「「!?」」」」

 

 

この言葉に………

 

誰もが驚いた。

 

しかし、最早どこから驚けばいいのかわからない。

 

【エニー・アゼム】とは、この世界なら常識のように社会の教科書に出てくる偉人だ。【オーバーエヴォリューション】を繰り返し、今の人類の発展に大きく貢献した女性だ。

 

そんな彼女と同時期に【鬼】という生物が本当に存在していて、椎名はその【鬼】のDNAを持っている?

 

それより、Dr.Aが椎名を造った?

 

………わけがわからない。そんな事信じられるわけがない。

 

しかし、今のDr.Aが嘘をついているとは、彼らは到底思えず………その場で何も反論できず、立ち尽くしている六月が何よりもその言葉の信憑性を高めていた。

 

 

「まぁ、彼女は所謂人造人間………いや、人造鬼と言った方が良いかも知れませんね〜〜ヌフフフフ」

 

 

何故笑っていられるのか、驚愕のあまり逆に黙り込む真夏達を前にその湿った笑い声を響かせるDr.A。

 

 

「ちょっと待ってくださいっ!!椎名が鬼!?先ず鬼なんてただの人の恐怖の感情が生んだただの想像上の生き物だ!!そんなものが世界にいたなんて信じられない!!」

 

 

勢いよく反論して来たのは雅治だ。

 

当たり前……

 

ごくごく当たり前の意見だった。この世界において、【鬼】などいるわけがない。常識から出てくる普通の発想だ。

 

 

「………ヌフフフフ、世界が隠蔽しているだけで、【鬼】はいたのだよ、少年……!!」

「っ?!」

「【鬼】とは、弥生時代に生まれた、我らホモ・サピエンス、いわゆる人間を超越した存在!!【何度も進化を繰り返す力】で人を幾度となく脅威に陥れて来た!!」

 

 

また淡々と説明を始めるDr.A。

 

彼の言う通り、【鬼】とは、確かにこの地上に存在していた。【何度も進化を繰り返し】……自分らの住まう領地を拡大すべく、当時の人々を襲っていた。

 

……だが、その一族は唐突に滅びることになる。

 

 

「そしてそれを滅ぼしたのが【エニー・アゼム】!!鬼達同様進化を繰り返す力を使い、鬼を滅ぼし、この世界を人間の手中に収めさせたっ!!」

 

 

本来、【エニー・アゼム】を習う際には、この事は教授しない。【鬼】という存在が世界に知れ渡ってしまうからだ。もしそうなれば、人々はいもしないその存在に恐怖し、一種の社会科現象を巻き起こしてしまうと思われたからである。

 

 

「………そして、私はその鬼の化石からDNAを採取し、造り上げたのが、今の君たちが【芽座椎名】と呼ぶ………【エニーズ】なのだよ………!!」

「………」

 

 

これは、またいずれどこかで詳しく語ることになるだろうが、

 

約18年前の当時、椎名を造り上げたDr.Aはその鬼化の力を使い、世界を変えることを目的としている事を知ってしまった六月がこれを良しとせず、【エニーズ】を連れ出し、脱走………

 

こうして、【エニーズ】は【芽座椎名】と名付けられ、芽座六月の元で育てられた。

 

 

「【エニーズ】を連れ去った事………未だに腹立たしいが、私はお前に感謝しているよ六月……君は結果的に【エニーズ】を育てた……私が世界を進化させる【キーパーソン】を………」

「………っ!!」

 

 

そして、その時に話しかけてくる人物が1人………それは六月や司、真夏達でさえもなく………

 

 

「Dr.A!!そんな話はどうでも良い!!早く息子を………流異を……あの子の病気を完治してくれっ!!」

「……むぅ?」

 

 

Dr.Aにそう強く言い放ったのは、すぐ横にいる功 宗二。彼にとっては、当然【芽座椎名】と【エニーズ】の因果関係などどうでもいいことだ。

 

彼は息子の病気を完治して欲しいがために、今日という日、Dr.AがS級の犯罪者と知っていながらも、何もかもを協力して来た。

 

大会のトーナメント表を弄り、椎名をここの地下へと消し去り、おまけに実体化するスピリット達の制御装置までもを彼に譲渡したのだ。これで約束を守ってもらわねば割りに合わなさすぎる。

 

 

「まあったく煩い男だね君は………あの子ならとっくに治したよ」

「ほ、本当か!?」

「………あぁ、本当さ………お〜〜い!!流異君!!」

 

 

Dr.Aがそう呼ぶと、会場の入り口からゆっくりと歩いてくる少年の影が1つ。【功 流異】だ。

 

 

「流異!!」

 

 

その様子に、宗二は顔色が良くなり、思わず流異の元へと駆け出した。

 

………しかし、

 

 

「………邪魔だ!!」

「っ!?………何を言っている……!?……父さんがわからないのか!?」

 

 

目の前まで来ると、流異は何故かそう強く宗二に言い放った。10にも満たないその少年はとても優しい子で、今まで父親である彼にそんな事を口走った事は一度たりともないと言うのに………

 

その後流異は何故か司の方へと振り向き………

 

 

「赤羽司……!!……お前がDr.Aの元へ来ないなら、僕がお前を無理やり連れて行く!!」

「っ!?」

 

 

デッキを手に………

 

目の前の司へとそれをかざす。まるで宣戦布告でもしているかのように………

 

 

「……ど、どういう事だ!!Dr.A!!流異に何をした!?」

 

 

流異のこの奇行を見て、宗二は当然Dr.Aに怒りをぶつける。当たり前だ。父親としては………

 

 

「何をしたって………治したよ、病気は…………」

「なら何故!!?」

「私の治療法はちょっと変わっていてね〜〜その人物に【進化の力】を流し込むんだよ………オーバーエヴォリューションの時のみ発せられるエネルギーをね」

「っ!?」

 

 

【オーバーエヴォリューション】………最早説明するまでもない、バトラーとデッキの絆間に起きる奇跡の現象だが、

 

しかし、その実態は絆によるものではない。本来、オーバーエヴォリューションとは、人の進化の力がデッキに作用されて起きる現象。奇跡でもなんでもない。

 

