大日本帝国召喚   作:ゼロ総統

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第20話─マイカルの悲劇②─

 ムー国 港湾都市マイカル

 

 

 日本、ムー、グラ・バルカス3ヵ国混成軍が敵上陸部隊と交戦してから1時間が経過した。

 

 敵上陸部隊の装備の質や性能から、グラ・バルカス帝国軍と同等の装備を保有していることがわかった。だが航空支援が無い3ヵ国混成軍…主に日本軍は、技術的優勢にあるにも関わらず、苦戦を強いられていた。

 

 グラ・バルカス帝国軍も、自国と同等の技術力を持つ敵を相手にしているためか、その被害を拡大していく。

 

 ムー国陸軍に関しては、そもそも技術的に劣っている部分が多く、日本軍やグラ・バルカス帝国軍に指導を受けた部隊も未だ練度が低く、両国の部隊と混成して何とか持ちこたえている状態だった。

 

 数を生かした戦術で侵攻してくる敵軍相手に、3ヵ国混成軍は防衛線を少しずつ後退させていき、一部では敵の突破を許してしまう部隊が出始めていた。

 

 

「あれがムー国人か…いい女が揃ってるじゃねぇか」

 

「あぁ、なかなか楽しめそうだ」

 

 ニヤリと歪めた笑みを浮かべながら、敵上陸部隊は避難が遅れている民間人や、ムー国陸軍護衛部隊へと殺到した。

 

「来たぞー!!」

 

「民間人に近寄らせるな!各員攻撃開始!!」

 

 ムー国陸軍兵士が手に持つ小銃や機関銃で迎え撃つ。今までムー国軍が使用していた小銃はボトルアクション式で、見た目は史実の三八式歩兵銃に似ている。だが最近では、大日本帝国が輸出している三七式半自動歩兵銃を輸入し、ライセンス権を取得して国内で生産を行っている。そのため、今までの小銃ではあり得ないほどの弾幕が張られていた。

 

 しかし、それでも敵は突き進む。護衛部隊の3個小隊90人に対し、防衛線を突破した敵は優に500を上回る。

 数の暴力を前に、ムー国陸軍護衛部隊は劣性に立たされ、遂に敵の一部が民間人に襲い掛かった。

 

「やめて!娘だけはッ!!」

 

「お母さん!お母さんッ!!」

 

 敵に捕まった親子が組み伏せられ、衣服を剥ぎ取られる。ムーの護衛部隊が救出しようとするも、敵の数に押され身動きがとれないでいた。

 中等学院に通い始めたばかりの娘も、周りや母親の反応を見て、これから起きる悲劇に絶望し、全てを諦めようとした…その時だった。

 

「この鬼畜野郎がァァァ!!!」

 

 ぞんっ!!!!

 

 逃げ出す民間人の合間をすり抜け、幾つもの人影が敵部隊に向かって飛び出した。

 飛び出した人影はその手に持った刀を、親子を組み伏せていた敵の首めがけて振り下ろした。

 仲間の首を切り落とされ、突然のことに立ち止まってしまった敵目掛けて、建物の屋上や窓から幾つもの銃口が突き出され、火を吹いた。

 先程以上の弾幕に晒され、10分後、突破した敵上陸部隊は壊滅した。

 その光景を見た護衛部隊の1人が歓喜の声をあげた。

 

「日本軍だ!日本軍が来てくれた!」

 

「敵は何処じゃぁぁァァ!!!」

 

「ぶっ殺すッ!!!」

 

「敵の主力ってのは何処だァァァァァ!!!!」

 

 ムー国派遣隊陸軍第46班は、マイカルの西側地域を担当する部隊のため敵との遭遇がなく、今回が初めてのためかテンションがおかしくなっていた。

 周りが若干動揺するなか、先程歓喜の声をあげた兵士が答えた。

 

「港街は完全に占領されましたが、その先の工場区域は死守の構えです!現在3ヵ国混成軍が敵の侵攻を阻止していますが、少しずつ突破されている状態です!」

 

「そうか!ありがとう!じゃ!…第46班、俺に続けぇぇぇ!!!」

 

 ウォォォォォォォ!!!!!

