遅くなった理由を簡潔に説明しますと
上司「ちょっと他の所にお手伝いしに行ったってくんない?
手当出すからさ」
私「わかったでござる。して、いかほどの期間か?」
上司「1ヶ月」
私「oh…」
こんな感じでした。忙しくも良い経験をさせて頂いたので楽しかったのですが、投稿する時間が取れず、皆様を待たせてしてしまい申し訳なく思います。
では、気を取り直して本編をどうぞ
結果を言えば、戦いはラグナの圧勝であった。当然である。見たところ普通の青年であるサンとは経験が違う。サンがラグナに伸されたわけではなく、意識を保ったまま取り押さえられ、動きを封じられている事からも、力の差は歴然だった。
「ったく、余計な手間かけさせやがって…
てめぇか、金曜日密航した猿のファウナスってのは」
「だったらなんだってんだ!今は関係ねぇだろ!」
「……まぁ、それは後回しだ。
ブレイク、お前の口からこいつに説明しろ。話が進まねぇ」
「わかった」
「えっと…もしかして…
こいつ、ブレイクの知り合い?」
「そうよ。彼はラグナ、同じビーコンアカデミーの仲間よ」
「ええ!?す、すまん!俺てっきり…」
サンは自身の早とちりに気付き、申し訳なさそうに手を顔の前で合わせる。
「で、話を戻すぜ。お前達はなんでここにいんだ?」
「……私はホワイトファングがここ最近のダスト強盗の首謀者だと思えなかった。なら、ダスト強盗の正体を確かめれば間接的にホワイトファングの無実を証明出来る。だから、ダスト強盗が狙いそうな場所を見張ることにしたの。
サンが船で聞いたところによると、シュニーの貨物船で今日、ダストが大量に届くっていう話だった。それで、港を見回ってここを見つけたってわけ」
「なるほどな。じゃあ、お前はなんでブレイクと一緒にいんだ?」
ラグナは不貞腐れたように胡座をかいて座るサンに目を向ける。
「危険な事をしようとしてる女の子を放っておけるわけないだろ!
それに、ファウナスに関係する事だってんなら尚更…」
「………そうか」
危険な犯罪者達との衝突があり得る現場まで着いてきた事と、その話を聞く限り、虚偽はなく、この少年は根っからの悪人である訳ではなさそうだ。そう判断したラグナは、2人をもう一度一瞥する。
「ここまで来ちまった以上、帰れっつっても聞かねえよな。つっても、お前達からするとショックな現実かも知れねえぞ」
「…え?」
「最近のダスト強盗はーーーっ!?」
「うぉ!?」
「きゃっ!?」
ボウッという不自然な突風がラグナ達を襲う。ラグナ以外の2人はその突風の元凶に勘づくのが遅れ、一驚の声を上げた。その突風を引き起こしたのは、ラグナの大方の予想通りであった空の移動手段である航空機だった。強盗という目的から、何らかの攻撃手段を積んだ戦闘機であるとみて良いだろう。
堂々とコンテナが積まれた埠頭の中心近くに着陸すると、ハッチが開き、その中から数人が姿を現わす。
「お出ましか」
「あぁ…そんな…」
「奴等か?」
3人の目が1番に捉えたのはその背中にある紋様、獣と爪痕を重ね合わせたヒト種に対しての皮肉と敵対意思を示す、ホワイトファングのトレードマークだった。
信じていた、あるいは信じたかったのだろう。ブレイクの漏らした落胆は、ラグナには微かに「やはり」という意味合いを含んでいるかに聞こえた。
「奴等が犯人じゃないって信じてたんだろ?」
サンもブレイクの隠れた言葉に気付いたのか、そんな言葉をかける。ブレイクは目を伏せ、肩を落とした。
「いや、本当は分かってた。ただ、目を背けてただけ…」
「おい!」
聞こえたのは男の声、ホワイトファングの構成員数名の後にハッチから姿を現したのは、赤毛にシルクハットの男、ローマン・トーチウィック。ブレイクは目を見開き、ローマンを見つめる。
「なんでこんな大勢で来たんだ目立つだろうが!
強盗ってのはスマートに、スピーディに行うんだ。分かったら作業の速度を上げろ鈍間共め」
「あり得ない…!