人には誰しも進化の力がある。その事は発掘される化石や遺跡などから証明されている。人間は幾度となく繰り返された進化によって、今の姿を象っている。そういった人間という生物の進化の力がデッキになんらかの因果関係を結び、【オーバーエヴォリューション】は起こるのだ。

 

これもまた、世界が隠蔽されている本当の真実の1つ。

 

 

「………ヌフフフフ、そしたらさ〜〜……この子思った以上に強い進化の力を持っているから……急遽【私の操り人形】として動かす事にしました〜〜!!」

「……な、なぁ!?」

「!?」

 

 

その言葉に、また驚かされる一同。

 

流異の言動がおかしくなってしまった理由はそこにある。手術の際、思ってた以上に進化の力が強かった流異を見て、これは使えると見たDr.Aは………要らないくらい余分に【進化の力】を注ぎ………流異を操り人形とした。

 

今の流異は彼の、Dr.Aの言うことしか聞かない………

 

 

「……わ、私を騙したのか!?」

「私を信じる方が悪い……」

「暗利ぃ!!お前……どこまで腐れば気が済む!?……そんな小さな子まで!!」

「あーあー……煩いな六月……私が手に入れた【おもちゃ】なんだ。私が好きに使わなくてどうする」

 

 

これが……Dr.Aのやり口、人の欲望に入り込み、誘惑し、期待させ………最後は裏切る。夜宵の父、【紫治城門】の時もそうだった。最初から彼の妻である紫治亜槌など蘇らせる気もなかった。

 

 

「さぁ、赤羽司………流異君にバトルを申し込まれているよ………君がバトルに勝てばこの子は助かる」

「っ!?」

 

 

流異は今、Dr.Aのスカウトを断った司にバトルを挑み、無理矢理彼の元へ司を連れ去ろうしている。

 

そして、流異を元に戻すためにはバトルに勝つ意外の方法はないという………ならばやるしかない。そう考え………

 

 

「わかった……そのバトル……」

「ダメだよ司ちゃん!!」

「っ!?」

 

 

……「受けて立つ」……そう言い放とうとした司を制止させたのは夜宵だった。

 

 

「嫌な予感がする………お願い!!やらないでっ!!」

「な、何を言っている!?……頼む赤羽司!!バトルしてくれ!!頼む!!流異を助けてくれ!!たった1人の息子なんだ!!」

「っ!?……テメェ、今更……テメェが誰に協力したかわかってんのか!?」

 

 

夜宵の言葉を聞き、マズイと判断したか、司にバトルするようしがみつき、切羽詰まった口調でバトルする事を強く懇願するスピリットアイランドの最高責任者、功 宗二。

 

とてもではないが、彼が言えた口ではない。どんな理由があれ、彼はDr.Aに協力し、悪事を働いた。立派な共犯者である。

 

だが、それでも司は………

 

 

「………ちぃ!!めんどくせぇ………が、一応引き受けてやる……」

「っ!?司ちゃん!?」

「っ!!ありがとう!!……ありがとう!!」

 

 

正直気が向かなかったが、ここはやるしかない。

 

あの汚いDr.Aの事だ。ここを断れば実体化したスピリット達にこの島の人々を襲わせるに違いない。そう推理して………

 

心苦しくなる夜宵。雅治はその手を彼女の肩に置き、「今は司を信じよう」……と軽く呟いた。

 

そうだ。今はスピリットアイランド中の人々が人質に獲られているも同然。どちらにせよこのバトルは引き受ける他なかった。

 

夜宵もその事を悟ったか、ゆっくりとその身を引いた。司がこのバトルに勝利する事を信じて………

 

六月はどれだけこの事を歯がゆく思った事だろう。ただじっと見守ることしかできないとは………椎名を探しにも行けず、たった1人の少年にこの島の運命を託してしまうなどと………苦しかった。

 

 

******

 

 

「………うーん……ん?…………あれぇ?私何寝てたんだ?…………あっ!!そうじゃん決勝!!バトル!!司っ!!どこ行った!?てか私がどこ行った!?」

 

 

とある場所で目を覚ました椎名。バトルした直後だったということもあって落ち着かず、慌て出す。当然、何も知らない。自分の素性も何もかも………

 

 

「………ここは地下だ……予選でも来たはずだが?」

「っ!?」

 

 

突然、聞き覚えのある声が椎名の耳を通過する。

 

知っている。忘れもしない、この声は………

 

 

「………久し振りだな、芽座椎名………いや、【エニーズ】……」

「っ!!銃魔……!!」

 

 

それは銃魔。何故かこの大会に参加し、何故か司にわざと負けた男。彼は椎名が起きるのを待ち構えていたかのようにその場に立ち尽くしていた。

 

 

「な、なんであなたがここに!?……てか、【エニーズ】って何?」

 

 

椎名は銃魔に質問した。その【エニーズ】が自分の本当の名前だと知らずに………

 

 

「質問が多いな…………ゆっくり話そう、先ず、俺がここにいるのは、Dr.Aの命令を受けたからだ」

「っ!?Dr.A!?」

 

 

椎名はこの時初めて知った。銃魔がDr.Aと繋がりがあること。そしてなんとなくだが、そのことで司と揉めていたこと。

 

僅かながらに驚きを隠せないのか、椎名は銃魔を警戒し、その場で半歩後ずさる。

 

 

「……もう1つ…【エニーズ】とは、お前の本当の名前だ………」

「……本当の名前?……私の?……なんでそんなこと知ってんの?」

 

 

普通なら、普通の過去を知らない人間ならばどれだけ驚くことだろう。どれだけ食いつくことだろう。だが、この椎名はそんな素振りを全く見せず、冷や汗1つかかずに不思議そうな顔で銃魔を見つめる。

 

これは自分の事に関しては無関心な事を表している証拠でもあって………

 

 

「………今……上ではDr.Aが貴様達の仲間を奇襲している事だろう」

「っ!?」

「ほお、そこは食いつくのだな……」

 

 

今現在、Dr.Aが会場で仲間達を襲っていると聞くと、椎名はすぐさま目の色を変える。

 

そして、銃魔は自身のBパッドを取り出し、スイッチを押す。すると、四角い巨大なモニターが現れ、上での映像が流れる。

 

