赤羽司は界放リーグでのみ使用されるバトルスタジアム、中央スタジアムのバトル場を目指して走っていた。デ・リーパーの分身体によって大分時間を食わされたが、芽座椎名が先に行ったのだ。作戦としては上々。
だが、Dr.Aは自分の計画を知っている可能性が高い。一刻も早く椎名に追いつかねばならなかった。
そして、目指していた場所、中央スタジアムのバトル場に到着するものの、そこには何もせず、ただただ立ち尽くしている椎名の姿が見え………
「……めざし?」
「……司……」
「何やってんだお前は、早く地下に行………ッ!?」
いつもの調子で椎名と会話を仕掛けてしまう司。しかし、寸前でその空気、状況、何もかもを察した。
この状況、意味もなく展開されるBパッド、あれは自分の記憶が正しければ間違いなく緑坂真夏のものだ。椎名は真夏と戦ったのだ。きっとどうしようないところまで追い込まれた挙げ句の果てに戦ったのだろう。さらに今にも泣きそうな彼女の顔を見る限り、おそらく緑坂真夏はもういない………
「めざし……お前……」
「ごめん、行こうか……これが私に終わらせる事が出来ないのであれば、終わらせてやる………そして失った全てを取り戻すッ!!」
その椎名の静かなる言葉、言動には確固たる決意と、明らかな怒りの念が込められている。椎名が何かに対しここまで怒りを露わにするのは珍しい。
しかし、この時、司が入って来た入場口とは正反対の位置にある所から足音が聞こえてくる。その緩やかな音は明らかにデ・リーパーの分身体のものではない。しかも分身体達は今司のせいで乱闘状態で誰も追いかけては来ない。
椎名と司の前に現れたその人物は………
「……この先には行かせない……椎名、赤羽司……!!」
「……銃魔ッ!?」
メガネをかけた若い男性、銃魔だった。彼はやがて椎名達と同じバトル場のステージへと上がり、彼らと面と向かって対峙する。
「やはりな、赤羽司……Dr.Aは貴様が裏切ると確信していた」
「………やっぱな、まぁ別に仲間になってやったつもりもねぇけどよ……」
「だが、Dr.Aはそれでもお前を新たな世界へと受け入れようとしている……それこそが貴様の強さだと言ってな……」
「………とんだ変質者だな」
Dr.Aは最初から司が裏切って反旗を翻してくることなど百も承知だった。しかし、それこそが彼の強さであると、受け入れており、どうするかまでは定かではないものの、納得させ、自分の創る新しい世界へと彼を誘う予定だった。
「銃魔!!私達が戦う理由はないんだ!!先へ行かせてよ!!」
「椎名、前にも言っただろう、『次に会う時は敵同士』だと……俺は決してDr.Aには逆らわない。戦う理由などそれだけで十分だ」
「なんでだよ!?嫌だったら嫌って言えよ!!」
椎名の必至の説得にも全く耳を貸さない銃魔。これでは解決は出来ず、平行線を辿って行くだけと判断した司は、ここでも行動に出る。
彼は椎名の前に立ち、銃魔を睨みつけ……
「おいめざし……二度目になるがな、お前は先に地下に行け……このクソメガネの相手は俺がする」
「っ!?司!!……でも……」
「こいつと何があったかは知らねぇがお前、あいつと戦えないだろ?…………早く行け、後でまた追いかける」
「…待てよ!!銃魔は悪い奴じゃないんだ!!話せばきっとわかってもらえる!!」
椎名を先に地下へと向かわせようとする司。しかし、友達である2人に命を懸けたバトルをさせるなど受け入れられるわけもなく、拒む椎名。
「甘ったれるなよめざし!!…どっちにしろお前が勝てば全部チャラになるんだよ!!」
「司はどうなんだよ!?…銃魔を消したって言う事実だけは残るでしょ!!」
「……………俺ももう既に汚れてんだよ、これからいくら汚れようが俺の勝手だ………!」
「…………っ!」
言い合いになる椎名と司。その最中で椎名は司の言動から察した。司がDr.Aに寝返った時に既に仲間内の誰かを消滅させた事を………
「早く行け、そっちの方が効率が良い」
「…………わかった」
椎名は司の気持ちを汲んでやったか、渋々そう言って、真夏が通った地下への隠し通路を降りていった。全てを終わらせ、失った全てを取り戻すために………
この栄誉ある界放市中央スタジアムのバトル場には赤羽司と銃魔だけが取り残される。
「赤羽司……貴様、俺に勝てると思っているのか?」
「めざしを通しさえすれば俺達の勝ちだ………それに、ここで負ける気もさらさらねぇ……!!」
司は以前、スピリットアイランドでのアイランドリーグと呼ばれる大きな大会で銃魔に事実上の敗北を喫している。銃魔の圧倒的は実力は理解している筈だ。
しかし、それでも司は自然と今から行われるであろう彼とのバトルにおいて負ける気はなく………寧ろ勝って椎名に追いつこうという姿勢さえ垣間見える。
「その自身はどこから来るんだ……いいだろう、貴様を消す事はDr.Aの意に反してるとも言えるが、致し方ない……この崇高なる計画を邪魔立てすると言うのであれば……今ここで貴様に引導を渡してくれる……!!」