ホワイトファングは人間とは組まない。特に悪党とはね」
「現実を見る覚悟が無かったんなら、ここに来るべきじゃなかったんじゃねえか?」
「え…?」
ブレイクの言葉に、ラグナは少しばかり、顔を強張らせ、厳しい言葉を放つ。今現在、悪党そのものと言える行動を行なっているホワイトファングに対して、ブレイクは未だ夢を見過ぎていると…
「テメェ!そんな言い方があるか!」
「あるね。敵と遭遇する場に来た以上、それがどんな相手だろうが、どんな事が起きようが、揺るがない覚悟を持つべきだ。揺らぐってのは敵に隙を与えるって事だからな。
ブレイク、お前が知っている事が全てとは限らねぇ。常にお前の知らないところで色んな事が起き、絶え間なく変化してる。それはホワイトファングだって例外じゃねぇ。希望的観測は捨てろ。敵に隙を与えるな。真実の確認や考察は、全てが終わった後だ」
険しい言葉を投げかけるラグナ。告げ終えると、背中のアラマサを抜き、後方へ向け構えた。ブレイク、サンはその行動にキョトンと呆けている。
「さて、俺にはあらかじめ、相手があてがわれてるらしいな」
その言葉とほぼ同時に、人影が現れる。傘を広げ、挑発的な笑みを浮かべる少女がラグナを見据えていた。笑みとは対照的な敵意が感じ取れる。明らかに、ラグナがここにいる理由を知りながら、それを妨害せんとする意思が。
「十分に注意したつもりだったが、情報戦じゃ遅れをとったか」
この少女の目的が、ラグナの妨害であれば、オズピンが内密に打ったはずの布石が敵の不意を付けなかったという事である。であれば、この状況で相手の不意を付けるのはーー
「ブレイク、この状況下で相手の誤算はお前の存在だ。現実と向き合う覚悟が出来てるなら、あいつらを阻止しろ。俺もこいつを伸したらすぐに向かう」
「……ここまで来て引ける訳ない。あいつらを捕まえて、ホワイトファングに何があったのか、確かめる!」
「同胞なのはわかるが、相手に不必要な情は与えるなよ。変に情けをかけようとすると隙を生んで、足元を掬われるぞ」
「分かった」
ブレイクはコクリと頷き、倉庫の屋根から飛び降りた。サンはその様子を不安げに見つめていた。
「おい、お前」
そんなサンへ向け、ラグナは声を掛ける。
「…なんだ?」
「お前が悪人じゃねえのは、まぁなんとなく分かった。
お前、さっきの身のこなしと言い、武器といい、どっかのハンターアカデミーの生徒か?
ヴァキュオからの交換留学生の船で密航者扱いってこたぁ、他のアカデミーのーー」
「…ああ、そうだよ。俺はミストラルのヘイヴン・アカデミーの生徒だ。ビーコンに交換留学として来た、実家がヴァキュオなんだ」
「なんでそんな奴が密航なんぞしたのかわかんねえが、腕に自信があるなら、あいつに加勢してやってくれ。その代わりと言っちゃなんだが、お前が密航せざるを得なくなった理由を聞いて、同情の余地がありゃ関係者に口利きしてやる」
「本当か?
へっ、いいぜ。つーか、加勢する気が無かったら、元々ここに来てねぇって!
けど、それとこれとは別だぜ。その話、忘れんなよ!」
その言葉を最後に、サンはブレイクを追いかけていく。ラグナはフッと小さく笑い、目の前の少女を見据え直した。
「さて、あいつらを行かせるまで待っててくれてあんがとよ」
たった2人なら問題無いと踏んでいるのか、そもそも学生如き人数に数えていないとでもいうのか、少女は余裕ある笑みを崩さず、言葉を発することもない。
「つっても、あいつらにあっちを任せっぱなしって訳にも行かねえからな。さっさと片付けさせてもらうぜ。女だからって容赦しねぇぞ!」
地面を蹴る。ギィンという硬質な物が衝突した音の元では、ラグナによる上段からの一太刀をその手に持つ傘で涼しげに受け止める少女がいた。その事実にラグナは僅かに顔に驚愕の色を浮かべる。目の前の少女の体躯は随分と小柄な部類に入る。彼の仲間の中で最も小柄なルビーよりも小柄であるように見えた。にも関わらず、そんな少女がラグナの一太刀を片手で簡単に受け止めた。
ラグナの目的は相手を殺す事ではなく、捕らえ、情報を得る事である。いつも命を追われ、これまで命がけの全力で戦って来たラグナにとって、相手を殺してはならないという制約を抱えながらの戦闘には慣れておらず、中々骨が折れそうだと冷えた汗が頬を伝った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ローマンの元へと向かったブレイク、サンの両名はコンテナの影に隠れながら、ローマンの様子を伺っていた。
「違うだろ、犬のリードじゃ無いんだぞ?
