バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ   作:バナナ 

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第82話「戦慄のデジタルスピリットキラー!!」

 

 

 

 

 

 

 

これは椎名と六月が、Dr.Aによる界放市襲撃の報道を知る約2日前………

 

緑坂真夏は1人、公園のベンチでこれまでのことを振り返り、考えていた。これから自分はどうあるべきか、どうするべきか………なかなか気持ちの整理がつかないでいた。

 

自分も長嶺雅治のように誰かを守るためにと言い、巨悪に立ち向かう姿勢を示すべきなのだろうか?…椎名のように馬鹿正直に前だけを向いて突っ走るべきなのだろうか?

 

どちらにせよ彼らと行動を共にしてしまうとDr.Aと戦わなくてはならなくなる。真夏はそれが嫌で仕方なかった。それもそのはず、誰だって命など賭けたくはない。

 

しかし、かと言って逃げ出すと本当に椎名達を危険な目に合わせてしまうかもしれない。それも死ぬ程嫌だった。

 

そう言ったどうしようもないジレンマが真夏の心を蝕むように襲っていて………

 

 

「……はぁ……どないしたらええねん……」

 

 

赤羽司もいない。雅治も自分のデッキの改良に手を焼いており、夜宵も司がいなくなったことで抜け殻のように弱ってしまった。今の真夏が頼れる存在は………担任の晴太や兎姫……後、100歩譲って兄のヘラクレスくらいだが、この事を教えて良いのかもわからないし、危険に晒すことになるかもしれないと思うと相談できなかった。

 

それと、残りはもはや親友とまでなった芽座椎名だが、自身の過去を知るために今、彼女は育ての親、芽座六月と故郷の離島へと帰郷している。

 

真夏は不思議となってもいない孤独を味わっていた。

 

 

………と、その時、ふと彼女の目線には信じられないものが映る。それは……

 

 

「っ!?…椎名!?」

 

 

公園の片隅から外へと出ようとしていたのは他でもない、芽座椎名だ。散々見た後ろ姿を、真夏が間違えるはずはなく………

 

 

「う、うそやん、だって………」

 

 

まるで幽霊でも見ているような真夏。それもそのはずだ。何せ今椎名はこの界放市にはいないのだから。真夏は気になって椎名らしき人物の後を追った。

 

椎名らしき人物は暗がりの路地裏へと足を踏み入れた。その様子を見た真夏は後を追うように走った。【それが罠だとも知らずに】……【もう既に彼の計画は始まっているとも知らずに】…………

 

 

「椎名!!」

「…………」

 

 

真夏の制止を誘う叫びに足を止める椎名。しかし、いつものように元気な受け答えはせず、黙って真夏の方を振り向く。

 

 

「…あんた、島に帰ってたんとちゃうんか?」

「………」

 

 

その表情はらしくなく無表情で尚且つ冷たい。肌も体調でも悪いのかと思ってしまうほど青白い。

 

だが、真夏の困ったような表情を見るなり、途端にニヤリと不気味な角度で口角を上げて………

 

 

「……緑坂真夏………ウフフフ、待ってたよ〜〜」

「っ!?……椎名?」

 

 

今真夏の目の前に立つ人物は声色、髪の色、その長さ、アホ毛までも全く同じ。靴や私服のセンスまでも一緒だ。しかし、声のイントネーションやその声と共に放たれる雰囲気は全くの別物。

 

まだなんとなくではあるが、咄嗟に真夏は気づいてしまった。

 

 

 

目の前にいる人物は……椎名ではない。

 

 

よく似ている何者かだという事に。真夏はその事に驚愕し、警戒するように半歩後退る。

 

 

「い、いや、違う…椎名とちゃう!!…誰やあんた!?」

「ウフフフ……私の名は【エニーズⅡ】……二つ名は…【デ・リーパー】!!…私もDr.Aに造られた存在!!」

「っ!?…ど、Dr.A……!」

 

 

【Dr.A】……その名詞を聞くだけで思わず身がたじろいでしまう。

 

なんだ。エニーズとは1人ではなかったのか?……確かに椎名が1人である事は断言されたことではないものの……

 

どちらにせよ今目の前にいる椎名と瓜二つの顔を持つデ・リーパーと名乗る者は………自分達にとって敵。椎名と違ってDr.Aに非常に好意的な態度を見せている。いずれどこかで彼女とも戦わなくてはならないのは既に目に見えていて…………

 

 

真夏は今、決断を迫られていた。ここで逃げるか……はたまた意を決して戦うか………

 

言い換えると、自分の命を守るために仲間だけを頼るか……はたまたその仲間達のために命を賭して戦うか………17という若年世代にはあまりにも難しい問いだ。究極の選択とも取れる。

