日本におけるバトスピ最大都市、界放市。その中央スタジアムの地下最深部にて、2人の人物が張り詰めた緊張感の中で対峙していた。
芽座椎名と Dr.A。
今、後にA事変と呼ばれる大災害の最後のバトルスピリッツが切って落とされようとしていた。
「ヌッフフ、エニーズ、本当に私と共に来ないつもりなのかい?…進化した新しい世界は戦争や紛争さえもない平和な世界だと言うのに」
「いらない!!いくら平和だからって、真夏やじっちゃん、他のみんながいない世界なんてあり得ない!!…そんな世界に生きる価値なんてない!!」
湿っとした気味が悪い笑い声と共に、椎名を諭すようにそう語りかけてくる Dr.A。今や進化の力で70を超えた年齢とは思えない若い姿をしている。
方や椎名も断固として Dr.Aに着こうとはしない。当たり前だ。椎名は真夏や六月、消えていった仲間達のためにここまで来たのだ。 Dr.Aと新しい世界に行くためではない。
「ふむ、君に何を言っても無駄なようだ………名残惜しいが、処分と行こうか……!!」
「こちとらはなっからそのつもりだ!!」
椎名と Dr.Aは互いに自身のBパッドにデッキをセットする。Bパッドがバトルモードに入り……
今、全てが決まる戦いが幕を開ける。
「行くぞ Dr.Aぇぇぇぇえ!!」
「見せてあげましょう、私の神にさえなれる進化の力を!!」
「「ゲートオープン、界放!!」」
コールと共にバトルスピリッツが始まる。
先行は Dr.A。進化を繰り返す自分だけのカードで構成されたデッキを回転させていく。
[ターン01] Dr.A
《スタートステップ》
「ヌッフフ、ドローステップ時、手札の仮面ライダーウォズの効果!!このカードを手元に置く事でドロー枚数を1枚増やし、その後手札を1枚破棄」
手札4⇨3⇨5⇨4
破棄カード↓
【シキツル】
「!」
「言い忘れていたね〜〜このデッキは君の常識を遥かに超えるカード達ばかりだよ」
「御託はいいから早くしろ……!!」
Dr.Aは早速仮面ライダーウォズのカード効果を発揮させる。結果として手札は増えてはいないものの、そのデッキは確かに回転している。
「これは失敬……では、メインステップ、私はネクサスカード、賢者の樹の実を配置して、そのターンをエンドとしよう……ヌッフフ、さぁエニーズ、君のターンだ」
手札4⇨3
リザーブ4⇨0
トラッシュ0⇨4
【賢者の樹の実】LV1
《手元》
【仮面ライダーウォズ】
バースト【無】
Dr.Aはさらに六月の時同様、背後に神秘的な大樹を配置して、そのターンをエンドとした。初ターンにしては大分デッキが回っていると言える。
次は椎名のターンだ。その目に宿る進化の力が輝く。
[ターン02]椎名〈鬼〉
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ4⇨5
《ドローステップ》手札4⇨5
「メインステップ、私はブイモンを召喚!!……召喚時効果発揮!!」
手札5⇨4
リザーブ5⇨1
トラッシュ0⇨3
【ブイモン】LV1(1)BP2000
オープンカード↓
【デジヴァイス】×
【ライドラモン】◯
椎名が早速召喚したのは青い小竜型の成長期スピリット、ブイモン。そしてその召喚時効果も成功。椎名はその中の対象となるカード、ライドラモンを手札に加え、
すぐさまそれを呼び出す。
「ライドラモンの【アーマー進化】発揮!!対象はブイモン!!1コストを支払って召喚する!!」
手札4⇨5
リザーブ1⇨0
トラッシュ3⇨4
「!」
「轟く友情、ライドラモンを召喚!!」
【ライドラモン】LV1(1)BP5000
ブイモンの頭上から黒い瓢箪型のデジメンタルが投下される。ブイモンはそれと衝突し、混ざり合い、進化する。そして新たに現れたのは一角を生やした緑属性のアーマー体スピリット、ライドラモンだ。
「ライドラモンの召喚時効果でコアを2つトラッシュに追加!!」
トラッシュ4⇨6
ライドラモンは登場するなり、気高く、それでいて獰猛に吠える。すると、椎名のトラッシュにコアが新たに追加された。
「アタックステップッ!!ぶち込め、ライドラモン!!」
召喚したばかりのライドラモンで攻めに入る椎名。ライドラモンが迅雷の如く速さで地を駆ける。
「……ふむ、ライフで受けましょう〜〜」
ライフ5⇨4
スピリットもコアもバーストもない Dr.Aはこれをライフで受ける他なく、あっさり承諾する。
ライドラモンが勢いを殺さぬまま Dr.Aのライフへと激突。そのライフを1つ粉々に砕いた。
「賢者の樹の実の効果。コアを1つ追加します」
リザーブ1⇨2
「……ターンエンド」
【ライドラモン】LV1(1)BP5000(疲労)
バースト【無】
賢者の樹から実が Dr.AのBパッドにこぼれ落ち、それが新たコアとなる。
果敢に攻める椎名。このターンは一先ずエンドとした。果てしなく続く緊張感の中、 Dr.Aは気持ち悪い程の薄ら笑いを浮かべ、またターンを進めていく。
[ターン03] Dr.A
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ2⇨3
「ドローステップ時、私は2枚目の仮面ライダーウォズの効果を使用!!手元に置き、ドロー枚数を増やしますよ、さらに破棄」
手札3⇨2⇨4⇨3
破棄カード↓
【ゴジラ(2004)】
2枚目の仮面ライダーウォズの効果が発揮され、今度はゴジラのカードが破棄される。
《リフレッシュステップ》
リザーブ3⇨7
トラッシュ4⇨0
「メインステップ……バーストを伏せ、私は2枚目の賢者の樹の実を配置!!」
手札3⇨1
リザーブ7⇨4
トラッシュ0⇨3
【賢者の樹の実】LV1
こちらも2枚目。 Dr.Aは場にバーストカードをセットすると共に、さらに賢者の樹を増やす。二本になったため、スピリットによってライフが減る際に増えるコアは2つとなる。
