本当は本編、二期4章を終わらせてから投稿したかったのですが、訳あって【本編の次回のバトルが執筆できない】ので、10日内の期限を守るため、こちらを先に投稿することにしました。
私は基本的にキャラ崩壊は作品の中では当然のごとく存在するものだと思っているので、タグにも書かないのですが、今回は流石にキャラ崩壊に注意です。
本編とはそもそもの時間軸が違う設定的なものを念頭に置いておいてください。なんかこう、コミックスの巻末の四コマや短編みたいな話です。
※時間が経てばその他の方に移動させます。
【ちっこなったしいな】
「あぁ、今日もあっつーーーねぇ真夏。アイス買って来てよ〜〜」
「嫌や」
時期は太陽が神々しく昇る夏。照りつける日光が公園のベンチに佇む椎名と真夏を襲う。
椎名はこの暑さをしのぐべく、真夏にアイスの購入を検討させようとするが、こんな暑い中で自分一人で行くと言うわけもなく、真夏は当然のごとく即答で断った。
「えーー、じゃあバトルで決めよう〜〜負けたらアイス買いに行くって事で」
「ズル!!…あんたそれ自分に有利な条件やんけ!!」
「え〜じゃあ何で決める?」
流石にバトルで決めるのは椎名に部があると見ている真夏は「う〜〜ん」と思考を動かす。
そして1つの考えに至った。
「あたしが今度ドーナツ買うてやるから今日はあんたが行けぇや」
「マジか!!約束だよ!!」
「マジマジ、せやかて早よ行ってきい」
「っしゃあ!!任せろ!!」
単純思考の椎名は真夏のドーナツに乗せられて結局言い出しっぺの自分がアイスを買いに行くはめになってしまった。真夏もあぁは言っているが、心の中では椎名の事を「チョロいな」と思っている。
椎名は暑さの疲れなど忘れたように吹り切り、コンビニへと走り出した。
そしてものの数分でコンビニに到着し、アイスのコーナーへと急行する。所狭しと並べられたアイスに心も体も冷やされる。
「真夏はモナ王派だからな……私は………む?」
真夏はアイスを食べる時はいつもモナカしか食べない事を知っている椎名は。モナ王1つを手に取る。ただ、その時、嫌に目に入ったアイスがあった。
「【ちっこなってアイス君】??……聞いたことないやつだな…………でもなんか気になるかも……!!」
紫で青くて黒くて、暗めの色がこれでもかとパッケージを覆い尽くしたアイスがあった。その様子からでもすでに不気味で怪しい。
だが、椎名は一体それの何に惹かれてしまったのか、取り憑かれたようにそのアイスへと手を伸ばした。
そして1分後、アイス2つを購入した椎名がコンビニから出て来る。
「結局なんなんだろうこのアイス?………公園に帰る頃には少しは溶けてそうだよね……じゃあ、今のうちに少しはかじろうかな………」
淡い食への誘惑に負け、椎名はついさっき購入した不気味なパッケージのアイスを開ける。それは棒状の周りに青いアイスが付いているベーシックなタイプだ。
椎名はそれを見て、「意外と美味しそう!!」と客観的な感想を述べると、そのままそれを一口かじった。
「おっ!!いける!!美味しい!!」
甘美の余り喜びの声を上げる椎名。一口だけとは思っていたものの、別に真夏も怒ることはないだろうと考え、もう一口、またもう一口と止まらずそれがなくなるまでただひたすらに食べていた。
自分の体の変化にも気付かず………
一方真夏は公園のベンチに座り、椎名の帰りを待っていた。
「もうそろそろやな〜〜……って言うとったら来た来た!!お〜〜い椎名あんたしっかりモナ王に…………し、」
木陰から真夏の方へと向かって歩いて来る人物。真夏は頭部の独特な形からそれが椎名である事を悟るが………
………違和感を感じていた。なんか右手に持っているアイスが入っているであろうコンビニの袋とあまりサイズが変わらないことに………
……ただ、その椎名らしき人物は迷う事なく真夏の方へと向かって来た。
「え??……誰やねん…………ッ!?」
真夏の目の前に現れたのは小さな小さな女の子。椎名のような髪色。アホ毛。パーカー。ゴーグル。
まるで椎名自身を縮小したかのような存在だった。真夏は一瞬だけ疑問を抱くも、その小さい少女が行った行動。呟いた言葉から全てを察する事になる。
「まにゃ!!もにょう!!」※まな!!もな王!!
