すっかりと熱気が失せてしまったアイランドリーグの会場。その中で静かに行われているバトル。【朱雀】、赤羽司と10にも満たない程度の少年、功流異のバトル。
Dr.Aに洗脳とも取れる状況に冒されている流異は、成長期よりもさらに下のデジタルスピリット、幼年期のクラモンを召喚し、その第1ターンを終えた。
次は司のターンが始まる。
[ターン02]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップッ!!イーズナとホークモンをLV1ずつで召喚ッ!!」
手札5⇨4⇨3
リザーブ5⇨0
トラッシュ0⇨3
いくら相手が未知なるデジタルスピリットを使用しようが関係ない。自分は己が道を行くのみ。そう言わんばかりに、司はいつものスピリットたちを召喚する。
「ホークモンの召喚時!!」
オープンカード↓
【朱に染まる薔薇園】×
【リボルドロー】×
【ホウオウモン】×
だが、ホークモンの効果は失敗。司はそのカード達を一斉にトラッシュへと捨て去った。
「さっさと終わらせるッ!!……アタックステップッ!!行って来いイーズナッ!!」
司の指示を受け、一直線に走り出すイーズナ。目指すは流異のライフ。
「………クラモンでブロック」
流異はそのアタックに対し、クラモンを向かわせる。BPは両者共に最弱の1000。何度か頭部をぶつけ合うと、力尽き、小さく破裂するように爆発した。
その時だ。
その時、クラモンの爆発に合わせるかのように……
「………くぅっ!!」
「……っ!?」
クラモンを操っていた流異が痛がりだした。まるで体中が疼きだしているかのごとく。まだライフも減っていないと言うのに、いったい何事なのか………
考える皆を見て、Dr.Aがニタニタと口を開き……
「ヌフフフフ………クラモンは流異君のオーバーエヴォリューションによって生まれたカード。それも過剰の進化の力を与えてのね〜〜……」
「……何が言いたい?」
「つまり、クラモンを破壊し続ければ、流異君は死ぬ!!」
「………っ!?」
流異はDr.Aに無理矢理進化の力を流し込まれた。が故に、クラモンなどのデジタルスピリットをオーバーエヴォリューションで得たが、椎名とは違い、【鬼のDNA】を組み込まれたわけではない。普通の人間なのだ。
これがどう言うことか………
流異の過剰に与えられた力で生まれたオーバーエヴォリューションで生まれたクラモンは、言わば進化の塊。流異の身体の一部と言っても過言ではない。クラモンが破壊されるたびに流異にダメージが行くと言うことはそう言うことなのだ。
「………暗利……ッ!!」
六月はこれを聞いて拳を強く固めた。今身動きが取れないのがもどかしい。
「……赤羽司っ!!頼むっ!!流異!!流異を助けてやってくれぇっ!!」
「るせぇ!!黙ってろっ!!」
自分の息子の状態を聞いて、顔を青ざめながらそう叫ぶ攻宗二。
司とてはなっから助け出すつもりだ。耳障りでしょうがない。
そして、一息ついたとこで、流異は破壊されたクラモンの効果を発揮させる。
「クラモンの破壊時効果ッ!!」
「…ッ!!?」
「クラモンは破壊された時、カードを1枚オープンし、それが同じクラモンなら召喚できる」
クラモンの破壊時効果だ。上手くいけば盤面のスピリット数を維持できる。
しかし……
「フッ…決まるわけないだろ?」
鼻で笑いながら、そう言い返した司。
司がそう言うのも理解できる。本来、バトルスピリッツというゲームにおいては、同じ名前のカードは3枚までしか入れる事が出来ない。
デッキが40枚で、クラモンがデッキ内に3枚あると仮定しても、確率は35分の2。なかなか低い確率である。
……だが、
「カードオープン!!」
オープンカード↓
【クラモン】◯
「ッ!?なにっ!?」
成功した。
紛う事なきそれはクラモンのカードであって………流異は35分の2の確率を見事に引き当てた。流異の場に今一度ふよふよと微生物のように浮遊するクラモンがその姿を見せた。
「……ちっ!!……んなもんただのまぐれだろ?……続け!!ホークモンッ!」
次にクラモンの効果を使用するとなると、その確率は格段に下がる。現時点では約34分の1。序盤から無駄な賭けなどせず、ここはライフで受けることが得策であろう。
……しかし流異は。
「クラモンでブロック」
「っ!!」
一切の表情を変えずに、なんの躊躇もなくクラモンでアタックをブロックさせた。
ホークモンが自身の羽をクラモンへと飛ばす。クラモンはそれにさえもあっさりと引き裂かれ、空気と共に消えていった。
「ぐっ!!………クラモンの破壊時………」
「無駄だ、上手くいくわけ……」
「カードオープンッ!!」
オープンカード↓
【クラモン】◯
「なにっ!?」
また、成功した。累計3枚目となるクラモンが流異の場に姿を見せる。これでデッキに内包できるクラモンは全て出てきたことになるが………
あまりにも運が強すぎる。今までも司は椎名やヘラクレスと言った極端に運の強い人物達と競ったきたが、この小さな身体の少年はそれさえをも凌駕していると言える。