「ヌッフフ、では……アタックステップ!!手元の2枚のウォズの効果!!場にコスト6以上のスピリットが存在する時、コストを払わずに召喚できます!!」
「っ……ライドラモンのコストは6……」
「そう……LV1と2で2体を召喚!!」
リザーブ4⇨0
【仮面ライダーウォズ】LV1(1)BP5000
【仮面ライダーウォズ】LV2(3)BP8000
黝ずんだ一反の布が球状を形成する。それが弾け飛ぶと、中から緑を基調とした仮面スピリット、ウォズが優雅な立ち振舞いで姿を見せる。しかもそれが二度行われ、計2体のウォズが Dr.Aの場に出現した。
「さぁ、アタックステップは継続!!…行きなさい、2体のウォズよ!!」
薙刀のような武器を手に持ち、2体のウォズが地を駆ける。狙いは当然椎名のライフ。椎名は前のターン、ライドラモンでアタックを仕掛けたためにコアがない、そのためライフで受ける他なく……
「ライフで受ける……っ」
ライフ5⇨4⇨3
2体のウォズがその薙刀のような武器で椎名のライフを切り裂いていく。椎名のライフは一気に砕かれ、逆転された。
「ヌッフフ、ターンエンドです」
【仮面ライダーウォズ】LV1(1)BP5000(疲労)
【仮面ライダーウォズ】LV2(3)BP8000(疲労)
【賢者の樹の実】LV1
【賢者の樹の実】LV1
Dr.Aはできることを全て終え、そのターンをエンドとした。次は今尚も世界を懸けて戦っているというにもかかわらず、冷静な表情でいる椎名のターンだ。
[ターン04]椎名〈鬼〉
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ2⇨3
《ドローステップ》手札5⇨6
《リフレッシュステップ》
リザーブ3⇨9
トラッシュ6⇨0
【ライドラモン】(疲労⇨回復)
「メインステップ!!一気に行くぞ、ブイモンを召喚!!カードをオープン!!」
手札6⇨5
リザーブ9⇨6
トラッシュ0⇨2
【ブイモン】LV1(1)BP2000
オープンカード↓
【スティングモン】◯
【ワームモン】×
ライドラモンの【アーマー進化】の効果によって手札へと戻っていたブイモンが再召喚される。そしてこの効果でオープンされたスティングモンは新たに手札へと加えられた。
「さらに追加効果!!2コストを支払い、スティングモンを召喚!!」
手札5⇨6⇨5
リザーブ6⇨3
トラッシュ2⇨4
【スティングモン】LV1(1⇨2)BP5000
ブイモンの追加効果だ。颯爽とブイモンの横に現れたのは緑のスマートな昆虫戦士、スティングモン。その召喚時効果でさりげなくコアが増えていく。
そしてまだ椎名は動くのか、さらに手札に1枚のカードを掛け………
「さらにマグナモンの【アーマー進化】を発揮!!対象はブイモン!!1コスト支払って召喚する!!」
リザーブ3⇨2
トラッシュ4⇨5
「!」
「黄金の守護竜、マグナモンをLV2で召喚!!」
リザーブ3⇨1
【マグナモン】LV2(2)BP8000
ブイモンの頭上に黄金のデジメンタルが投下される。ブイモンはそれを受け入れるように衝突し、混ざり合い、今一度進化する。
新たに現れたのは黄金の鎧その身に纏う守護竜、ロイヤルナイツの1体、マグナモン。その防御に適した効果はいつだって椎名を守り抜いてきた。
「ほぉ、マグナモン……ヌッフフ、綺麗なものですね〜〜」
「浸ってる場合じゃないぞ!!召喚時効果!!…相手の場の最もコストの低いスピリット1体を破壊する!…対象はLV2のウォズ!!」
「!」
「黄金の波動……エクストリーム・ジハードッ!!」
マグナモンは登場するなり、その身に宿る黄金の力を自身を中心に解き放つ。それは Dr.Aの場まで伸びていき、ウォズ1体を飲み込んでいく。ウォズはその中で塵と化して破壊された。
「ネクサスカード、デジヴァイスを配置!!」
手札5⇨4
リザーブ1⇨0
トラッシュ5⇨6
【デジヴァイス】LV1
未だ終わることを知らない椎名の連続カード使用。今度は手のひらサイズの機械が彼女の腰に装着された。
「アタックステップッ!!…行くぞスティングモン!!」
【スティングモン】(2⇨3)LV2⇨3
ようやくアタックステップへと移行し、颯爽とスティングモンでアタックを仕掛ける椎名。その効果でスティングモンにコアが追加され、LVアップする。
そしてこの時、スティングモンに新たな効果が追加され、更なる姿へと進化することが可能となった。椎名はそれを遺憾なく発揮させる。
「スティングモンの【超進化:緑】を発揮!!…スティングモンを完全体、至高の竜戦士、パイルドラモンへ進化させるっ!!」
【パイルドラモン】LV2(3)BP10000
「!」
スティングモンにデジタルコードが巻きつけられ、その中で姿形を大きく変化させる。やがてその中のスピリットはそのコードを解き放ち、椎名の場へと姿を見せる。
それはパイルドラモン。椎名のデッキのエースの片棒を担ぐ、竜の力と昆虫の外殻を併せ持つ至高の竜戦士だ。
「召喚時効果!!…コスト7以下のスピリット1体を破壊する!!…残ったウォズを破壊!!」
「!!」
「デスペラードブラスタァァァァア!!」
パイルドラモンは登場するなり両腰に備え付けられた2つの機関銃を手に持ち、それをウォズへ向けて連射。嵐のように飛んでくる弾丸を全て避けられるわけがなく、ウォズは被弾し、堪らず爆発した。
「ほぉ、マグナモンにパイルドラモン………ん〜〜実に良い!!……やはりこの2体は進化の力に満ち溢れている!!」
椎名のマグナモンとパイルドラモンを見ながら、そう呟く Dr.A。だが、椎名はそんな事に耳を傾ける事なく、自分のバトルスピリッツを貫き通す。
「アタックステップは継続!!……いけぇ!…パイルドラモン!!アタック時効果!!……コアを2つパイルドラモンに追加し、ターンに一度回復する!!…エレメンタルチャージ!!」
【パイルドラモン】(3⇨5)LV2⇨3(疲労⇨回復)