「行くぞクソメガネ…リベンジマッチだ……!!」
2人はそう言いながら自身のBパッドを展開、バトルの準備を瞬時に行う。
そして……
「「ゲートオープン、界放!!」」
コールと共にバトルが幕を開けた。
******
一方、ここは中央スタジアムの最深部。巨大た空洞になっているこの場で、Dr.Aこと徳川暗利と、芽座葉月、そしてその祖父、芽座六月は対峙していた。
「…クソジジイィ!!どうやってここがわかりやがった!!」
「堕ちるとこまで堕ちたな、葉月よ……あの化け物共の進行する方向、あの趣味の悪い壁の中心を見ればそんなもの一目瞭然じゃ……!!」
「ヌフフフ、相変わらず感だけ鋭いね〜〜」
六月がこんなところまで来れたのは理由がある。彼はデ・リーパーの分身体達の進行する方向から推理し、ここまで辿り着き、何人もいたガードを抜け、ここまでやってきたのだ。
「やっとお前と決着をつけられるわい、暗利よ」
「ヌフフフ、六月……その怒りに満ちつつも冷静な様子だと、君は私の全てを知ってしまったようだね……私がこの18年間、【木戸相落として生きていたこと】もわかるのだろう?」
「………あぁ、すっかり騙されておった、お前の言っていた【詰めが甘い】……そう言う事だったんじゃな」
六月はここまでに来る道のりの中、既にDr.A、徳川暗利は界放市市長、木戸相落に成り代わって生きていた事を知っていた。
ここに行く時、界放市の現在の情報を聞き出そうと、六月は相落に電話をかけた。しかし、彼は一切出なかった。だが、六月は持ち前の直感力、及び推理力で全てを理解してしまった。
あの正義感の強い相落がこの街をほったらかしにするわけがない。そしてスピリットアイランドで暗利が自分に言い聞かせた言葉。それが全て繋がった。今を生きる相落は相落ではなく、Dr.A、徳川暗利だと言う事が………
六月は決してショックを受けて良いなかったわけではない。だが、それ以上に、歳故の器の器量が大きいのだ。彼は全てを受け入れ、暗利を倒し、元の世界に戻す事を誓いながらもこの場へととうとう足を踏み入れたのだ。
「お前にも散々言いたい事はあるがの、葉月……!!」
「あぁん!?俺がなんだってんだ!!…良いぜジジイ!!今ここで俺があの世に送り出してやる……!!」
葉月にとって、祖父の六月はとても腹立たしい存在。彼は睨みつけてくる六月に対し、睨み返しながらも、懐からBパッドを取り出し、戦闘態勢に入ろうと、展開しようとするが………
「まぁまぁ落ち着きなさい葉月……彼は私のお客だ……私が相手をするとしよう」
「っ!?」
「まぁ、そうだね、そんなに腹立たしいと言うのであれば、今から来るであろう【デ・リーパーかエニーズ】とストレス解消程度にバトルをして来なさい」
「………ちぃっ!…わぁったよッ!!…邪魔なんだろ?」
Dr.Aはこの目の前にいる元親友である六月と対面をしたいのか、葉月を遠回しに邪魔と言っているかのような言動で退けさせようとする。
しかし、【デ・リーパーかエニーズ】と言う言葉がどうも気にかかる。彼は確かに椎名も新しい世界へと誘おうとしているが………
まるで、デ・リーパーか椎名。どちらかを新たな進化した世界へと招こうとしているかのような言動であった。
ただ、葉月がそんな深いところまでを思考するわけがなく、六月が入る時に壊した扉を通って何処へと姿を消した。これにより、最深部にはDr.Aと六月だけだ。
「さあて、ようやく2人きりだね〜〜……」
「御託は良い、早く決着をつけるぞ」
六月はDr.Aを力強い眼光で睨みつけながら自身のBパッドを展開した。その様子を見たDr.Aは全く怯え、ひるむ事なく、いつものように不気味にニタニタと笑いながら自身のBパッドを展開する。
さらに彼はそこに晴太さえをも倒したあの禍々しい光を放つデッキをセットした。
「ヌフフフ、相変わらず血の気が多い事…いいでしょう!!…見せてあげますよ!!新世界の神たる力を!!…そして私を崇拝し、崇めるが良い!!」
「お前みたいな薄気味悪い神がいてたまるかってんだッ!!……行くぞぉぉっ!!」
Dr.Aも堂々たる覇気をその身に纏い、六月も負けじと年には似合わない程の声量を張り上げる。
両者の負けられない戦いが今、始まる。
「「ゲートオープン、界放!!」」
芽座六月とDr.Aのバトルが、この界放市中央スタジアムの地下最深部でコールと共に幕を開けた。
******
一方椎名は、中央スタジアムの地下を下り、着々と六月達の元へと近づいていた。
が、彼女はそこにたどり着く前に、ある障害を乗り越えなければならない。それは自分にとっても、世界を救うにしても重要となる試練だ。
ただひたすらに走り、階段を下りる椎名。そのまま広大で薄暗い闇がかかっているフロアに入って来たと思うと、その瞬間に感じ取った。今の鬼化の力をコントロールした自分には手に取るようにわかる。
……あいつの気配だ。司曰く自分にそっくりでDr.Aの指示1つで街を壊滅に追い込んだあいつだ。あいつから流れる進化の力がビンビンに伝わってくる。