「………くっ!!ターンエンド」
【ホークモン】LV1(1)BP2000(疲労)
バースト【無】
できることを全て終え、そのターンをエンドとした司。しかし、結果的に流異のライフは全く減らさず、こちらのスピリットは減ったどころか、相手のスピリット数は全く変わらない。
そして次はそんな司の攻撃を軽くいなした流異のターン。このターンでクラモンの真実が明らかになる。
[ターン03]流異
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨4
トラッシュ2⇨0
「メインステップ………」
このメインステップ、このターンで流異が召喚したスピリットは司が驚くべきものであって………
「クラモン2体を召喚ッ!!」
手札5⇨4⇨3
リザーブ4⇨0
トラッシュ0⇨2
「ッ!?」
流異が召喚したのは4、5体目のクラモン。3体目のクラモンと合わせて3体のクラモンが流異の場に並んだ。
実際は有り得ない。こんな光景。同じスピリットが4体以上出てくるなど、
しかし、クラモンにはそんなバトルスピリッツの常識など通用しない効果が存在しており………
「4、5体目のクラモンだと!?」
「クラモンはデッキに何枚でも存在できる」
「ッ!?」
洗脳された流異のサイボーグのような片言の言葉で、ようやく理解した。あのクラモンは自身の効果によってデッキに何枚でも加えられる。あのデッキはほとんど、又は全てがクラモンなのだ。だから破壊時のラッシュが止まらない。
「ヌフフフフ……カラクリを知ったとこで無駄ですよ〜〜」
「!!」
「君ではあのデッキには勝てない。………まぁ、エニーズならどうにかできるかもしれませんが……」
横からバトルに水を差してきたのは、Dr.A。
エニーズとは椎名の本名。彼は間接的に司よりも椎名の方が強いと物申しており………
「……あいつよりも俺が劣ってると言いたいのか!?……」
司は当然その言葉に反応を示した。
そんなわけがない。芽座椎名でもできるなら自分にできないわけなどない。必ず流異を助けられる。椎名よりも早く………
司には自信があった。特に理由もない。意味のわからない不思議な自信が………
「うん。そうだね〜〜君はあの子より弱い……!!」
「ッ!!……んだとぉ!?」
「さっきの決勝戦……私がエニーズを別の場所に転送しなければ、君はあの子に負けていた……確実にねっ!!」
「ッ!?」
この戦いが始まる前に行っていたアイランドリーグの決勝戦。あのバトル。司は殆どと言っていいほどに椎名に負けていた。実質、椎名の勝ちと言っても過言ではないだろう。司は、それだけは認めたくなかった………
認めたくないからこそ、目の前のDr.Aに反発していた。
「あの子は良いよね〜〜」
「……何がだ?」
「………スペックだよッ!!……あの子のデッキは六月が与えたであろう【アーマー進化】、そして【真紅の魔竜】!!極め付けはロイヤルナイツ2体だッ!!君のデッキとは性能が大幅に違う!!……」
「………」
「よして何よりもあの異端なデッキを操る程に並外れた引きの強さと直感力ッ!!……これを見て、君は正直劣っていると言わざるを得ないッ!!」
「………バトルスピリッツはカードバトラーの技量がモノを言うカードゲームだ……その点、俺が劣ってるなど………」
知っている。
知っているのだ。はなからそんな事など。呆れるほどに知り尽くしている。何せ、芽座椎名は一度自分が認めたのだから……ライバルであると………
デッキの性能が違う。
それも知っている。こっちはパイルドラモンと同格のジョグレス体と伝説の究極体スピリットのみ……しかし、それでも自分がこれまで培ってきた技量でどうにかなるものだと信じていた。
だが、Dr.Aはその口を閉じず………
「いや、君はその技量さえも私のエニーズに劣り始めてきている……それは一番君が知っているだろう?」
「ッ!?」
「私ならその力を君に貸し与える事ができる………君がもし、エニーズよりも優れたいと思うのなら………いつでも私は歓迎するよ……ヌフフフフ……」
湿った笑い声で司を包み込むように笑いかけるDr.A。彼は全てを見通している。司が椎名に抱く劣等感。それを絶対に認めたくないという固い意思。
だからこそ、揺さぶりをかけ、司をこちら側に引き摺り込もうとしている。
司の思考が揺れ動き、停止しているその隙だ。流異はアタックステップを仕掛け………
「おい、バトル中だぞ……クラモン2体でアタックッ!!」
「ッ!?」
クラモンの3体のうち2体が宙を舞う。目指すは当然司のライフ。前のターン、コアの総数が少ないにもかかわらず、攻めに出た司にはそれを防ぐ手段がなく………
「ちぃっ!!ライフだッ!!………ぐおっ!!」
ライフ5⇨4⇨3
2体のクラモンの体当たりが彼のライフを一気に2つ破壊した。流異はDr.Aに洗脳されているからか、そのダメージ量は司が怯むほどに大きかった。