その椎名に似た小さな少女は無垢な笑顔を見せながら真夏に購入して来たモナ王を差し出した。小さな小さな手でそれを大事そうに持っていた。
「え!?…ま、待て待て、嘘やん!!……ま、まさかとは思うけど………あ、あんた、名前なんて言うん?」
何かとんでもない事が起こっているのではないか。そう思い、真夏はその小さな少女に名前を聞く。すると、返答した答えは………
「しな!!」※しいな!!
「っ!?!?っ!?!!っ!??」
全て完全に把握した真夏。科学では到底信じられない出来事が今目の前で現実となって起こってしまった。
「し、椎名がちっこなったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!」
「むえ?」
真夏の渾身の叫びが公園のベンチを中心に大きく反響するのだった。
******
【ましゃーる】
「今緑坂さんの声がしなかった?」
「あぁ?なんかの聞き間違いだろ」
「いや、確かに………あ、ほらほらあそこだよ!!…ちょっと挨拶して来ようか」
「あぁ!?やんなくていいだろ」
真夏の渾身の叫びが偶然にも公園を横切ろうとしていた雅治と司の耳に入って来ていた。知り合いへの挨拶を疎かにしようとしない雅治。司も結局は渋々彼に着いて行く事にした。
「やぁ緑坂さん、こんにちは」
「お、おぉ、な、長嶺………ほ、ほぉ」
「あぁ?どうした関西女、頭でも打ったか?」
雅治と司が公園のベンチに座る真夏に話しかけるが、真夏は未だにさっきの信じられない出来事にショックで軽い放心状態に陥っていた。
その様子を不思議に思う2人だったが………
「ましゃーる!!ましゃーる!!」※まさはる!!まさはる!!
「ん?誰この子……緑坂さんの妹さんかい?」
小さくなった椎名が雅治に遊んで欲しいかのようにズボンの裾を小さな手で引っ張る。真夏はゆっくりと首をそこに傾け、とんでもない事実を口にする。
「ちゃ、ちゃうねん……それしいなや」
「「ソレシイナヤ??」」
2人は口を揃えて呪文のようなその言葉を復唱した。
******
【ちゅかしゃ】
「な、成る程……椎名はこれを食べて小さくなったと………」
「そやねん。もうあたしにも何が何だか……」
「まにゃ!!ましゃーる!!」
「……うーん、見た感じも中身もだいたい1歳くらいかな?」
一旦落ち着き、雅治と司に事情を説明した真夏。小さくなってしまった椎名は真夏の膝の上に綺麗に配備されている。
おそらく椎名はあの変なパッケージのアイス。【ちっこなってアイス君】を食べたせいでそうなったと今のところ彼らは推理している。というかそれ以外の原因が見出せない。
「元に戻るんかな?」
「さぁ、流石にここまで現実離れすると予想もつかないね」
「………でもな、長嶺」
「うん」
「あんたももうなんとなく気づいとるやろ…………」
「………そうだね」
世にも奇妙な不思議なアイスを口にして小さくなった椎名。彼女の友人としてはその身体の安否を心配するのが当たり前だろう。
しかし、真夏と長嶺はそれ以上に今の椎名に対してある事が気になっていた。
それは………
「「この椎名かわいい!!」」