 

極端に追い詰められたこの状況………真夏は脳裏にフラッシュバックするように椎名の言葉が浮かんできた。それは自分の背中を押すにはあまりにも十分すぎる言葉。

 

 

ー『じっちゃん……みんな連れて逃げてよ………私は流異君を助ける』

 

ー『うぉぉお!!流異君を返せぇぇえ!!!』

 

ー『最後の最後の最後までッ!!………諦めないのが!!私のバトルスピリッツだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!』

 

 

思い出すだけで……悲しくなる。

 

思い出すだけで……涙が出てくる。なんでいつも椎名があんな目に合わなければならないのか………

 

ついこの間あったスピリットアイランドでの出来事、椎名は自分の過去など全く眼中に入れず、1人で出会って間もない少年を命を賭して救い出した。

 

今、逃げ出そうなどと考えていた自分が恥ずかしく思えてくる。椎名はずっと戦ってきた。スピリットアイランドの時だけでなく、紫治一族の時も、オーズ一族の時も……

 

そんな親友の力になりたいと思っていたからこそ、心の底から迷っていたのだ。

 

しかし、たった今吹っ切れた。真夏はデ・リーパーを睨みつける。

 

 

「……勝負や…」

「?」

「勝負やこの青白ボケェ!!椎名はもっと健康な肌しとるわぁ!!」

 

 

全力で啖呵を切る真夏。デ・リーパーはこれといって怒っている様子はないようだが………彼女とて、はなっから真夏とバトルする予定だったのだ。自分から勝負を仕掛けてくるこの状況など願ったり叶ったりだ。

 

 

「ウフフフ、いいわよ真夏……その勝負、乗ってあげる」

「………行くでぇ!!」

 

 

2人は懐から勢い良くBパッドを取り出し、一瞬にしてバトルの準備を行った。

 

そして人気が少なく、薄暗い路地裏で始まる。Dr.Aとの最終決戦となるこの戦いの最初のバトルスピリッツが………

 

 

「「ゲートオープン、界放!!」」

 

 

真夏とデ・リーパーのバトルが幕を開ける。

 

先行は……デ・リーパーだ。

 

 

[ターン01]デ・リーパー

《スタートステップ》

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップ………うっふふふ、バーストを伏せて、紫のネクサスカード、失われし楽園を配置してターンエンド」

手札5⇨4

リザーブ4⇨0

トラッシュ0⇨4

【失われし楽園】LV1

 

バースト【有】

 

 

デ・リーパーは場にバーストを伏せると共に、背後に平穏を極限まで失った楽園を配置する。その様はデ・リーパー本人が放つ異彩な雰囲気も相まって非常に不気味である。

 

しかし、それでもこれ以上の行動にはどうしても制限がある。デ・リーパーはそのターンをエンドとし真夏にターンを渡した。

 

 

「……紫のネクサスカード、椎名なら絶対に使わんな」

「うふふふふふ、そりゃそうよ、だって私はエニーズではなくてデ・リーパー……エニーズとは違う進化を遂げるの」

「っ!!椎名はエニーズなんて化け物やない!!……行くでぇ、私のターン!!」

 

 

かつて、界放市の最強の学生バトラーと謳われた緑坂冬真、二つ名はヘラクレス。その妹、真夏のターンが幕を開ける。これ以上、友である椎名に苦難を与えないために。

 

 

[ターン02]真夏

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4⇨5

《ドローステップ》手札4⇨5

 

 

「メインステップッ!!…私もネクサスカード、賢者の樹の実を配置してエンドや!!」

手札5⇨4

リザーブ5⇨1

トラッシュ0⇨4

【賢者の樹の実】LV1

 

バースト【無】

 

 

真夏も同様にネクサスカードを背後に配置する。それは幹から枝、葉までが、神秘的な力に満ち溢れた聖なる大樹。そこから成る樹の実は生命の力を宿している。

 

しかしながら、順調とはいえそれだけで早々にターンを終える真夏。次は早くもデ・リーパーのターンだ。

 

 

[ターン03]デ・リーパー

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ0⇨1

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ1⇨5

トラッシュ4⇨0

 

 

「メインステップぅ………は、何もしないかな〜〜うふふ、エンドよ」

【失われし楽園】LV1

 

バースト【有】

 

 

「っ!?」

 

 

ターンシークエンスを順序よく行っただけでそのターンを終えたデ・リーパー。いくらバーストがあるとは言え、高速で強力なスピリットを呼び出せるデジタルスピリットのデッキが多数を占めるこの環境にて、何もしないのは自殺行為とも取れるものであって………

 