「………ターンエンド」
【クラモン】LV1(1)BP1000(回復)
【クラモン】LV1(1)BP1000(疲労)
【クラモン】LV1(1)BP1000(疲労)
バースト【無】
「くっ………いいぜ……なら見せてやるッ!!この俺の実力をッ!!」
「……ほお、それは楽しみだ、ヌフフフフ」
気を抜いたら一瞬にして敗北してしまうであろうこのバトル。司はこのバトルに勝ち、椎名よりも優れていることをDr.Aに証明しようと躍起になっている。
果たしてこれが吉と出るのか、凶と出るのか………
[ターン04]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ3⇨4
《ドローステップ》手札3⇨4
《リフレッシュステップ》
リザーブ4⇨7
トラッシュ3⇨0
【ホークモン】(疲労⇨回復)
「メインステップッ!!破壊できないのであればすり抜けるまでだッ!!……アーマー体スピリット、ネフェルティモンをLV2で召喚ッ!!」
手札4⇨3
リザーブ7⇨0
トラッシュ0⇨5
司が勢いよくBパッドに叩きつけ、召喚したのは、黄色のアーマー体スピリット。天より、スフィンクスのようなスピリットが飛来してきた。これはネフェルティモン。司の持つアーマー体スピリットの1体。
「召喚時効果ッ!!トラッシュのコア1つをライフにッ!!」
ライフ3⇨4
トラッシュ5⇨4
ネフェルティモンの召喚に使われた多量のコア1つが司のライフへと移動した。本来はアタックステップ中に召喚して意表をつく時に使いたいが、しのごと言ってられない。
「アタックステップッ!!ネフェルティモンでアタックッ!!」
白い翼を広げ、飛び立つネフェルティモン。目指すは当然流異のライフ。
流異の場には1体のみクラモンがブロッカーとして立ち塞がっている。しかし、それでも十分だ。何せ、破壊しても無限に湧いて出でくるのだから。BPの低さも相まって擬似無限ブロッカーと言えよう。
……だが、
「ネフェルティモンの効果ッ!!アーマー体を持つデジタルスピリットは相手のLV1、2のスピリットからはブロックされない!!」
「……ッ!!」
「ヌフフフフ、そう来ましたか……」
ネフェルティモンは特定の系統を持つデジタルスピリットにこの効果を与える。クラモンはLV1と2しか持たない。が故に、流異はネフェルティモンが存在する限り、ブロックが不可能となってしまっているのだ。
「……ライフで受ける」
ライフ5⇨4
ネフェルティモンは頭部から赤いレーザーを照射。それが流異のライフを1つ貫いてみせた。
「よしっ!!いいぞ、司、これでネフェルティモンだけで攻め続ける事が出来れば、勝てるッ!!」
そうほとんど誰もいない会場の観客席で声をあげたのは、彼の親友雅治。確かに、ネフェルティモンはあのデッキにとって有効と言える。しかし、それだけで勝つためには、毎ターン、流異の波状攻撃を防ぎ切らなければならなくて…………
「………ターンエンド」
【ホークモン】LV1(1)BP2000(回復)
【ネフェルティモン】LV2(2)BP6000(疲労)
バースト【無】
司はそれ以上は特に何もせず、そのターンを終えた。ホークモンだけで仕掛けてもクラモンの前ではほぼ無意味であるからだ。
次は流異のターン。天敵とも呼べるネフェルティモンを前にどう出るか………
[ターン05]流異
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札3⇨4
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨4
トラッシュ2⇨0
【クラモン】(疲労⇨回復)
【クラモン】(疲労⇨回復)
「メインステップ……僕はさらにクラモンを2体召喚ッ!!」
手札4⇨2
リザーブ4⇨0
トラッシュ0⇨2
「ッ!!まだいんのかよ」
流異は追加でさらに2体のクラモンを召喚した。これで場には5体のクラモンが出ていることになる。ホークモンの数を差し引いても、このターンのフルアタックで司のライフを0にする算段なのだろう。
「アタックステップッ!!先ずは1体目ッ!!」
「ッ!!……ライフ……ぐっ!!」
ライフ4⇨3
1体目のクラモンが飛び行き、司のライフを体当たりで粉々に粉砕した。そしてまたDr.Aの影響なのか、司にはまた多大なバトルダメージが蓄積される。
「……次ッ!!2体目ッ!!」
2体目が飛び行く。狙うは1体目同様、当然司のライフ。だが、司がこの程度の王手でやられるわけがなく………
「フラッシュマジックッ!!シンフォニックバーストッ!!」
手札3⇨2
リザーブ1⇨0
【ネフェルティモン】(2⇨1)LV2⇨1
トラッシュ4⇨6
「………ッ!?」
「この効果で、このバトル後、俺のライフが2以下ならアタックステップを終わらせる………アタックはライフだっ!!………ッ!!」
ライフ3⇨2