2人して声を揃える真夏と雅治。
他でもない。小さくなった今の椎名は余りにもかわいすぎた。信じられないほどにかわいい。何故か体と一緒に縮んだ服もそうだが、何より、退行した中身や精神もまた無垢で純粋でかわいすぎる。
兎に角簡潔に説明すると、最高だった。もはや戻れるか戻れないかとは2人にとっては二の次三の次と言った具合まで意識を低下させていた。
「……もにょう!!」
「ごっつかわええ!!モナ王って言うとる!!」
「椎名頭良すぎ!!」
真夏の膝の上で、真夏の食べ終わったモナ王のパッケージを小さな手で見開き、さらにそれを大きな目で凝視しながらそこに書かれている振り仮名を口にするチビ椎名。
真夏と雅治はそのかわいさに度肝を抜かれて思考力が著しく低下の一途を辿り、言葉もそれらしくなる。
「もっかい!!もっかい私の名前言うてみぃ?チビしな!!」
「むえ?」
「ほら、私や私!!お姉ちゃんの名前はなんやった?」
「……まにゃ!!」
「ほわ〜〜!!賢ぉぉ!!」
真夏は余りのテンションの高さと高揚が抑えられず、有り余ってベンチの背をバシバシと手のひらで叩きまくる。
「じ、じゃあ、お兄ちゃんはわかる?……わかるよね??」
「ましゃーる!!」
「…お、おぉ!!もう嬉しい……!!……悶え死にたい!!」
椎名がかわいすぎて凝視できずに思わず顔を手のひらで覆う雅治。椎名はおかしな2人の様子を見て嬉しそうに笑っていた。そこから垣間見える無垢な笑顔がまた2人を謎の快楽に陥れていった。
ただ、それを側から見ていた司はその2人の様子に馬鹿らしさを感じているのか、ややいつもより冷たい目線でそれらを眺めていた。
「バカかこいつら」
2人に対して辛辣な言葉を思わず漏らす司。
が、彼にもチビしなの魔の手がすぐそこまで迫っていた。チビしなは司のすぐそばまで近づくと………
「ねぇーーちゃかしゃーーだっこーー」※ねぇーー司ーー抱っこーー
彼のズボンの裾を小さ過ぎる手で引っ張り、抱っこを要求して来た。その下から見上げてくる可愛らしい目線に、司は思わず負けそうになるが、それでもそこはグッと堪えて、自分のキャラを貫くかの如く名前を言えていないことに腹を立てて……
「テメェ、めざし………俺の名前を忘れやがったのかぁ!!」
「ねぇーーだっこーー」
怒りを露わにする司はチビしなの目線まで腰を下ろす。
そして1on1の戦いが幕を開ける。
「ちゅかしゃじゃねぇ!!俺は司だ!!……ほら、言って見やがれ!!……つかさ!!」
「ちゅかしゃ!!」
「違ぇ!!………つぅ!!」
「ちゅぅ!!」
「かぁ!!」
「かぁ!!」
「さぁ!!」
「しゃぁ!!」
「赤羽司!!!」
「あきゃっぱねちゅかしゃ!!」
「………!!」
最後の最後にフルネームを言わせてしまったのは不味かったか、司もとうとう純粋無垢なチビしなの不思議な魔力にとらわれてしまう。だが、その本来の理性も僅かながらに残っていたか、言葉使いにだけは気をつけ………
「あぁっ!!クッソがぁ!!……抱っこでもなんでもしてやるわコラァ!!!…俺は今日からちゅかしゃだぁぁぁ!!」
「むえぇぇぇ♪」
「……司のキャラが完全に壊れた」