椎名はそれを視認した。そこに映し出されたのは………

 

 

「え?………なんで司と流異君がバトルしてるの!?」

 

 

……そこには既に始まっている司と流異のバトル。互いに手札を切り合い、スピリットを召喚していた。特に流異など見たこともないスピリットを召喚しており………

 

 

「ほお、知り合いとは驚いた……あの子はDr.Aの操り人形と化した。戻すためにはバトルに勝つしかない」

「……っ!?……い、行かなきゃ!!」

 

 

この事態を知って仕舞えば、当然戻らなければならない。Dr.Aがどれだけ危ない人間かはよく知っているからだ。そして、そこへ行くためには地下から表にでるしかないのだが……

 

 

「それを止めるための俺だ……」

 

 

銃魔がそれを阻む。

 

 

「っ!?邪魔するなっ!!」

「なら、先ずは俺を倒してからにするんだな」

「………っ!!」

 

 

椎名に残された選択肢はただ1つ。目の前の銃魔を倒すしかない。ここを突破せねば上には行けないのだ。

 

椎名は仕方なく自身もBパッドを展開し………

 

 

「絶対に退いてもらうっ!!」

「…………行くぞ」

 

 

そして、始まる。

 

椎名は上に行って仲間達を助け出すために………

 

銃魔は目の前の【エニーズ】を【覚醒】させるために………

 

………今まさに熾烈な争いが起ころうとしていた。

 

 

「「ゲートオープン、界放!!」」

 

 

バトルが始まる。

 

先行は銃魔……

 

 

[ターン01]銃魔

 

 

「スタートステップ、ドローステップ……メインステップ、俺は魂鬼をLV1で召喚し、ネクサスカード旅団の摩天楼を2枚連続配置、効果によりカードを2枚ドロー………ターンエンド」

手札4⇨5⇨4⇨3⇨2⇨3⇨4

リザーブ4⇨0

トラッシュ0⇨3

 

【魂鬼】LV1(1s)BP1000(回復)

 

【旅団の摩天楼】LV1

【旅団の摩天楼】LV1

 

バースト【無】

 

 

バトルスピリッツにおいての殆どの行動が制限されるはずの先行の第1ターン目であるにもかかわらず、銃魔はいきなり大きく展開していく。場には人魂ならぬ鬼魂、魂鬼。背後には摩天楼が2つ聳え立つ。

 

銃魔はターンを終え、次は椎名。早く仲間達のところに行かなければならないという焦りが、このバトルを早急に進展させる。

 

 

[ターン02]椎名

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ!!………メインステップ!!ブイモンを召喚っ!!」

手札4⇨5⇨4

リザーブ4⇨5⇨1

トラッシュ0⇨3

 

 

椎名が颯爽と呼び出したのは青くて小さな竜、成長期スピリットのブイモン。当然のようにその召喚時効果が発揮される。

 

 

「召喚時効果っ!!カードをオープン!!」

オープンカード↓

【ライドラモン】◯

【ギルモン】×

 

 

そしてその召喚時効果は成功、椎名は新たにアーマー体スピリット、ライドラモンのカードを手札へと加えた。そしてその直後に再びそれをかざし………

 

 

「ライドラモンの【アーマー進化】発揮!!対象はブイモンっ!!」

手札4⇨5

リザーブ1⇨0

トラッシュ3⇨4

 

「………!!」

 

 

ブイモンの頭上に黒いひょうたんの形をした何かが投下される。ブイモンはそれと衝突し、混ざり合い、新たな進化を遂げる。

 

 

「……轟く友情!!ライドラモンを召喚!!」

【ライドラモン】LV1(1)BP5000

 

 

現れたのは黒いボディの獣型のアーマー体スピリット、ライドラモン。青い稲妻が今日もこの場に轟いている。

 

 

「ライドラモンの召喚時効果でコアを増やすっ!!」

トラッシュ4⇨6

 

 

登場するなり大きく吠えるライドラモン。その雄叫びは椎名のトラッシュにあるコアを増加させる。

 

 

「アタックステップっ!!ライドラモンでアタックっ!!」

 

 

椎名の命令を受け、瞬時に走り出すライドラモン。

 

銃魔というカードバトラーを知っているのなら、この時、もっとも危険視すべきはもちろん自分のコスト3以下の紫スピリットが破壊された時に召喚できるベルゼブモン。

 

だが、今現在、銃魔が使用できるコア数はたったの1。ベルゼブモン召喚には1コストを払わなければならないため、少なくともこのターンでは召喚できないのは明らかであった。

 

椎名はそれを見越してのアタックである。

 

しかし、銃魔は意外な戦法を取ってきて………

 

 

「魂鬼でブロック!!」

「っ!?」

 

 

ライフで受けないのか?

 

そう直感的に思った椎名。それもそのはず、この序盤。ライフで受けるのがもっとも得策である。しかもブロックするのはBPの弱い魂鬼。もっと言えばベルゼブモンを召喚できないこの状況でのブロックでは、浅はかと言わざるを得ない。

 

ブロックに回る魂鬼。だが、椎名のライドラモンの鋭い突進により、あっさりと引き裂かれてしまった。

 

 

「魂鬼の破壊時効果により、1枚ドロー………さらに!!俺は幽騎士ナイトライダー〈R〉の効果を発揮!!」

手札4⇨5

 

「っ!?……ベルゼブモンでもない!?」

 

「この効果で、俺はこいつをノーコスト召喚するっ!!」

手札5⇨4

【幽騎士ナイトライダー〈R〉】LV1(1)BP4000

 

 

魂鬼の破壊とともに広がる紫の闇。そこから駿馬を駆り、場に現れたのは幽騎士ナイトライダー。その来ている甲冑からは途方も無いほどの闇が漏れている。

 

 

「っ!!ベルゼブモン以外にもこんな奴を………くっ!!ターンエンドっ!!」

【ライドラモン】LV1(1)BP5000(疲労)

 

バースト【無】

 

 

これは椎名が迂闊だったか、ベルゼブモンは召喚できないと思っていたところを銃魔につかれた。

 

結局ライフを破壊できなかっただけではなく、弱小スピリットから強力なスピリットへの変換を許してしまった。

 