椎名はその場で大きく息を吸い込むと………
「デリィィぃぃィイパァァァァァ!!!」
と、まるで呼び出すようにその名を強く叫んだ。それは広大なフロアの壁に反響し、山彦のように鳴り響く。
「そこにいるのはわかってるんだ!!…私と決着をつけろぉぉ!!」
椎名の頭の中は怒りでいっぱいだ。
あのデ・リーパーという奴が憎い。あいつのせいで真夏をはじめ、きっと多くの人が消えた。
椎名は真夏が消滅した際に、司にはあえて聞かなかった。【他の仲間達は消滅していないのか?】と、
聞きたくなかった。誰が消えているのかなどと、知りたくもなかった。だったら今ここで自分がみんなを救うだけだ。失ったもの、失ったのかわからないものも全て………
「うっふふふ!!!」
「!」
そんな椎名の言葉に反応するかのように薄暗い闇の中から形を形成するかのように滑らかに現れてきたのは、デ・リーパーだった。相変わらず不敵な笑みを常に浮かべている。
「……私と、同じ顔………あなたが……!!」
「そう、デ・リーパーだよ。…本当に緑坂真夏を葬って来たんだね、驚きだよ」
「うっさい!!私は今あなたに対する怒りでいっぱいなんだ!!」
自分と全く同じ顔だからとて、決して怯える事なく、気味悪がる事なく、堂々とした態度で言い放つ椎名。
デ・リーパーは椎名とは違い、既に鬼化の状態だ。頭部にはツノがあり、左頬にはギルモン達同様のマークが現れている。椎名が覚醒した時と同じだ。
「決着をつけると言ったね?…いいだろう、私が相手になるよ。どちらにせよ、君と私、どちらかが生き残ってDr.Aの元へと行かないといけないからね」
「?……どういう事だ」
「うっふふふ、詳しく教える意味などない!!だって今から君は私に敗北してこの世から消されるのだからねっ!!」
「ッ!!」
デ・リーパーは自身のBパッドを懐から取り出し、展開。バトルの準備を瞬時に行った。それを見た椎名もデ・リーパーが言ったことを気にしながらも、反射的に自身のBパッドを展開。
「さぁ!!始めよう!!進化した世界のイヴを決める戦いを!!」
「!?…意味わかんないけど望むところだッ!!私はこのバトルで失った全てを取り返すッ!!行くぞッ!!」
「「ゲートオープン、界放!!」」
椎名とデ・リーパーのこの世の存亡さえをも賭けたバトルスピリッツがコールと共に幕を開ける。
先行は椎名。
[ターン01]椎名
《スタートステップ》
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ、ブイモンを召喚!!…効果でカードをオープン!!」
手札5⇨4
リザーブ4⇨0
トラッシュ0⇨3
【ブイモン】LV1(1)BP2000
オープンカード↓
【ギルモン】×
【デジヴァイス】×
椎名が手始めに召喚したのは小さな青き竜、ブイモン。その効果は不発。手札に加えられず、トラッシュへと破棄された。
「ターンエンドだ」
【ブイモン】LV1(1)BP2000(回復)
バースト【無】
椎名はそのままそのターンをエンドとした。次はデ・リーパーのターンだ。椎名とは違い、既に鬼化している彼女はオーバーエヴォリューションを繰り返す事が可能。その証拠か、デッキから常に青黒いオーラが滾っている。
[ターン02]デ・リーパー〈鬼〉
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札4⇨5
「さぁ、私のメインステップだ、ネクサスカード失われし楽園を配置だよ!」
手札5⇨4
リザーブ5⇨1
トラッシュ0⇨4
「!」
メインステップ開始直後、デ・リーパーは自身の背後に何もかもが失われ、闇だけが漂う楽園が配置される。このカード自体は普通のカードだ。一般的なものである。
「さらにバーストをセットしてターンエンドだよ」
手札4⇨3
【失われし楽園】LV1
バースト【有】
バーストカードがさらにセットされ、そのターンをエンドとするデ・リーパー。次は一周回って椎名のターン。怒りが心頭した状態のままターンを進行していく。
[ターン03]椎名
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨4
トラッシュ3⇨0
「メインステップッ!!ブイモンのLVを2へ!」
リザーブ4⇨0
【ブイモン】(1⇨5)LV1⇨2
リザーブの有りっ丈のコアがブイモンのカードに置かれる。それに伴いブイモンのLVは上昇し、同時に新たな効果も得る。
「アタックステップ!!その開始時にブイモンの【進化:青】を発揮!!」
「!」
「青の成熟期スピリット、エクスブイモンに進化!!」
【エクスブイモン】LV3(5)BP7000
ブイモンにデジタルコードが巻きつけられ、その身に進化が施されていく。姿形を大きく変え、コードを弾け飛ばし、新たに中から現れたのはブイモンをサイズアップさせたような成熟期スピリット、エクスブイモン。
「ふふ、一般的なデジタスピリットで私に勝負を挑むなんてね〜〜」