司は両手で思いっきり抱きしめ抱っこした。それはとても手慣れた手つきだった。チビしなは高い所に来れて非常に嬉しそうな表情を見せる。
我の強い赤羽司でもチビしなには敵わなかった。
******
【もんしゅたー】
「ガハハハ!!芽座椎名!!今日こそお前のその鼻っ柱へし折ってやるぜ!!………って、うぉ!?なんかお前小さくなってね!?」
チビしなを愛でていた3人の前に現れたのは打倒芽座椎名を目指す体格太めの不良、毒島富雄。だが、来た瞬間直ぐに椎名が小さくなったことに気づく。
「あ、雌島やんけ」
「俺オスだし!!」
「違うだろ、モス島だろ?」
「バーガー食ってねぇから!!!」
「違うよ2人とも、毒島でしょ?」
「だから……………え、合ってる」
毎度毎度お馴染みの事ではあるが、出会ってそうそうに3人に名前で持て囃される毒島。3人目の雅治で何故か見事に的中され逆に戸惑う。
「ぶーっま」※ぶすじま
椎名も雅治の後に続くように毒島の名前を復唱する。このくらいの歳の子供はなんでも言いたがるため発音がままらなくてもついつい口ずさんでしまうのだろう。
「おい聞いたか、今毒島っつったぞ」
「うちらのチビしなどんだけ賢いねん!!」
「…………いや、言えてねぇし」
もはやキャラが壊れ尽くした司がそう言った。真夏もチビしなのかわいさに眩暈を覚える。そんな中、毒島だけが唯一冷静にツッコミを入れるが………
「ま、まぁでもよ、ちょっとはかわいいじゃねぇか……お、俺にも抱かせろよ……」
「はぁ!?なんであんたがそんな事言うねん!!キショ!!」
毒島がチビしなを大事そうに抱きかかえている真夏に言った。彼とてやはり人間か、他3人同様にチビしなの妙な魔力に当てられ、知らぬうちに虜にさせられていた。
「んな固い事言うなよ……ほれ、毒島おじちゃんですよ〜〜」
「なんであんたまでキャラ変わんねん」
毒島がゆっくりとチビしなの元へと近づいていく。その様子は最早子供狙う不審者にしか見えない。
そんな毒島を怖がったか、チビしなは涙目になりながら真夏にしがみつき……
「……ふぇっ、もんしゅたー……こわい、」※モンスター
「ぐっ!?」
「こっちきちゃ、ヤッ!!」※嫌
「ぐ、ぐはぁ!?」
怖がるチビしなとその無垢故の辛辣な言葉に、胸を串刺しにされる毒島。余りにも大き過ぎる精神的なダメージにより、血を吐きながらその場で倒れ込んでしまう。
「いや、こればっかりはあんたの自業自得やで」
真夏が泣きながらしがみついて来たチビしなを「お〜〜よしよし」とあやしながら倒れた毒島に言った。
「き、今日のところはこれくらいにしてやる………」
「まだ生きとったんかい!!」
うつむせに倒れた毒島が顔だけあげて言った。その表情は不良とは思えない程に和かで、何故かたいへん嬉しそうなものであった。
******
【はったしぇんしぇい】
「なにぃ!?その子が椎名だって言うのか!?」
「はい。そうなんですよ〜〜」
「体を小さするアイスなんて聞いたことないわね」
「むえぇ?」
次に4人は担任と副担の先生である空野晴太と鳥山兎姫と対面していた。
「という事で先生方もあたしらのチビしなを愛でてやってください〜〜」