次は見事にナイトライダーの召喚を成功させた銃魔。

 

 

[ターン03]銃魔

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ!!……リフレッシュステップ」

手札4⇨5

リザーブ0⇨1⇨4

トラッシュ3⇨0

 

 

次はメインステップ。このターンから彼も動き出すつもりなのか、その気迫でそれがひしひしと伝わってくる。

 

 

「メインステップ!!……俺はナイトライダーのLVを上げ、さらにシキツルを召喚!!召喚時効果で1枚ドロー!!」

手札5⇨4⇨5

リザーブ4⇨0

トラッシュ0⇨1

【幽騎士ナイトライダー〈R〉】(1⇨3)LV1⇨2

 

 

銃魔はナイトライダーにコアが置き、その力を上昇させる。そして二の次と呼び出したのは折紙の鶴のような見た目の紫スピリット、シキツル。その汎用性の高い効果でカードをドローした。

 

 

「アタックステップ!!ナイトライダーでアタックっ!!……そのアタック時効果で疲労状態のスピリット1体を破壊っ!!」

「……なにっ!?」

「ライドラモンを破壊するっ!!」

 

 

駆け出すナイトライダー。そのレイピアの先をライドラモンに向け、ライドラモンの生気をを吸い取っていく。ライドラモンはそれに伴い干からび、ゆっくりと消滅してしまった。

 

 

「アタックは継続中っ!!」

 

「……ライフで受けるっ!!………ぐっ!!」

ライフ5⇨4

 

 

ナイトライダーの一閃が椎名のライフを1つ切り裂く。

 

と同時に、また具利度王国の時以来の大きなバトルダメージが発生。身がたじろぐ程のバトルダメージが椎名を今一度襲う。

 

 

「続けシキツルっ!!」

 

「そ、それもだ………うわっっ!!」

ライフ4⇨3

 

 

今度はシキツルの体当たりが炸裂し、椎名のライフを砕く。椎名はまたバトルダメージにより苦痛を味わう。

 

 

「………ターンエンドだ」

【幽騎士ナイトライダー〈R〉】LV2(3)BP6000(疲労)

【シキツル】LV1(1)BP1000(疲労)

 

【旅団の摩天楼】LV1

【旅団の摩天楼】LV1

 

バースト【無】

 

 

大きく自分の優勢な盤面を作り上げ、銃魔はこのターンをエンドとした。次は椎名のターン。ここでライドラモンの召喚時効果で増えたコアが存分に使えるため、勝負はここからであると言える………

 

 

[ターン04]椎名

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ!!……リフレッシュステップ!!」

手札5⇨6

リザーブ3⇨4⇨10

トラッシュ6⇨0

 

 

ライドラモンの召喚時のタイムラグも終わり、椎名の総コア数は爆発的に上昇。ここからが反撃と言わんばかりに椎名は逆転へと大きく動き出す。

 

 

「メインステップ!!…もう一度ブイモンを召喚し、召喚時効果発揮!!」

手札6⇨5

リザーブ10⇨6

トラッシュ0⇨3

オープンカード↓

【スティングモン】◯

【ワームモン】×

 

 

ライドラモンの【アーマー進化】の効果で手札へと帰還していたブイモンが再度場へと姿を見せる。そしてその召喚時効果も成功、椎名は新たにスティングモンのカードを手札へと加えた。

 

 

「さらに!!追加効果で2コスト払い、このスティングモンをLV2で召喚っ!!」

手札5⇨6⇨5

リザーブ6⇨0

トラッシュ3⇨5

【スティングモン】(4⇨5)LV2⇨3

 

 

ブイモンに続くように椎名の前に現れるのは緑のスマートな昆虫戦士、スティングモン。その召喚時効果でコアを増やし、LVをアップさせる。

 

 

「アタックステップっ!!スティングモンでアタックッ!!」

【スティングモン】(5⇨6)

 

 

スティングモンにアタックの指示を送る椎名。

 

そしてこのタイミングで、スティングモンはある効果を発揮できる。それは椎名のエースを召喚できる優秀なもの…………

 

 

「スティングモンの【超進化:緑】を発揮!!」

「……!!」

 

 

スティングモンに0と1で構成されたデジタルコードが巻きつけられる。スティングモンはその中で姿形を大きく変え、新たな姿へと進化する。

 

 

「……至高の竜戦士、パイルドラモンに進化召喚っ!!」

【パイルドラモン】LV3(5)BP13000

 

 

やがてそれは弾け飛び、中から現れたのは椎名のエーススピリットの1体、至高の竜戦士、パイルドラモン。

 

 

「パイルドラモンの召喚時効果っ!!…コスト7以下のスピリット1体を破壊!!」

「……!!」

「コスト7のナイトライダーを破壊っ!!……デスペラードブラスター!!」

 

 

パイルドラモンは登場するなり、腰に備え付けられた二丁の機関銃を銃魔の場にいるナイトライダーへ向け、連射。ナイトライダーは殆どの弾が被弾し、力尽き、大爆発を起こした。

 

 

「パイルドラモンでアタック!!アタック時効果でコア2つをこのスピリットに置き、回復するっ!!」

【パイルドラモン】(5⇨7)(疲労⇨回復)

 

 

銃魔のライフを打つべく走り出したパイルドラモン。その道中、肉体にコアを宿しながら回復状態となる。これでこのターン、パイルドラモンは2度目のアタック権利を得た。

 

 

「………ライフで受ける!!」

ライフ5⇨4

 

 

パイルドラモンの渾身の拳が銃魔のライフを1つ玉砕する。しかし、椎名が銃魔に与えるバトルダメージは一切なく

 

 

「………こんなものか……」

「………っ!?」

「覚醒したお前はそんなものじゃないはずだっ!!あの時を思い出せっ!!エニーズッ!!」

「覚醒?……あの時ってどの時だよ!!私は説教が嫌いなの!!」

 

 

椎名には銃魔の言うことなど、全く通じていないことだろう。何せ、あの具利度王国での【鬼化】は記憶がないのだから。

 

だが、それでも銃魔としては覚醒させなければならなかった。Dr.Aのために、また、世界を進化させるために………

 

 

