まぁ、この時期が1番忙しいので休んだら仕事的に終わりますが…
大分待たせてしまって申し訳ないです。合間合間に書いてますので不定期な更新となっています。温かい目で見守り、待って頂けると幸いです。
翌日、グリンダに連れられ、校外授業として「フォーエバー・フォール」という森を訪れていた。名前の通り、辺り一面を紅葉が埋め尽くし、悠然な景色を生み出している。
「皆さん、『フォーエバー・フォール』の森は確かに美しいですが、観光に来たわけではないという事だけ言っておきます。ピーチ教授の課題である、この森の奥に樹生する樹木から樹液のサンプルを収集しに来たのです。私はその間、皆さんの安全を守る為に居ます。
各自赤い樹液を瓶1本分集めてきてください。ですが、この森にもグリムは多数生息しています。必ずチーム単位で行動するように、集合は16時とします。では頑張ってください」
その言葉を皮切りに、生徒達は各々の散開を始める。その中で、当然のようにカーディンに連れて行かれるジョーンを目にし、ラグナ、ピュラの両名は肩を落とした。
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散開した生徒の中で、チームRWBY、JNPR、Rのジョーンを除いた8人は、ノーラが樹液を思わず飲みほしてしまうというアクシデントに見舞われながらも順調に樹液を収集していた。
そんな中、ラグナは自分達を見つめる視線に気付く。気配の方に目をやり、目を凝らすと、なにやら箱を持ったカーディンがジョーンに語りかけている。聴力を強化し、その会話を聞くよう、意識を向けた。
「あの女に分からせてやろうぜ。なぁ、ジョーン?」
「え?」
「お前がやるんだよ」
「や、やるって…?」
「あいつに投げつけろ。それであの女は文字通り『蜂の巣』だ。やらないなら、俺がグッドウィッチにお前の偽造成績をチクって、お前は退学だ」
カーディンはニヤリと笑い、ジョーンはその言葉に、瓶を構え、投げる態勢を取る。ラグナはカーディンの思惑を察知し、険しい表情に変わった。
(よせよ、ジョーン。その一線だけは、超えちゃならねぇぞ!)
仲間や友人、はたまた家族に害をなすという行為は、裏切りであり、決別の出来事となる、引き返せない境界だ。ラグナは鋭い眼差しで、ジョーンを見つめる。
そんなラグナの思いを知ってか知らずか、ジョーンの頭にピュラの言葉、ラグナの言葉、ルビーの言葉が巡った。自分の中の「正しき理性」が恐怖とせめぎ合い、葛藤する。瓶を持つ手が震え、力が入らなかった。その時、ルビーの「仲間を大切にして、リーダーとして戦う」という言葉が胸にストンと落ちるのを感じた。そして、決意する。
ジョーンは瓶を持つ手を下ろし、ボソリと意思を漏らした。
「……やらない」
「なんつった?」
「やらないって…言ったんだよ!」
ジョーンは瓶をカーディンへと投げつけた。それによりカーディンは怒りによって、静かな笑いを漏らす。
「へぇ…やってくれたな…」
チームCRDLのメンバーがジョーンの両腕を掴み、森の奥へと連行していく。ラグナはジョーンがとった行動に対して、心配と共に、安堵と喜びを半分含んだ笑みを浮かべながら、他のメンバーには告げずに、後を追った。
ゴッ
「がっ!」
「なぁ、ジョーン。これが利口なやり方じゃねぇ事ぐらい、分かってんだろ?」
ラグナが後を追った先には、CRDL一同に殴られ、顔を青くしたジョーンがいた。しかし、顔にあるアザの色とは対象的に、ジョーンの瞳は決意に燃えている。
「確かに、利口ではないかもね。でも俺はあれが『正しい行動』だって信じてる」
「は、何気取ってんだよ。お前をボコボコにして、田舎のママの所へ送り返してやろうか?」
「勝手にしろよ…
でも、チームメイトや友達に手を出すのは許さない」
「へぇ…お前に何が出来るってんだよ…」
カーディンがジョーンの襟元を掴んで持ち上げ、拳を放つ。カーディンの拳がジョーンの頰を捉える瞬間、眩い光が周囲を覆った。
「ぐぁっ!?」
カーディンは驚愕と苦悶が入り混じった声をあげ、振り抜いたはずの右腕を押さえる。ジョーンはカーディンの手からひとまず解放され、その身体は、オーラによって光を纏っていた。
ジョーン自身も現在の状況を把握出来ていないようで、自身の腕を見つめる。しかし、その光は淡くすぐに影を潜め、地面に座り込んだままのジョーンの前に、再びカーディンが立ち塞がった。
「お前がどれほどのもんか見てやる…」