「そうだ空野晴太、さっさとチビしなを愛でろ…!!」
「お前らキャラの崩壊具合が著しいな……特に司……」
すっかり小さくなった椎名にメロメロでデレデレになってしまった3人を心配する晴太。自分とて子供は嫌いではないが
「おい椎名、お前俺の事覚えてる?」
「むえ?」
晴太は小さくなった椎名に目線を合わせるために屈みながら言った。すると椎名はまたまた純粋無垢でかわいらしい笑顔を晴太に向けて……
「はったしぇんしぇい!!」※はれたせんせい
「〜〜!!」
と、言い放った。
晴太は他の者達同様にチビしなの妙な魔力に当てられてしまい、声にならない声をあげ、あっという間に虜にされてしまう。
「はったしぇんしぇい!!だっこーー」
「お、おぉ、いいぞ!!」
どんだけ高い所に行きたいのか、椎名は晴太に司同様抱っこを要求してくる。しかし、晴太とて断る理由はないか、チビしなをそのまま抱き抱え立ち上がった。
高い所に来れた椎名は嬉しそうにまた表情を歪ませる。晴太も椎名がかわいすぎてにやけが止まらない。
「あの小うるさい椎名もここまで小さくなったらかわいいもんだな……!!」
「せやろせやろ!!…今の椎名ごっつかわええねん!!」
「むえぇぇぇ♪」
椎名を抱いてあやしながら晴太は言った。それに合わせるように真夏も椎名のかわいさをより主張する言葉を言い放つ。
だが、ここまでは良い調子だったが、次の瞬間、晴太は言葉の選び違いを犯してしまう。
「いや〜〜…俺に娘がいたらこんな感じなのかな」
「ッッ!?!」
晴太としては単純になんとなく思い至ってなんとなく発した言葉だった。だが、その隣にいた兎姫は違った。晴太のその言葉を聞いた瞬時に様々な妄想が自分の頭の中に過ぎり……
……恥ずかしくなって………沸騰するように顔を赤くして………
「別に欲しくないんだからねぇぇぇぇぇえ!!」
「何がぶべら!?!」
晴太の頬を思いっきりビンタで引っ叩いた。晴太は吹っ飛ばされる。その勢いで飛んで行ったチビしなは偶然にも司の方へ飛んでいき、彼がキャッチする。
「ふっ、やはりチビしなは俺の懐がいいらしい」
「………相変わらずやな、晴太先生と兎姫先生」
「ふんっ!!今日は先に帰らせてもらうわよ晴太先生!!」
顔を真っ赤にしながらも、兎姫は皆の元をキリキリとした歩き方で去っていった。
「………俺、何も言ってないんですけど……」
「むえぇぇぇ♪」
晴太は涙目になりながら自分なりの意見を述べた。ただ、それが兎姫の耳に入る事はなく、また気の毒な事に、兎姫が怒った理由を教える者もいなかった。
【小さくした黒幕は】
「むえ、パシャパシャ!!」
「ごっつかわえぇぇぇえ!!!ほら、こっち向いて見?」
「ちゅかしゃ、パシャパシャ!!」
「そうだな、パシャパシャだな」
「そろそろ司が未開の地に足を踏み入れようとしている…………」
まだ公園でチビしなと遊ぶ真夏、雅治、司。真夏がBパッドのカメラ機能を使って小さい足で愛らしく走り回るチビしなを激写していく。因みにチビしなの言う「パシャパシャ」とは、カメラのシャッター音だ。
司もそろそろ危ない領域にまで達してきている。彼の威厳の強いキャラは戻ってくるのだろうか?