2体目のクラモンの体当たりが司のライフに炸裂。司のライフをさらに窮地に追いやるが………
頭の最中、司は口角を上げ………
「へッ、……シンフォニックバーストの条件は満たした、アタックステップは終わりだ」
弾け飛ぶ光の輪。それが流異の場全体に太く、高く、広がる。クラモン達がそれを飛び越えてアタックなどできるわけがなく、流異はこのターンのエンドを迫られた。
「………ターンエンド」
【クラモン】LV1(1)BP1000(回復)
【クラモン】LV1(1)BP1000(回復)
【クラモン】LV1(1)BP1000(回復)
【クラモン】LV1(1)BP1000(疲労)
【クラモン】LV1(1)BP1000(疲労)
バースト【無】
それでいても流異は機械のように表情1つ変えず、まるでサイボーグのようにそのターンのエンドを宣言した。次は何とかクラモンの波状攻撃をしのぎ切った司だ。ここらで勝負を決めなければ間違いなく次の流異のターンで敗北してしまうが………
[ターン06]司
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨8
トラッシュ6⇨0
【ネフェルティモン】(疲労⇨回復)
「メインステップ、砲竜バル・ガンナー〈R〉を召喚し、ネフェルティモンと合体ッ!!」
手札3⇨2
リザーブ8⇨4
トラッシュ0⇨3
【ネフェルティモン+砲竜バル・ガンナー〈R〉】LV2(2)BP10000
司が呼び出したのは背中に砲を備えた竜、バル・ガンナー。それは登場するなり、その砲のみを残し、消滅。ネフェルティモンの背と合体し、合体スピリットとなった。
「……バーストを伏せ、アタックステップッ!!ネフェルティモンでアタック!!」
手札2⇨1
さらに追加で司はバーストカードを裏側で伏せ、アタックステップへと移行。砲を背に、ネフェルティモンが空を翔ける。当然、LV1のクラモン軍団はこれをブロックはできない。
そしてその前に、追加された事により、発揮されるアタック時効果もあり……
「バル・ガンナーの効果ッ!!カードをドローし、BP6000以下のスピリット1体を破壊する!!」
手札1⇨2
「ッ!?」
「クラモンを1体破壊ッ!!」
ネフェルティモンに装備されたバル・ガンナーの砲撃が流異の場に存在するクラモン1体に直撃し、難なく爆発を起こした。
「……ぐっ!!………クラモンの効果………」
「………無駄だ」
「……ッ!?」
クラモンの破壊により、その効果を発揮させようとする流異。しかし、そのデッキはピクリとも反応を示さず………
「バル・ガンナーのこの効果で破壊したスピリットの効果は発揮されない……それが例え、特別なデジタルスピリットと言えどもな………」
クラモンの破壊時効果が発揮されない理由の発端はネフェルティモンと合体した砲竜バル・ガンナー〈R〉の合体時効果によるものだった。これでようやく流異のクラモンの数が減少する。
「さらにフラッシュマジックッ!!イエローリカバーッ!!効果によりネフェルティモンを回復ッ!!」
手札2⇨1
リザーブ4⇨2
トラッシュ3⇨5
【ネフェルティモン+砲竜バル・ガンナー〈R〉】(疲労⇨回復)
「……ッ!!」
「よっしゃ!!これでネフェルティモンは2度のアタックが可能やッ!!LV3以上のスピリットもおらへんし、いけるでえっ!!」
真夏がそう解説するように声を上げる。
司が使用したマジックにより回復するネフェルティモン。流異のスピリット、クラモンはネフェルティモン自身の効果でブロックができないため、このアタックはライフで受ける他ない。
合体によりダブルシンボルのアタックをライフで受けるとなると、司の勝ちとなるからだ。
「行けッ!!ネフェルティモン!!」
「……ライフで受ける」
ライフ4⇨2
ネフェルティモンが石碑のようなものを召喚し、流異のライフへと発射。重たい一撃が鈍い音を立て、流異のライフを一気に2つ砕いた。
「………これで勝ちだ………もう一度……アタックッ!!バル・ガンナーの効果でカードをドローし、クラモンを破壊!!」
手札1⇨2
「……ッ!!」
上空に佇むネフェルティモンが今一度仕掛ける。背に装備された砲手で砲撃を放ち、再びクラモンを完全に破壊した。
そして当然それだけでなく、このアタックが通ることがあれば、司の勝利で終わる。
ようやくだ。ようやく証明される。自分は芽座椎名よりも優れている………と
だが、そんな司の甘い考えを打ち砕くかのように流異は手札から1枚のカードを抜き取った。
「フラッシュタイミングッ!!僕は手札の【アーマゲモン】の効果を発揮ッ!!」
「ッ!?……ここに来て違うカードだと!?」
この最後の最後の局面に流異が投げ打ってきたのはクラモンではなく、また別のカード。しかし、それはクラモンのデッキだからこそ使用することができる特別なカード………
そのカードによるものなのか、早速この場にも影響を及ぼす。地中からクラモンが次から次へと現れ、分裂、増殖を繰り返していき、その数を増やしていく。
