とある科学の能力強化《AIMブースター》 作:夜鳴
異世界転生。
まあ、ネット小説やラノベなんかではよくある話だ。
二次創作だと好きな作品の人物になったり、オリジナルの人物になったりしてその世界を堪能する。
まあ、ぼく——
その作品では存在しないはずの人物に。
***
目が覚めたらそこは近未来的な壁がある通路だった。
何があったのか思い出そうとすると、二つの記憶が一気に入り込んできてひどい頭痛に襲われた。
どうやらとある魔術の禁書目録の世界に転生したようだ、と二つの記憶を比べることでわかった。
前世での名前はまあ、よくあるようなありふれた名前だった。
別に必要ないし、使うこともないだろう。
今世での名前が風狩翼。
風でも操れるんじゃないかと思ったが全然違った。なぜこの名前なんだよと軽くツッコミたくなったが、まあどうでもいい話だ。
ぼくの能力はレベル3の
空間に漂うAIM拡散力場——能力者が無意識に発生させている五感で感じることのできない微弱な力場、測定するには精密機械で調べる必要があるらしい——に触れているか、能力そのものに触れているか、能力者に触れていることが条件の能力で、文字通り能力の出力を上げることができ、さらには一応下げることもできる。その副次作用からか、AIM拡散力場を見て触れることができるようだ。
他人がいなきゃ使えないとか学園都市から出たら無能そのものだなと思わざるを得ないけど、まあなんとかするしかない。
ぼくがいる場所は能力開発専門の研究所だ。
ぼくの能力自体がレベルが低いとはいえ珍しいものであり、伸びる可能性があるようなのだ。
ほかにも珍しい能力の持ち主は多いようで、植物の成長を促進させ、その指向性を制御する能力者や、物質間の力を操作する能力者や、現実世界に基盤を用意してその基盤から情報を運用する次元を作り上げる能力者などがいるらしい。
らしい、というのはぼくが入る前の記憶の中にはそのような人物がいると聞かされただけで、研究所の中では同年代の人間と話した記憶がないのだ。
こればっかりはしょうがない。
なんとしてでも交流くらいは持ちたいな、とは思う。同年代の友達がいないのは寂しいし(精神年齢がどうのこうの言われると困るのだが)、その交流で能力が強くなるかもしれない。参考にすることとか色々ありそうだし。
今は研究員の人に少し待ってなさい、と言われたから扉の前で待っている。
研究員さんにあとで能力者の子達に会えるかどうか聞いてみよう。
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