「ヌッフフ、エニーズ。随分と小さくなったようですね〜〜『ちっこなってアイス君』作戦は大成功だ!!」
「「「!?!」」」
そんな時だ。御老体から発せられたような声が聞こえて来た。彼らはそこへと顔を向けると、そこには老人の『Dr.A』と好青年の『銃魔』の姿があった。
「Dr.A、銃魔!?」
「なにしに来たんだ!!」
「ていうか今、『ちっこなってアイス君』って言わなかったか?」
何故か急に敵対する連中が現れた事に驚きを隠せない感じの3人。それもそのはず、何せ、これは『ギャグ次元』だ。ラスボス格のキャラが出てくるのは考え辛くて………
「ヌッフフ、実は私がエニーズに体の小さくなる『ちっこなってアイス君』を買わせるよう誘い込み、食べさせたのですよ!!」
「そして結果は貴様らの見てきた通りだ。エニーズは幼体にまで小さくなった。これで一から奴に鬼になるための教育を施すことができる!!」
「っ……そんな事のために……っていうかこれ、ギャグ次元だよね!?」
「随分それっぽい理由を並べたな………」
Dr.A達がエニーズを、椎名を小さくしたのは彼女を鬼として一からやり直すためだった。椎名は鬼の力を持つが、六月に育てられたため、心は普通の人間として育っているのだ。
それを一からやり直すとなると大変な事になるのは目に見えていて………
「つべこべ言わせませんよ〜〜銃魔!!」
「御意!!」
「むえ?」
「え!?…チビしな!?」
Dr.Aが銃魔に指示を送ると、銃魔は返事一つで一瞬にして真夏たちの足元にいたチビしなを捕らえ、連れ去っていた。見事な早業である。
というかそれ以前にあの堅物な銃魔が1歳くらいの子供が抱いているのはなんともミスマッチ極まりなかった。
やがて銃魔はそのチビしなをDr.Aの方へと預ける。
「ヌッフフ、お〜〜よしよし、私がお爺ちゃんだ」
「いや、ちゃうやろ!?」
「エニーズは私が造ったんだ。私の孫と決まっている」
急に何を言いだすかと思えばそんな事。
もう側から見たらそれを小さくなった椎名に言いたいがために事件を起こしたとしか思えない。
「ヌッフフ、私は君のために極上の『奇跡のたこ焼き』を買って来ましたよ〜〜召し上がると言い」
「わぁー!! あっがと〜〜!!」※ありがとう
Dr.Aからたこ焼きが入っている袋を渡され、チビしなはなんの疑いもなく、元気にその中のたこ焼きを貪り食べ始める。口から『もきゅもきゅ』とした食べる音が聞こえて来るのと、食べる仕草が余りにも可愛すぎる。
「おいしいかい?」
「ほいひーよ!!」※おいしいーよ
たこ焼きが口にあるからまともな発音もできないのがまた可愛い(※最初からできてない)
そんな様子に真夏たちは我を失いかけるが………
「いやいや!!あかんて!!チビしな!!そんな危ない人から物もらっちゃダメやでぇえ!!」
踏み止まった真夏が叱責するようにチビしなにそう言う。チビしなは少しだけ疑うような表情で自分を抱えているDr.Aの方へと振り向き………
「え。あぶないひとなの?」
「いや、私は危ない人ではないよ。ヌッフフ……」
「ほら!!」
「ほら、じゃないやろぉぉぉぉぉお!!」
安堵の表情を真夏に向けるチビしな。どこからどう見たってDr.Aは怪しい人物だ。しかもそれはDr.Aだけでなくて………
「ヌッフフ、君は本当に美味しそうに食べるね〜〜いい事だ」
「ところでDr.A。そろそろ俺にも妹を抱かせてください」
銃魔がそう言いながらたこ焼きを貪り食べている椎名をBパッドで激写する。銃魔も椎名と同じくDr.Aに造られた存在なので、一応便宜上は兄妹みたいな事になっている。
「いや、待て銃魔!!次は俺に抱かせろDr.A!!」
「なに!?赤羽司。貴様は散々妹を抱っこしてたではないか!!」
「うるせぇぇぇぇえ!!突然兄貴キャラを前面に押し出してくるんじゃねぇ!!テメェ本編ではほとんどそんな事言ってなかっただろうがぁぁ!!」
「どこからツッコめばいいんや……」
「……チビしなおそるべし……だね」
「むえぇぇえ♪」
誰も彼もが小さくなった椎名の可愛らしさに悶えた。チビしなは余りにも可愛すぎた。多分本編もこんな感じだったら世界は争いなどなく平和だったのかもしれない。
ただ、肝心のバトスピは一切してはいないが………
因みに、チビしなは1時間後に無事元の椎名に戻りました。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!!
こんな感じでコミックスの巻末のような話を書かせてもらいました。
もう一個くらい話を作りたかったんですけどね。オチが浮かばなかったのでここまでとさせていただきます。
好評でしたら第2弾を計画致します。