改めてパイルドラモンでアタックを仕掛け、畳み掛ける椎名。パイルドラモンはその体を虹色に輝かせ、コアブーストと回復、その両方を一度にやってのける。
このターン、 Dr.Aが特に反撃をしなければ椎名の勝利で終わるが………
そんなわけがなく、 Dr.Aは伏せていたバーストをついに発動させる。
「ヌッフフ、待ってましたよ〜〜…相手のスピリットのアタックによりバースト発動!!…ケルビモン(悪)!!」
「っ……仮面スピリットの次はデジタルスピリット!?」
「悪に染まりし大天使よ!!神と共に並び立つが良い!!ケルビモン(悪)!!LV2で召喚!!」
リザーブ4⇨1
【ケルビモン(悪)】LV2(3)
Dr.Aのバーストカードが反転すると共に、ドス黒い球体が彼の場に静かに降り立つと、それは飛沫となって飛び散っていき、中から巨大な大天使の究極体デジタルスピリット、ケルビモンが現れた。その見た目はまるで肥えた道化師と言ったところで、大天使と呼ぶには似つかわしくないが、それでも究極体故に強力な力を保有している。
ただし、この姿は悪。本来は善の姿も存在するはずだが、Dr.Aのオーバーエヴォリューションの力による影響か、その身は悪に染まりきっていた。
「ケルビモンの召喚時及びアタック時効果……相手スピリット1体をBPマイナス10000し、0になれば破壊する!!……私の対象はライドラモン!!」
「!!」
「ライトニングスピア!!」
「くっ……ライドラモン!!」
【ライドラモン】BP5000⇨0(破壊)
ケルビモンは登場するなり雷の力を纏わせた槍を形成し、それを掴み、ライドラモンへと投げつける。ライドラモンはそれに串刺しにされ、力尽き、爆発を起こした。
「ヌッフフ、さらにケルビモンが存在する限り、相手はアタック時効果を使えない!!」
「!?」
ケルビモンのもう1つの効果が説明される。これで椎名はパイルドラモンを始めとして多くのカードの強力なアタック時効果の使用が不可となった。
「っ……けどパイルドラモンのアタックは継続中!!」
「ヌッフフ、それはライフで受けよう……っ」
ライフ4⇨3
パイルドラモンのアタック中に起こった出来事であるため、パイルドラモンの本命のアタックがようやく解決される。
パイルドラモンは Dr.Aへと低空飛行で急接近し、そのライフを強靭な拳で殴りつけ、1つを粉々に粉砕した。
「よしっ!!」
その様子に軽く拳を固め、ガッツポーズを決める椎名。
だが、このタイミングでも Dr.Aは動く。今度は怪獣の王、破壊神をこの場へと呼び出す。
「私のライフ減少により、賢者の樹の実2つ分の効果でコアを2つ増やしますよ…………ヌッフフ、そしてトラッシュにあるゴジラ(2004)の効果!!2コストを支払い召喚します!!」
リザーブ2⇨4
「っ!?」
「太古の神よ!!原子の力その身に宿し!!現れ出でよ!!ゴジラ(2004)!!LV2で召喚!!」
リザーブ4⇨0
トラッシュ3⇨5
【ゴジラ(2004)】LV2(2)BP15000
蠢く地の底より、咆哮を張り上げながら現れたのは黒い体に大きな尾を持つシンプルな怪獣と言った見た目のスピリット、ゴジラ。
だが、そこから感じられる迫力やオーラは美しくも凄まじく、神にも匹敵すると言って過言ではない。椎名はただただそれに驚愕することしかできず………
「っ……なんだこのスピリット達は……!?」
「だから私のオーバーエヴォリューションで得たカード達だと言っているではありませんか〜〜……ヌッフフ、さて、どうなされますか?…まだバトルをしてもよろしいのですよ?」
「っ……ターンエンドだ」
【マグナモン】LV2(2)BP8000(回復)
【パイルドラモン】LV3(5)BP13000(回復)
【デジヴァイス】LV1
バースト【無】
このターン、ロイヤルナイツと自身のオーバーエヴォリューションで得たスピリットを軸に攻めた椎名の前に姿を現したのは、そんなものが貧相に見えてしまうほどの脅威の2体のスピリット。
Dr.Aのスピリットはその1体1体が神の領域に達する事を不本意ながら、椎名は感じ取ってしまっていて………
……だが、それでも臆する事なく次に取る手段を頭の中で思考していた。
そして、次は見事に巨大な2体のスピリットを召喚して見せた Dr.Aのターン。
[ターン05] Dr.A
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
《ドローステップ》手札1⇨2
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨6
トラッシュ5⇨0
「メインステップ……私は仮面ライダーマッドローグを召喚!!…召喚時効果でカードを2枚ドローしましょう…!!」
手札2⇨1⇨3
リザーブ6⇨0
【ゴジラ(2004)】(2⇨1)
トラッシュ0⇨6
【仮面ライダーマッドローグ】LV1(1)BP5000
Dr.Aが次に呼び出したのはまたもや仮面スピリット。2つの拳銃を武器に持つ仮面スピリット、マッドローグ。その召喚時効果はシンプルながらも強力なもの、 Dr.Aは減っていた手札を潤した。
そして、ついに破壊神が鳴動と共に動き出す。
「アタックステップ……行きなさいゴジラ!!…パイルドラモンに指定アタック!!…効果によりコアを置き回復!!」
【ゴジラ(2004)】(1⇨2)LV1⇨2(疲労⇨回復)
「なにっ!?」
破壊神ゴジラで攻める Dr.A。その効果にはいくつもの強力な効果が備わっている。コアが置かれ、LVアップしつつ次のアタックを可能にした。
パイルドラモンはデスペラードブラスターでゴジラの進行を阻止しようと試みるも、ゴジラはそれに被弾してもビクともせず、ゆっくりとパイルドラモンに迫り来る。
「エニーズ、君は私がこの力を得るためのサンプルに過ぎない、そんな君が私に勝てるわけないでしょうにね〜」