しかし、それでもデ・リーパーは相変わらずニタニタと不敵な笑みを満面に浮かべており………

 

 

「何考えとんのか知らんけども後悔すんなよ!!」

 

 

次は真夏のターン。今がチャンスだと言わんばかりにターンを進めていく。

 

 

[ターン04]真夏

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ1⇨2

《ドローステップ》手札4⇨5

《リフレッシュステップ》

リザーブ2⇨6

トラッシュ4⇨0

 

 

「メインステップッ!!こっちから行くでっ!!…成長期スピリット、フローラモンを召喚!!」

手札5⇨4

リザーブ6⇨3

トラッシュ0⇨2

【フローラモン】LV1(1)BP3000

 

「うっふふふ、やはり出して来たね〜〜デジタルスピリット」

 

 

真夏が最初に召喚したのはトロピカルな植物型の成長期スピリット、フローラモン。効果は成長期らしく、サーチ効果だ。

 

 

「召喚時効果!!3枚オープンし、対象内のカードを1枚手札に!!」

オープンカード↓

【老賢樹トレントン】◯

【ライフチャージ】×

【螺旋ニードル】×

 

 

効果は成功。真夏はその中の対象となるカード、老賢樹トレントンのカードを手札に加える。しかし、真夏の行動に反応するかのように、デ・リーパーの伏せていたバーストが反転する。

 

………それはすべてのデジタルスピリットの天敵とも呼べる存在。

 

 

「………相手の手札が効果によって増えた時……バースト発動!!」

 

「っ!?」

手札4⇨5

 

「デ・リーパーADR-02!!……効果によりこれを召喚!!」

リザーブ5⇨2

【デ・リーパーADR-02 サーチャー】LV2(3)BP3000

 

 

地底から出現する謎のコード。そのコードの先端部から不思議な形をした何かが現れる。それはとても邪悪で不気味で、いったい何を考えているのかも知れたものではない。

 

ただわかることは………敵であるということ。

 

 

「な、なんやこいつ!?…デ・リーパー?……あいつと同じ名前………」

「そう!!私自身もデ・リーパー!!…デジタルスピリットのデッキでは決して勝つことはできない!!…ADR-02の効果により、バースト発動時に増えたカード1枚につき、相手のデッキを1枚破棄!!」

 

「っ!?」

デッキ31⇨30

 

 

青の衝撃波が真夏のデッキを襲う。その上から1枚がトラッシュへと飛ばされる。しかし、こんなものまだ序の口、恐ろしいのはこれからだ。

 

 

「その後、手札にあるバーストカードをセットする………さらに、ネクサスカード、失われし楽園の効果、バースト効果を持つスピリットの召喚により、カードを1枚ドロー………うっふふふ、楽しいバトルねーー」

手札5⇨4⇨5

 

「っ!!…またバーストを…」

 

 

今一度バーストカードをセットするデ・リーパー。事前に配置されていたネクサスカードの効果でのドローで隙もない。

 

しかし、これだけではいささかデジタルスピリットの天敵とは認識しづらいものがある。真夏はさらに手札にあるスピリットを展開する。

 

 

「……こんな雑魚スピリットがデジタルスピリットの天敵?……アホな事抜かすなよ!!私はさらにパルモンを召喚!!さらに召喚時効果!!」

手札5⇨4

リザーブ3⇨1

トラッシュ2⇨3

【パルモン】LV1(1)BP3000

オープンカード↓

【ライフチャージ】×

【リリモン】◯

 

 

さっき召喚したフローラモンとはまた別の意味でトロピカルな成長期スピリット、パルモン。そして効果も成功。真夏は自身のエーススピリットであるリリモンのカードを手札に加えた。

 

………だが……

 

 

「バースト発動!!デ・リーパーADR-02!!…効果により召喚!!」

リザーブ2⇨1

【デ・リーパーADR-02 サーチャー】LV1(1)BP1000

 

「っ!!2枚目!?」

手札4⇨5

 

 

同じくコードが伸び、2体目のADR-02が場に現れる。通常3枚しか入れられない同名カードが同じターン内で2回召喚されるのはなかなかない事だが、このスピリットは違う。

 

 

「ADR-02はデッキに20枚まで入れられる……効果によりデッキを1枚破棄し、またバーストをセット、失われし楽園の効果でドロー」

手札5⇨4⇨5

 

「っ!!……20枚まで……」

デッキ28⇨27

 

 

真夏のメインステップであるにもかかわらず、スピリットを2体も展開するデ・リーパー。真夏はここまでの試合運びの中で何となくデ・リーパーのデッキ概要を理解して来ていた。

 