「うっさい!!エクスブイモンの召喚時効果!!デッキからカードを2枚ドローし、その後手札から2枚破棄!!この時、【進化】で召喚されていたなら破棄する枚数を1枚減らす」
手札5⇨7⇨6
破棄カード↓
【メガログラウモン】
椎名を煽るデ・リーパー。椎名は怒りに身を任せながらもエクスブイモンの召喚時効果を使用し、手札入れ替えていく。
が、この【進化】の効果発揮後時点で既にデ・リーパーの張っていた罠は発動の条件を満たしており………
それが今、この場で勢い良く反転する。
「相手の効果によって相手の手札が増えた後、バースト発動!!ADR-02 サーチャー!!」
「!!」
「効果によりノーコストで召喚!!」
リザーブ1⇨0
【デ・リーパーADR-02 サーチャー】LV1(1)BP1000
デ・リーパーのセットしていたバーストカードが反転すると共に現れたのは小型の飛行物体。その外装は不気味で有り、他のスピリットとは一線を画しているのが伺える。
「ADR-02の効果!!バースト発動時に増えたカード1枚につき相手のデッキを上から破棄する!!」
「!!」
デッキ30⇨28
ADR-02が場へと飛来してきたかと思えば、青き衝撃波が飛び出し、椎名のデッキを襲う。そのカード達が上から2枚トラッシュへと破棄されて行った。
「さらにバーストをセットし、失われし楽園の効果でドロー」
手札3⇨2⇨3
今度はバーストをセットする効果を適応。デ・リーパーは効果によって今一度バーストを伏せ、失われし楽園の効果により、手札を補う。
失われし楽園はバースト効果を持つスピリットが召喚した時にドローできる効果を持つ。故に一般的なカードだが、ADR-02と相性が良好なのである。
椎名のターンであるにもかかわらず、凄まじい効果の連続発揮を見せつけるデ・リーパー。しかし、椎名はそれを見ても臆すことなく、凄まじい気迫を見せつけながら………
「もういいか?……アタックステップ、エクスブイモン、いけぇ!」
エクスブイモンに力強くアタックの指示を送りつけた。走り出すエクスブイモン。目指すは当然デ・リーパー本体のライフだ。
ADR-02は効果は強力だが、BP効率はイマイチ。故にエクスブイモンよりもBPが低い。つまりブロックすることなく………
「おやおや、怖いね〜〜……ライフで受けるよ」
ライフ5⇨4
ライフで受けた。迫ってきたエクスブイモンがデ・リーパーのライフを拳で殴りつけ、1つを粉々に粉砕した。
「これで先制点はもらった………ターンエンド」
【エクスブイモン】LV3(5)BP7000(疲労)
バースト【無】
エクスブイモンの一撃に確かな手応えを感じつつ、そのターンを終える椎名。だがここでデ・リーパーがその不敵に笑い続ける表情を一旦崩したかと思うと、徐に椎名に問いかける。
「………ところで、鬼化はしないのかい?」
「っ!?」
と、まるでそれを、鬼化をするのが当たり前であるかのように。驚く椎名を前にしてもデ・リーパーは淡々と言葉を並べていく。
「正直ね、鬼化できなければ君は私には勝てないよ」
「…………っ」
デ・リーパーの言葉に対して何も言い返す事ができない椎名。
本当は自分だってわかっていた。自分も進化を繰り返す、つまりオーバーエヴォリューションを繰り返せる鬼化の力を使わなければ、このバトルには勝てない。いくら自分のバトルやアタックに手応えを感じたとしても、それはまやかしでしかない事など百も承知だった。
じゃあ何故使わないのか………
「うっふふふ、わかっているさ、私は君だからね。君の考えなんて手に取るようにわかる。君は制御できるようになった鬼化を無意識のうちに抑え込んでいる」
「!」
「本当は鬼化するのが怖いんだろう?…鬼化する時、君は人間ではなくなるからね〜。全く、人間臭い理由だよ」
「違う!!私はこの力でみんなを守るために………」
「使えてないじゃないか!!そんな優柔不断だから君は結局大事な友を目の前で失った!!」
「っ!?!」
椎名はスピリットアイランドでの出来事で自分の中に眠る鬼化の力を完璧に操れるようになった。
しかし、それが椎名を狂わせていたのか、椎名は自分の内にあるこの力に受け入れつつも拒絶していた。それもそのはずだ。何せ、椎名はついこの間まで自分の事を普通の人間だと思っていたのだ。
それが悪の科学者が創り出した人造人間で、鬼の力が宿っていて、進化を繰り返す等と馬鹿げた正体が発覚して仕舞えば、おかしくなって当然だ。寧ろ椎名は今まで普段通り振舞えていたのが不自然なくらいである。
それらが結果的に椎名が鬼化の力を意図的に使わない論理になってしまっている。鬼化の力は制御できたが、まだその力を受け入れられる程の器量がない。と言えば分かりやすいか………
「真夏が消えた事自体はあなたのせいだろ!!」
「どちらにせよ、せっかく私達の生みの親、Dr.Aが与えてくださった大いなる力だと言うのに、それを拒絶するなんて………なんと愚かな」
「…………早くターンを進めろ……っ!!」
