大日本帝国召喚   作:ゼロ総統

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第18話─マグドラ群島海戦─

─中央暦1642年4月22日─

 神聖ミリシアル帝国 カルトアルパス港

 

 

 港町カルトアルパスは、第一から第二までの文明圏において有数の、広大な港湾施設を持つ。

 先進11ヵ国会議には各国大使を乗せた船だけでなく護衛の軍艦もやってくるため、そのすべてを収容できるよう、毎年この港町カルトアルパスが選ばれている。

 港湾管理者の元には、続々と到着する各国の軍艦の情報が集約されていた。

 

「第一文明圏トルキア王国軍到着!戦列艦7、使節船1、計8隻」

 

「了解、第一文明圏エリアへ誘導せよ」

 

「第一文明圏アガルタ法国到着。魔法船団6、民間船2」

 

「了解、トルキア王国軍の隣へ誘導せよ」

 

「…この辺りは代わり映えせんな」

 

 港湾管理責任者のブロンドは、カルトアルパス港管理局の窓から港湾の様子を眺めていた。

 彼は軍艦が好きであり、そのため、使節護衛の名目で連れてこられる各国の艦隊が見れるこの会議が好きだった。

 

「グ…グラ・バルカス帝国到着、戦艦1、空母2、重巡洋艦4、巡洋艦8、小型艦12、到着」

 

「了解、第二文明圏エリアに…は、入るのか?あれ」

 

 管理局の職員のざわめついた報告が入る。

 グラ・バルカス帝国の誇る、世界最大級の戦艦、グレードアトラスターを旗艦とした艦隊。

 だが港の関係上、グレードアトラスターのみが港へと停泊することとなった。

 ブロンドはグレードアトラスターの着岸作業に、茫然としながら見入っていた。

 

「…長!ブロンド局長!」

 

 部下からの問いかけで我に返った彼は、少し返事が荒くなる。

 

「あぁ、なんだ!?」

 

「大日本帝国が到着しました!戦艦5、空母2、重巡洋艦4、巡洋艦8、計19隻です!」

 

 派遣された日本艦隊は、艦体の大きさから駆逐艦が巡洋艦などと間違って報告されたが、それでもグラ・バルカス帝国並み、いや、それ以上の艦隊にブロンドは唖然としていた。

 

「なんと言うことだ…一体なぜこのような国が突如として現れたのだ」

 

 ブロンドは大日本帝国とグラ・バルカス帝国の艦隊に目が釘付けとなるのだった。

 結局、日本の艦隊も入りきることができず、戦艦陸奥のみが停泊することとなった。

 

 

 

 

 

 時は少し進み、神聖ミリシアル帝国 マグドラ群島

 

 

 ここでは現在、神聖ミリシアル帝国海軍所属の第零式魔導艦隊が、訓練を行っていた。

 魔導戦艦3、重巡洋装甲艦2、魔導船3、随伴艦8の計16隻。

 世界に敵なしと誉れ高い艦隊は、実践さながらの厳しい訓練を繰り返し、奢ることなく練度の維持、向上に努める。

 

「今日も平和だな…この時間だと、もう会議は始まってる頃か」

 

 艦隊司令バッティスタは、艦橋の窓から穏やかな海を眺めていた…その時だった。

 

 

『世界は闇に包まれるだろう』

 

 

 突然空が赤黒く染まったかと思うと、すぐさま元の青い空へと戻っていた。

 

 一瞬何が起きたかわからなかったバッティスタだったが、すぐさま言い伝えを思い出す。

 

「まさか…もう復活したのか!?古の魔法帝国(・・・・・・)が!?」

 

 艦長も騒然とし、艦内では乗組員等が慌ただしく騒いでいた。

 だが、状況は彼らが落ち着くのを待ってくれなかった。

 旗艦、ミスリル級魔導戦艦コールブラントの監視部で魔力探知レーダーを見ていた監視員の悲鳴に近い報告が上がる。

 

「レーダーに感あり!!機械動力式(・・・・・)の飛行機械らしき敵影が多数接近!!その数30…いえ!100…200…300…嘘だろ…500を超えましたが、まだまだ増えていきます!!!」

 

「なっ…なんだとぉ!!?」

 