おそらく、デ・リーパーのデッキは【デッキアウト】……あのADR-02で身を固めつつ、デッキを破棄、自身の回転率を高め、最後は何か強大なスピリットでデッキアウトを目指す。そう言ったところだろう。

 

デジタルスピリットの天敵と言うのもそう言うことだ。デジタルスピリット性質上、召喚するだけでデッキを複数枚オープンすることになる成長期スピリットを何度も召喚しなければらない。自然とデッキがなくなりやすいのだ。故に他のデッキよりデッキアウトも早い。

 

ここまでが真夏の推理だ。デッキアウトのデッキならばやることはただ一つ………速攻だ。

 

 

「さっさと終わらせるでぇ!!アタックステップ!!フローラモン!!パルモンでアタック!!」

 

 

単純な話だ。自分のデッキがなくなる前にデジタルスピリット特有の速さを活かして相手のライフをゼロにするまで………

 

……フローラモンとパルモンが走り出した。いずれもBPは3000。LV2のADR-02もBPは3000。ライフで受けるも守るもそのバトラー次第だ。

 

 

「………うっふふふ、まぁそうなるよね〜〜ライフで受ける」

ライフ5⇨4⇨3

 

 

ライフの減少を選択したデ・リーパー。フローラモンとパルモンの体当たりが連続で炸裂し、そのライフを一気に2つ破壊した。

 

 

「……ターンエンドや」

【フローラモン】LV1(1)BP3000(疲労)

【パルモン】LV1(1)BP3000(疲労)

 

【賢者の樹の実】LV1

 

バースト【無】

 

 

できることを全て終え、そのターンを終えた真夏。一見、デ・リーパーの戦術を捉えて上々であったターンにも覚えてくる。

 

しかし、仮にもデジタルスピリットの天敵と呼称される存在。これから真夏は理解していくことだろう。デ・リーパーにデジタルスピリットのデッキで挑む事がどれだけ無謀な事だったのかを………

 

 

[ターン05]デ・リーパー

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ3⇨4

《ドローステップ》手札5⇨6

《リフレッシュステップ》

 

 

「メインステップぅ〜〜…うっふふふ、私は次なるデ・リーパー……ADR-01をLV2で召喚!!」

手札6⇨5

リザーブ4⇨1

トラッシュ0⇨1

【デ・リーパーADR-01 ジュリ】LV2(2)BP6000

 

「っ!?」

 

 

同じく地底から伸びるコードに接続されたまま場へと飛び出して来たのは少女の姿を象った化け物。数存在するデ・リーパースピリットの一体だ。

 

その一体は不敵かつ不気味な笑い声を上げながら目の前の真夏を見つめており………真夏はその様子にただただ背筋を凍らせることしかできず………

 

 

「………な、なんやこいつ……気味悪いわ……」

「ADRは一体だけじゃないよ!!私は仮にもエニーズ!!オーバーエヴォリューションを繰り返せる!!」

 

 

まるでデ・リーパーデッキをオーバーエヴォリューションにより生み出したと言わんばかりの供述をするデ・リーパー。

 

そして、まだ進化は止まらないとでも訴えているかのようにも聞こえてくる。

 

 

「さぁ、反撃開始……アタックステップ!!行きなさいADR-02!!LVの方のアタック時効果でデッキのカードを1枚破棄!!」

 

「っ!!」

デッキ27⇨26

 

 

宙を舞い、翔け上がるLV1と2のADR-02。そしてその瞬間、再び青の衝撃波が真夏を襲い、デッキを破棄させる。因みに、破棄カードはネクサスカードの賢者の樹の実。

 

 

「……ライフで受けるっ!!………ぐうっ!!」

ライフ5⇨4⇨3

 

 

ADR-02の体当たりが真夏のライフを襲う。この時、真夏に通常バトルとは思えないほどの激痛が体中を駆け巡った。あまりのダメージ量に足腰が立たなくなってしまう。

 

 

「…ぐっ!!……こんなに痛いんか………こんな痛みをずっと椎名は…………」

 

 

ずっと受けてきたのか……ずっとこんな痛みに耐え抜きながらみんなを護っていたのか………そう悟った真夏。

 

親友が今までずっと体を張ってきたのだ。自分がここで逃げるわけにはいかない。そう思いながらも震える足腰を持ち上げながら精一杯の火力で立ち上がってみせた。

 

 

「賢者の樹の実の効果でコアを2つ分増やすで………」

リザーブ3⇨4⇨5

 

 

賢者の樹の実が真夏のBパッドに投下され、新たに姿を変え、コアとなる。

 

 

「…うっふふふ、耐えるのねー……エンドよ」

【デ・リーパーADR-02 サーチャー】LV1(1)BP1000(疲労)