もう少し考えてから行動しろ」
ローマンの叱咤が飛ぶ。ローマンの周りにはホワイトファングの構成員がおよそ十、その中心でローマンは悠々と煙を吐いていた。
「どうする?」
「数で不利な以上、1番は敵の将を獲る事。ラグナが言ってたように、こっちにラグナ以外の戦力がないと思い込んで、油断しきってるみたい。だから虚をついてローマンを後ろから拘束して、人質に取る。私がローマンの後ろを取ったら、サンは周囲への牽制をお願い」
「了解」
2人は示し合わせ、行動を開始する。ブレイクのセンブランスは
ローマンの後ろに回り込み、首に刃をあてがう。
「うぉ!?あぁ…はいはい…
クソ、ニオめ。護衛は赤いコートの男だけじゃ無かったのか?」
ローマンを拘束したブレイクに気付いたホワイトファングがゾロゾロとブレイクを取り囲んで行く。そこへ、もう1人、ブレイクの背を守るようにサンが現れ、ブレイクの後方の敵を牽制した。
「何故あなたがホワイトファングと共にいるのか、答えなさい」
「ふふ、君に答える義理があるとは思えないな」
「良いから答えなさい!
さもないとお前のちっぽけな計画をぶっ壊してやる」
「ふ、ふふふ、ふははは!!」
ローマンがからからと高らかに笑い、空を見上げる。それと共に、何かが埠頭を照らす月灯りを遮った。
「ちっぽけとは!心外だな!」
その影の元凶を目に写す為、その場にいた全員が天へと顔を向ける。もっとも、それの正体が分からなかったのはブレイクとサンだけだったのであるが。
上空には、ローマンが乗っていたものと同じ
ドゴォォン!!
埠頭のコンクリートが飛散し、ローマンを拘束していたブレイクもその衝撃で弾き飛ばされた。花火のような炎弾は黒煙を巻き上げ、その破壊力を物語る。弾き飛ばされたブレイクに対し、ローマンは続けて炎弾を撃ち込む。ブレイクも自身のセンブランスを駆使しながら、コンテナの影へと逃げた。
「いいのかい、仔猫ちゃん?
俺を捕まえなくても、ははは!
さて、あのお猿さんはと…」
ブレイクがこのまま逃げることはない事を先程までの様子で確認したローマンは、一先ずブレイクを追う事をやめ、逃げずにその場に残り、ホワイトファングの構成員に囲まれたサンに目を向けた。
「なんだ?逃げなかったのか?」
「あの子に手を出すな。お前達の相手は俺だ」
「は、威勢のいい事だ。状況は多勢に無勢、いつまで保つかな?」
サンを取り囲んだファウナス達が一斉に襲いかかる。前から迫るファウナスの斬撃を上体を屈ませる事で避け、裏拳でカウンター。隙ありとばかりに放たれた、後ろからの攻撃を裏拳をもろに喰らい、よろけた前の敵を踏み台に宙を舞う事で回避。そのまま背後を取ったサンに対し、振り向きざまに剣を横に薙ぐが、サンは身体を伏せ、くるりと足を払った。足元を掬われたファウナスは、「ぐあっ!」と区篭った声を上げ、転んだ拍子に地面に打ち付けた頭を押さえる。
サンは自身の武具を棒状に変化させ、棒術を絡ませながら、猿のファウナスとしての軽やかな身のこなしを駆使し、敵を翻弄して行く。その手こずったざまにローマンは葉巻を地面に吐き捨て踏み潰した。
ローマンはステッキの先端をサンへと向け、仕込み銃のよる炎弾を放つ。それも、サンの棒術によって防がれる。
「私もいる事を忘れないで」
「っ!?がっ!!」
ローマンがサンへと炎弾を放った隙をついて、気配を遮断しつつ後ろに回り込んだブレイクによる一撃がローマンを捉えた。ローマンは吹き飛ばされはしたものの、空中で体勢を立て直し、地面へと着地した。ブレイクを1つ睨み、サンの方へ目を向けると、連れてきたホワイトファングのファウナス達が倒れていた。ローマンは自身のシルクハットのつばをつまみ、やれやれと首を振る。
「まったく、本当に鈍間な奴等め…」
「観念しなさい」
追加で先程現れたファウナス達は予期せぬ強盗の妨害であった為、まだ戦闘準備に手間取っていた。降下して来るまで今ひとつの時間がかかる。数の利を失ったローマンであるが、ステッキをクルクルと回し、歯を見せた。
「俺も舐められたものだ。たった2人のガキに捕まえられると思われるとは…」
今月の下旬からRWBY vol.6が始まりますね、ワクワクが止まりません。今期は日本のアニメも人気作品の続きなどが多いので楽しみです。
では、恒例の謝辞を
今回も読んで頂き、ありがとうございました。
後編は出来るだけ早く投稿致します。