強引にデ・リーパーを黙らせる椎名。確実に焦ってきているのが目に見えている。そんな彼女に対して、デ・リーパーは再び不気味な笑みを浮かべながら、自分のターンを進行していく。
[ターン04]デ・リーパー
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札3⇨4
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨6
トラッシュ4⇨0
「メインステップ、さぁ来るがいい!!私の化身、ADR-01!!LV2で召喚だよ」
手札4⇨3
リザーブ6⇨3
トラッシュ0⇨1
【デ・リーパーADR-01 ジュリ】LV2(2)BP6000
「!」
ターンが始まって早々、飛来してくる禍々しい闇の瘴気の塊。それが翼の生えた人の姿となってデ・リーパーの場へと、地上へと舞い降りる。それはADR-01。少女の姿を象った化け物だ。
「さらにADR-02のLVを2に上げ、アタックステップだよ、ADR-02でアタック!…その効果で君のデッキを1枚破棄!」
リザーブ3⇨1
【デ・リーパーADR-02 サーチャー】(1⇨3)LV1⇨2
「!」
デッキ28⇨27
青い衝撃波が今一度椎名のデッキを襲う。その破棄されたカードはスティングモン。スピリットカードだ。今度はADR-01の効果が発揮される。
「ADR-01の効果。デ・リーパースピリットの効果でスピリットカードがデッキから破棄された時、カードを2枚ドローし、その後手札を1枚破棄」
手札3⇨5⇨4
破棄カード↓
【ビルドアップ】
少女の姿を象った化け物、ADR-01の効果が発揮される。デ・リーパーはその手札を入れ替えた。
「さらにアタックは継続中だよ!!」
「っ!?……ライフで受ける………っ」
ライフ5⇨4
椎名の眼前へと飛来してくるADR-02。そのままライフバリアに体当たりし、1つだけ粉々に砕いた。椎名は与えられる激痛と共に、そこから感じられるデ・リーパーの持つ鬼化の力と、何もない自分の差を確かに実感していた。
「ターンエンドだ………」
【デ・リーパーADR-01 ジュリ】LV2(2)BP6000(回復)
【デ・リーパーADR-02 サーチャー】LV2(3)BP3000(疲労)
【失われし楽園】LV1
バースト【有】
デ・リーパーはADR-01をブロッカーに残し、そのターンをエンドとする。次は再び椎名のターンだが…………
(………確かに、私が鬼化すればデ・リーパーを倒せるかもしれない。みんなを元に戻せるのかもしれない………けど、そうなったら私は………いやダメだ、考えるな、勝つんだろ?勝ってみんなを取り戻すんだろ?……だったら鬼化して…………っ)
鬼化しようにも鬼化できない。デッキからカードを引こうと手を伸ばすが、震えて引けない。決して緊張しているわけではない。ただ、デ・リーパーの言う通り、怖いのだ。鬼化すればまた自分が自分でいなくなる気がして…………そのせいで萎縮して何もできなくなってしまっている。
……そして何より、みんなを元に戻せたとして、単なる怪物になった自分はそこにいる事が既にできない存在になってしまっているのではないか?
そういった不安感や恐怖心が椎名の体を硬直させていた。そんな事を考えるのはダメだとわかっていてもどうしてもそれが頭から離れてくれない。最初からそれを自覚していたわけではない。先程のデ・リーパーの言葉によって疼いていたものが広がって、拡大され、今の感情が剥き出しになってしまったと言ったところか………
………だが次の瞬間
「っ!?……うわっ!?」
そんな時だ。彼女のその負の気持ちに反応するかのようにデッキやカード達が光り輝き始めたのは………
椎名は眩しさに目を閉じた途端にそれに呑み込まれ、意識のみを違う場所へと強制的に移転させられた。
******
「っ………ここは?」
椎名が気がつくと、そこにはやや赤みで淡い光だけが存在する謎の空間。それはいったいどこまで大きく広がっているのか、いや、すぐ行き止まりかもしれない。そういった具合で広さも知り得ない程に不思議な空間に、椎名はただただ立ち尽くしていた。
だが、そこに立っているのは椎名だけではない。
「……椎名」
「っ!?…デュークモン………みんなも…」
椎名は声のする方へと首を動かすと、そこには彼女が使用してきたスピリット達の殆どが一挙に集合していた。ブイモンやワームモン。その進化系やアーマー体スピリット、パイルドラモン、ズバモン、マリンエンジェモン。メギドラモンを除く真紅の魔竜のスピリット達、そして椎名に語りかけてきたデュークモン。
今までも何度かこういう事があったからか、椎名は特に取り乱す事はなく、冷静で落ち着いた状態で当たり前であるかのように、そのスピリット達と対面していた。
「椎名。鬼化するんだ。そうしなくては奴には勝てない…………」