「……まぁいい、赤羽司同様、追い込んで限界を引き摺り出させるまでだっ!!」

 

「私は負けないっ!!早くこのバトルに勝って上に行かないと行けないんだっ!!………もういっちょ行けっ!!パイルドラモンッ!!」

【パイルドラモン】(7⇨9)

 

 

もう一度駆けるパイルドラモン。そしてこの瞬間。椎名は十分に増えたコアを利用し、ある効果を発揮させる。

 

 

「フラッシュ!!【アーマー進化】発揮!!対象はブイモンッ!!」

【パイルドラモン】(9⇨8)

トラッシュ5⇨6

 

「っ!!……また【アーマー進化】!!」

 

 

ブイモンの頭上からゆっくりと黄金の塊が降り注いでくる。ブイモンはそれを受け入れるように衝突し、混ざり合い、新たな姿へと進化を遂げていく。

 

 

「黄金の守護竜!!マグナモンッ!!LV2で召喚っ!!」

【パイルドラモン】(8⇨7)

【マグナモン】LV2(2)BP8000

 

 

椎名の場に新たに現れたのは黄金の守護竜、最強のアーマー体の名を持つロイヤルナイツの一柱、マグナモン。それは薄暗い地下を照らすかのように地上へと降り立った。

 

 

「マグナモンの召喚時!!相手の場のもっともコストの低いスピリット1体を破壊するっ!!」

「………俺の場は……シキツルのみ」

「そう……それを破壊だっ!!黄金の凶弾……プラズマシュートッ!!」

 

 

マグナモンは掌からプラズマを溜め、それをシキツルへ向け放出。銃魔のシキツルを瞬時に捕らえ、爆散させた。

 

 

「……どうだっ!!」

 

 

腕を曲げ、力強くガッツポーズを見せつける椎名。

 

だが、銃魔とて、ただで転ぶわけがない。マグナモンの効果で破壊されたシキツルのコストは3。そして前のターンとも違い、コアが複数存在する。

 

……整った。条件が……

 

 

「コスト3以下の紫のスピリットが破壊されたことで、俺の手札にある【ベルゼブモン】の効果を発揮!!」

「……!!……来た……!!」

 

「俺はこれを1コスト支払い、LV2で召喚!!」

手札5⇨4

リザーブ5⇨1

トラッシュ1⇨2

【ベルゼブモン】LV2(3)BP11000

 

 

上空から何かが飛来し、地上に降り立つ。その禍々しい気配や存在感は他の多種存在するデジタルスピリット達とは全く異なっている。

 

その名はベルゼブモン。銃魔のもっとも信頼するエーススピリット。

 

 

「っ!!来たなぁ!!ベルゼブモンッ!!」

 

 

ベルゼブモンという名の強敵を目の前にして、強気な発言を発する椎名。銃魔はそんな彼女の言葉を無視するようにベルゼブモンの召喚時効果を使用する。

 

 

「ベルゼブモンの召喚時効果っ!!相手スピリット1体のコアを2つリザーブへ!!………俺はパイルドラモンのコアをリザーブへ送る!!」

 

「………へへ、マグナモンは選べないもんね!!」

【パイルドラモン】(8⇨6)

 

 

ベルゼブモンは場に登場してくるなり、椎名のパイルドラモンへとショットガンの銃口を向け、そこから弾丸を放つ。しかし、パイルドラモンに直撃はするが、あまりにも多すぎるコアから、LVが下がることはなく………

 

これが椎名の考えた作戦だった。コアを増やし、マグナモンを召喚。マグナモンの効果を受けない効果を利用し、余ったコアを他のスピリットに置いて消滅させずらくする。

 

単調ではあるが、立派な紫に対する有効な戦術の1つだ。

 

 

「パイルドラモンのアタックは継続中っ!!」

 

「くっ!!……ライフだ」

ライフ4⇨3

 

 

ベルゼブモンのLV2の状態ではパイルドラモンのLV3の状態に勝てない。もちろんせっかく召喚したベルゼブモンを無駄にできるわけがなく、銃魔はそのアタックをライフで受けた。

 

パイルドラモンの渾身の拳がまた銃魔のライフを玉砕する。

 

 

「よっしゃっ!!ターンエンドッ!!」

【パイルドラモン】LV3(6)BP13000(疲労)

【マグナモン】LV2(2)BP8000(回復)

 

バースト【無】

 

 

椎名はこのターン、パイルドラモンとマグナモンを巧みに使い、銃魔のベルゼブモンによる被害を抑えつつも全力でライフを削り取った。

 

見事と言える。おまけに疲労ブロッカーの効果も所持しているマグナモンが現存しているのだ。基本、ベルゼブモン以外が低BPのスピリットで大半を占めている銃魔にとっては、この存在は大きい。

 

次はそんな彼のターンだが、これを突破することができるのか………

 

 

[ターン05]銃魔

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ!!………リフレッシュステップ」

手札4⇨5

リザーブ2⇨3⇨5

トラッシュ2⇨0

 

 

ドローステップでカードをドローした銃魔だったが、その顔はあまり浮かばれたものでない。おそらく、この椎名の布陣を突破できないのであろう。

 

 

「メインステップ……俺はクリスタニードルとシキツルを召喚。シキツルの効果でカードをドローし、バーストをセット……ターンエンドだ」

手札5⇨4⇨3⇨4⇨3

リザーブ5⇨0

トラッシュ0⇨1

 

【ベルゼブモン】LV2(3)BP11000(回復)

【クリスタニードル】LV1(1)BP1000(回復)

【シキツル】LV2(3)BP2000(回復)

 

【旅団の摩天楼】LV1

【旅団の摩天楼】LV1

 

バースト【有】

 

 

2体目のシキツルと小さな蛇のような竜のようなスピリット、クリスタニードルを召喚し、このターンをアタック無しで終えてしまった銃魔。下手にベルゼブモンでアタックして相手側にチャンスを与えるわけにはいかないと判断したためであろう。

 

果たしてこの作戦が吉と出るか凶と出るかは定かではないものの、少なくとも次ターン、椎名の激しい猛攻を食らうのは確かなことであって…………

 

 

[ターン06]椎名

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップッ!!……リフレッシュステップ!!」

手札5⇨6

リザーブ2⇨3⇨9

トラッシュ6⇨0

【パイルドラモン】(疲労⇨回復)