【デ・リーパーADR-02 サーチャー】LV2(3)BP3000(疲労)

【デ・リーパーADR-01 ジュリ】LV2(2)BP6000(回復)

 

【失われし楽園】LV1

 

バースト【有】

 

 

ADR-01をブロッカーとして場に残し、そのターンをエンドとしたデ・リーパー。次は痛みに耐えた真夏のターン。ここから勝負を決めるべく、一気に畳み掛ける。

 

 

[ターン06]真夏

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ5⇨6

《ドローステップ》手札5⇨6

《リフレッシュステップ》

リザーブ6⇨9

トラッシュ3⇨0

【フローラモン】(疲労⇨回復)

【パルモン】(疲労⇨回復)

 

 

「メインステップッ!!2体目のパルモンをLV1で召喚!!効果は使わへん!!」

手札6⇨5

リザーブ9⇨7

トラッシュ0⇨1

【パルモン】LV1(1)BP3000

 

 

真夏が新たに呼び出したのは2体目のパルモン。しかし、成長期スピリット特有の効果は使用しなかった。警戒しているのだ。あのADR-02のバーストを………

 

 

「続けて行くでぇ!!…老賢樹トレントンをLV1で召喚!!」

手札5⇨4

リザーブ7⇨3

トラッシュ1⇨4

【老賢樹トレントン】LV1(1)BP5000

 

 

突如として真夏の背後に大樹が茂る。それは人のような手足を伸ばし、真夏の眼前へと現れた。そしてその偉大なる大樹は頭部の木々を揺らし、森の仲間を呼び寄せる。

 

 

「召喚時効果!!緑のスピリットカードをノーコスト召喚!!……さぁ、美しく咲き誇りぃ!!…完全体スピリット、リリモンをLV2で召喚!!」

手札4⇨3

リザーブ3⇨0

【リリモン】LV2(3)BP10000

 

 

トレントンに呼び込まれるように現れた桃色の蕾。それが優雅に花開くと、中から妖精型の完全体スピリット、リリモンが姿を見せる。

 

これで真夏の場のスピリットは合計で5体。一気に勝負に出るには十分過ぎる体数だ。

 

 

「へぇ〜〜これがリリモン。うっふふふ、エニーズの戦闘データで見るよりかも可愛い顔してるじゃない…!!」

「一々リアクションがうっさいねん!!アタックステップッ!!リリモンでアタック!!」

 

 

4枚の羽を羽ばたかせて宙を舞うリリモン。狙うは当然残り3つのデ・リーパーのライフだが、リリモンはこのタイミングで発揮できる効果をいくつも備えており………

 

 

「アタック時効果!!…ボイドからコアを2つリリモンに追加し、ターンにいっぺん回復ッ!!」

【リリモン】(3⇨5)LV2⇨3(疲労⇨回復)

 

 

緑の光を浴び、LVアップと回復を同時にこなすリリモン。これで真夏は他のスピリットも含めて計6回のアタックが可能。デ・リーパーのブロッカーはADR-01のみ。

 

そしてそれも封じ込めるべく、真夏はさらに動き出す。

 

 

「リリモンのもう一つのアタック時効果!!【旋風:1】!!相手スピリット1体を重疲労させるで!…狙うはADR-01!!」

「………!!」

 

 

リリモンは両手に花を模したキャノン砲を取り付け、ADR-01に向けてそれを射出。その緑の光の弾丸は瞬く間にADR-01を捉え、命中。

 

ADR-01はこれで重疲労状態となり、身動きが取れなくなる…………はずだった……

 

 

「っ!?」

「うっふふふ……言わなかった?…デ・リーパーは皆デジタルスピリットの天敵だ……てね!!」

 

 

直撃したかに思えたリリモンの一撃は、ADR-01が左手で展開した三角形のバリアに防がれていた。

 

 

「…ど、どうなってんのや……!?」

「うっふふふ、ADR-01はデジタルスピリットの効果を受けない!!」

 

「……っ!!……ADR-02を対象にする……」

 

「………」

【デ・リーパーADR-02 サーチャー】(疲労⇨重疲労)

 

 

ADR-01のバリアによって弾かれたリリモンの光の弾丸がADR-02に衝突。ADR-02は重疲労状態となり、身動きが取りづらくなった。

 

ADR-01。このスピリットは「アーマー体」「幼年期」を除くデジタルスピリットの効果を受けない力がある。デジタルスピリットのデッキは大抵の場合、「成長期」「成熟期」「完全体」「究極体」の4つが基本。

 

故に殆どのデジタルスピリットの効果ではあのスピリットを倒すのは不可能に近いと言える。特に真夏のような典型的なデジタルスピリットのデッキならば尚更だ。

 