「…わかってる、わかってるよ………けど、そしたら私は私の居場所をなくすことになる。こんな化け物が今まで通り真夏達と笑いあって過ごすことなんてできない!!……何か方法はないかデュークモン!?…鬼化せずにあいつに勝つ方法は!!」
デュークモンは椎名に語りかける。デュークモンの言う通り、鬼の力を使えなければ必ず敗北し、何も成せずに終わってしまう。最善の手であろう。
しかし、女の勘と言ったところか、椎名にはわかっていた。このまま鬼の力に頼れば自分は自分ではなくなってしまう。全部が元に戻っても自分の立場だけは戻れなくなる事を直感で諭していた。
椎名は鬼化以外での勝つ方法をデュークモンに問うが………
「………椎名。戦いに勝ちつつ、今まで通りの日常を過ごす。素晴らしい志しだ。けど、それは君がまだ子供の甘い考え方だからこそ至った志しだ。……その考え方では悪しき者達には決して勝てない……」
「……子供?」
「あぁ、大人になるんだ椎名。この【デュークモンに宿る鬼の力】を制御する事の出来た君ならもうそれができる!!……君の力は君の居場所を壊すためのものじゃない!!それは君だって既に知ってるはずだ……!!」
「っ!!」
デュークモンの言っている事は………
正直今の椎名にはわからない事であった。それもそのはずだ。子供の考え方とか、大人の考え方だとか、わかるはずがない。しかし、その区別ができないからこそ、椎名はまだ甘い子供の考え方しかできないのであろう。
だが、深い意味までは理解できずとも、自ずと椎名はデュークモンの熱い熱意だけは確かにひしひしと伝わって来た。
「伝えたかった事はそれだけだ。後は私達はカードの中、デッキの中で君の運命を見届ける事にしよう………」
「みんな……っ!!」
椎名が「待ってくれ」と言わんばかりに手を差し出すも、届くわけもなく、全てのスピリット達はその姿をゆっくりと消滅させていく。
どんなに椎名がそこへ走ってもそのスピリット達との距離感は何も変わらないままであり、触れる事さえ許されなかった。
「椎名。確かに鬼化した戦いの果てには、君はいつもの君でいられなくなるかもしれない。君の居場所はなくなってしまうのかもしれない。だけどこれだけは忘れないでくれ、世界がどう変わり、君がどんな大人になろうとも、私達だけは必ず君の味方だ………」
デュークモンの強かな想いのこもった言葉に、他のスピリット達も同意するように頷く。スピリット達は皆心は一つ、椎名を護るために戦うのだと確固たる決意を固めていた。
そして完全にスピリット達は消滅し、椎名もまた光に包まれ意識を再び現実の方へと強制的に移転させられる。
******
「っ!?!」
「スピリット達との会話は済んだかな?」
椎名の意識は元に戻り、今一度デ・リーパーと対面する。デ・リーパーは早々に椎名に何が起こったのか知っているような口調で語りかけてきた。
椎名は手札のカード、トラッシュのカード、フィールドのカード、そしてデッキを見つめながら、デュークモンの言った言葉を少しずつ胸に刻み直していった。その熱き熱意が椎名の覚悟のなかった心に浸透していく。
ー『だけどこれだけは忘れないでくれ、世界がどう変わり、君がどんな大人になろうとも、私達だけは必ず君の味方だ………』
「………ありがとうデュークモン………みんな………確かに私の考えが甘かったのかもしれない………もう私はこの世界に自分の居場所なんて求めたりしない!!……私は……グ、コ、この鬼化ノ力ヲ使イ!!……真夏やみんなを元に戻す!!たとえその結果、私と言う人間がこの世を去ろうとも、必ずやり遂げる!!それが私に与えられた使命なんだッ!!」
「………鬼化………うっふふふ、いいね〜」
椎名が硬く刻んだ志は、もう二度と壊されることはない。椎名は自分の誓いを口にしながらも受け入れた力。鬼化の力を発現させる。
目が真紅の色に染まる。アホ毛が硬質化し、一角となり、右頬にはギルモン達に見られるマークが出現する。また、それに伴ってか、デッキが真紅の光に包まれる。これは鬼の力である進化の力が流れた結果だ。
鬼気迫る溢れんばかりの椎名の気迫に対し、デ・リーパーは態度を変えず、未だに不気味に笑っていた。
もう自分の決断に迷う事のない椎名は、自分のターンを堂々と進行していき、そのままそのデッキからカードをドローする。
[ターン05]椎名〈鬼〉
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札6⇨7
《リフレッシュステップ》
【エクスブイモン】(疲労⇨回復)
このターン、椎名が真紅に輝くデッキから引いたカードは一度椎名が書き換えたカード。オーバーエヴォリューションにより、今一度創生されたのか、再びそれは椎名の手札へと帰還してきた。
「メインステップ……バーストをセット!!」
手札7⇨6
そのドローしたカードを迷う事なくバーストカードとして裏側でセットする椎名。さらにこれだけではない。椎名はさらに手を休める事なく、堂々とした態度のままメインステップを続行していく。
「いくぞ、私のデッキのスピリット達!!…………エクスブイモンのLVを1に下げ、ブイモンをLV2で召喚!!」