 

 

リフレッシュステップに伴い、パイルドラモンが疲労状態から回復状態まで回復する。

 

そして次はメインステップ。椎名はここからさらにスピリットを展開し、銃魔を追い詰めていく。

 

 

「メインステップッ!!ギルモンを召喚っ!!」

手札6⇨5

リザーブ9⇨0

トラッシュ0⇨3

 

「………真紅の魔竜……」

 

 

椎名が召喚したのは真紅の魔竜。その成長期の姿、ギルモン。ブイモンと同じく成長期特有の召喚時効果を発揮する。

 

 

「召喚時効果っ!!カードをオープンッ!!」

オープンカード↓

【デジヴァイス】×

【マリンエンジェモン】×

【グラウモン】◯

【レッドカード】×

【ブルーカード】×

 

 

その召喚時効果は成功、椎名はその中の対象となったグラウモンのカードを新たに手札へと加える。

 

 

「行くぞっ!!アタックステップッ!!ギルモンの【進化:赤】発揮!!成熟期スピリット、グラウモンに進化っ!!」

手札5⇨6

【グラウモン】LV3(6)BP7000

 

 

ギルモンにデジタルコードが巻き付けられ、その中で姿形を変え、進化する。新たに現れたのは白髪とツノが新たに生えた赤の成熟期スピリット、グラウモン。

 

 

「アタックステップは継続!!グラウモンでアタック!!アタック時効果でシキツルを破壊!!」

「……!!」

「魔炎の……エキゾーストフレイムッ!!」

 

 

グラウモンは空気がと大きく吸い込み、それを炎に変換させ、一気に放出。その螺旋状の炎は一瞬にして銃魔のシキツルを消し去った。

 

 

「まだだ!!【超進化:赤】を発揮!!完全体スピリット、メガログラウモンに進化!!」

【メガログラウモン】LV3(6)BP11000

 

 

今一度デジタルコードが巻き付けられ、その姿形を変えるグラウモン。上部には強靭な武装が取り付けられ、その体格はさらに巨躯なものとなる。

 

新たに現れたのは巨大なグラウモンの名を冠する赤き完全体スピリット、メガログラウモンだ。

 

そしてまだだ。まだまだ椎名の進化コンボは終わらない。彼女は勢いよく手札のカードを抜き取った。

 

 

「そしてぇ!!フラッシュ!!【煌臨】を発揮!!対象はメガログラウモンッ!!」

【パイルドラモン】(6s⇨5)

トラッシュ3⇨4s

 

「………!!」

 

「真紅の魔竜よ!!今こそ真なる騎士となりて敵を貫けっ!!究極進化ぁぁあ!!」

手札6⇨5

 

 

登場したばかりのメガログラウモンが一瞬にして真紅の光に身を包まれていく。メガログラウモンはその中で姿形を大きく変えていく。その姿は最早竜ではなく、騎士。

 

 

「………デュークモンッ!!」

【デュークモン】LV3(6)BP18000

 

 

その光を弾け飛ばし、中から現れたのは白い鎧に赤いマントを靡かせるロイヤルナイツの1体、椎名の最強エーススピリット、デュークモン。銃魔に対して対面させるのは初めてである。

 

 

「………デュークモン……か」

 

 

デュークモンを間近で見つめ、どこか懐かしさに浸る銃魔。彼が何故今この状況で……デュークモンを見て懐かしさを感じているのかは……また別の時間で語られることだろう。

 

 

「アタックステップは継続っ!!デュークモンでアタックッ!!アタック時効果でベルゼブモンを破壊っ!!」

「……っ!!」

「聖槍の一撃ッ!!……ロイヤルセェェバァァァア!!」

 

 

デュークモンでアタックを仕掛ける椎名。

 

デュークモンはその右手に宿した聖なる槍の矛先を銃魔のベルゼブモンへと向ける。そしてそこから充填されたエネルギーを発射。

 

その光の槍とも言えるそれは、一瞬にしてベルゼブモンの腹部を貫通。流石に耐えられなかったか、ベルゼブモンは力尽き、その場で倒れ、爆発四散してしまう。

 

 

「アタックは継続中だっ!!デュークモンッ!!」

 

「っ!!……ライフで受ける!!」

ライフ3⇨2

 

 

低空飛行で駆けるデュークモン。BPの弱いクリスタニードルでは防御には回せないか、銃魔はそのアタックをライフで受けた。

 

デュークモンがまたその槍で今度は銃魔のライフを貫いた。

 

しかし、それは銃魔のバーストの発動条件でもあって………それが勢いよく反転する。

 

 

「ライフ減少により、バースト発動!!絶甲氷盾!!」

「っ!!」

 

「この効果で、ライフ1つを回復し、さらにコストを払い、貴様のターンを強制終了させる!!」

ライフ2⇨3

リザーブ7⇨3

トラッシュ1⇨5

 

 

銃魔のライフが1つ回復するとほぼ同時に、椎名の場へと猛吹雪が発生。いくらパイルドラモンと言えども、いくらロイヤルナイツと言えどもこれを突破するのは困難を極めるだろう。

 

 

「……くそっ!!もうちょっとだったのに……ターンエンド」

【デュークモン】LV3(6)BP18000(疲労)

【マグナモン】LV2(2)BP8000(回復)

【パイルドラモン】LV3(5)BP13000(回復)

 

バースト【無】

 

 

これでは致し方ないか、椎名はそのターンをエンドとしてしまう。椎名のデッキ内に存在する、いわばオールスターを揃わせた素晴らしいターンではあったものの、いかんせん相手が悪かったと言える。

 

しかし、追い詰めてあるのも確かな事………このまま行けば確実に勝てるはずだった。

 

………そう、はずだったのだ。

 

 

[ターン07]銃魔

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ……リフレッシュステップ……」

手札3⇨4

リザーブ3⇨4⇨9

トラッシュ5⇨0

 

 

銃魔の場に残ったのはクリスタニードルのみ。その存在感は椎名の場の壮観なスピリット達と比べると、あまりにもちっぽけな存在。

 

だが、それ故に今の銃魔の不気味さを引き立てているとも言えて………

 