ジョーンを睨みながら、凄むカーディン。しかし、その背後にある茂みがガサッと揺れ、その中から赤い瞳が覗いた。
瞳の持ち主は、ラグナが「エメラルド・フォレスト」でも遭遇した、「アーサ・メジャー」。突然現れた自分達をはるかに凌駕する体躯を前に、CRDLのメンバーは声を上げて逃げ出した。
「馬鹿でかいアーサだ!逃げろぉぉ!」
そんな中で取り残されたのは不意を取られ、アーサに萎縮してしまったカーディンと、尻餅をついたまま動けないジョーンだけだった。
アーサが腕を薙ぐと、カーディンがそれを横腹にもらい、弾き飛ばされてしまう。その近くにいたジョーンには目もくれず、カーディンへと向かって行く。
どうやらカーディンに付着した樹液の匂いに惹きつけられているらしい。カーディンは倒れこみながらも自身の武器を手に取るが、それも呆気なく弾かれてしまう。立ち上がって逃走を試みても、すぐに回り込まれてしまい、なす術がない状態にあった。攻撃をまともに食らい、もう立ち上がる気力が残されていないカーディンに対し、アーサは前脚を振り上げた。助けに入ろうと地を蹴るその間際に、視界の端に金髪の少年が映った。
ギィィン!!
アーサとカーディンの間に割って入ったジョーンは、盾でアーサの前脚を防いだ。カーディンはただ呆然とジョーンの背中を見つめる。
「あ、いた!助けないと!」
森を駆ける足音とルビーの声が背後から聞こえ振り返ると、ルビー、ワイス、ピュラの3人が近づいて来る姿が見えた。ラグナは3人を手で制す。
「ラグナ!?ちょっと前から見かけないなと思ったら!
そんなことより、助けないとジョーンが!」
「いえ、待って」
「ああ、これはあいつの戦いだ。少し、見守ってみようぜ」
ルビーの声を今度はピュラが止め、ルビーとワイスは心配そうに、ジョーンを見つめた。
戦況はあまり芳しいとは言えなかった。ジョーンのグリムとの戦闘経験はほぼ無いに等しい。そんな彼が上位個体であるアーサ・メジャーに対して苦しい戦いを強いられるのは当然であると言えた。
そんなジョーンだったが、幾度と無く弾き飛ばされては、向かっていき、また弾き飛ばされては、向かっていきと目の前の怪物相手に全く怯むことなく戦いを挑んでいた。それでも、ダメージを追い続けたジョーンのオーラは残りわずか。それはジョーン本人も分かっている筈だった。しかし、覚悟を決めたように目を見開くと雄叫びをあげながらアーサへと斬りかかる。対してアーサも返り討ちとばかりに爪を掲げてジョーンへと襲いかかった。両者の距離がグングンと近づくにつれ、ラグナはアラマサに手を掛ける。
ジョーンは剣を振ることに意識を集中させすぎてしまい、盾の軌道が疎かになってしまっていた。このままではアーサの爪の餌食となってしまう。しかし、ラグナの隣に立っていたピュラが目を閉じ、右腕をジョーンの方へ向け伸ばした。その瞬間、ジョーンの盾は軌道を変え、しっかりとアーサの爪を受け止めた。そしてジョーンは足をしっかりと踏みしめると剣をアーサの喉元目掛けて振り抜く。それにより、アーサは首を落とされ、息絶えた。
ピュラはゆっくりと目を開けると、腕を下ろす。
「えーと…今の何?」
「どうやったんです?」
「……えっと、ルビーには速さ、ワイスには魔方陣、ラグナには強化があるように、私のセンブランスは極性なの」
「わぉ、曲線を操れるなんて凄い…」
「違いますわ。極性、つまり磁力を操れるという事です」
「それでも凄いよ…」
(磁力の力か…
1度直接触れて付ける必要が無い分、テイガーよりも強力かもな。でもまあ、あいつは触れれば金属以外にも磁力を纏わせる事が出来たから、実践的には五分五分ってとこか)
ピュラは笑顔を覗かせるとジョーンに声をかけることなく、スッと踵を返し、歩き出す。
「どこに行きますの?」
「そっか!みんなに伝えないとね」
「ええ、でも、私達の秘密にしておくのもいいと思わない?」
「……そうだな」
ピュラの言葉に、ラグナも笑みを浮かべて頷き、歩き出す。
「もう、大丈夫みてぇだな」
「ええ、ありがとう。ラグナ」
「俺は別に何もしてねえよ。お前とあいつ自身の力だ」
2人の笑みに、ルビーとワイスは怪訝そうな表情をしながらもその後ろへ続いた。
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その夜、ラグナはピュラと共にジョーンの姿を探し、屋上で街の景色を見つめるジョーンを見つけた。
「今日はカーディン達と一緒じゃないのね?