「………な、なんだ!?」
「このカードはフラッシュタイミングにトラッシュにあるクラモンを4枚まで回収することで、召喚できる。コストは戻した枚数1枚につき3下げる………」
手札2⇨6
「………4枚戻したって事は………」
「またまたのコストは12………同じく12下がってコストは0!!」
数百数千と集まったクラモン達は次から次へと密集していき、自分達のデータを何か別のスピリットへと昇華させる。その体色は全てがドス黒い。
「……魔界の竜神よッ!!今こそ世界の理を覆せッ!!……アーマゲモンッ!!LV2で召喚!!」
手札6⇨5
リザーブ4⇨1
【アーマゲモン】LV2(3)BP16000
流異の場に現れたのはかつてないほどのスケールを誇るデジタルスピリット。蜘蛛のような脚に加え、竜のような顔を有している。そこから発さられる咆哮はもはや世界の終わりを告げているとでも錯覚してしまうほどだ。
世界で1位2位の広大さを保有するこのスピリットアイランドの会場だからこそ収まっているが、並みのバトル場ならば先ず収まることはないだろう。
「………な、なんだ、この……バケモノは……!?」
目の前で対峙した司は思わずその規格外の最後にサイズにたじろいだ。確かにアーマゲモンはとてもではないがデジタルスピリットと呼べる代物ではない。
「………う、嘘だろ?ここに来てまたこんな……」
「デカ過ぎやろ……」
「………司ちゃん」
会場で司を見守る3人も絶望すら感じていた。また召喚する効果以外、アーマゲモンの効果は公になっていないというのに、
このアーマゲモンがかけてくるプレッシャーがいかに計り知れないものだということが理解できる。
……そして、アーマゲモンはその狂気に満ちた目をゆっくりと開眼させ、その真価を発揮させていく。
「アーマゲモンの召喚時効果ッ!!シンボル2つ以上のスピリット1体を破壊ッ!!」
「ッ!?」
「合体したネフェルティモンを破壊するッ!!……漆黒の豪雨……ブラックレインッ!!」
アーマゲモンの背部からエネルギーが飛び出し、弾け飛び、それは雨のように降り注ぐ。雨など避けられるわけがなく、ネフェルティモンはバル・ガンナーごと貫かれ、大爆発を起こした。
「………ヌフフフフ、並みのデジタルスピリットではアーマゲモンは倒せんよ……」
「……暗利め、こんなバケモノまで用意していたのか……」
召喚時の破壊と立て続けのブロックにより、完全に合体スピリットと化していたネフェルティモンを消し去ってしまった。これで司の場に残るのは赤い鳥型の成長期スピリット、ホークモンのみ。流石にこれだけでは心許ないにも程がある。
「………た、ターンエンド……」
【ホークモン】LV1(1)BP2000(回復)
バースト【有】
これでは何もできない。司はターンをエンドとし、そのターンを流異へと渡した。
そして次はそんな流異のターン。クラモンに加えてアーマゲモンが本格的に動き出すであろう。
[ターン07]流異
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札1⇨2
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨4
トラッシュ2⇨0
【クラモン】(疲労⇨回復)
【クラモン】(疲労⇨回復)
【アーマゲモン】(疲労⇨回復)
「メインステップ、アーマゲモンのLVを3に上げる」
リザーブ4⇨2
【アーマゲモン】(3⇨5)LV2⇨3
アーマゲモンにコアが追加され、そのLVを上昇させる流異。アーマゲモンはまた耳鳴りがする程の莫大な咆哮を上げる。
「アタックステップッ!!……クラモン1体でアタックッ!!」
そして早速か、流異はこのターンで勝負を決めるべく3体のうちの1体のクラモンでアタックする。
だが、司とて抵抗はするか、手札のカードを1枚使い、このアタックを是が非でも防ぎに行く。
「ちぃっ!!……もうあぁだこうだと言ってられねぇ!!少しは我慢しろよガキッ!!フラッシュマジックッ!!ドラコフレイムッ!!」
手札2⇨1
リザーブ4⇨2
トラッシュ5⇨7
「ッ!?」
「この効果で相手の場のBP3000以下のスピリットを全て破壊ッ!!クラモンを一掃しろぉっ!!」
飛び交う火の弾丸達。それは次々と流異のクラモンへと命中していき、それらを全て焼き払ってみせた。
……しかし、
「ぐッ!?、うわぁぁっ!!」
「る、流異いっ!!」
一度に3体破壊された時のダメージは大きかったか、これまでよりもさらに強い痛みが流異を襲う。そして父である宗二もまた、流異を思い、声を上ずらせた。
流異が悲痛な声を上げたのは一瞬だけ、その一瞬だけ表情を歪ませただけであり、またクラモンの効果を使うべく、表情を戻し………
「……クラモンの効果ッ!!カードを3枚オープンッ!!」
オープンカード↓
【クラモン】◯
【アルテミックシールド】×
【アルティメットフレア】×