 

「…せ、せやけどまだアタックは続いとる!!効果を受けんだけで何度もブロックできるんとちゃうやろ!!どちらにせよこのターンで終わりや!!」

「甘い……甘すぎる………この程度の実力でよく挑んできたわね………進化を繰り返せる私に!!」

「っ!!」

 

 

真夏の単純な戦法に飽きたか、デ・リーパーは怒りを露わにする。しかしながら、その顔は何故か不気味な笑顔に満ち溢れていて………

 

いったいどこが本当の感情で、気持ちなのかも定かではないデ・リーパー。だが、それは真夏では決して理解のできないもの。

 

彼女は椎名の戦闘データによって生まれた存在。つまり生まれたてなのだ。生まれたての生物は本能により己の成長を欲する。このデ・リーパーもまた己の成長を………ここで言う進化を求めていた。

 

そのため、無慈悲ゆえに複雑な性格をしている。

 

 

「…フラッシュマジック!!…絶甲氷盾!!…不足コストはADR達より確保!!フラッシュ効果によりこのバトルでアタックステップを終了させる!!」

手札5⇨4

リザーブ1⇨0

【デ・リーパーADR-02 サーチャー】(3⇨1)LV2⇨1

【デ・リーパーADR-01 ジュリ】(2⇨1)LV2⇨1

トラッシュ1⇨5

 

「っ!!」

 

「アタックはライフ!!」

ライフ3⇨2

 

 

リリモンの上空からの前蹴りがデ・リーパーのライフを1つ砕く。しかし、その直後、デ・リーパーの使用していたマジックにより真夏の場に猛吹雪が発生。スピリット全て身動きが取れなくなる。

 

 

「くっ!!……ターンエンドや…」

【フローラモン】LV1(1)BP3000(回復)

【パルモン】LV1(1)BP3000(回復)

【パルモン】LV1(1)BP3000(回復)

【老賢樹トレントン】LV1(1)BP5000(回復)

【リリモン】LV3(5)BP12000(回復)

 

【賢者の樹の実】LV1

 

バースト【無】

 

 

致し方なく、そのターンを終える真夏。

 

しかし、正直なところ、ある程度の余裕もあった。自分のライフは3。ブロッカーは5体。そして相手の場はバースト効果だけが取り柄のスピリットと、効果を受けないだけのスピリット。

 

このままいけば必ずリリモン達の猛攻で勝つことができる。

 

確かに、それは普通のカードバトラーの考え方。決して真夏が弱いと言うわけではない。だが………次のターンで彼女は改めて自覚するようになる。今、自分が相手にとっているのはどれだけの化け物なのか、どれだけの危険因子なのかを………

 

そして気づいた時にはもう遅い。デ・リーパーは進化を始める。【鬼化】と言う名の………

 

 

「……ッガァァァァァァァァア!!!」

「っ!!」

 

 

デ・リーパーは力を呼び覚ますかの如く大きな雄叫びをあげる。そして、そのアホ毛が硬質化し、牙が生え、その上さらに暗い青色のオーラをその身に纏う。

 

これは紛れもなく鬼化。芽座椎名がこれまで幾度となく使用してきた力の象徴とも呼べる代物。

 

椎名のコピーとも呼べるデ・リーパーも当然使えるのであって………真夏は目の前の身も心も本物の鬼に、ただただ背筋を凍らせることしかできず…………

 

 

「ふうっ、ふうっ……うっふふふ、これが鬼化。Dr.Aの言う通り力が漲ってくる……!!」

 

 

力を初めて使ったのか、高揚から興奮がなかなか冷めない鬼化したデ・リーパー。そして脅威のターンが幕を開ける。

 

 

[ターン07]デ・リーパー〈鬼〉

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ1⇨2

 

 

「……ドローステップッ!!……見よ!!滅ぶべき人間!!これが私の鬼化!!オーバーエヴォリューション!!」

「……っ!!」

 

 

ドローステップ時、デ・リーパーのデッキが光り輝き出す。その色はとても邪悪な色。信じられない程に冷たく、深い青だった。

 

暖かく、深い赤色に光る椎名のものとは全くの正反対だ。

 

 

「…………ドローッ!!」

手札4⇨5

 

 

その輝くデッキからカードを抜き取ったデ・リーパー。当然ながらそれは自分のデッキには今までなかったカード。これからも生み出していくことになるだろう。

 

 

《リフレッシュステップ》

リザーブ2⇨7

トラッシュ5⇨0

【デ・リーパーADR-02 サーチャー】(疲労⇨回復)

【デ・リーパーADR-02 サーチャー】【重疲労⇨疲労)

 

 

