大日本帝国召喚   作:ゼロ総統

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第8話─衝突─

 パーパルディア皇国 皇国監査軍東洋艦隊

 

 

 空は快晴。比較的乾いた潮風が気持ちいい。

 提督ポクトアールは、東の水平線を睨んでいた。

 ワイバーンロード部隊との通信が途絶したため、フェン王国はなにか新兵器を持っているのではと警戒していた。だが先程、フェン王国水軍と交戦したが、蛮族らしく沈んでいった。大砲を1発だけ撃ってきたが、それも皇国からすれば旧式のもので、当たることはなかった。

 ただの蛮族、そうともとれるが、それではワイバーンロード部隊との通信が途絶した理由がわからない。

 

「!?」

 

 水平線に何かが見え、彼は望遠鏡を構えた。

 同時に、頭上の見張員が声を上げる。

 

「艦影と思わしきものを発見!こちらに接近してきます!」

 

「大きいな…フェン王国のものとは思えない…まずいぞ。総員、戦闘配備!!」

 

 城のように大きい灰色の、おそらく船と思われる物体だが、常識から考えると規格外の大きさだ。

 

 正体不明の巨大船はパーパルディア皇国監査軍東洋艦隊に接近すると、艦首を反転させ、並走しながらなおも近づいてきた。それも、たった1隻のみで。

 

「提督、どうしますか?」

 

 副官に問われたポクトアールは、冷や汗を流していた。

 少なくとも、あの船はパーパルディア皇国の同盟国の艦ではないだろう。民間船でないことも確実だ。

 

 おそらく敵と思われる艦は1隻のみ、いずれにせよ、フェン王国方面から来たのだ。フェンの関係国所属艦に違いない。列強パーパルディア皇国の意思を示すため、ポクトアールは攻撃を決意した。

 

「砲撃用意!あれとの距離1.5kmで砲撃を開始せよ!!」

 

 ポクトアールの指示を受けて、魔導砲の砲撃準備が行われる。列強の魔導砲は2kmの長射程を誇る。1.5kmまで近付けば、それなりに当たる距離だ。

 

 敵の船と思われる巨大な艦1隻は、並走しながら距離を1.5kmまで詰めてきた。

 敵の巨大砲は前を向いたままである。

 

「阿呆め。魔導砲、撃てぇぇぇ!!」

 

 フェン王国王宮直轄水軍を、赤子の手を捻るが如くあっさりと葬り去った、列強パーパルディア皇国監査軍東洋艦隊戦列艦22隻は、大日本帝国海軍軽巡洋艦村雨に牙を剥いた。

 

 

 

 

 

 パーパルディア皇国監査軍東洋艦隊戦列艦が放った砲弾は、その殆どが海面に着弾したが、奇跡的に2発が巡洋艦村雨の艦首と艦中央部に着弾した。

 

「ッ!…大丈夫か!?」

 

「っ…異常なし!全て装甲が弾き飛ばしました!!」

 

 報告を聞いて安堵した村雨艦長の島大悟は、すぐさま指示を飛ばす。

 

「最大戦速!主砲発射用意!目標は、敵戦列艦の動力であるマストを狙え!」

 

「了解!!」

 

 村雨の前部甲板に搭載された15.5cm単装速射砲が動き出す。砲安定システムで砲を安定させ、戦列艦のマストに照準を合わせた。

 

「目標捕捉!照準よし!!」

 

「撃ち方始めっ!!」

 

 射撃指示と同時に、主砲から砲弾が発射される。

 発射された砲弾は正確に戦列艦のマストに命中し、折れたマストが海面へと落下していく。

 

 巡洋艦村雨は更に砲撃を続ける。1隻、また1隻とマストを破壊していき、僅か数分で敵艦隊の半数である11隻を航行不能にした。

 

「頼む、これで退いてくれ!」

 

 島の願いが届いたのか、敵艦隊は航行不能になった戦列艦を曳航して、来た方向へと戻っていった。

 

「…ふぅ、退いてくれたか」

 

 島の言葉に、乗員達も安堵の表情を見せる。

 

「これで一安心ですな」

 

「あぁ…これより艦隊と合流する」

 

 村雨は親善訪問艦隊と合流すべく、進路を来た方向へと戻した。

 

 大日本帝国とパーパルディア皇国の初の海戦は、日本の圧勝で終わった。パーパルディアの艦隊に重傷者は出たものの、当世界の歴史上唯一『死者を出さずに勝敗を決した海戦』となり、有名となった。

 この海戦は『フェン沖海戦』と呼ばれ、後世に語り継がれることとなる。

 

 

 

 

 

 フェン王国 首都アマノキ

 

 

 話は同日昼まで遡る。

 パーパルディア皇国のワイバーンロード部隊を軽々と片付けた、大日本帝国海軍。その力を見て、軍祭に参加した文明圏外各国の武官は、放心状態となっていた。

 

「な…なんだ!あの凄まじい魔導船は!!」

 

「列強のワイバーンロードが、まるで相手にならなかったぞ!!」

 

 自分達の常識とかけ離れた力を持つ、灰色の巨大船に恐怖を覚えると共に、味方に引き入れることはできないかと皮算用を始める。

 フェン王国がパーパルディア皇国の領土租借案を蹴ったと聞いたときは、フェンが焼き尽くされるのではないかと誰しもが思ったが、あの船の国と友好関係にあるのであれば、フェンが強気に出るのも理解できた。

 

 パーパルディア皇国以上の国が現れたかもしれない。その認識のもと、各国の武官は魔信で本国に報告するのだった。

 

 『フェン沖海戦』の後、日本にやってくる時代がかかった船が増えた。国交締結を求める文明圏に属さない国々の大使たちを乗せて日本まで来訪したのである。そのせいで海上保安庁は海軍に協力を要請して、2ヶ月ほどは日夜問わずに巡視する羽目になった。

 今までは日本側から各国まで出向き、現地を調査してから国交を申し込んでいたが、今回は大使たちが詳細な資料を携えていたために手間が省け、次々に国交を結んでいくことができた。どうやら各国間で情報共有がなされているそうだ。

 彼らは友好的で礼儀正しく、概ね国交締結に支障はなかった。

 

 その後、第三文明圏外国家群(ロデニウス大陸国家、フェン王国、トーパ王国等)では、日本を中心に第三文明圏外国家群の共存共栄が掲げられ、それは後に大東亜共栄圏と呼ばれることとなったという。

 

 

 

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