手札6⇨5
リザーブ2⇨0
【エクスブイモン】(5⇨2)LV3⇨1
トラッシュ0⇨2
【ブイモン】LV2(3)BP4000
エクスブイモンのコアが減少する。しかし、そのコアを糧として、手札に戻っていたブイモンが再召喚される。ADR-02の効果を考慮してか、召喚時効果は発揮させなかった。
「さらにライドラモンの【アーマー進化】を発揮!!対象はブイモン!!」
【エクスブイモン】(2⇨1)
トラッシュ2⇨3
「!」
立て続けに椎名は手札のアーマー体スピリット、ライドラモンの効果を発揮させる。ブイモンの頭上にデジメンタルと呼ばれる黒い瓢箪状のものが投下される。
ブイモンはそれを受け入れるように衝突し、混ざり合い、新たな進化を遂げる。
「轟く友情……ライドラモン!!」
【ライドラモン】LV2(3)BP7000
新たに現れたのは黒い鎧を身に纏い、青き稲妻を走らせる獣型のアーマー体スピリット、ライドラモン。
「ライドラモンの召喚時効果、コアを2つトラッシュへと追加!!」
トラッシュ3⇨5
ライドラモンは登場するなり大きな雄叫びを張り上げ、椎名のトラッシュへ新たなコアを生み出した。
しかし、それも束の間、デ・リーパーがニヤリと嘲笑し、ライドラモンの召喚に反応してバーストを発動させる。
「甘いね!!【進化】系の効果は相手の手札増加後のバーストに引っかかる!!発動!!ADR-02 サーチャー!!」
「!」
発揮されるのはこのバトルでは2枚目となるADR-02。【相手の効果によって手札が増えた後】のバースト効果を持つカードは皆、【進化】のように相手の手札が結果的には増えてなくとも、何かしらの効果によって手札が新たに加えられれば発動が可能。それはライドラモンの【アーマー進化】とて同じ事。
2体目のADR-02 サーチャーがデ・リーパーの場を飛来してきた。
「効果によって君のデッキを1枚破棄、さらに新たなバーストを伏せ、失われし楽園の効果で1枚ドローだ」
リザーブ1⇨0
【デ・リーパーADR-02 サーチャー】LV1(1)BP1000
手札4⇨3⇨4
「………」
デッキ26⇨25
デ・リーパーのコンボが再び炸裂。カードアドバンテージを枯らす事なく潤沢に場を整えていく。しかし、今の椎名はそんな事など恐るるに足らない。
最強の味方と共に攻撃を仕掛ける。
「アタックステップ!!頼む、ライドラモン!!」
椎名の言葉に、ライドラモンはまるで「任せろ」と言わんばかりに、椎名の方を振り向いて頷くと、そのまま地を瞬足で稲妻の如く駆け回る。
「ライドラモンはアタックステップ中、ライフを減らせばさらにライフを破壊する……!!」
「知ってるさその程度、今召喚したばかりのADR-02でブロックしよう」
ライドラモンの行く手を阻むADR-02 サーチャー。しかし、BPは圧倒的にライドラモンの方が上。稲妻のような形をした頭角と瞬足を活かし、一瞬にしてそれを切り裂いてみせた。
「ターンエンドだ………エクスブイモン、ブロックは任せたよ」
【エクスブイモン】LV1(1)BP3000(回復)
【ライドラモン】LV2(3)BP7000(疲労)
バースト【有】
椎名はそのターンを終える。エクスブイモンもライドラモン同様に、椎名の言葉に頷き、仁王立ちで構えた。そんなエクスブイモンを見て、椎名は依然として険しい表情のままではあるものの、ほんの僅かな時間だけ軽い笑顔を見せる。
今の椎名は、まるでスピリット達と完全に意思の疎通が取れているように思えてくる。そんななんとも不思議な光景であった。
次は再びデ・リーパーのターン。鬼化を使って来た椎名に合わせてか、自分もようやくその力を遺憾なく発揮させる。
[ターン06]デ・リーパー〈鬼〉
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ1⇨2
《ドローステップ》手札4⇨5
《リフレッシュステップ》
リザーブ2⇨3
トラッシュ1⇨0
【デ・リーパーADR-02 サーチャー】(疲労⇨回復)
「メインステップ……うっふふふエニーズ、ようやく本気を出してくれたみたいで嬉しいよ〜〜これでやっと本気で戦える……!!」
「あなたの減らず口なんてどうでもいい、早くターンを進めたらどうだ……」
「…………あらあら、怖い怖い……でもそうね〜〜さっさと決着をつけて私が新たな世界のイヴたる存在だという事を証明しよう!!」
デ・リーパーが自分の手札に手をかける。自分とほとんど同じ存在である椎名を倒すべく、今こそ新たなるスピリットを呼び出すつもりなのだ。
「先ずはADR-02 サーチャーを召喚だよ、失われし楽園の効果でドロー!」
手札5⇨4⇨5
リザーブ3⇨2
【デ・リーパー ADR-02 サーチャー】LV1(1)BP1000
「またそいつか……」
「うっふふふ、言い忘れてたけど、ADR-02 サーチャーはデッキに20枚まで入るからね」