「黙れ!!…んなもん関係ない!!私は私、エニーズじゃなくて芽座椎名だ!!どんな逆境に立たされても諦めないのが私のバトルスピリッツだ!!」
だが、椎名にはまだ手があった。手札にある六月に託されたカードを見つめ、諦めない心と共にそれを勢いよく抜き取る……
「じっちゃん……使わせてもらうよ……フラッシュ【煌臨】発揮!!対象はマグナモン!!」
リザーブ1s⇨0
トラッシュ6⇨7s
「っ!?……煌臨……」
椎名の場の上空に異次元の渦が発生すると、マグナモンはそこへと飛び上がり、吸い込まれるように中へと入っていく……
マグナモンはその中で姿形を大きく変え、進化を超える。
「来いっ!!……インペリアルドラモン ファイターモードッ!!」
手札4⇨3
【インペリアルドラモン ファイターモード】LV1(2)BP10000
異次元の渦から何かが腕を組み、飛来してくる。それはマグナモンではない別の何か。
その正体は六月の相棒だったスピリット、インペリアルドラモン ファイターモード。赤い翼と黒い鎧、右腕の砲手を携え、今椎名の場へと煌臨した。
Dr.Aは六月のスピリットの登場に少しばかり動揺した様子を見せる。
「……六月のカード……!!」
「ファイターモードの煌臨時効果!!…相手スピリット10体を疲労!!」
「っ!?」
「……革命の一撃……ポジトロンレェェェェザァァァァア!!!」
「……ぬっ!?」
【ゴジラ(2004)】(回復⇨疲労)
【ケルビモン(悪)】(回復⇨疲労)
【仮面ライダーマッドローグ】(回復⇨疲労)
ファイターモードの右腕の砲手から放たれる高威力のレーザー。それが Dr.Aのスピリット達を次々に吹き飛ばしていき、行動不能の状態まで後退させた。
「……六月……消滅しても尚、私の覇道を阻むと言うのか………!!」
「助かったよ…じっちゃん……!」
目の前のファイターモードに六月の執念を感じる Dr.A。そんな中、椎名はこのカード達を自分に与えてくれた六月に感謝の意を込めた言葉を送った。
「だがエニーズ……ゴジラとパイルドラモンのバトルは続く!!……破壊しなさい!!」
「っ……パイルドラモンっ!!」
吹き飛ばされたにもかかわらず、ゴジラは横転した状態から青い色の熱線を放ち、パイルドラモンを貫く。パイルドラモンは堪らず爆発してしまう。
だが、疲労状態には変わりはない。故に、 Dr.Aはターンの終了を迫られていた。
「……ふむ、まぁいいでしょう……ターンエンドです」
【ゴジラ(2004)】LV2(2)BP15000(疲労)
【ケルビモン(悪)】LV2(3)BP13000(疲労)
【仮面ライダーマッドローグ】LV1(1)BP5000(疲労)
【賢者の樹の実】LV1
【賢者の樹の実】LV1
バースト【無】
Dr.Aはそのターンを終えるが、未だにその表情は涼しく、不気味なくらいの余裕を保っている。
次は六月のファイターモードでなんとかこの場を凌いだ椎名のターンだ。反撃が幕を開ける。
[ターン06]椎名〈鬼〉
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ5⇨6
《ドローステップ》手札3⇨4
《リフレッシュステップ》
リザーブ6⇨13
トラッシュ7⇨0
「メインステップ!!…ネクサスカード、ディーアークを配置し、ブイモンをもう一度召喚!!…効果発揮!!」
手札4⇨2
リザーブ13⇨8
トラッシュ0⇨4
【ブイモン】LV1(1)BP2000
【ディーアーク】LV1
オープンカード↓
【フレイドラモン】◯
【D-3】×
椎名の腰にデジヴァイスとはまた違った機械が装着されると共に、今回三度目の登場となるブイモンが姿を現した。その効果でオープンされたカード、フレイドラモンを手札に加えた。また、D-3も自身の効果で手札へと加わった。
「よし!!2枚とも手札に加えて……追加で2コストを支払い、スティングモンも呼ぶ!!」
手札2⇨4⇨3
リザーブ8⇨5
トラッシュ4⇨6
【スティングモン】LV1(1⇨2)BP5000
今度は追加効果により、【超進化】の効果で手札へと戻っていたスティングモンも再召喚される。その召喚時効果により、またさり気なくコアが増える。
「デジタルスピリットの登場により、ディーアークの効果で1枚ドロー!!…さらにもう1枚ネクサスカード、D-3を配置し、バーストをセット!!」
手札3⇨4⇨2
リザーブ5⇨3
【D-3】LV2(2)
終わらぬ展開、椎名はバーストをセットすると共に、3種類目のデジタルスピリットサポートアイテム、D-3をその身に装着する。
「さらにコアを調整!!」
リザーブ3⇨0
【インペリアルドラモン ファイターモード】(2⇨1)
【デジヴァイス】(0⇨2)LV1⇨2
【ディーアーク】(0⇨2)LV1⇨2
椎名は残ったリザーブのコアでネクサスのLVを調整する。
そして、準備は万端か、ここで Dr.Aを仕留めるべくアタックステップへと移行する。
「アタックステップ!!…その開始時、デジヴァイスの効果!!成長期スピリット、ブイモンがいるため、疲労させることで1枚ドロー!!」
手札2⇨3
【デジヴァイス】(回復⇨疲労)
椎名がデジヴァイスをタッチすると、それとデッキが共鳴するように光出し、椎名にドローする権限を与えた。椎名はそこからドローすると、一気にアタックを仕掛ける。
「アタックステップ継続!!……いけぇ!…ファイターモードッ!!」
巨大な体躯、大いなる翼を広げ、上空へと飛翔するファイターモード。狙うは当然 Dr.Aのライフだ。
そして椎名はこのフラッシュタイミングで事前に配置していたネクサスカードの力を使い、あのスピリットを呼び出す。
「フラッシュ!!D-3のLV2効果!!疲労させることで【アーマー進化】の条件を無視して発揮させる!!」
【D-3】(回復⇨疲労)
「!!」
「私はこのカード……フレイドラモンを召喚する!!」
【D-3】(2⇨0)