 

 第46班は雄叫びをあげながら、工場地区へと向かい駆けていった。

 取り残された人々はその後ろ姿を見送りながら、避難を再開するのだった。

 

 第46班が本隊と合流すべく再び動き出した丁度その頃、マイカルで行われている戦闘は、遠く離れた大日本帝国にも伝えられていた。

 

「総理、ここは直ちに、増援を派遣すべき事態であると思われます!」

 

「わかってる!高野防衛大臣、ムー国に近くて、すぐに動かせる部隊はどこだ!?」

 

「レイフォル地区のグラ・バルカス帝国派遣隊がすぐに動かせますが、すぐに動けるのは1個大隊規模がやっとです!後は、先進11ヵ国会議に同行した派遣艦隊の航空隊なら動かせます!!」

 

「ですが総理、派遣艦隊の航空隊を向かわせてしまうと、カルトアルパスの事態に対処できなくなる恐れがあります!」

 

「総理、ご決断を!」

 

「…わかった!」

 

 会議の結果、大日本帝国政府は国家非常事態宣言を発令、第3艦隊護衛の下、出撃待機中の第3師団をムー国へ派遣し、その後第6師団と戦時編成第15旅団をムー国へ派遣することを決定した。

 

 また、先進11ヵ国会議には各国の護衛艦隊がいることから、派遣された艦隊から戦艦伊勢、扶桑、空母飛龍、蒼龍、巡洋艦阿武隈、五十鈴、駆逐艦磯風、雪風、島風、神風の10隻が派遣されることとなった。

 

 また、グラ・バルカス帝国海軍の戦艦グレードアトラスターが、重巡2、軽巡4を引き連れ、日本艦隊と共にムー国へ派遣されることが決定した。

 

 

 

 

 

 ムー国 港湾都市マイカル 上空

 

 

 ムー国襲撃の報を受け、グラ・バルカス帝国派遣隊所属の隼21機は、港湾都市マイカルへと急行した。

 

「…なぁ、ここはマイカルの工場地区上空のはずだよな?」

 

「あぁ、俺の計器もここはマイカル工場地区上空だと示している」

 

「ははっ、そうか。そんじゃ、おかしくなってんのは俺の目ってことか」

 

 パイロットの1人がそう呟く。その表情は絶望ともとれる。

 彼らの視線の先にマイカル工場地区は見当たらず、多数のクレーターによって、跡形もなく粉砕されていた。

 

「沖合いからの艦砲射撃か…これじゃあ3ヵ国混成軍は壊滅かな」

 

「いや、まだ交戦している部隊がいるようだ。だが、状況は劣性だな」

 

 地上に目を向けると、幾つかの場所で小さな爆発が起きている。手榴弾か、あるいは対戦車ロケットか…。

 

「ッ前方に敵機確認!!数不明!!」

 

「全機攻撃を開始せよ!!」

 

 隼1機につき8発搭載された03式長距離空対空誘導弾合計168発は、狙った獲物に向かって突き進み、寸分違わず目標を撃破した…のだが。

 

「…減った気がしないのは気のせいでしょうか?」

 

「同感です。目視できるだけでも、まだ300はいるんじゃないでしょうか?」

 

「もしくはそれ以上かもな…ッ全機ブレイク!ブレイクだ!!」

 

 隊長機が叫んだ直後、真下から大量の弾丸が航空隊に襲いかかった。

 大半は回避することに成功したが、3機ほどが機体に穴を開け、炎に包まれながら墜落していった。

 

「チクショウッ!奴等、超低空を…いや、地面スレスレを飛んできやがった!」

 

「なんて練度だッ!」

 

「タイタス09よりタイタスリーダー、迎え撃ちましょう!」

 

「駄目だ!!タイタスリーダーより各機、深追いはよせ!いくら機体性能が勝っているとはいえ、数に押し潰されるだけだ!…増援の到着を待つんだ」

 

 隊長の言葉に、何人かが悔しそうに敵航空集団へと視線を向けた。

 

「俺たちは戻ってくる…必ずだ!!」

 

 そう言い残し、残存機18機はグラ・バルカス帝国領レイフォル地区へ帰投していった。

 

 そして、地上でも戦闘に終止符が打たれようとしていた。

 

「白井班長!民間人の避難が完了したと、友軍から報告が上がりました!!」

 

「わかったぁ!!第46班!これ以上の深追いは不要!直ちに後方部隊と合流し、態勢を立て直すぞ!!」

 

「「「了解ッ!!!」」」

 

 その後ムー国派遣隊陸軍第46班は、味方残存部隊と合流し、港湾都市マイカルから撤退していった。

 その日、ムー国港湾都市マイカルは、所属不明の敵勢力による奇襲を受け、陥落した。

 

 

 




某細胞アニメから、好中球の方々が参戦しました。
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