ADR-02が回復する。そのうちの一体は重疲労状態だったため、未だに疲労しており……

 

 

「うっふふふ、メインステップッ!!ADR-02をもう一体召喚!!失われし楽園の効果で1枚ドロー」

手札5⇨4⇨5

リザーブ7⇨6

【デ・リーパーADR-02 サーチャー】LV1(1)BP1000

 

 

場には3体目のADR-02が召喚される。とてもBPの弱いそのスピリット。しかし、それは嵐の前の静けさといったところか………これからデ・リーパーがオーバーエヴォリューションで創り上げた強力なカードを切ってくるなど、真夏でも直ぐにわかることであって………

 

 

「…データの死を司る…死神……リーパーをLV2で召喚!!」

手札5⇨4

リザーブ6⇨0

トラッシュ0⇨2

【リーパー】LV2(4)BP13000

 

 

地響きと共に何かが地の底で蠢く。やがてそれは地をヘドロに変え、浮き出てくるようにその巨体の姿を見せる。ヘドロのような肉体、多数の鎌。張り上げる咆哮。

 

その様はまさしく死神そのもの………

 

 

「うふふふふふ!!これが私のオーバーエヴォリューション!!こんなものまだまだほんの一端に過ぎない!!」

「……っ!!……で、でもなぁ!!でかいのが一体増えたからって5体分のスピリットを突破するなんて………」

 

 

不可能だ。

 

そう言おうとした真夏だったが、その舌が回る前に、デ・リーパーがそれを遮るかのように………

 

 

「可能ッ!!…何度も言っているけど、我らデ・リーパーはデジタルスピリットの天敵!!このデッキに勝てるデジタルスピリットなど存在しないのよぉお!!」

「……っ!!」

 

 

その笑い方はあまりにも不気味で気色悪い。だが、わかることもある。それは明らかに嘘はついていないと言うこと………

 

 

「アタックステップッ!!…行きなさいリーパー!!」

 

 

アタックの体制に入ったのか、より強く大きく咆哮を張り上げるリーパー。その風圧が真夏のスピリット達の葉をきめ細かと揺らしている。

 

そしてこの時、リーパーには強力なアタック時効果を発揮する。

 

 

「アタック時効果!!相手のデッキを8枚破棄!!」

 

「っ!!?」

デッキ25⇨17

 

 

リーパーの放つ青黒い衝撃波。それは真夏のデッキを襲い、それを一気に8枚もトラッシュへと送った。

 

その破棄されたカードの中には「スピリット」「ネクサス」「マジック」が一通り揃っており………これからがリーパーの効果の恐ろしいところだ。

 

 

「リーパーの効果!!破棄されたカードの中にスピリットカードがある時、ボイドから二つを自身に追加!!」

【リーパー】(4⇨6)LV2⇨3

 

「……!!」

 

 

コアの増加に伴い、LVアップするリーパー。

 

そして次は………

 

 

「ネクサスカード、ブレイヴカードが破棄された時、スピリット3体を疲労!!…3体の成長期スピリットを疲労!!」

 

「何やと!?」

【フローラモン】(回復⇨疲労)

【パルモン】(回復⇨疲労)

【パルモン】(回復⇨疲労)

 

 

リーパーは今一度青黒い衝撃波を放ち、今度は真夏の場の3体の成長期スピリットが吹き飛ばされる。これで一気に5体いたブロッカーが半数以下に減ったことになる。

 

だが、まだまだ悪夢は続く。

 

 

「うっふふふ、マジックが破棄されたらコスト8以下のスピリット1体を破壊………消えなさいトレントン!」

「……う、…嘘やろ……」

 

 

リーパーの体に多量に存在する鎌から放たれる斬撃波が真夏の場のトレントンをバラバラに引き裂いていく。トレントンはそれに耐えられるわけもなく、大爆発を起こした。

 

……これで真夏の場で唯一活動できるのはリリモンのみ………

 

 

「さぁ!!どうする!!」

「くっ!!…リリモン!!」

 

 

真夏は切羽詰り、リリモンにブロックの指示を送る。しかし、BPの差は一目瞭然。勝てるわけがない。

 

それでも果敢に立ち向かうリリモン。掌から緑の光線を放ち、打倒しようとするも、全く通じず、リーパーの多数の鎌で一閃……力尽き、大爆発を起こした。

 

真夏の残りライフは3。そして、デ・リーパーの残りのアタッカーも3。……終わりだ。

 

 

「2体のADR-02でアタック!!」

 

「っ!!……ら、ライフで……くうっ!!」

ライフ3⇨1

 

 

2体のADR-02は頭部のような場所から淡いビームを放ち、真夏のライフを一気に二つ破壊した。真夏のネクサスによりコアが増えるがもうそれは意味のないこと………

 