トラッシュ6⇨7
椎名は腰に備え付けられたD-3をタッチする。すると、手札のカードがそれと共鳴するように輝く。そのカードは椎名の最初のエーススピリットにして、彼女の最もお気に入りのカード。
「燃え上がる勇気……フレイドラモンをLV1で召喚!!」
手札3⇨2
【フレイドラモン】LV1(1)BP6000
燃え上がる炎と共に姿を現したのは、竜人型のアーマー体スピリット、フレイドラモン。これまで幾度となく椎名を支えてきたエーススピリットだ。
「ヌッフフ、今更そんな市販のカード達で何をするつもりなのかね?」
「オーバーエヴォリューションで得られるカード達だけが全てじゃない!!…フレイドラモン達は今まで私というカードバトラーの記憶、そして生きた証だ!!……召喚時効果!!」
「!!」
「BP7000以下のスピリット、マッドローグを破壊!!……爆炎の拳……ナックルファイァァア!!」
手札2⇨3
ブイモンやフレイドラモンと言った、椎名が今まで使ってきたスピリット達は……確かに普通のカードだ。誰もが手にできるカードだ。
オーバーエヴォリューションで得られるカードではない。弱いかもしれない。
が、このカード達には椎名とバトルしてきた記憶が染みついている。それはまさしく椎名がこれまで芽座椎名として生きてきた証とも呼べて………
刹那、フレイドラモンの燃え上がる炎の鉄拳が一直線にマッドローグに被弾し、マッドローグはそのまま燃やし尽くされた。
「ファイターモードのアタックは継続中!!」
「!!」
フレイドラモンだけに目を奪われてはいけない。これはファイターモードのアタック中のフラッシュタイミングでの出来事。ファイターモードは Dr.Aにポジトロンレーザーを撃つべく、右手の砲手をそのライフへと向けた。
だが、 Dr.Aもこのままで終わるわけがなく、手札のカードを1枚抜き取った。
「ヌッフフ、甘いですね〜〜フラッシュマジック!!…リアクティブバリア!!……不足コストはゴジラとケルビモンから確保!!」
手札3⇨2
リザーブ1⇨0
【ゴジラ(2004)】(2⇨1)
【ケルビモン(悪)】(3⇨1)
トラッシュ6⇨10
「!!」
それは単純な白のアタックステップ終了系のマジックカード。いつ、どんな時でも強い、汎用性に富んだカード。
「そのアタックはライフで受けましょう〜〜〜……っ」
ライフ3⇨2
ファイターモードのポジトロンレーザーが Dr.Aのライフを1つ貫く。が、この瞬間に、発揮させていたマジックの効果が起動する。
「2枚分の賢者の樹の実の効果でコアを2つ増やし、リアクティブバリアの効果でアタックステップは終了ですよ〜〜ヌッフフ!!」
リザーブ1⇨3
「!!」
突如として椎名の場に吹き荒れる猛吹雪。これではいかなるスピリットであっても Dr.Aのライフを砕く事は叶わない。
椎名にこのターンを終了させられるよう、半ば強制的に迫られていた。
「………ターンエンド」
【インペリアルドラモン ファイターモード】LV1(1)BP10000(疲労)
【ブイモン】LV1(1)BP2000(回復)
【スティングモン】LV1(2)BP5000(回復)
【フレイドラモン】LV1(1)BP6000(回復)
【デジヴァイス】LV2(2)(疲労)
【ディーアーク】LV2(2)
【D-3】LV1(疲労)
バースト【有】
椎名がそう宣言すると、唐突にその猛吹雪は収まる。視界が開けると共に、 Dr.Aのターンが再び幕を開ける。
「さぁ、進化した世界の…新たなる神のターンだ……!!」
[ターン07] Dr.A
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ3⇨4
《ドローステップ》手札2⇨3
《リフレッシュステップ》
リザーブ4⇨14
トラッシュ10⇨0
【ゴジラ(2004)】(疲労⇨回復)
【ケルビモン(悪)】(疲労⇨回復)
インペリアルドラモンに疲労させられた2体も鳴動共にようやく復活を遂げる。
「ヌッフフ、メインステップ……賢者の樹の実1枚をLV2に、さらにゴジラをLV3、ケルビモンをLV2に!!」
リザーブ14⇨11⇨5⇨3
【ゴジラ(2004)】(1⇨7)LV1⇨3
【ケルビモン(悪)】(1⇨3)LV1⇨2
【賢者の樹の実】(0⇨3)LV1⇨2
コアが追加され、LVを上昇させていく Dr.Aのパワーカード達。そしてこのターンも破壊神が動く。
「バーストをセットし、アタックステップ!!今度こそその目に捉えた者全てを破壊しなさい……ゴジラ!!」
手札3⇨2
ゴジラが再びゆっくりと椎名の場へと歩みを進める。そして、その指定アタック効果の対象は………
「先ずはブイモン!!コアを追加し、回復!!」
【ゴジラ(2004)】(7⇨8)(回復)
「っ……ブイモン!!」
ゴジラが椎名とそのスピリット達の前方に到着すると、ゴジラは先ず、ブイモンを摘み上げ、地面に叩き落とした。ブイモンがその強い衝撃に耐えられるわけがなく、あっさりと爆発してしまった。
「次はスティングモン……!!」
【ゴジラ(2004)】(8⇨9)(疲労⇨回復)
「!!」
次はスティングモン。蹴り飛ばし、壁に叩きつけて爆発させた。
「フレイドラモン!!」
【ゴジラ(2004)】(9⇨10)(疲労⇨回復)
「っ……フレイドラモンっ!!」
止まぬ咆哮、追撃、ゴジラは尾でフレイドラモンを薙ぎ払い、スティングモン同様壁に叩きつけて爆発させた。
これで残る椎名のスピリットはインペリアルドラモン ファイターモードのみ……
「これで六月の忘れ形見も消え去る……ファイターモードに指定アタック!!効果でコアを追加し、回復!!」
【ゴジラ(2004)】(10⇨11)(疲労⇨回復)
「!!」
ファイターモードに目をつけるゴジラ。それに向けて口内から青い熱線を放つ。ファイターモードはポジトロンレーザーで対抗するが、拮抗したのはほんの僅かな時間のみで、ゴジラの熱線がポジトロンレーザーを押し返し………
