大日本帝国召喚   作:ゼロ総統

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閑話集①
閑話─もう1つの大帝国─


 グラ・バルカス帝国 通称『第八帝国』 情報局

 

 

 並べられた電気式受信機に、電子音が連続して鳴り響く。現代の者がその音を聴けば、信号形式は違えど、モールス信号と思うだろう。

 

「閣下、ロデニウス大陸の情報について、現地から報告が届きました。ロウリア王国のクワ・トイネ公国並びにクイラ王国への侵攻は、大日本帝国の介入により失敗。王家は象徴となり、ロウリア王国は民主主義に移行しつつあるとのことです」

 

「何!?」

 

 いつもは概要を聞くだけで納得し、仕事は部下に任せて責任は自分が取る、閣下と呼ばれた将軍の片眉が吊り上がる。

 

「本当か?その報告に嘘偽りはないか?」

 

「間違いありません、他の諜報員からも同様の報告が上がってきています」

 

 その言葉を聞いて、将軍は冷や汗を流す。

 

「まさか、そんな事が…アレナ様はこの世界でも的中させるのか」

 

 将軍は1人そう呟いた。

 

 将軍が言うアレナとは、数年前からグラ・バルカス帝国内に現れるようになった人物である。

 アレナは度々国政会議の場に現れては、信じられないような予言を残し、姿を消していた。信じられないことに、その予言は尽く的中し、グラ・バルカス帝国を救うほどの功績も残している。

 アレナという名前は、帝王グラルークスから直々に授けられた名前である。

 

 そして、今回の件に関しても、アレナは帝前会議の場で予言しており、その予言が今、的中したことが報告された。

 

「流石アレナ様ですね。おかげでレイフォル国の保護国であるパガンダ王国で皇族の御方を失わずに済んだのですから」

 

「あぁ、そうだな…しかしそうなると、あれすら本当なのかもしれんな」

 

 今回アレナの予言はこうであった。

 

 

『ここより遥か東、太陽の下に集いし国、大日本帝国。彼の国、我が方を凌駕せし力を持って、強大な闇を屠り去るだろう』

 

 

 予言を思いだし、将軍は速やかに上層部にこの事を伝えにいくのだった。

 

 

 

 

 

「この世界は我々に何を求める?」

 

 帝王グラルークスは、まるで自問自答するように呟いた。

 国ごと異世界に転移するなどという、バカげたことが現実となった。

 前世界『ユクド』と呼ばれた星で、最大の勢力を誇ったグラ・バルカス帝国。

 前世界では始世の国、エーシル神を祀りし『ケイン神王国』と世界を二分し、戦争を行っていた。

 資源力、生産力、そして軍事力。そのどれを比べても、グラ・バルカス帝国が勝利することは、誰の目にも明らかだった。

 

 そんな時、グラルークスの前に一人の少女が現れた。もしも、日本人がその少女を見たら、髪の色が違うイズルだと思うだろう。

 

 少女は語る。

 

 

『今より7日の時が経つとき、我らは小さき力を、そして多くの命を失うであろう』

 

 

 少女はそれだけ言うと、姿を消してしまった。

 グラルークスは戯れ言と判断し、簡単に侵入を許したとして、警備担当の者を処罰した。

 

 だが、それから丁度7日後、グラ・バルカス帝国海軍の哨戒任務中の駆逐艦隊がケイン神王国の主力艦隊と遭遇し、全滅させられる出来事が起きた。

 

 グラルークスはこの出来事を偶然と考えたが、その後も少女は何度も現れては、未来を予言して姿を消した。

 最近ではお茶なんかもしているが、前は本当にすぐ消えていたものだ。

 

 グラルークスは、少女の力が本物であることを認め、その存在を国民に公表した。

 

 最初は疑った国民も、すぐに少女の力を実感し、少女は国民に受け入れられていった。

 

 そしてある日、少女は現れた。

 

 

『星が太陽を1周するとき、我々は本土と共にこの星を離れ、未知なる星へ赴くだろう。いそげ、時は待ってくれぬぞ』

 

 

 それを聞いたグラルークスや政府は速やかに世界各地に展開していた軍を本土に帰国させ、食料や資源を根こそぎ本土へと運んだ。

 その結果、帝国は転移するまでに全ての準備を終えることができたのだ。

 

 帝王グラルークスは先日の予言について考える。

 

「日本…我らを凌駕する力を持つ国か…おい」

 

 近くにいた側近に指示を出す。

 

「直ちに大日本帝国に使節を送り、接触するのだ。予言の通りか、その力を確かめさせよ。結果によっては、日本との同盟も視野に入れてよい」

 

 側近は驚いたような表情を見せたが、すぐにこの事を伝えるべく動き出すのだった。

 

 数日後、グラ・バルカス帝国使節団は、ある程度の海上戦力を護衛につけて、大日本帝国に向けて出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 歯車は静かに、狂い始める。

 

 

 

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