 

「メインステップ、俺はマジックカード、デッドリィバランスを使用!!……互いのスピリットは自分のスピリット1体を選択し、破壊する!!」

手札4⇨3

リザーブ9⇨8

トラッシュ0⇨1

 

「なにっ!?」

 

 

紫のマジックカード、デッドリィバランス。その効果は自分と相手、平等にスピリットを1体ずつ破壊させるというもの、しかし、この状況では明らかに平等であるとは言い難い。少なくとも椎名はロイヤルナイツのいずれか1体か、パイルドラモンを失うことになるのだから…………

 

 

「………パイルドラモンを破壊」

「俺はクリスタニードルだ」

 

 

椎名が珍しく険しい顔をしながら選択したのはパイルドラモン。銃魔の場にいるクリスタニードルと共に内側から破裂するように爆発四散した。

 

……そしてこの時、銃魔の手札には使える効果が存在しており………

 

 

「俺は手札のベルゼブモンの効果発揮!!1コスト支払い、召喚するっ!!」

リザーブ9⇨8⇨1

トラッシュ1⇨2

 

「2枚目っ!!……司の時に使った戦略と同じ………」

 

「孤高の魔王よ……今一度我が眼前に現れよっ!!ベルゼブモンをLV3で召喚!!」

手札3⇨2

【ベルゼブモン】LV3(7)BP16000

 

 

最初と全く同じモーションで銃魔の場に顕現するのは2体目の魔王、ベルゼブモン。

 

如何なる状況、立ち位置、優勢時、劣勢時においても、銃魔の場には必ずと言っていいほどに存在する程に重要な役回りを担うこの普通のベルゼブモン。

 

それが今一度椎名と対峙し、襲いかかる。

 

 

「召喚時!!相手スピリットのコア2つをリザーブに!!そしてこの時、トラッシュにあるデジタルスピリットの数だけリザーブに送るコア数を増やすっ!!」

「……!!」

 

「今はトラッシュに最初のベルゼブモンがいる……よって、デュークモンのコアを3つリザーブへっ!!」

 

「くっ!!……」

【デュークモン】(6⇨3)LV3⇨2

 

 

二丁のショットガンを手に持ち、デュークモンへ向けて連射するベルゼブモン。デュークモンの白い鎧に傷をつけ、そのコアを外し、LVをダウンさせる。

 

 

「アタックステップッ!!ベルゼブモンでアタック!!効果で再びデュークモンのコアを外し、消滅っ!!」

 

「………っ!!それはさせないっ!!……手札にあるグラニの効果っ!!」

「……!!」

 

「滅竜スピリットが対象になった時、1コストを支払って召喚できるっ!!……私はこれをデュークモンに直接合体するように召喚し、その召喚タイミングでリザーブにあるありったけのコアをデュークモンに追加っ!!」

リザーブ8⇨7⇨0

【デュークモン+グラニ】(3⇨10⇨7)LV2⇨3

 

 

ベルゼブモンのダブルインパクトの弾丸が直撃する直後、デュークモンの前に真紅の飛行物体、グラニが現れ、彼の盾になるようにそれを全弾自分に被弾させる。

 

 

「なるほど、ブレイヴの召喚タイミングで凌いだか……」

「どうだっ!!次のターンのデュークモンのアタックで終わりだっ!!」

 

 

ベルゼブモンだけではこのバトルに有効な打点を椎名に与えられない。椎名の言う通り、次のターンでのデュークモンのアタックでほぼ決着がつくと言っても過言ではなかった。

 

当の銃魔がそんなことを見越していないわけがない、当然ながら理解しきっている。それでも彼は焦ることなく、指先で眼鏡を定位置に戻しながら………

 

………切り札をを引き抜いた。

 

 

「フラッシュ【チェンジ】!!ベルゼブモン ブラストモードを発揮!!」

「………!!」

 

 

それは【エンペラー】こと吸血堕天を倒し、【朱雀】こと、赤羽司を極限まで追い詰めたカード……

 

その切り札が今度は椎名に襲いかかる。

 

 

「効果により、コストの支払いは貴様のリザーブから確保するっ!!」

 

「………」

リザーブ3⇨0

トラッシュ4s⇨7s

 

「そして、ベルゼブモンと回復状態で入れ替えるっ!!」

【ベルゼブモン ブラストモード】LV3(7)BP20000

 

 

椎名のBパッド上のコアが紫の怪しげな光に包まれ、トラッシュへと移動する。

 

ブラストモードの効果だ。自分のアタックステップ中に使用したら、相手のリザーブからもコストを支払える。6コストで紫の3軽減故に、椎名のリザーブのコアを3つ削除した。

 

孤高の魔王、ベルゼブモンの背に漆黒の翼が飛び出すように生えて来る。さらにその右手には電子砲が新たに取り付けられ、究極体を超えた存在へと昇華した。

 

……そして、今までの2度の登場では状況的に発揮されなかったが、今回はここで真なる効果を発揮させる。

 

 

「そして【チェンジ】時効果っ!!相手スピリット1体のコア全てをリザーブに置くっ!!対象は当然、デュークモンだっ!!」

「なにっ!?」

 

「……混沌炎!!……カオスフレアァァア!!」

 

「くっ!!?……でゅ、デュークモンッ!!」

【デュークモン+グラニ】(7⇨0)消滅

 

 

前方に魔法陣を描き、そこに電子砲による強烈な砲撃を発射。それは魔法陣の力を取り込み、よりその力を増大させ、デュークモンへと飛び向かう。

 

巨大過ぎて避けようがないこの一撃。デュークモンはそれに包み込まれるように浴び、鎧が砕け、大爆発を起こした。

 

 

「……ま、まだそんな効果があったなんて……」

「アタックは継続中っ!!効果によりシンボルが2つになるっ!!」

「っ!!……頼むっ!!マグナモンッ!!」

 

 

間髪入れず椎名のライフへと飛び立つベルゼブモン ブラストモード。そしてそれを遮るように立ち向かう黄金の守護竜マグナモン。

 

ブラストモードに殴りかかるマグナモン。うまく間合いを詰めるものの、ブラストモードはそれをいなし、マグナモンの背後を取り、逆に左手1本で殴りつける。

 