ファイターモードに直撃、ファイターモードはとうとうそれに焼き尽くされ、この場から消え去った。
「……ありがとうファイターモード……お前の破壊は無駄にしない……」
六月のインペリアルドラモン ファイターモードが破壊されてた尚、諦めない志を見せる椎名。
だが、 Dr.Aはそんな椎名を嘲笑うかのように………
「ヌッフフ、ギッギッヒッヒッヒ!!……終わるんですよ〜〜この一撃で〜〜!!…ゴジラは相手のスピリットが場から離れるたびに、そのシンボルを増やす!!」
「なんだって!?」
「このターン、ゴジラは4体のスピリットを破壊しました………つまり、そのシンボルは今や5!!」
ここに来てゴジラの最後の効果。 Dr.Aはこのアタック一撃で終わらせる気だ。
ゴジラがその水晶のような背びれに赤い力を蓄積していき、発光させ……その力を口内に宿し………
「終わりだエニーズぅぅ!!……赤色熱線!!」
これまでとは温度も威力も比にならない程の熱線を放つゴジラ。そのシンボルは5。
まともに受けて仕舞えば終わりだ。
椎名は手札のカードを引き抜いて、最善の手を尽くす。
「フラッシュマジック!!…デルタバリアを使用!!」
リザーブ5⇨1
トラッシュ7⇨11
「!!」
刹那、椎名の前方に3つの円が現れたかと思うと、それらは電力で繋がり、三角形の盾となる。それは相手が強ければ強いほどそれを防ぐという一風変わった効果を持っていて………
「デルタバリアの効果により、このターン、私のライフはコスト4以上のスピリットのアタックでは0にならない!!………そのアタックはライフで受ける………っ!!」
ライフ3⇨1
ゴジラの赤い熱線が椎名のバリアとライフに直撃する。余りの威力に、デルタバリアは貫通するも、なんとか耐え抜き、椎名のライフを1つに抑えた。
「くっ……流石に5点分はキツイな……でも、ライフ減少により、バースト発動!!マリンエンジェモン!!」
「!!」
「効果により、これを召喚する!!……さらにデジタルスピリットの召喚により、カードを1枚ドロー!!」
手札2⇨3
リザーブ3⇨0
【マリンエンジェモン】LV3(3)BP9000
椎名の事前に伏せていたバーストカードが勢いよく反転すると、場に小さなピンク色の究極体スピリット、マリンエンジェモンが召喚される。
これでこのターン、 Dr.Aはどう足掻いても椎名のライフを0にすることはできなくなった。
(……マリンエンジェモンを破壊しても良いですが………)
Dr.Aは思考を進めていた。このターン、アタックステップが終わったわけではないため、マリンエンジェモンをあの手この手で破壊することは可能。
しかし、自分の手札にあるあのスピリットの存在により、その手は止まる。
「ヌッフフ、さぁいつまで待ちますかね〜〜エンドステップ、賢者の樹の実LV2の効果でゴジラを回復させ、ターンエンドです」
【ゴジラ(2004)】LV3(11)BP22000(疲労⇨回復)
【ケルビモン(悪)】LV2(3)BP13000(回復)
【賢者の樹の実】LV2(3)
【賢者の樹の実】LV1
バースト【有】
余裕のある表情のまま、品のない笑い声をあげ、そのターンをエンドとする Dr.A。
次はライフ残り1というスレスレで耐え切った椎名のターン。
「いつまで持つだって?…… Dr.A…それはこっちのセリフだよ」
「!?」
ターンが始まる前、椎名は唐突にそんなことを口にした。それは突然に、それでいて自然に、嘸かしこれから自分が次のターンで勝利を収めると宣言しているかのように…………
口角を上げ、静かに笑っていた。その笑い方は最早あの温かい椎名のものとは思えない程だ……
「ヌッフフ、何を言うかと思えば……強がりはやめたまえ……君の自尊心が傷つくだけですよ〜〜……」
Dr.Aは椎名にそう言い返した。椎名の言っていることを丸っ切り信用してはいない。
当たり前だ。こんな状況で勝てるわけがない。エニーズ、椎名は、所詮は自分が造った存在。自分に勝てるわけがない。
そう思っていた。
「だったら証明してやるよ……このターン……私の全てをあんたにぶつける……!!」
そして芽座椎名は第8ターンを進める。自分のデッキを信じて……今まで培ってきたもの全てを信じて………己のバトルスピリッツを信じて………
[ターン08]椎名〈鬼〉
《スタートステップ》
《コアステップ》リザーブ0⇨1
「ドローステップ……ドロー!!……」
手札3⇨4
椎名がこのターンのドローステップで引いたカードはまさしく奇跡の1枚とも呼べる存在だった。いつもの椎名ならここで大いに笑っているが、これまでの戦いで精神的に成長しているからか、もうそんな様子は一切見せず、ターンを進めていく。
《リフレッシュステップ》
リザーブ1⇨12
トラッシュ11⇨0
「メインステップ!!真紅の魔竜成長期の姿、ギルモンを召喚!!…効果でカードをオープン!!」
手札4⇨3
リザーブ12⇨9
トラッシュ0⇨2
【ギルモン】LV1(1)BP3000
オープンカード↓
【エクスブイモン】×
【グラニ】◯
【ディーアーク】×
【デジヴァイス】×
【デルタバリア】×
椎名の場に鬼のカードである真紅の魔竜、その成長期の姿。ギルモンが召喚される。そしてこの効果も成功。椎名は赤のブレイヴカード、グラニを加えた。
「ディーアークの効果でドロー!」
手札3⇨4⇨5
「出たね〜〜真紅の魔竜……あの時は痛かったよ〜〜」
Dr.Aは昔の事を思い出していた。あのエニーズ、椎名が生まれた日、グラウモンに殺されかけたあの日を……
今思えばあの日があったからこそ今の芽座椎名がいる。それからと言うもの、幾多もの試練を乗り越え、今椎名はこの場に立っている。
「いくぞ Dr.A!!………私はマジック、ブルーカードを使用!!」
手札5⇨4
リザーブ9⇨8
トラッシュ2⇨3
「!」