てっきり、仲良しになったものと思っていたけど」
ピュラの問いかけに、ジョーンはゆっくりと振り返った。
「ピュラ…ラグナも…
ごめん」
「謝る必要なんざねぇよ」
「でも…俺はバカで、君達が心配してくれたのにも耳を貸さずに…
1人でくだらない意地をはって、ピュラにも、ラグナにも酷いことを言ったよね…
カーディンが他の人を虐めてるのを見て見ぬふりをしたし、今回は自分から手にかけようとしてしまった。本当にごめん…」
「いいのよ、貴方はそうはならなかった。そうでしょ?
みんな、リーダーが居なくなって寂しがってる。さぁ、一緒にパンケーキを食べにいきましょう。レンが焼いてくれてる。シロップは…ノーラが飲んじゃって無いけどね」
「まったく…あいつは食べ物になると本当に歯止めが効かねえな」
「待って!」
屋上から去ろうとする2人の背中をジョーンが呼び止めた。
「今更、こんな事を頼めた義理じゃないのは分かってるけど、まだ俺に力を貸してくれる?
今度こそ、ちゃんと戦士になりたいんだ」
その言葉にピュラとラグナは顔を合わせ、ニタリと口角を上げた。ピュラがジョーンへと近づき、ジョーンを両手で突き飛ばす。
「うわ!?なに!?」
「まず立ち方からなってねぇ、そんなんじゃ踏み込めねえし、衝撃を耐える事も出来ねえよ」
「さあ、もう一度よ」
「……ああ!」
その日からラグナとピュラによって、ジョーンの特訓が開始された。奇しくも、粒揃いと称される今年の1年生の中でも戦闘能力トップ2を誇る2名による特訓を受けることになったのである。
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ジョーンの初回の特訓が終わり、ピュラとジョーンはレンの焼いたパンケーキを食べに向かったが、ラグナは校長であるオズピンの元を訪れた。
「やぁ、ラグナ、今日はどうしたんだい?」
「オズピン、どうしてジョーン・アークの入学を許可したんだ?」
「あぁ…彼か…
そんな事を聞くということは、本人から聞いたのかな?
確かに、彼のやり方は褒められたものではない。けれどね、彼と面接をしていた時、一瞬だが、とてつもないオーラを感じたんだ。それこそ、並みのハンターをはるかに凌駕するほどのね。通常、オーラを全開にする事はほとんどないが、それでも目を見張る物があったのは確かだ。
まだ、十全に使いこなせていないようだが、これから少しずつ成長してもらえれば、必ず立派な戦士になるだろうとね」
確かに、その片鱗は今日、ラグナも見ることが出来た。カーディンの拳を弾いたあの時、感じたオーラは生半可なものではない。ジョーンのセンブランスの実態は不明だが、ジョーンの戦士としての素質は余りあるという事を示していた。
「更に、実力試験の際、彼には機転と判断力に長け、指揮を行うリーダーの素質もあると睨んだ。アーク家は代々英傑を輩出してきた一家だからね。
君も、彼の為に私の所に来たということは、彼に興味を惹かれたという事だろう?」
「…まあな。知らねえ仲じゃねぇし。
実はあいつの特訓に付き合う事になったんだよ」
「そうか、君が鍛えるなら心配はなさそうだ。彼の事、頼んだよ」
「…ま、やれるだけやるけどよ」
その答えに、オズピンは満足そうに頷いた。
vol.3のワイスとウィンターの台詞で、ワイスが模擬戦成績が一位というのがありましたが、総当たりになる事は難しいので勝率で同率一位が何人かいるんでしょうと考えています。
では恒例の謝辞を
今回も読んで頂きありがとうございました。
また次回に。