ついにパーパルディア皇国戦も終わり、次回からは本作品のオリジナルに入ろうと思います。
パーパルディア皇国 皇都エストシラント 郊外
大日本帝国陸軍第8旅団は、皇都エストシラントを包囲するように展開していた。
今回第8旅団は戦車隊を中心とした編成が成されており、本戦闘からは82式戦車ではなく、その次世代型の95式戦車が参加していた。
「団長、北部方面から侵攻した第11旅団と、大東亜連合軍が合流しました。北部の都市は、全て占領したそうです」
「わかった…東部と北部は全て占領下にあり、南は連合艦隊が常に警戒している。後は西部方面をアルタラスからくる第15旅団が占領して、首都を完全に包囲する…連中が大人しく降伏してくれればいいんだがな」
第8旅団長の飯島は、皇都の方角を見て呟いた。飯島としても、この一方的な戦闘をさっさと終わらせたいと考えていた。
第8旅団が待機する中、パーパルディア皇国行政大会議は重苦しい空気に支配されていた。
皇国海軍はすでになく、工業都市デュロが陥落したため武器、弾薬の提供ができず、属領も全て失い、更に北と東全ての都市を占領されてしまった。そして敵は今、ここ皇都エストシラントを包囲している。いつ突撃してくるかも不明だ。
「徹底抗戦だ!!我々列強が!これ以上ナメられるわけには!いかんのだ!!」
「現実を見ろ馬鹿者が!!この状況で戦争が続けられるか!!すぐにでも降伏すべきだ!!」
「誰が馬鹿だこのハゲ!!」
「あっ!言ったな!?言っちゃいけないこと言ったな!!?」
途中から話が逸れていき、それを眺めるエルトは目頭を押さえていた。
なぜ一部を除いた彼らは、現実を見ようとしないのだろうか。北と東の都市は全て占領された。西方もいずれは同じ道を辿るだろう。
その前に講話できればいいのだ。それがわからないのだろうか?わからないのだろう。
エルトは深いため息をついて、周りを見渡す。するとそこに、見知った顔がないことに気が付いた。
(カイオスは一体どこに?)
そう思った直後のことだった。
大会議室の扉が勢いよく開かれ、そこから50人ほどのマスケット銃を装備した兵士が雪崩れ込んできた。
「な、なんだ貴様らは!ここをどこだと思っている!?」
「皇国を破滅へと導いている無能達の巣窟ですかな?」
隊長らしき者がそう答えた。
「お前達が国のトップにいる限り、この戦争は終わらない」
「反乱ごっこか!?そんなことしたところで!現状がどう変わると言うのだ!!?」
「既にカイオス様が話をつけておられる、講話会談はやろうと思えばすぐにでもできるそうだ」
その言葉を聞いて、エルトは胸を撫で下ろした。
この戦争が終わる。彼がやってくれた。
「それまで、お前達にはここで待機してもらう。異議は受け付けない」
ちょうどその頃、皇宮パラディス城ルディアスの私室では、カイオスがルディアスと対面していた。
「貴様が裏切るとはな、カイオス」
「貴方がこのまま国を治めていると、皇国が滅ぶもので」
その後、レミールが逃げ出し、シルガイアに捕らえられる等のエピソードがあった翌日。
「重大発表ってなんだろうな」
「さぁ、まさか皇国が戦争に負けて、国民が奴隷になるとか…?」
「バカな!我が国は列強だぞ!!そんな簡単に負けるわけがない!!」
「現実見ろよ!どう考えても負けてるだろうが!!」
様々な憶測が飛び交うなか、魔画通信機で発表が行われた。
『皇国臣民の皆さん、暫定国家元首のカイオスです。』
画面の前の民衆がざわつく。てっきり宰相か、皇帝ルディアスの補佐官が出てくると思っていたからだ。
『このたびの戦争は多くの人が傷つき、家族を亡くし、そして途方に暮れた方も多いでしょう。
前政府の失策により、皇国兵は傷つき、かつて属領と呼ばれた73ヵ国もすべて独立をいたしました。我々がこの戦争を続けたとしても、得るものは何もなく、むしろ失う物の方が多い。
私は皇国臣民を守るため、そして皇国がこれ以上立ち直れないほどのダメージを受ける前に、大日本帝国と早期講和をする事を決断いたしました。』
「なんだと!これほど屈辱的な目にあわされて、講和だと!!!」
「そうだそうだ!!徹底抗戦するべきだ!!」
「いや、早期講和は正しい!!これ以上やられたら何も残らんぞ!!」
「独立が維持できるだけでも良いじゃないか。」
画面の前では、様々な議論が行われる。
『今回の戦争により、パーパルディア皇国は、73箇所の属領を失い、74ヵ国に分裂いたしました。
反パーパルディア皇国連合や文明圏外国家連合も我が国に宣戦を布告していましたが、今回はそのすべてとも講和を実現いたしました。
本講和により、我が国は平和を手に入れました。私は、今回手に入れる事が出来た平和を永きにわたって維持しするためにも、大日本帝国が唱える大東亜共栄圏に加盟し、他国と共存し、そして繁栄していこうと思います』
集まっていた各国の記者から様々な質問が行われ、放送は終了する。
通信機の前では、民衆は一様にうなだれていた。
愛する者、子供を失った者たちが通信機の前で泣き崩れ、皇国全体が悲しみに包まれる。
皇国民にとって、大日本帝国は恐怖の対象となった。
大日本帝国 東京都 首相官邸
「やれやれ、思ったよりも早く終わったな」
今村は自身の執務室で書類作業を行いながら今後のことを考えていた。
「国連や赤十字のような組織がなく、国際法も列強間でしかないとは…やはり大東亜共栄圏のみならず、国際連合の設立も必要か…幸い、ムー国やグラ・バルカス帝国といった西方の国家も乗り気だし、音頭をとってもいいかもな」
その後、今村は戦後の記者会見に向けて、執務室をあとにするのだった。