椎名がここで使うマジックカードは運にもよるが、デジタルスピリットを進化させる可能性のあるカード。デッキの中に眠るあのスピリットを呼び覚ますべく、椎名はカードをオープンしていく。
「効果によりカードを4枚オープン、その中にある進化系スピリットを色が一致する自分の場のスピリットをデッキの下に戻し、1コスト支払う事で召喚する!!」
オープンカード↓
【グラウモン】◯
【インペリアルドラモン ドラゴンモード】×
【ブイモン】×
【デュークモン】◯
効果は成功。椎名はこのタイミングで最高のカード、自分の持つ最強のエーススピリット、デュークモンを引き当てる。召喚するのは当然これだ。
「よしっ!!……ギルモンをデッキの下に戻し、ロイヤルナイツ、デュークモンを召喚!!」
リザーブ8⇨0
トラッシュ3⇨4
【デュークモン】LV3(8)BP18000
ギルモンの足元から青色のカードが潜る。ギルモンはその中で進化していく。それが完全に潜り抜けると、そこには左手に盾、右手に槍を携え、赤いマント靡かせるロイヤルナイツ、デュークモンが存在していた。
「ヌッフフ、やっと来ましたね〜〜デュークモン……ですが、それだけで私に勝てると思っているのかな?…私の場にはアタック時効果を封じるケルビモンがいるのですよ?」
「構うもんか!!…アタックステップ、行くぞデュークモン……アタックだ!!」
椎名は勝負に出る。ケルビモンによりアタック時効果が封殺されているにもかかわらずデュークモンでアタックを仕掛けた。
そして、 Dr.Aはこのアタックさえも止めるべく事前に伏せていたバーストカードを勢いよく反転させる。
「ヌッフフ、アタック後のバースト!!…2枚目のケルビモン(悪)!!…効果によりこれをLV3で召喚する!!」
リザーブ3⇨0
【ゴジラ(2004)】(11⇨7)
【ケルビモン(悪)】LV3(7)BP20000
「!」
再びドス黒い球体が地に堕ち、その中から2体目のケルビモンが姿を見せる。他のスピリットを含まずとも、最早その存在はロイヤルナイツ1体分の存在を遥かに凌駕している。
「もちろん効果は覚えてますよね〜〜ケルビモンの召喚時効果!!相手スピリット1体をこのターン、BPマイナス10000!!…私が選ぶのは、デュークモン!!………ライトニングスピア!!」
「……っ」
【デュークモン】BP18000⇨8000
2体目のケルビモンは登場するなり雷を槍の形に変形させ、それをデュークモンに投げ飛ばす。デュークモンは咄嗟にそれを聖なる盾で防ぐも、余りの威力に盾は粉々に砕け散り、素手が露わになってしまう。
「そんな低俗なBPでまだ何かするのかねエニーズ!!」
椎名に対してそう強く言い放つ Dr.A。
しかし、椎名とてこの程度のバーストは読んでいる。椎名はこの熾烈極めるバトルスピリッツに勝つべく自分の最強の切り札を呼び出す。
その際、椎名の進化の力が詰まった目がより強く気高く光輝く。
「フラッシュ【チェンジ】発揮!!対象はデュークモン!!」
【デュークモン】(8⇨6)
【マリンエンジェモン】(3⇨2)LV3⇨2
【デジヴァイス】(2⇨0)LV2⇨1
トラッシュ4⇨9
「!!」
「この効果でシンボル合計3つまで相手のスピリットを好きなだけ破壊する!!…ゴジラとケルビモン2体を破壊する!!」
椎名の背後から炎のエネルギーで塊で出来た龍が飛び出す。その龍はまるで飲み込むようにゴジラと2体のケルビモンを焼き尽くしていく。ゴジラ達は断末魔を上げながら消えて行った。
「そしてその後、対象のスピリットと入れ替える!!」
「ヌッフフ、来るのですか、進化を超えたロイヤルナイツが……!!」
炎の龍は最後に椎名の場のデュークモンへと降下。そしてデュークモンと衝突する。しかし、デュークモンは焼き尽くされることはなく………
「燃え上がれ聖騎士!!…真なる深い紅をその身に纏い、邪悪なる者皆照らし破れッ!!」
真紅の炎の中で、デュークモンの聖なる槍、赤いマントが消失する。デュークモンの白い身体は燃えるような深い紅に染まっていき、さらには同じ色の外装が新たに所々取り付けられていく。背にはマントの代わりに10枚の白い羽が出現する。
「デュークモン、モードチェンジ!!……クリムゾンモード!!」
【デュークモン クリムゾンモード】LV3(6)BP11000
椎名の叫びと共にその炎を突き破って現れたのは、デュークモンの進化形態。椎名の切り札。クリムゾンモード。赤々と燃えたぎるような真なる深い紅の鎧と白い羽はこの薄暗がりな場を明るく照らしていた。
「クリムゾンモード………ヌッフフ、良いね良いね〜〜進化の力で満ち溢れたその存在!!……それでこそ潰し甲斐があると言うもの……!!」
「終わりだ Dr.A!!このクリムゾンモードのアタック時効果で……」
Dr.Aは椎名のクリムゾンモードを見て興奮が収まりきれないでいた。底知れぬ進化の力に美しさを感じているのだ。
そして、自分の野望を達成するべく、それを破壊するため…………彼は自分のエーススピリットもこの場へと呼び出す。
「フラッシュ!!このカードの効果、コスト8以下のスピリット1体を手札に戻す!!……マリンエンジェモンを戻そうか!!」
「……っ」
手札4⇨5
突如、椎名のマリンエンジェモンがデジタル粒子に変換され、手札に戻ってしまう。
これだけでも強力な効果だが、この程度、ただのスピリットを呼び出すための条件に過ぎない。 Dr.Aはついにその脅威の存在をこの場へと高らかに呼び出す。
「進化の頂点に君臨する仮面よぉ!!今こそこの世界に変革をもたらすがよいぃぃい!!……仮面ライダーエボル ブラックホールフォーム…LV3で召喚!!」
手札2⇨1
リザーブ17⇨9
トラッシュ0⇨2
【仮面ライダーエボル ブラックホールフォーム】LV3(6)BP13000