3体破壊されたため、3枚オープンするものの、成功したのは僅か1枚のみ。
「……クラモン1体を再召喚……アルテミックシールドとアルティメットフレアのカードは自身の効果により、破棄されずに手札に加える」
手札5⇨7
【クラモン】LV1(1)BP1000
流異に身体的なダメージは与えてしまったものの、司としては大成功であると言える。何せ、たった1枚でクラモンが減ったのだ。このターンも守りきれる可能性も出てきた。
しかし、この戦況を見ても、流異はアタックステップを降りる事はなく………
「アタックステップは続行ッ!!再召喚されたクラモンでアタックッ!!」
攻めてきた。
ここは勝負どころだ。ライフで受けるか受けないかで大きく結果が変わる。
司の選択は………
「ライフで受けるッ!!…………ぐっ!!」
ライフ2⇨1
ライフで受けた。
クラモンが勢いよく突進し、司のライフを1つ破壊した。これでいよいよ残り1つ。敗北の窮地に陥った。
だが、これも作戦の1つ。
司がライフ1つのズレも許されない局面で敢えてライフで受けたのも理由がある。
それは伏せられていたバーストカードだ。それが勢いよく反転する。
「ライフ減少によりバースト発動!!【イマジナリーゲート】!!」
「……!!」
「効果により手札の黄色のスピリットカードをノーコスト召喚する………来い、シルフィーモン!!」
リザーブ3⇨0
【シルフィーモン】LV2(3)BP9000
バーストカードの反転と共に現れたのは不思議なゲート。その文様や神々しい光はまるで天国にでも繋がっているかのよう、
そこから飛び出し、現れたのは司のエーススピリット、聖なる獣人シルフィーモン。
「………召喚時は使えないがな………」
「………それがどうした………終わりだ……アーマゲモンでアタックッ!!……その効果でお前はスピリット1体を破壊しなければブロックできない」
流異はそんな司の偉大なるエーススピリットを認知しても止まることを知らず、残ったアタッカーであるアーマゲモンにアタックの指示を送った。
アーマゲモンはその蜘蛛のような脚を使い、走り出す。その体格の大きさもあってとてつもない重圧がかかる。
しかし、司はそんなアーマゲモンを見ても………
「フッ……詰んでんだよ、お前は……」
「ッ!?」
この時を待っていた。そう言わんばかりに、司はあのカードの使用を宣言する。それは赤羽一族に伝わりし赤き伝説のデジタルスピリットだ。
「……俺はトラッシュから【煌臨】を発揮!!対象はシルフィーモンッ!!不足コストによりホークモンは消滅!!」
【ホークモン】(1s⇨0)消滅
トラッシュ7⇨8s
ソウルコアをトラッシュへと送り、煌臨の発揮を宣言する司。ソウルコアのみが置かれていたホークモンは消滅してしまうが関係ない。
………これで本当に勝ちだ。
登場したてのシルフィーモンの周りに火柱が立ち昇る。シルフィーモンはその中で大きく、優雅に姿を変えていく。そのシルエットはまさしく巨大な神鳥。
その強すぎる火柱の火力は驚異のアーマゲモンであっても近づくことはできない。
「天空の王よ!!今こそ地上の全てを焼き払えッ!!……究極進化ぁぁぁぁあ!!!」
そしてそれは飛び立ち、火柱を巨大な翼で振り払いながら爆誕する。
「ホウオウモンッ!!」
【ホウオウモン】LV2(3)BP12000
司の場に新たに現れたのは赤属性の究極体スピリット、4枚の黄金の翼を持つ巨鳥型、ホウオウモンだ。ホウオウモンは上空からアーマゲモンを見下ろし、威嚇するように気高い雄叫びを上げる。
「よしッ!!ホウオウモンだ!!……これで司の勝ちだね!!」
「よっしゃいったれぇ!!朱雀ッ!!」
ホウオウモンの登場に雅治と真夏がそう声を上げる。夜宵も司の勝ちを確信したか、その表情に明るさが戻り、六月もまた、見事なプレイングに「おぉ」と感嘆の声を上げた。
………しかし、これは、このバトルはそんなに甘いものではなかった。
「よしッ!!ホウオウモンの煌臨時効果ッ!!煌臨元となった赤のスピリットカードを手札に戻し、BP10000以上のスピリット1体を破壊するッ!!」
ホウオウモンの効果はどんな強敵をも焼き尽くす究極の炎。たとえそれが規格外のデジタルスピリットであっても、破壊可能。
司はそれを使用し、逆転へと足を運ぼうとするが………
「……いいんですか?司くん?」
「ッ!?」
司の動かす手を突然口で止めてきたのは、他でもない、Dr.A。
「さっき、見ませんでした?……あの巨大なアーマゲモンが大量のクラモンが密集し、作り上げられたのを………」
「ッ!!」
「あらあら〜気づいたみたいだね、察しが良い」
アーマゲモンはクラモンが大量に集められ、作り上げられた姿。それだけを聞いて、司は全てを察してしまった。なんとなくだが、Dr.Aの言いたいことがわかった………
……それは……
「そう!!アーマゲモンを破壊すれば!!間違いなく流異君にクラモンの比ではない程のダメージが入るッ!!……そんなものを一撃受けて仕舞えば、おそらく、こんな小さな少年の命はない!!」