そして、これでラストだ。

 

 

「うっふふふ、最初のバトル相手にあなたを選んで良かった!!これで私は誰にも邪魔されずに進化することができた!!」

「………っ」

「ADR-01でアタック!!……恨むことな!!自分の弱さ!!無力さを!!」

 

 

翼を広げ、地面と平行に低空飛行を行うADR-01。その表情は狂気に満ちている。狙うは真夏の最後のライフ。もはや抵抗する術はない。ただそれを引き裂かれるのみ………

 

 

「……し、椎名………みんな………ごめん……っ」

ライフ1⇨0

 

 

自分は……

 

なんとカッコ悪いのだろう。意気揚々と敵に飛びかかったと言うのに、こんなにあっさり負けるなんて………

 

ずっと見てきた。親友の…椎名の逞しい背中を………ずっと憧れていた。どうやったらあぁなれるのか………真夏は最後のライフをADR-01の鋭利な爪に引き裂かれながら、涙ながらにそのことをようやく理解した。

 

そして、多大なバトルダメージにより、気を失い、その場に倒れ込んでしまった。

 

勝者は……デ・リーパーだ。狂気に満ちたそのスピリット達はバトルの終わりとともにゆっくりと消滅していく。だがまだだ。まだ予定は終わっていない………

 

 

「うふふふふふ……いただくよ…その身体!!」

 

 

デ・リーパーが倒れた真夏に向けて右手を翳すと、真夏の身体はデジタルの粒子に変換され、みるみるうちにその手の中に吸い込まれていく。

 

真夏を完全に取り込んだデ・リーパーはこれまでにない程に口角を上げ、その表情を不気味に歪めていた。

 

 

「うふふふふふ………うはははははは!!!これが普通の人間のデータ!!…なんと醜く、愚かな記憶なのだろう!!」

 

 

そう叫ぶデ・リーパー。おそらくは真夏の記憶データを指しているのであろうが、何を見ているのかは定かではない。

 

そんなデ・リーパーの前にある人物が現れる。それは彼女の生みの親であり、巨悪の根源。

 

 

「ヌフフフフ、ようやく手にしたのですねデ・リーパー……!!」

「っ!……Dr.A…!」

 

 

椎名の戦闘データを参考にして作り上げた謎の液体ですっかり若い男の姿となったDr.A。

 

彼もまたデ・リーパー同様に不気味な笑みを浮かべていた。理由はただ一つ……終わったのだ。世界を進化させる下準備が………すべて……

 

……あとは今いるこの野蛮で低俗な人間どもを根こそぎ葬り去るだけ………

 

 

「さぁ行きなさいデ・リーパァァァァア!!手始めにこの界放市の猿どもを全てデリートするのです!!」

 

 

Dr.Aがそう叫ぶと、デ・リーパーは不気味な顔のまま頷き、まるで鏡に写しているかのように次々と自身の体を分身させていく。

 

ただ、その分身体に顔はない。鬼のようなツノはあるものの、しっかりと顔があるのは本体だけだ。

 

 

「行けぇ!!我が分身達!!この世の全てをデータに書き換えるのだぁぁぁぁあ!!!」

 

 

デ・リーパーの本体がそう叫ぶと、他の分身達は一斉に散っていった。その後、界放市の人々の怒号や悲鳴が飛び交うのはすぐの事だった。

 

 

「ヌフフフ、じゃあ君は【拠点】に帰ってなさい……」

「……お前は何をするんだい?」

「私?……私も君と同じ、進化を目指すのさ……その相手は8年前からすでに決まっている……」

 

 

Dr.Aはどうやらここからまたさらに別の予定があるらしい。デ・リーパー同様にオーバーエヴォリューションを使うための相手………

 

……それは……

 

 

「ヌフフフ、待っていなさい………空野晴太……!!」

 

 

Dr.A達による界放市の進行が幕を開けた。

 

 

 

 

 




〈本日のハイライトカード!!〉


椎名「本日のハイライトカードは【リーパー】!!」

椎名「リーパーは驚異のデジタルスピリットキラーの1体!!デッキを破棄して、その種類によって効果を変えるよ!!」


******


〈次回予告!!〉


界放市に訪れた惨状を知ることになった椎名と六月は急いで界放市に戻ろうとするが、そこにDr.Aの忠実なる僕、銃魔が現れる。銃魔は椎名との再戦を望んでおり………次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ 「本気の本気、クリムゾンモードVSブラストモード!!」…今、バトスピが進化を超える!!


******

※次回サブタイは変更の可能性もあります。

最後までお読みくださり、ありがとうございます!!

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