黒く染まった靄が Dr.Aの場に現れる。そしてそこから足を踏み入れる存在が1人……それは仮面スピリットの1体、 Dr.Aのエーススピリット。白くきめ細かいディテールが特徴的なエボル ブラックホールフォームがその姿を現した。
「……こいつは……!!」
椎名は、突如自分とクリムゾンモードの前に立ちはだかったその異質な存在に思わずたじろいだ。
「さらにトラッシュにある仮面ライダーマッドローグの効果!!エボルが召喚された時、トラッシュからノーコスト召喚!!効果によりカードを2枚ドロー!!」
手札1⇨3
リザーブ9⇨5
【仮面ライダーマッドローグ】LV3(4)BP9000
「なにっ!?」
エボルの召喚に合わせて、マッドローグが紫の靄と共に復活を遂げる。さらにその効果で Dr.Aの手札が潤う。
そしてここから………
クリムゾンモードとエボルによる………壮絶なバトルが幕を開ける。
「準備は整った………行くぞエニーズぅう!!…クリムゾンモードのアタックはエボルでブロック!!…その効果、スピリット1体のコア2つをリザーブへ送る!!」
「っ……!!」
【デュークモン クリムゾンモード】(6⇨4)
エボルは一瞬にしてクリムゾンモードモードとの間合いを詰め、その腹部を殴り飛ばす。クリムゾンモードは身体ごとコアを吹っ飛ばされ、横転する。
エボルはその後、余裕があるのか、クリムゾンモードを嘲笑するかのような仕草をしながら、自分の力を見せしめるかのように上空へと飛翔し、そこに佇む。
「くっ!!」
クリムゾンモードはケルビモンの召喚時効果でBPが低下している。今のままではこのエボルには勝てない。しかし、椎名とてここで立ち止まるわけにはいかない。
手札のカードを1枚引き抜き、反撃に出る。
「相手が誰だろうと…どんなスピリットだろうと……負けてたまるかぁぁあ!!フラッシュマジック、レッドカード!!」
手札5⇨4
リザーブ4⇨2
トラッシュ9⇨11
「!!」
漏れ出るほどの高いモチベーション。気合いの雄叫び。それと共に少女の手から放たれる1枚のマジックカード。それはこのバトルを一転させるもの。
「効果によりこのターン、クリムゾンモードのBPを3000アップ!!…これで合計BP14000!!」
【デュークモン クリムゾンモード】BP11000⇨14000
「………ほぉ?」
横転したクリムゾンモードは立ち上がると、マジックの力でそのBPを増幅させ、その身をより真紅の赤色に焦がす。これでBP13000のエボルを超えた。
「神剣ブルトガング!!……神槍グングニル!!」
椎名がそう叫ぶと、クリムゾンモードはそれに呼応するように、左手に神剣を、右手に神槍を光の力で作り上げる。そしてそれを構え、上空にて佇むエボルに向かって飛翔し…………
「いけぇ!……無敵剣…インビンシブルソードッ!!」
神剣から放たれる強靭な刺突は、エボルの腹部を貫く。エボルは堪らずクリムゾンモードの目の前で大爆発を起こした。
その様子を視認した椎名は、若干口角を上げて………
「よっしゃっ!!これでクリムゾンモードの効果で………」
Dr.Aを倒せる………
そう思った。
束の間だった。爆発による爆煙や砂埃が舞う中で…………確かに赤い眼光が鋭く放たれた。その存在は間違いなく倒したはずのエボル。
「っ!?……エボルは倒したはずだ!?」
そう叫んだ椎名。
確かに。そう確かにさっきクリムゾンモードの神剣から放たれた刺突がエボルを貫き、それを完全に破壊したはずだった………
「ヌッフフフフフ………ギッギイッヒッヒッヒ!!」
「っ!?」
「エニーズ……君が壊したのはエボルの外装に過ぎない!!………見たまえ!!」
「………っ!!」
完全に爆煙と砂埃が晴れていく………
……そこにはエボルを超えた存在。 Dr.Aの最強最後の切り札が……空気が痺れる程のオーラをその身に纏う異形の姿をした圧倒的な存在が……クリムゾンモードの目の前に存在していた………
「………君もさっき見ただろう?……これこそ……これこそがぁぁぁぁあ!!進化した新たな世界の神たる証のスピリット!!進化の頂点!!象徴!!」
「っ……!!」
完全に爆煙と砂埃が晴れる時……
Dr.Aはそのスピリットの名を叫ぶ………
「エボルト・怪人態!!」
【エボルト(怪人態)】LV3(5)BP15000
「……エボルは……コイツの進化前だったのか……っ!!」
エボルの白いアーマー、外装が剥がれ落ち、真なる姿を現した最凶最悪のスピリット、エボルト・怪人態。
互いが互いを睨み合う、圧倒的な進化の力を常に漂わせる脅威の存在、エボルの最終進化形態、エボルト・怪人態と真紅の魔竜と一体化したロイヤルナイツ、デュークモン クリムゾンモード………
……このハイスペックな力を保有する2体のうち、どちらかが……椎名と Dr.Aの熾烈を極める最終決戦に終止符を打つことになる。
〈本日のハイライトカード!!〉
Dr.A「ヌッフフ、本日のハイライトカードは【エボルト(怪人態)】……!!」
Dr.A「エボルトはエボルが進化した私の切札……チェンジした時に相手のコアを多量に奪う効果とアタック時に手札を破棄する力がありますよ」
******
〈次回予告!!〉
椎名の切札クリムゾンモード。
Dr.Aの切札エボルト・怪人態。
この2体の壮絶な戦いに終止符が打たれるその時、ついに長きに渡った戦いが幕を下ろされる事になる。椎名は界放市を、世界を救う事が出来るのか……
次回、バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ「真なる深い紅をその身に纏い、邪悪なる者皆、照らし破れ」…今、バトスピが進化を超える!!
******
※エボルトのチェンジコストの確保はブラックホールフォームから1つと、賢者の樹の実の3つから用いました。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!!
次回で二期ラスト!!
しかもこの後夜21時より更新!!