「「「「「「!?!」」」」」」
そう、いくら違うスピリットとは言っても、アーマゲモンはクラモンから進化して出来上がったもの、アーマゲモンを破壊しても流異にダメージは入る。
しかも、召喚に使った4体分などではない。クラモンの数百数千倍と言ったダメージが入るだろう。もしそうなって仕舞えば体の小さい流異は間違いなくは死に至る。
幸いにもホウオウモンの効果は使用するか否かを選択できるため、破壊しないということもできる。が、逆にそうなれば司が負ける。
ひっくるめて言ってしまえば、司がホウオウモンの効果を使えば、流異に勝てるかもしれないが、間違いなく流異は死ぬ。使わなければ負ける。スピリットアイランドに住まう人々は皆Dr.Aによって殺される。
これはまさに究極の選択………
「る、流異が………死ぬ!?……だ、だめだ!!それだけは!!必ず!!赤羽司!!効果は使わないでくれぇぇっ!!」
そう声を上げたのは彼の父、この島の最高責任者の科学者、功宗二。息子の安全のために余裕がなく、必死だ。司に縋る。だが、司は………
「………俺は………煌臨元カードを……」
取るつもりだ。宗二の有無を聞かず、カードを、ホウオウモンの煌臨元になったシルフィーモンのカードを抜き取るつもりだ。その仕草で仲間たちも効果を発揮させることを悟る。
致し方ない。よく考えてしまえば、今、天秤にかけられているのは1人の小さな少年の命と、人口約2万人を超えるスピリットアイランドの人々の命。
………比べるまでもない。
だが、その司の手は震えていた。当然だ。自分が今からやろうとしていることは人を殺めるのと同じ行為。怖いに決まっている。仲間達をそれを知っているからこそ、止めることはせず、ただ歯を噛み締め、見守っていた。
夜宵はどれだけ心苦しかっただろうか。最も愛する人が人を殺す瞬間を目の当たりにしようとして……どれだけ心が窮屈になったことか………それに絞られて涙さえも出てくる………
………だが、
………それを阻止しようとこの場に現れる人物が1人………
「ツ、司ァァァァァァァァア!!!!」
「……っ!?」
1人。
たった1人、このスピリットアイランドの会場に足を運ぶ人物が現れる………
……それは
「………め、めざし………その姿………」
「話ハ聞カナカッタノカヨッ!!ホウオウモンノ効果ハ使ウナッ!!流異君ガ死ヌッ!!ヤメロッ!!」
それは銃魔との激戦を乗り越えた芽座椎名。しかし、その姿は鬼化しており………
「………え?あれ、椎名なん?」
「………鬼………本当だったんだ……」
雅治と真夏がそう声を上げた。まるで信じられないかのような。認めたくはなかった。が、これで悲しくもDr.Aの言ってることが嘘ではないことが立証される。
椎名は鬼。【エニーズ】………
だが、その姿を見て一番心苦しく思ったのは………
「………し、椎名………う、嘘じゃろ!?!」
六月だ。元々椎名が鬼化できることを知っていた分、その精神的ダメージは大きく………
本当に信じられなかった。あの椎名が………まさかあの優しい椎名が………怒りと恐怖の化身とも取れる鬼となってしまうなど………これを見てもなお、信じ難く………
「おぉ!!私のエニーズッ!!大きくなって……………銃魔とのバトルで鬼化はできるようになったみたいですね〜〜まだまだですが……!!」
その様子を見て、逆に喜んだのはDr.A。椎名と対面して若干感涙する程である。しかし、その鬼化した姿を一目見てわかる。あと一息ではあるが、まだ熟してはいない。
もう少し、あと本のもう少しで完全に進化を超えられれば、自分の計画は最終段階にフェイズを移すことができる。
「………クッ!!シャ、喋リ辛イ………ウ、失セロォォッ!!」
まだ完全に使いこなしていないこともあって、この鬼の姿は喋り辛く、舌も回り辛い。そう判断した椎名は体の中のなにかに力を入れる。
すると、鬼の力は引き下がるように後退していく。ツノは髪に戻り、目の色も元に戻り、いつもの芽座椎名になる。鬼化の反動か、若干ふらつくが、それでも椎名は気を強く持ち、司と面と向かって………
「めざし………んこと知ってるさ……」
「だったらなんで!?死ぬんだぞ!!人が!!あんな小さな子が!!」
「ッ!!知った風に言ってんじゃねぇ!!俺が勝たなければスピリットアイランドに住む奴らはみんなあのイカレタクソジジイに殺されんだぞッ!!」
そうだ。
だめだ。やはり、ここで効果を使わず、負けてしまえば、大勢の人が命を落とすことになる。それだけは避けなくてはならない。
しかし、椎名にそんなものは通じず………
「じゃあ私が代わりに勝つ!!アレを破壊せずに!!」
「ッ!!?!……馬鹿野郎!!いい加減にしやがれッ!!今回ばかりはお前の根性論や勢いで勝てる相手じゃねぇんだぞ!?お前だってわかってるはずだ!!!」
椎名は流異の場のアーマゲモンに向けて指を指し、そう強く言い放った。
椎名の空気の読めない発言に、思わず怒りを露わにする司。