今一度姿を見せるADR-02 サーチャー。失われし楽園とのコンボで手札が減らない。そしてさらにデ・リーパーは自身の鬼の力により、新たに得たカードをこのタイミングで召喚する。
「ADR-07 パラティスヘッドをLV1で召喚!!」
リザーブ2⇨0
トラッシュ0⇨1
【デ・リーパー ADR-07 パラティスヘッド】LV1(1)BP6000
「!」
蠢く地中、そこから飛び出してくる紫色の巨大な物体。幾多もの触手を有しているADR。ADR-07 パラティスヘッドが椎名達の目の前に姿を現した。
「ADR-07 パラティスヘッドの効果!!相手の完全体以下のデジタルスピリット1体を破壊!!」
「!」
「エクスブイモンを破壊する!」
ADR-07は登場するなりその幾多もの触手を椎名のエクスブイモンへと伸ばすと、それを縛り上げ、データ化し取り込んだ。エクスブイモンは断末魔を上げることも許されず、この場から去ってしまう。
「エニーズ、君が本気になっても、少しだけ遅かったみたいね〜〜これで終わりだよ」
このお互いの盤面。バトル展開。明らかにデ・リーパーが優勢だ。このままのフルアタックで椎名は敗北が確定する。
が、椎名にはまだこれがある。自分が鬼化するたびに現れるあのカードが………今ならわかる。これが本当のギルモンの、真紅の魔竜の本来の究極の姿……
そのカードが今、椎名のバーストカードとして発動される。
「相手の召喚時発揮後によりバースト発動!!……メギドラモン!!」
「ッ!…そいつは!?!」
「この効果により、BP15000以下になるように相手スピリットを好きなだけ破壊する!!」
「くっ!?…けどこのADR-01はデジタルスピリットの効果を受けない……!!」
「ならそれ以外を破壊する!!……地獄の咆哮…ヘル・ハウリング!!」
「っ!?!」
椎名のバーストカードが反転すると共に地中から発せられる脅威の咆哮。それがデ・リーパーの場にいるADR達を分子レベルで崩壊させていく。
が、そんな中、少女の姿を象ったADR-01だけはその雄叫びを聞いても尚、涼しい表情を貫き、不気味な笑みを浮かべていた。
「さらにその後召喚する……来い、真紅の魔竜、究極体の姿……メギドラモン!!」
リザーブ1⇨0
【ライドラモン】(3⇨1)LV2⇨1
【メギドラモン】LV2(3)BP11000
まるで地獄から現れるかのような勢いでマグマの熱を纏いながら、真紅の魔竜、究極体の姿、メギドラモンが地を破り飛び出して来た。その獰猛で猛々しい姿は他の究極体デジタルスピリットをも凌駕するだろう。
「デ・リーパー、もう私は鬼化の力を恐れたりはしない!!……このバトル、今まで私が築き上げてきたスピリット達との絆に掛けて、必ず勝つ!!」
「真紅の魔竜………どこまでもエニーズの味方をするつもりのようだね……ならば共に完膚なきまでに叩きのめしてあげるよ、このデジタルスピリットキラーであるADRの力を使ってね…………」
デ・リーパーに向かって、そう強く勝利宣言を行う椎名。その言葉に合わせるように、それでいて且つ、デ・リーパーを食らい尽くさんと言わんばかりに爆音の咆哮を張り上げるメギドラモン。
彼女達の生き残りをかけた熾烈なバトルは間もなくクライマックスを迎える寸前まで向かっていた………
〈本日のハイライトカード!!〉
デ・リーパー「本日のハイライトカードは【デ・リーパー ADR-01 ジュリ】」
デ・リーパー「ADR-01は私の化身。デジタルスピリットが放つ効果は一切受け付けないよ、ふふ、さらにLVが上がると………まぁ、それは次回の楽しみにとっておいておくれよ」
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〈次回予告!!〉
デ・リーパー「真紅の魔竜とデュークモン、ロイヤルナイツが一緒に戦うなんて……皮肉なものだね」
椎名「……どういう事だ」
デ・リーパー「君も薄々感じているんだろう?…デュークモンのカードはロイヤルナイツではないという事をね……………」
椎名「次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ「デュークモンの真実、デ・リーパーを救え!」………今、バトスピが進化を超える!!」
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※次回のサブタイトルは変更の可能性があります。
※描写の都合上、【デ・リーパーADR-01 ジュリ】の効果はデジタルスピリットの効果は受けないと明言していますが、実際はその中でもアーマー体のスピリットや幼年期のスピリット効果は受けます。ご了承ください。
※【悲報】……デュークモンとうとう人語を口にする。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
【今回から椎名が少しずつ変わっていくと思います】
本当なら今回は司と銃魔のバトルを描きたかったのですが、色々あってこっちから先に描かせてもらいました。