それをもろに受け、怯むマグナモン。ブラストモードはその隙をついたか、マグナモンの頭上に立ち、ゼロ距離で右手から電子砲を放つ。

 

マグナモンは力尽き、落下。地上に叩き落とされ、大爆発を起こした。

 

 

「………っ!!」

「無駄だ。並大抵のロイヤルナイツでは、俺のベルゼブモン ブラストモードには敵わない……!!」

 

 

強力なスピリットをいくら並べようがそれを全て消し去ってしまう……まさしく修羅。

 

パイルドラモン、マグナモン、デュークモンの3体で挑んだこのバトル。勝利は目前にあったにもかかわらず、あっという間に形勢を逆転された。

 

……これが銃魔の本気……

 

 

「………貴様……本当にアレ以降、鬼化していないのか………?」

「……えぇ!?だからどういう意味だよ!?」

 

 

椎名の言葉で、銃魔は彼女があれ以降、一度も鬼化を行なっていなかった事を悟る。

 

本当はやりたくはなかったが………やるしかない。それが命令。銃魔は意を決して………

 

 

「………そうか、なら………Dr.Aの命令通り……貴様は【殺処分】だ」

「っ!?」

 

 

椎名にとって今まで全く意味の分からなかった単語。しかし、唐突に最後の言葉だけは理解できた。【殺処分】……と。

 

しかし、言葉の意味はわかるが……椎名には銃魔がこれからしようとすることを予測できず………

 

そしてそんな銃魔はあるアイテムを懐から取り出した。それは【スピリットプロテクター】……このスピリットアイランドにおける重要なアイテムだ。一見普通のカードプロテクターにしか見えないが、そこにカードを差し込むと、それが実体化する代物だ。

 

銃魔はそれにBパッド上のスピリットカード、【ベルゼブモン ブラストモード】に差し込み………それを実体化させる。

 

………そして………

 

 

「アタックステップは続行!!ブラストモードで再度アタックするっ!!」

「っ!!………来たか!!」

 

 

デュークモンとマグナモンの二大ロイヤルナイツを葬り去ったベルゼブモン ブラストモードが今度は椎名のライフを撃つべく空を翔ける。

 

今現在、椎名の場には疲労状態のブレイヴ、グラニのみ。ダブルシンボルのアタックをライフで受けるしかなく………

 

 

「でも!!私のライフは残り3っ!!……1個だけ残せるっ!!……ライフで受けるっ!!」

 

 

いつも通り………

 

椎名は至っていつも通りライフで受ける宣言を行った。それがこのカードゲーム【バトルスピリッツ】のルールだから………

 

……このバトル。銃魔の持つ不思議な力により、バトルダメージが信じられないくらい高いのは知っていた。そのため、ある程度は覚悟していた。ある程度のダメージは…………

 

………だが……

 

 

「貴様は何故、この【スピリットプロテクター】が【スピリットアイランド】でのみ使用が許されているか知っているか?」

「……?」

「……それはバトル中、あまりにもバトルダメージが大き過ぎるからだ」

 

 

唐突にそれを説明し出した銃魔。

 

その意味が一瞬ではあまり理解できなかった椎名。

 

ベルゼブモン ブラストモードが左手から通常時のベルゼブモンが持つショットガンを取り出し……

 

……椎名のライフを穿つべく、そこから1発の弾丸を放った。

 

いつものように展開されるライフバリア。2つ破壊されるため、それは同時に2枚張り巡らされる。

 

通常……

 

通常の健全なバトルなら………それで防げるはずだ。何せ、通常のバトルはスピリットが実体化していない単なる映像のバトルなのだから…………

 

そのバリアはベルゼブモン ブラストモードから放たれた弾丸に貫かれる。

 

さらに、それだけではない………

 

勢い余ったその弾丸は………

 

 

 

 

「…………え?」

ライフ3⇨1

 

 

 

 

椎名の右肩をも貫いた。そこから真っ赤な血飛沫が飛び散る。

 

一瞬。

 

それは刹那の瞬間に起きた一瞬。椎名はなにがこの場で起こったのか最初は全く理解できず、

 

その鈍い音が鳴った自分の右肩を見つめる。服の肩部が裂け、赤い血がこれでもかと多量に流れ込んでおり、右腕には力が入らない。

 

これを見た椎名は突然この事に初めて恐怖を覚え………

 

 

「………う、うわぁァぁぁァァぁぁァアあ!!!!」

 

 

右肩から走る激痛と恐怖で思わず出さずにはいられなかった椎名の悲鳴が、誰も助けに来るはずもない地下に鳴り響いた。

 

【スピリットプロテクター】……それがスピリットアイランドでのみ使用が許されている理由は……

 

……実体化するが故に、通常のバトルでは先ず使用できないこと。

 

そして、実体化したスピリットを軍事兵器に利用され、軍事力のパワーバランスが崩れる恐れがあるから……そのため、セキュリティの厳しいこの島でのみ、使用許可が降りている。

 

椎名は今、その人間のオーバーテクノロジーに殺されかけている………

 

 

 




〈本日のハイライトカード!!〉

椎名「本日のハイライトカードは【グラニ】!!」

椎名「デュークモンやギルモン達をサポートする強力なブレイヴ!!効果破壊とバウンス効果から身を守れるだけじゃなくて、使い方によってはある程度のコア除去効果にも耐えられるよっ!!」


******


〈次回予告!!〉


続く椎名と銃魔のバトル。絶命の危機に瀕した椎名はついに本能から2度目の鬼化に目覚めてしまい、あのスピリットを再び召喚する………次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ、「鬼化再び、メギドラモン再び……」……今、バトスピが進化を超える!!


******


※サブタイは都合上変更させていただきました。大変申し訳ありません。

最後までお読みくださり、ありがとうございました!!

今凄くやばいですが、多分こんな描写滅多にしないです………まだ残酷には入らないはず………はず。

椎名が何故生まれ、何故こうなったのかは、話しましたが、より印象強くするため、この話が一段落したら丸々1話をこの過去編に使ってもっと明確に明かそうと思います。


因みに、【エニー・アゼム】については第39話の序盤に少々語られておりました。


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