 バッティスタ達が艦橋から空を見上げると、空を覆い尽くすほどの黒点がこちらに向かってくるのが見えた。

 

「対空戦闘用意!!全機撃ち落とせ!!!」

 

 神聖ミリシアル帝国第零式魔導艦隊は、対空戦闘体勢に移行した。

 

 所属不明の飛行機械は、第零式魔導艦隊上空に到達すると、急降下を開始した。

 飛行機械から落とされた大量の爆弾は、半分近くは海面へと落下するが、半分ほどが艦隊に直撃した。

 

「戦艦クラレント被弾!火災発生!」

 

「巡洋艦ロンゴミアンド被弾!被害甚大!」

 

「マグドラ群島基地防空隊全滅!!同群島基地壊滅!!」

 

 次々に入ってくる被害報告に、バッティスタは目眩を覚えた。

 世界最強の第零式魔導艦隊、最強の艦隊が、たかが飛行機械ごときに破れるなど、考えられなかった。

 

「こんな…こんな、ことがぁ!!」

 

 直後、飛行機械の爆撃が戦艦コールブラントの艦橋に命中、バッティスタをはじめとした司令部要員は全員戦死し、指揮系統に混乱が生じた。

 

 その後、魚雷を搭載した雷撃機の雷撃を受けることとなった。戦艦コールブラントは右舷に17本、左舷に15本の直撃を受け、その自慢の主砲を使用することなく、海の底へと沈んでいった。

 こうして、第零式魔導艦隊は全滅した。

 

 

 

 

 

 時は少しだけ戻り、神聖ミリシアル帝国 港町カルトアルパス 帝国文化館 国際会議場

 

 

 大日本帝国外務省から派遣された外交官近藤は、これから始まる会議に気を引き締めていた。

 隣に指定されたグラ・バルカス帝国外交官のシエリアが声をかけた。

 

「あまり気負い過ぎない方がいいと思うぞ」

 

「ありがとうございます、やはり前世界の事を思い出すとどうも…」

 

 そんなことを話していると、会議が始まるアナウンスが流れた。

 

「これより、先進11ヵ国会議を開催します」

 

 今回の先進11ヵ国会議参加国は、以下の通りである。

 

・第一文明圏/中央世界

神聖ミリシアル帝国

エモール王国

トルキア王国

アガルタ法国

・第二文明圏

ムー国

マギカライヒ共同体

ニグラート連合

グラ・バルカス帝国(文明圏外)

・第三文明圏

パンドーラ大魔法公国

大日本帝国(文明圏外)

・南方世界

アニュンリール皇国(文明圏外)

 

 

 開始早々、議長席付近、つまり中心近くに座す青白い肌の人物が手を挙げた。頭には角が4本は得ている。目も髪も赤く、かなりの大柄で身長は2mに達していそうだ。

 議長が指名し、発言権を得て起立した。会話にはすべて、魔導通信器によるマイクが使用される。

 

「エモール王国のモーリアウルである。今回は何よりも先んじて、皆に伝えねばならないことがある。火急の件につき、心して聞いてもらいたい」

 

 竜人族が治める単一種族国家であるエモール王国。人口たったの100万ほどにも関わらず列強に名を連ねる強国で、多種族蔑視もあってかなり差別的な体質だ。

 その竜人族の代表が、今まで見せたこともない特殊な態度を取った。

 ただならぬ雰囲気に誰もが口を閉ざし、場が静まる。

 

「…先日、我が国は“空間の占い”を実施した。結果、古の魔法帝国…ラヴァーナル帝国が、近いうちに復活すると判明した」

 

 モーリアウルの言葉を聞いた各国大使の表情が青ざめていくのがわかる。

 

「何てことだ…ッ!」

 

「古の魔法帝国が…そんな…」

 

「どうすればよいのだ」

 

 モーリアウルは構わずに続ける。

 

「神話や伝承がどこまで本当なのか分からぬ…時期や場所は、空間の位相に歪みが生じており判然としないが、我らの計算だと今から4年から25年までの間にこの世界の何処かに出現するだろう。奴らにどれほど抗する事が出来るのか、検証する必要がある。

 今後、不要な争いを避け、軍事力の強化を継続して行い、世界で協力して古の魔法帝国、ラヴァーナル帝国復活に備えるべきである」

 