自分だって人など殺めたくはない。当然だ。本当はやろうとしただけで気が狂いそうになる。だが、それを、覚悟を決めてやろうとしているのに………それを踏みにいじろうと言うのか………
「………私は……理論とかじゃない……いつも…自分の心に従ってバトルしてるんだ………それは昔も今も………これからもずっと………私が助けるッ!!スピリットアイランドの人達も!!真夏達も!!流異君も!!……そして司もッ!!……だから効果を使うなぁぁッ!!」
「……ッ!?」
椎名は左手を握りしめ、胸元に寄せる。その目には涙を溜め………司に思いをぶつける………
仲間達が固唾を飲んでそれを見守る中………司は今一度ホウオウモンの煌臨元カードに手をかける。おそらく一般の人間なら間違いなく訪れる事はないだろう究極の選択…………
………司が選んだ選択は………
「俺は煌臨元カードを………………………」
「…………戻すわけねぇぇだろぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!!」
「ッ!?……司……!!」
司は怒りのままにシルフィーモンのカードをBパッドに叩きつけた。手札に戻してはいないので、ホウオウモンの効果は発揮されない。
「………だったら、ブロックはしない…………で、いいんだね?」
「…………好きにしろ………」
アーマゲモンのアタックは2体出ないとブロックできない。ブロック前にスピリットを1体破壊しなければならないからだ。
アーマゲモンの驚異のアタックが司を襲う………
「行けッ!!アーマゲモンッ!!」
再び走り出したアーマゲモン。狙うは当然司のライフだ。ホウオウモンがそれを阻止しまいと目の前に現れるが、アーマゲモンはそれさえをも突き飛ばし、前へと前進する。
「司ぁぁぁぁあ!!」
「司ちゃんッ!!」
雅治や夜宵、他の仲間達の声でも当然それは止まることはなく…………
司はこのバトルのラストコールをゆっくりと言い放つ………
「………ライフで受ける…………」
とうとう司の眼前まで現れたアーマゲモン。その大顎で司の最後のライフへと噛み付く。そしてそれは次第にひび割れ…………
「…………」
ライフ1⇨0
………粉々に砕け散った…………
その時、司は多大なバトルダメージによる痛覚以上に頭に思うことがあった………
………それはバトル中、Dr.Aが自分に放った言葉………
ー『君ではあのデッキに勝てない。まぁ、エニーズならどうにかできるかもしれませんが』
司はこのバトル。勝つつもりだった。勝って芽座椎名よりも自分が強いとDr.Aに認めさせてやろうと思っていた。流異を助けたいという気持ちよりも、その事を優先に考えていた。
だからあのバトル。アーマゲモンを倒してまで勝とうとした。スピリットアイランドの人々を盾に………言い訳していた。
それに比べ、椎名は流異の命を優先した。何よりも、真っ直ぐに………勝てるわけがない。こんな自分勝手な自分が……
そんな事を頭に過ぎらせながら、司は多大なバトルダメージを受け………倒れた。
赤羽………散る。
「つ、司ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!」
椎名の悲痛な叫びが何よりもこのアイランドリーグの会場に鳴り響いた。
〈本日のハイライトカード!!〉
椎名「本日のハイライトカードは【クラモン】!!」
椎名「クラモンは成長期スピリットよりさらに下、幼年期のデジタルスピリット!!デッキに何枚でも入る特別なカードで、破壊時にカードをめくって、それがクラモンなら召喚できる!!しぶといスピリットだ!!」
〈次回予告!!〉
クラモンとアーマゲモンの攻撃の前に敗れた司。その意思を引き継いで流異にバトルを挑む椎名。だが、アーマゲモンには椎名の鬼化さえも全く通じない。徐々に追い込まれていく椎名。だがその時…………次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ、「その名はクリムゾンモード!!真なる深い紅!!」……今、デュークモンが進化を超える!!
******
※サブタイトルは変更する可能性があります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!!
言い忘れていましたが、最近、シークエンス表記を台詞から《》の中に入れるスタイルに戻しました。色々と試す期間にしてるつもりでしたが、なにぶん後者の方が使いやすかったです。
すごくくだらないことではありますが、【エニーズ】を英語表記にして、逆さまから読むと………
【エニーズ】
↓
【ANYS】
↓
【SYNA】
↓
【椎名】
となります。少し無理矢理な気もしますが(笑)
【攻流異(こう るい)】は並べ替えると【いこうる】となります。このネタは前作、オメガワールドを読んでいただければわかります。
因みに、椎名はアーマゲモンと対峙するのは2度目です。