 モーリアウルが議長席に視線を向けると、議長たちも揃って頷いた。

 大日本帝国やグラ・バルカス帝国も、イズルやアレナといった事例が存在するため、どうこう言えるわけではないのだが、両国にはとある疑問が生じていた。

 

「1ついいか?」

 

 日本の隣、グラ・バルカス帝国外交官シエリアの手が挙がった。

 議長が指名して、発言権を得る。

 

「実は我が国にも、予言を行う御方がいる。その御方の御言葉では、本日中に何か良くないことが起ころうとしているらしいのだ」

 

 シエリアの言葉に、一部では失笑の声が挙がった。

 グラ・バルカス帝国と大日本帝国はムーと同じ科学文明国家であり、個人の魔力量は無いに等しいと知られているため、エモール王国の時とは違う反応となっていた。

 シエリアは構わずに続ける。

 

「その御方はこう仰れた。『世界の力集まりし時、世界は闇に包まれるだろう、彼の闇、呪い持たざる闇は、3つの光を埋め尽くさんと動き出す』…これは先進11ヵ国会議が行われる今日、何かが起こると思われるのだ」

 

 シエリアの言葉に反応したのは、近藤であった。

 イズル君の予言では4月22日、つまり今日、世界各地の3つの場所で、何かが起こるとされている。

 世界の力集まりし時、これは間違いなく先進11ヵ国会議を示している。3つの光、これはイズル君の示した、3つの地域のことと見て間違いないだろう…港湾都市マイカルや港町カルトアルパスは何となくだがわかる。だが、最後の群島の意味はなんだ?

 

 暫くすると、シエリアが席に着いた。彼女の表情から見て、殆ど信じてもらえなかったようだ。

 

「よろしいでしょうか」

 

 今度は近藤が手を挙げた。

 

「発言を許可します」

 

「ありがとうございます…実を申し上げますと、我が国にも未来を予言する御方がいます。その御方の予言の的中率は、現時点で100%と言えます」

 

 近藤の発言に周囲がざわつく。

 グラ・バルカス帝国と同じく、個人の魔力保持量が微弱な大日本帝国が100%的中の予言と断言したのだ。これには周囲の反応も変わってくる。

 

「その御方の予言でも4月22日、つまり今日、3つの地域で何かが起こるとされていました。そのことで、議長のリアージュ殿にお尋ねしたい」

 

「私ですか?」

 

 突然指名されたリアージュは驚きながらも対応する。

 

「予言では、ここより西500kmの場所に存在する群島で、何かが起こるとされているのですが、そこには何かあるのですか?」

 

 リアージュは他の議員と短いやり取りをした後に答えた。

 

「その群島はマグドラ群島といいまして、陸軍離島防衛隊基地や海軍飛行隊基地がある程度です。他には、この時期に我が国の艦隊が同海域で訓練を行っています」

 

 答えを聞いた近藤とシエリアは、瞬時に察した。

 その艦隊は神聖ミリシアル帝国で有名、あるいは主力級の艦隊であり、その艦隊に何かあると見て間違いないと。

 

 その時、国際会議場の扉が勢いよく開かれ、1人の職員が飛び込んできた。その絶望した表情から、何か重大な事件が起きたことがわかる。

 

「申し上げます!たった今、世界各地の空が赤黒く染まったとの報告が上がり、自分も確認しました!恐らく、古の魔法帝国…ラヴァーナル帝国が復活したと思われます!!」

 

「バカな!?いくらなんでも早すぎる!!」

 

「どんなに早くとも、4年はあるのではなかったのか!?」

 

 各大使達の表情が驚愕、恐怖、焦り等に変わっていく。

 そんな中、数人の人物が職員の隣を通って会議場内に入ってきた。その人物は神聖ミリシアル帝国の職員であったり、ムーや大日本帝国、グラ・バルカス帝国の軍人や関係者であったりと様々だ。

 それぞれが自国の外交官の近くまで進み、各々の報告をあげる。

 

 リアージュの隣まで来た職員は群島で起きた悲劇を報告し、リアージュの表情を青ざめさせる。

 だがそれ以上に、ムーや日本の近くまで来た軍人達の報告は、彼らの表情を驚愕の色に染めた。

 

「えっ?マイカルが!?」

 

 

 

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